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保護者の仕事の都合などにより、学校の開門前に子どもだけで自宅にいなければならない家庭があります。こうした家庭を支援するため、群馬県高崎市では、2026年4月から市内の全58小学校で早朝開門(高崎市では朝7時に開門)を始めました。市は、朝早く登校する児童が校舎内に入れるようにし、校務員が迎え入れるとしています。(参考:高崎市広報)
一方、始業前から児童を学校で受け入れることについては、人員の確保や教職員の勤務時間、安全管理、事故や児童間のトラブルが起きた際の責任など、さまざまな課題が考えられます。
子どもや保護者の朝の居場所へのニーズと、学校・教職員の役割をどのように考えればよいのでしょうか。早朝開門への賛否や、その理由、必要な体制や代替案について、全国の教職員に聞きました。
■対象 :全国の小〜高校年齢の児童生徒が通う一条校に勤務する教職員
■実施期間:2026年5月15日(金)~2026年6月22日(月)
■実施方法:インターネット調査(実施時の設問はこちら)
■回答数 :61件
Q1. 高崎市のように早朝に開門し、校務員が見守りを行うという事業に対して賛成ですか、反対ですか。

全体では、「反対」が約69%と最も多く、「やや反対」の約21%を合わせると、約9割の回答者が早朝開門に対して否定的な立場を示したことになります。一方、「賛成」「やや賛成」を合わせた肯定的な回答は約10%でした。
校種別に見ると、小学校勤務者では約97%が否定的な回答だったことをはじめ、中学校・高校でもそれぞれ約8割・9割が否定的回答となり、いずれの校種でも多数を占めました。
Q2. (設問1で「賛成」「やや賛成」を選んだ方)設問1の回答について、理由を選択してください。(複数選択可)
Q3. (設問1で「反対」「やや反対」を選んだ方)設問1の回答について、理由を選択してください。(複数選択可)

設問1で肯定的意見を選択した回答者は全体として6人のみでしたが、その中でも多く選ばれた理由は「現状、保護者のニーズがある・多いから」(4名)、「子どもたちに安全・安心な場を提供できるから」(3名)でした。
「校務員以外の教職員は負担が増えない・少ないと予想されるから」(2名)と「現状、開門を待っている子どもたちがいる・多いから」(1名)を選択した回答者は少なく、「子どもたちの生活リズム調整に役立つから」と「校務員の稼働に余裕があるから」を選んだ回答者はいませんでした。
逆に否定的意見で最も多かった理由は、「校務員以外の教職員も負担が増えると予想されるから」で、約9割でした。次に「校務員の稼働確保が難しいから」の約7割が続くことからも、否定的意見の多くは教職員や校務員の負担への懸念を挙げています。
また「子どもたちのトラブルが増えるから」(約47%)、「子どもたちの生活リズムが乱れるから」(約29)を選択した回答者も一定数見られましたが、「現状、開門を待っている子どもたちがいない・少ないから」は約5%、「現状、保護者のニーズがない・少ないから」は約4%と、ニーズ自体は実際に存在していることが示唆されました。
上記のことからも分かるように、否定的な回答者の多くは、保護者や子どものニーズがないことを理由にしているのではなく、教職員や校務員の負担、人員の確保、児童間のトラブルなど、実施体制への懸念を挙げています。
肯定的な回答者が、早朝の居場所を設けることによる効果を重視している一方、否定的な回答者は、その居場所を誰がどのような体制で運営するのかを重視しているという対比が見られました。
保護者が教育を学校任せにしすぎるため【小学校・事務職員】
勤務校の場合は、保護者が校庭まで送らない(児童が一人で来る)ケースが想定され、寧ろ安全面の不安がある。【小学校・教員】
変わるべきは、子どもたちではなくて、朝早くに出かけさせる必要がある保護者の仕事環境。【小学校・教員】
そもそもの社会のあり方を変えることに繋がらないから。共働きで子どもと余裕をもって関わる時間が減ったことが、子どものウェルビーイングを低くすることにつながっている。【高等学校・教員】
校務員が本来活きる職務をできなくなるから。【小学校・事務職員】
開閉員自体、現状で確保が難しいので。【高等学校・教員】
Q4. 今回の高崎市の「早朝開門」という対応について、対応の要・不要や、代替案などを自由に記載してください。
選択式の回答では否定的な意見が約9割を占めましたが、自由記述からは、働く保護者への支援や、朝に子どもだけで過ごすことを避けるための居場所が必要だという考え自体には理解を示す声も見られました。
その一方、教職員や校務員の負担を増やさない体制、専門的な見守り人員、事故やトラブルが起きた際の責任の明確化、学校以外の運営主体や代替策を求める声が多く寄せられています。
市の施策であり教員や公務員の勤務時間に関する負担がかわらないならばありだと思う。【中学校・教員】
高崎市がどこまではっきりとさせているか分からないが、しっかり人を付けて、事故等が起きても、教職員の責任でないこと、教職員は定時に来れば良いことが明確ならば、子供達の朝の居場所として良いと思う。【小学校・教員】
保護者としては有難い。【中学校・職員】
息子はすでに小6なので、登校時間まで自宅で大人なしで過ごしても大丈夫だろうと思えますが、低学年だったら心配だったかもしれません。そのことを思うと絶対反対とは言い切れません。【高等学校・教員】
様々な家庭環境を考慮した結果だと思うし、人員を配置して対応策を出しているのであれば良いアイデアだと思いました。【高等学校・教員】
専用の職員を配置し管理してもらえるならばよい。
大人の目が少ない学校敷地内では問題が起きやすく、対処が難しい。
敷地内学童のように、専門職員配置は最低限必要。
できないならば、子どもの安全確保のためにも行わない方がよい。【中学校・職員】
定時までは校舎内には入れないことも徹底する。万が一怪我等で校舎内にいれる場合も、その見守り員さんが対応する。教員側も子供が早く来ているからといって、朝練させたり、宿題やらせたりしない。など、教職員の時間前勤務につながらないように、しっかりとやる必要があると思うが。
そして、この事が定着して、逆に「教職員の仕事は時間内のみ。時間外は他のスタッフが対応する」という住み分けの良い前例になれば良いと思う。【小学校・教員】
校務員が門だけあけるではなく、保育員として朝と夜に専用の人員を配置し、事故なども含め責任を負ってもらう人材を配置するならいい制度になると思う。今の制度はこれまで同様、理想だけ掲げて教員の負担を無尽蔵に増やしてきた施策の悪しき典型になっているだけ。【高等学校・教員】
放課後の学童のように、早朝に来た子どもたちを見守る有償スタッフを、現状の学校教職員ではなく新たに雇い、学校は場所だけ貸しているというスタンスにしたらいいと思う。
物が紛失したり、壊れたりというトラブルもあると思うので、体育館で過ごすとか、早朝の時間内のトラブルには学校は関与しないとか、一定のルールも必要だと思う。【中学校・教員】
教職員の負担に絶対ならない仕組みがないと、やってはいけないです。
事故や怪我の責任の所在を学校以外に明確にしてほしい。
なんでも学校に押し付けないでほしい。【小学校・教頭】
教員以外のスタッフの勤務が整うなら賛成。現在は、保護者のために早めの登校時間となり教員は勤務時間より早く勤務につかないといけないのが現状のため、それが改善されるなら賛成。【小学校・教員】
れだけ現場が疲弊している中、いくら校務員に見守りといっても、無茶だと思います。校務員も、その分、責任が増えます。なりても少なくなるのではないでしょうか。【高等学校・教員】
子どもたちに安全・安心な場を提供できるという点は大事だが、
たとえ校務員さんが対応するとしても
トラブルが起きたら先生の仕事領域が広がるのは反対
行政が委託して安心してお願いできるシステムを構築してほしい。【高等学校・教員】
校務員が面倒を見たとしても、トラブルが起きればそれは結局は教師が対応することになる。また、大雨や雪などの登校ができる範囲での荒天が起きれば、当然教室内での待機となる。すると、管理の必要が発生してその負担を誰がするのか?という事が想定されていない。
学校が何のためにあるのか?教師は何をする人なのか?という話を放置しておいて、ただ保護者のニーズがあるからと役割を拡大していけば、そこで起きる問題は結局は教師が穴埋めする事になる。【小学校・教員】
学校が福祉的機能を持つべきとの理念には賛同できますが、サービス業ではないので、教職員のウェルビーイングを大切にすべきだと考えます。無理をして本来の教育活動の質が下がるのでは、本末転倒です。【中学校・教員】
働き方改革を推進してきた学校現場の方向性とは逆行するものです。教師も不在の中、登校した生徒の安全を誰が保証するのか?【中学校・教員】
7時に登校させられる子どもをかわいそうだと思うし、せめて学童員のような、子どもを監督する人間を配置するべきだと思います。【中学校・教員】
子どもの生活を第一に考えるべきです。
また、学校が何でもやってくれるとなると、それに甘えてしまう家庭は増える一方です。
その結果、朝早くから家を出ざるを得ない子供が増えるのは気の毒でなりません。
もう一度考え直して欲しいです。【中学校・教員】
そもそも、家族の時間、睡眠時間をそれで十分に果たせるのか。共働きの負担は社会全体が考える問題で、働き安い環境を整えるのは会社の役目である。教員が担ってどうにかなる問題でもないし、子供の幸福感が増す確証もない。【中学校・教員】
それぞれの保護者で福祉サービスなどを利用できるようにするなど、行政のしくみを変えるべきであって、学校に負わせることは間違っている。【小学校・教員】
それほどのニーズがあるのなら、別機関(学童の早朝版のような)を設けるべき【小学校・教員】
学童のような『朝一預かりサービス』でも作って、お金を払って子供を預けるのが良い。これは、行政主導でも良いし、民間でやっても良い。【中学校・教員】
学童のような学校に隣接する別の施設を作ってはどうでしょうか。【小学校・教員】
思想はとても良いと思います。社会全体で家庭を支えることは重要だと思います。なかなか今からその考えをみんなが持つことは難しいですが…
しかし、なんでも学校が担うのは違うと思います。福祉の面との棲み分けは必要だと思います。とはいえ、そちらはそちらで!!みたいな感じの断絶ではなく、互いが協力応援し合うような運用は必要だとかんじています。【小学校・教員】
根本的には、こんなに働いているのにあまり潤っていない国の経済政策の失敗だと思うし、働き方改革をしないと人としてもたないと思う。【小学校・教員】
早朝に子どもが学校にいなければいけない状況を変える必要があると考える。どの企業もフレキシブルな働き方を認める。そのためには、国や自治体から企業への働きかけが必要だと考える。【高等学校・教員】
本当は、保護者の仕事に融通がきくことが望ましい。
送り出してから出勤できる社会であってほしい。【中学校・職員】
本当の親のニーズは早くに子どもを受け入れてもらうことではなく、朝早くから働かなくてもよいことではないか。経済的余裕のなさ、職場の人手不足、不景気、手厚いとは言えない福祉制度、などなど社会のしくみそのものを変えなくては根本的な解決にはならない。【小学校・教員】
企業が始業時刻を遅らせ、子ども達が家庭で朝ごはんを食べられるようにするなど、社会全体の考え方の課題だと捉える。誰のための対策なのか、ズレていると感じる。【小学校・教員】
まず、本来、保護者や保護者が務める企業等が努力する部分である。
そう言ったところを学校で吸収してきたから、今の学校の惨状がある。【小学校・事務職員】
前任地の杉並区では早く校庭を開放し、地域の方に校庭での見守りをしていただいていました。地域のサポート力のある所ではこのような方法も取れますが、現任校では難しいだろうなというのが、率直なところです。【小学校・教員】
学校は託児所ではない。託児所の機能を果たすのであれば、きちんと対価を支払い、子どもの安全を守れる体制を取るべき。【中学校・養護教諭】
共働きの保護者の支援、ということが、なぜ校門を早く開ける、という対応になったのか、疑問が残る。子どものいる家庭の就労状況の課題について検討した上でなされたことなのか、単純に早く子どもを預けたいというニーズに応えただけなのか。就労状況への支援であれば、その対応先が学校だけとは限らないのではないだろうか。【小学校・教員】
共働きする必要が増えたり、その間の子どもたちの生活を支える必要があることは理解できるが、それをまた学校だけが引き受けるのは別の社会課題を大きくしていると思うので、安易に校務員だからいいとは思えない。
必要なら親が勤務時間や形態を調整すべきだし、本当にそれができないほどの困窮状態ならば地域での助け合いや自治体がお金を出して人を雇うべきである。
場所を提供するところまではインフラの有効活用だとは思うが、必要な仕事にお金を払わないことは雇用の喪失にも繋がると思う。
また、朝が早くなりすぎることも、社会や親の課題を子どもに皺寄せていることにもなるので、反対です。【小学校・教員】
今回のアンケートでは、早朝開門について「反対」「やや反対」と答えた教職員が約9割を占めました。否定的意見の理由では、教職員の負担増を懸念する回答が9割近く、校務員の稼働確保の難しさを挙げた回答が約3分の2となりました。児童間のトラブルや、子どもの生活リズムへの影響を心配する声も見られました。
一方、肯定的な立場からの意見は、保護者のニーズへの対応や、子どもに安全・安心な居場所を提供できることが重視されました。自由記述では、制度自体には否定的な立場の回答者からも、働く保護者への支援や、朝に子どもだけで過ごす家庭への対応が必要だという理解が示されています。
今回の回答から見えてきたのは、早朝の居場所が必要かどうかだけではなく、“誰が、どのような人員・勤務条件・責任のもとで運営するのか”という課題です。校務員が見守ることになっていても、事故や体調不良、児童間のトラブル、荒天時の対応などが発生すれば、結果的に教員が対応することになるのではないかという懸念が、多く寄せられました。
文科省は「学校と教師の業務の3分類」の中で、登下校時の通学路における日常的な見守り活動などを「学校以外が担うべき業務」としたうえで、朝や下校後に学校施設で児童生徒を預かる必要がある場合には、「学校以外の管理体制を構築」することが明記されています。(参考:文科省「学校と教師の業務の3分類」)
学校で早朝開門の事業を行うのであれば、このような業務分類についての議論との整合性が問われます。校務員を配置するだけでなく、教員への業務の波及を防ぐルールや、緊急時の連絡・対応、始業時刻までの引き継ぎ、責任の所在を事前に明確にする必要があります。
高崎市以外の自治体では、学校施設を使いながらも、学校教職員とは異なる運営体制を設ける例があります。
神奈川県横浜市:
・シルバー人材センターが実施事業者となり、見守り員2人を配置
・利用は事前登録制/保険加入が必要
・保護者などが児童に付き添って登校し、緊急時には見守り員が保護者へ連絡
(参考:横浜市「小学生の朝の居場所づくりモデル事業」)
東京都江東区:
・シルバー人材センターと学校用務主事に業務を委託し、見守り員3人を配置
・利用は事前登録制/傷害保険と賠償責任保険の保険料は区が負担
・保育ではなく始業前の「居場所を提供する事業」であることや、保護者の責任のもとで利用することを明示
(参考:江東区「朝の児童の居場所づくり事業の実施について」)
埼玉県行田市:
・学校内の学童保育室に見守り員2人を配置
・利用は事前登録制/利用料(1回100円)および定員(50人)あり
・児童の過ごし方や禁止事項を定め、保育や教育、学習支援を提供する事業ではないことを明示
(参考:行田市「朝のこどもの居場所づくり事業(埼玉県モデル事業)」)
これらの事例からは、朝の居場所を設ける際に、専門・専用の人員、事前登録、保険、利用ルール、定員、緊急時対応、事業の範囲などを具体的に定めることの重要性が伺えます。自治体や学校ごとの施設、人材、地域との関係、保護者のニーズが異なるため、同じ仕組みをそのまま導入すればよいとは限りませんが、一定の参考にすることは可能でしょう。
子どもや保護者への支援と、学校で働く人の健康や持続可能な勤務環境は、どちらか一方を犠牲にして成り立たせるものではありません。早朝の居場所が必要であれば、既存の教職員や校務員の善意や追加負担に依存するのではなく、自治体の教育・福祉部門、地域、外部事業者などが役割を分担し、人員と予算を伴う仕組みとして整えることが求められます。
早朝開門への賛否を問うだけでなく、子ども、保護者、教職員のそれぞれが安心できる体制とは何か。学校が担う役割と、学校以外の主体が担う役割を具体的に話し合うことが、次の一歩になるのではないでしょうか。
▼ 自由記述の回答一覧は、以下よりダウンロードしてご覧ください。 ▼
2025年、現役教員らが女子児童を盗撮し、画像や動画をSNS上のグループで共有していたとされる事件が明らかになりました。報道では、共有された画像や動画の多くが、学校での業務中に撮影されたものとみられると伝えられています。
その事件を受けて文部科学省は2025年7月に通知を出し、教師個人のスマートフォン(スマホ)等の私的端末で児童生徒を撮影しないことや、学校所有端末で撮影した画像等を管理職の許可なく学校外へ持ち出さないことなどを求めました。また、組織的な防止策を進めることを教育委員会等に求めており、実際に各自治体の教育委員会ではそれに対応した運用がなされています。(参考:文科省通知)
たとえば名古屋市では、2025年7月の通知で学校における私物端末の利用について、児童生徒の撮影を禁止するとともに、教室など児童生徒が活動する場所への持ち込みを原則禁止としています。同様に静岡県でも、教育活動等で児童生徒を撮影する際は学校所有の公的端末を原則使用するとし、「管理職の許可を得た場合に限り私物端末での撮影を許可」「その際は撮影者であることを腕章等で明示」「撮影後直ちに学校のサーバー等へ保存し、撮影者以外の確認のもと私物端末からデータを削除」といった厳格な運用ルールを定めています。(参考:名古屋市報道資料,静岡県教育委員会)
一方、学校現場では、私物スマホ・タブレットが、授業や学校行事の記録、校外活動での連絡、児童生徒の急病やけがなどへの緊急対応にも使われてきた実態があります。
児童生徒の安全やプライバシーを守るためのルールを、教育活動や校務を損なわずに機能させるには、何が必要なのでしょうか。教職員の私物スマホ・タブレットに関するルールの現状や課題、改善について、全国の教職員に聞きました。
■対象 :全国の小〜高校年齢の児童生徒が通う一条校に勤務する教職員
■実施期間:2025年11月28日(金)~2026年1月19日(月)
■実施方法:インターネット調査(実施時の設問はこちら)
■回答数 :90件
Q1. あなたの学校では、教職員の私物スマホ・タブレットの使用/教室持ち込みについて、何らかのルールがありますか?

