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【教職員アンケート結果】学校で火事が起こっても大丈夫?

  • メガホン編集部

2026年6月19日、東京都北区の小学校で校舎から出火し、複数の児童や教職員が負傷する火災が発生しました。火災現場となった音楽室・音楽準備室は、校舎の端にあり、非常階段等がない、いわば「逃げ場のない教室」でした。学校で多くの時間を過ごす児童生徒にとって、火災などの非常時に安全に避難できる環境や体制が整っていることは欠かせません。

この火災を受け、文部科学省は6月26日、全国の学校に対して防火・防災に関する安全点検や避難訓練の実施などを求める通知を出しました。通知では、防火設備や避難器具、避難経路の点検に加え、避難訓練を実践的な内容とし、消火器・消火栓などの消火設備や、救助袋などの避難設備について、設置場所や使用方法を教職員も含めて確認・共有することが重要だとしています。

では、実際の学校現場では、上述の火災現場と同様の「逃げ場のない教室(校舎の端にあるが非常階段等がない教室)」はどのくらいあり、救助袋などの避難器具を使った訓練はどの程度行われているのでしょうか。

学校での火災や避難について、全国の教職員の皆さんに実態や意見を聞きました。

※このアンケートは、WEBアンケートサイト「フキダシ」内にある『みんなに聞きたいこと』に寄せられた投稿から作成されました。

アンケートの概要

■対象  :全国の小〜高校年齢の児童生徒が通う一条校に勤務する教職員
■実施期間:2026年7月31日(金)〜2026年9月21日(月)
■実施方法:インターネット調査(実施時の設問はこちら)
■回答数 :33件

アンケート結果

設問1 「逃げ場のない教室」は勤務校にある? 日常的に使っている?

Q1. 東京都北区の小学校で起こった火災のニュースを見て学校の防災について考えています。
皆さんの勤務校には、現場の音楽室・音楽準備室のような「校舎の端にあるが非常階段等がない教室(逃げ場のない教室)」はありますか? また、日常的に児童生徒が使用していますか?

勤務校に非常階段等のない「逃げ場のない教室」が「ある」と回答した方は、合わせて約79%となりました。「ない」は約21%で、今回の回答者のおおよそ5人に4人が勤務校に該当する教室があると答えています。

さらに、「ある」と回答した方のうち、「日常的に児童生徒が使用している」は約70%(23人)、「物置きとして使用しているなど、日常的には使用していない」は約9%(3人)でした。

実際の火災時には、室内の位置や避難経路、避難設備などさまざまな条件によって状況が異なるため、この結果だけで各教室の安全性を判断できるものではありませんが、今回の回答者の範囲では、そのような教室が日常的な教育活動にも使われているケースが多いことが伺えます。

設問2 避難器具を利用した避難訓練を行っている?

Q2. 現場となった音楽室には「救助袋(滑り台型避難器具)」が設置されていましたが、火災時に使用方法が分からなかったと報道されています。皆さんの勤務校の避難訓練では、避難器具を使用した訓練を行いますか?

避難器具を利用した避難訓練を「行っていない」という回答が約76%にのぼりました。

一方、「3年に1度未満の頻度で行っている」は約12%、「毎年ではないが、3年に1度以上の頻度で行っている」と「毎年行っている」は約6%と、避難器具を利用した訓練を行っているという回答を合わせると約24%となります。

設問1との回答を合わせて見ると、「逃げ場のない教室がある」と回答した26人のうち、19人が避難器具を利用した訓練を「行っていない」と回答しました。また、日常的に児童生徒が使用する「逃げ場のない教室」があると回答した23人に限っても、16人が「行っていない」と回答しています。

今回の設問はあくまで「避難器具を使用した避難訓練」の実施状況のため、他の機会で避難器具の使用方法について確認・共有がなされている可能性もありますが、多くの学校で「避難器具はあるが実際の火災時には使用できない」という状況が発生しうることも示唆されます。

設問3 学校の防火・避難についてどう思う?

