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【教職員アンケート結果】教師不足解消に向けた実態調査(2022年度夏休み明けver)

  • メガホン編集部

今、日本の学校には先生が足りていません。学級担任の不在によって不安な思いをしている小学生、専門ではない教科の先生から教わる中学生、高校生がたくさんいます。

2021年度に文科省による調査で明らかになった教員の不足数は、全国で2558人。「担任が配置できない」「教科の先生がいない」「育休の代わりの先生が見つからない」この状況は、教員の働き方はもちろん、子どもたちにも影響が出る大きな問題です。

本サイト「メガホン」を運営するNPO法人School Voice Project では、学校業務改善アドバイザーの妹尾昌俊さん、教育行政学の研究者である末冨芳さんとともに、「#教員不足をなくそう緊急アクション」を立ち上げました。子どもたちのために、教員不足を一刻も早く改善するための活動です。

5月には教職員、教頭・副校長、保護者を対象としたネット調査を行い、教職員、教頭・副校長向けのアンケートではそれぞれ1000件を越える回答を得ました。また、この調査をもとに、記者会見などメディア発信を行い、また政治家の方や複数の教育委員会と意見交換を実施してきました。その結果、政府の「骨太の方針」に「教員不足解消」の文言が記載されるなど、一定の成果につながっています。

今回は、教職員、保護者、児童生徒を対象に、アンケート調査を実施。教職員向けアンケートについては、どのような教員不足が起きていて、現場はどう対応しているか(特に年度当初と比べて夏休み明けの状況がどう変化しているか)を探るとともに、具体的に困っていることや国・自治体への提案についても収集。保護者、児童生徒向けアンケートについては、教員不足の問題について、保護者・児童生徒の目線からの心配ごとやエピソードを収集しました。

アンケートの概要

■実施期間:2022年9月10日(土)〜2022年10月6日(木)

<教職員向けアンケート調査>
■対象  :全国の小〜高校年齢の児童生徒が通う一条校に勤務する教職員
■実施方法:主にSNSを通じて協力者を募集し、ネット上で回収
■回答数 :426件

<保護者向けアンケート調査>
■対象  :全国の小〜高校年齢の子どもを持つ保護者
■実施方法:主にSNSを通じて協力者を募集し、ネット上で回収
■回答数 :22件

<児童生徒向けアンケート調査>
■対象  :全国の小〜高校年齢の子どもを持つ保護者
■実施方法:主にSNSを通じて協力者を募集し、ネット上で回収
■回答数 :4件

結果を読む際に、ご留意いただきたいこと

  • 任意の調査であるため、教員不足で困っている人ほど、回答しやすい傾向があると考えられます。そのため、現実よりも教員不足の実態が過大に出ている可能性が高いと予想されます。

アンケート結果

教員不足の発生状況

教職員向けアンケートでは、勤務校における今年度(2022年度)「始業式時点」「始業式以降7月末までで(一度でも)」「9月1日時点」の欠員状況を聞きました。以下のグラフに校種ごとの結果をまとめました。
教員不足が深刻な人ほど回答しやすい可能性はあるものの、回答者の状況として、1学期中に教員不足はより深刻化し、9月時点でもあまり改善していないことが読み取れます。

詳細内訳

アンケート回答者の勤務校のうち、2022年度始業式時点では、小学校の約4割、中学校の約半分、高校の約2割で欠員がある状況であったのが、7月末までに小中学校で約6割、高校で約4割に増加。夏休み明けには少し改善してはいるものの、引き続き多くの欠員が出ています。

教員不足が起きた時の対応

教員不足が起きていると回答した回答者に対して、勤務校の状況としてあてはまるものを選んでもらった結果が以下の3つのグラフです。

注)当該時点で教員不足が起きていると回答した数を分母に集計。公立高校等は不足数が少ないためグラフから除外しています。(自由記述の回答は記載)

始業式時点の対応を見てみると、小学校では本来学級担任ではない人(少人数指導、教務主任など)が代替する例が多いことがわかります。中学校では専門外の教員が教科指導にあたったり、授業がストップしたりしているケースも・・・。

7月末時点の対応を見ると、始業式時点よりも多くの項目でグラフが伸びており、「苦肉の策」での対応が加速している可能性が見てとれます。中学校では授業ができない教科があったとの回答が不足が発生している学校の3割近くに登っています。

