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児童生徒の実態を踏まえ、教職員が共同で取り組む「校内研究」。
その必要性や意義が語られる一方で、ポジティブな学びの場になっていないとの声もあります。
School Voice Projectが2022年に行ったアンケート調査では、「校内研究はよい学びの機会になっているか」という質問に「とてもそう思う」「まあそう思う」を選択した方と「あまりそう思わない」「全くそう思わない」を選択した方が、ほぼ同数という結果になりました。
3年の時を経て、校内研究・研修に対する思いはどのように変化したのでしょうか。
2024年度に実施された校内研究について、改めて教職員の方の実感や意見を聞きました。
■対象 :全国の小〜高校年齢の児童生徒が通う一条校に勤務する教職員
■実施期間:2025年2月28日(金)〜2025年3月31日(月)
■実施方法:インターネット調査(実施時の設問はこちら)
■回答数 :50件
Q1. 学校内でテーマを決めて、年間を通して研究をする「校内研究」についてお聞きします。2024年度、あなたの勤務校では、どのような教科やテーマを研究していましたか。
国語、算数、理科、社会、特別支援の5つの部会の1つに属して研究しました。【小学校・教員】
校内研究テーマに向けた研究授業の1人1授業。今年度はロイロ、スライド作成、ナビマの活用など、ICT活用が主。【中学校・教員】
教科は道徳で、主体性な対話をもとに自ら考え実行できる児童の育成【小学校・教員】
ICTを活用して、協働的な学びを行うこと。【中学校・教員】
ICTを活用した個別最適な学びと協働的な学び【特別支援学校・教員】
個人テーマを設定して、それを探究【小学校・教員】
自他を尊重できる子どもの育成に向けて、それぞれの教員が好きな教科や領域で実践を日常的に行い、それをリフレクティブに対話する形で共有する研究【小学校・教員】
帰納、演繹、類推の考え方をもちいた授業【小学校・教員】
総合的な学習の時間、生活科を中心とした探究的な学びについて【小学校・教員 】
カリキュラム・マネジメントを活かした主体的・対話的な授業の実践【小学校・教員】
自分も他者も大切にする【小学校・教員】
表現力を高めるための指導のあり方【中学校・教員】
「自ら考え行動できる子」を目指す姿として、各教員が自分の取り組みたい教科でその具現を目指す、という形です。【小学校・教員】
スクールミッションをつくるために、職員全体で「どんな生徒を育てたいか」を教科もばらばらのグループでワークをした。【高等学校・教員】
キャリア教育の充実 教科、産業社会と人間、を活用したキャリア教育【中等教育学校・教員】
特別活動のキャリア教育の発表に向けて【中学校・教員】
目指す児童の姿から、課題解決学習型の授業作りを目指す【小学校・教員】
教員の不祥事、体罰等の管理職からの研修。【高等学校・教員】
Q2. 校内研究があって良かったこと、あなたにとって役に立ったことを全てお選びください。(複数選択可)
全体の44%の方が「知識・見識がアップデートされた」を選択し、前回調査と同様に最多となりました。次いで多かったのは、全体の16%から34%に増加した「授業力・指導力が向上した」という選択肢。
前回調査では2番目に多かった「悩みを共有できた」が、31%から18%に減少するといった変化も見られました。
研究が楽しくなった【小学校・教員】
ICTの活用が広がった【特別支援学校・教員】
Q3. 校内研究について、あなたが課題に感じていることを全てお選びください。(複数選択可)
約半数の方が「勤務時間内に研究・準備が終わらない」「準備負担が大きい」「学びたいテーマではないことが多い」を選択しました。
前回調査と同様に、負担感に関する課題を選ぶ方が多数いた一方で、少数ではありますが「助言や批判が苦しい・傷つく」といった意見もありました。
校種別に見ると、小学校の最多は「勤務時間内に研究・準備が終わらない」、中学校は「児童生徒の良い学びや成長に寄与しているように感じられない」、高等学校は「学びたいテーマではないことが多い」となり、校種によって課題に感じる部分が異なることもわかりました。
みんなで話し合って決めたことなのに、意識して取り組まない人が多い【小学校・教員】
市町村や地区で持ち回りの研修となっていて、主体的でない【小学校・教員】
やらされている感がどうしてもぬぐえない【中等教育学校・教員】
発表することがメインで事後につながることが少ない【小学校・事務職員】
事前事後の研究会では、意見が言いづらい。また、研究公開のための授業になってしまう。【小学校・教員】
若い教員だけが必死に授業について考えている【高等学校・教員】
校内の協力が得られない【小学校・教員】
教員人生に変化が起こるような学びがほとんどない。【小学校/中学校・教員】
やりたいことがそれぞれ違うので、やり方をバラバラにしたが、やり方がわからないと言われた。主体的に動けない教師が多いこと。【小学校・教員】
Q4. 校内研究は教職員にとってよい学びの機会となり、児童生徒や日々の仕事に還元されていると感じていますか。
「とてもそう思う」もしくは「まあそう思う」を選択した方が40%、「あまりそう思わない」もしくは「全くそう思わない」を選択した方が42%と、前回と同様にほぼ拮抗する結果となりました。
しかし、「全くそう思わない」のみに絞ると、選択した方は全体の4%から14%へ増加。形骸化した研究・研修の在り方や、教員自身の主体性の欠如について疑問を呈する声が多く寄せられました。
Q4-2. 上記を選んだ理由をお書きください。
授業力などは向上するので、「学びのある授業」につながると思います。チームで取り組めるので、色んな視点で発見もあり、研究で得た経験は財産になります。【小学校・教員】
授業を見合うことはとても勉強になる。【小学校・教員】
小規模校で各教科1人ずつしかいないため、教科指導について相談する機会が少ない。授業を見あったりすることもほとんどないので、公開授業や、研究協議をとおして話すことで自身の授業についてふりかえる機会になっている。【中学校・教員】
他の教員の授業を見ていると気付くこともあるので学びになっていると感じます。【中学校・教員】
いま私たちは対話を重ねて、自分たちがやりたいようにやっているから、学びの場になっている。でも、従来の校内研究だと研究リーダーが引っ張ってついていくだけのことが多く、学びが浅かったと思う。【小学校・教員】
今年は、研究教科が初めて選択したものだったので、知識も経験もなく、分かりやすくアドバイスをもらえたのがありがたかった。部会のメンバーに恵まれたと思う。だが、何をどうすればよいか分からないまま否定されただけのように感じる研修も過去に経験したことがある。【小学校・教員】
教員には研究と修養をする義務と権利があるので、校内研究は必要であり、教職員の学びの機会になっているし、児童生徒にも還元されているが、働き方改革との両立は、アクセルとブレーキを同時に踏むのようで、難しい。
教員不足や世代交代といった時代の流れもあり、目の前のことで精一杯で、校内研究をやっている場合ではないというか、重要度や優先度は年々下がっているように思う。【特別支援学校・教員】
教育課程の中で、もっとも多くの時間を割いている国語の指導を充実させることで、他の教科の授業にも役立てることができるようになった。【小学校・教員】
家庭環境が変わり、保護者と子どもの質も変わり、生徒指導や特別支援の配慮など以前よりも学習指導と学級経営に大きな負担がかかるようになった。加えて人手不足も重なり、《研究どころではない》という雰囲気が蔓延している。そのため、校内で共通理解を図ったとしても研究として推し進めることはできないため。【小学校・教員】
他の業務が忙しすぎて、校内研究が苦痛でしかないです。
→「上」を目指している教員が管理職から認められ研究のリーダーになる
→担任の日ごろの業務量など気に掛けることもなく、実態把握のためのシートや綿密な教材準備の指示などを降ろしてくる
→担任は仕方なく義務感でこなしている
…という構図がどの学校でも見られます
研究・研修に力を入れるのはいいのですが、他の業務とのバランスを教育委員会や管理職は考えてほしいと思います。【特別支援学校・教員】
休憩時間もなく超過勤務をこなし続ける日々に、行政の対外的なアピール目的の研修を押しつけられている「やらされ感」が現場では大きい。多くの職員が言われるがままやれと言われたことを最低限の労力で行い「とりあえずやった」という既成事実づくりをしているだけである。本気で研修をすればもちろん児童生徒に還元できるはずなのだが、疲弊している現場が一丸となって行えるものではない。
本当に児童生徒のためにできることをしたいと思っている教員は、強制されなくても自主的に研修会に参加し、実践、記録、発表、協議をしている。そういう意識をもった教員同士でないと「研究テーマの共有」さえできない。【中学校・教員】
教職員の取り組む姿勢や意識に差があるから【小学校・教員】
一部の熱心な教員にとっては有益でしょう。でも、そのような熱心な教員は校内研がなくても自主的に研鑽し学び続けているのです。自己の教育力を高めようと思っていない教員をどう変えるかが一番難しい問題だなあと日々感じています。【中等教育学校・教員】
声の大きい教師の趣味の世界を押し付けられていて、教育学的な背景や社会的な教育課題への言及がない。指導要領と関係のない事をしていても、何も言われる事がない。学べるなら時間をかける必要があるだろうが、学びがなくただマウントを取られる時間ならない方がいい。【小学校・教員】
市教委(または教育長)が「これでやりなさい(そして、やった学校には研究費を多めに出すよ)」といって提示するテーマが児童の実態にあっていない。そして、たった1~2年のスパンで児童の劇的な変容を発表させられる。(ほぼ捏造に近い)
データも母数数十、多くても150程度で、しかも学年進行があれば同学年のデータとしても集団が異なるのに、一部切り取りデータで「このような変化がありました」とか言うのはおこがましい。その学校の教員が、ほんとうにやりたい研究ができるのが一番です。教員の意識改革を促すような研究が必要だと思います。それが授業改善に、児童の成長に繋がると思います。【小学校・教員】
公開授業や教育委員会の訪問指導の際の中心テーマとなりうるのだが、その場で終わることが少なくない【中学校・教員】