全体では、「自治体、教育委員会単位でルールがある」が約59%と、最も多い結果となりました。「学校単位でルールがある」は約18%、「明示的なルールはないが、暗黙の了解として制限されている」は約3%でした。これらを合わせると、回答者の約8割が、私物スマホ・タブレットについて何らかのルールや制限があると回答したことになります。
また、回答数に限りはありますが、小学校・中学校・高等学校と対象の年齢が上がるにつれ「明示的なルールがある」と答えた割合(「自治体、教育委員会単位」「学校単位」の合計)が下がる様子が伺えました。
私物PCの持ち込みは禁止されているはずだが、見て見ぬふりをされているのと同様に、スマホについても見て見ぬふりをされている。【中学校・教員】
使用についての注意喚起のみ。【小学校・教員】
私物PC、USBメモリについては自治体で持ち込み禁止とされている。スマホの教室持ち込みについては、教員の盗撮事件以降に校長から「控えるように」と指示があった。【小学校・教員】
Q2. 設問1で「ルールがある」「暗黙の了解がある」と答えた方に質問です。どのようなルールになっていますか。(複数選択可)

最も多かったのは「教室への持ち込み禁止」で、約58%でした。「教室での撮影禁止(持ち込みは可)」と合わせると9割以上の学校や自治体で、教室内での私物スマホ・タブレットの持ち込み・使用に制限が採られていることになります。
教室以外の学校施設については、「教室以外の学校施設での撮影禁止(持ち込みは可)」が約15%、「教室以外の学校施設への持ち込み禁止」が約6%と、教室内での制限よりは割合が低く、制限の内容も「持ち込みは可」という比較的緩やかなものであることが分かりました。
とにかく携帯で子どもの撮影は禁止で、学校のカメラだと可能。【中学校・教員】
端末の持ち込み禁止のはずだが、なんとなくスマホは例外のような扱いになっている。【高等学校・教員】
PCは事前に届け出て使用可。スマホはルールなし。【高等学校・教員】
児童の前で私物携帯の使用禁止。【小学校・教員】
緊急時連絡を除く。【中学校・教員】
自分の端末で撮影したり録画した場合は申告し、その後、自分の端末とクラウドから削除することをルールにしている。広報活動をするよう教育庁は進めるのに、矛盾している。【高等学校・教員】
職員室以外への持ち出し禁止。【小学校・養護教諭】
特定の場所への持ち込み禁止というのではなく、生徒を撮影することができなくなった。【高等学校・教員】
Q3. 設問1で「ルールがある」「暗黙の了解がある」と答えた方に質問です。その実効性についてどう感じていますか?

「非常に有効だと思う」と「ある程度有効だと思う」を合わせると、ルールを有効だと捉えている回答は約4割でした。
一方、「あまり有効だと思わない」「全く有効だと思わない」の否定的な回答を合わせると約5割となり、肯定的な回答をやや上回りました。
Q3-2. 上記の選択肢を選んだ理由をお書きください。
自由記述からは、ルールが児童生徒や保護者の安心につながるという評価がある一方、意図的に行われる盗撮を、持ち込み禁止だけで防ぐことは難しいという意見も見られました。
写真を撮影する際には最新の注意が必要だということを意識できるようにはなっていると思う。【中学校・教員】
ほとんどの人が私物の持ち込みをしていない。相互牽制しているから。【小学校/中学校・教員】
現在、撮影したら即処分ではないが、管理職が絶対禁止を呼びかけることで、抑止力になっていると思う。【特別支援学校・教員】
盗撮防止目的ではなく、個人情報等流出防止のためのルールであり、その目的には沿っている。【高等学校・教員】
生徒を撮影する際は常に学校のロゴが入ったタブレットを使用するので、生徒、保護者、教員ともに変な疑いを持たなくて良いので良いと思っている。【中学校・教員】
生徒に安心感を与えるとは思うから。こちらも生徒の画像データを持っておかなくて済むので、気が楽。【中学校・教員】
事件の詳細を調べれば分かる通り、加害者は学校支給のデジカメを使用していたり、ペン型の盗撮用カメラを使用していたりするので、もはやスマホ云々の問題ではないから。【小学校・教員】
真面目に使っているものには制限がかかるが、悪いことを知っていて撮影しているものに対しては何の抑止にもならない。【小学校/中学校・教員】
犯罪を犯す人は、どんな対策をとっても犯罪を犯すから【高等学校・教員】
緊急時の対応に不安がある。自治体から本来支給されるべきなのにそれができていない。【中学校・教員】
普段は職員室以外への持ち出し禁止です。しかし、校外学習等への引率の際には私物のスマートフォンを持ち歩くように指示され、学校への連絡も自分のスマートフォンを使用する。何か矛盾している気がする。【小学校・養護教諭】
生徒を撮ってはいけないと言われても、代替となる端末等を支給されているわけではないので、行事のとき等は私物の端末を使用して撮らざるを得ないから。【高等学校・教員】
私権の制限であるため守る義務はない【中学校・教員】
DXの方向性と逆行するため。【中学校・教員】
撮影禁止と謳っているだけで、実際に撮影することは可能。禁止のルールをつくるよりも、教員の問題行動を見かけたときの対処方法について研修したり、教員としてというより人としての倫理観について研修する方が実用的。【高等学校・教員】
学校が管理を行っているという視点で言うと、社会に対する責任は果たしていると思う。一方で犯罪を犯すような先生が、このルールによって減少するとは思わない。【中学校・教員】
盗撮とそのルールが明確になっていることで保護者などの安心を作るうえではある程度有効性があるが、緊急時の連絡、私的な急な連絡などには制限がかかるため教員側としては不便を感じる【特別支援学校・教員】
盗撮をするような人はルールを守らない人であり、ルールを厳しくしたところで変わらない。さらに、ルールが厳しくなると真面目な人は仕事がやりづらくなり、働き方が苦しくなる。大多数の教員を苦しめるルールになっていると思う。盗撮をなくすという教育委員会の姿勢を示しただけで、現場の働き方を苦しめる結果になっていると思う。【高等学校・教員】
Q4. 設問1で「ルールがある」「暗黙の了解がある」と答えた方に質問です。ルールに関して、困っていること・課題を感じることはありますか?(複数選択可)