そして、夏休みが明けて9月に入ったあとも状況は改善していない可能性が高いことが示唆されます。

教員不足の影響(教職員から声)

教員不足の実態

教職員は、みな元気で働けることを前提に配置されていることを痛感した上半期だった。特に担任ではなく専科や事務、校内で1人職の職員が病休になり、教頭教務はじめ職員みんなで空き時間をなくし、何とか乗り切らざるを得なかった。発達の課題や登校渋りの児童が非常に多く、支援体制を考えるにしても、人手が足らなすぎる。(埼玉県、公立小学校)

担任がGW後に休職に入ったため、級外の職員が担任に入ることになった。しかし代わりの職員は勤務時間後に組合業務があるため、時間的に制約がある。学年やブロックの教員で授業を何とかやり繰りして凌いでいる。当該学級に関わる教員の精神的な負担はとても大きかい。また子どもたちにも影響は大きい。例えば技能教科は、1ヶ月ごとに指導教員が変わらざるを得ない状況になり、一貫した指導方針で指導ができているとは言えない。(大阪府、公立中学校)

コロナなどで、誰かが休むと学校が機能しない。ちゃんと授業ができない。教務主任はかなり超過勤務が続いて過労死レベル。教員が不足することで一人一人への負担が増え、さらにブラックな職場になってしまう。(京都府、公立中学校)

担任1名が療休になり、日本語指導の担当を急きょ、その代わりにあてた。また、他の担任が1名、産休に入ったが、代わりが見つからず、教務主任が担任を兼務している。(東京都、公立高校)

療養休暇の時は、学期中に代替が見つからないことが多く、専科などの教員が代わりに担任として入ります。私自身、再任用で6年の理科専科と教育は相談コーディネーターをしていますが、そこへ代替としての授業が入り込むと理科の授業準備、保護者との面談が遅くにずれ込み帰宅が遅くなります。月残業も60〜80に増加。とにかく疲れます。そして、きちんと1人の代替がつかないので複数人で見るようになり子供達は落ち着きにくいです。(福島県、公立高校)

特別支援学校のため少しアンケートには当てはまらない部分もありますが、4月時点で2欠で、当該学年の学年主任も夏前に病欠になりました。産休代替もおらず、病欠が3人増え、現在は小学部のみで6欠です。特別支援学校であるにもかかわらず、副担任が足りず1人で回さなくてはならないクラスがたくさんあります。児童の怪我も増えてきています。9月時点で6欠で、もう限界です。(熊本県、特別支援学校)

教育・教員の質低下に対する危惧

4月当初から,教頭が各学年の教室に入れない子どもの個別対応をしていたが,産休代替として1つのクラスに入ったことにより,複数名の個別指導ができなくなった。そのため,その児童が学校内で暴れたり,外へ逃げ出したりして,その対応に追われるようになった。その結果,複数の学年が落ち着かない状態にある。(宮城県、公立小学校)

問1で教員不足は起きていないと回答しましたが、配置された常勤講師が著しい指導力不足、社会性の欠如といった、教員としての適正に明らかに欠ける者であったため、実質はマイナス1の状態です。担任を任されたものの、学級がすぐに崩れ、学年主任が2学級を合体して指導を続けています。学年主任は、学級の立て直しと講師への指導に疲弊し、心が病んできています。児童の中には、狭い教室に大人数という環境に不適応を起こしている児童も複数いますが、環境を変えるための人的余裕はありません。その常勤講師ができるようになった仕事は、窓明けや黒板消し、掃除などしかありません。それらですら、忘れてやらないこともあります。明らかに適正に欠いているのにも関わらず、雇用されているのは、教員不足の深刻さ故だと思います。(大阪府、公立中学校)

特別支援学級担任が病欠に入り、代替教員が採用されたが1週間足らずでやめた。その後2学期の始めも代替教員は見つかっていない。コーディネーターである特支担当教諭によってクラス編成がされたが、担任が病休に入ったクラスにはいわゆるADHD症状の強い男子児童が2名在籍しており、暴れて奇声を発し、取っ組み合いの喧嘩が絶えない。2人は同じ普通学級に所属していて、支援員さんが午前中は見守ってくださるが、午後は担任不在で普通学級への参加をしている。逃げ出したり暴れたりするたびにコディネーター教諭や管理職が対応するが、その教諭のクラスが今度は不在となり、授業が成立しない。教務主任が担任となって2学期が始まった。しかしながらコロナ禍で家族に熱や風邪の症状が出る度に教諭が出停になるため、自習になるクラスが出ている。私自身も英語専科教諭で加配人材であるため、空き時間は現状で全てない状態。中高1種免許のため、臨時小免で対応している。(愛知県、公立高校)