本校の場合、管理職も「上から降りてきたから既成事実のためにやっている」という感じが強く、動画視聴による研修なので、見たことにして適当に研修後アンケートに回答する教員も少なくない。教員側からしたら隙間時間で適当に視聴して、適当に答えればいいのでお手軽で良い。研修が役に立ったとは思えない。【高等学校・教員】
主体的な研修でなく、やらされている感が強い。時間をかけている割には子どもへの見返りが少ない。結局、研究授業は見せるためのものであって、普段遣いできないため【小学校・教員】
研究授業のための授業という印象が強すぎる。【高等学校・教員】
すべての学校で研究する必要があるのか。集約させてそれを動画や出張で学べばよいと思う。現場負担が大きいので。教職員の校内研究というが、事務職の私は参加したこともないので教員だけのものだと思う。【小学校・事務職員】
本校の研究は、自分の教育観や価値観そのものを問い直すよい学びの場に変革してきており、今はなくてはならないものに感じています。しかし、一歩学校を出ると、形にこだわりすぎたものだったり、その授業でしか活用できない内容であったり、方法ばかりを問う中身になっている気がします。管理職が変われば、すぐに内容や方法が変えられてしまうことも課題だと思います。数値的な学力にばかり着目され、価値観を問うような場に価値を感じる管理職が少なく、本来の学びの場として機能せず、形ばかりで負担が多く、そして数値だけ無理やり成果が見えるようにデータを作ることも疑問です。教育効果はそう一年で数値化できるものではないと思います。管理職の関心ごとが何より研究の幅を狭めていると思います。【小学校・教員】
アンケート調査からは、校内研究・研修のメリットについて、全体の44%の方が選択した「知識・見識がアップデートされた」をはじめ、「授業力・指導力が向上した」「教職員間のチームワークが高まった」といった利点を感じている方がいることがわかりました。
一方で、課題に関しては約半数の方が「勤務時間内に研究・準備が終わらない」「準備負担が大きい」「学びたいテーマではないことが多い」を選択するなど、前回調査と同様の結果となりました。
全体的な傾向も前回調査と似通っており、メリットはありつつも、それ以上に負担感を感じている方が多くいることが伺えました。「校内研究・研修はよい学びの場になっているか?」という問いに対しては、肯定的意見が40%、否定的意見が42%と、前回と同様にほぼ拮抗する結果となりました。
意見の是非にかかわらず、特に目立った意見は、テーマや内容に関するもの。実際のニーズや課題感に基づかない形骸化した研究・研修は、現場の負担感を増すばかりという率直な思いが伺えました。
このような状況にあって、校内研究・研修の在り方が徐々に見直されつつあります。
独立行政法人教職員支援機構は、『令和の日本型学校教育』を担う新たな教師の学びの姿の実現に向けて、学び合いのコミュニティの醸成や探究型研修の開発を進める戦略を明らかにしました。
参考:「NITS戦略 ~新たな学びへ~」(独立行政法人教職員支援機構,2025年4月更新,2025年4月参照)
近年では芦屋市など、研究指定校・研究発表会といった従来の枠組みを廃止し、完全に自主参加制の柔軟な研究に切り換える自治体も生まれています。
参考:「「研究指定校やめた」芦屋市、完全自主参加制の研究体制で広がった”子どもに委ねる学び”」 (東洋経済新報,2025年4月5日公開,2025年4月参照)
子どもの学びを支える教員側にこそ、より一層の主体的な参加の姿勢や、対話的・協創的なプロセスが求められているのかもしれません。
▼ 自由記述の回答一覧は、以下よりダウンロードしてご覧ください。 ▼
「校内研究」と聞いて、皆さんはどんなイメージを持ちますか?
業務の一つとしてこなしている。
正直、あまり楽しくない。
そう感じている先生もいるかもしれません。
研究主任として試行錯誤を続けてきた筒井明以さんは、「校内研究は、やり方次第で楽しくなる」と言います。大切なのは、先生自身がワクワクしたり、「やってみたい!」と思えること。忙しさのなかで忘れがちな“ときめき”を取り戻せたとき、校内研究がただの義務ではなく、先生自身の学びや挑戦の場に変わるのです。
本記事では、研究主任5年目の筒井さんが考える校内研究を楽しむためのヒントをお届けします。
—— 校内研究のあり方については、以前から課題を感じていたのでしょうか?
実は、そんなことはなくて。初任校では無我夢中で自分の実践をしているような感じでした。その学校のやり方が当たり前と思っていたし、研究の進め方に強い違和感を持つこともなかったですね。決して嫌な経験があったわけではないんです。
ただ、研究授業をする先生を決めるときになかなか手が上がらない雰囲気があって、「もっと良いやり方があるんじゃないかな」とは感じていました。
—— どのような経緯で研究主任になったのでしょう?
きっかけは、ある先生からいただいた「学校を変えられる1番の近道は、研究主任になることなんじゃないか」という言葉でした。
2校目に異動したときに、一斉指導ではなく子どもたちが自分のペースで学んでいく「自由進度学習」という授業スタイルを知ったんです。実践してみると、子どもたちが夢中になって学んでいくわけです。「こんな学び方があるのか…!」と衝撃を受けました。
それまでの私は、どちらかと言うと子どもたちを管理しながら授業を進めているような感じでした。上手くいくときもあるけれど、授業について来れない子や違うことをしている子がいる中で、どうしたらいいのか悩んでいた時期でもあったんです。自由進度学習に出会ったことで、子どもたちから本来の姿を見せてもらったような気持ちでした。私自身、新しいことにチャレンジするというワクワク感もありましたね。とにかく楽しかった。
それと同時に、「日本の教育はこのままで大丈夫なんだろうか?」という危機感もありました。当時は、新しい教育実践について話を共有できる人が周りに少なくて。そんなことを他校の先生に話したら、研究主任になることをすすめていただきました。
たしかに、自分1人でいろんな実践をしてもうまく改善していけずに続かないこともありました。研究主任になれば、教員みんなで取り組めるわけです。それで、研究主任をやりたいと思うようになりました。
—— 研究主任になって、最初に取り組んだことは?
今思うと、初年度は「土台づくり」をしたような感じでした。
まずやったのは、場の雰囲気を変えること。月1回の校内研究では、お菓子やジュースを用意してお互いの顔が見えるように輪になって座ってもらいました。その状態で、毎回必ず「チェックイン」をするようにしていました。例えば、最近ハマっていることや夏休み中に楽しかったことなど、お互いのことを知れるようなテーマで一言ずつ話してもらうんです。場の空気がほぐれたところで、本題に入るようにしていました。
今でも大切にしているのは、先生たちに「楽しい」と思ってもらうこと。子どもたちが楽しめるような授業を目指すのと同じように、先生たちも楽しく学ぶのが1番だと思っています。
—— 先生たちが前向きに取り組めるような雰囲気をつくったのですね。その後は、どのような実践をしていったのでしょう?
私がやりたかったのが、学校の当たり前を問い直す対話の場をつくることでした。例えば、「ランドセルって本当に必要?」「朝会をみんなで集まって毎週やる意味って?」「通知表って必要?」など、普段多くの先生が疑問に思わないことを改めて考える機会をつくりました。その時間を通して、先生たちも新しい視点を持ってくれたのではないかと思います。
また、新年度が始まってすぐの時期には、「なぜ先生なったの?」「先生の魅力って?」などのテーマで対話することもありました。本当はお互いを知れるような会話が日常的にできればいいのですが、なかなかそういう時間は取れません。であれば、校内研究の時間を使って対話ができればいいなと思っていたんです。
2年目以降は、自由進度学習や哲学対話などの考え方を少しずつ先生たちに紹介していきました。3年目には、ある先生からの発案で1〜3年生、4〜6年生を混ぜた異学年での学びに挑戦しました。最初は先生たちから戸惑いの声もありましたが、いざ始めてみると、多くの先生が前向きに取り組んでくれたと思います。
変化には、やはり3年はかかりますね。先生同士の信頼関係を築くことも大切で、そのベースがあって初めて学校の雰囲気が変わっていくんじゃないかなと思っています。なので、振り返ってみると1年目に時間をかけて土台づくりをしてよかったなと感じます。
—— 今年度は研究主任になって5年目ですね。振り返ってみていかがですか?
今年度の校内研究は、本当に難しかったです。私自身の課題が多かったなと反省してます。
自由進度学習や異学年での学びを始めてから3年目に入っていたので、それまで一緒に取り組んできた先生たちにとっては、それが当たり前の実践だったんです。けれど、異動してきた先生にとってはそうではありません。抵抗感はあったと思います。
それでも、私自身の過信もあり「これが素晴らしいものなんです!」というメッセージを伝えしまっていました。それぞれの実践に優劣はないはずなのに、まるで自分たちの実践が正解であるような言い方をしてしまったんです。「実践を理解してもらうこと」よりも、まずは「新しく入った先生たちを私たちが理解すること」の方が大切だったなと思っています。
—— まずは、異動してきた先生たちとも「土台づくり」が必要だったのですね。最終的には、どのような学校にしていきたいと考えていますか?
子どもも大人も「自分の居場所がある」と思える学校であってほしいですね。子どもたちの居場所をつくるのは私たち教員の仕事かもしれない。けれど、それだけではなく、「先生たちの居場所もちゃんとあるかな?」といつも確認しないといけないなと思っていて。
どの学校にも、ちょっと個性的な先生や特定の業務が得意じゃない先生など、いろんな方がいますよね。そうだとしても、誰もが「ここにいていいんだ」と思える場所であるべきだと思うんです。例えば、飲み会を盛り上げてくれる先生がいたり、毎朝必ず麦茶を作ってくれる先生がいたり。それらは小さなことかもしれないけれど、先生たちが気持ちよく働くことにつながっていて、誰かの役に立っているんです。
一人ひとりの先生が、「ここでなら頑張れる」「このチームの一員なんだ」と思えるような学校にしたい。最近は、特にそう思いますね。
—— 最後に、研究主任に関心のある方へメッセージをいただけますか?