最も多かったのは「他の校務時に私物スマホ・タブレットが必要なことがある」で、約半数の回答者が選択しました。「授業時に私物スマホ・タブレットが必要なことがある」の回答と合わせると計41名(重複除く)が「校務において私物スマホ・タブレットが必要なことがある」と答えており、全体の約6割に上りました。
「学校用端末の運用面に不備がある」「学校用端末が貸与されない」もそれぞれ3割以上の回答者が選択しました。
困り、課題は感じていない。【中学校・教員】
災害時。【小学校・教員】
音楽を流したい時に使えない。【小学校・教員】
道具として便利なのに使えない。【中学校・校長】
Q4-2. 困っていること・課題の詳細を教えてください(任意)
私物スマホ・タブレットが必要とされてきた場面は、授業でのICT活用だけではありません。自由記述には、校外学習や修学旅行、部活動、児童生徒の体調急変、学校施設の修繕、学級通信など、多岐にわたる場面が挙げられました。
急病の連絡、親の送り迎え連絡(肢体不自由児)。【中学校・教員】
非常時の緊急連絡のためにスマホは携帯しておくのが望ましいとされている。【小学校・教員】
校外学習や修学旅行などは、本部携帯一台以外は個人の携帯で連絡を取らざるを得ない。校外での部活動なども個人携帯のみ。校内の緊急時のインターホンなどがなく、個人携帯で連絡を取ることになっている。1人一台業務用携帯を貸与してほしい。【中学校・教員】
子どもが急に飛び出していったり、教室以外の場所で緊急事態(倒れた、大怪我をした)が発生したりした時、その場を離れて内線をかけるところまで行けないことがある。内容的に他の児童を使って知らせられないこともある。そんな時、携帯で職員室に電話をかけたい。また、スマホのリマインダー機能でタスク管理をしているので、見られないと困る。【小学校・教員】
子供の作品、ノート、板書など学習の記録を取るのにスマホは大変便利。その後の利活用もしやすい。デジカメは使いづらい。手間が多い。スマホがあれば緊急地震速報を受信し、即座に対応できる。3階などの教室にいるときは、校内放送を待たずに避難行動が開始できる。不審者や児童の体調の急変など、一刻を争う連絡もできる。個人のスマホの教室持ち込みを禁じるのなら、全職員に校務用スマホを配布してからにするべき。【小学校・教員】
学校のデジカメでしか生徒を撮影できない。台数が限られており、画素も粗い。これまでとは生徒の活動を記録することが極端に減った。【中学校・教員】
PCだとカメラの解像度が悪すぎて、写真が使い物にならず学級通信を発行できず。【小学校・教員】
HPの作成、学校パンフレットの充実、卒業アルバムの写真を公平にすることなど、教員が普段から生徒の活動写真を手軽に撮っておくことがこれまで必要であったが、それができなくなるということは、それらの作業ごとに別な方法を考えなければならないという負担感が大きくなっている。【高等学校・教員】
学校用端末の画素は低い。デジカメも各校に支給されている分は画素が低い。また端末は持ち歩きできない大きさなので、撮りたいときに撮れない。【小学校・教員】
学校用の端末(Chromebook)はありますが、大きくて重たい。カメラの機能が非常に悪い。ということもあって、スマホの代わりにはほぼなりません。【小学校・教員】
校務用タブレットは貸与されており、校外行事の写真撮影用に手続きを経て校外に持ち出すこともできるが、重たくかさばるので、写真撮影用には不向きである。一方、私物スマホでの撮影は一切禁止、デジカメもないという現状は不便である。【特別支援学校・教員】
ネットワークへの接続範囲が狭く、体育館、特別教室等で無線接続ができず端末が活用できないことが多いため、必要となるケースが多く出てくる。【小学校・事務職員】
回線制限、回線のスピード、端末のスペックの面で使用が困難。インフラ面での改善が必要。【小学校/中学校・教員】
Chromebookのカメラの質が悪い。速度が遅い。校内で電波が届かないことがある。ブロックされて見られないサイトがある。【小学校・教員】
Q5. 教職員の私物スマホ・タブレットの使用/教室持ち込みについて、現状からの改善点やあなたの考えを教えてください。
学校用スマホの貸与を求める意見が特に多く見られました。一方、一律の持ち込み禁止を支持する意見や、用途や場面を限定して私物端末を利用できるようにするべきだという意見も寄せられています。
本来なら教員用スマホを貸与されるのが一番いいと思う。セキュリティもしっかり整えたものにして、盗撮などできないようにする。民間企業でも社員にスマホが貸与されるのと同じ。【小学校・教員】
本来、仕事に個人の持ち物を使うべきではないと思う。企業は仕事に必要な機器は会社が用意し、社員はそれを使って仕事をする。学校で携帯電話がないと仕事ができない現状はおかしいと思う。学校教育で必要な物品は学校が用意すべき。【高等学校・教員】
校務用スマホを全職員に貸与し、データを全て校内サーバー、もしくはクラウド上で管理する。【小学校・教員】
学校業務に関する全てを、配布されたスマホで行う。個人スマホは職員室に置いておく。公私混同を避ける。【中学校・教員】
本校の撮影がだめな程度の規制ならあまり不自由はないが、スマホの持ち込みすら許されないとなると仕事用の端末を貸与されないと成り立たないのではないか。【中学校・教員】
教員として学校に入ったときに、私物のスマホを堂々と使用している先生が多くて驚きました。学校内の端末の充実を図り、私物は使えないルールで当然だと思っています。【小学校・職員】
撮影したデータをすぐに共有フォルダに入れる。【中等教育学校】
十分なスペックの端末の貸与、校内Wi-Fiの回線速度整備、必要なサイトへの接続制限の解除。撮影データの保管先を決まったクラウドになるように設定。【小学校/中学校・教員】
前任校の過去の学校行事の際に撮影した生徒の画像を、転任してからもずっと端末に残していたので、そういった画像はすぐに削除するべきだと思う。【高等学校・教員】
個人端末を業務で使わないのは理解できるが、持ち込み自体を禁止するのは現場に即していない。緊急時対応や連絡確認を考えると、適切なルールのもとで持ち込みは認めるべきだと思う。【小学校・教員】
個人のスマホを仕事で使いたくないが、支援を要する生徒をはじめ、緊急な場合の連絡のために教室に持っていくことが多い。PHSなど職場用の通信手段を貸与してほしい。【中学校・教員】
児童の撮影を禁止するのはよいと思うし、児童の前で出さない・見せない方針も良いと思う。しかし災害対策としても、緊急事態対応としても、スマホの所持は承認してほしい。【小学校・教員】
写真を撮るときは相手がそれを認識している状態でならOKなど、ある程度の制限を設けて私物スマホを使えるようにすればいいのでは。【小学校・教員】
特に行事の際の生徒の生き生きした姿をすぐに撮るには、持っているスマホを使用することに勝るものはないので、学校で使用できるスマホを配布してくれることがいちばんだと思っている。【高等学校・教員】
禁止だけでは限界があり、私物利用をどのようにしていくかのルールを定めた方が建設的かつ新しいテクノロジーへの対応が進むと感じている。情報モラルよりもデジタルシチズンシップの考え方を入れた方が良い。【小学校・事務職員】
盗撮事件がニュースで報じられたことを受けて、今まで生徒の活動を教員個人で撮っていたのが禁止になり、学校のデジカメで撮ることになった。以前はあまりにも多く写真を撮りすぎていたので、デジカメの台数が少なく、不便さもあるが、それで良いと思う。【中学校・教員】
教員側の視点だけでいえばとても不便を感じるが、今の世論からすると、それを退けるだけの理由にはならないし、現段階で盗撮など性に関する世間からの疑念を全く払拭できているとは言えない状態なので、致し方ないというのが実感。【特別支援学校・教員】
今回のアンケートでは、回答者の約8割が、教職員の私物スマホ・タブレットについて何らかのルールや制限があると回答しました。ルールや制限がある回答者のうち、「教室への持ち込み禁止」と回答した割合は約6割となっています。
一方、その実効性については評価が分かれ、「非常に有効」「ある程度有効」が合わせて約4割、「あまり有効でない」「全く有効でない」が約5割と拮抗しました。「児童生徒や保護者の安心感につなる」「学校としての姿勢を示すことには一定の効果がある」という意見もあるなか、「意図的な盗撮を防ぐことはできない」「大多数の教員を苦しめるルールになっている」という声も見られました。
また、今回のアンケートでは、校務における私物スマホの活用状況についても明らかになりました。具体的には、約6割が「校務において私物スマホ・タブレットが必要なことがある」と回答したほか、自由記述でも、校外学習や部活動での連絡、学校の安全に関わる場面などで私物スマホが利用されている実態が分かりました。
2026年6月に東京都北区で発生した学校火災も記憶に新しいように、学校では火災や地震、児童生徒の急病など、予期しない事態が起こり得ます。教職員が職員室を離れている場合にも、迅速に連絡や情報共有ができる手段をどのように確保するかは、学校の危機管理を考えるうえで重要な論点です。
児童生徒の安全やプライバシーを守るため、私物端末による撮影を明確に制限することは重要です。一方、それまで私物スマホに頼っていた業務を禁止するのであれば、学校用スマホやカメラ、校内外の連絡設備などを整える必要があります。
私物スマホを「持ち込ませるか、禁止するか」だけではなく、子どもの安全と教育活動の双方を支えるために、何を公費で整備し、学校全体でどのように管理するのか。今回のアンケートからは、現場の実情に即した具体的な仕組みを求める声が見えてきました。
▼ 自由記述の回答一覧は、以下よりダウンロードしてご覧ください。 ▼
紙の教科書とデジタル教科書のあり方をめぐる議論が進んでいます。2026年6月には、紙とデジタルそれぞれの良さを生かした教科書づくりを可能にする「学校教育法等の一部を改正する法律案」が成立しました。文部科学省は、この制度改正について、デジタル化自体を目的とするものではなく、これまで紙だけが認められていた教科書にデジタルを取り入れて作成できるようにすることで、子どもたちの学びの質を高めることが目的だと説明しています。

一方で、国会では「全てがデジタルの教科書」をどのように扱うかについても議論されました。松本洋平文科相は、4月の衆議院文部科学委員会で、小学校4年生以下については全てがデジタルの教科書を認めるべきではないとの考えを示しました。また、国語や社会、道徳などについても、文脈を理解しながら読むこと、書き込むこと、文章と資料を一覧で見ることなどの学習場面が想定されることから、当面は慎重に考える必要があるとの認識を示しています。
今回の法改正の中心となっているのは学習者用の教科書ですが、実際の授業では、教員が提示や説明に使う指導者用デジタル教科書も利用されています。児童生徒一人ひとりが学習者用端末で使用する「学習者用デジタル教科書」と、教員が電子黒板や大型提示装置に映して使用する「指導者用デジタル教科書」は役割や目的が異なるものですが、学校現場ではそれぞれどのように利用されているのでしょうか。
「デジタル教科書」の使用の実態について、全国の教職員に聞きました。
■対象 :全国の小〜高校年齢の児童生徒が通う一条校に勤務する教職員
■実施期間:2025年10月18日(土)〜2025年12月22日(月)
■実施方法:インターネット調査(実施時の設問はこちら)
■回答数 :34件
Q1. 学習者用デジタル教科書を使っている教科を教えてください(複数選択可)

学習者用デジタル教科書の使用状況について、小学校では「使っていない」が約6割、中学校でも「使っていない」が半数を占めました。他の校種でも「使っていない」との回答が多く、全体としても半数以上が「使っていない」という結果となりました。ただし、「2教科以上で使用」と答えた回答も一定数みられ、学校や教科によって使用状況に違いがあることも伺えます。