授業時数への要望

3月末に「4月1日に配置が難しいかもしれないが8日(始業式)までにはなんとかなる」と市教委から言われ校内人事を決定したが8日になっても配置されず「年度当初から必要なのになぜ教員が配置されないのか」と校長が教職員から糾弾され、配置されるまで校長が特別支援学級の授業を行うことになった。(神奈川県、公立小学校)

常に大変なので、異常が日常となっているので感覚が掴めません。財政的に人材の確保が難しいのであれば、せめて授業時数を削減して欲しい。毎日5校時まで等。(沖縄県、公立小学校)

教員を増やすことと、教員の負担を減らすことに尽きると思いますが、工夫だけでは負担減には限界があり、今の膨れ上がった業務を減らしきれない。授業内容をもっともっと減らして、根本的な負担減を測って欲しい。そのことが伝わり、教員がもっと働きやすいと思えるようにならないと、教員不足は解消しないと思う。

教員がいないのに、授業時数を『遵守』するように言われる。実際には、標準時数(中学校では1015時間)や教科ごとの時数を若干下回っても大丈夫なのに、そこを守れと言われるのがなお現場を苦しめている実態もある。『少しくらい下回っても大丈夫だから、柔軟にせよ』と何度も何度も繰り返し強く、文科省からはっきり言っていただくだけで楽になることは多いと思う。(大阪府、公立中学校)

免許外・臨時免許で授業を行うことへの懸念

臨時免許状の先生の授業では実験や実習ができない。安全を確保できないから。先生がいないところの穴埋めで、授業数の増えた先生が病気休暇になった。ストレスによるもので、明らかに教員不足が原因。(宮城県、公立小学校)

初任で免許外の家庭科を教えています。
これがアンケートの教員不足の意図に沿っているかは分かりませんが、すごく困っています。誰も相談できる人がいない。先輩たちは「困ったことがあったら、誰かに相談するといいよ」と言いますが、その「誰か」にはなってくれない。
家庭科は人生の生き方に直結する教科だと思います。だからこそ間違ったこと教えたらどうしようという不安があります。生徒へ申し訳ないです。(大阪府、公立中学校)

養護教諭の病休代替に臨時的任用職員が見つからず、会計年度任用職員を充てている。少数配置・専門職の休職の為、全職員でカバーにあたっている。単純負担もさることながら、専門知識の不足から適切な保健事業が行われているか、保健教育が実施されているか判然としない状況が続いている。(群馬県、公立中学校)

柔軟に対応できる体制を確保する難しさ

研究のための加配だったが、その目的で活動できにくくなった。生徒支援の加配もサポートにまわり、手が取られ得ることが増え、学校の全体の仕事をしたり、緊急時に動ける体制がとれにくくなった。(東京都、公立小学校)

特別支援学校の場合です。児童を見守る目が少なくなるので、ヒヤリハット現象が発生した。事故のリスクが高くなる。(広島県、公立小学校)

精神的負担・心の病の増加

教務主任が担任を兼務しており、非常にしんどそうにしていた。児童も休職している先生が自分たちのせいで病気になってしまったのではないかと想像しており、心配している様子であった。
本校は欠員はありませんが、あくまでギリギリの状態です。担任がお休みした時点で緊急事態に陥ります。担外は1名(教務主任)配置されていますが余力はありません。(北海道、公立小学校)

小学校で43学級あります。2学期も欠員1名、教務が担任で午前中授業、理科専科が午後授業、教頭や学年の中で補って年休等の補欠に入ってます。激務すぎて、コロナ陽性、病気、病休になる先生が次々出て、休む先生が毎日耐えません。自分は50代後半の理科専科ですが、29時間フルに授業していて、教材研究や実験準備などは全て放課後なので、残業は20〜22時までかかります。帰りがけ、疲労が半端なく運転不可能で、いつもコンビニの駐車場で車内で爆睡し、明け方になって家に着くことが何度もありました。(神奈川県、公立中学校)