偉そうなことは言えないのですが、「校内研究は、やり方次第で本当に楽しいものになる」と伝えたいですね。
大切なのは、自分がワクワクしたりときめいたりすること。その感覚を信じてやってみると、きっと間違いはないと思うんです。どんな実践でもいいから、「これやってみたいな」と思う気持ちを大切にしてほしいですね。
忙しさに追われて、その気持ちを忘れてしまっている先生も多いと思うんです。でも、先生を目指したときには「子どもたちのために、より良い授業をしたい」と思っていたはずです。その気持ちを、もう一度呼び覚ましてほしい。
最近読んだ本に、「先生のプロフェッショナルとは何か?」という問いがあったんです。コスパやタイパを重視して、仕事を早く終わらせることがプロなのか? それとも、子どもたちと一緒に学びながら、「あれやってみたい」「これやってみよう」と自由に試行錯誤できることが先生の本来の姿なのか?そんなことが書かれていました。 私は後者だと思うんです。
授業をするだけではなく、子どもの人格形成に関わるのが先生の仕事です。だからこそ、「やらされる仕事」ではなく、「やりたいと思える仕事」をしていくことが大切だと思っています。もちろん働き方改革も必要だけど、どうせやるなら楽しい方がいい。眠っている「ときめき」をもう一度思い出せたら、校内研究も教員人生も、もっと楽しくなると思いますよ。
学習指導要領、学習指導要領解説、検定教科書によって、学校の授業時数が大まかに決められるなか、子どもにとっても教員にとっても時間数の負担が大きいという声が聞かれます。
2024年7月~8月にSchool Voice Projectが行った授業の持ちコマ数に関するアンケート調査では2023年の調査と同様に、校種に関わらず、多くの先生がコマ数の多さに負担を感じている現状が明らかになりました。
この現状を踏まえ、もし学習指導要領の内容を精選するとしたら、どのようなやり方が考えられるでしょうか。今回のテーマは教職員の関心が特に高く、募集期間を延長した結果、全国から小学校306件、中学校85件、高等学校39件の延べ430件もの貴重な声が寄せられました。それぞれの校種ごとに、教職員が考える学習指導要領の内容精選についての意見をご紹介します。
■対象 :全国の小〜高校年齢の児童生徒が通う一条校に勤務する教職員
■実施期間:2024年12月6日(金)~2025年2月24日(月・祝)
■実施方法:インターネット調査(実施時の設問はこちら)
■回答数 :418件
Q1. あなたの通常業務に関係のある学習指導要領を選択してください。
(例:特別支援学校中等部 → 中学校および特別支援学校を選択)(複数選択可)
アンケート回答者は小学校に関わる教職員が最も多く306人、次いで中学校が85人、高等学校が39人、特別支援学校が13人となっています。
Q2. 【小学校】あなたが授業をしている教科・科目についてお聞きします。現行の学習指導要領の内容量についてどのように感じていますか?
※担当していない教科・科目は「担当していない」を選択してください。
小学校では多くの教科で「多い」「やや多い」という回答が目立ちました。
「多い」「やや多い」回答割合は外国語(83%)、国語(81%)、算数(78%)、道徳・社会(各73%)、総合(72%)の順で高くなっています。
「ちょうどよい」の回答割合は、生活(55%)、音楽・特別活動(各49%)、図画工作(47%)が比較的高くなっており、「やや少ない・少ない」の回答割合は、特別活動(13%)以外、全ての教科で6%を下回る数字にとどまりました。
以下、自由記述の設問に挙げられていた、具体的な精選内容の提案を紹介します。
Q. もし内容を精選するとしたら、どのような内容をどの程度削減するのがよいと考えますか。
(例)○○の内容を減らす/削除する、□□の内容を△学校の範囲に移動させる
国語では、今分散している内容をまとめて一つの教材で学べることを増やして、教材を少なくする【小学校】
小学校一年生はひらがなを習って入学する前提の教科書になっている。習わず入学する児童にとってはかなり負担が大きい。一学期は文字を書くことと話す聞くを徹底した授業にして、読む内容を減らす【小学校】
社会は高学年では一次産業、情報、公民、歴史をとにかくやっつけ仕事のように触れるだけで終えることになる。行事がコロナ後に増えて、その影響で社会をはしょってしまった【小学校】
小6の社会の内容が多いと感じます。公民、歴史、地理とすべてを広く浅く学習しなければならないので、範囲を限定的にして、探究的な学習ができるゆとりがあるとよいと思います【小学校】
5年生の算数は量が多すぎる。わり算できない子にとっては、復習する暇がない。また、ひとつひとつが細切れすぎて、自由進度学習にしてもゆとりが生まれないので、意味がないことが多い。【小学校】
6年「データの整理と活用」を高校の範囲に移動させる。6年「比例と反比例」を中学の範囲に移動させる。高学年の算数については、分数や割合など、基本的な計算で大事なところだけ残すようにする。【小学校】
小6 水溶液の性質を中学校の範囲に移動させるのがよいと思います。危険な液体を使った実験をするには、安全に気を配る必要があり、児童の発達段階を考えるとやや負担に感じます。【小学校】
4年理科の水蒸気に関する学習を5年生以降に行う。また、子どもに理解できる教材を用意して、目に見えない分子の運動を見える化させる。4年生では現象は分かるが、煙と湯気と水蒸気の違いがわからない。【小学校】
生活科の内容が、季節的なものが難しくなってきたなと感じています。例えば夏に水遊びするものが暑くて外で活動ができません。また、虫などを見つける学習も今の学校では見つけるのが困難な上に校区の公園も小さく植物がないため活動できません。【小学校】
生活科「わたしたんけん」は、お世話になった人へのインタビューは、外国にルーツを持つ児童はかなり難しいし、シングルマザーなど家庭の状況も様々な中で、この内容を扱うことにとても気をつかうので、減らすもしくは削除してほしい。【小学校】
音楽プログラミングはいらない 和楽器も興味を持てればいい 体験まではいらない【小学校】
こころの歌は、歌唱ではなく鑑賞にして、複数を同時に学習できるようにしたら、3〜4時間削減できるのではないでしょうか。最後の題材は、送る会や卒業式の練習でできないことも多いので、学校の範囲に移動させてはどうでしょうか。【小学校】
学習指導要領通りでなくても、学校の実情でやる内容は変更の自由度はあるが、やはり、内容が昭和の楽な時代のままなのが気になる。まず、土粘土。焼成を教員が行う学校もあるが、窯詰め、窯出し、窯炊きも、とてもこの忙しい中でこなすのは時代的に無理なこと極まりない。【小学校】
造形あそび。バブリーすぎる内容。このSDGs叫ばれてる現在、あんなに材料派手に使う学習内容は時代に逆らいすぎ。バブル時代の産物と思う。【小学校】
家庭科のミシンを削除。【小学校】
ミシンの削除。ミシンがない家が多いから覚えても生かす場面がない。【小学校】
体育の水泳を削除する。または、完全委託。教員は引率者、評価者として関わる。【小学校】
水泳や水遊びは、昨今の異常気象により実施時間が大幅に少なくなっている。行ってもよいが、民間のスポーツクラブなどを利用するなりしてほしい。【小学校】
外国語活動の内容を減らす【小学校】
小学校の外国語活動、外国語は英語嫌いを増やすし、学びになっていないのでやめるべきだ。【小学校】
外国語のwritingを中学校へ戻す。【小学校】
覚えなければいけない英単語が多すぎる。【小学校】
道徳の教科化をやめる、算数のそろばんを削除する、体育の水泳を削除する(安全性の問題もあるため)。【小学校】
道徳の価値項目D主として生命や自然,崇高なものとの関わりに関することの内容を無くす、または減らす。そして道徳の標準時数も減らす。児童にとっては遠すぎる内容であるため。【小学校】
総合的な学習の時間は、時数をもっと弾力的に運用しても良いように変えてほしい。【小学校】
総合的な学習の時間を無くす。35人の児童に対して一人の教師ができる授業ではないため。【小学校】
学活のクラブ活動、児童会活動、遠足・集団宿泊的行事、勤労生産・奉仕的行事の削除。【小学校】
キャリアパスポートは不要、よって削除してその分の時数を特別活動(主に学級会)に充てる。【小学校】
6年生を送る会の削除。準備の負担が大きい。【小学校】
教科の成り立ちが同じ社会科と総合は合わせてよいかと思う。そういった教科の再編をしつつ全体の量を減らしていく必要がある。他国の教科にもあるように教科ではなく内容で総合する必要がある。基礎的な理科・算数と発展的な理数総合の様な住み分けをする。図工・音楽・家庭を合わせてアート学習。社会科、家庭科、総合、道徳を合わせて市民性学習。など教科数をシンプルにして総合する事で重複を減らす事ができる。【小学校】
横断的な学習を行い、教科に関わらず学べることを増やす。【小学校】
小学校では、是が非でも教諭1人あたりの持ち時間数を週20コマにしなくてはならない。そのためには、人を増やす(金を出す)か、年間総時数を減らす(金を出さない)かの二択以外にあり得ない。政府・与党は学校教育に金を出す気が全く無いので、時数削減以外あり得ない。【小学校】
全体の総時間数から決める必要がある。大胆に週20コマを上限にしたいところであるが、25コマを最低限達成する事な必要と考える。【小学校】
音楽、図工、家庭、体育の時数を週1コマ程度。週合計5コマほど削減できれば、毎日午前授業ぐらいにできる。午後は、教員は会議、授業準備にしっかり当てられるようにする。子どもたちは、午後は地域の体験活動の催しを増やし(場所は学校を活用)、音楽、図工、家庭、体育的な内容を、子どもたちが自分たちで選択して体験していく。【小学校】
体育・図工・音楽・家庭科は半減して良いと思います。部活動と同様にチケット制などにして地域での活動に移行すべきだと思います。【小学校】
体育などの技能教科は特に、全員が同じ時期に必ずやるものは最低限にし、クラスの枠に囚われずコース別に時間を分けてできるようにしては。体育をたくさんやりたい子は跳び箱の開脚跳びと台上前転、そうでない子は開脚跳びだけ。家庭科を多くやりたい子はエプロンともう一作、そうでない子はエプロンだけ、のように。全員が一律に学ばなければならないことを、もっと減らす。【小学校】
音楽ではやりたい楽器を選べるようにする。一律に鍵盤ハーモニカやリコーダーを与えず、いろいろな楽器を経験できるようにする。これは少人数クラスや楽器の備品が多くないとできない。【小学校】
Q3. 【中学校】あなたが授業をしている教科・科目についてお聞きします。現行の学習指導要領の内容量についてどのように感じていますか?
