
【教職員アンケート結果】盗撮事件を受けた私物スマホ・タブレットの持ち込み禁止、どう思う?
2025年、現役教員らが女子児童を盗撮し、画像や動画をSNS上のグループで共有していたとされる事件が明らかになりました。報道では、共有された画像や動画の多くが、学校での業務中に撮影されたものとみられると伝えられています。
事件を受け、名古屋市教育委員会は2025年7月、学校におけるスマートフォン(スマホ)をはじめとする私物端末の利用について、新たな取扱いを各学校に通知しました。児童生徒の撮影を禁止するとともに、教室など児童生徒が活動する場所への持ち込みを原則禁止する内容です。(参考:名古屋市報道資料)
一方、学校現場では、私物スマホ・タブレットが、授業や学校行事の記録、校外活動での連絡、児童生徒の急病やけがなどへの緊急対応にも使われてきた実態があります。
児童生徒の安全やプライバシーを守るためのルールを、教育活動や校務を損なわずに機能させるには、何が必要なのでしょうか。教職員の私物スマホ・タブレットに関するルールの現状や課題、改善について、全国の教職員に聞きました。
アンケートの概要
■対象 :全国の小〜高校年齢の児童生徒が通う一条校に勤務する教職員
■実施期間:2025年11月28日(金)~2026年1月19日(月)
■実施方法:インターネット調査(実施時の設問はこちら)
■回答数 :90件
アンケート結果
設問1 私物スマホ・タブレットに関するルールはある?
Q1. あなたの学校では、教職員の私物スマホ・タブレットの使用/教室持ち込みについて、何らかのルールがありますか?

全体では、「自治体、教育委員会単位でルールがある」が約59%と、最も多い結果となりました。「学校単位でルールがある」は約18%、「明示的なルールはないが、暗黙の了解として制限されている」は約3%でした。これらを合わせると、回答者の約8割が、私物スマホ・タブレットについて何らかのルールや制限があると回答したことになります。
また、回答数に限りはありますが、小学校・中学校・高等学校と対象の年齢が上がるにつれ「明示的なルールがある」と答えた割合(「自治体、教育委員会単位」「学校単位」の合計)が下がる様子が伺えました。
その他の内容
私物PCの持ち込みは禁止されているはずだが、見て見ぬふりをされているのと同様に、スマホについても見て見ぬふりをされている。【中学校・教員】
使用についての注意喚起のみ。【小学校・教員】
私物PC、USBメモリについては自治体で持ち込み禁止とされている。スマホの教室持ち込みについては、教員の盗撮事件以降に校長から「控えるように」と指示があった。【小学校・教員】
設問2 ルールの内容は?
Q2. 設問1で「ルールがある」「暗黙の了解がある」と答えた方に質問です。どのようなルールになっていますか。(複数選択可)

最も多かったのは「教室への持ち込み禁止」で、約58%でした。「教室での撮影禁止(持ち込みは可)」と合わせると9割以上の学校や自治体で、教室内での私物スマホ・タブレットの持ち込み・使用に制限が採られていることになります。
教室以外の学校施設については、「教室以外の学校施設での撮影禁止(持ち込みは可)」が約15%、「教室以外の学校施設への持ち込み禁止」が約6%と、教室内での制限よりは割合が低く、制限の内容も「持ち込みは可」という比較的緩やかなものであることが分かりました。
その他の内容
とにかく携帯で子どもの撮影は禁止で、学校のカメラだと可能。【中学校・教員】
端末の持ち込み禁止のはずだが、なんとなくスマホは例外のような扱いになっている。【高等学校・教員】
PCは事前に届け出て使用可。スマホはルールなし。【高等学校・教員】
児童の前で私物携帯の使用禁止。【小学校・教員】
緊急時連絡を除く。【中学校・教員】
自分の端末で撮影したり録画した場合は申告し、その後、自分の端末とクラウドから削除することをルールにしている。広報活動をするよう教育庁は進めるのに、矛盾している。【高等学校・教員】
職員室以外への持ち出し禁止。【小学校・養護教諭】
特定の場所への持ち込み禁止というのではなく、生徒を撮影することができなくなった。【高等学校・教員】
設問3 その実効性についてどう感じていますか?
Q3. 設問1で「ルールがある」「暗黙の了解がある」と答えた方に質問です。その実効性についてどう感じていますか?

