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【教職員アンケート結果】いま、問われる平和教育 〜現場の取り組み・思い・考え、教えてください〜

  • メガホン編集部

戦争を経験した世代が少なくなる一方、世界では今も戦争や紛争が続いています。そうした中、学校で子どもたちが平和について学ぶことの意味や、その学びをどのようにつくっていくのかが、改めて問われています。

学校における平和教育では、過去の戦争や原爆、空襲についての学習に加え、現在の戦争・紛争、人権、多様性、民主主義、非暴力、身近な人間関係など、幅広いテーマが扱われています。授業や探究学習、修学旅行、資料館・戦跡の見学、戦争体験者等の講話など、その方法もさまざまです。

一方、2026年5月、文科省は同志社国際高校が沖縄で行った研修旅行について、辺野古への移設工事に関する学習の一部が教育基本法第14条第2項に反するものであったと判断し、その見解を取りまとめて公表しました。抗議活動に使用されている船による見学プログラムや、過去の研修旅行での説明・資料、生徒の考えが深まるようなさまざまな見解を十分に提示していなかったことなどを総合的に勘案した判断だとしています。

この判断による学校現場への委縮を懸念する声もあるなか、いま学校ではどのような平和教育が行われ、教職員はその実践や今後についてどのように考えているのでしょうか。全国の教職員に、現場での取り組みや思い・考えを聞きました。

※本アンケートでは、「平和教育」を、戦争や紛争だけでなく、人権・多様性・民主主義・非暴力・持続可能な社会などを含む、「平和な社会や人間関係の実現を目指す教育」と定義しています。

アンケートの概要

■対象  :全国の小〜高校年齢の児童生徒が通う一条校に勤務する教職員
■実施期間:2026年8月9日(日)〜2026年8月31日(月)
■実施方法:インターネット調査(実施時の設問はこちら)
■回答数 :43件

アンケート結果

設問1 平和教育は行っている?

Q1. 現在の勤務校で平和教育を行っていますか?

「行っている」が約74%となり、約4人に3人が現在の勤務校で何らかの平和教育を行っていると回答しました。

一方、「ずっと行っていない」は約21%、「過去に行っていたが現在は行っていない」は約5%でした。

なお、「過去に行っていたが現在は行っていない」を選んだ2人は、平和教育そのものを取りやめたのではなく、年度や学年によって実施状況が変わるというケースでした。

「過去に行っていたが現在は行っていない」を選択した方の詳細

行っていないわけではなく、修学旅行は学年中心に行先や目的を選定するため、年度によって行ったり行わなかったりと不定です。行先神戸、目的震災学習の年もあります。【埼玉県・高等学校・教員[ID:10]】

学年によって方針を決めており、必ず毎年取り組むもの、とは決まっていない。【大阪府・中学校・教員[ID:42]】

設問2 平和教育のテーマは?

Q2. 平和教育では、どのようなテーマを扱っていますか?(複数選択可)

設問1で「行っている」と回答した32人に、扱っているテーマを聞きました。最も多かったのは「過去の戦争の歴史について(原爆、空襲、戦争体験など)」で、約94%でした。現在、平和教育を行っていると答えた回答者のほとんどが選択しています。

次いで、「現在の戦争・紛争や国際情勢について」が約59%、「身近な人間関係について(いじめ防止、対話、非暴力コミュニケーションなど)」が約44%、「人権・民主主義・市民性等について」が約34%、「差別や貧困、環境など社会や世界の課題について」が約28%となりました。

本アンケートで挙げたテーマの中では、過去の戦争の歴史を扱う実践が最も多く、現在の戦争・国際情勢、身近な人間関係、人権・民主主義・市民性等が続く結果となりました。

設問3 平和教育の方法は?

Q3. 平和教育は、どのような方法で行われていますか?(複数選択可)

平和教育の方法で最も多かったのは、「学校行事(修学旅行、平和登校日/学習日等)」の約63%でした。

次いで「調べ学習・探究学習」が約59%、「戦争体験者・専門家等の話を聞く」が約53%、「フィールドワーク・資料館等の見学」が約41%となっています。「対話・ワークショップ・体験活動」は約19%、「ボランティア・社会参画・地域活動」は約6%、「その他」は約9%でした。