指導者用デジタル教科書については、学習者用とは異なる傾向が見られました。
小学校では1教科以上で使用していると答えた回答者が約8割、複数教科で使用していると答えた回答者も3割以上いたほか、中学校でも1教科以上での使用が約9割、複数教科での使用が5割以上となりました。
この結果からは、学習者用デジタル教科書と比べると、指導者用デジタル教科書は、小学校・中学校で広く使われていることが示唆されます。教員が教科書の紙面や資料を提示する、音声や動画を再生する、画面上に書き込んで説明するための指導者用デジタル教科書は、児童生徒一人ひとりが操作する学習者用デジタル教科書に比べ、授業に取り入れやすいことが考えられます。
Q3. 学習者用デジタル教科書で「使っている機能」「使ってみたい機能」はなんですか?
学習者用デジタル教科書の「使っている機能」「使ってみたい機能」について、音声読み上げやリスニング、動画や資料の提示、教科書への書き込み、図形の操作などが挙げられました。また、AIを使った個別学習、自動ヒントやフィードバックなど、現在は利用していない機能への要望も見られたほか、学習者用デジタル教科書を使用した経験がない、自治体で導入されていないため、機能がわからないという回答もありました。
国語の読み上げ機能【小学校・教員】
音読機能はかなり使っています。【中学校・教員】
スピードを変えたリスニング機能【中学校・教員】
図形の弁別や、コンパスを使った円のかき方など、図形やかさのような量感覚を養う単元で、動画再生している。【小学校・教員】
理科の実験や、自然現象など、映像で動画が見れる機能。【高等学校・教員】
「使ってみたい機能」:教科書本文の投影ならびに付属する資料リンクにすぐ飛べるところ。【高等学校・教員】
参考作品例の写真や、キネティックな作品の動画などを見せています。でも参考例は少ないし、動画ばかりだと見せるのに時間がかかるので、スライドショー方式にしてほしいです。【小学校・教員】
単語アプリ(単語の問題がでる)【中学校・教員】
教科書に直接書き込む(文字やメモ)図形の移動・回転・拡大縮小(算数)
解答に対して自動ヒント・フィードバックをもらえる機能【小学校・教員】
AIと連動した個別最適な内容【中学校・教員】
使ってみたい機能:あるのかは分かりませんが、書いた作品を写真でとるとコメントがつく機能【小学校・教員】
音声読み上げ
デジタルドリル
動画視聴
新出漢字のなぞり書き
デジタル資料(補足)【中学校・教員】
使ったことがないのでどのような便利な機能があるか分かりません。また、紙の教科書と異なる点が浮かばないです。費用の関係があるのならば、デジタルでもいいのかなという程度です。【中学校・教員】
使ってないのでわからないです【高等学校・教員】
勤務する市は学習者用のデジタル教科書は使えない。使えるようにしてもらいたいと思う。【小学校・教員】
Q4. 学習者用デジタル教科書を使っていない、または使いにくいと感じる理由を教えてください

選択肢の中では、「できるだけ紙や手書きを経験させたいから」「使いたい機能がない/必要性を感じないから」の「学習者用デジタル教科書の必要性」に関する理由を挙げる回答が多く見られました。次に、「教員の機器等の整備が不足しているから」「児童生徒の機器等の整備が不足しているから」の、機器整備不足の理由を挙げる声が続いています。
逆に、教員・児童生徒の準備の手間、使い方の難しさや、トラブルの回避を理由とした回答は比較的少数でした。「その他」として挙げられた意見も、「自治体で導入されていない」「使える環境にない」「端末の動作が遅い」など、学習者用デジタル教科書の機能や使いにくさというより制度や端末上の問題を挙げる声が多く見られました。
Q5. 学習者用デジタル教科書やその取り扱いに対して、あなたの考えを教えてください。
理科では毎時間利用している。実験の仕方を伝えるのには有効であるし、動画も活用できる。【小学校・教員】
活用したい。
使い方を丁寧に指導しなければいけないと思う。【中学校・教員】
使えるならどんどん使った方が良い。【中学校・教員】
家庭でも見られること。授業準備が進めやすい。【小学校・教員】
長文や複雑な文章の読解において紙の方が優位であるというのは周知の事実です。デジタルにするメリットは、「軽くなる」だけだと思っています。
拡大や読み上げが必要な生徒には大事なツールかもしれませんが、全生徒対象にすることはデメリットが大きすぎます。【中学校・教員】
小学生のうちはできるだけ紙ベースの教科書を使わせたい。ページをめくる、それだけでも数の量感にもつながるし、端末を起動させて、Wi-Fiにつないだら必要な箇所を接続して…という手間と児童用の机の上のスペースを考えると、紙ベースの教科書メインの方が小学生の子どもの実態に合っている。また、電子黒板に大きく投影できるのでタブレット端末の小さな画面にそれぞれの子どもが見るよりも視力への影響が小さいと思う。【小学校・教員】
画像や動画を生徒が自分で見たり、教室で投影してみんなで見たりすることで、役立つ場面はあります。
ただし、授業前に動画を予習するのは、文章や画像を予習するよりも時間がかかり、負担が大きくなりがちです。
今後の教科書の在り方として、紙とデジタルの教科書に同じ内容を持たせるのではなく、紙の教科書はボリュームを抑えて基礎・基本を構成し、全体像をつかるものとし、関連資料や発展内容をデジタルで補う形がよいと考えます。【高等学校・教員】
学習者用デジタル教科書については、便利な機能が多く、特に算数の図形操作などは理解を深めるのに有効だと感じます。
しかし、国語の物語文や説明文の学習では、紙の教科書の方が記憶の定着や見返しのしやすさという面で優れていると感じます。デジタルだとページをめくったり戻ったりする手間がかかる場合があり、特に文章の構造を理解する際には紙媒体の方が直感的に整理しやすいと思います。
そのため、教科や学習目的によって、紙とデジタルを使い分けることが効果的ではないかと考えます。【小学校・教員】
補助的に使うことには賛成。
でも、デジタル教科書をメインに使って学力の向上につながるとは考えられないので、全面的な導入には反対。【高等学校・教員】
資料の読み取りに関しては非常に効果はあると思うが、それ以外は紙の教科書をメインにしている。【中学校・教員】
数学という教科では、指導者も学習者もデジタル教科書を使いやすいと思っていないため、不要だと思う。【中学校・教員】
紙で済むなら紙がいい。デジタルでは脳も目も疲れるし、電気もくうので不便。【中等教育学校・教員】
教科書以外でもデジタルというだけで、学習効果の期待値は低いです。【小学校・教員】
世界ではデジタルから紙に戻っているのに、どうなるんだろうと心配している【高等学校・教員】
必要ないと思います。【中学校・教員】
「多彩な学習支援機能」を使いこなせるほど優秀な生徒はほんの一部で、大半の生徒は認知負荷が増えるだけです。効果的だと考えているのは優秀な大人だけで、一般的な生徒や学習が苦手な生徒にとっては「複雑・面倒くさい」と思うだけです。
一方、指導者用デジタル教科書は、とても教育効果が高いと思います。【中学校・教員】
社会科などで資料から気づいたことを書き込ませることに利点がある一方、微妙な配置に意識が向いていじる子もいて期待する活動の質が下がることはある。
理科では、教科書裏表1ページで実験ー結果考察の組合せとなっていて、実験(実技)中心使う必要がない。
私は外国語専科で話す実技と活動量を重視するため、リスニングはさっとやってシャドーイングに繋げる程度で、教師用を使って一斉指導でやってしまう。
学習者用がなくてもいいけれど、指導者用がないと不便に思う。【小学校・教員】
学習者用・教員用ともに端末のメンテナンス・無線環境の安定化を図るべくインフラと専門職員の常駐化を整備し、校舎の既存のネットワークシステム及び自治体の情報通信基盤を大幅に改良頂きたいです。【中学校・教員】
生徒用のデジタル教科書は、高いし買ったら生徒のタブレットに入れる作業が大変だ、ということで全く導入の予定がない。
毎日来るわけでもなく、超多忙そうなICT支援員や係職員の負担を考えて導入しないというのはどうかと思うがそれが現実だ。【高等学校・教員】
学習者用のデジタル教科書はタッチペン機能が機能するタブレットが全生徒に配布されれば、私は是非使ってみたいと考えています。
教科書に私がメモしていることを黒板に投影し、ロイロノートなどのアプリケーションで生徒も同時並行で見る機能がちゃんと使えれば、こちらがスライドやプリント作成などの手間も大幅に省けると思っています。
ただし、勤務校では、タッチペンの用意は生徒の自腹となるのが非常にネックです。それ以外の方法も探せばあると思うのですが…。【高等学校・教員】
ログインのためにアドレスやパスワードの入力がめんどうだったり、アドレスの入力がうまくできず時間がかかり場合が少なくない。【小学校/中学校・教員】
指導案通りの学習活動のためにしか使えない機能が8割を占めるものがある。それがうまく生徒たちにフィットするなら苦労はしない。むしろ教員によるカスタマイズの幅がなければ。【中学校・教員】
紙の教科書以上の機能があれば使いたいが、そんなに充実しているとは思えないので、あまり必要性を感じない。教科書に載っていない資料や動画が充実すれば使うかもしれない。【中学校・教員】
生徒が今どんな画面を見て何をしているのか?教師の課題に応じた学習に取り組めているのかを1台端末だと把握できるようになるとありがたいです。【中学校・教員】
図工は紙の教科書だと汚れたり、机の上で場所をとって制作しづらいことがあるので、デジタルで見せられるのはよいと思う。ただ今のスタイルは使いづらいところが多いので、もっと現場の声を拾ってほしい。【小学校・教員】
今回のアンケートでは、学習者用デジタル教科書について、小学校では約6割、中学校では半数が「使っていない」と回答しました。一方、指導者用デジタル教科書を何らかの教科で使用している割合は、小学校で約8割、中学校で9割近くに上っており、学習者用と指導者用のデジタル教科書で学校現場への広がり方に差が見られました。
この違いは、両者が想定する使い方とも関係していると考えられます。指導者用デジタル教科書は、教員による説明や一斉提示を中心とした授業にも取り入れやすい一方、学習者用デジタル教科書は、1人1台端末を生かし、児童生徒が自分のペースで学ぶことや、個別最適な学びにつなげる授業設計が求められます。その意味で今回の結果は、学校教育現場でのデジタル活用が「一斉指導補助」中心で、「児童生徒一人ひとりの学びの支援」がまだ広がっていないことを示しているとも捉えられます。
学習者用デジタル教科書を使っていない、または使いにくい理由では、「紙や手書きを経験させたい」が約2割を占めたほか、必要とする機能がないことや、児童生徒・教員の機器整備も比較的多く挙げられました。一方、自由記述では、紙の教科書を重視する意見だけでなく、図形操作、音声、動画、資料提示など、教科や学習場面によってデジタルを活用したいという声も見られました。現場がデジタル教科書を一律に否定しているのではなく、紙とデジタルの適切な使い分けを模索していることがうかがえます。
2026年6月に成立した改正法も、教科書を一律にデジタルへ置き換えるものではありません。「紙とデジタルを組み合わせたもの」などを新たな教科書として制度上位置づけ、教科書をよりわかりやすく、学びやすくすることが目的とされています。7月16日の文部科学省の検討会議で報告された全国の教科書採択権者への意向調査でも、「ハイブリッドな形態の教科書」を望む割合は、小学校で88.3%、中学校で86.3%、高等学校で78.4%と、いずれの校種でも最多となりました。小学校低・中学年では紙の割合が多い形態を望む傾向がある一方、小学校高学年や中学校の英語・実技系教科などでは、デジタルを半分程度以上取り入れることを望む回答も比較的多く見られます。今回のアンケートに寄せられた、教科や場面に応じて使い分けたいという声とも重なる結果です。
同時に、学年や教科による一定の基準と、一人ひとりの学びやすさをどう両立するかも重要な論点です。松本文科相は、紙の教科書では学習が困難な児童生徒について、検定教科書の内容をデジタル化したものを「教科用特定図書等」として使えるようにする考えを示しています。元麹町中学校校長である工藤勇一氏も、年齢や学年で一律に区切ることへの疑問を示し、紙の文字を読むことが大きな負担となる子どもなど、多様な学び方を保障する視点の必要性を指摘しています。発達段階への配慮と、個々の状況に応じた選択肢の保障を、対立させずに考える必要があるでしょう。(参考:工藤勇一氏X投稿)
また、一部で報道されている海外の「紙の教科書への回帰」をめぐる議論についても、「デジタルをやめて紙に戻した」と単純化することには注意が必要です。制度や教材の質、利用時間、教科、学習場面など、複数の条件を分けて検討することが求められます。(参考:「「スウェーデンは紙に回帰」は本当か」日経BP、工藤勇一氏X投稿)
紙かデジタルかという二者択一ではなく、誰が、どの教科で、どの場面に、どのような目的で使うのか。その選択を実質的なものにするためには、端末や通信環境を整えることはもちろん、教材の操作性、費用、校内ICT支援体制を充実させること、そして何より、「児童生徒一人ひとりの学びやすさを高めること」という目的を忘れずに、発達段階や教科特性に応じた最適な指導方法を常に模索していくことが重要です。
▼ 自由記述の回答一覧は、以下よりダウンロードしてご覧ください。 ▼
神奈川県の公立A小学校では、多様な子どもたちがいることを前提に、日々の実践の中で「学校の当たり前」を問い直し、できることから少しずつ調整をしています。
どうすれば子どもたちが安心して過ごせるのか。
どうすれば教員が安心して授業に取り組むことができるのか。
前編では各学級の具体的な調整の様子をお伝えしました。しかし、これまでにない環境調整を試みるとき、自然なこととして戸惑いや心配も伴います。
前編では、「子どもたちがちゃんとできるようにしておかないと、次の先生が大変だろうと心配していた」と話してくれた教員もいました。A小学校では、その心配はどのように解消されてきたのでしょうか。
今回は、各教員の悩みや試行錯誤、それぞれの工夫などが学校全体でどのようにサポートされているのかに迫ります。
※本記事は2026年3月16日(2025年度)に取材した内容で構成しています。現在の組織体制や取り組みと異なる点もありますので、あらかじめご了承ください。
発表が苦手な子、長時間座っていることが苦しい子、集団の中で安心できない子——そんな子どもたちに対して、これまで学校では、「みんなと同じようにできるためにその子をどう頑張らせるか」と考えることが多かったのではないでしょうか。
A小学校の設置自治体の『教育振興基本計画』では、第一に『学校は、安全安心のもと、心身の健康を保ち、社会を生きていくために必要な力やプロセスを学びながら、人格の形成を図る場所』と謳われています。市教委がすすめる「安心・安全な学校づくり」を検討する中で、A小学校が力を入れているのは、誰もが安心して過ごせる「基礎的環境整備」です。
そして、「子どもを枠に合わせるのではなく、環境や構造をアップデートする」という「社会モデル」の視点で教員が対話を重ね、試行錯誤が進められています。校長先生は、学校がかなり変わってきたと実感しています。
「私が校長に着任した当初から、A小学校は地域の皆さんにあたたかく見守られ、子どもたちも教員ものびのびしている印象がありました。そのベースの上にいっそう『いいと思うことはやってみる』風土ができたように思います。また、間違えても失敗しても大丈夫、困った時には誰かがきちんと話を聞いてくれるという安心感が、子どもたちだけでなく教員にも広がっています」(校長)
前編で紹介したような各学級の工夫だけでなく、学校全体でも環境整備は進められていました。上履きや赤白帽子の貸し出しボックスや、昇降口に設置されたベンチなど、小さなことから「試しにやってみる」と、見える景色が変わってきたと教頭先生は言います。
「様々な状況により新しい上履きを持ってこられない子もいます。気軽に借りられることで一つの安心が生まれる。起立性調節障害で登校時に気分が悪くなる子や、保護者と別れがたい子が、朝、昇降口で少しベンチに座ることで、気持ちを落ち着かせることができる。そんな様子が目に見えてくるようになりました」(教頭)

