学校をもっとよくするWebメディア

メガホン – School Voice Project

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日本の学校には、教員同士で互いの授業を見合う「研究授業」という文化があります。今回の教職員アンケートでは、そんな研究授業のドレスコードについて、勤務校での実態とそれについての意見をお聞きしました。

※WEBアンケートサイト「フキダシ」では、ユーザーの皆さんが同業の教職員の方に聞いてみたいことを投稿できる『みんなに聞きたいこと』というコーナーがあります。本アンケートは『みんなに聞きたいこと』から作成されました。

アンケートの概要

■対象  :全国の小〜高校年齢の児童生徒が通う一条校に勤務する教職員
■実施期間:2023年3月10日(木)〜2023年4月10日(月)
■実施方法:インターネット調査(実施時の設問はこちら
■回答数 :30件

アンケート結果

設問1 「研究授業の際のスーツ着用」、必須?

Q1. あなたの勤務校では、研究授業を行う際に授業者のスーツ着用は必須ですか?

回答者数が少ないことには留意が必要ですが、「必須である」が3割、「必須ではないが着用している教員が多い」が5割、「特に言及はない」が2割という結果になりました。

設問2 「研究授業の際のスーツ着用」、どう思う?

Q2-1. あなたは「研究授業の際のスーツ着用」についてどう思いますか?

設問1と同じく回答者数が少ないことには留意が必要ですが、明確に「賛成」という人はおらず、「反対」・「どちらかというと反対」が合わせて約7割、「どちらかというと賛成」が約3割という結果になりました。

Q2-2. 上記の選択肢を選んだ理由をお書きください。

いつもと違う雰囲気になるのが、よくない

ただでさえいつもと違う雰囲気なのに、その上スーツで無駄に子どもの緊張を高める必要はないと思うから。【小学校・教員】

特に小学校では、子どもの背丈に合わせて屈んだり、一緒に遊んだりすることが多いので、スーツは不便です。体育の際に運動着に着替えるのにも手間がかかります。ふだんスーツで授業をしていない場合、研究授業でスーツを着ると、子どもによっては雰囲気の違いで緊張してしまうこともあります。だからこそふだんからスーツを着て授業をするという先生もいますが、そこまでしてなぜスーツを着るのかよく分かりません。自治体によっては、教職員に対する単なる締め付けとして導入されていると感じられる部分もあります。なぜ学校現場のことを何も知らない、現場から遠く離れた人が人気とりのために導入したことを、ずっと守らされなければならないのでしょうか。【小学校・教員】

授業は子どもたちのために行うものである。担任が日常と違ったことをすると、それだけで子どもたちの動きは変わってくる。まして、他の教師が見に来るような研究授業の場面で、前に立つ担任が普段と違った服装をすれば、子どもたちも普段とは違った反応になってきてします。【小学校・教員】

子どものための服装ではないのではないか

スーツを着用するのは自由だが、着用してないと注意される、というのは理解し難い。というのもスーツ着用はどちらかというと、子どもたちに対しての態度ではなく大人に対してのものなので、スーツ着用の強制は大人の目の方を気にしている現れだと思うから。【高校・教員】

本来、参観は子どもの学びを見るものなのに、教師同士が教師を評価、指導するもの、というバイアスがかかると感じている。【小学校・教員】

誰に対しての授業かを考えると、必ずしもスーツの必要はない。 学校の教育活動において、スーツ着用が望ましい場面は年に数回しかない。【中学校・校長】

教員の仕事にスーツは不便である

実際には、スーツでない教員がたくさんいるため。常に動き回る教員という仕事にスーツは、適していない。あちこちにチョークがつくし、板書するときに上着が邪魔になる。自分たちがよいと思っていないものを、これから教員になるかもしれない人に強要するのは、ナンセンス。むしろ、多様性の時代のリーダーとして、場にふさわしい服装を各々が考えて着て、多様性を具現化してほしい。【中学校・教員】

研究授業が設定されている時間も様々で、その前後が体育ということもしばしば。参観のためだけに慌てて着替えるというのも大変だったため、いつもスーツではなかった。これが「いつも着用」となると厳しいなと思う。【小学校・教員】

研究授業に関わらず、仕事のときは常にスーツを着用しているから。 体育などの特別な服装が求められる教科以外はスーツ着用が基本だと考えている。 もちろん、特別な服装が日頃から必要な教科はスーツである必要はない。【中学校・教員】

外部の人が来る場合は着用すべき

外部から講師なども来てもらうわけなので、きちんとした恰好をするのはマナーだと思う。(体育、技術、美術、理科(実験)は別)【中学校・教員】

校外の方(例えば指導主事)が来られる場合等は、スーツの方がいいだろうと思った。【小学校・教員】

普段からきちんとした服装をすべき

普段からスーツ着用しています。人前に出るので、しっかりするのが大事と思っています。【高校・教員】

研究授業のときだけスーツを着用する理由がわからない。 普段からきちんとした服装をすべきで、研究授業のときも同じでいいと思う。【小学校・教員】

普段から身だしなみに気をつけた服装をしていない方が結構見られるので、どちらかというと賛成と感じる。 スーツでなくても、キチンと感が出ていれば良いが、現状を見ていると、無理な気がする。【小学校・教員】