回答の組み合わせを見ると、32人中21人(約66%)が2つ以上の方法を選択しています。2項目単位で見ると、「戦争体験者・専門家等の話を聞く」と「調べ学習・探究学習」、「戦争体験者・専門家等の話を聞く」と「学校行事」をともに選んだ方が、それぞれ12人(約38%)と最も多くなりました。

また、「戦争体験者・専門家等の話を聞く」「調べ学習・探究学習」「フィールドワーク・資料館等の見学」「学校行事」の4項目をすべて選択した方も5人いるなど、多くの活動を組み合わせている様子が伺えました。

その他の内容

社会科の授業で【福井県・小学校・教員】

授業で昔の教科書を見せて、戦争による影響の大きさ・深さに言及【東京都・小学校・教員】

担任と一緒に資料を読む【大阪府・中学校・教員】

設問4 現場ではどんな取り組みが行われている?

Q4. あなたが実施している / あなたの勤務校で実施されている平和教育について、具体的に教えてください。

設問2・3で回答されたテーマや方法について、各校でどのように実践されているのか、具体的な内容が寄せられました。修学旅行や戦跡・資料館への訪問、戦争体験者等の講話、各教科の授業や探究学習、平和登校日などに加え、民主主義や人権、日常の対話を平和教育として位置づける実践の詳細についての記載も見られました。

修学旅行・資料館・戦跡などの現地学習

修学旅行で東京の昭和館に見学に行っています。そのため、事前に自分たちの地域で起こった空襲についても少し学習をしています。【新潟県・小学校・教員】

大阪大空襲についての学習(全員)とピースおおさかへの見学(有志)【大阪府・高等学校・教員】

修学旅行(沖縄)において、戦跡や遺構等の見学機会を設けている。基本的には、クラス行動の活動日において、平和学習のできる場所をルートを組み込むことを必須としている。【群馬県・高等学校・教員】

修学旅行で原爆資料館の見学をします。【大阪府・中学校・教員】

6年生の修学旅行は毎年長崎平和の旅。【大分県・小学校・教員】

戦争遺跡を訪問【東京都・高等学校・教員】

①修学旅行先に沖縄を設定する。
②事前に第二次世界大戦の戦中、戦後の学習をする。
③沖縄で佐喜眞美術館、ガマなどを巡る。【大阪府・中学校・教員】

語り部・被爆者・戦争体験者・専門家等の話を聞く

外部講師(ジャーナリストや戦争経験者など)を招いての講話や教員による講話【大阪府・中学校・教員】

資料館から講師の話を聞いたり、実物を見たりする。【埼玉県・小学校・教員】

今年は広島で被爆体験のお話しを聞き、フィールドワークを行った。【山口県・高等学校・教員】

事前学習として家族証言講話を聞いています。【大阪府・中学校・教員】

また、全学年7月に平和講話を聴く。今年は、ドイツ国際平和村について、去年は被爆2世の方のお話、2年前は、ジャーナリストの西谷さんのお話を聴いた。【大阪府・中学校・教員】