教員の長時間労働から心身の健康を病んでしまいお休みに入る先生、家庭を犠牲にしてしまい最終的に退職する先生をたくさん見てきました。自治体はそれを把握しているはずなのに、業務を増やしてきます。従わなければ圧力がかかります。自治体の理想とする業務ができない教員は、必要がないと思われているように感じます。実際自分も心療内科に通いながら働いており、いつ使い捨てられるのかと不安や憤りを感じています。(千葉県、公立小学校)

産育休などの取得しにくさ・子育てとの両立の難しさ

育休明けで時短勤務を希望したが、時短勤務では戻せる場所がないと言われた。
教育予算が少なすぎる。再任用の方が多くいるが時短勤務の方が多く時間割調整や仕事の割り振りが大変。(山形県、中学校)

小4、年中の子育てをしながら中学校勤務しています。教科は家庭科担当、勤務市は、家庭科教員は一校1人の配置。本年度転勤になり、勤務校では専門でない女子バスケ部担当に。主な指導はもう1人の顧問が担ってくれているが、生徒のけが、熱中症の心配もあり、放課後は部活終了の18時まで部活にベタ付きが基本。授業準備に放課後の時間をあてることが難しくなり、かなりストレスです。部活も生徒が頑張っているので、適当にもできない。そんなこちらの気持ちにつけ込んで時間が搾取されていると感じます。本当はもう少し保育園に早くお迎えに行きたいし、休日も部活ではなく我が子と過ごしたり家事に時間を充てたい。実習授業準備など、1人で全部しなければならないのに、時間がなかなか捻出できず、別職種の夫が平日休みの日に21時頃〜22時頃まで残って授業準備する日々です。(大阪府、中学校)

管理職の負担の重さ

教務主任が兼任中。教務主任の業務を教頭と他の職員で手分けをして補っている。教頭はもともとキャパオーバー気味だったので、さらにキツくなっており、年度内保つのか心配。さらに10月から産休に入る職員がいるのだが、こちらも後任は決まっていない状況で、職場内で補充するのは難しい。どうするのかは管理職が検討しているとは思うが…。養護教諭も70代の方に来てもらっている状況で、校務支援員さんに手伝ってもらいながら、行っている。(大阪府、公立小学校)

新しい担任が決まるまでは副校長が担任になった。そうなると副校長の業務がストップ。またコロナで休む教員もいるので補教など、専科の先生が総動員で対応して大変だった。(群馬県、公立小学校)

新卒1年目が主で担任をすることになった。また、同じ学年内で初めて常勤講師をする人が1人で担任をすることになった。
技術科の教員が病気療養に入り、補充ができないので、教頭が専門外だが技術の授業を担当している。教頭が職員室にいないため、空き時間に職員室で来客対応や電話対応をする仕事が増えた。
(岡山県、公立特別支援学校)

非正規雇用頼りのシステム・運用への批判

小学校の非常勤講師をしています。10月から、常勤講師を頼まれて移行します。常勤講師が見つからないとのことで、家庭との両立の自信がないままに、仕方なく引き受けました。講師のあり方を変えないと限界な状況です。私の自治体だけかもしれないですが、常勤講師は、基本副業が認めらません。講師の話がくるまで、働かずして仕事を待つことができる人なんて、なかなかいないのではないでしょうか??(愛知県、公立小学校)

産休代替教員が配置されないことが知らされたのが,3月30日でした。欠員は自校で探すように言われましたが,4月1日までの2日間で何ができるでしょうか。結局,指導方法工夫改善教員を担任に当てました。(愛知県、公立小学校)

養護教諭がいないので、保健室を利用できない!生徒が養護教諭に聞いて欲しい話もあり、困っている。
最初から多めに採用するべき。教務や教頭が授業を持たない状態でスタートできるような人員配置にすればいざという時に担任の交代も可能で、学校も円滑に機能する。講師を頼りすぎる今の状態は危うい。(岐阜県、公立中学校)

柔軟な働き方の実現への要望

前任校では、産休に入る先生の代わりが見つからず、少人数担当者が代わりに担うことになりました。子どもたちにきめ細やかな指導ができなくなることに加え、校務分掌の再編がなされました。

