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【教職員アンケート結果】保護者・教員が“強制加入”の学校も。今後のPTAのあり方について

  • メガホン編集部

全国のほとんどの学校にあるPTA。PTAは保護者と教員でつくる任意団体として各校で活発な活動がなされる一方、加入の強制性や活動負担の重さについてたびたび話題に上がっています(報道事例は こちら など)。

PTAへの加入の仕組みやPTAのあり方について、全国の教職員に聞きました。

アンケートの概要

■対象  :全国の小〜高校年齢の児童生徒が通う一条校に勤務する教職員
■実施期間:2022年12月9日(金)〜2023年1月9日(月)
■実施方法:インターネット調査(実施時の設問はこちら
■回答数 :74件

アンケート結果

設問1 保護者はPTAへの加入を選択できる?

Q1. あなたの勤務校では、保護者はPTAに加入するかしないかを選択することができますか?

保護者がPTAへの加入を「選択できる」と回答したのは全体の約10%にとどまりました。約60%は「選択できない(もしくは、選択できると知らない)」、約30%は「選択できるが加入を推奨される」という結果となりました。

設問2 教員はPTAへの加入を選択できる?

Q2. あなたの勤務校では、教員はPTAに加入するかしないかを選択することができますか?

教員がPTAへの加入を「選択できる」と回答したのは全体の約5%にとどまりました。約80%は「選択できない(もしくは、選択できると知らない)」、約15%は「選択できるが加入を推奨される」という結果となりました。保護者よりも教員の方が「選択できない(もしくは、選択できると知らない)」傾向が強いことがわかりました。

設問3 保護者の“PTA強制加入”、どう思う?

Q3.保護者がPTAに加入するかどうかを選択できない事例が多いことについて、あなたの意見を教えてください。

保護者がPTAへ参加するかを選択できないこと(必須加入であること)について、全体の約30%の人が賛成と回答。主な理由としては、「手伝って!と声をかけるネットワークが必要」「学校と保護者が協力するのは当然」「全員加入にしておかないと、加入者と未加入者の区別がわからない」などの声が寄せられました。

一方で、約70%の人が必須加入であることに反対。主な理由としては、「加入については納得の上で考えてもらうべき」「PTAの役割などを整理して、見直す必要がある」「PTAが発足した当時とは社会背景が異なる」などの意見が寄せられました。

肯定的意見

学校と保護者の信頼関係や協力体制をつくるために必要なため

PTAは基本的に自主的な組織であると考えています。内容として必ずしなければならない仕事がある、というのは反対ですが、誰かが何かしたいと思った時に、手伝って!と声をかけるネットワークは必要だと考えるからです。【小学校・教員】

強制さにバイアスや同調圧力があると別ですが、参加できた保護者が繋がりを作る姿を見たので、そう簡単になくしたほうがいいみたいには言うことはできません。【小学校・教員】

現状の学校との関係においては、保護者と学校のつながりを表現する組織がないので、活動への協力や会費は関係なく組織は残しておくほうが良いという理由です【中学校・教頭】

内容にもよるが児童や生徒のためになる活動を行うのであれば、学校と保護者が協力するのは当然ではないか?【中学校・教員】

支援校ですので、強制でも加入してくれないと、何があったときに困ります(事故発生時など)。【特別支援学校・教員】

手続きの煩雑さや管理のしづらさに繋がるため

全員加入してくれないと煩雑になり、教員、特に教頭の多忙化につながるから。【小学校・教頭】

役員になるかならないかは別として、とりあえず全員加入にしておかないと、加入者と未加入者の区別がわからないので。【中学校・教員】

否定的意見

PTAは任意団体なので、保護者の意思を尊重するべき

任意団体に強制的に入れられる必要はない。【小学校・教員】

PTAには賛否両論ありますが、加入については納得の上で考えてもらうべきだと思います。
学校とは別の組織であるにも関わらず、学校が強制的に加入させているように思われていることにも違和感があります。協力はすべきですが、納得の上で加入してもらわないと、不信感に繋がると思います。【小学校・教員】

選択できるはずなのに、慣習的に入らざるをえないのは、おかしい。しかし、PTA会費で部活動の大会費用などに使われていると考えると、金銭的には保護者全員から会費徴収した方が平等感がある。【中学校・教員】

任意団体なので加入も選択できるのが良い。選択できない強制されることにやらされ感が出てしまう。【中学校・教員】

PTAの意義やあり方、活動内容の見直しが必要

参加は任意である、ということを前提に組織をつくっていくことで、参加者の人数に合わせた業務の改善も考えられると思う。【小学校・教員】

PTAが発足した社会背景とは現在はまったく異なるので、存在意義がないと思うから。【中学校・教員】

PTAの組織が見直されることなく、当番や仕事、任命の仕方などが動いている。PTAの役割などを整理して、役割を見直すことが大事だと思います。【高等学校・教員】

設問4 教員の“PTA強制加入”、どう思う?

