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【#新年度準備を十分に!】4月頭のドタバタはデメリット大。解決方法と春季休業が終わるタイミングの独自全国調査結果も公開(詳細資料DLあり)

  • メガホン編集部

多くの学校で、新年度が始まる4月の忙しさは大きな課題になっています。しかし、4月の始業式の日程が、自治体によって違うことはご存知でしょうか?4月5日から始まる地域もあれば、4月10日から始まる地域もあります。4月頭の忙しさを考えると、この数日の差で、子どもたちを迎える準備が十分にできるか大きく変わりますよね。新年度の準備期間を十分に取るため、近年、規則改定を行った自治体もいくつかあるようです。

School Voice Projectの「#新年度の準備期間を十分に!キャンペーン」では、年度始めの教職員の忙しさ、ひいては新年度準備を十分行えずに子どもたちを迎えざるを得ない状況を解消するため、春季(春期)休業終了日(学年始休業日)の後ろ倒しを推進しています。

こちらの記事では、キャンペーンの一環として、1) 全国の春季休業日程の調査結果、2) 各自治体で一歩を踏み出していただくための資料を共有いたします。

新年度の準備は、4月1日から始業式までの平日でやりきる必要がある

公立学校の春季休業の日程は、都道府県・市区町村の規則(「学校管理運営規則」や「学校管理規則」)によって定められています(*1)。春季休業日というのは子どもたちにとっては「春休み」と呼ばれるものですが、学校の教職員にとっては新年度の準備をするための期間になります。ここでポイントとなるのは、ほとんどの自治体において、教職員の人事異動の発表と新採用の辞令がおりるのが4月1日であり、重要な決定事項を決める会議は4月に入ってからでないと難しい、ということです。つまり、新年度のための準備は「4月1日から始業式の前日までの日数」でやる必要があります。さらに、4月頭に土日があると、新年度の準備期間が実質3日や4日以下しかなく、「土日出勤するしかない」という状況にもなり得ます。

新年度を迎えるにあたり、学校は様々な準備をします。具体的には「学校全体での準備や会議」「学年での準備や会議」「校務分掌の部会での準備や会議」「自分のクラスの準備」です。それぞれに決めなければならないことや、確認事項、引き継ぎ事項、書類の準備等があります。学年や校務分掌の会議でスムーズに役割が決まらなかったり、慎重に検討することが必要な事案が出てきた場合、「自分のクラスでの準備」の時間がどんどん削られていきます。また、近年はコロナ対策やGIGAスクール構想による1人1台端末のためのアカウント関連の業務なども増えています。結果として、新年度ワクワクして登校してくる子どもたちや、目を輝かせて入学してくる新入生を迎える前に、先生たちは既に連日の長時間残業や土日出勤によってクタクタになっている…ということが多くの自治体で起こっています。 

School Voice Projectが以前とったアンケートの中でも、先生方から「曜日の関係で新年度準備の日数に増減があるのが困る」「異動してきたばかりの先生にとっては、学校の教務規定や校則、それぞれの文化を理解する間もなく新学期を迎えるため、期間にもっとゆとりが欲しい」といった声があがっています。

*1 実際の日程は、学校管理規則より前後する自治体も一定存在します。

全国の半数以上の自治体が新年度準備期間を最大4日しか設けていない

School Voice Projectが行なった調査(*2)によると、国内にある1,756の自治体において、2022、2023年度の新年度準備期間が4日以下となる自治体は56%(976自治体)でした。なお、都道府県から回答をいただき、2022年度の実態が判明した自治体に絞って集計を行った場合、この割合は73%に上昇します。

*2 調査結果の詳細は、記事下部よりダウンロードください。規則上の記載と、2022年度の実態(都道府県から回答をいただいた範囲内)を都道府県・市区町村ごとにご覧いただけます。ご自身の自治体と近隣自治体などとの比較にお使いください。