※担当していない教科・科目は「担当していない」を選択してください。
中学校では小学校と同様に多くの教科で「多い」「やや多い」という回答が目立ちました。
「多い」「やや多い」回答割合は小学校に比べてさらに高い傾向にあり、回答者数が10人以上の教科の中で比較すると、外国語(100%)、社会(88%)、国語(78%)、理科(77%)、道徳(76%)、数学(63%)、総合・特別活動(各60%)の順で高くなっています。特に外国語は、回答者15人のうち11人が「多い」、4人が「やや多い」と答え、小学校の外国語と同様、非常に多くの割合の方が「多い」「やや多い」と回答しました。
ほかに注目すべきは「特別活動」で、小学校では「多い」「やや多い」が38%にとどまっていたのに対し、中学校では66%と大幅に増加しており、校種間で大きな認識の差が見られます。これは中学校での行事や生徒会活動の負担が相対的に大きいことを示唆しています。
「ちょうどよい」の回答割合は、数学・特別活動(各32%)、総合(31%)が比較的高くなっていますが、小学校の「ちょうどよい」回答に比べると全体的に低い傾向にあります。
「やや少ない・少ない」の回答割合は、小学校と同様に全体的に低く、特別活動・総合(各9%)以外は6%以下となっています。中学校教員の多くは、現行の学習指導要領の内容量が「多い」と感じていることがわかります。
以下、自由記述の設問に挙げられていた、具体的な精選内容の提案を紹介します。
Q. もし内容を精選するとしたら、どのような内容をどの程度削減するのがよいと考えますか。
(例)○○の内容を減らす/削除する、□□の内容を△学校の範囲に移動させる
国語科の書写は削除すべき。特に毛筆は不要。中学国語の指導事項は3年間同一のものとして、弾力的に取り上げる形にするとよい。スリム化が図れるし、定着が難しいもの(例えば要約や引用など)は繰り返し取り上げることができ、使い勝手が良くなる。
知識・技能(特に文法や古典、漢字の筆順など)で、教師によってはマニアックな部分まで教えすぎることが問題と感じているので「これ以上の内容は取り上げない」などの上限を示すと良い。【中学校】
文種ごとの比較について、方法を教え、演習させる学習法について、国語が苦手な生徒には文章の内容理解すら苦行なのに、さらに高度な学習をしても追いつかない。結局、従来の内容理解をして、内容が理解できた文章を比較させても彼らには同じ文章をまた読まされる、という感情しか湧かず学習の深化に結びつかない。【中学校】
歴史分野でいうと、抽象的になるが、教科書見開きページ2ページ(1単元)の内容が多すぎて、1時間で終わらない。アクティブラーニングなんてさせようものなら、2時間かかる。【中学校】
歴史で現代社会に関する内容は公民と統一し、歴史から公民へと連結した学びがいいのではないか【中学校】
素数の内容は小学校高学年に移行できる。素因数分解は「累乗」を用いる表し方を、中学校1年で学べるようにする。四則の演算方法を集中して学べるよう、内容を圧縮する必要がある。【中学校】
箱ひげ図の内容が現行の指導要領から加わっているが、削減可能と思われる。円の性質(円周角の定理など)を高校に移動する。【中学校】
理科の放射線の部分は削除する。理科の環境の部分は総合学習で他教科のことも踏まえて実施する。【中学校】
放射線の内容を3年生に移行する。【中学校】
中学校に入った時に、すでに小学校で習ったことになっている語句が多い。
小学校では、話せる、聞いてわかる、読める、見ながら書ける、は指導していても、「覚えていて書ける」までは指導していないのに、中学校では、それらの単語は習っている前提で、さらに単元ごとに多くの語句を学ぶので、生徒の負担が大きい。
各単元での新出語句を減らしてほしい。【中学校】
仮定法と現在完了進行形は高校に戻してほしいです。【中学校】
道徳は一項目につき、一つにしてほしい。【中学校】
道徳は無くす(教科書に沿った授業ではなく各校の実態に合わせて各校の裁量で行うべき)。【中学校】
そもそも総合学習自体もう全廃してほしい。【中学校】
総合的な学習の時間自体をなくしてはどうか。学活にしても学級独自の時間なんて中学校には存在しない。(テスト勉強の時間になったり、本来の学活なんて初任研くらいでしかしたことない)それなら不要ではないかと考えます。【中学校】
特別活動から学校行事としての修学旅行をなくしてほしい。修学旅行は教員にとって大変な負担です。個人旅行がこれほど多くなっているので、修学旅行はやめるべきです。【中学校/高等学校】
特別活動の大幅な内容精選を希望したい。座学の指導にも手がかかり工夫が必要な今、子どもの自主性に任せるような、見取りがかかせない特別活動の指導は大変な負担だと思う(総合もだが)。【中学校】
書写の毛筆の内容を減らす。行書の書き方は削除する。【中学校】
習字に関する項目を減らす、もしくはなくす。【中学校】
45分授業への変更。放課後の時間が長くなり、その後の生徒指導および授業準備に余裕が持て、少し早く帰れるようになりました。【中学校】
年間総時数を中学校で980時間を実施し、同時に一人の教員の教科持ち時間を週15コマを上限にした定数改善を行う。【中学校】
体育祭や合唱コンクールなどは、取り組み期間が長い。学校によっても差はあると思うが、日頃の内容からの発表でもいいと思う。わざわざ授業変更や朝・帰りの会を変更、昼休みを練習にしてまで行うべきものなのか。【中学校】
小学校のパソコンのタイピングではローマ字で入力させているが、かな入力でもよしとすべきである。ローマ字習得とタイピングの習得を一度にさせるのにはかなり無理がある。かな入力の方が一度覚えてしまうとかなり早く打てるようになる。【中学校】
教科道徳の変遷のように、「特別の教科 情報」をつくり、教師ではなく情報技術を持つ人材育成担当経験者を派遣してテクノロジーのコアカリキュラムをつくり、指導するようにする。教員には情報活用能力を育成するための研修時間も習得時間もないため。【小学校/中学校】
Q4. 【高等学校】あなたが授業をしている教科・科目についてお聞きします。現行の学習指導要領の内容量についてどのように感じていますか?
※担当していない教科・科目は「担当していない」を選択してください。
高等学校は回答者数が全体的に少なく、回答10人以上の科目が国語・数学・総合・特別活動の4つのみのため、単純比較はできない部分はありますが、特に特別活動において他校種と異なった傾向が見られました。
具体的には、中学校で「多い」「やや多い」が60%となっていた特別活動は、高校では「ちょうどよい」が52%となっています。
10人以上の回答があった他の教科(国語・数学・総合)については、相対的に「多い」より「やや多い」を選ぶ回答が多かった点以外は、おおむね同様の傾向となりました。
以下、自由記述の設問に挙げられていた、具体的な精選内容の提案を紹介します。
Q. もし内容を精選するとしたら、どのような内容をどの程度削減するのがよいと考えますか。
(例)○○の内容を減らす/削除する、□□の内容を△学校の範囲に移動させる
国語古典分野をなくす。大学で学びたい人が学べば良い。歴史は中学までにして、中学でも定期試験も実施しないし成績もつけない。【高等学校】
内容量の削減も重要ですが、平成30年度の改訂で「国語総合」を「現代の国語」と「言語文化」に、「現代文B」を「論理国語」と「文学国語」に分けたことで、授業がやりづらくなっている点に着目してほしいです。改訂により、近現代の小説を扱う時間が減りました。また、論理と文学は不可分です。以前のような区分けに戻していただくことを求めます。【高等学校】
言語文化について、「文語のきまり」等に関わる領域は中学校時の学習とさらに効果的に繋げる必要があると考える。特に、古典の助動詞に関わる事項は時間を要するため、中学校時に導入的に扱う、高校での授業の時数を増やす等の対策があればさらなる定着が見込めると感じる。(削除するのは妥当ではないと考えるが、分散させる等の施策は必要だと考える。)【高等学校】
数学2の解と係数の関係を数学1に移動させる。また、数学Bの確率・統計を数学Cにし、ベクトルを数学Bに移動する。【高等学校】
一つ前の課程で良かった。例えば、「数学と人間の活用」などが顕著であり、「統計」の扱いを増やすことからも見えるが、実際にどう数学が日常と結びついているかを扱いたいのだろう。しかし、数学は学問の基礎分野であるから、抽象度が高い方が逆に応用が効く。具体と抽象の行き来をしながら理解を深めていくのは、例えばコラム等で扱えば良い話であり、それは授業でもとからやっていた。もし、現実の問題を解決しながら数学を学ばせたいのなら、例えば国際バカロレアの教科書(英語版)を翻訳したものを使わせれば良い。【高等学校】
数学A(図形分野の立体) 数学Ⅲ(積分の曲線の長さ) など、単元丸ごとではなく、その一部分を削除するべき。【高等学校】
総合的な探求の時間を必修から外す。先進事例は素晴らしいのでしょう。でも、多くの学校は持て余しています。取り組みを充実させるだけの余裕がないのです。【高等学校】
全体的に内容を3分の1程度に減らし、そのうちの半分(全体の6分の1)を総合的な探究の時間を本来の「探究」ができるように時間確保できると良い。それにより大学入試もAO入試のような総合型選抜が増えている状況にも適切に対応できるようになると思う。そして、残りの6分の1の時間をこれまで短くなってきた夏休みなどの長期休暇に戻したり、新年度4月の始業時期を遅らせたりと、学校生活のゆとりと教職員の働き方改革に繋げるのが良い。【高等学校】
