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【教職員アンケート結果】新年度の準備期間、何日必要?

  • メガホン編集部

新しい年度を迎え、児童生徒が安心して学校に登校できるよう、教職員は春休み中にその準備を進めます。

十分な準備期間を経て児童生徒を迎えている学校がある一方で、新年度からの新たな勤務校や担任、校務分掌などの担当の発表から新年度を迎えるまでに十分な時間が確保できず、「学校運営への支障が大きい」という声もあります。

主な担当が知らされてから始業式までの時期や長さについて、教職員の方に現状と意見を聞きました。

アンケートの概要

School Voice Project では、WEBアンケートサイト「フキダシ」に登録する教職員の方を対象に、新年度の準備期間についてアンケートを取りました。

■対象:全国の小〜高校年齢の児童生徒が通う一条校に勤務する教職員
■実施期間:2022年4月23日(土)〜2022年5月15日(日)
■実施方法:インターネット調査
■回答数:92件

アンケート結果

設問1 受け持ちが知らされたのはいつ?

Q. 今年度の主な受け持ちが管理職等からあなたに知らされたのはいつですか。
※主な受け持ちとは、学級担任や校務分掌などの職務の割り振りのうち、主となる職務を指します。
※今年度現場を離れている場合は、直近のケースをお答えください。

新年度の担当が決定する時期として、最も多いのは「3月中」で全体の6割。次いで多いのは、「新年度勤務開始日」で3割でした。校種による大きな違いは見られませんでしたが、地域別に見るとその差は顕著。北海道、東北、関東では、3月31日より早く新年度の担当が決定する学校が8割以上であったのに対し、その他の地域では5〜6割程度でした。

設問2 受け持ちが知らされてから始業式までは何日?

Q. 設問1の日程から、今年度の始業式までの勤務日の日数はどの程度ありましたか。休日出勤した日数は数えずにお答えください。

新年度の担当が決まってから始業式開始までの勤務日は、「1・2日」を選択した方が全体の1割弱。その他の選択肢を選んだ方は、それぞれ2〜3割程度となっており、学校によるばらつきがあることがわかりました。担当が決まってから始業式開始日までの中央値(※)は8日程度でした。

※中央値…データを大きい順に並べたときの中央の値

設問3 4月1日から始業式までは何日?

Q. 4月1日から、始業式までの勤務日の日数は何日ありましたか。休日出勤した日数は数えずにお答えください。

回答全体で見ると、4月1日から始業式までの勤務日の日数として最も多くの方が選択したのが「3・4日」で5割程度。次いで、「5・6日」を選択した方が4割弱でした。4月1日からの平均準備日数は、4日程度ということがわかりました。

設問4 十分な準備をするために必要な日数は?

Q. 十分な新年度準備をするために、主な受け持ちが知らされてから始業式までに必要だと感じる勤務日の日数を選択してください。

どの校種でも、約7割以上の方が新年度までの準備として7日以上の期間が必要だと回答しました。最も多く選択されていたのは「11日以上」で、全体の約5割を占めました。希望する準備日数として、現状の準備日数よりも長い日数を選択した方は、全体の約6割でした。

設問4-2 その日数を選んだ理由は?

Q. 上記を選んだ理由をお書きください。

3・4日を選択した方の主な意見

現状でも少し慌ただしいですが、そんなに困っていないのでこのように回答しました。【高等学校・教員】

5・6日を選択した方の主な意見

始業式の翌日から給食、掃除、5・6時間授業が始まるため、時間割り表や給食当番表や掃除当番表、朝の会や帰りの会の進行表、日直当番表など大量の掲示物を作らなければならないため。【義務教育学校・教員】

持ち上がった学年ややり慣れた科目、分掌担当であれば、そんなに時間は必要ないが、突発で入った学年や異動したばかりの学校で始業式を迎えるのであれば、それ相応の期間が必要。【高等学校・教員】

7〜10日を選択した方の主な意見

今年度、小1の学年主任をしています。4月に入ってから入学式まで4日間勤務日がありましたが、その4日間は、昨年度担任していた児童の引き継ぎと、今年度の新1年生の引き継ぎ、職員会議で勤務時間はほぼ終わってしまいました。昨年度は保護者に配慮が必要な方が多く、保護者からも「次の担任にも引き継ぎをしっかりしてほしい」と要望があったため、1人の児童に1時間以上かけて引き継ぎ。また今年度は車椅子の児童がいるため、トイレの仕方など細かく確認が必要だったためです。【小学校・教員】

はじめの1週間(5日間)は、職員会議、学年会議、教科部会、分掌部会、部活動顧問者会、などなど、とにかく会議づくし。そして入学式準備や保護者との事前面談(希望者)も入ります。部活動もあるので、自分の仕事ができるのはその後。教材研究する暇なんてありません。【中学校・教員】

特別支援学校では、児童生徒の障害の状態や医療的ケアについてなど、学校生活に必要なあらゆることを、年度当初に前年度の担当者から引き継ぐ必要がある。安全な体制を整えるためには、10日間程度の日数が必要。【特別支援学校・教員】

11日以上を選択した方の主な意見

学年を組む同僚と人間関係を築く期間がもっと欲しいので。1年生の担任は0から作らなければいけないので、さらに時間が必要。【小学校・教員】

担当が決まってからは、会議の連続で、校務分掌によっては、自分の学年のことに取り掛かることは勤務時間内には到底無理です。その校務分掌に関しても、新しく入ってこられた先生方もいる中で1年の計画をこの短期間に立てろと言うのは無理な話で、とりあえず「例年通り」にする他ないのが現状です。【小学校・教員】

年度始めの会議が多く、日数の割に事務作業の時間が全然足りなかったため。単純に日数があったところであまり意味はなく、大切なのは「勤務時間内にどれだけの作業時間があるか」です。【中学校・教員】

担任業務・分掌業務・授業準備など、新年度にやるべき仕事の量や会議等の打ち合わせの時間を考えれば、少なくとも2週間以上は必要だと感じます。【高等学校・教員】

設問5 新年度の準備期間、どう思う?