設問3 このテーマについて自由にお書きください。

Q3. このテーマに関連して、日頃あなたが思っていること・感じていることを自由にお書きください。

校種や地域による違いを感じる

小学校は特に、教科ごと着替えるのは大変だと思うが、もう少し身だしなみに気をつけて…と思う方が、男女問わずいるのが残念だし、不快に感じる。 中学の方が、普段からスーツ着用だったり、小綺麗にしている方が多いように思う。【小学校・教員】

地域的にも研究授業の時はスーツで行う。というのがスタンダードである。初任者が研究授業を行ってスーツでなければ確実に指導が入る。【小学校・教員】

そもそも教員の服装が、地域によって様々なのではないかということを最近感じる。私服のような服装で過ごしている地域から、出退勤は必ずスーツという地域もあるようだ。この感覚の違いは何か気になる。【小学校・教員】

日常の服装についての言及

日頃生徒の前で働いている姿のままで何か問題なのだろうか。日頃の身だしなみが、他者に見られて恥ずかしい、困るようなものであれば、それ自体を改めるべきだと感じるし、「研究授業ではスーツを着るように」ではなく、日常に気を使うように指導されるべきだと強く思う。ありのまま、日常の状態を磨かずして、研究授業の意味はないと思う。【高校・教員】

 子ども達にTPOを教える役割がある以上、教員は普段から外部の先生や保護者に見られて困るような格好で授業をすべきではない。とはいえ、子どもと過ごすと泥だらけになるので毎日きちんとしたスーツを着るのは難しい。そうなると、普段から洗いやすいオフィスカジュアルな格好で過ごし、研究授業も同様の服装で行なうのがベストなのでは。【小学校・教員】

なぜ日常業務がスーツでなくてもいいのか、ジャージやラフな格好でいいのかが疑問。 男性がひげを生やしたままでもよく、女性がネイルや染髪をしていることも許容される風潮になって久しいが、一般企業に合わせて変化していくのであれば、「スーツ・もしくはスーツに順ずる格好」が基本の方がいいと思う。【中学校・教員】

服装は表面的なものでしかないのでは

スーツ着用が望ましいとは思うが、必須ではなく、動きやすさができる服装の方が良いとは思う。子どもたちへの対応や、わざわざ研究授業のタイミングだけ着替えたりするのも「こじつけ」るような感じがするから。本来は見てもらうべきは授業であって服装ではないが、服装でとやかく言われるのならば、1時間ぐらいの服装は我慢していると言うのが本音かも。【中学校・教員】

管理職が普段着で参観してはいけない、教えていただくのだから正装しなさいと指導がありました。たかが服装ですが、普段の授業の質を上げることが大切で、その時だけを取り繕うような雰囲気を完全に纏うこの考え方は、あまり心地よいものではないと思っています。 校内研修担当ですが、相手を不快にさせない服装ならなんでもいい、むしろ黒スーツの集団は子どもにも教師にも圧がかかるため禁止、というルールを来年度は追加してしまおうかと検討中です。【小学校・教員】

研究授業に限らず、保護者や指導主事が来る日に普段とは違う格好をすることは好きではない。 保護者や指導主事はお客様ではなくて、ともに子どもを支える同志。 普段通りの恰好で迎えたい。 格好ではなく、振る舞いで敬意を伝えたい。【小学校・教員】

その他

研究授業以外で、スーツ着用を求められることが多く、特に困るのが明言(指示)しないケースが多いこと。 「この話し合いはスーツが必要か」と同僚同士で相談し、探りあっていることが多い。で、蓋を開けたらほとんどの人が正装でした、ということもしばしば。 個人的には、できるだけスーツは着たくないと思うが、管理職が「正装が必要」と考えるなら、はっきり指示を出してほしい、と思う。【特別支援学校・教員】

スーツ着用が当たり前だと思っていましたが、よく考えてみたらなんか変だなあと思いました。【小学校・教員】

まとめ

このアンケートはWEBアンケートサイト「フキダシ」内の『みんなに聞きたいこと』コーナーへの投稿をもとに作成されました。

研究授業のスーツ着用については、「必須」「必須ではないが着用している教員が多い」が合わせて8割となり、研究授業の際のスーツ着用は広く浸透している、一般的になっていることが伺えました。
スーツ着用の是非については、どちらかというと「反対」の傾向が強くあらわれる結果となりました。

自由記述の内容からは、”研究授業の際”のスーツ着用については、普段と違う雰囲気により児童生徒が緊張することや授業を担当する教員へのプレッシャーが強まることへの懸念や、誰のための研究授業なのか?といった疑問、仕事上の実用性の低さへの指摘などの声が寄せられた一方、「職業柄、普段からある程度きちんとした格好をするべきではないか」、「同僚の身だしなみが気になる」といった意見も複数寄せられました。