指導要領に沿った授業を行いたいが、入試に向けた反復学習や、その他行事、部活動に伴う試合等によって生徒も教員も時間が取れず疲弊している状況。
既存の内容でいく場合、総学(産業と社会)や特別活動(課外活動も含む)の専門的な人的増員と資金面の保証を。【高等学校】
総合と特別活動を削除←働き方改革を進めると思う【高等学校】
歴史については、まだ解釈が定まらない現代の範囲は入れないでほしい。
歴史総合については単純に分量に対して標準単位数が少ない。全部やらなくていいのはわかっているが入試を意識するとやらざるを得ず網羅主義になる。現場も工夫すべきだが工夫する余力はない。【高等学校】
日本史探求:通史として学習しなくていいということを明確にする。共通テストは必修の歴史総合の範囲に限定して出題するように明示する。
歴史総合:標準単位を3単位とする。あるいは総合探求への乗り入れ、資料読解と利用の観点で、英数国と重ね合わせた実施(1時間の授業での科目横断的内容の授業の複数カウントや、履修基準としての標準単位の縮減、習得主義の検討など)の可能性を開く記述を盛り込む
政治・経済:標準単位を3単位とする。あるいは総合探求への乗り入れ、資料読解と利用の観点で、英数国と重ね合わせた実施(1時間の授業での科目横断的内容の授業の複数カウントや、履修基準としての標準単位の縮減、習得主義の検討など)の可能性を開く記述を盛り込む【高等学校】
生物基礎は内容を3分の1程度に、生物は2分の1程度でもよいのではないかと考える。生物I・IIの時代に授業を受けてきた身としては、明らかに内容と太字の専門用語が増えている。大学の生物の授業で学ぶ内容も現在の高校生物に入ってきており、高校時代にそこまで学ばせる意味と必要性が感じられない。【高等学校】
理科の本編科目(「基礎」がつかない科目)について、内容に対して標準単位数が大きく不足している。特に「物理」。【高等学校】
高校の教科書に、細胞の作りとか、目や耳の作りとか、中学で学ぶことが再び出てくる。(肝臓腎臓については完全に削除されていて良い)とてもそこまで復習するゆとりはない。遠近調節、明暗調節は中学でやって、高校ではロドプシンでの刺激の増幅に絞りたい。嗅覚、味覚についても中学以上のことは何も学ばないのに教科書にはまた出てくる。【高等学校】
外国語は中学校から学習する。少なくとも教科としては小学校からは削除し、総合学習の一環とする。be動詞と一般動詞を同時に学習しない。仮定法は高校の範囲に移動させる。【高等学校】
英語の話す・書くのパフォーマンステストを減らし、英語の基礎力向上に充てる時間を確保する【高等学校】
教科情報については、扱う範囲が広すぎる。情報Iはパソコンの仕組み、ネットワーク、進数などにしぼり、情報モラルは総合などに回すべき。情報科は、法律のプロ、オフィス製品のプロ、プログラミングのプロ、進数やデータ計算のプロ、ハードウェアのプロ、デザインのプロ、マルチメディアのプロと求められることが多すぎる。【高等学校】
教科「情報」の内容精選がもっと必要かと思う。授業で教えている内容と共通テストの内容がバラバラすぎる。【高等学校】
学習指導要領の教科・科目の内容の精選を進めるだけでは教員・生徒の時間数の負担は軽減されない。それよりも、標準授業時数と標準単位数が縛られていることでカリキュラム編成に自由度が無く、授業時数が増える一方である。【高等学校】
標準単位数と国立大学入試における共通テスト科目の改革を進めるべき。多くの高等学校で文理選択が行われているが、理系といえども物理・化学・生物を全て履修することは出来ないし、物理・生物の組み合わせは選択できないことが多い。【高等学校】
受験を念頭に、標準単位を超えて実施されていることが多い英数国を大胆に縮小することでトータルでは生徒の時間負担減を目指す。【高等学校】
今回のアンケート調査結果では、学習指導要領の内容量について「多い」「やや多い」と感じている割合が、小学校では教科によって50%~80%超、中学校では60%~100%と高い値を示しました。特に小学校では国語(81%)、外国語(82%)、算数(78%)で、中学校では外国語(100%)、社会(88%)、国語(78%)、理科(77%)、道徳(76%)で「多い・やや多い」の回答が顕著でした。
校種間で特徴的な違いも見られました。特別活動については、小学校では「多い」「やや多い」が38%だったのに対し、中学校では60%と大幅に増加。一方、高等学校では「ちょうどよい」が52%と状況が逆転しています。これは中学校での行事や生徒会活動の負担が相対的に大きい可能性を示しています。
「もし内容を精選するとしたら」という問いに対しては、校種を超えて、総合的な学習(探究)の時間の削減を求める声が多く見られました。多くの教員が理念自体は理解しているものの、実施のための準備や外部との調整に多大な労力がかかることや、学校や教員によって取り組みの質に大きな差が生じやすいことを課題として挙げています。
また、実用性の低下した内容や準備負担の大きい活動について見直しを求める意見もあります。小学校ではそろばんや毛筆など時代にそぐわなくなった内容や水泳指導の削減、中学校では道徳の教科化見直しや仮定法などの英文法の高校への再移行、高等学校では情報科の内容精選や理科の内容整理を求める声が目立ちました。
さらに、授業時数や授業形態そのものの見直しについても多くの提案がありました。標準授業時数の上限設定や、45分授業への変更、午前中だけで授業が終わるような時数設定など、教員の働き方改革や児童生徒の負担軽減につながる具体的な提案が寄せられました。
今後も、School Voice Projectではこうした声を集め、制度や教育現場の改善につながるよう提案を続けていきます。
▼ 自由記述の回答一覧は、以下よりダウンロードしてご覧ください。 ▼
School Voice Projectでは2022年に、家庭・児童生徒との連絡のICT活用状況についてアンケートを実施しました。
前回の調査から約3年、家庭や児童生徒との連絡・やりとりの手段としてのICT活用状況は、どのように変化したのでしょうか。教職員の方に、改めて勤務校の実情を聞きました。
■対象 :全国の小〜高校年齢の児童生徒が通う一条校に勤務する教職員
■実施期間:2024年12月27日(金)~2025年1月27日(月)
■実施方法:インターネット調査(実施時の設問はこちら )
■回答数 :58件
Q1. あなたの勤務校で、「家庭・児童生徒との連絡手段として」アプリやメールなど、ICTの活用が行われているものをすべて選んでください。(複数選択可)
前回調査と比べて、ほぼすべての項目について「活用されている」と回答した人の割合が増加しました。
「学校からの緊急配信」におけるICT活用は、前回の約90%から100%に増加。次いで割合の大きい「欠席連絡」、「アンケート」、「文書、課題等の配付」については、それぞれ90%、88%、72%という結果になり、前回はいずれも全体の約4割に留まっていたところから、大幅に向上しました。
唯一、活用の割合が減ったのは「メッセージ(児童生徒)」で、前回の20%から17%へと数を落としました。また、「活用されていない」の回答者については前回の4人から0人に減少し、いずれの学校でも、連絡手段として何らかのICT活用が行われていることがわかりました。
Q2. 家庭・児童生徒との連絡手段にICTを活用することによって、働き方にどのような影響がありましたか。
(設問1で「どれにも活用されていない」と回答された方は起こる影響を予想してお答えください)
前回に引き続き、全体の9割以上の方が「良い影響があった」、もしくは「どちらかというと良い影響があった」と回答しました。
「どちらかというと悪い影響があった」と回答したのは、小学校で2名、高等学校で1名のみという結果になりました。
電話連絡等が少なくなり、対応にかかる時間が減った。記録も残るので、後で確認することもできる。【小学校・教員】
欠席連絡の電話を取って担任に伝える手間、連絡を聞く時間が省けた。【中学校・教員】
保護者閲覧履歴も確認できるため効果的に使用できている。【小学校・事務職員】
勤務校では生徒全員に各1つ、それとは別に全家庭に保護者用として各1つ、メールアカウント(自校ドメイン)を入学時に配布しており、生徒へは各種連絡や教材配信のほか、採点ナビと連動して答案さえも配信で対応している。これまで紙を使って連絡していたものがなくなることで、印刷・配布・回収の手間がなくなったのは大きい。【高等学校・教員】
紙回収の仕分け時間がなく、すぐデータ化されてとてもよい。連絡も同じく一斉配信が可能で漏れがない。文書や画像がすぐに送信できる。【小学校・教員】
Teamsによるデジタル連絡帳を導入し、保護者とのコミュニケーションの円滑化や、教員の連絡帳業務の軽減になっている【特別支援学校・教員】
欠席連絡は時間短縮になっている。重要なお知らせも、保護者に直接メールで届けることができるので紙に印刷するより速く確実である。各行事などのアンケートも、印刷、回収、集計の手間が省けている。
1人一台端末を持ち帰りしているため、生徒と直接端末を使ってやり取りできることも便利である。固定電話がなく、保護者のスマホだけでは直接生徒と話をすることがやりづらい。板書やプリントなど、写真で撮影して送り合うことができるのも、時間の短縮になっている。【中学校・教員】
欠席連絡をアプリを用いてできるようになったことで、保護者の負担は減ったと思う。また、PTAの集まりの可否についてなどはアプリを用いて解答して貰うことで、よりスムーズな集計ができている。【高等学校・教員】
