【教職員アンケート結果】あなたの自己負担は? 教員の「自腹」調査 <第3回 部活動・課外活動の自腹>
以前フキダシで行ったアンケート「修学旅行先では自腹で行動!? 旅行行事の教員負担調査」では、旅行行事での教員の“自腹”の現状について現場の声を集めました。
結果記事はこちら。
そのアンケートの中で、「他の内容についての自腹も多くある」との意見も寄せられていたことから、フキダシでは、教員の“自腹”についての連続アンケートを実施しました。
※このアンケートでは“自腹”を業務上の必要性の観点から、「業務遂行上絶対に必要であり本来公的に支出されるべきだが、個人の負担になっている費用」と「業務遂行上絶対に必要とは言えないがあった方がよいと思い個人で負担している費用」とに分けて取り扱っています。
第3回は「学級経営」に関わる費用について聞きました。
第1回では「教科指導・教材研究」、第2回では「学級経営」についての自腹について調査しました。その結果は下記をご覧ください。
アンケートの概要
■対象 :全国の小〜高校年齢の児童生徒が通う一条校に勤務する教職員
■実施期間:2022年11月11日(金)〜2022年12月5日(月)
■実施方法:インターネット調査(実施時の設問はこちら)
■回答数 :28件
アンケート結果
設問1 「絶対必要なモノ」の自腹
Q1-1. 部活動やその他課外活動のためにかかる費用の中で「業務遂行上絶対に必要であり本来公的に支出されるべきだが、個人の負担になっている(自腹となっている)費用」が含まれているものを選択してください。(複数選択可)
業務遂行上絶対に必要であり本来公的に支出されるべきだが、個人の負担になっている(自腹となっている)費用としては、「備品・用具代」「交通費」「文具代」の順で多いことがわかりました。中学校では、回答者の7割以上が個人で「交通費」を負担することがあるようです。「自腹はない」と回答したのは回答者28人のうち、1人でした。
設問1-2 具体的な内容は?
Q1-2. 内容を具体的に記入してください。
備品・用具代
大会のための審判服、ホイッスル、その他道具代。【中学校・教員・バレーボール部】
指導用、自分で技術習得する目的で買う道具やスポーツウェア代は自腹。【中学校・教員・卓球部】
スキー指導のためのスキー道具。【小学校・教員】
公式戦に参加する場合、監督も選手と同一のユニフォームを着用しなければならないので、ユニフォーム、アンダーシャツ、ベルト、スパイクなどの費用は自分持ちです。自分が練習時に着るウェアはそれなりにお金がとられます。寒いのが嫌なので、意外と寒い時期の防寒具にお金がかかっているかもしれません。また、部費だけではお金が足りないときもあるので、部のバットのグリップテープなどは自分で購入しています。【中学校・教員・野球部】
交通費
大会や遠征の交通費は全て自腹になる。生徒引率のための折り畳み自転車を購入した。(学校の自転車は大会集中日は利用希望者が多数いるため、私物を用意する必要があった)【中学校・教員・卓球部】
土日の部活動は、交通費が出ないし、大会引率の場合の交通費も支給されない。移動に2時間かかるような場所に引率の場合でも、交通費が出ないのは理解しがたい。【中学校・教員・陸上部】
休日の部活動の交通費が高額になる。遠距離通勤しているが、休日の部活動に係る交通費は支給されない。交通費だけで赤字になる為お金を払って指導に行っている状態である。【高等学校・教員・バスケットボール部】
通信費
土日や夜は学校の電話が留守電になるため、他校の顧問とのやり取りは個人のスマホを利用する必要がある。土日や早朝の欠席連絡はスマホで行うしかない。大会会場からの連絡もすべて顧問の自腹になる。【中学校・教員・卓球部】
部活動や課外活動では、緊急時などに連絡を取る必要が出てくる。しかし、使うのは個人持ちの携帯電話。通話料はもちろん自腹。【中学校・教員・演劇部】
飲食費
運営に来た先生方の飲み物代(役員会で、会場校で準備するよう言われた)。【中学校・教員・野球部】
研修・講習費
部活動指導で学ぶための書籍代・【中学校・教員・バレーボール部】
競技未経験者のための研修参加(土日)に必要な経費は自腹。【中学校・教員・卓球部】
研修費は、遠方なので最近は有料のウェブ記事を買って知識を更新しています。【中学校・教員・野球部】
合宿費
合宿を行う際には、宿泊費は自己負担になる。【高等学校・教員・バスケットボール部】
遠方の大会参加のために前入りで宿泊し、翌日勝ち残った場合に備えても宿泊している顧問の宿泊費は自腹。【中学校・教員・卓球部】
設問2 1の自腹額は?
Q2. 設問1で答えた額は、合計すると1年あたりどの程度になりますか。
業務遂行上絶対に必要であり本来公的に支出されるべきだが、個人の負担になっている(自腹となっている)費用の金額としては、年間5,000円以上1万円未満の人が全体の約3割でした。回答者の多くは5万円未満の費用の負担でしたが、中には10万円を超える負担をしている人もいることがわかりました。
設問3 「あった方がいいモノ」の自腹
Q3-1. 部活動やその他課外活動のためにかかる費用の中で 「業務遂行上絶対に必要とは言えないがあった方がよいと思い個人で負担している費用」 が含まれているものを選択してください。(複数選択可)
業務遂行上絶対に必要とは言えないがあった方がよいと思い個人で負担している費用としては、設問1と同様に「備品・用具代」が最も多い結果となりました。次いで多かったのは「電子機器代」「通信費」「交通費」でした。電子機器を用意したり通信環境を整えることが活動のしやすさに繋がることもあり、「必要とは言えないがあった方がよい」と判断して教職員が個人で負担していることが想定されます。
設問3-2 具体的な内容は?