全ての昇降口にベンチを設置。登校時に少し休憩をして気持ちを入れ替えたり、一緒に登校した保護者と座って話したりする姿も見られると言います。
上履きや帽子に関しては、「借りればいいと思って持ってこなくなるのではないか」「保護者に意識してもらえなくなるのではないか」という懸念を持つ教員もいますが、これからもそのような懸念を含めて対話を続けていくことが大切だと教頭先生は考えています。
秋には、そのような対話を深める機会として、学校DE&Iコンサルタントの武田緑さんによる研修も行われました。「現在の学校現場が直面している多様性の受容、インクルーシブ教育の推進などについて、ワークショップを交えながら教職員が主体的に関わっていける研修を実施したい」と教頭先生が希望し、実現したものでした。
10月下旬、第1回目は「『すべての子どもが参加できる授業』について考えましょう」という問いかけから研修は始まりました。「教室の環境づくり」「授業改革」などテーマごとに分かれ、日々それぞれの学級で感じている迷いや違和感を模造紙に書き出します。
「教室の環境づくり」では、「床に座れるリラックススペースが欲しい」という案がでましたが、「学年や学校で揃える必要がある」「ルールの徹底が必要」ではないかという意見もありました。「授業改革」での「多様性を受け入れるためにも自由進度学習を進めたい」という案に対しては、「個人の差が出やすい」「テストはどうするか」などの懸念も出されました。
出された懸念は、対立した意見と捉えるのではなく、「なぜそう思うのか」「心配なことは何か」を出来るだけフラットに話し合える場づくりが行われます。その背景に教員の感じているプレッシャーや他のクラスへの配慮があることも多く、ではそれはどうすれば取り除けるのかという話し合いに深まっていきました。

また、「職員室や教員の働き方」についても、「気軽に話せるスペースが欲しい」「先生を増やしてほしい」「楽しい職場にしたい」「成績を無くしたい!」「トイレにウォシュレットがほしい」などの幅広い意見を、リラックスした雰囲気で出し合うことができました。
この研修後、いくつかの学級では子どもたちと話し合いながら、前編で紹介したような小さな工夫を早速始める学級が増えていきました。リラックススペースやクールダウンコーナーづくり、席替えの仕組みの変更、自由進度学習の導入などです。
新しい取り組みが始まれば、また新たな課題が見えてきます。3か月後、1月下旬の第2回の研修では、それぞれの「試み」の現在地をシェアしました。学級での「試み」の内容、いいこと、困っていること、これからどうしていくかなどについて出し合い、共有し、みんなで考えたい・相談したい・取り組みたいことについても対話を重ねました。


高学年担任のある先生は、各学級での取り組みについての教員の懸念を払拭していくためにも、このような対話は欠かせないと言います。
「学校全体の子どもたちを考えると、リラックススペースのような新たな取り組みが単年度で終わる可能性や、学校全体で引き継がれないことへの懸念もあります。学年や学級ごとに実践が異なる場合には、『隣のクラスだけずるい』『去年はできたのにどうして今年はできないの』など、子どもたちに不公平感が生じたときにどう説明するのか足並みを揃えておかないと、教員間の関係性も崩れてしまいますから、教員全体での対話はとても重要です」
このように話をしてくれた先生は、2回の研修が行われた令和7年度の研究主任でもあり、研究授業についても改革を進めてきました。一般的に研究授業では「教師の指導技術」を評価する空気が強く、授業者が萎縮してしまうことも多いのですが、A小学校では、まず研究授業担当の教員が何をしたかったのか、どんな手応えがあったのかを発表し、参観者は「教師の教え方」ではなく「子どもの変化」を見よう、と視点を変えるよう促してきました。
「授業後の振り返りで、『子どもがどんな場面でどんな反応をしていたか』『どんな表情だったか』などを共有するようにしています。授業中の子どもを観察して建設的にフィードバックできる環境を整えれば、教員も安心して挑戦して学び合えますし、子どもの理解やお互いの実践への理解が深まると思うのです」
教員同士の対話を促して理解を深め、互いを評価するのではなく子どもの変化を見ることで、教員自身の安心が確かなものになっていきます。それが土台となり、学校の環境も、授業の実践も柔軟に変化していくことができているように見えました。
このように新しい試みにトライする背景には、学校全体でさまざまなアプローチからその子の行動の背景にある思いや困難を理解しようと努めていることも大きく影響しているようです。
この市では、支援を必要とする児童への対応やいじめなども含む教育相談の窓口として「児童支援専任教諭」「教育相談コーディネーター」を全ての小中学校に配置しています。A小学校では、児童支援専任教諭と教育相談コーディネーターを兼任する先生の存在があります。
校舎内には、特別支援教育の固定級や通級とは別に、クールダウンが必要な子どもたちがゆっくり過ごせる校内教育支援センターがあり、児童支援専任教諭が迎えてくれます。子どもたちは、授業中、教室にいられなくなったとしても、保健室や支援室など複数の居場所の中から、自分が過ごす場所を選ぶことができるのです。
「私の場合は、教育相談コーディネーターも兼ねていますので、保護者からの相談があった時には私が担任との間に入って、それぞれの話を聞き、一緒に考えるんです。学校に来られないお子さんの保護者とも定期的にお話ししています。これまで長年学級担任や教育委員会での仕事をしてきましたが、今、悩みながらも一人ひとりの悩みや困り感にスポットを当てて考えられるようになったのは私の大きな変化でもあります。これまでの現場ではなかなかできなかったことです」(児童支援専任教諭)
児童支援専任教諭あり、教育相談コーディネーターでもある先生が保護者と担任の面談に入って関係調整を行う三者面談は、A小学校では年間60〜70件、多いときには1日に3件入ることもあると言います。一度で話し合いを終えるのではなく、何度も会って話をしながら保護者にも伴走する体制が整えられています。
また、A小学校には外国籍の子どもたちも多く在籍し、文化や宗教などに子どもたちの出身国の文化や宗教に配慮した教育を進めています。国際教育を長年担当してきた先生もA小学校には欠かせない存在です。
日本語を全く話せない子どもには、挨拶や「トイレに行きたい」など必要な日本語を話せるようになるサバイバル会話から始めます。教科書を翻訳して準備し、ポケトークを使用してテストを実施。保護者向けに学校だよりを翻訳するなどもしています。特定の宗教上の理由で食べられない食材がある子どもには、給食の献立について事前に情報共有し、代替食の準備を促すなどの配慮も行ないます。