服装のマナーについては、価値観の分かれるところではあるとは思いますが、各職場で「何のために」「どのような場で、どのようなドレスコードが必要なのか、もしくは不要なのか」という議論や対話を重ね、納得できるルールを見出していくことが大切なのかもしれませんね。


▼ 自由記述の回答一覧は、以下よりダウンロードしてご覧ください。 ▼

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※メディア関係者の皆様へ
すでに公開されている教職員アンケート結果やWEBメディアの記事の内容等は報道の際に使用いただいて構いません。その際は【出典:NPO法人School Voice Project 】クレジットを入れていただき、事後でも結構ですのでご一報ください。

NPO法人School Voice Project(以下SVP)では、2023年4月6日(木)、新年度準備期間の短さと期間延長の必要性をPRする記者会見をオンラインで開催しました。この日は全国平均で最も多くの自治体で始業式が実施されている日です。それ以外の市町村でも、まさに始業式前後のドタバタ期で、学校現場は余裕のない中で業務に追われている最中。この時期にタイムリーな発信をすることで、この問題を多くの教職員や保護者・市民の皆さんに知ってもらい、問題意識を持ってもらえたら。そんな思いで実施に至りました。

本記事では主に、記者会見でSVPからメディアの皆さんに提供したデータ(プレゼンテーション)の内容と、多忙の中参加していただいた現職教員・教育委員会事務局職員の方の声をお伝えします。

「#新年度準備を十分に!キャンペーン」とは?
実は、4月に学校の新学期が始まる日程は自治体によって違います。ほとんどの自治体では、教職員の人事異動の発表と新採用の辞令がおりるのが4月1日。なので、重要な決定事項を決める会議は4月に入ってからでないと難しく、新年度のための準備は「4月1日から始業式の前日までの日数」でやる必要があります。 新年度準備期間が十分に確保できないと「授業準備が不十分」「教科や学級、校務分掌の準備が不十分に」「児童生徒の情報共有や引継ぎが不十分に」「初任者や異動者への支援が不十分に」「組織としてのビジョン共有や方針立案が不十分に」「教職員のチームビルディングが不十分に」…など様々な問題が発生します。

SVPでは、新年度準備のための日数を十分にとり、よりよい状態で子どもたちを迎えられるよう、この問題を「見える化」し、各自治体に対する働きかけ・キャンペーンを行っています。

はじめに

記者会見の冒頭では、進行役を務めたSVP理事の武田から、このキャンペーンの背景と趣旨が語られました。

武田:私たちSVPは、アンケートや様々なオンラインの対話の場などを通して学校現場の教職員の声を集めています。その中で、”新年度準備期間の短さ”という課題が見えてきました。教職員自身も、他自治体の状況を知らないことが多いので、自分の勤務自治体の状況が「当たり前」だと思っている、という状況もあります。実際、「え、◯◯県はそんなにゆっくり始まるの?!」「知らなかった!」といった声がたくさん聞かれたんです。新年度がドタバタで始まると、大事な引き継ぎ事項が漏れたり、授業準備ができなかったり、学校のビジョンを擦り合わせたりする時間が取れなかったり・・・といったことが起こります。これは教職員の働き方の観点から問題であるのはもちろんのこと、子どもたちにも弊害が出ている=教育・支援の質に関わる問題であると考え、このキャンペーンを立ち上げました。

始業式の後ろ倒しは、教職員の多くが求めている改善であり、かつ変更が比較的容易で、予算もほとんどかかりません。変更コストに対して、変えた際のプラスの影響・効果の大きいことが想定されるトピックだと考えています。最近では始業式の後ろ倒しを実現した自治体も少しずつ増えています。ぜひ全国に広まってほしいです。

続いて、同じくSVP理事の小林から、実施した2つの調査についての報告がありました。

全国始業式日程調査の結果

1つ目は、全国の学校管理規則を洗い出し、「始業式」の日程を調査したものです。

調査概要

  • 調査実施時期:2022年7月〜8月上旬
  • 調査主体:NPO法人School Voice Project
  • 調査対象:1756自治体(都道府県47+市区町村1741 – 不明32 )
  • 調査方法:①各都道府県に問い合わせ 
         ②「学校管理規則」をインターネット上で検索
          (一般財団法人地方自治研究機構の全国例規集を主に参照)

※今回の調査では、①各都道府県に問い合わせた2022年度の春季休業終了日、②学校管理規則上の春季休業終了日を集計しました。前者のみでは全自治体の情報を網羅することが難しい一方で、後者は年度・学校ごとの弾力的な運用により実際の日程と異なる恐れがあるため、①②の情報で相互に補完することを目指しています。