文書発送の連絡ができ、生徒の渡し忘れが減った。【中学校・教員】
今まで紙で印刷し、配布していたものがかなり減りました。直接保護者に渡るので、配布忘れ等がなくなりました。【小学校・教員】
電話対応の非効率さ(取り次ぎ、不在時の伝言等)が大幅に減ったのが大きい。特に朝の欠席連絡は、親が皆仕事で、限られた時間の電話ができない家庭も増えているので、ICTに移行したことはお互いに良かった。【高等学校・教員】
学校と生徒、学校と家庭が時間を共有することが少なくなった。お互いの良いタイミングでやり取りができることで時間的にも精神的にも余裕ができた。懇談時にも保護者からも助かったとの声が多数聞くことができた。【義務教育学校・教員】
朝、欠席連絡の相手をする手間が減った。学校からの連絡も直接保護者に届くので、中継する手間が減った。保護者アンケートも、担任が集約したりしなくて良くなったので、その内容に一喜一憂しなくてよくなった。これについては精神的にも負担が軽くなった気がする。【小学校・教員】
24時間メッセージは入ってくるので、それを見逃さないように、気を配らないといけないのは大変です。当日の連絡は見逃さないのですが、前日の23時とかにクレームの連絡が入ったりもします。未読が分かりやすくなるなど、現場の声でシステム側もアップデートされていくとより良いものになると思います。【小学校・教員】
文書や連絡のペーパーレス化にはなったが、業務の簡素化というと大きな良い影響があったとは断言できない。学級だよりなどは、メール配信になったことで児童の目に触れなくなったなと思うので、教室で読んで聞かせるようにした。【小学校・教員】
事務室を通さず、手元で確認できるのでタイムラグがないのはいい。しかし、元々連絡なしの遅刻が多い家庭は連絡はやはり皆無のまま。生徒が親のふりをしてICTで欠席連絡を入れるケースも多発。家庭の倫理観が問題。【中等教育学校・教員】
欠席連絡は、ICTを活用しているが未だに学校に電話連絡があったり、入力していないと学校から所在確認などを行なっている。完全にICTに移行するまでには時間がかかると思う。【小学校・教員】
ほとんど使われていない。欠席連絡はオンラインでしてほしいが、そのプログラムを組めたり、サービスを購入する費用がない。ICT支援員がいないと、DX化は進まない。ICT支援員を常勤化し、GIGAスクールサポーターも配備されなければ、多忙化は解消されない。【小学校/中学校・教員】
校務では使いやすいが、教育委員会、管理職(特に校長)に理解がないと全く進まない。【小学校】
学校全体としては、紙代の節約、印刷・配布の手間がなくなったので良いが、ICT担当の負担として、年度初めの登録や転入生の登録などの手間が増大した。【小学校・教員】
学校評価の保護者の記述欄に個人攻撃のような内容が増えた。【小学校・教員】
アンケートの結果を通して、前回調査から約3年を経て、各学校で連絡業務におけるICT活用が確実に広がっていることがうかがえました。特に「欠席連絡」、「アンケート」、「文書、課題等の配付」については、それぞれ90%、88%、72%と活用している学校が大幅に増加し、効率化や負担軽減につながっているという声が多く寄せられました。
働き方への影響については前回と同様、全体の9割以上の方が「良い影響があった」、もしくは「どちらかというと良い影響があった」と回答しました。
課題については、前回のような「教職員への操作説明が負担」、「環境整備が追い付かない」といった意見は見られず、登録作業の手間や家庭ごとの連絡の不備など、活用が進んだからこその問題が挙げられました。また、時間を問わず相互に連絡できることの功罪や、連絡共有が簡便になったからこそ、手間をかける部分を増やしたという声もありました。
今後はますます、学校の非効率的な部分を簡略化・省力化し、本質的な支援活動や学習活動へ注力するためのICT活用が求められると言えそうです。
▼ 自由記述の回答一覧は、以下よりダウンロードしてご覧ください。 ▼
「市教研(〇〇市教育研究会)」は自治体単位で教科ごとの研究を行う任意団体。活動の頻度は自治体によってまちまちですが、主に放課後の勤務時間内に研究授業などが行われています。同じ教科の教員同士が交流を持つことができる場として大切にされてきた一方で、負担が重くなり業務に支障が出ているという声も聞かれます。
そこで今回は「〇〇市教研」の現状について、全国の小中学校・高等学校の教職員から声を集めました。みなさんは市教研についてどう思いますか?
■対象 :全国の小〜高校年齢の児童生徒が通う一条校に勤務する教職員
■実施期間:2024年11月5日(火)〜2024年12月16日(月)
■実施方法:インターネット調査(実施時の設問はこちら )
■回答数 :57件
Q1. 自治体単位で放課後・勤務時間内に集まって教科ごとの研究を行う、「市教研(〇〇市教育研究会)」などの集まりはありますか?
「ある」と答えた人は計54人で、全体の95%を占めています。そのうち「原則全員参加」は全体の77%の44人、「自由参加」は全体の18%の10人でした。
この設問は校種による大きな違いが見られ、小学校・中学校では回答者の約9割が「原則全員参加」と回答したのに対し、その他の校種では9名中1名のみが「原則全員参加」と回答していました。
Q2. 研究会の負担感はどの程度ですか?
負担感があると答えた人は計44人で、総回答者数の約77.2%となりました。「大きな負担感がある」という回答と「やや負担感がある」という回答はそれぞれ22人でした。校種別では小学校の44%、中学校の47%が「大きな負担感がある」と答えましたが、高校では0%でした。年代別では30代の58%が「大きな負担感がある」と回答しました。
Q2-2. 上記の選択肢を選んだ理由をお書きください。
役員があてられ、研修部なら事前準備と発表当日、研究部は通年で大学のゼミのような活動を行う。役員を前向きに受ける人ばかりではなく、特に研究部は負担が大きい。仕事の合間にできる内容ではない。【埼玉県・小学校・事務職員】
必ずどこかの教科に入らなくてはならず、月一回の研修があるので、負担感は大きい。部長になった場合さらに負担は大きくなる。大きな研究会の運営をしなければならない場合、非常に負担は大きくなる。【大阪府・小学校・教員】
一度役員に選ばれると、抜けられない。役員だけが事務仕事を行っている。役員になると授業参観もできず、何のための研究会か分からない。【宮城県・小学校・教員】
自校の分掌や学級経営及び学習指導で手一杯だから、校外へ出るだけでも自習の用意だけで負担感がある。人手不足なために誰も大人がつけないケースも出ている。その時間と労力を自校に割きたい。【島根県・小学校・教員】
年間10回程度実施している。
定期考査前後のことも多く、その時間で他の仕事をしたいと感じることか多くある。【東京都・中学校・教員】
夏・秋と2回開催され、必ず課題が課せられます。成績処理や通知票作成と重なり、長時間労働・多忙化を加速させる一因です。持ち回りで研究授業を求められますが、自校の現職研究授業と重なり、大きな負担です。【福島県・中学校・教員】
4時間目で児童が帰っても、結局17時まで研究会があるので、そこから授業準備になってしまう。【大阪府・小学校・教員】
特に関心があるわけではないのに、割り当てられた○○主任の仕事として行かねばならないのはいやだ【福井県・小学校・教員】
研究項目が校務分掌担当者は分掌関係の研究グループに加入することとなっており、義務的要素が強く、やらされ感が高い。【三重県・小学校・事務職員】
希望制のはずだが、司書教諭などは学校から一人は参加してほしいという雰囲気がある。やりたくなくても仕方なく参加している人もいるため活性化しない。研究したい側は不満が募り、やりたくない側としては負担。【埼玉県・中学校・教員】
任意加入のはずなのに、知らぬ間に全員が会員にされており、会費を取られます。実際には一部の人に大きな負担がかかっており、報酬も見合っていません。【宮崎県・小学校・教員】
年間1000円の会費が必要になる【大阪府・小学校・教員】
一部のベテランや組織に所属している職員たちに運営を独占されているため、意味を感じない活動に従事される。強制であるものの建前上は任意の団体なので、時間外の対応も当たり前にある。【神奈川県・小学校・教員】
負担感はあるが、大切な場だと考えている。学校間での交流を通して、自分が関わっている子どもに還せるものがある。また、孤立せずに子どもをサポートできる仕組みづくりにつながると考えている。【大阪府・小学校・教員】
自分は、ベテランなので、苦痛ではないが若い人たちは、課題を準備させられたり、授業のための指導案を書かされたりで、学校の業務にさらに輪をかけて忙しくさせられている。【福岡県・小学校・教員】
日程の調整などが大変【東京都・小学校・校長】
今の職場から40分はかかります。往復の時間を考えると、無駄に思えます。そして、残念ながら、往復の時間を無駄と思うような内容です。【宮城県・中学校・教員】
回数も少ないし、運営も楽しく行えているから。【神奈川県・小学校・教員】
総会は書面、研修会も年に1回のため、あってもなくても変わらないな、くらいに思っています。【新潟県・小学校・教員】
加入を辞めたため。【愛知県・特別支援学校・教員】
前任までの自治体は全て強制参加だったが、現任の自治体では希望者のみ。市の研修会には受けたい分野の研修が設定されていないので参加せず。よって負担感なし。研修は他で受けている。【東京都・小学校・教員】
