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【教職員アンケート結果】あなたの自己負担は? 教員の「自腹」調査 <第2回 学級経営の自腹>

  • メガホン編集部

以前フキダシで行ったアンケート「修学旅行先では自腹で行動!? 旅行行事の教員負担調査」では、旅行行事での教員の“自腹”の現状について現場の声を集めました。

結果記事はこちら。

そのアンケートの中で、他の内容についての自腹も多くある、との意見も寄せられていたことから、今回フキダシでは教員の“自腹”についての連続アンケートを実施しました。

※このアンケートでは“自腹”を業務上の必要性の観点から、「業務遂行上絶対に必要であり本来公的に支出されるべきだが、個人の負担になっている費用」と「業務遂行上絶対に必要とは言えないがあった方がよいと思い個人で負担している費用」とに分けて取り扱っています。

第2回は「学級経営」に関わる費用について聞きました。

第1回では「教科指導・教材研究」、第3回では「部活動・課外活動」についての自腹について調査しました。その結果は下記をご覧ください。

アンケートの概要

■対象  :全国の小〜高校年齢の児童生徒が通う一条校に勤務する教職員
■実施期間:2022年10月16日(日)〜2022年11月14日(月)
■実施方法:インターネット調査(実施時のアンケートはこちら
■回答数 :42件

アンケート結果

設問1 「絶対必要なモノ」の自腹

Q1. 学級経営のためにかかる費用の中で 「業務遂行上絶対に必要であり本来公的に支出されるべきだが、個人の負担になっている費用」 が含まれているものを選択してください。(複数選択可)

小中学校に所属する人は、約半数が「教室内の備品代」「文具代」を選択。高校では通信費を選択した人が半数でした。「研修・講習費」「電子機器代」への出費は比較的少ない傾向がありました。「自腹はない」と回答したのは全体の2割程度でした。

設問1-2 具体的な内容は?

Q1-2. 内容を具体的に教えてください。

 個人の費用負担がある方の主な回答

教室内の籠やファイル立て、全員の名札を入れる壁掛け、引き出しを整理する小さいカゴや棚など100均で買いました。【小学校・教員】

クラスの整理整頓用のファイルボックス。各種回収用のかごや箱(100円均一等で購入)。【小学校/義務教育学校・教員】

教室で使用するマグネット、清掃用具(自在ぼうきやちりとりではなく、クイックルワイパーなどのフロアモップ、小さいちりとり(黒板受けの清掃用)マイクロファイバークロス、窓拭きスプレー)【中学校・教員】

経費では購入できない整理整頓グッズや清掃グッズを100均で買います。さらに、ミニホワイトボードとペンを200円×クラスの人数分購入するので、合わせて1万円弱はかかります。【中学校・教員】

・自分が業務で使用する文具の大半
・生徒が使用する画用紙やテープ類
・教室内に設置したプラスチック棚やレターケース【特別支援学校・教員】

クラス対話や学級をより良くするためのワークショップで使用するポストイットや模造紙、マーカーなど。ぞうきん【高等学校・教員】

 個人の費用負担がない方の主な回答

学年主任の先生が「自腹はだめです!」と仰ってくださったので、その話を周囲でもできています。100円でもレシートを持ってくるようにとおっしゃってくれます。【小学校・教員】

設問2 1の自腹額は?

Q2. 設問1で答えた額は、合計すると1年あたりどの程度になりますか。

小学校では出費金額のばらつきが大きく、「自腹はない」を選択した人がいる一方で、半数以上が年間1万円以上の出費をしていることがわかりました。中学校、高校では小学校ほど多い出費をしている人は少ないものの、多くの人が1万円未満の出費をしていることがわかりました。

設問3 「あった方がいいモノ」の自腹

Q3. 学級経営のためにかかる費用の中で 「業務遂行上絶対に必要とは言えないがあった方がよいと思い個人で負担している費用」 が含まれているものを選択してください。(複数選択可)

「業務遂行上絶対に必要とは言えないがあった方がよいと思い個人で負担している費用」 

でも、設問1と変わらず「教室内の備品代」と「文具代」が多い傾向がありました。小学校では「研修・講習費」を選択した人も多く、その数は小学校に所属する回答者の半数を超えていました。

設問3-1 具体的な内容は?

Q3-1. 内容を具体的に教えてください。

個人の費用負担がある方の主な回答

備品など:サイコロトークで使うサイコロ
文具:学年・学級だよりで使うイラスト・カット集
研修等:学級ゲームなどの書籍、セミナー参加費【小学校・教員】

忘れもののをした子どものための文房具
子どもたちが使うペン、ホワイトボード
ちゃぶ台やソファなどの家具
学級経営に関わる研修費
けん玉やコマ、カードゲームなどの遊び道具【小学校・教員】

児童用のブックスタンドや荷物入れ。ノートを見た時のスタンプ。掃除用のちりとりや水場のスポンジ。業務遂行上絶対に必要とは言えないというのが難しい。例えば、集金袋の金額や名目を手書きで全て書くことは可能だし、そのようにしか学校は用意してくれない。ただ、それでは集金のたびに途方もない時間がかかるので、金額用のスタンプや名目スタンプを購入している。購入しなければ、すべての業務に途方もない時間がかかる。【小学校・教員】