「通常の学級で異文化理解を深めるための出前授業を行うこともとても大事です。子どもたちの多文化共生教育にも力を入れています。先日は、教員研修で、わからない言語で勉強する大変さを体験してもらいました。さあ、やってみてくださいと外国語のプリントを渡したり、スペイン語で絵本を読み聞かせたりすると、子どもたちがどんな思いで45分間座って授業を受けているのかを実感として理解してくれるようになります」(国際教室担当)
このような研修は、外国にルーツのある子どもたちの理解だけにとどまらず、さまざまな子どもの行動の背景に「何か困りごとがあるのでは」「そうならないためにはどう環境調整すればいいだろう」と考えるきっかけになるでしょう。
そして、教頭先生の存在も重要です。教頭先生は、子どもたちから「フロアワイパー先生」とも呼ばれています。毎日フロアワイパーで学校中を掃除しているのです。取材当日も、教頭先生はいつものエプロン姿で現れ、フロアワイパーを片手に校舎内を歩き回って案内してくれました。教室を飛び出したものの、保健室や支援室にもいくことができない子どもにとって、教頭先生が安心できる居場所になることもあります。
一時期、すぐに教室を飛び出し、中庭で水を撒いて遊ぶ子がいました。教頭先生は当初、追いかけて水遊びをやめさせようと試みましたが、なかなかやめてくれません。そこで、その子自身が興味を持っていたラグビーに誘い、一定期間、徹底的にラグビーボールで教頭先生が一緒に遊ぶことでようやく落ち着いていきました。現在は、次の課題として「その子にとっての学びは何か」を検討しています。
教頭先生は、15年前から5年間、市の教育委員会指導室で特別支援教育(就学・移籍相談も含む)に携わってきたことが今につながっていると言います。
「当時から、子どもを『支援の必要な児童』として見るのではなく、学校全体での基礎的環境整備の充実を目指したいと考えていました。最近は特に、『支援の必要な児童』と子どもを捉えてしまう大人の視点を学校現場から減らしていくことを目指しています。先にお話しした水遊びの好きな子も、自由に活動できる保育園ではリーダーシップをとるタイプで、みんなの中心になって頑張っていたと聞いています。環境が違うところで子どもたちが違う動きをするのは当然です。では学校という環境の中で私たちは何ができるのか。それは、教員が考えて工夫していかなければならないと思っています。
「フロアワイパーを持っていると『ちょっと掃除に来ました』という雰囲気で自然に教室に入れるし、学校も綺麗になります。教員との上下関係のプレッシャーも少しは減るだろうし、子どもたちも気軽に話しかけてくれる。楽しいですよ」(教頭先生)
教頭先生は掃除をしながら校内をくまなく歩き、授業の様子を横目で観て、教室にも入って子どもたちと笑顔で言葉を交わしていました。その中で、子どもたちや教員が安心して過ごせる環境をどう整えていくことができるかを考えているようでした。教頭先生は、安心できる環境を整え、その子、その教員が満たされた時、自ら学びに向かうことができる、自ら動き出せると考えています。
「先生たちには、何かヒントや提案を投げかけることや、いいねえと声をかけることはありますが、強制はしません。子どもも教員も同じで、強制しても続かないんですよね。授業も学級経営も研修も同じで、『やらされる感』は持ってほしくない。当事者意識を持って、それぞれの先生がやりたいことを進めてほしい。やりたいと言われればチャレンジしようと背中を押すし、思い浮かばないときやわからないときは一緒に考えようと伝えています」
A小学校では、一見、各学級で個々に思い切った取り組みを進めているようにも見えますが、そこにはシンプルな軸が貫かれていました。子どもも大人も安心できる環境をつくり、関係性を大切に育み、対話を重ねて試行錯誤する。そのことが、子どもたちにも教員の間にもしっかりと保障されているように見えました。
たくさんの子どもたちがともに過ごす教室で、一人ひとりに寄り添うことの難しさを感じている——授業中にみんなと違うことをしている、教室にいることができない、そんな子どもたちを前に、どんなことができるのでしょうか。
神奈川県にあるA小学校では、通常の学級でも教室や学校の「当たり前」を子どもたちとともに改めて問い直すことから、確かな変化が始まっています。学校経営目標の一つでもある「安全で安心な学校」を目指し、学校全体でそれぞれの学級の試行錯誤を支えています。
話を聞いた教員の言葉には、子どもがよりよい学校生活が送れるよう、子どもの声をていねいに聞き、学校の「当たり前」を見直し、その子のありのままを受け入れようとする眼差しがありました。特別な支援を必要とする子だけでなく、すべての子どもたちが学校で自分らしく学べる環境につながる試みでもあるようです。
※本記事は2026年3月16日(2025年度)に取材した内容で構成しています。現在の組織体制や取り組みと異なる点もありますので、あらかじめご了承ください。
小学校に入学したばかりの子どもたちは、入学前に過ごしてきた環境が大きく異なります。保育園や幼稚園、家庭環境などによって、その子にとっての「当たり前」は実にさまざま。集団行動に慣れている子もいれば、まだ個別の遊びを好む子もいます。じっと座っていることが苦手で、つい立ち歩いてしまう子もいます。
低学年のある学級では、年度当初、情動のコントロールが難しく、泣いて教室を出てしまう子がいました。今、教室の後方にはポップアップ式のテントがあり、必要な子は必要な時にテントを利用できるようにしています。
「感情がたかぶった時などはクールダウンの時間と空間が必要だと考えました。テントを用意した当初はずっと出しておくつもりでしたが、みんなが中に入りたくなってしまって、本来使いたい人が使えなくなってしまったんです。そこで、子どもたちと話し合いながらルールを決めて、気持ちを落ち着かせるために必要なときだけ使おうねと約束しました」(担任)

テントは、外から中の様子がうっすらと見えるメッシュ素材で、中に入った子どもからは教室の様子がよく見えます。気持ちが落ち着かないときに、一時的に入るプライベートな空間として使います。
「安心グッズを持って入って横になることもあれば、自由にテントで過ごして、気持ちが落ち着くと自分から出てきて通常授業に戻ることもあります。テントの中でいつの間にか落ちついて、そっと入れておいた課題に取り組んでいることもありました。無理に授業に戻す声かけをするよりも効果的で、自分で落ち着く方法を見つける手がかりになっているようです」(担任)
教員16年目にして初めて低学年の担任になり、1学期はかなり戸惑ったという先生は、当初の悩みを次のように語ります。
「これまで4年生以上を受け持つことが多かったので、最初は授業の時間配分や声掛けに難しさを感じました。想像以上に時間もかかりますし、難しい言葉だと子どもたちに届かない。私自身、子どもはまとまって動いてほしいと思っていました。そんな中、授業中じっと座っていられず立ち歩いてしまう子や、教室を飛び出してしまう子もいて。どうしたら座れるんだろう、集中力が続かない原因はなんだろう。話しかけられた周りの子も、おしゃべりしたくなってしまうかもしれないと、あれこれ悩んでいました」(担任)
個別の対応または支援を必要とする児童のことを考えながら、少しずつできそうなことを試し、子どもの様子を見て工夫を繰り返してきました。
※スクイーズを握ることで感覚刺激が入り、ストレスを緩和する、集中力を高めるなどの効果がある。

「個別に対応をしていても、周りの子どもたちはその子を特別視することがほとんどありません。この学校では多くの教員が特別視せずに接しているからなのかもしれません。教室にいられないことがあったとしても、休み時間にはみんなと一緒に楽しそうに遊んでいますし、持参したグッズについても、『お家の人と先生が話し合って約束をして持ってきている』と説明すれば、『あの子はこのグッズが必要なんだね』と理解してくれます」(低学年担任)
低学年は、45分間じっと聞くだけの授業では子どもたちも苦しくなると気づいた担任は、ペアで話し合ったり、課題が終わった際にそれぞれが席を立って課題を前に提出しにきたりできるようにと、工夫もしています。
「少しでも体を動かして気分転換できるといいなと思っているのですが、それだけでは動き足りない子もいます。特に、教室を飛び出してしまう子に関しては、どこにいるかわからなくなってしまうことが本当に不安でした」(低学年担任)
最初は、教室を飛び出してしまう子を担任自ら追いかけていましたが、校内の電話で職員室に情報を共有すると、授業がない教員や管理職、児童支援を担当する中核教諭などがその子の状況を把握して見守ってくれるようになりました。その際、担任に対して厳しい意見はなく、「今日も出ちゃったねえ。ここで見ているから大丈夫だよ」と、学校全体でおおらかに受け入れてくれると言います。
前出の担任は、「子どもたちがちゃんと授業を受けられるようにしておかないと、このまま学年が上がれば、新しい担任の先生が大変だろうと心配していた」と振り返ります。低学年は他の学級の授業の様子を見に行くことができず、各クラスでどのような対応をしているのかもしばらくわからないままでした。
「でも研修で、1つ上の学年のクラス担任に普段の様子を聞いてハッとしました。昨年度まで立ち歩いていた子どもたちも座って過ごせるようになっているようでしたし、いろんな先生方の工夫や教室環境について知ることができました。この学校は、やってみようと思ったことを先生たちが安心して試せる環境だと思います」(低学年担任)
低学年の学級には、工作が大好きな子どもが数名います。昨年度は、授業参加が難しく友達トラブルが多い時期もあったものの、今では工作をしながら少しずつプリントなども終わらせられるようになり、トラブルも以前と比べて減っていると言います。
「トラブルの多さを解消するにはどうすればいいかを考えると、やはりまずその子自身が落ち着くことが必要です。そのためにも、好きなことができる時間が必要なのかなと考えています。カッとなってからクールダウンするのではなく、そもそもカッとならないように、その子が満足できる生活が学校で送れるといいなと。最初は折り紙から始まって、今は工作にたどり着きました。ダンボールで工作をしたいのなら、ノートをとるなどやるべきことはやろうねと伝えています」(低学年担任)
書き写すことが難しいなどの状況があれば、分量を調整したり、赤鉛筆などで下書きしたものをなぞるなどその子にできることを準備します。つくったものがたまっていく子には窓際に工作物を展示するギャラリースペースをつくり、机の上が物があふれて片付けられない子には、段ボール箱を横に置いて一時的な入れ物として使うことを認めています。
休み時間、工作を通じて折り紙を擬似通貨にしたお店屋さんごっこが始まり、ある子が折り紙の通貨について説明してくれました。

「今はね、つくった剣を折り紙3枚で売ってね、カラー輪ゴムでカスタムするのは無料でできるんだよ。でもあんまり折り紙が集まりすぎると、みんなの折り紙がなくなってそれ以上売れなくなっちゃうし、お家の人が買ってくれた折り紙がなくなると大変なことになるでしょ。だから、荒稼ぎをしないようにしてるんだ」
お店をするにはコミュニケーションが必要になり、実際のやりとりの中でさまざまな困りごとや調整が必要になります。やりたいことをやるためにルールが生まれ、調整の必要性を理解できるようになる。こうしてコミュニケーションスキルも磨かれているようです。
A小学校では、「小さな違和感」を抱いたならば、これまで「当たり前」とされてきたことでもていねいに問い直すことから変化を生み出しています。高学年のあるクラスでは、子どもたちと共にその話し合いを進めていました。
その一つが、「席替え」の仕組みです。それまで、席替えは「日直が一巡したら」「月に1回程度」などの頻度で行われるのが「当たり前」でした。しかし、子どもたちの意見をきっかけに、「席替え」を見直すことになりました。
席替えの席によっては、一か月間楽しく過ごす子もいれば、不満を抱えながら過ごす子もいます。その席になったことでがっかりする子も出てきてしまったため、担任の教員は「このままで良いのだろうか」と疑問を抱きました。子どもたちの感情が、席替えという「当たり前」の慣習によって大きく左右されていることに気づいたのです。
そこで、「毎日席替えするのはどうか」と子どもたちに提案してみました。
「気に入らない席になっても、1日経てば毎朝リフレッシュして過ごせるんじゃないかな」
この大胆な提案に子どもたちは驚きつつ、真剣に考え始めました。中には「毎日新しい友達と話せるのは楽しい」という肯定的な意見もありましたが、多くの声は、「毎日だと多すぎる」「慣れる前に変わってしまうのは嫌だ」というものでした。
席替えは子どもたちにとって非常に深刻な問題で、人間関係や学習環境に直結するものでした。真剣な議論が必要なテーマだったのです。話し合った結果、まず週1回、その後週2回へと頻度を調整することになりました。子どもたちの意見をていねいに聞き、試行錯誤を重ねることで、最適な頻度を模索しました。年度末の3月には毎日の席替えも実現しました。
AIで作成したルーレット方式で全ての席順を一斉に発表。視力などの問題で前のほうの席がいい人は事前にプログラミングしておきます。子どもたちは少し嫌な席でも「まあ1週間だから我慢しよう」となり、教員自身も賑やかな子が近くに固まってしまったなと思っても、「まあ1週間だから頑張ろう」となると笑います。
「これが全ての学年でいいとも思わないし、クラス替えしたばかりのときはどうかというと疑問が残ります。子どもたちの様子を見ながら子どもたちの声を聞いて話し合っていくことが大事なのだと思います」
先生が一方的にルールを決めるのではなく、子どもたちの声に耳を傾け、彼らの視点から「当たり前」を問い直す。このようにして「学校の当たり前」が少しずつ変わり始めているのです。
A小学校では、日々の実践の中で「学校の当たり前」に疑問を抱いたとき、そのままにせず、できることを模索し、それぞれの学級で変えられるところから少しずつ調整している様子が見られました。多様な子どもたちを受け入れ、個々の「当たり前」を尊重しようとする文化が根付きはじめています。
個々の教員の「小さな違和感」から始まったこれらの実践は、学校全体に少しずつ広がりを見せています。どのケースでも重点を置いているのは、一人ひとりの様子をていねいに見ながら、どうすれば子どもたちが安心して過ごせるのか、教員が安心して授業に取り組むことができるのかということです。
しかしながら、どのケースでも、迷いや葛藤は次々に生まれます。後編では、このような試みがどのように学校全体で共有され、教員間での対話が行われているかを紹介します。
NPO法人School Voice Projectは、2023年度から「“#新年度準備期間を十分に”キャンペーン」を行い、「全国どこでも最低平日5日間の準備期間確保」を呼びかけてきました(詳細はこちら)。そうした成果もあってか、ここ数年で新年度準備期間を延長する自治体が徐々に増えてきています。
今回のアンケートでは、実際に準備期間が延長された学校で何が変わったのか、教職員がどのような効果を実感しているのかを中心に、新年度準備期間の実態を調査しました。
今回の記事では、前半部分にアンケート結果の概要、後半部分に各校種別・自治体別の詳細な分析を掲載いたしました。 後半部分 には、校種別の始業式日程の状況の詳細や、始業式日程を後ろ倒しにした自治体の一覧等をまとめています。
■対象 :全国の小〜高校年齢の児童生徒が通う一条校に勤務する教職員
■実施期間:2026年3月20日(金)〜2026年5月11日(月)
■実施方法:インターネット調査(実施時の設問はこちら)
■回答数 :158件
Q1. あなたの勤務校では、令和8(2026)年度の始業式は4月何日ですか

2026年度の始業式の日程について、158人(回答校数160校 ※重複あり)の中では「4月8日(水)」が最も多く35%(56校)、次いで「4月7日(火)」が29%(46校)、「4月6日(月)」が23%(37校)という結果でした。4月8日以降を合わせると46%(74件)となり、約半数の学校が、土日を除いて5日間以上の準備期間を確保できていることがわかります。
一方、地域別に見ると、関東は「4月6日(月)」が約4割と突出して多く、他地域より始業式が早い傾向が見られます。これに対して近畿は「4月8日(水)」が約6割、北海道・東北も「4月8日(水)」が半数と集中しており、始業式の日程が比較的遅め(=準備期間を長く確保できている)傾向があります。中部や九州・沖縄は4月7日を中心に日程が分散しており、地域によって準備期間の確保状況に差があることが読み取れます。
Q2. あなたの勤務校では、2023年度以降(ここ4年間で)、4月の始業式日程が後ろ倒しされ、新年度準備期間が延長されましたか?
Q3. 2022年度は始業式は4月何日でしたか?