春季休業の最終日が「4月7日」以前に設定されている自治体は、毎年のカレンダーによって新年度準備の日数が変わる

School Voice Project が2022年7月~8月にかけて行なった調査によると、国内にある1,718の自治体において、春季休業日の最終日が「4月7日まで」と記載されている自治体は504ありました。その場合、どのような曜日の並びであっても、始業式までの平日の日数は最低でも5日間は確保されます。しかし「4月6日まで」と記載されている場合、2022年度や2023年度のカレンダーであれば平日は4日間、2024年度のカレンダーであれば平日は5日間になります。同様に、「4月5日まで」と記載されている場合、2022年度や2023年度のカレンダーであれば平日3日間、2024年度のカレンダーであれば平日は5日間となります。 

つまり、春季休業の最終日が4月7日以前に設定されている自治体は、カレンダーの曜日の並びによって平日の日数が変わるということです。これらの自治体では、年によって、始業式まで平日5日間確保されていてある程度余裕を持って準備できる年もあれば、今年や来年のように平日3日間で慌ただしく準備しなければならない年もある、ということになります。 

新年度の準備期間を十分取れずに始業式を迎える際のリスク・デメリット

さて、年によっては5日かけて行う準備を2〜3日しかけられない場合、どのようなリスクやデメリットがあるでしょうか。考えられるのは以下のようなものです。 

1.情報の引き継ぎが不十分になる 
異動してきた先生や新規採用の先生に、学校の様子や子どもの様子、年度当初にやるべきことなどを丁寧に伝える時間が足りなくなる。

2.新規採用の先生に、大学では学ばない学校の活動について伝える時間が足りなくなる
特に小学校の場合、新規採用で来た先生は、大学の授業ではほとんど学ばない給食指導や清掃指導についてよく分からないまま子どもたちを迎えることにもなり、結果的に1学期の学級経営においてよいスタートが切れなくなる可能性が高まる。

3.教職員同士がお互いのことをあまりよく知らないままスタートを切ることになる
全員が慌ただしく準備する状態になると、異動してきた先生や新規採用の先生とじっくり話す時間のないまま始業式を迎えることになり、お互いのことをよく知らないまま重要な案件を決めていく必要が出てくる。丁寧なチームビルディングやビジョン共有などはさらに困難となる。

4.短期間にこなさねばならない業務量が増え、超過勤務になる。
すべての教職員に負担がかかるが、各学年、各学級の情報を取りまとめる教務主任、学校全体の情報をまとめて教育委員会に提出する教頭は特に多忙になる。そのため、4月が始まってすぐに残業続きとなったり、土日出勤をせざるを得ない状況となる。

もちろん、学校において最優先されるべき「子どもの安全に関する情報共有」などはどの学校でも入念にしっかりとなされているでしょう。しかしながら、「優先順位や重要度は高くはないけれどやっておくべきこと、やっておきたいこと」については、遅くまで残業をして行うか、諦めるかのどちらかになってしまいます。現状の春季休業のスケジュールで、十分に子どもたちを迎え入れる準備ができているのかどうか、考える必要があるのではないでしょうか。

この課題を解決する方法は、学校管理規則の改定

この現状は、「学校管理規則」を改定することで変えられます。具体的には、どの自治体でも定期的に開催されている「定例教育委員会会議」で決議すれば、春季休業日の日程を変えることが可能です。なお、学校管理規則は、多くの自治体において、議会での決議を必要とせず教育委員会の議決で済むため、意外とハードル低く変更することができます。

実際のプロセスについては、特集・カテゴリページの「#新学期準備十分に」に掲載の教育委員会へのインタビューをご覧ください。
例えば、カレンダーに関わらず、平日5日間を新年度準備として確保できるよう学校管理規則を改定した木更津市教育委員会のインタビューでは、今井学校教育課課長から、コロナによる休校の経験を経て、授業時数に対して柔軟に対応できるようになっていたため、大きな懸念事項は無かったこと、思ったより簡単に変更することができ「案ずるより産むがやすし」という印象であったことなどを語っていただいています。必要な手続きを踏めば、どんな自治体でもすぐに可能だということをご理解いただけるのではないかと思います。

近年、学校管理規則を改定して春季休業終了日を後ろ倒しにした自治体として、他にも坂井市(福井県)、熊本市(熊本県)、近江八幡市(滋賀県)が挙げられます。記事下部よりダウンロードいただける資料では、これらの自治体の教育委員会にてどのような議論がされたのか定例教育委員会の議事録も紹介しておりますので、ご参照ください。