Q3. 上記の内容に関連して、あなたが思っていることや考えていることを教えてください。(100字以内)(任意)

救助袋などの避難器具が設置されていても、「実際に使えるのか」「教職員自身が使用方法を把握しているのか」といった不安の声が多く見られました。

また、「形だけの訓練ではなく、実際の使用を想定した訓練が必要」「消防署による講習を行ってほしい」といった意見がある一方、器具を使用するために必要な人員や、校舎そのものの構造、設備の老朽化など、訓練だけでは解決できない課題を指摘する声もあげられています。

さらに、火災や事故をきっかけとして訓練・研修を増やすだけではなく、教職員の働き方や負担も含めて考える必要があるという意見も寄せられたほか、非常時の安全を確保するために何が必要なのかについて、さまざまな角度から意見が寄せられました。

避難器具を実際に使用するのが難しい

本日救助袋による避難訓練が本校で実施され、滑った。滑る際、擦り傷等怪我が心配。また上階に2人、滑り台出口に2人は大人が必要。救助袋前、脱出後の誘導スペースや人員配置を考えると利用は現実的でない。【小学校・教員】

この夏、初めて救助袋の使い方を知ったが、女性教員には窓の外へ出すこと自体が無理そうであることが分かった。また、垂直型であるため、実際の場面で生徒は怖がって使用できないと思う。【中学校・教員】

これまでに4校勤務していますが、一度も救助袋を使用した避難訓練を経験したことはありません。救助袋が現実的に使えるのか、そもそも有効な避難方法なのかも分かりません。これを機に見直すべきだと思いました。【小学校・教員】

避難器具のメーカーの年に1回の点検を兼ねて実施しているので、教員や生徒がセッティングの経験がありません。形式的な避難体験になってしまってます。「実施した」という報告のためにやっているようです。【高等学校・教員】

消火機器の点検はされているが、避難器具の点検はされていないように思います。本当にこれ使えるの?というものもあります。【小学校・教員】

別の学校でやったが毎年ではない。現勤務校の救助袋は小さい鉄の入れ物に保管されているが、蓋がパカパカ空き、へこんでいる。蓋が開かなくなるかもと管理職に知らせたが何の対処もない。【小学校・教員】

救助袋は形だけになっている。その上に乗って遊ぶ子どもがいるために、取り外しているフロアもある。【中学校・教員】

実践的な避難訓練・研修をしたい

火災対応は設備の設置だけでは不十分で、児童・教職員が実際に使える訓練と平時からの確認を繰り返すことが、防災教育の要だと感じます。【高等学校・事務職員】

形だけの避難訓練をしているので、見直しが必要だと思う。【中学校・教員】

避難器具を使った避難訓練はできることならすべきだと思いますが、現実には難しい。少なくとも、教員が使用方法についての講習を消防署に来てもらって実施するとよい。【特別支援学校・教頭】

火災が起こるであろう場所を限定しており、避難器具を使用しなくても安全な動線が確保されているという想定をしています。【小学校・校長】

中学校教員です。普段普通教室でしか授業をしないため音楽室や理科室の避難経路を把握できていない。勤務校に避難はしごはあるが使用方法はわかりません。生徒の安全や命にかかわる研修が必要だと感じる。【中学校・教員】

校舎の端にある教室を使っています。
エレベーターは近くにあるけど、緊急に階段が使えない場合、隣の校舎の屋上に出られる非常用扉からの避難訓練をしとくべきだと訴えていますが、一度もやったことがない。【小学校・教員】

先日避難訓練で学校から直接110番通報できるボタンを使用した際に、うまく繋がリませんでした。【小学校・教員】

校舎・設備、人員体制そのものへの課題

前任校では非常階段が危険だからと使用禁止。
現任校は生徒数が約800名いるのに校舎内中央に階段一つという構造。
学校は、安全にはつくられていません。【中学校・教員】