ここ4年間で新年度準備期間が延長された学校は、全体の24%(38校)という結果になりました。このうち延長された学校に後ろ倒しされた期間を聞いたところ、「2日間」の後ろ倒しが最も多く(50%)、次いで「1日間」(34%)と1〜2日間の延長が約8割を占めました。
Q4. 以下の中から新年度準備期間が延長されたことで『改善された』と考える項目を選択してください(複数回答可 / 必須)

準備期間が延長された教職員(37人)に、どのような課題が改善したかを尋ねたところ、「教科や学級の準備が不十分になる」(84%)、「校務分掌の準備が不十分になる」(76%)と、教科・学級経営・校務分掌等の準備不足が改善されたという意見や、「休日出勤や残業が増える」(78%)のように労働時間の改善がなされたという意見が多く見られました。
このことからも、準備期間の延長が、教育の質の向上と教職員の働き方の改善を促す可能性が示されました。
新年度準備期間が延長されたことで『改善された』と考える項目
1位:教科や学級の準備不足(84%:31人)
2位:時間外勤務(残業・休日出勤)(78%:29人)
3位:校務分掌の準備不足(76%:28人)
4位:児童生徒支援のための情報共有・引き継ぎ不足(65%:24人)
4位:教職員同士のコミュニケーション不足(65%:24人)
Q5. トラブル回避などのため、“最低限必要”な新年度準備期間は、4/1から何日間だと思いますか(土日は除外)

回答を「~4日間」「5〜6日間」「7〜8日間」「9〜10日間」に整理して分析したところ、最も多かったのは「5〜6日間」で約56%(88人)、次いで「7〜8日間」が21%(34人)、「〜4日間」が11%(17人)、「9〜10日間」が10%(16人)という結果になりました。5日間以上と答えた教職員が約9割を占めており、大多数の教職員が最低でも平日5日間程度の準備期間が必要だと考えていることがわかります。
Q6. “万全の状態で新年度をスタートするため”に必要な新年度準備期間は、4/1から何日間だと思いますか(土日は除外)