課題として見えたのは、少人数指導の先生は、退職され、講師登録した先生だったのですが、業務が多い担当は負担が大きいと言われ、周りがカバーしながら日々過ごしました。負担は大きかったです。体育軽減で来てくださった先生は、介護などあるため、午前中のみの勤務ならば、勤務できるが、担任(支援担)は、できないとのこと。勤務体系を工夫して、午前のみの勤務とし、午後から勤務できる方を新たに探すなどの柔軟な対応はできないのか市教委に掛け合いましたが、受け入れてもらえず。講師の採用の仕方をもっと柔軟にすれば、退職された先生方の力も借りることができると感じました。(大阪府、公立小学校)

四月始業式の時点で担任が1人足りず管理職が校務が兼任、夏休みから産休に入った担任がいてまた不足のためもう1人の管理職教務が兼任。もし、なんらかの都合で仕事を休む担任がいても補助に入れる教師が足りないため、休んだら迷惑をかける、絶対休めないねという意識でみんな仕事をしている。兼任の管理職2人は毎日遅くまで二つの業務をこなしたり休日出勤している。
産育、病休などの代員(臨時的任用)が、フルタイムでないと採用できない。半日だけ、数コマだけ、のような柔軟な任用ができるとよい。(臨時的任用フルタイムだけでなく非常勤なども含めて、新たな任用形態を創設すべきだと思う)(埼玉県、公立中学校)

待遇の改善要望

講師を何年間かして問題がなければ採用するような仕組みがあれば安心して勤務できる。給与や待遇面の改善も必要。(兵庫県、公立小学校)

主幹教諭が担任をもつことになり、仕事がまわらない。産休代替が見つからず、再任用の先生が1ヶ月だけ担任をもち、さらにまた別の再任用の先生へと引き継ぐという、担任が目まぐるしく変わってしまうということが起こった。
教員という仕事自体はとてもやりがいがあるし、魅力がある。しかし、それをはるかに上回るブラックな労働環境で、次々に現職が辞めていき、若者(大学生)はこの仕事を選ばなくなった。定時で帰る労働環境なくして、教員人気の復活はあり得ない。今の40代50代は教員の労働環境について半ば騙されてこの世界に入ってしまった。SNSがこれだけ発達した今、騙される教員志望者は居なくなった。給特法の改善なくして教員不足解消は絶対にないと考える。(栃木県、公立中学校)

働き方改革への要望

学年主任が抜ける事態となりました。当該学年は学年運営が円滑に進んでおらず、他教員の負担が大きくなっているように感じております。また、校長が教科を担当し、実務への支障が少なからずあるのでないかと思われます。学校職員に求める仕事・業務が多く、全体として余裕がない。「子どものため」という言葉は時として教員に対し妥協を許さない重荷となり得る。教員の負担を減らすために、学校事務職員への期待として役割の転嫁が検討されているが、既存の業務に加えられると教育職よりもマンパワーが少ない以上いずれ立ち行かなくなる。また、教育職よりも給与水準の低い行政職に今以上の責任が課せられることに疑念がある。外部委託や業務の自動化など民間企業と比較して後回しにされている仕組み自体の変革を早急に検討するとともに、授業料の廃止など教育に係る予算の見直しを改善してほしい。「足し算」だけではなく「引き算」もなければ、人口減少の未来において学校は機能不全になる。(北海道、公立高校)

 まず、今私たちがしたいことは2つ。1つは業務の大幅な改善です。もちろん学校ごとにすべきことであるのは事実ですが、校長によって、その意識の違いは雲泥の差です。どれだけ現場で声をあげても、校長が無知だと全てが白紙に戻り、そこに費やす職員の労力と時間は無駄になります。
 自治体で、減らすべき基準、教職員の意識の調査をし、業務削減に向けた校内での対話など、現場の職員の声を元に自治体が削減すべき内容を管理者に指示してもらうのが早いのではないかと思います。少ない人数で回すためには、減らすしかない。減らせば、環境は良くなり、実質的に教員が持続可能な仕事として、選択肢に入る人も増えると思います。
 もう1つは、私たち現場の人間も、時間外にできないことは、やらないことです。私たちはやると言われたことは、自分の生活を文字通り犠牲にしてでも行います。多くの主婦の方は定時で帰りますが早朝に起きて仕事をしています。介護をしている私は、土日は仕事に使えませんし、それでも、朝4時に起きて教材研究をします。研究ごとの準備は自宅で行います。少なくとも私の周りの職員は、自分を犠牲にして、仕事をして、学校が成り立っています。そして、学校ではそれを優秀だとして評価します。我々の労働感も見直す必要があるのは確かです。校長も休みの日にも学校のグループLINEであらゆる連絡をしてくる方なので、その辺りの意識が低いのは否めませんので、私の学校特有のところもあるかもしれません。
 でも、その心の余裕はありません。必死に働いています。どうか、教員が人間らしい生活を送れるよう、業務改善の第一歩にお力添えいただきたいです。(福岡県、公立小学校)