Q4.教員 がPTAに加入するかどうかを選択できない事例が多いことについて、あなたの意見を教えてください。

教員がPTAへ参加するかを選択できないこと(必須加入であること)について、全体の約25%の人が賛成と回答。保護者の必須加入よりも、賛成がやや少ない結果となりました。主な理由としては、「保護者との関係づくりのため」「保護者とのつながりがあることで支えられることもある」などの声が寄せられました。

一方で、約75%の人が必須加入であることに反対。主な理由としては、「労働ではないのに、強制されるのはおかしい」「公務でやっているのに会費を支払うことに疑問」「仕事が増える」「保護者の組織に教員が所属することへの疑問」などの意見が寄せられました。

肯定的意見

学校と保護者の信頼関係や協力体制をつくるために必要なため

保護者とつながるための位置は手っ取り早いのがPTAです。過多になるのが問題だと思いますが、保護者とつながることができない教職員がつながるためにも、代替案がないなら、続けたほうが良いと思います。【小学校・教員】

全ての活動に参加を求められるのは大変だが、そもそもその学校に勤める教員と保護者との関係づくりもあると思うので、双方にとってメリットのあるものになるといいと考えます。【小学校・教員】

PTAなのであれば、教員も同じだと思う。教員だけではできないことを保護者と一緒に行なったり、助けてもらうこともあるので、PTAという組織があるのなら教員も加入して活動の支援ができなくても会費という形でサポートすることは悪くはないと考える。保護者とのつながりがあることで、地域の情報や行事など支えられることもあると思う。テントが欲しいなど教員がほしくても学校予算で買えていないものもPTA費で簡単に購入できている。win-winの関係を取ろうと考えて活用すればよいと思う。【中学校・職員】

保護者から多くの会費が集まっているため

PTA会費からまぁまぁの費用が出ている実態を考えると(出所がそこしかない)、やむを得ないと思います。【特別支援学校・教員】

否定的意見

PTAは任意団体なので、教員の意思を尊重するべき

教員の労働として位置付けられていないものを強制されるのはおかしい。【中学校・教員】

教員だからPTAに入るのは当たり前、という無言のプレッシャーがある。加入しなければ、教員としてはダメだという考えをなくしてもらいたい。【中学校・教員】

教員に関しては保護者と一緒にやらなければ回らない案件もあると思うので、一応やった方がいいと思っています。ただ、強制と言うと全面的に賛成はしかねます。関わり方が選択できる方がいい。【高等学校・教員】

PTA会費を徴収されることに疑問を感じる

加入ではなく業務の一環としての連携という形を目指した方が良いと思う。【小学校・事務職員】

加入については別に構わないが、公務でやっているのにもかかわらずPTA会費が取られることに納得がいかない。【中学校・教員】

PTA会費を徴収されるのはおかしい。【高等学校・教員】

業務が増えることへの負担が大きい

そもそも選択できることを知らされていないし、調べようともしない方がほとんどです。教務になってしまうと、役割が自動的に振り分けられます。校務の負担軽減は考慮されないので、個人の負担ばかり増える仕組みです。【小学校・教員】

校務分掌かのように、業務の分担がされている。週休日のPTA活動への参加を余儀なくされ、振替休ではなく、調整扱いとされる。(実際、取得できない)【小学校・教員】

カウントされない仕事がどんどん増えていくから。【中学校/高等学校・教員】

PTAに教員が加入する必要性を感じない

親の組織になぜ教員が所属しているのか、いつも疑問に思っている。親もやりにくそうなので。【小学校・教員】

教員がPTAに入ることによる、メリット・デメリットがわからない。【中学校・教員】

設問5 今後、PTAはどうなるといい?

Q5.今後のPTAのあり方について、あなたの意見を教えてください(任意)

PTAのあり方や意義を見直した方がいい

加入が任意かどうかは問題の本質ではなく、学校を支える組織のあり様が問われていると思います。管理組合でも商店組合でも、入る入らないの自由が前面に立てば協同性が脆弱になります。教員と親とが子どもたちの学校生活を支えていくために有用なPTA組織の在り方を考えていくべき。【小学校・教員】

正直難しい問題で、まだまだ自分でも答えが出ません。まずはいろんな立場の方の意見を聞く場がほしいところです。子どもたちを育てるのに一番良い形を、みんなで対話しながら模索していけたらと思います。【小学校・教員】

あり方を変える必要がある。ただあり方が同一である必要はなく、地域団体とまとまることや、保護者会として明確に立ち位置を考え直すなどそれぞれの学校に応じた良い形になれば良い。良いんだけど、どうしても同一形態になってしまうのが課題。【小学校・事務職員】