施設設備の老朽化に対して市教委を通じて業者で安全点検や保守点検をしてほしい。また、避難訓練もこまめに行うことは難しいため、きちんとさせたいならハード面を整えてほしい。【小学校・教員】

現場の判断しかない状況が生じた場合、冷静に最適な避難方法を指示できる職員がどれだけいるのかが心配【中学校・教員】

古い校舎は4階建てで1つの階に6つの普通教室と1つの特別教室がある。4階に救助袋があるが、避難訓練でも使っていない。東西の両端に階段があるが、階段がいつも混雑してしまい実際に災害があったときが心配だ。【高等学校・教員】

防火設備は勿論、校舎の耐用年数や各種教室の設備を自治体を上げて見直すべきだと考えております。【中学校・教員】

いつどんなことが起こるかわからないので、日頃から訓練、点検が必要だと改めておもいますが、不備を直ぐに改良するのはお金や補修・工事が絡むので無理な事が多いです。命にかえらえないですが。【小学校・教頭】

その他

火事については、様々な要因があると思いますが、教員の多忙化の影響も多いと思います。滞在時間が長くなってしまっているのは、やはり解消すべき問題だと感じます。【高等学校・教員】

今回の事件に関しては、教師の働き方も大きい。善意でやっていたことがきっかけで火事になり咎められるなんて。働き方を見直していかないといけないと思った。【小学校・教員】

まとめ

今回のアンケートでは、非常階段等のない「逃げ場のない教室」が勤務校にあると回答した方が約8割に上り、約7割はそうした教室を児童生徒が日常的に使用していると回答しました。一方、避難器具を利用した避難訓練については「行っていない」が約76%という結果になりました。

自由記述を見ると、「実際に救助袋を使えるのか分からない」「教職員自身が使用方法を知らない」「より実践的な訓練をするべき」といった声のほか、器具の展開や児童生徒の誘導に必要な人員、校舎の構造や設備の老朽化など、さまざまな課題が挙げられました。訓練を「実施したかどうか」だけではなく、それが実際の非常時に機能する内容になっているかを考える必要がありそうです。

文部科学省は今回の火災を受けた通知で、消防法等に基づく施設・設備の点検や適正な避難経路の確保に加え、火災時の円滑な避難行動を確保するための訓練を定期的に実施することを求めています。さらに、避難訓練を実践的な内容とし、救助袋等についても教職員を含めて設置場所や使用方法を確認・共有することが重要だとしています。また、学校保健安全法に基づく「危機管理マニュアル」の点検・改訂や、教職員への周知、訓練についても改めて確認するよう求めています。

火災が発生した東京都北区でも、区立学校に避難経路や火気使用場所、防災体制等の緊急点検を指示し、区内公立校全校で救助袋の設置訓練を年度内に行う方針を示しました。さらに、その後の補正予算では、小・中学校全校で教職員を対象に救助袋と消火器の取扱い訓練を行うための経費も計上しています。

実際に北区内の学校では、消防署員を招き、教職員が消火栓や消火器の使用方法だけでなく、救助袋の操作や避難経路、非常階段への誘導まで確認する訓練も行われています。学校だけで対応を抱え込まず、教育委員会や消防などと連携しながら、より実際の状況に即した訓練を行う一つの例と言えそうです。

児童生徒の安全を守るためには、避難器具を設置していることや、避難訓練を実施していることだけでなく、「いざというときに本当に使えるか、動けるか」という視点が欠かせません。同時に、校舎の構造や設備、人員体制など、個々の教職員の努力や訓練だけでは解決できない問題については、学校設置者が責任をもって改善を進める必要があります。

火災時にも児童生徒と教職員が安全に避難できるような学校にするためには、訓練・研修の実施などのソフト面の対策だけなく、必要な設備改善などのハード面の対策を積み重ねていくことが必要です。


▼ 自由記述の回答一覧は、以下よりダウンロードしてご覧ください。 ▼

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