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【教職員アンケート結果】あなたの自己負担は? 教員の「自腹」調査 <第1回 教科指導・教材研究の自腹>

  • メガホン編集部

以前フキダシで行ったアンケート「修学旅行先では自腹で行動!? 旅行行事の教員負担調査」では、旅行行事での教員の“自腹”の現状について現場の声を集めました(結果記事はこちら)。

そのアンケートの中で、他の内容についての自腹も多くある、との意見も寄せられていたことから、今回フキダシでは教員の“自腹”についての連続アンケートを実施します。

※このアンケートでは“自腹”を業務上の必要性の観点から、「業務遂行上絶対に必要であり本来公的に支出されるべきだが、個人の負担になっている費用」と「業務遂行上絶対に必要とは言えないがあった方がよいと思い個人で負担している費用」とに分けて取り扱います。

第1回は「授業・教材研究」に関わる費用について聞きました。

第2回では「学級経営」、第3回では「部活動・課外活動」についての自腹について調査しました。その結果は下記をご覧ください。

アンケートの概要

■対象  :全国の小〜高校年齢の児童生徒が通う一条校に勤務する教職員
■実施期間:2022年9月23日(金)〜2022年10月17日(月)
■実施方法:インターネット調査(実施時の設問はこちら
■回答数 :83件

アンケート結果

設問1 「絶対必要なモノ」の自腹

Q1. 教科の授業や教材研究にかかる費用の中で 「業務遂行上絶対に必要であり本来公的に支出されるべきだが、個人の負担になっている費用」 が含まれているものを選択してください。(複数選択可)

教科の授業や教材研究において、最も多くの教職員が負担しているのは「教材・副教材・教具代」の購入でした。校種別に見ると、中学校の約7割の教職員が「教材・副教材・教具代」の購入をしているのに対して、高校では約5割でした。その他、「電子機器代」や「研修。講習費」についても他の校種に比べて、多くの中学校の教職員が費用を負担していることがわかりました。

設問1-2 具体的な内容は?

Q1-2. 内容を具体的に記入してください。

教材・副教材・教具代

理科の実験や工作に必要な材料(例、紙コップ、たこ糸、ジップロック、ビニル袋)は、正式注文すると時間がかかるので、100均や通販で買います。【小学校・教員】

生徒に授業でみせる映像教材。(例、自宅で録画したBlu-ray、NHKオンデマンドの有料会費)【高等学校・教員】

小学校では、鍵盤ハーモニカや習字セット、裁縫セット、リコーダー、絵の具セット等、学習で使う道具が多くあります。教科担任ではないので、基本的にどの教科の物も必要になります。全て自分で買い揃えています。特に公費の話や、補助の話もありません。自腹が前提となっています。【小学校・教員】

特別支援の子が使えそうなボードゲームをいくつか購入するなどの支出があります。【中学校・教員】

特別支援学級の担任になったが、本校には特別支援学級用の教材が全く無い為、特別支援学級用の問題集や教材作成の為の本、教材作成の為の材料費、専門的知識を得る為の本、特別支援用の知育教材等、全て自腹で買いました。【義務教育学校・教員】

4月の予算の時には、予定のなかったもので、授業で使ったらよさそうな教材などを思いついた時、手続きに時間がかかったり、申請通らなかったりが面倒なので自分で買ってしまいます。【小学校/中等教育学校・教員】

文具代

児童が忘れ物をした時用の文具。【小学校・教員】

書類など手書きで対応する部分は多くあるが、記載するペンなどの用具を学校側が用意する事はない。そのため自分で賄うしかない。【小学校・教員】

毎日押しまくらなくてはならない検印、スタンプ台!【小学校・教員】

書籍代、ボールペンやサインペン、ルーズリーフ。【中学校・教員】

電子機器代

オンライン授業やオンライン会議が始まっていく中で、学校購入ではどうしても数が限られ、探したり共有するよりも個人で購入した方が便利な電子機器などは個人購入をしている。【中学校・教員】

授業でiPad miniを使用している。iPad miniはプライベートでは使わず普段は学校に置きっぱなしだが、自腹で購入したもの。【高等学校・教員】

教育予算がないためか、学級の指導用(デジタル教科書)と成績処理等の業務用として、学級に1台のみのパソコン配布です。児童用タブレットは配布されたのに、教師用タブレットは配布なしです。そのため、自分のiPhoneやiPad、デジカメを使わざる得ない状況です。【小学校・教員】