Q. 新年度の準備期間について、思うことやご意見があればお書きください。

十分な準備期間がほしい 

始業式を4月半ばにし、4月中は午前中のみの登校にすることが、教師にとっても子どもたちにとってもいいことしかないと思います。年度はじめの自殺や不登校の軽減、若手教員の離職の軽減にもつながると思います。【小学校・教員】

会議も多いので、自分の仕事をする時間が必要。1日以降の勤務時間内だと会議で半分以上終わる。ただ、会議もたぶん必要なことなので、倍以上の時間をもらえると、勤務時間内で準備が終わると思う。【小学校・養護教諭】

せめて毎年必ず◯日と決めてほしい。曜日の関係で新年度準備の日数に増減があるのが一番困る。【中学校・教員】

異動してきたばかりの先生にとっては、学校の教務規定や校則、それぞれの文化を理解する間もなく新学期を迎えるため、期間にもっとゆとりが欲しい。【高等学校・教員】

異動の内示や次年度の担当を早く発表してほしい

人事異動の内示が3月中旬にもかかわらず、学年の配置を知らされるのが3月31日や4月1日では、準備期間に余裕がなく、意味がない。【小学校・教員】

春季休業は短く、異動もあるため、全体の動きより先生方個人の動きが入ってくる。離任式を3月中に行うこと、内示(弊自治体では3/16)を早めることなどで個別の動きを早めて、3月中にできることを増やすような改善案が必要だと考える。【中学校・教員】

新年度が始まる前に教員の異動や分掌が知らされるかどうかが重要。それによって異動のある教員の引き継ぎが非常に楽になる。同じ県でも小中学校では新年度にならないと分掌がわからないと聞き、非常に驚いた。どう考えてもデメリットしかなく、自分たちの首を絞めるだけだと思う。【高等学校・教員】

県全体の人事異動の報告を早くしてほしい。県からの決定(現在は3月中旬以降)を受けて、管理職が校内の人事を決め、それから次年度の準備では、絶対に準備期間が足りない。【特別支援学校・教員】

業務内容の見直しをする必要がある

学級編成の名簿や張り出し名簿、成績などデータベースのシステムを一本化して、重複する業務を減らせば、年度はじめの業務が効率化できる。ペーパーレスを目指すにはあまりに正反対の作業が多くの学校で行われている。【小学校・教員】

職員会議や学校評価、教科部会など、校内で共通理解を図っておくべき項目がかなり多い。そのため、すべてを年度当初で行おうとすると時間が全く足りなくなる。軽重をつけたり、時期を変更したりするなど、工夫が必要であると考える。【小学校・教員】

年度末の教室清掃やワックスがけなど業者等に発注して、やってもらえたら、その分の時間を準備に相当充てることができるのではないかと考える。【中学校・教員】

教職員間の関係構築のための時間がほしい

特に足りないのが、新転任者との顔合わせの時間です。もし始業式までの間に、教職員が全員集まって、お互いのことを知るようなこと目的にした研修を行っていれば、チームとして良いスタートが切れるのですが、実際はお互いのことを知らないまま学期がスタートしてしまうのが現実です。【小学校・教員】

年度当初はやることとかやり方より、何を大切にしているか、想いとか価値観とか理念とかをききあって、お互いを知り合う大事な土台づくりに時間を割きたいです。【小学校・養護教諭】

教職員自身がどんな学校にしたいかとか、どんなふうに子どもたちとかかわりたいとか、教職員がお互いを知り合うことなどもとても大事だと思うのですが、そうしたことが軽視され、授業時数を確保することなどが優先されてしまっている現状が表れているのではないかと思います。【中学校・教員】

事務的な準備とともに、それぞれのチームでどのような目標に向けて教育活動をしていこうかということについて対話する時間を確保したい。【高等学校・教員】

人員を増やしてほしい

中高では担任副担任、支援校では担任と学級付きで作業を進められますが、小学校ではどうしても担任1人では限界があります。なので副担任もしくはスクールサポーター、支援員などの職種を増やして、複数人で準備を行わないと始業式には間に合わないと思います。【特別支援学校・教員】

まとめ

最も多かったのは、「新学期が始まるまでの準備期間を長くしてほしい」という切実な声でした。しかし、単純に期間を長くするだけでは、準備時間の不足解消に繋がるわけではないことも、今回のアンケートから読み取ることができました。

例えば、学校によっては新年度の担当が決まるのが4月1日以降であることもあり、それまでに準備を開始することができないという現状があるようです。そもそも人事異動の内示が4月1日以降の自治体では、当然新年度の担当が決まるのもそれ以降となってしまいます。

春休み中に行う業務は、教職員間の顔合わせや関係構築、新年度からの方針や具体的な取り組みを決める会議、学級や教科の準備、部活指導や教職員研修など多岐にわたります。「会議ばかりで自分の仕事をする時間がない」という声も多くあがっていました。

中でも丁寧に行う必要がある業務としてあがっていたのは、保護者や児童生徒についての引き継ぎ。旧担任から新担任への十分な引き継ぎがあることは、新年度からも児童生徒が安心して学び続けられる環境づくりに繋がります。



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NPO法人School Voice Project のメンバーが、プロやアマチュアのライターの方の力を借りながら、学校をもっとよくするためのさまざまな情報をお届けしていきます。 目指しているのは、「教職員が共感でき、元気になれるメディア」「学校の外の人が学校を応援したくなるメディア」です。

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