基本情報

  • 春休みの期間=始業式日程は、学校設置者の定める「学校管理規則」において決められています。
  • 「学校管理規則」は教育委員会会議の決議で変更することが可能です。(議会での決議は基本的には不要)
  • 規則の書き方には幅があり、明確に日程を記載しているもののほか、学校長の判断で変更が可能になっているもの等があります。
  • 「学校管理規則」は市町村教育委員会が定めるものですが、都道府県ごとに一定の傾向が見て取れます。

2022年度と2023年度は年度当初に土日があったため、多くの自治体では通常よりも新年度準備期間が短くなってしまっていました。都道府県に問い合わせた2022年度実態では73%、学校管理規則上では56%の自治体で、2022年度、2023年度の新年度準備期間は4日以下であったことが分かりました。

実質準備日数を表にしたものがこちらです。準備期間が4日以下が976自治体、3日以下が671自治体、2日以下が87自治体でした。最も多かったのは準備期間が3日の自治体でした。一方で8日や10日の準備期間がある自治体もあることが分かりました。

こちらは都道府県ごとに新年度準備にかけられる日数の平均値を算出して色分けしたものです。始業式日程は各市町村で決められるものではありますが、都道府県ごとに大まかな傾向があるため、参考になると考え、MAPを公表しました。

教職員向けWEBアンケートの結果

また、教職員WEBアンケートサイト「フキダシ」にて実施した新年度準備期間についてのアンケートの結果もお伝えしました。

調査概要

  • 調査対象 :全国の小〜高校年齢の児童生徒が通う 一条校に勤務する教職員
  • 実施期間:2023年1月20日(金)〜2023年3月13日(月)
  • 実施方法:インターネット調査(Googleフォームを活用、WEBアンケートサイト「フキダシ」にも掲載)
  • 回答数 :179件
  • 調査主体:NPO法人School Voice Project

新年度準備期間が不十分なことで起こってきた現象を尋ねたところ、ほぼすべての項目において教職員の9割以上が悪影響を感じていることが分かりました。

また、求める新年度準備の日数を尋ねたところ、「”万全の状態”でスタートするために」という聞き方では、「9日〜10日」という方が最も多く41%、続いて「7〜8日」が36%でした。「最低限必要な」という聞き方では、「5〜6日」という方が最も多く40%、続いて「7〜8日」が36%という結果になりました。いずれの聞き方でも、9割以上の方が「最低5日はほしい」と考えていることが分かりました。

また、教職員から寄せられた生の声も紹介。こちらは以下の別記事から詳しくお読みいただけます。

学校現場からの声

会見には、新年度の忙しい時期にも関わらず、現職教員の方が2名、教育委員会事務局の方が1名参加してくださいました。

富山県の公立小学校に勤めるベテラン教育である能澤英樹さんからはこんなふうに話してくれました。

「例えば、学校ではアレルギー対応給食といって、個々のアレルギー食材を取り除いたり、代替の給食が配付されますが、それを管理するのは教員なので、4月の当初に誰がどんなアレルギーがあるかの全職員の共通理解が行われます。子どもの命に関わることなのでかなり慎重に行う必要があります。これはほんの一例で、それ以外にもスムーズかつ安全に年度初めの学校生活をスタートさせるための業務が、昔よりも量的にも質的にも増えている。しかし、そのための人員は増えず、時間は逆に削られています。」

「三日間の準備期間では、子どもを迎えるための最低限の環境整備しかできず、後回しにしてよい書類などはすべて始業式後になります。それでもできなかった業務は子どもたちが帰ってからすることになる。最も圧迫されるのが授業準備の時間です。十分な授業準備ができないことで、分かりやすく授業できない、興味をひきつけることができない。特に勉強の苦手な子に十分に手が届かない無念さを私もいつも味わってきました。最悪の場合、子どもたちが落ち着かない状態になり、学級崩壊したり、いじめが起こったりして問題対応でさらに時間が取られることがあります。そうなるとさらに授業準備の時間が削られて”負の連鎖”です。」

東京都の公立小学校に勤める若手教員であり、一般社団法人まなびぱれっと代表理事として初任者や若手教員の支援にもあたっている小泉志信さんは、

「前年度引き継ぎや、校務分掌の相談等をしていると、年度当初は2日間ぐらいはずうっと打ち合わせになります。合わせて初任者にはこのタイミングで研修が入ることが多い。そうすると学校でクラスの準備をする時間はほぼ取れなくなります。東京は今日(4/6)から登校が始まっているところが多いですが、実際教室に入れたのは昨日、というような初任者も当たり前にいます。これはかなり苦しいです。」

「初任者は、”何が分からないかも分からない”という状態を抱えている。そういう時に先輩に頼りたいけれど、先輩たちですら今の状況ではギリギリでやっているんです。心理的に安全ではない状況で、初任者は聞きにもいけず、周りを頼れない。そもそも親しくもなれすらいない、学校の方向性・ビジョンも共有できていない、という課題があるのかなと思います。今若手の病休の割合も増加している中で、安定した準備ができることが、安心して働けて、その結果子どもにいい授業、いい教育を届けることにつながると思います。」