退職教員による平和劇団の熱演から学ぶ。【大分県・小学校・教員[ID:26]】

被爆者や戦争の語り部の講話を聴く【東京都・高等学校・教員[ID:36]】

講演を通じて現代の戦争について考える取り組みをしました【大阪府・中学校・教員】

社会・国語・道徳・総合等の授業で扱う

社会科での戦争学習、国語科平和教材など、カリキュラム・マネジメントしながら多様に展開している。【北海道・中学校・教員】

社会科で戦争をテーマに授業を行なっています。【埼玉県・高等学校・教員】

主に社会の授業で、歴史の一環として学ぶ。【東京都・小学校・教員】

社会科(6年)の授業で、戦争についての内容を時間をかけて丁寧に行っています。【福井県・小学校・教員】

授業で戦時中の教科書を見せて、戦争による影響の大きさ・深さ、現代との違いについて紹介しています。【東京都・小学校・教員】

私個人として、絵本を読んだり、機会を得たら、教科の中でも話をします。【愛知県・特別支援学校・教員】

平和登校日・平和集会・平和週間等の学校行事

憲法平和学習集会【京都府・高等学校・教員】

平和登校日が夏休みにあり、各学年それぞれで取り組みをする。【大阪府・中学校・教員】

平和登校日がある。集会で校長や平和学習担当者が話す。各教室での担任から話すなど。担任に寄って温度差がある。【大阪府・小学校・教員】

全国高校生交流集会という会を毎年開催。実行委員会形式。現在、京都、岡山、広島、山口が参加。【山口県・高等学校・教員】

全校集会と各教室での学び【大分県・小学校・教員】

教員による太平洋戦争の解説や読み聞かせをした後、全校児童で『平和の子ら』の歌唱を行なっている。【石川県・小学校・教員】

8月6日に平和登校日を設けて1,2年生に対して修学旅行での学びを伝える。【大阪府・中学校・教員】

平和学習週間はありますが、実際中身の濃いことはできていないと思います。【大阪府・小学校・教員】

調べ学習・探究・対話・発表を通して考える

総合学習で「沖縄」をテーマにしてから40年が経ちます。
沖縄戦のこと、基地問題のこと、平和のこと、今につながる様々なことを
これからの生き方も含めて子どもたちと考え合う授業をしています。【東京都・小学校・教員】

そのテーマは「戦時中のくらし」「原水爆の被害」「沖縄戦」「少年兵」「NGOの活動」「いじめ」など、子どもたちの興味によって多岐にわたります。【北海道・小学校・教員】

平和について地域の人たちとディスカッションをした【兵庫県・小学校・教員】

また参加生徒が、様々なテーマについてレポート発表を行う分散会を実施している。【山口県・高等学校・教員】

民主主義や日常の人間関係を平和教育として捉える

学校のこと、クラスのことを話し合うミーティングの時間があります。
多数決をせず、みんなが納得できる答えを話し合って決めていき、したくない、少数の意見も同じ重みで扱います。
学校の行事も予め決まっておらず、みんなで話し合いながら決めていき、互いの自由を尊重しながら貢献できるところで役割を引き受けていきます。
そうして、一人一人の違いを受け止めながら、自分も人も大切にすること、民主的に生きていくことを学んでいきます。【兵庫県・小学校・教員】

生徒会企画によるいじめ道徳【北海道・中学校・教員】

間接的な部分では、民主主義をテーマに教育活動を行うことで、戦争防止にもつながると考えています。【埼玉県・高等学校・教員】

総合的な学習の中で、人権教育を行っています。【愛知県・特別支援学校・教員】

設問5 「教育基本法違反」との文科省見解で現場に影響は出る?

Q5. 同志社国際高校の沖縄での平和学習の内容に関して、文科省が「教育基本法違反」であると言及しました。これにより、平和教育への委縮効果があるのではないかという意見もあります。あなた自身はどう感じますか?

「大きな影響(委縮効果)がある」と回答した方は約37%、「やや影響がある」も約37%となりました。合わせると約74%で、約4人に3人が何らかの影響があると感じている結果です。一方、「影響はない」は約19%、「その他」は約7%でした。

校種別では、回答数に限りがありますが、高等学校の回答者11人のうち10人が「大きな影響」「やや影響」のいずれかを選びました。

その他の内容

小学校でどこまで影響を受けて萎縮効果があるか、正直分からないなと思います【大阪府・小学校・教員】

今まで深く考えたことがなかったが、このアンケートをきっかけに調べ、考え、多少影響があるのではないか、と考えはじめた。【埼玉県・高等学校・教員】

設問6 どんな影響が考えられる?

Q6. (設問5で「大きな影響(委縮効果)がある」「やや影響がある」等と回答した方)具体的にどのような影響があると思うか、自由にお書きください。

「批判されることを避けるために実践を控える」「沖縄や基地問題などを扱いにくくなる」「校外学習や講師選びが慎重になる」といった、学校や教員による自主的な委縮を懸念する声が寄せられました。