Q3-2. 内容を具体的に記入してください。
備品・用具代
審判をするときの防具を購入する費用。【中学校・教員・野球部】
高額なバットがあるほうが長打が出るので顧問で分担して負担。試合の結果に影響するし、生徒が喜ぶので買ったが、お金で勝利を買っているような感じで、用具の高騰化に中体連が使用禁止などの規制をかけないことには納得いっていない。【中学校・教員・野球部】
部活で使用する物品を教員で購入することがあります。部費を集めると、会計報告やお金の管理、会計が合わないなど、万が一の際は始末書となりますので、ならばこちらが自腹を切った方が時間的に楽だという判断です。【中学校・教員・演劇部】
飲食費
生活困窮家庭の生徒の弁当代が顧問自腹になっていたときもある。練習試合相手校顧問への差し入れ飲料代。毎回慣習で必要。【中学校・教員・卓球部】
研修・講習費
部活動での指導や審判などを行うために講習会などに参加してスキルアップをはかっている(はからされているが実情)。場合によっては協会登録費などの名目で自腹でお金を払っている。また、子どもたちのために、選抜の子どもたちが参加する大会への遠征費や練習費などを顧問会でカンパとして集める。顧問会なので払わないと周囲からの視線が厳しくなるので、実質強制と一緒である。【中学校・教員・バレーボール部】
任意参加の講習会に連れて行ったり、自分が部活動を指導するために研修に参加する費用はすべて自腹。【中学校・教員・演劇部】
設問4 3の自腹額は?
Q4. 設問3で答えた額は、合計すると1年あたりどの程度になりますか。
業務遂行上絶対に必要とは言えないがあった方がよいと思い個人で負担している費用の金額としては、設問3と同様に5,000円以上1万円未満が最も多い結果となりました。また、同様に回答者の多くは5万円未満の費用の負担でしたが、中には10万円を超える負担をしている人もいることがわかりました。
設問5 部活動・課外活動についての自腹、どう思う?
Q5. 部活動やその他課外活動に関する自腹について、あなたの思っていることや意見、考えを教えてください(困っていること、改善のためのアイディア・工夫、その他)。
必要な備品の購入に予算をつけてほしい
自治体によっては、ジャージや道具を購入するための補助がそれぞれに年間数万円出るらしいので、それだとありがたいです。【中学校・教員・野球部】
個人で使うものだから、という理由で競技道具を自腹で購入する、という流れが自然にまかり通ってきていたのだなと思う。しかし、その道具はその教員が趣味で行うものではなく指導のために必要な道具であるのだから、学校で指導用備品として準備するということが当然であると思う。この道具に関する曖昧さはどこから生まれるのだろうか。【小学校・教員】
仕事として認められる場合はまだマシだが、プライベートの時間を使って自腹で活動してるのは補助してほしい。それでなくても、生徒に飲み物やお菓子を買って自腹をきっている。【高等学校・教員・美術部】
顧問としての業務に予算をつけてほしい
顧問での会食も自腹でなく会社の経費のような扱いにしてもらえたらと思う場面がある。【高等学校・教員・理科部】
大会運営役員を依頼されて行っているのに、特勤手当がつかない、昼食費が支給されない。資格取得費用も個人持ち。大会主催する団体や中体連がもっと予算を増やし、運営する人に対しての正当な報酬や費用を担保すべきだと感じる。【中学校・教員・バレーボール部】
休日の生徒を伴わない部活動に関する会議や大会運営者としての大会参加は、勤務扱いとなり部活指導としてお金は降りません。担任などは振り替え休暇がとれないため、部活動指導費として特別手当をつけて欲しいと思います。【中学校・教員・演劇部】
部活動のあり方を見直すべき
現在の学校部活動の体制もそうであるが、教員の自己負担と善意によってなりたっている活動はすべきではない。あくまでも業務とするならばそれ相応に制度と環境を整えるべきである。【高等学校・教員・バスケットボール部】
やはり部活全体を外部委託した方が良い。大会の運営も多大な負担となっているので、専属で業務する人が欲しい。【特別支援学校・教員・卓球部】
まとめ
「業務遂行上絶対に必要であり本来公的に支出されるべきだが、個人の負担になっている(自腹となっている)費用」と「業務遂行上絶対に必要とは言えないがあった方がよいと思い個人で負担している費用」では、その内訳や金額に大きな差は見られませんでした。金額の大きさに関わらず、多くの教職員が個人で費用の負担をしている現状があるようです。金額は年間5,000円以上1万円未満が多く、中には10万円を超える負担をしている人もいることがわかりました。
内訳としては、ユニフォームや審判服、ホイッスル、防寒具など、「備品・用具代」が最も多く、部活動に所属する生徒たちへ飲み物やお菓子を買うための費用を負担している人もいるようです。また、大会運営の役員を任されている人は、生徒の引率を伴わない大会運営や会議での出張では部活指導としての手当がつかないケースもあるようです。中には大会や練習試合の引率の際に発生する交通費や合宿費を個人で負担している人もいました。
部活動において教職員が個人で負担している費用がある現状に対しては、「予算をつけてほしい」という声があったほか、「そもそも部活動を外部委託するべき」という声も寄せられました。
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