と話してくれました。

後ろ倒しに取り組んだ教育委員会の立場から

Sさんからは、昨年、某市教育委員会で新年度準備期間の課題について改善を試みた経緯について、共有されました。

「本市では学校運営管理規則上の春季休業が4月5日からと記載されているので、去年・今年は準備期間が3日間。実際今年とある学校の教頭の退勤時間を聞くと、22:30に退勤したという報告も上がってきています。昨年度この状況が見えていたので、なんとか規則を改訂して準備期間を1 日でも長くしようと試みましたが、結果的には今年度は持ち越し、次年度以降再検討ということになりました。」

「昨年の夏から秋にかけて市内全部の学校の管理職にヒアリングをしました。ほとんどの学校でバタバタしていて準備期間が足りていないという声があがりました。それを受けて、市内600名の教職員にアンケートをとりました。約430名から回答があり、準備ができてゆとりを持って迎えられた人は0%、十分な準備が問題なくできていたと答えたのは1.8%でした。また、土日に出勤も持ち帰り仕事もせずしっかり休めていた先生はわずか17.5%でした。こういう状況を受けて春季休業を4月7日までに変更してはどうかという起案を上げました。」

「解決しないといけないハードルとして、授業時数があります。本市の場合は小学校では低学年はゆとりを持ってやれており、高学年が少しギリギリ、中学校では特に3年生で足りていない学校もあり、これを理由に今年度は見送りになりました。結論としては、今年度教育課程を見直して、小学校にモジュールですとか、中学校では授業時間に読めるような活動を積極的に読み込んでいくことで授業時数の確保をし、今後改訂していこうとしています。」

さいごに / まとめ


この問題は、まだまだ学校現場においても、各教育委員会においても、課題として認識されていない、という状況にあります。全国的にまだあまり議論されておらず、大きな論点として設定されていないという現状です。だからこそ、この問題に気づいた教育委員会事務局の方が起案したり、もしくは教職員組合や校長会が要望を挙げ、議論さえ始まってしまえば、変えていける可能性も大きいのです。

SVPとしては、今後も多くの方に発信することで問題意識を共有していきたいと考えています。また、教育委員会等に対する資料提供や働きかけも行なっていき、この機運を盛り上げていきたいと考えています。ぜひ今後もご注目いただければ幸いです。


子どもを指導する教員が足りず、時には学校がハローワークで求人も――。全国の公立小中高校で、教育現場に計画通りの教員数を配置できない「教員不足」問題が深刻化しています。

文部科学省が2022年1月に公表した実態調査では、全国の小・中学校で合わせて約2000人の教員が足りない厳しい現実が浮き彫りになりました。なぜ、少子化が進み児童・生徒が減っている日本で教員が足りないのでしょうか?また、解決する方策はあるのでしょうか?この記事では、「教員不足」問題の実態と原因を解説し、解決するためにSchool Voice Projectなどが提言する対応策をご紹介します。

教員不足の現状

最初に、どのような学校・地域で、教員がどのくらい不足しているかを見てみましょう。

文部科学省は2022年1月、全国の公立小学校・中学校・高等学校・特別支援学校(計3万2903校)を対象にした実態調査の結果を公表しました。その調査によると、教育現場に本来配置されるはずだった教員人数から、実際の配置人数を引いた欠員数は、小学校979人、中学校722人、高校159人、特別支援学校205人で、合わせて2065人にのぼります(2021年5月時点)。

欠員のあった学校の割合を見ると、小学校4.2%、中学校6.0%、高校3.5%、特別支援学校11.0%で、特に特別支援学校での不足が目立ちます。そして、特別支援学校の欠員率を自治体別に見ると、熊本県(3.52%)、秋田県(1.57%)、新潟市(1.42%)、千葉市(1.25%)、鳥取県(1.18%)などが上位に並び、特定の地方への偏りは見られません。また、欠員率が高い自治体が全国に点在する現状は、他の校種でも同様です。例えば小学校の場合、欠員率が最も高いのは島根県(1.46%)で、熊本県(0.88%)、福島県(0.85%)、長崎県(0.78%)、茨城県・千葉県(0.64%)が続きました。

また、School Voice Projectが全国の教職員を対象に行なったアンケート調査結果でも、多くの教育現場で欠員が生じている現状が垣間見えます。授業の質の低下などを懸念する声も多く寄せられており、詳しくは下記の記事をご覧ください。

参考「『教師不足』に関する実態調査」(文部科学省,2022年12月30日参照)より

なぜ教員が足りないのか

文部科学省が実施した実態調査によって、2021年5月時点で教員約2000人が足りない現状が明らかになりました。実際の教育現場では、年度の途中で教員の病欠や育児休業取得などがあり、現実はさらに厳しくなっています。例えば読売新聞によると、東京都内の公立小学校では2022年、欠員が同年度当初の約50人から夏休み明けには約130人に増えました。校長ら管理職が教壇に立ち、板橋区教育委員会ではハローワークに求人を出すなどして欠員補充に努めています。