一方で、政治的中立性への配慮は必要だという意見や、現場への影響は限定的・不明だとする回答も見られます。

教員自身の自主規制や実践の縮小・中止

歴史以外の政治、平和教育から逃げる先生が出てくるのでは【京都府・高等学校・教員】

これまで以上に自主規制がかかっていく可能性が高い。【大阪府・中学校・教員】

目を付けられると思い、勝手に自粛する若手が出てきそう
具体的な実例は今のところないが、面倒なことは避けようという空気感が充満している【大阪府・高等学校・教員】

色々めんどくさいからやめてしまおうというところが出てくると思う。コロナで学校行事が縮小したのと同様のことになる。【山口県・高等学校・教員】

周囲やトップから色々言われるのが面倒になり取り組まなくなることが考えられる。【大阪府・小学校・教員】

平和教育をしなくなると思う。【石川県・小学校・教員】

行うのを少しでも迷ったら取りやめてしまう【千葉県・中学校/高等学校・教頭】

沖縄・基地問題など扱うテーマを避ける懸念

政府のやっていることに反対する人から、話を聞くことはできなくなったと思います。【千葉県・高等学校・教員】

教員が基地問題・戦争責任・沖縄の歴史など、対立的論点を扱うことを避けやすくなる。【北海道・高等学校・教員】

沖縄で平和学習に取り組む機会が減る可能性がある。【北海道・中学校・教員】

沖縄に関する学習を丁寧にやりづらくなる【福井県・小学校・教員】

現実を見るために行くこと自体禁止となるならば、平和教育自体の萎縮につながらないかとても心配です。【東京都・小学校・教員】

平和教育が、政治的にリベラル派の教員が行うとりくみ、のような誤解が広がったり、あるいは誤解をされることを恐れて、沖縄や現在の米軍基地のことを扱わなくなったり、平和学習そのものを避けることが起こりえると思います。【大阪府・中学校・教員】

修学旅行・現地学習・講師選定等への影響

校外学習や現地研修で、行政や学校が「安全面」と「政治的中立性」の両面から慎重になり、実施件数が減る可能性がある。【北海道・高等学校・教員】

修学旅行のルート設定について、辺野古の一件の影響で、レストラン選びのやり直しをせざるを得なくなった。(中略)そのため、平和学習のための施設見学の時間を削らざるをえなかった。直接的な影響は少ないかもしれないが、間接的な影響はすでに出ていると思う。【群馬県・高等学校・教員】

文科大臣の話をよく聞くと、平和教育は大いにやっていいし、安全に配慮した上であれば現地見学も問題ないと言っています。ところが、旅行会社に聞くと今までやっていたことを変更しようという動きもあるようです。【東京都・小学校・教員】

修学旅行での平和学習がしづらくなったり、偏向教育と疑われないかと気にして、学習自体をしなくなることも出てくると思う。【大阪府・中学校・教員】

修学旅行先が変ったり、事前学習が制限されることが十分に予想される。【愛知県・特別支援学校・教員】

管理職・教育委員会等による確認や介入の強まり

教育基本法に照らして違反であるかどうかの決定者が文部科学省になるという線引きがされたと思っています。この線引きをきっかけに、平和教育実践に対するさらなる介入、圧力が懸念されるからです。【神奈川県・小学校・教員】

奈良教育大学附属小の問題もありましたが、文科省が一方的に違反認定することで、現場が何か言われないように過度に配慮してしまうことが起きると思います。【東京都・小学校・教員】

主催団体や、学習内容の設定に対し、管理職の介入が大きくなる可能性が高い。【埼玉県・高等学校・教員】

自分の地域の学校は一般的に言って、文科省からの指導などは必ず守るから【静岡県・小学校・教員】

全国で行われている平和学習へ、なんらかの圧力などがおこるかもしれないと、感じています。【北海道・小学校・教員】

何をやるにも上にお伺いを立てたり、委員会がリストアップした場所や人以外を利用するのが禁止されてしまう【北海道・小学校/中学校・教員】

児童生徒の主体的・多面的な学びが狭まる懸念

生徒が複数の立場を比較し、自分で判断する学習機会が縮小するおそれがある。【北海道・高等学校・教員】

主張や声をあげている人たちへの生の声を聞くような学習が(あげている声の内容やアピールの仕方によって)しにくくなっていくのではないかと思う。
政治的なものも扱いにくくなると思われる。【兵庫県・小学校・教員】

総合的な学習の時間では、児童生徒の興味や意欲が最優先されるが、このような措置により、教師は児童の調査企画を制限することになる。確かに下見(実地踏査)は必要だが、総合は児童生徒が何を調べたいか自分で決めるところに主体性が生まれるため、制限がかかると結局は指示待ちの受け身となり、意欲を失ってしまうのではないかと思う。【東京都・小学校・教員】

実際平和教育を行う際には、教員が批判や指摘を避けようとして、扱う内容や視点を限定し、より安全な方向へ向かってしまう可能性はあるだろう。【埼玉県・高等学校・教員】

政治的中立性への配慮/影響は限定的・分からない

現場の裁量権は大きいので、危険な状況を伴わない限り、基本的には変わらないと考えています。【埼玉県・高等学校・教員】

もちろん、中立な立場を保とうとする丁寧さは必要だが、事故が起きた根本原因とは分けて考えた方がいいと思います。【兵庫県・小学校・教員】

偏った教育をしてらはならないのであって、多様な視点を紹介することに対して、萎縮する必要はないと考える。【埼玉県・高等学校・教員】

設問7 平和教育についての思い・考えは?