子どもを中心において活動できるPTAであってもらいたい。行事ごとのお手伝いのための、毎年これをしなければならない組織では、活動していても・参加していても義務でしかないのは苦痛ではないでしょうか。【中学校・教員】

子どもの在学期間で入れ替わるので、今までやっていたから‥という活動をなかなかやめられない中、役割分担がまわってきて負担になるケースが多いのかなと思います。ただ、保護者の意見を聞いたり、議論をしたりするときにはPTAという組織がないと、個々の保護者の意見を聞くだけで、学校との対話になりにくいと思いました。負担は減らしつつ、保護者が学校の活動に参加したり、意見を話し合って伝えたりする場は保障されていけばいいなと思います。【中学校・教員】

任意で活動に参加できるようにした方がいい

PTAのやり方を改善した上で、任意制に移行できるとよい。【小学校・職員】

我が子の学校のPTA役員も、毎年のように役が回ってきて負担である。活動の精選を行い、無くても困らないものは辞めていくべき。【小学校・教員】

どこかの学校で実践した例のように、子どもが参加する学校行事の中で、どれか1つの行事に参加することだけを全員に課して、どの行事に参加するかは、選んでもらえばよいと思う。そして、その行事の参加者が、その行事で行うPTA活動をする、というふうにすればよいと思う。PTA席は、参加しない人より、写真がよく撮れる席にするとかメリットもつければよいのではないか。【中学校/高等学校・教員】

PTAは学校とは切り離した団体にした方がいい

学校から独立した組織が望ましい。【中学校・教員】

地域本部や保護者の会等に組織を変更し、学校と少し切り離して活動すべき。【中学校・教員】

PTAは廃止した方がいい

なくてもよい。コミュニティスクールに一本化すればよい。【小学校・教頭】

PTAが発足した社会背景とは現在はまったく異なるので、PTAは廃止していいと思う。この指とまれ方式で「このお手伝いには10名の協力が必要です。どなたかお願いできませんか?」のようなシステムになればいいのにな、と思う。【中学校・教員】

PTAという組織をなくすべき。コロナで例年通りの活動ができなくても学校運営に支障を感じなかった。現在のPTA活動の精査をし、どうしても必要なものは外注やその都度ボランティアを募るなどしていく必要がある。【中学校・教員】

必要なことは学校や自治体の責任で行った方がいい

学校の教育活動を支えると称して、様々な行事の「お手伝い」や「寄付」「教員の部活動交通費の補助」などをするのは、おかしい。本来、学校の責任、設置自治体の責任としておこなうべきことを肩代わりするのはやめるべき。【高等学校・教員】

保護者や地域との繋がりをつくることは大切

いろんな課題があると思いますが、つながりを作らないといけない今の世の中。希薄になっている危機を強く感じています。地域に耳を傾け、地域で育つ教職員じゃないと、つながりを持てない保護者が孤立していくかもしれません。【小学校・教員】

PTAへの加入が必須か任意かどうか以前に、PTAのあり方や活動内容を見直すことの必要性を訴える声が多く集まりました。「教員と親とが子どもたちの学校生活を支えていくために有用なPTA組織の在り方」「子どもたちを育てるのに一番良い形」など、PTAがあることの目的を問い直す意見も寄せられました。

また、保護者や教員の負担を懸念する声も多く集まりました。主な意見は、「任意制に移行できるとよい」「なくても困らないものは辞めていくべき」「どの行事に参加するかは、選んでもらえばよい」など。必要性に応じて活動内容を減らしたり、任意で参加できるようにするなどのアイデアが寄せられました。

まとめ

保護者、教員ともに、PTAへの加入を「選択できる」と回答したのは全体の約5〜10%。大多数は、「選択できない(もしくは、選択できると知らない)」または「選択できるが加入を推奨される」という結果となりました。

保護者、教員ともにPTAへの加入を選択できないこと(必須加入であること)について賛成する意見は少数で、約25〜30%にとどまりました。賛成する主な理由としては、「手伝って!と声をかけるネットワークが必要」「学校と保護者が協力するのは当然」「保護者とのつながりがあることで支えられることもある」など。

一方で、約70〜75%の人が必須加入であることに反対。保護者においては、「加入については納得の上で考えてもらうべき」「PTAの役割などを整理して、見直す必要がある」「PTAが発足した当時とは社会背景が異なる」などの理由が寄せられました。教員においては、「労働ではないのに、強制されるのはおかしい」「公務でやっているのに会費を支払うことに疑問」「仕事が増える」「保護者の組織に教員が所属することへの疑問」などの理由が寄せられました。

また、PTAへの加入が必須か任意かどうか以前に、PTAのあり方や活動内容を見直すことの必要性を訴える声が多く集まりました。時代の変化に伴い、活動への負担を感じる保護者や教員も多くいることも予想されます。今一度、何のためにPTAがあるのかを問い直し、活動を見直していく必要があるのではないでしょうか。

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