また、欠員補充が難しいという問題については、School Voice Projectでも独自に教職員アンケート調査を実施しまとめているのでご参照ください。

では、全国的に教員が不足している根本的な原因は、いったい何なのでしょうか。

NHKによると、そもそも文科省による実態調査は、2021年度から公立小学校に「35人学級」が導入され、新たに大量の教員が必要となったことが背景となっています。つまり、教員不足の原因として真っ先に挙げられるのは、①「35人学級」です。また、実態調査において全国の各教育委員会は、他の原因として多い順に、②産休・育休取得者数の増加、③特別支援学級数の増加、④病休者数の増加、を挙げています。

ただ、もちろん、「35人学級」の推進を今から取りやめるわけにはいきません。35人学級は、児童の個性に応じたきめ細かな教育を実現するために重要で、「誰一人取り残すことなく、全ての子供たちの可能性を引き出す」とうたった文科省の「令和の日本型学校教育」の中核をなす制度です。また、教育の質を高めるには、教員が仕事と家庭を両立させ、安心して働ける環境作りが必要ですし、特別支援学級の整備もまた、個に応じた教育に不可欠といえます。次に、これら①〜④の事情について個別にみてみましょう。

参考「都内公立小の教員不足が拡大、夏休み明け130人欠員…ハローワークに求人出す区教委も」(読売新聞オンライン、2022年11月22日公開,2022年12月30日参照)より
参考「教員不足の実態を全国調査へ『35人学級化』実現に向け」(NHK,2021年4月6日公開,2022年12月30日参照)より
参考「令和の日本型学校教育」の構築を目指して~全ての子供たちの可能性を引き出す,個別最適な学びと,協働的な学びの実現~(答申)(文科省,2023年2月25日参照)より

① 産休・育休取得者数の増加

かつて教育現場を支えた教員が次々に定年退職し、世代交代によって若手教員が増えたため、教育現場で産休・育休を取得する教員が増えています。

日本経済新聞によれば、1970年代の第2次ベビーブームへの対応で大量採用された教員の多くが定年退職の時期を迎え、若手教員の採用が増えています。例えば、文科省の資料からも、公立小学校教員の平均年齢は2007年度の44.5歳から一貫して下がり続け、2019年度には42.6歳に達したことが分かります。同じように、公立中学校も44.2歳(2010年度)から43.6歳(2019年度)に下がりました。ただし、高校は45.3歳(2007年度)から46.1歳(2019年度)に上昇していますが、そもそも教員数が小中学校(全国で計約60万人)よりも少ない(同約16万人)ため、小中高全体としては若年化の傾向が続いています。

また、育児休業は仕事と家庭を両立させるうえで非常に大切な制度ですが、多忙のためか、男性教員の育休取得率は他の職種の地方公務員より低迷しているのが現状です。総務省のまとめによると、全国の教育委員会に所属する男性職員の育児取得率は8.1%で、地方公務員男性全体の13.2%を大幅に下回っています。国は、数値目標として2025年までに30%の取得率を掲げているため、今後、育休を取得する男性教員の増加が予想されます。

※なお、女性職員の取得率は教育委員会99.6%、全体99.7%でほぼ同じです。

参考「小中教員『若返り』続く 大量採用世代が退職、文科省」(日本経済新聞,2017年9月14日公開,2022年12月30日参照)より
参考「令和元年度学校教員統計調査」(2022年12月30日参照)より
参考「令和2年度地方公共団体の勤務条件等に関する調査結果」(2023年2月25日参照)より

② 特別支援学級数の増加

少子化で児童・生徒が減り続ける一方で、特別支援教育を受ける子どもが増え、その対応を担う教員が足りなくなっています。

文科省によると、特別支援学校に通う児童・生徒数は、2009年度の約6万2000人から2019年度には約7万5000人に増加しました。小中学校の特別支援学級に通う児童・生徒数も、同じ期間中に約13万5000人から約27万8000人へと倍増しています。特別支援学校や特別支援学級は、1学級6〜8人、あるいは1学級3人が定数の場合もあるため、教員の確保はより喫緊の課題になっています。

特別支援教育の拡充は、文科省が「令和の日本型学校教育」として新たな教育体系を目指す中で、「個に応じた指導」にかなうものとして重視されています。特別支援学校や特別支援学級は増え続けていますが、各国に目を向けると、決して日本だけが特別支援教育に手厚いというわけではないことが分かります。

例えば、日本の義務教育において特別支援教育を受ける児童・生徒は、2019年度時点で全体の5.0%(約48万6000人)です。しかし、アメリカでは全公立学校在学者の13.0%(2010年度)が連邦の特別教育支援プログラムを受け、フィンランドでは就学年齢人口の7.3%(2013年)の児童・生徒が特別支援教育を受けています。教育制度は国によって異なるため、単純な比較はできませんが、特別支援教育を重視する姿勢は各国とも共通しているようです。