Q7. 平和教育について、あなたの思いや考えを聞かせてください。

最後に、平和教育そのものについて考えていることを聞きました。

回答では、平和教育を今後も続け、充実させる必要性を訴える声が多く寄せられました。一方、その中身については、戦争の被害だけでなく加害の歴史にも向き合うこと、現在の戦争や社会状況とつなぐこと、特定の結論を教え込むのではなく多様な視点から考えることなど、さまざまな考えが見られました。

また、民主主義や対話、非暴力との関係についての意見や、教員間・地域間の温度差、学習時間や教員自身の知識・技能の不足を課題として挙げる声もありました。

平和教育を継続・充実させる必要がある

大切なことなので、もっと時間をかけて考えることができる授業をしたいです。【埼玉県・小学校・教員】

世界の平和を守り、平和な世界を築く次の世代をしっかりと育てたい。【東京都・中学校・教員】

戦争は悪なので、全ての学校に取り組ませるべき内容であり、戦争反対・不戦に関する教育をすべきである。【大阪府・高等学校・教員】

今を戦前にしないために、過去の過ちをちゃんと学ぶ時間を学校で確保するべきだと思います。【大阪府・高等学校・教員】

過去に学び、未来をつくるうえで、必要不可欠な学びだと思います。なくしてはいけません。【東京都・小学校・教員】

ウクライナやパレスチナの戦争を目の当たりにしている私たちは、平和学習をしなければならないと思う。しかし、それらができていない学校も増えてきている。【大阪府・中学校・教員】

戦争の歴史は教育の歴史そのもの。教育によって大きく社会の意識は変えられていく。教師はそのことを深く自覚し、平和教育に注力しなければ、今の流れを止めるどころか、加速させかねない。【愛知県・特別支援学校・教員】

もっと力を入れて行っていくべきだと思う。【大阪府・小学校・教員】

平和学習じたいは絶対に行う必要がある【千葉県・中学校/高等学校・教頭】

教員間・地域間の温度差

職員による温度差は大きい。学校全体で大人も子どもも「平和」について考えられるのが一番だと思うが、勤務校の実情は程遠いなと思います。実践をしたことがある教職員も減ってきています。まずは、半径3mの同僚とどうやって一緒に考えていけるかかなと考えています。【大阪府・小学校・教員】

長崎に生まれ育ちましたので、平和教育を受け、8/9の11時2分には必ず黙祷をしていました。長崎以外の土地ではそうではないことを知り、自治体によって教育の熱量に差があることを理解したいと思いながら、でも、悲しいなと思います。平和教育が、戦争を知りたいと思う心ある教員のものだけになってしまっているとしたら、それは平和教育の目指すところではありません。年に一度でも、「戦争」をテーマに児童生徒、教員と対話をする時間が、各学校にあるといいと思いました。【東京都・小学校・教員】

憲法の理想を実現させるための認識の土台は教育で培われる。その理想は国民主権、法の下の平等、平和主義であり、平和教育は欠かせないはずなのに、私の周りでは自分以外に意識的に平和教育をやる教員を観たことがない。ゆゆしき事態が常態化している。【静岡県・小学校・教員】

すべき教育内容だと思います。
でも、何をしていいのか分からない人もいてる。
それが現実だと思います。【大阪府・小学校・教員】

過去の戦争と現在の戦争・社会をつなげて考える必要がある

まずは過去に起きた事を正しく知ること。そして世界のこと、自分の周りのことへとつなげていく大切な学習だと思っています。【北海道・小学校・教員】

平和教育については、過去の日本や各国の動きや思いなどを学習し、子どもたちがどのように感じたかが教育になると思います。そして、現在の日本や各国の動きや思いを学習し、日本で平和が作られている正体やこれからどうしていくべきかを考えることが教育になると思います。【宮城県・中学校・教員】

これから語り部等が減少していく中で、単なる歴史学習にならない平和学習の在り方を考える必要がある。また、過去や遠い国の話ばかりではなく、子どもたちの身近なところでの平和を考えていく必要がある。【大阪府・中学校・教員】