出張旅費の予算が厳しいという実情もありつつ、自由参加で不参加を選択できることが大きいと思います。自分に何か役割があたり、準備が必要になったり、原則参加になると負担感は生じると想像します。【北海道・高等学校・事務職員】
実質機能していない。教師の本文でもある教材研究など1人で行わなければなく磨きがかからない。体力的負担はないが、異動で他市に行ったさいやっていけるかなど精神的不安はある。【大阪府・義務教育学校・教員】
他校の先生と意見交換できる貴重な場だと思うから。【大分県・小学校・教員】
Q3. 上記の内容に関連して、あなたが思っていることや考えていることを教えてください。
研修権があるのは良いことではあるが、実施日には休憩時間が全くなくなってしまうのも「自主的な活動」と見なされているとはいえ、半強制的に実施されている以上おかしなことだと思う。【東京都・中学校・教員】
他校の先生と情報交換したり、授業考えたりするのは勉強になるが、みんな余裕のない中で集まるので負担になってしまっています。【大阪府・小学校・教員】
強制的に授業を公開し、行き先を指定された職員が参観する。授業者の負担は大変大きい。参観者は、自ら願って参観するわけではないためモチベーションが低い。該当学級の生徒は不公平感を感じる。(他の生徒は下校)【岐阜県・中学校・教員】
「自己研鑽の場」というが、やらされている感がたっぷりで負担感が大きい。絶対参加なのに毎年千円自腹で払っていること、勤務時間内だからと絶対に行くよう校長から言われていることなど、納得いかないことが多い。【大阪府・中学校・教員】
自分たちが希望した研修内容や平等な関係性のある研修内容ならいいが、バイアスがかかる物が多く、結局誰のためにしているのかわからない研修ばかりである。【福岡県・小学校・教員】
個人研究ではないので、市の方針に従う必要がある。相違があると様々なジレンマに悩まされる。【愛知県・小学校・教頭】
入会に際しての意思確認はなく、会費も強制的に集金されている。【埼玉県・小学校・教員】
多少の負担はあるが、市内の教員が集まる機会があるのはとても大事だと思う。【東京都・小学校・校長】
教員が研究会を通して、他校の教員と研究と修養をして学び合うことも大切である。
市教研全体に何か変化を起こそうとした時の意思決定プロセスがはっきりしていない。組織の形態が古く、前例踏襲するしかないので改善したくてもできない現状がある。【神奈川県・小学校・教員】
みんなが楽しんで参加できるといいなと思うのですが、大半が消極的な参加姿勢だなと感じます。【新潟県・小学校・教員】
毎年、研究テーマに沿って研修会を行うノルマとなっている。役員が輪番だったりずっと同じ人だったりする。市・県・国それぞれのレベルで組織され、その分予算・役員・主張がかさむ。より集約して研究した方が良い。【埼玉県・小学校・事務職員】
子どもが下校した後に他の学校に出かけて研修を受けるという制度自体に無理がある。しかも交通費も出ない。学べることもほとんどない。せめて参加を任意にしてほしい。【大阪府・小学校・教員】
県からくる研究発表の依頼や研究会の開催の下請組織となっている。市町村の研究とは別にやっている、教員たちがやっている独自の学習サークルなどに場所や費用の工面をする形にならないかと思う。【神奈川県・小学校・教員】
形だけの強制参加の研修には意味がない。研究授業も押しつけあいで若手が引き受けされされた挙げ句に血祭りにあげられる。本当に勉強したい人たちが集まって前向きに学んでいける場が保証されたらありがたい。【東京都・小学校・教員】
全体で決まったテーマに対して研究をさせる、という方法ではダメだと思う。自由に学びたいことを学べるようにしてほしい。【東京都・中学校・教員】
研究内容については自ら設定した研究内容に近い分掌でできるようにしてほしい。【三重県・小学校・事務職員】
内容が求めている内容ではない場合が多いので、実態やニーズに合った内容にしてほしい。【宮城県・中学校・教員】
オンラインのオンデマンド型にして,自由に聞けるようにするだけでよい。場合によっては,PDFの通知のみで良い【兵庫県・小学校・教頭】
リアルか、オンラインかという形態の選択も含め「研究と修養」の時間としていかに有意義な時間になるか検討されると望ましい。意欲よりも義務感が強いものは、構造的な転換が必要。【北海道・高等学校・事務職員】
教員発信でオンラインの研究会を立ち上げ、自治体の承認で成立とし、代替可能にする。教員の主体的学びも促すべき。土日開催の文科省、教委後援の研修も意欲ある教員が参加するので代替可能にして後押しするべき。【東京都・小学校・教員】
業務量増加と人手不足が相まって、市教研教科部会の研究授業の質が下がっている実情がある。また、公開授業をしたとしても参観者も集まらないので意味がない。市レベルに関しては限界がきているので廃止してほしい。【島根県・小学校・教員】
回数を減らす、無くすなどしてよいと思う。【京都府・小学校・教員】
夏休みにそんなことで集まるなら休ませてほしい。【茨城県・小学校・教員】
特に人権教育について考える場が大切だと思う。しかし、多忙な中、放課後の時間を使っての研究や実践交流を負担に感じる人もいると思う。教員ひとりあたりが見る子どもの人数を減らしたり、他の仕事を減らすなど必要【大阪府・小学校・教員】
教科担当同士での切磋琢磨は必要。他の業務を削るなどしてバランスよく行えるようにして欲しい。【大阪府・義務教育学校・教員】
研修に意義はあると思うが、まず教育委員会がすべきことは、教員の定員が満たされ、勤務時間が守られる状態ではないか。【東京都・中学校・教員】
養護教諭や教育相談担当、司書教諭などは、やはり自校の教員が誰か参加してもらい、情報を提供してもらいたい気持ちがある。多忙な中、形式だけ行い、研究になっていない教科部会は不要。【埼玉県・中学校・教員】
やりたい人だけがやればよいと思う。【神奈川県・中学校・教員】
このアンケートがあるまで、そんなに研究会あるの知らなかったです。高校では、自治体ごとの教研ないのが普通なんですかね?知りたくなりました。【大阪府・高等学校・教員】
自分の勤務地で「市教研(〇〇市教育研究会)」などの集まりがあると答えた人が全体の95%を占めました。自由参加とされている人は全体の18%に留まり、原則全員参加の割合が77%と大多数でした。また、小学校・中学校では原則全員参加の割合が約9割となった一方、その他の校種ではそのように答えたのが9名中1名と大きな差が見られました。
研究会に所属することに対して負担感があると答えた人の合計は、総回答者数の77.2%となりました。小学校の44%、中学校の47%が「大きな負担感がある」と答えましたが、その他の校種では0%となり、校種によって大きな差が見られました。「自治体ごとに研究の内容や発表が全然違って異動した時にびっくりしました」という意見もありました。
自由記述欄には「他校の先生と情報交換したり、授業考えたりするのは勉強になるが、みんな余裕のない中で集まるので負担になってしまっています」という意見も。「みんなが楽しんで参加できるといいなと思うのですが、大半が消極的な参加姿勢だなと感じます」という記述もあり、負担の大きさから積極的に学ぶことが難しくなっている現状が浮き彫りになりました。今後については、オンラインでの開催を望む声や回数を減らすなどの提案も見られます。また、やはり研修は必要との意見もあり、そのためには業務改善をする必要があるという声が聞かれました。
▼ 自由記述の回答一覧は、以下よりダウンロードしてご覧ください。 ▼
2025年4月、男女の仕事と育児・介護の両立を目指し、育児・介護休業法が改正されることとなりました。子どもの看護休暇の見直しや、時間勤務制度の代替措置としてのテレワーク導入などが予定されています。
民間企業では柔軟な働き方を実現する動きが活発になる一方、学校現場でも、育児期の時短勤務や男性による育休取得を散見するようになりました。
School Voice Projectでは、2021年に子育てと仕事の両立に関するアンケート調査を実施しています。
当時の結果では、子どもとの時間を「取れている」「まあまあ取れている」と回答した方は半数以下に留まりました。様々な制度が整っても、休暇の取りづらさや業務削減の必要性があることが訴えられています。
調査から約3年が経ち、現場の多忙化や人手不足は、より深刻な社会課題となりつつあります。
このような状況の中で、子育てをしながら働く教職員の方の環境や思いは、どのように変化しているのでしょうか。その実態と働きやすい環境にしていくために必要なことについて、あらためて聞きました。
■対象 :全国の小〜高校年齢の児童生徒が通う一条校に勤務する教職員
■実施期間:2024年11月8日(金)〜2024年12月9日(月)
■実施方法:インターネット調査(実施時の設問はこちら )
■回答数 :61件
※ 今回の調査では、非常勤や産休・育休中などを含むすべての教職員の方を対象としてアンケートを実施しています。
Q1. あなたの子育て状況について教えてください。
今回のアンケートでは、「18歳未満の子どもを育てている」の回答者が全体の70%ともっとも多く、次いで「今は子どもがいないが、将来的には子育てをしたいと思っている」が20%、「一番下の子どもが18歳以上である」が10%となりました。
Q2. 18歳未満の子どもを育てている方への質問です。子どもとの時間は十分にとれていると感じますか?