参考「特別支援教育の現状」(文科省,2022年12月30日参照)より
参考「諸外国の特別支援教育の状況」(文科省,2023年2月27日参照)より

③ 病休者数の増加

文部科学省によると、教員の病気休職者数は高止まりが続いています。例えば、精神疾患による病気休職者の推移を2016年度から2020年度にかけてみてみると、4891人、5077人、 5212人、5478人、5203人と5000人前後を保っています。

また、うつ病など精神的な病気が原因で休職する教員も増え、大きな問題となっています。NHKによると、精神的な病気で休職した教員は昨年度5897人に達し、過去最多となりました。文科省はその背景について、「コロナ禍での行事など、難しい判断が必要な業務が増えている影響も考えられる」と分析しています。実際、その影響もあってか、日本教職員組合が2022年に行なった調査によれば、一日の休憩時間が「0分」と回答した公立学校教職員は40.6%に上り、2021年の32.5%、2020年32.0%から大幅に増えたことが分かります。

なお、School Voice Projectでは教員の過酷な労働環境の一因とも言われる「給特法」についても記事をまとめています。

参考「令和2年度 公立学校教職員の人事行政状況調査について(概要)」(文科省,2022年12月30日参照)より
参考「精神的な病気で休職した公立学校教員 昨年度5897人 過去最多に」(NHK,2022年12月26日公開,2022年12月30日参照)より
参考「2022年 学校現場の働き方改革に関する意識調査」(日本教職員組合,2022年12月22日公開,2022年12月30日参照)より

④ 35人学級の導入

公立学校の学級編成などを定める義務標準法が2021年に改正され、同年4月から、公立小学校の全学年について学級人数の上限が40人から35人に引き下げられました。既に小学1年では35人学級が導入されていましたが、同年から段階的に、5年がかりで35人学級が全学年に導入されます。これに伴い、全国で新たに大量の教員を確保する必要が生じました。読売新聞によると、35人学級を実現するためには、少子化を考慮してもなお5年間で1万3500人以上の教員が必要とされています。

日本の教育現場では長年にわたり、他の先進国と比べて1学級あたりの児童生徒数が多く、35人学級の実現が大きな目標とされてきました。例えば2008年のOECD調査をみると、日本の国公立学校の学級平均児童生徒数は、初等教育28.0人(OECD平均21.6人)、前期中等教育33.0人(同23.7人)で、各国より際立って多い水準でした。日本より学級規模が大きい国は韓国、チリなどごく一部の国にとどまり、改善が急務だったことがわかります。

2021年3月に法改正が行われ、小学校の全学年について35人学級の導入が決められる際、当時の萩生田光一文科大臣は「少人数学級にしたほうが子供たちの学びはよくなるよね、学校が楽しくなるよね、子どもたちが明るくなったよね、多様な評価を皆さんでしていただいて、その成果を中学校、高校へとつなげていくことが必要だ」と国会で意義を強調しています。

少人数学級は学校現場の教職員が長年訴え続けてきたことでもあり、その実現は喜ばしい一方で、必要な教員数が増える=教員不足が発生する、というジレンマも生まれているということです。

参考「公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律の一部を改正する法律の概要」(文科省,2022年12月30日参照)より
参考「小学校全学年を5年かけ『35人学級』に…改正法成立、上限引き下げは41年ぶり」(読売新聞オンライン,2021年3月31日公開,2022年12月30日参照)より
参考「一学級当たり児童生徒数 [国際比較]」(文科省,2023年2月25日参照)より
参考「小学校における35人学級の実現/約40年ぶりの学級編制の標準の一律引下げ」(文科省,2023年2月25日参照)より

教員不足の解決策は?

慢性的な教員不足は、授業の質の低下や、教育現場で活躍する教員の更なる負担増加を引き起こし、そして例えば「学級担任がいない」「教科担任がすぐ交代してしまう」などといった子どもたちの不利益につながりかねません。それでは、現状を改善するにはどうすればよいのでしょうか?

School Voice Project では、学校業務改善アドバイザーの妹尾昌俊さん、研究者の末冨芳さん(教育政策)と協力して「#教員不足をなくそう!緊急アクション」と題したキャンペーンを展開し、2022年に政策提言書を取りまとめました。この項では、その提言の概略をご紹介します。

① 【教員免許制度】【採用のあり方】に関すること(応急処置)

教員になる可能性がある学生や社会人に積極的に働きかけ、採用試験を受けるよう背中を押す必要があります。具体的には、教員免許を保有または取得見込みの学生に対し、教員採用試験の実施時期を前倒ししたり、教員になった場合に奨学金(日本学生支援機構)が返還免除となる仕組みの復活などが想定されます。また、教員免許を持つ社会人に対し、中学校免許があれば小学校での勤務を可能としたり、講師登録や採用前研修などを担う全国的な講師人材バンクを整備したりすることも有効かもしれません。