教室で使うティッシュ、ウェットティッシュ、貸出用筆箱とその中身、児童が何かしら持ち帰りたい時用のビニール袋やジッパー袋、割り箸、磁石やクリアファイル。
授業や学校生活に必要な消耗品で、家庭から持ってきてもらうことが可能なものもあるが、公費で用意できるとやりやすい。【小学校・教員】

掲示物を見やすくしたり、華やかにできるようなお洒落なステーショナリーなどがあると買ってしまう。また、朝には読書の時間があり、忘れた時だけでなく、ちょっと読んでもらいたいと思う本をおいて置くようにしている。【中学校・教員】

学級経営のための研修代金は、都市部までの交通費1万5千円、宿泊費1万円、セミナー代金4千円くらい1回参加するのにかかるでしょうか。それが年間3回くらいあるでしょうか。【中学校・教員】

学級文庫の書籍などは自分で揃えています。【高等学校・教員】

クラスで席替えをするのに、有料のアプリを購入。【高等学校・教員】

設問4 3の自腹額は?

Q4. 設問3で答えた額は、合計すると1年あたりどの程度になりますか。

設問3と変わらず、中学校や高校よりも小学校の方が出費金額にばらつきがありました。年代別に見ると、20代の人の約6割が年間1万円以上2万円未満の出費をしていることがわかりました。年代が上がるにつれて、1万円以上2万円未満の出費をしている人は減るものの、金額が減る人と増える人で大きく分かれる傾向が見られました。

設問5 学級経営についての自腹、どう思う?

Q5. 学級経営に関する自腹について、あなたの思っていることや意見、考えを教えてください。(任意)

困っていること

経験年数が積み上がると、自分の持ち物や必要なものも見通しがもて、ストックも増えてくるので年間の自腹総額は減ってきたが、3年目くらいまでの給料の中で自腹で支払うのは、結構辛かった。【小学校・教員】

購入したいものがAmazonでしかなかったり、便利だったりするのにボイントがつくからという理由で購入できないことが困る。結局、自腹で購入したほうが楽。【小学校・教頭】

業務上必要な消耗品は事務室が購入しているものの、発注や受け取りが非常に煩雑で、ついつい自分で購入してしまう。【特別支援学校・教員】

事務への申請だと、注文→発注→現物が届くまで数日~1、2週間ほどかかってしまうので、実際は「今日、明日にすぐ欲しい!」と思うものが、その時に間に合わないので、非常に不便になった。【中学校・教員】

改善のためのアイデアや要望

各学級で、例えば年間1万円と学級経営(運営)費として消耗品を購入するための予算があるとやりやすい。学級によって必要になるものや量に差があるが、決められた予算の中で各担任が裁量を決められると良いと思う。【小学校・教員】

予算で全て賄われるべきなのは基本であるが、教師側もこだわりを捨て、かけなくても良い自腹を止める事が働き方改革に繋がる。やらない、手を抜く、妥協をもっと増やすべき。【中学校・教員】

任意で行っているものは職務命令に基づいたものではないので、自腹を0にするのは難しいと思います。特に学級経営に関しては、決まりはなく、教員がそれぞれの考えで自分の強みを活かしてやっていることが多いと思うので、全員統一することも難しいです。【小学校・教員】

自己研鑽として書籍購入やセミナー参加などに自己投資をすることは、個人の裁量だと思う。しかし、業務遂行と職能発達はともに重要な仕事の範囲だと考えているため、公的な研修の設定だけでなく個人的な関心にもとづく自己研修に対しても予算を配当してもらえることが必要だと思う。【小学校・教員】

全体で注文するとなると、予算の枠の限度が出てきたり、ちょっとおしゃれに飾りたいなどと考えると自腹にならざるを得ない。少しでも教室が環境良くなるようにと考えるが、全体で購入されるものはどうしても無機質で事務的なものになるので仕方ないかもしれない。【中学校・教員】

まとめ

自由記述では、書籍代やセミナーの参加費など、「教材研究や自己研鑽のための予算をつけてほしい」という声が多く集まりました。一方で、任意で購入している物もあり、「ある程度は仕方がない」「自腹の方が気軽に購入できる」などの意見も集まりました。また、授業においては急遽教材の購入が必要なことも多く、経費申請の手続きをしていると準備が間に合わないため、やむを得ず自費で賄っているケースもあるようです。「立て替えで購入をした際に、後日経費申請ができるようにしてほしい」という声もありました。


▼ 自由記述の回答一覧は、以下よりダウンロードしてご覧ください。 ▼

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NPO法人School Voice Project のメンバーが、プロやアマチュアのライターの方の力を借りながら、学校をもっとよくするためのさまざまな情報をお届けしていきます。 目指しているのは、「教職員が共感でき、元気になれるメディア」「学校の外の人が学校を応援したくなるメディア」です。

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