学校からiPadは配付されているが、学校のwi-fiが弱く、そのiPadを使って動画等が見せられない。仕方なく、私物のiPadを使ってwi-fiを使わず、見せている。【小学校・教員】

SDカードや接続機器などパソコン周りの周辺機器。【中学校・教員】

学校のパソコンは当然持ち出し不可、データも取り出し不可、複合機のスキャンは性能が低い、学校のデジカメの画質は悪く、貸し出しの手続きが面倒、各機器が学校にあっても、借りて返さない教員がいるため、自分で用意しないと仕事にならない。【中学校・教員】

授業でiPad miniを使用している。iPad miniはプライベートでは使わず普段は学校に置きっぱなしだが、自腹で購入したもの。【高等学校・教員】

通信費

一人一台端末が導入され、Google educationが入ってきましたが教員機の性能が悪くスマホからログインした方が早く写真等をアップロードできることが多いので通信費の負担が増えました。【小学校・教員】

オンライン研修時の通信費。学校内のネットワークからはアクセス不可。【中学校・教員】

私の勤める市町村のインターネットの回線契約の関係で、同時に複数のクラスではネットが使えなかったり、そもそも理科室にはインターネット環境がないため、映像資料を見せる場合は、個人のタブレットを使用しています。【中学校・教員】

教材をPC(これも私物)で作成したものをいったんクラウドにアップロードし、iPadにダウンロードしているが、その通信費(スマホのテザリング)も自腹。授業でYouTubeを見せたりするときの通信費も自腹。【高等学校・教員】

教材研究費

書籍代です。授業に必要な本や教材研究に使いたい本は基本自分で購入しています。【中学校・教員】

中学理科の教員です。より良い教具の研究をする場合、失敗を視野に入れて行います。「消耗品なら」と言いつつも、学校に申請した場合は許可がおりないことが多く、理由は「お金がないから」ということがあります。【中学校・教員】

授業づくりで参考にしたい書物代・入試問題作成のための書物購入費(国語科は引用する本を購入しなければならない)。【高等学校・教員】

研修・講習費

授業研究の発表を求められるがそれに対する費用が一切ない。そのため自費で研修会に参加している。【小学校・教員】

特に研修の駐車場代などが気になっています。車でしか行けない場所に出張に行くのに駐車場代は自腹です。【小学校・教員】

各教科の研究協議会の主催する研究大会への参加費。【中学校・教員】

設問2 1の自腹額は?

Q2. 設問1で答えた額は、合計すると1年あたりどの程度になりますか。

教科の授業や教材研究にかかる費用については、年間で1万円から5万円の出費をしている教職員が約半数でした。少数ではありましたが、小学校と中学校では年間で10万円以上の額を個人で負担していると回答した人もいました。

設問3 「あった方がいいモノ」の自腹

Q3. 教科の授業や教材研究にかかる費用の中で 「業務遂行上絶対に必要とは言えないがあった方がよいと思い個人で負担している費用」 が含まれているものを選択してください。(複数選択可)

業務遂行上絶対に必要とは言えないがあった方がよいと思い個人で負担している費用については、「研修・講習費」や「教材研究費」が最も多く、全体の約半数の人が選択しました。「教材・副教材・教具代」については、小学校で51%、中学校で48%であったのに対して高校では14%と、大きく差が開きました。 

設問3-2 具体的な内容は?

Q3-2. 内容を具体的に記入してください。

教材・副教材・教具代

特別支援学級で個別に必要な教材・教具。(手作りの材料も含む)教材作成のためのラミネートシート。【小学校・教員】

学校では新聞を一紙しかとっていない。我が家の新聞を毎日学校図書館に寄贈し、活用している。【中学校・教員】

提出物を入れるかごなど、教室環境整備費。【小学校・教員】

文具代

直しをやった後の丸付けに使う青ペン、間違ったところに付ける付箋、子どもや保護者、他の先生への伝達事項に使う付箋などの文房具。【小学校・教員】

文房具はこだわりがあるので、自分の好きなものを購入しています。【高等学校・教員】

使いやすいハサミやシール、付箋など。【特別支援学校・教員】

貸出用の定規や学校にあるポールペンだと書きづらく書類の清書用に買うペンなどがあります。【小学校・教員】

電子機器代

自宅で仕事をする時用のパソコン、iPad、Apple Pencilなどの電子機器。【小学校・教員】

職員室の支給されているパソコンはSDカードの読み込み口がないため、外付けのデバイスを自前しなければならない。また、教室でタブレットの画面を大型テレビにつなぐケーブルの絶対数が足りていないので、便宜上自分のものを使っている。【高等学校・教員】