② 体質改善 【働き続けられる環境づくり】【働き方改革】に関すること

教育現場で激務が常態化していては、新たな人材が飛び込んできてくれることを期待することはできません。教育現場への就職を促し、そして離職を防ぐためには、教員が安心して働き続けられる環境作りが必要です。

施策としては、教員以外の専門職・支援員の増員や、育児や介護をしながら働く時短勤務・フレックス勤務の制度整備などが必要でしょう。保護者等とのトラブルや訴訟・紛争リスクを軽減するための相談制度や、使い勝手のよいICT環境の整備など、細かな改善の余地はたくさんあります。

③ 根本治療【教員定数】や【国庫負担(予算)】に関すること

安定した学校運営を確立させるには正規採用教員を増やす必要があり、そのためには結局のところ、十分な予算配分が必要です。現在、少子化がさらに進むという前提のもと、都道府県では教員の正規採用を抑えて非正規雇用を拡充させる傾向があります。都道府県に正規採用教員を増やすよう促すには、国が予算面で支えることが避けられません。

具体的には、教員の人件費について、国の負担割合を現在の3分の1(都道府県は3分の2)から2分の1に戻す必要があります。安定した財源のもとで少人数学級化を推進し、正規教員の人員を増やしながら、非正規教員の人数に上限を設定するなど、抜本的な施策が今こそ必要です。

※「#教員不足をなくそう!緊急アクション」の詳細については、School Voice Projectの特集ページもご参照ください。

全国の各教委や文科省の努力も

 もちろん、全国の教育委員会や文科省も、教員不足の現状にただ手をこまねいているわけではありません。文科省によると、例えば神戸市では35人学級による教員定数の増加や、特別支援学級数の増減等の予測を反映させた5か年の採用計画を作成し、長期的視点から教員の採用活動を進めています。また、福岡市では協定を結んだ大学の現役学生について、大学からの推薦に基づく特別選考を導入していますし、文科省による人材バンク「学校・子供応援サポーター人材バンク」を代替教員の採用に活用している自治体も34自治体に上っています。

さらに2022年11月、文科省は「年度途中での欠員補充が難しい」という教育現場からの声に応え、23年度から一定の条件の下、年度当初から代替教員を配置できるように運用を改めることを決め、全国の教育委員会に通知しました。

引用「『教師不足』に関する実態調査」(文部科学省,2022年12月30日参照)より
引用「産休・育休代替教員を事前配置しやすく 文科省、加配活用で」(教育新聞,2022年11月2日公開,2022年12月30日参照)より

まとめ

全国における教員不足問題は深刻化しています。文部科学省が2022年1月に公表した実態調査によって、公立小学校・中学校・高校・特別支援学校で合わせて2065人(2021年5月現在)の教員が不足していることが分かりました。

その原因は様々ですが、

  1. 第2次ベビーブーム世代の教員が大量に定年退職し、教員の若返りが進んだ結果として産休・育休取得者が増えたこと
  2. 特別支援教育を受ける子どもが増え、特別支援学校・学級への手厚い人員配置が必要になったこと
  3. 病気休職者が増えたこと
  4. 2021年から公立小学校の全学年で35人学級が段階的に導入され、その後の5年間で1万3500人以上の教員が必要になったこと

などが考えられています。

そして文科省は、今の時代にふさわしい教育体制として「個に応じた指導」を目指していますから、今さら時計の針を逆に戻すことは適切ではありません。教育現場で児童・生徒の個性に合ったきめ細かな指導をするためには、35人学級を大人数学級に戻すことはできませんし、特別支援教育をおそろかにすることもできません。ましてや産休・育休取得者の抑制は、教員が安心して働けない環境に直結してしまいます。ですから、教員不足問題を改善するためには、まず現状をしっかりと把握したうえで、抜本的な対策に至る道筋を見つけなければなりません。

School Voice Project では、「#教員不足をなくそう!緊急アクション」として政策提言書を取りまとめており、例えば学生が教員採用試験を受けやすくしたり、激務が続く教育現場の労働環境を改善したり、正規採用教員を増やすべく国が予算配分を改善したり、といった施策の導入を全国に訴えています。

もちろん、一部で明るい兆しもあります。

文科省は2022年11月、文科省は「年度途中での欠員補充が難しい」という教育現場からの声に応え、23年度から一定の条件の下、年度当初から代替教員を配置できるように運用を改めることを決め、全国の教育委員会に通知しました。また、全国の教育委員会では、正規教員の中長期的な採用計画を立てる動きが広がっています。

とはいえ、もちろん抜本的解決にはまだまだ至りません。安定した教育環境のもとで、全国の子どもたちが安心して学べる未来を築くために、School Voice Projectのアンケートや広報、PR活動へのご協力をお願いいたします。

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