戦争、平和と聞くと遠い世界のことに子どもは感じてしまうので、過去の過ちを繰り返さないために自分たちの【いま】に視点をしっかりあててやらないと実践までは起こしにくいと思う。【島根県・小学校・教員】

いまの時代だからこそできる平和教育を、戦争を経験していない世代だからこそできる平和教育を、私も考え、実践していきたいと思っています。【神奈川県・小学校・教員】

過去から学ぶことも大切だが、今の戦争についてもしっかり学習すべきだと思うし、座学ではなく、平和とは何かということを体感的に学べる学習をしていきたい。【大阪府・中学校・教員】

何もしなければ平和は続かないかもしれないと特に最近の情勢をみていて感じます。平和学習を通じて平和の種をまいていきたいと考えます。【大阪府・中学校・教員】

民主主義・主権者教育・対話・非暴力とつなげる

民主主義や対話などをテーマにしていくことが大事だと考えています。【埼玉県・高等学校・教員】

高校では主権者として自分ができることを考えさせるような取り組みを心掛けています。【大阪府・高等学校・教員】

声をあげること、それを武力を持って解決しないことを、対話をもって粘り強く生きていくことを学ぶことが、平和への一歩だと思う。
そのスタンスがあってこそ、知識が生きてくると思います。【兵庫県・小学校・教員】

教育の究極の目的だと思う。民主主義も、真の平和をめざすものでなければ意味がない。「平和」を語るのに、何の忖度も必要ないと強く思っている。【大分県・小学校・教員】

平和教育は、特定の政治的思想の者だけが扱うのではなく、憲法にのっとって必ず行わなければならないものだと思います。また、民主主義と平和の関係を考えても、民主主義国家にくらす私たちには欠かせない学習だと思います。【大阪府・中学校・教員】

多面的な事実を学ぶ必要がある

大切なのは、特定の結論を教え込むことではなく、歴史的事実や当事者の声、異なる立場を比較しながら、自分で考え判断する力を育てることです。【北海道・高等学校・教員】

人類の戦争の歴史と、第二次世界大戦は日本が起こした戦争でもあることを教えることが前提。
「現代の戦争」(現在行われている戦争の実態)もあわせて伝えなければならない。そうでなければ、生徒は平和の維持の方法を考えられない。【埼玉県・中学校・職員】

良い・悪いは別にして、現実世界で起きていることをしっかりと伝え、それぞれの個にとって「平和」とは何か考えさせる教育であってほしいと考える。【群馬県・高等学校・教員】

唯一の被爆国として行わねばならないもの
しかし、日本は被害の歴史ばかりを教えているため、加害の歴史からもアプローチしてほしい。アウシュビッツに行った際、ドイツ人の多さに驚いた。目を背けずに事実と向き合う姿勢を期待したい。【東京都・小学校・教員】

どのようなテーマであっても、多角的な視点で平和教育を行うことが重要だと考える。【埼玉県・高等学校・教員】

現地・体験・語り部など、実感を伴う学びを大切にしたい

座学よりも、現地での体験・聴講等の学習の効果は極めて高い。校外行事の際にそうした教育活動を行うのは、教育の面でも行事実施の面でも有意義なことと考える。【埼玉県・高等学校・教員】

今も世界を見ると戦争や紛争があり、自分たちは絶対安全とは言えない状況にある中で平和を学び戦争の悲惨さにリアリティを持つことは大切だと思います。【大阪府・中学校・教員】

ゲストティーチャーを呼ぶ学習もよいが、やはり現地に行って見て感じることは大きい。現地に行ってもゾロゾロと大人数のツアーでは流れ作業になってしまうので、少人数で各々に調べたいことを調べる、というスタイルはやはり必要だと思う。【東京都・小学校・教員】

沖縄や被爆地での学習には大きな意義がありますが、同時に多面的な視点と安全管理も欠かせません。【北海道・高等学校・教員】

その他

〇〇教育と名のつくものがどんどん増えていくなかで、平和教育の重みが相対化されてしまっているような気がしています。実際に自分も1年間の教育課程を振り返ってみて、平和教育にしっかり向き合えていなかったと思います。平和教育の位置づけについて、学校内であらためて考える必要があるなと思いました。【新潟県・小学校・教員】