通信費

パソコンのスペックが低いので私物持ち込み、Wi-Fiには入れないので自分の通信を使っている【中学校・教員】

教材研究費

教科「情報」で、使ったことのないMacで授業することになり、自腹でmacbookを購入し教材研究している。【高等学校・教員】

研修・講習費

自分で勉強したいと思った内容の書籍代、自主研修のための研修費。【小学校・教員】

設問4 3の自腹額は?

Q4. 設問3で答えた額は、合計すると1年あたりどの程度になりますか。

費用負担については、「業務遂行上絶対に必要であり本来公的に支出されるべきだが、個人の負担になっている費用」よりも低く、年間で5千円から2万円の出費をしている人が約半数でした。高校よりも小学校、中学校の教職員の方が出費額がやや多めということがわかりました。

設問5 授業についての自腹、どう思う?

Q5. 教科の授業や教材研究に関する自腹について、あなたの思っていることや意見、考えを教えてください(困っていること、改善のためのアイディア・工夫、その他)。(任意)

教材研究や自己研鑽のための予算をつけてほしい

免許更新制で強制的に学ばされるよりも、自主的な研究会参加に覆いの補助金を出してくれる方が、教員の主体性を確保できるのでうれしい。今後そうなっていってほしい。ちなみに自分の勤める私立小は、研究費として、上限はあるが支給される。【小学校・教員】

備品費や消耗品費以外に教材研究費がほしい。わたしは技術科なので、ある程度教材研究してから、生徒分を購入したりするが、その教材研究は自費でやっている。【中学校・教員】

授業向上のためという名目で、各教員に予算をつけてほしい。年間1万でもあれば、本買ったり講演聞きにいったりして、教員それぞれがスキルアップできると、授業力もアップされ、生徒へ還元されるはず!【高等学校・教員】

地方だと都市部に研修に行くのにとてもお金がかかるので、研修の半額でも補助していただけるととても助かる。地方の先生の方が研修の機会にハンデがあるので、どうにかしてほしい。【中学校・教員】

大学のように一人いくらまで使えるという研究諸費があればいい。ちゃんと領収書も取りチェックできるように。【中学校・教員】

立替購入をした場合は、後日申請できるようにしてほしい

予算を使うためには、カタログで金額を調べ、提出しなければなりません。100均やネットなどで、必要なものを立替購入できるようになるといいなーと思います。【小学校・教員】

「翌日、必要だからDAISOで買いたい」と思っても、急な公費支出は無理だし、ネットで安いからカード払いとかで立て替えたいのに、それも無理とか、購入に制約が多すぎる。【中学校・教員】

手続きや公費の基準を見直してほしい

ある程度は仕方ないと思う。しかし自分の自治体では予算執行の手続きが煩雑だったり、予算を立てるのが前年度の11月で、執行の半月前までに申請が必要だったりと、小回りが効かない。特に家庭科や美術の教員は自腹が多い印象がある。【特別支援学校・教員】

どこまでが公費で落ちるのかどうか、基準を明確に示して欲しい。【小学校・教員】

まとめ

自由記述では、書籍代やセミナーの参加費など、「教材研究や自己研鑽のための予算をつけてほしい」という声が多く集まりました。一方で、任意で購入している物もあり、「ある程度は仕方がない」「自腹の方が気軽に購入できる」などの意見も集まりました。また、授業においては急遽教材の購入が必要なことも多く、経費申請の手続きをしていると準備が間に合わないため、やむを得ず自費で賄っているケースもあるようです。「立て替えで購入をした際に、後日経費申請ができるようにしてほしい」という声もありました。


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NPO法人School Voice Project のメンバーが、プロやアマチュアのライターの方の力を借りながら、学校をもっとよくするためのさまざまな情報をお届けしていきます。 目指しているのは、「教職員が共感でき、元気になれるメディア」「学校の外の人が学校を応援したくなるメディア」です。

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