地域・家庭への働きかけの必要性

計画的な育成、採用と教員の魅力がまた光るように、待遇や環境改善に取り組んでほしい。特に、地域や家庭が担うべきことを学校にだけ求めないでほしい。保護者の過剰な主張に応えなければならないのが、最も教員を疲弊させている(神奈川県、公立小学校)

関連教員の業務負担増加と超過勤務の悪化。管理職も対応負担増加。生徒への学習指導と成績評価が適正にできていない。
教員が教員でなければできない仕事に注力できる環境に。特に中学校・高校については、部活動を一刻も早く地域に移行してください。望まない教員が、生徒の自主的自発的教育課程外活動に休日を含めた勤務時間外を奪われる不合理は全く説明がつきません。少なくとも、望まない教員が部活動顧問を強いられない環境を整えなければならないことは最早自明です。やりがいを持って部活顧問をしている教員もいる一方で、苦しみ疲弊している教員やその家族も少なからずいます。何がともあれまずは、「教員に部活動顧問は強制できない」と広く周知してください。(長野県、公立高校)

教員不足の影響(保護者・児童生徒からの声)

保護者からの意見

新採用の先生が7月から病休に入られ、8月で退職されたため、現在は主幹教諭が担任を行っている。新採用の先生が退職されたということが保護者としてもとてもショックでした。何が原因かは分かりませんが、その先生のその後が心配されます。また、残された子どもたち、職員の不安や負担はとても大きいと思います。このようなことは起きないでほしいと思いました。 【新潟県、公立小学校】

コロナで休む担任がいると、担任を持たないサブの先生だけで手が回らず校長教頭が代わりに授業に入る。普段からサブの先生がもっと増えて余裕があれば良いのにと思う。【愛知県、公立小学校】

保護者、子供達から慕われているような先生が、所謂昔の、古い考えの先生にパワハラ、モラハラ等の嫌がらせを受けて休職→退職している。子供達がそういう場面を目の当たりに出来てしまうので、本当に良くない。子供達はよく見ていて、子供達同士では話題に上がるも、内申に関わったり逆らえないので何も言えないそう。そんな教員ばかりが残る。そして幅をきかせている。校長が把握して居るのかは不明。 【神奈川県、公立中学校】

・4月時点、教員不足で、昨年度まであった算数少人数クラスが実施できず

・5月末時点、スポーツフェスティバル後、3年生の先生1名が病欠に→副校長がクラス担任を兼任

・8月31日、1年生、2年生の先生各1名の後任が見つからず、1年生には専科の主任教員、2年生には校長が担任、3年生は引き続き副校長とのメールあり。

・教員が3名不足して、目の前に子どもたちがいる状態。

また、コロナで急な数日間の休みもあるなかで、「まわしながら、人を探す、組織を整える」ことを一校で完結するのは無理だと、強く感じています。この深刻な状況が、どのくらいの温度感で行政側(区役所、教育委員会)にどれだけ知られているのかわかりません。【東京都、公立小学校】

1学期途中で転任後一年目の若い美術教師が鬱を患い、途中休職したが、二学期になっても代替教員が見つからない。 【東京都、公立中学校】

3年生から1クラスになったが、発達障害児、グレーゾーン児、家庭の問題で情緒不安定な児童が多かったため学級崩壊が起きた。そのため4年生からは2クラスに分かれたが、専科・フリーとして割り当てられた教員枠を学級担任に流用したため、教員の担当コマ数に余裕がない。
また、学級崩壊の余波で授業を飛び出す児童や喧嘩等の対応にまわれる教員・管理職の手が足らず、学校の治安が悪い状態が続いて3年目になる。
私の息子は学級崩壊の影響で不登校になったが、学校の別室登校ができるようになっても対応できる教員がいないという理由で勉強を見てもらえず、別室にひとりで放置されていた。見かねて保護者の私が一緒に登校して、息子が放置されるコマに教科指導をしていたほどだった。 
学校が福祉施設になることは望んでいないが、教育機関として子どもにきちんと質が担保された教育を提供するために必要な環境を整えるため、教員の数を増やすことは今の世の中で必要な改革だと思う。教員数を増やすのが難しければ、教員より低予算で済む学習支援員を1学年あたり1-2人配置したり、事務員を児童・生徒数100人に対して1人配置するなどして、教員が本来の業務である教科指導に専念できるよう環境整備してほしい。【三重県、公立小学校】