やるべきだと思うが、教員も子どももどんどん忙しくなっており、工夫が必要。今あるものを継続・改善させていきたい。【山口県・高等学校・教員】

北海道なので、これまであまり積極的に考えたことがない。【北海道・小学校/中学校・教員】

教員側が、多様な視点を中立の立場で紹介できるとよいが、それを行うためには、そのテーマについての知識と、それを生徒に伝え考えさせる技能を十分に学ぶ必要がある。限られた時間の中でそのような学びを深める機会の確保が課題であると感じている。【埼玉県・高等学校・教員】

受験勉強よりも、8/6・9・15が何の日なのか知らない大人を増やしたくないと考え、平和教育の重要性を実感し、取り組んでいます。【大阪府・高等学校・教員】

修学旅行だけではなく、歴史の授業や国語の授業、音楽でもできると思うし、いろんな教科でできると考えるのだが、学習指導要領や受験圧力でできない。【千葉県・高等学校・教員】

まとめ

今回のアンケートでは、約4人に3人が「勤務校で平和教育を行っている」と回答しました。テーマとしては「過去の戦争の歴史」が9割以上と最も多く、現在の戦争・国際情勢、身近な人間関係、人権・民主主義・市民性、社会や世界の課題なども扱われています。

自由記述では、修学旅行で広島・長崎・沖縄などを訪れる取り組み、語り部や専門家から話を聞く機会、社会科や国語、道徳、総合的な学習の時間などでの学習、平和登校日や集会、探究・対話など、それぞれの学校で行われている具体的な実践が寄せられました。また、少数意見も含めて合意形成を図る話し合いや、民主主義・主権者教育と平和を関連づけた取り組みについての回答もありました。

その一方で、同志社国際高校の事案について文科省が教育基本法第14条第2項に反すると判断した影響については、「大きな影響(委縮効果)がある」「やや影響がある」を合わせて約74%となりました。自由記述では、教員や学校が批判を避けるためにテーマや講師、訪問先を限定したり、沖縄や基地問題などを扱うことを控えたりするなど、実践の過程で委縮が生じることを懸念する声が見られました。

なお、上記の文科省判断については、多様な視点を示せば委縮する必要はないという意見も寄せられました。実際、今回話題になった教育基本法の条文からも、平和教育の重要性は読み取れます。教育基本法の第1条では「教育の目的」として、教育は「平和で民主的な国家及び社会の形成者として必要な資質」の育成を目指すものと定義されており、平和と民主主義は、教育基本法が掲げる教育の目的そのものでもあるからです。

そのうえで第14条第1項では「良識ある公民として必要な政治的教養」を教育上尊重すると定め、第2項では、法律に定める学校が特定の政党を支持・反対するための政治教育その他政治的活動をすることを禁じています。政治や社会について学ぶことと、特定の政党を支持・反対するための教育活動とは区別して考える必要があります。同志社国際高校の事案について、文科省は、過去の研修旅行での説明・資料、生徒にさまざまな見解を十分提示していなかったことなどを総合的に勘案して、第14条第2項に反すると判断したと説明しています。

一方、文科省はその後、沖縄戦や広島・長崎への原爆投下などについて学ぶことを「極めて重要な教育活動」と位置づけ、今回の判断は平和に関する学習を否定するものではないとの見解を示したほか、「多様な見方や考え方を提示して適切に平和に関する学習を行っている教育現場」においては、政治的中立性違反について心配する必要はないと説明しています。

参考:「松本洋平文部科学大臣記者会見録(令和8年6月9日)」(文科省,2026年10月8日参照)より
参考:「松本洋平文部科学大臣記者会見録(令和8年9月15日)」(文科省,2026年10月8日参照)より

今回の自由記述からも、平和教育を必要と考えながら、特定の結論を教え込むのではなく、被害と加害の両面や異なる立場、現在の社会状況などを多面的に扱うことを重視する声が複数見られました。子どもたちが歴史的事実やさまざまな立場に触れ、「自分で考え判断する力を育てること」を大切にしたいという意見も寄せられています。

こうした学びを実践するためには、教員自身がテーマへの理解を深め、多様な視点を踏まえて授業を構成するための知識や技能を身につけることも必要です。一方、自由記述では「限られた時間の中でそのような学びを深める機会の確保が課題」との指摘もありました。教員個人がそれぞれに研鑽を積むことも必要ですが、教員が学ぶための時間や、学習内容・方法を検討し実践するための裁量を確保していくことも、学校が「平和で民主的な国家及び社会の形成者」を育んでいくために決して欠かしてはいけない要素です。


▼ 自由記述の回答一覧は、以下よりダウンロードしてご覧ください。 ▼

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