学校管理規則の改定のためのプロセス

では、学校管理規則を改定するためには、具体的にどのような手続きを踏んでいけばよいのでしょうか。それはまずスタート時点である「あなた」がどのような立場の方であるか、ということによって決まります。詳しくは記事下部よりダウンロードいただける資料内の「各立場からの提案方法」を参照ください。

もしもあなたが、教員になって間もない20代の先生だったとしても、可能性はあります。その場合、まずは信頼できる同僚の先生にこの記事を共有してみてください。その先生が学年主任、教務主任、教頭の立場であればよりよいでしょう。校内に共有できそうな先生がいない場合は、他校でも構いません。まずは4月の春季休業期間について問題意識を共に持つことができそうな先生に相談するところから始めてみてください。

また、保護者の方の場合、お住まいの地域の教育委員会事務局や市区町村役場に問い合わせてみるという方法があります。まずはお住まいの地域の4月の始業式が何日から始まっているのかを調べていただき、もし「4月6日」より早い日程で始まっていた場合、学校教職員はかなり多忙な状況であることが予想されます。保護者の方からこのような問い合わせが入れば、学校や教育委員会事務局としては、働き方改革を推進するための追い風だと感じられるでしょう。

全国的な動きに

上述の通り、近年、学校の業務改善・教職員の働き方改革を目的とし、春季休業期間の見直しを行い学校管理規則を改定した自治体はいくつかあります。また、今年度改定に向けて動いている自治体もあるようです。

この課題は全国の学校で共通であると同時に、その課題解決のプロセスもほぼ同じものになると思われます。ご自身の自治体で春季休業期間の見直しに動きたいという方向けに、当記事の内容をより詳しく記載した資料をご用意しました。ぜひ、記事下部よりダウンロードください。

また、記事・資料の内容への質問やご意見、問い合わせ、ご相談などがありましたら、ぜひこちらのフォームよりご連絡ください。School Voice Project としても、全国的な課題解決を図っていけたらと考えています。


資料の内容

1. 自分の自治体や近隣自治体の春季休業日程の確認のために
a. 全国自治体の春季休業終了日の集計結果
※資料フォルダ内、PDFで要旨を、Excelで詳細を紹介しています。

2. 教育委員会へ提案するために
a. 教育委員・教育委員会事務局・教職員・保護者など、各立場からの提案方法
b. 教職員アンケート(案)

3. 定例教育委員会での決議のために
a. 春季休業終了日を後ろ倒しにした自治体の議事録
b. 発議資料テンプレート(準備中)

3. 学校・保護者への説明のために
a. 学校への通知文書テンプレート(準備中)
b. 保護者への説明資料テンプレート(準備中)


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#新年度準備を十分に

実は、4月に学校の新学期が始まる日程は自治体によって違います。ほとんどの自治体で、教職員の人事異動の発表と新採用の辞令がおりるのが4月1日。なので、重要な決定事項を決める会議は4月に入ってからでないと難しい。つまり、新年度のための準備は「4月1日から始業式の前日までの日数」でやる必要があります。 

新年度を迎えるにあたり、学校は様々な準備をします。具体的には「学校全体での準備や会議」「学年での準備や会議」「校務分掌の部会での準備や会議」「自分のクラスの準備」に分かれます。それぞれに決めなければならないことや、確認事項、引き継ぎ事項、書類の準備等があります。学年や校務分掌の会議でスムーズに役割が決まらなかったり、慎重に検討することが必要な事案が出てきた場合、「自分のクラスでの準備」の時間がどんどん削られていきます。また、近年はコロナ対策やGIGAスクール構想による1人1台端末のためのアカウント関連の業務なども増えています。結果として、新年度ワクワクして登校してくる子どもたちや、目を輝かせて入学してくる新入生を迎える前に、先生たちは既に連日の長時間残業や土日出勤によってクタクタになっている…ということが多くの自治体で起こっています。

NPO法人 School Voice Project では、新年度準備のための日数を十分にとり、よりよい状態で子どもたちを迎えられるよう、各自治体に対する働きかけ・キャンペーンを行っています。このカテゴリではこのキャンペーンの関連情報を掲載していきます。

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