前問と同様に回答を整理して分析したところ、「9〜10日間」(54人)と「7〜8日間」(53人)が約34%とほぼ同数で最も多く、次いで「5〜6日間」が約25%(40人)でした。万全の状態を求める場合、約7割の教職員が7日間以上の準備期間を必要だと考えていることがわかりました。
Q7. 新年度準備期間が短いことで原因で引き起こされたトラブルや困ったこと、もしくは延長されたことでよかったことを教えてください。(具体的なエピソードでぜひ)
大きく「長時間労働・心身の疲弊」「引き継ぎ・情報共有・チーム形成の不足」「事務上の準備不備」「学級開き・授業準備・児童生徒対応への影響」の4つの観点での意見が寄せられました。
特に「長時間労働・心身の疲弊」については回答を記載した方のうち約半数が言及するなど、準備期間が短いことの弊害として広く認識されていることが伺えました。
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期間が短いと、勤務時間内には終わらないので、残業が増える【東京・小学校・教頭/副校長】
残業が増えて心も身体もボロボロになる。【福岡・小学校・教員】
準備期間が短いため、週末の土曜日曜に学校に行くとほとんどの担任たちが出勤して教室の準備をしていた。【神奈川・小学校・教員】
今年のように間に土日を挟む年度の場合、とくに1年生担当の学年職員は、夜遅くまで残って準備に追われ、心の余裕がなかった。【茨城・中学校・校長】
準備時間がほとんどなく、夜遅くまで残る、休日に来ることになった。【東京・小学校・教員】
結局土日出勤して、間に合わない部分を減らしている現状。子育て中のため土日出勤しないといけない状況に困っている。【大阪・小学校・養護教諭】
学校全体や学級間で、宿題、給食準備の方法、昼休みや掃除のルールなどの足並みが揃わなかった。特に転任者が多い場合。【山口・小学校・教員】
準備期間が短いと、教職員同士が知り合ったり、学校の方針を話し合ったりすることが十分に出来ず、そこで起こったズレがその後に響くことが多い。【大阪・小学校・教員】
異動したてで学年や学校での対話の機会が少なく、互いに安心できる関係づくりができなかった。新卒から数年は何をすべきか見通しが持てず、いつも準備不足な中スタートをしていた。【兵庫・小学校・教員】
クラス担任との引き継ぎ不足【奈良・小学校・教員】
異動があった際に学校の目標や取り組みについての検討・対話の時間が取れない。【愛知県・教育委員会】
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名簿の不備により生徒の名前が抜けていたり、内容の違う名簿が複数存在したりした。【北海道・高等学校・教員】
様々なICTアカウント作業等が間に合わないままスタートしてしまう。【京都・小学校・教員】
名簿の確認不足で名簿順が入れ替わった。
校外学習などの行事の下見ができなかった。【愛知・中学校・教員】
家庭環境調査や保険調査票などを個人のファイルに入れて配付するのですが、個人情報なので当然、慎重に作業をしたはずが差し違いがあり保護者からクレームという事案が今年度ありました。そういう事態になってしまった同僚が、気の毒でなりません。【福島・小学校・教員】
教材などが届かず配布ができなかった。準備期間が短く、直前での転入や転出などに対応ができず、一度作った名簿やお便りなど何度も作り替えなければならなくなった。(本当は始業式まで待つことになっていますが、待っていたら仕事が絶対に終わらないので、早目に動くのが通例になっています。)【福岡・小学校・教員】
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担任がなかなか決まらず、2日目に持ち越したため、準備がほとんどできないまま新学期がスタートした。【福岡・小学校・教員】
学年の子どもの名前も分からない。年間指導計画を読む時間がない。会議ばかりで、自分の仕事が出来ない。【東京・特別支援学校・教員】
学級開きや授業びらきという、大事な時間の準備を睡眠時間を削っておこなうことで、体力が削られてしまう。【滋賀・高等学校・教員】
校務分掌のことや、会議等、本来最も時間をかけるべき、学級の児童のことに時間を使えません。その状態でスタートするので、荒れる学級が出ているのだと思います。児童理解、学級経営の見通し、本当に子どものためを思うなら、そういった部分にこそフォーカスして時間を割きたいと切に願います。【長崎・小学校・教員】
会議や分掌の業務ばかりで自分の学級の準備時間が取れず、残業してやっと始業。それでも係活動や当番活動の掲示物準備等まで手が行き届かず、ルール作りなどもままならないまま準備できないまま係が始まってしまい混乱をきたしてしまった。最初に定着しなかったルールはその後もなかなか定着せず、ずっと苦労した。【神奈川・小学校・教員】
全体を通して、「物理的・精神的に余裕が生まれた」「準備や引き継ぎに十分に時間を取れるようになった」という声が寄せられました。
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延長されたことで気持ち的に余裕がある、と多くの職員が話しています。具体的に何が、ということは話していませんが、気持ち的に余裕があるというのはとても大切なことだと思います。【山梨・小学校・教員】
5日間あると、職員同士でもゆとりがあるため、ちょっとした会話にも時間を割ける雰囲気が広がっていた。【新潟・小学校・教員】
準備ができる。教室移動で自分の荷物が計画的に運べる。心身の疲労軽減。【愛知・小学校・教員】
休日出勤が当たり前になされていた。上司からの指示ではなく、自主的ではあるが。延長されたことで改善された。【福岡・小学校・校長】
延長されたことで自分の引っ越し作業と仕事が両立できる。【北海道・小学校・教員】
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始業式に配付される予定の書類等の準備が複数人で確認しながら準備できる【山形・小学校・教員】
入学式の準備を丁寧にすることができた。一年生の要録を作ることができた。フィールドワークに行ったので、始まってからの放課後に行かなくてよくなった。事務作業日は取れないが、入学式が疲労のピークにならなくてよい。【高知・小学校・教員】
始業式と入学式の日をずらしたことで学級開きがしっかりできた。【三重・小学校・校長】
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着任者の立場ではしっかり、その学校のことの情報を整理して臨むことができる。1日の会議を適切な数、適切な時間で開催できる。時間割の設定に多少余裕が生まれる。【神奈川・中学校・教員】
異動された先生と情報共有ができた。入学式準備を急がずできた。【千葉・小学校・校長】
不登校の児童の情報、いじめ問題、保護者の情報など共有できた。延長されてなかったときは4月初め、トラブルが多発していた【鹿児島・小学校】
4月から転勤したばかりです。新しい仲間の教職員と教育観の共有し、どんな学年にしたいかについてじっくり話し合うことができました。また校務分掌の仕事にも早くから着手できました。【大阪・中学校・教員】
延長されたおかげで、引き継ぎはしっかりと行うことができました。【沖縄・小学校・教員】
Q8. 新年度準備期間について、教育委員会や学校管理職等へ伝えたいこと、あなたの考えや改善策などを自由にお書きください。
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校内研、町内研、ICT研修等諸々あり、初任者はさらに初日は仕事ができずに終わるので最低限平日5日、できれば7日は欲しい。校務分掌等の学校の仕事も諸々あるので、学級事務や環境整備までに時間がかかる。ましてや、異動先だと何がどこにあるかもわからないので。【福岡・小学校・教員】
夏休み開始が遅れても良いです。二学期の始まりが早まっても良いです。4/1〜の準備期間を最低5日取れるように改善を希望します。【東京・小学校・教員】
準備が8割だと思います。コロナで休校の時、ものすごく準備できたので、一年は短かったけど、スムーズにスタートしました。そこまで取れないとは思いますが、少なくとも1週間はほしいです。4月は、そうでなくてもずっと忙しくて、ゴールデンウィークまで、休まる時がありません。【福岡・小学校・教員】
管理規則で4月6日と一律に規定するのではなく、新年度準備期間を5日間確保するような規則としてほしい。【茨城・中学校・校長】
初日直前の土日は、ほぼ全ての学年の職員が出勤していました。それはつまり、圧倒的に日数が足りない証拠だと思います。そこの準備不足が1年間の学級経営に影響することを皆よく知っているし、そこではじめて会う児童にマイナスな事が起こってはいけないと責任を全うする気持ちがあるから休日出勤をしているわけですが、それに甘えていては、教職員は皆心身を壊し健康に働けないと思います。ぜひ、1年のスタートが万全の体制でできるように、環境を整えていただきたいです。【神奈川・小学校・教員】
あと2、3日でいいから、余裕がほしい。そうすれば、もっと余裕を持って、丁寧な学級びらきができる。転勤された先生方にも、落ち着いた雰囲気で迎えることができる。【広島・小学校・教員】
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せめて、始業式・入学式がずらせないなら、4月2週目までは給食なし帰りにしてほしい。【千葉・小学校・教員】
教員がやらなくてもできることは、スクールサポートスタッフを積極的に活用してほしい。カーテンの取り替え、タブレットの整備、教科書の点検。【北海道・小学校・教員】
一番大きな障壁は、文科省や県教委がこの最繁忙期であるにもかかわらず、タイミングも一切配慮せずに膨大な量の調査や報告の文書提出を要求してくる異常な状況。4月中に報告せよだとか、自分たちは高みの見物で現場を理解していない。学校保健法で定められている健康診断の結果報告でもこんな年度初めの忙殺される時期ではない。文科省自体が学校現場の苦境を何も理解しようとしないし、実効性のある改善など全く知ったことかと言う不遜な対応を続けている。【山形・高等学校・教員】
入学式や始業式を華やかに、児童生徒を気持ち良く迎えたいことは十二分に理解できます。しかし、あまりにも入学式だけでなく卒業式や各種行事にも、ショーやエンターテイメントを求め過ぎてないでしょうか?【福島・中学校・教員】
十分な時間が必要なのではなく、時間がない場合には、その時間に合わせた内容にすることをお願いしたい。【東京・小学校・教員】
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まず、子どもたちと同様に、大人にも同僚と出会い、お互いを知ることで職場に対する心理的安全性をもてると思います。4月スタートの時点でお互いを知り合う時間が持てたらうれしいです。次に、学校全体や学年での教育目標・1年間のビジョンを対話して共有する時間が年度はじめにほしいです。そうすることで、この後なにかトラブルがあっても原点回帰したり、組織として一貫した対応をしたりすることができると思います。【大阪・中学校・教員】
オトナ同士もグループで信頼関係をつくったり安心して本音を言える場づくりのための遊びや対話がしたい。新しいメンバーを迎えているのだから。【和歌山・小学校・教員】
公立の場合特に?人事異動に起因する「大幅な」新体制構築が毎年迫られ求められる。3月中から、現勤務校・新勤務校及びその他校務分掌業務を引き継げるような、グラデーションのある運用はできないものか。【神奈川・高等学校・教員】
もっと年度末の人事の流れを早めにして欲しい。次年度のことが分からないと準備が進まないどころかやり直しになる。【大阪・高等学校・教員】
まずは、新しく変わってくる人の情報が早くわかり面談して校内人事を早く決定したい。そうすることにより、余裕をもって次年度の準備をすることができる。今年は県の議会の関係からか例年よりも内示が1週間遅れた。その影響は現場にも大きな影響を与えた。余裕をもって仕事ができるようなスケジュールで動きたい。余裕のなさはトラブルにつながると実感している。【福井・小学校・校長】
教員間で「こんな一年にしたい」や「子どもたちをこんな風に見て行こう」などの話し合いをしたりする時間がほとんどありません。おとなどうしが一年間意思疎通を重ねて子どもに向き合っていくための土台とするための対話、コミュニケーションをとる時間が少なすぎると感じます。【大阪・小学校・教員】
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始業式を後ろ倒しにしても、その分の授業時数を確保しないといけなくなるのなら改善にはならない。35週を基本とする現行のカリキュラムを1週分減らすくらいでちょうどよいと思う。【大阪・中学校・教員】
確かに働いているご家庭が多いから入学式等を早くした方が良いという思いもわかりますが、学童保育等の整備もでき、社会の仕組みが整ったいる今だからこそ、少し開始を遅らせ、教員の働き方を見直してほしいものです。【東京・小学校・教員】
毎年現場の慌ただしさに巻き込まれて泣き出してしまったり、辞めてしまったりする初任者がいる。「若手を育てていきたい。」と思うのであれば、これまでのように、現場の残業で補うのではなく、勤務時間内に業務をこなせば、充分に間に合うくらいの余裕のある準備期間は必要。【福岡・小学校・教員】
今年度は同じ東京都でも、4月6日スタートの区と8日スタートの区がありました。6日スタートの区は明らかに、現場の悲鳴を無視した封建システムの残る行政であることが如実に示されたと思います。子どもに直接接する教員をおもんばかることなく子どもを尊重しろだなんて、よく言えるなと呆れました。教育委員には元教員もたくさんいるのですから、新年度準備の作業工程を、勤務時間内に終えるためには何日間必要なのか、ちゃんと計算してほしいです。昔ながらの「新年度ってこういうもの」「それでも教員はなんとかするもの」という考えを早く捨ててください。これは明らかに、時間外勤務の強制です。【東京・小学校・教員】
今年は年度が明けてから3日間しかなく、その上新規採用者も26人と多く、その人たちは社会人4日目で教員として現場に立たなければならない。また、移動した教員もまだ右も左も分からないまま動き出し混乱しかない。夏休みを短くしてでも、新年度の準備期間を伸ばしてほしい。【東京・特別支援学校・教員】
教育委員会や管理職だけでは無理で、標準授業時数を減らす、学習指導要領の内容を減らすをしないと、始業式を遅らせたからといって、結局日々に負担がかかるだけです。【愛知・教育委員会】
標準時数に対して、30時間以上の余剰時間を計画している。そんなもののために、職員を疾患で失って、何を得るというのだろうか。【神奈川・小学校・教員】
千葉県の県立学校では新規採用者のアカウントが4月1日から申請というおかしな制度になっている。そのため、始業式まで3日間しかないうちの数日間をPCなしで過ごさざるを得ない先生が多数発生している。
学校DXとかいうならば採用初日からPCを使えるようにするのが採用側の義務であると思うが、果たされていない。
給与をもらうためのシステムには、4月1日の朝にはアカウントが出来ているのに、それと連動していない縦割り行政。ぜひ教育委員会と県庁とでしっかりと連携して、仕事に必要なアカウントを4月1日に間に合わせていただきたい。【千葉・高等学校・教員】
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追われるように新年度を始めるのではなく、心に余裕をもって始められるように、これからもしてほしい。【山梨・小学校・教員】
今年度から準備期間が延びた。引き続きお願いしたい。【千葉・小学校・校長】
自分は教育委員会におり、始業式の日を後ろ倒しを提案し、特例規則を制定して実施した側であるが、後ろ倒しにして良かったと思っている。【兵庫・小学校・校長】
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最低5日は準備期間が必要。【福井・小学校・教員】
本年度から本市は、準備期間が5日となりよかったが、やはり、初任者のためには、7日ほしいと感じる。授業のための教材研究、準備の時間が足りない。【長崎・小学校・校長】
異動してきたメンバーも安心してスタートするには、もっと時間が必要。【山形・小学校・教員】
もう少し入学式始業式を遅らせてほしい。心身の疲労、時間外勤務の強要(定時を超える出張をしなくてはならない。)もあり、法令違反も当たり前になっている。【愛知・小学校・教員】
4月は学校にとって最も重要な月であるからこそ、半月は準備にあててもよいと思う。準備に力を注ぐことができることは教員の心の余裕を生み出し、結果的に子供たちが安心して学校生活を送れることにつながる。【東京・小学校・教員】
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「主体的対話的で深い学び」をこどもに求めるのに、大人はそれをしたことがない教員が多いのは矛盾していると思います。対話をして、学校の基盤をしっかり整えてから、始業式をすれば、今ある問題の半分は解決するように思います。どうか、私たちに、時間をください。【愛知・小学校・教員】
職員会議はどうせ何時間かけても新しい職員には伝わらない。1対1対応など、特に新採者にはフォロー体制で臨んでほしい。管理職の長い話もいらない。どんな学校にしたいか、みんなで語り合う学校にしてほしい【鹿児島・小学校・教員】
異動発表か、内示をもう少し早くしてほしい。【高知・小学校・教員】
新年度の準備は異動してきた職員など、慣れたり準備をしたりするのに時間がかかる人を視野にいれて、会議の量と日程を検討してほしい【新潟・小学校・教員】
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延長された分のところに研修が入っていて、結局自分の学級の準備をする時間がなかった。【沖縄・小学校・教員】
自分は教育委員会におり、始業式の日を後ろ倒しを提案し、特例規則を制定して実施した側であるが、後ろ倒しにして良かったと思っている。【兵庫・小学校・校長(※昨年度は教育委員会所属)】
教材選定から確認、発注までをスムーズに行うことができるシステムを構築してほしい。【福岡・小学校・校長】
新年度準備期間期間はスクールサポートスタッフの勤務がなく机、下駄箱、ロッカー準備は学年部職員に任されています。会議に加えて環境整備も大きな業務でスクールサポートスタッフの方々の手が必要だと感じます。
介助員の勤務は基本生徒の授業日となっています。年度末は午前中で授業が終わり午後からは時間を持て余している介助員さんたちの姿があります。新年度準備に介助員の方々の手もほしいなあとモヤモヤしてしまいます。介助員の方の業務の棲み分けが難しいです。【新潟・中学校・教員】
この延長により、一番恩恵を受けるのは経験の少ない若手教員である。特に新卒・新採用者は、つい先日まで学生だった身分。それが、たった数日で「先生」と呼ばれることになる。そんな彼らにとって、1日でも準備期間があることは重要。さらに、ベテラン勢にとっても、若手への支援を行う余裕が生まれる。今日、若手の採用が激増しているが、離職を選ぶ若手も多い。この教員不足の状況下で、離職されることは大きな痛手である。若手への支援という視点から、春季休業の延長は必須である。【秋田・小学校・教員】
今回のアンケートからは、新年度準備期間の不足が、教職員の長時間労働だけでなく、子どもたちを安心して迎えるための準備、引き継ぎ、職員同士の対話、学級・授業づくりにまで影響していることが示唆されました。
この課題は、今回初めて明らかになったものではありません。School Voice Projectが過去に行ってきた「年度始めの超過勤務」に関する調査でも、新年度準備が勤務時間内に収まりきっていない実態が繰り返し示されてきました。実際、2023年度~2025年度調査では共通して「9割以上が平日に超過勤務を実施」「半数以上が平日1日あたり2時間以上の超過勤務を実施」「6割以上が新年度最初の土日に持ち帰りを含めて何らかの業務を実施」といった実態が明らかになっています。
そもそも、多くの自治体では人事異動や新採用の辞令交付が4月1日となるため、新年度準備は「4月1日から始業式前日まで」の限られた平日で進めざるを得ません。過去記事でも指摘されているように、その期間には、学校全体・学年・校務分掌・自分の学級の準備が重なるだけでなく、GIGAスクール構想以降はICTアカウント管理等の業務も増えています。今回の自由記述で、名簿やICT設定、引き継ぎ、学級開きの準備不足が繰り返し挙げられたことは、こうした構造と重なります。
一方で、改善の実例もあります。木更津市では、学校管理規則を変更し、4月1日から土日を除いて5日間の新年度準備期間を毎年確保できるようにしました。また熊本市でも、学校管理規則を改訂して学年始休業日の終了を1日遅らせ、夏季休業日の調整などとあわせて準備期間を確保しています。いずれも、始業式の日程は「変えられないもの」ではなく、自治体の判断と制度設計によって見直し得ることを示しています。
今回の調査でも、準備期間が延長された学校では、教科や学級の準備、校務分掌、情報共有、教職員同士のコミュニケーション、残業・休日出勤の面で改善を実感する声が寄せられました。そういった観点からも、十分な新年度準備期間を確保することは、教職員の働き方改善にとどまらず、子どもたちを落ち着いて迎えるための重要な条件であることが言えるでしょぅ。
ただし、日数を増やすだけでは十分ではありません。延長された期間に会議や研修、調査対応、ICT設定、行事準備が詰め込まれてしまえば、学級づくりや授業準備、子どもの情報共有に使える時間は確保されません。始業式・入学式の日程やプログラム、ICT環境の整備主体やスクールサポートスタッフの勤務体制、行政調査の期間なども含め、年度初めの学校業務について「いつ、誰が、どのように行うか」を全体的に見直す必要があります。
「教員なら何とかする」という前提に頼るのではなく、勤務時間内に必要な準備ができる仕組みを整えること。新年度準備期間の確保は、教職員を守るためだけでなく、子どもたちにとって安心できる学校のスタートをつくるための、有効な一手と言えるでしょう。
記事の 後半 では、調査の内容を校種別・自治体別に掘り下げていきます。
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