産休に入る体育の教員の代わりが見つからないようです。そこで特別支援学級の担任二人が体育教員なので、分担して受け持つことになりました。それぞれ、副担もされ、特別支援コーディネーターと進路指導もされています。体育の授業と(支援級の)子供の授業がかぶる時は、子供は支援員さんが見ています。授業にはならず、自習です。中3なのに心配です。去年から産休入りはわかっていたはずなのに、なぜ見つけられなかったのでしょうか?なぜ体育が自習にならずに、特別支援学級が自習になるのでしょうか?同じ自治体内の他の学校も同じような状況です。支援員は教員ではなく、支援員単独で授業を見るのはおかしい。授業準備もされておらず、いきあたりばったり、その場しのぎ。意味なし。教育委員会に訴えても、日本全国で教員が足りませんからって開き直っています!【福岡県、公立小中学校】

児童生徒からの意見

いつも忙しそう。先生がコロコロ変わって、誰が担任なのかわからないかんじ。 
支援学級の担任の先生が体育を教えることになり、私達は違う先生に習うことがある。
いるときもあれば、いないときもある。支援員さんだけのときもある。 【福岡県、公立中学校】

担任がいなくなったクラスに、教務主任が入り担任をしている。教頭先生が教科を教えている。 【千葉県、公立小学校】

まとめ

前回実施した年度当初のアンケートと比べると今回は回答者の母数が小さくはなっていること、また教員不足が起きている学校の関係者ほど回答しやすい傾向がある点にも留意する必要があるものの、教職員向けアンケートの結果からは、始業式時点よりも夏休み明けのほうがより事態が悪化している可能性が見てとれます。

今回も自由記述欄には、厳しい学校現場の状況と、早急に効果のある施策を打ってほしいという切実な声が数多く寄せられました。1つ1つのコメントを読んでいくと、教員不足の状況が、現場の教職員を心身ともに追い詰め、更なる欠員発生を招いている悪循環がよく分かっていただけるかと思います。

現場の逼迫は当然ながら子どもたちの学びやケアに影響します。本当は必要なのに、余力がなくきめ細かなサポートができない、授業すらまともに実施できないという悲痛な声をぜひ、政治や行政の関係者の方々、広く市民の方々に知っていただきたいと思います。

状況は厳しいですが、いいニュースもありました。
つい先日(2022年11月1日)、文部科学省は、産休や育休に入る教員の代替教員の確保が年度途中だと困難になっているという声を受けて、来年度から一定の条件の下、年度当初から代替教員を配置できるように運用を改めることを決め、全国の教育委員会に通知しました。
https://news.yahoo.co.jp/articles/33bba8576fa2ba77c1e483f55021f3e6914eb82d

産休・育休代替が見つからない問題は、このことでかなり改善される可能性があり、来年度からの効果が期待されます。#教員不足をなくそう!緊急アクションとしても、状況を見守りたいと思います。
同時に、病休への手立てや、離職防止、採用の工夫など、その他の手立てについても引き続き好事例を集め、発信していきたいと思います。

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#教員不足をなくそう

今、日本の学校には先生が足りていません。4月に学級担任が不在のクラスもあり、不安な思いをしている小学生たちがいます。専門ではない教科の先生から教わる中学生、高校生らもたくさんいます。しかも、今年度から来年度にかけて、教員不足はいっそう深刻になっていく可能性が高い状況です。

NPO法人 School Voice Project では、学校現場に関わってきた学校業務改善アドバイザーの妹尾昌俊さん、教育政策を専門とする研究者である末冨芳さんと協力して、【#教員不足をなくそう!緊急アクション】を立ち上げ、アンケート実施や政策提言活動を行なっています。

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