「取れている」「まあ取れている」という肯定的意見が51%、「あまり取れていない」「まったく取れていない」という否定的意見が49%と、全体をほぼ二分しました。
2021年の結果と比べると、肯定的意見が15%増加する結果となりました。
雇用形態別にみてみると、常勤講師・非常勤の方は回答いただいた6名全員が肯定的意見を選ぶ一方で、正規採用の方は40名のうち20名に留まるなど、偏りが見られました。男女別でみると、男性の40%の方が、女性の56%の方が肯定的意見を選んでおり、男性の方がより子どもとの時間をとれていないことがわかりました。
また、選択した理由についての設問では、「あまり取れていない」「まったく取れていない」を選んだ理由として、部活動や授業外業務の多さ、通勤時間の長さによる勤務超過が多数挙げられました。
Q2-2. 上記の選択肢を選んだ理由をお書きください。
子どもとの時間を取るために、非常勤講師という立場を選んでいます。【小学校・教員】
非常勤講師で週19時間勤務を選択しているため【小学校・教員】
担任職を退き、時間講師となったため。担任のままであればかなり難しい。【小学校・教員】
現在育児休業2年目なので、我が子の成長を日々実感しながら過ごせているから。【小学校・教員】
現在は育休中のため。しかしもうすぐ現場復帰なので、今後は子どもとの時間が取れなくなると危惧している。【高等学校・教員】
必要に応じて、早く帰るなどしているから。また、できる限り定時に退勤するようにしている。【小学校・校長】
勤務校は国立大学附属校なので、労働環境は素晴らしいとしか言いようがありませんが、私以外は誰も取得していない時短のシステムなどを積極的に使っています。育児が自由であれば、1分単位で労働時間をずらすことができます。朝起きてから、幼稚園に送るまでが私の担当で、お迎えが妻の担当です。朝の時間や、妻が土曜勤務があるので土曜は私の実家で時間を過ごすなど、いい関係を作れています。こうなることがわかっていたので、かなり早い段階で、学校全体の部活を改革しました。【中等教育学校・教員】
担任を持っていて忙しい時期もあるものの、授業の持ち時間数が少なく部活動などの業務もそこまで多忙ではないこともあり、定時に帰れることが多く、子どものことで休む時も対応がしやすいから。【高等学校・教員】
部活動は主顧問の先生に恐縮しながらお任せして、保育園のお迎えを理由に、定時帰りを厳守しているからです。ちょうどコロナ禍と重なっていたので、休むことへの罪悪感が軽減されました…もちろんできる範囲で人の分の仕事も頑張ることにしています。【高等学校・教員】
今は部活動が副顧問の立場なので、土日は出なくても大丈夫なため取れている。ただ、大会等ででなければいけない時がある。【中学校・教員】
土曜日に仕事をして、どうにか回している現状なので、子には土曜日の学童保育や習い事に行ってもらっている。ゆっくり落ち着いて遊んだり、向き合う時間が取れていない。【高等学校・教員】
退勤時間が19時で、自宅までの距離も長いので帰宅は20時近くになることも。平日は夜ご飯と寝る時しか一緒にいられません。【小学校・教員】
子どもより早く家を出なくてはいけないところ。子どものテスト勉強や宿題なども十分に見てあげられていないと感じます。【小学校・教員】
朝は子供の起床前に出発しているため、夕方から就寝までに子どもと過ごす時間を取っているが全く十分であると言えないため【小学校・教員】
仕事が多すぎて勤務時間内に仕事が終わらず、時間外勤務が多すぎるので。そもそも勤務開始時刻前に登校時刻が設定されているのでかなり早く出勤せざるを得ない。学習指導要領の内容や標準時数が増えすぎた。〇〇教育やキャリアパスポートなどが増えすぎて負担が増している。会計やいじめ対応、部活動、給食、清掃など、教科指導以外の負担が多すぎる。【小学校・教員】
部活動があり、平日も土日もそこに労力を使う。自宅ではピアノ伴奏の練習をする。一日中、部活に縛られている。【中学校・教員】
土日の部活動や生徒指導、教材研究や週案作成、会計処理などやることが多く、土日に仕事をせざるを得ない。【中学校・教員】
Q3. 一番下の子どもが18歳以上の方にお聞きします。以前(おおむね10~20年前)と比べて、今の学校は、子育てと仕事の両立がしやすい環境にあると思いますか?
小学校・中学校の合計6名の先生に回答いただき、「まったくそう思わない」が3人、「あまりそう思わない」が2名、「まあそう思う」が1名という結果となりました。
全体をみると否定的意見が優勢ですが、小学校の3名それぞれが異なる選択肢を選ぶなど、環境や経験によって認識に差があることが伺えました。
2021年の結果では、肯定的意見が全体の7割を占めたため、肯定と否定の割合は逆転する結果となりました。
Q4. 子育てをしながらの働き方として、こうであったら良いと思うことをお書きください。
「定時退勤可能な業務量にする」「人員を増やす」が、ともに最多の33%、次いで「時短/時差勤務を可能にする」が15%と続きました。
「勤務校を選択可能にする」「休みを取りやすくする」「その他」にも、少数ですが票が集まりました。
また、今回は択一式の質問としましたが、「複数回答可にしてほしかった」「全てを選択したい」という声も寄せられました。
基本的に定時で退勤できるように業務精選を進めたい。そのためには、子供たちの在校時間(時間割)の見直しも必要で、放課後の時間の確保がいる。また、担任業務などでも切り離せるものは校務分掌で切り離し、他の人員で賄えるようなものもあるといい。【小学校・教員】
子育てしながらの働き方かどうかではなく、定時退勤できる業務量であることは仕事として当然のことだと思います。【中学校・教員】
女性が時短、男性がフルタイムで働くパターンが周りにも多い。女性の同僚は情報共有しにくい、組織運営にコミットできにくくさみしい、という本音も聞く。中年層の女性たちの意見が反映されにくい構造になっている。担任も主任も定時の範囲内でおさまる業務量で(イレギュラーな対応を除く)、年に数回は休むことも念頭にフォローに入る人員がいるなら可能だと思う。【高等学校・教員】
時短の人も、そうでない人も、「ここまで勤務」と決まっている時間に終わることができる業務内容と量、質にしていただきたい。何でもかんでも子どもに関することを人員も増やさずに学校現場に下ろすばかりで、減らす・精査するということをしなさすぎだし、管理職もその気がないので、国・自治体レベルで通達を出すなど、上意下達のやり方で減らさないと進まない。【高等学校・教員】
普段から業務量が多く、子供との時間を取るには業務量を減らすしかないと思う。教員でなくてもできることは教員でない職員に担ってもらい、そのための職員を増やすことも考えてもらいたい。【中学校・教員】
子どもの病気などで休むときにも、補充計画を立てなくてはなりません。夜間、早朝に職場に行き、補充計画を立てたりプリント準備をしたりすることもありました。学校のことを心配せず心おきなく休みをとるためには、担任外で補充を頼めるような人がいてくれることが必要だと思います。【小学校・教員】
育休をとる側も講師が来るかどうかで迷惑をかけるかもという心理的負担がかかるし、育休の人がいる職場で働く側も、代替講師が来なくて、その分をまかなわされるのは大きな負担だけでなく、心から育休の方を応援できなくなる。ちゃんと適切な人員を補充してほしいし、そのためにいつもギリギリの人数に設定しないでほしい。【高等学校・教員】
上記の全てを選択したいが、人が増えて、1クラスの人数が減り、学校に居る大人の数が増えれば、ほとんど叶えられると思うから。【高等学校・教員】
子どもの年齢に応じて、ゆっくり出勤できたり、必要な時に早く帰れたりするといいと思います。あと、夏休みなどの長期休暇中だけでも、勤務時間や勤務場所を選べるようにしてほしいです。【小学校・教員】
時短を取りやすくすることと、減収分の所得補償、児童手当増額を求める。【小学校・事務職員】
共働きの我が家では、保育園の送り迎え、日々の家事、我が子との十分な時間を確保しようと思うと、小学校入学までの一定期間だけでも、正規の資格を持ったまま教科担当などの非常勤・午前中勤務の支援員のような働き方ができたらいいなと思います。復帰早々、学級担任や教務などの仕事を抱えては心身ともに疲弊してしまい、我が子にも担任する子どもたちにも良い影響を与えられなさそうです。その分給与が減らされても仕方ないけれど、子育てを理由に退職しなくてもよいならメリットに感じます。【小学校・教員】
担任職だと、制度としては有給休暇も看護休暇もあるが、休んだらその分の皺寄せが大きく自分に来るのが辛い。子どものために休みたい、でもその後の後始末が怖い。「安心して」休める仕組みが必要。例えば副担任制。子育てや介護など同じ境遇の人同士で二人担任制が組めれば、2人でクラスを運営できる。【小学校・教員】
育休明けと同時に異動しました。復帰1年目は前任校に残る約束が、復帰年の2月に「学級減で異動になった」との連絡が校長先生からありました。しかも新しい勤務校は家から1時間かかる所。保育園も決まった後だったので本当に困りました。【小学校・教員】
時差勤務や業務量の削減はもちろんなのだが、どの学校も同じ状況なら勤務校を選べるようにして欲しい。子どもの保育園の場所もギリギリまで分からない上に、入園する事が優先されるため場所も自宅から遠い場所になりがちである。そうすると、毎日の送り迎えと通勤の時間が非常に負担になるから。【小学校・教員】
[保育所の併設] 自身の子供の体調不良時に即時対応しなければならないので、保育所や内科等の病院・クリニックが近くにあれば仕事と家庭を両立できそう。【中学校・教員】
[正規教員で週3日〜4日の勤務] 体力的にもそのくらいの日数が良いなと感じる。また、そのくらいの勤務数でも担任を持てるような仕組みになるといい。【高等学校・教員】
[子育てについて一緒に考えることのできる学校に] システムは整っているのですが、子どもをお持ちの先生も含めて、子育てについて語り合うことはほとんどないので、すごく理解のない対応をされることがよくあります。誰も育休、労働時間のシステムを理解、活用していないということです。【中等教育学校・教員】
今回の調査では、18歳未満の子どもを持つ教職員で子どもとの時間を「取れている」「まあまあ取れている」と回答した方は全体の約半分。2021年の調査と比べると、1割程度増加した結果となりました。
肯定的意見の背景には、非常勤という働き方を選択していることや育休中であること、また中高では部活動の負担を減らしていることなどがありました。
一方で、子どもとの時間を「あまり取れていない」「全く取れていない」と回答した方は、その多くが部活動や授業外業務の多さ、通勤時間の長さによる勤務超過をその理由として挙げました。特に正規採用の男性の方の割合が多く、休みを取りづらい環境や、超過勤務、持ち帰り仕事により子どもとの時間を十分に取れてない現状が伺えました。
また、時短勤務をしようにも、持ちコマ数や担任などの役割は変わらないため意味がない・正規教員が少ない中で誰かがサポートに入らざるを得ないため、切り替えづらいといった声もありました。
子育てをしながらでも働きやすい環境づくりのために大事なこととしては、「定時退勤可能な業務量にする」「人員を増やす」の二つが同数で最多となりました。
その一方で「複数回答にしてほしかった」「人が増えて1クラスの人数が減れば、他の理想も叶えられる」といった声があったように、現場の課題は多くが連動して起こっており、その根元に人手不足という大きな課題が横たわっていることが伺えます。
多様な働き方を可能にする制度が整いつつある中でも、教員不足・なり手不足を背景に、超過勤務や休みを取りづらいといった課題が依然として存在します。教員自身がライフステージに応じて柔軟に働き方を変えていけることは、教員不足・なり手不足の解消のためにも、必要不可欠であると言えるでしょう。
そのための教員の仕事や学校活動の在り方の見直し、また仕組みづくりをすることが、より一層求められています。
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