「非常に有効だと思う」と「ある程度有効だと思う」を合わせると、ルールを有効だと捉えている回答は約4割でした。
一方、「あまり有効だと思わない」「全く有効だと思わない」の否定的な回答を合わせると約5割となり、肯定的な回答をやや上回りました。
Q3-2. 上記の選択肢を選んだ理由をお書きください。
自由記述からは、ルールが児童生徒や保護者の安心につながるという評価がある一方、意図的に行われる盗撮を、持ち込み禁止だけで防ぐことは難しいという意見も見られました。
「有効だと思う」理由
ルールが抑止や行動の変化につながっている
写真を撮影する際には最新の注意が必要だということを意識できるようにはなっていると思う。【中学校・教員】
ほとんどの人が私物の持ち込みをしていない。相互牽制しているから。【小学校/中学校・教員】
現在、撮影したら即処分ではないが、管理職が絶対禁止を呼びかけることで、抑止力になっていると思う。【特別支援学校・教員】
安心感・信頼やデータ管理につながる
盗撮防止目的ではなく、個人情報等流出防止のためのルールであり、その目的には沿っている。【高等学校・教員】
生徒を撮影する際は常に学校のロゴが入ったタブレットを使用するので、生徒、保護者、教員ともに変な疑いを持たなくて良いので良いと思っている。【中学校・教員】
生徒に安心感を与えるとは思うから。こちらも生徒の画像データを持っておかなくて済むので、気が楽。【中学校・教員】
「有効だと思わない」理由
悪意のある行為には抑止にならず、抜け道や別の撮影手段がある
事件の詳細を調べれば分かる通り、加害者は学校支給のデジカメを使用していたり、ペン型の盗撮用カメラを使用していたりするので、もはやスマホ云々の問題ではないから。【小学校・教員】
真面目に使っているものには制限がかかるが、悪いことを知っていて撮影しているものに対しては何の抑止にもならない。【小学校/中学校・教員】
犯罪を犯す人は、どんな対策をとっても犯罪を犯すから【高等学校・教員】
業務や緊急対応に支障があり、代替手段も不足している
緊急時の対応に不安がある。自治体から本来支給されるべきなのにそれができていない。【中学校・教員】
普段は職員室以外への持ち出し禁止です。しかし、校外学習等への引率の際には私物のスマートフォンを持ち歩くように指示され、学校への連絡も自分のスマートフォンを使用する。何か矛盾している気がする。【小学校・養護教諭】
生徒を撮ってはいけないと言われても、代替となる端末等を支給されているわけではないので、行事のとき等は私物の端末を使用して撮らざるを得ないから。【高等学校・教員】
禁止という対策や運用の方向性に疑問がある
私権の制限であるため守る義務はない【中学校・教員】
DXの方向性と逆行するため。【中学校・教員】
撮影禁止と謳っているだけで、実際に撮影することは可能。禁止のルールをつくるよりも、教員の問題行動を見かけたときの対処方法について研修したり、教員としてというより人としての倫理観について研修する方が実用的。【高等学校・教員】
「有効か分からない」理由
学校が管理を行っているという視点で言うと、社会に対する責任は果たしていると思う。一方で犯罪を犯すような先生が、このルールによって減少するとは思わない。【中学校・教員】
盗撮とそのルールが明確になっていることで保護者などの安心を作るうえではある程度有効性があるが、緊急時の連絡、私的な急な連絡などには制限がかかるため教員側としては不便を感じる【特別支援学校・教員】
盗撮をするような人はルールを守らない人であり、ルールを厳しくしたところで変わらない。さらに、ルールが厳しくなると真面目な人は仕事がやりづらくなり、働き方が苦しくなる。大多数の教員を苦しめるルールになっていると思う。盗撮をなくすという教育委員会の姿勢を示しただけで、現場の働き方を苦しめる結果になっていると思う。【高等学校・教員】
設問4 ルールに関して、困っていること・課題を感じることはありますか?
Q4. 設問1で「ルールがある」「暗黙の了解がある」と答えた方に質問です。ルールに関して、困っていること・課題を感じることはありますか?(複数選択可)

最も多かったのは「他の校務時に私物スマホ・タブレットが必要なことがある」で、約半数の回答者が選択しました。「授業時に私物スマホ・タブレットが必要なことがある」の回答と合わせると計41名(重複除く)が「校務において私物スマホ・タブレットが必要なことがある」と答えており、全体の約6割に上りました。
「学校用端末の運用面に不備がある」「学校用端末が貸与されない」もそれぞれ3割以上の回答者が選択しました。
その他の内容
困り、課題は感じていない。【中学校・教員】
災害時。【小学校・教員】
音楽を流したい時に使えない。【小学校・教員】
道具として便利なのに使えない。【中学校・校長】
困っていること・課題の詳細は?
Q4-2. 困っていること・課題の詳細を教えてください(任意)
私物スマホ・タブレットが必要とされてきた場面は、授業でのICT活用だけではありません。自由記述には、校外学習や修学旅行、部活動、児童生徒の体調急変、学校施設の修繕、学級通信など、多岐にわたる場面が挙げられました。
緊急時等の連絡手段が必要
急病の連絡、親の送り迎え連絡(肢体不自由児)。【中学校・教員】
非常時の緊急連絡のためにスマホは携帯しておくのが望ましいとされている。【小学校・教員】
校外学習や修学旅行などは、本部携帯一台以外は個人の携帯で連絡を取らざるを得ない。校外での部活動なども個人携帯のみ。校内の緊急時のインターホンなどがなく、個人携帯で連絡を取ることになっている。1人一台業務用携帯を貸与してほしい。【中学校・教員】
子どもが急に飛び出していったり、教室以外の場所で緊急事態(倒れた、大怪我をした)が発生したりした時、その場を離れて内線をかけるところまで行けないことがある。内容的に他の児童を使って知らせられないこともある。そんな時、携帯で職員室に電話をかけたい。また、スマホのリマインダー機能でタスク管理をしているので、見られないと困る。【小学校・教員】
授業・行事・広報の記録に影響している
子供の作品、ノート、板書など学習の記録を取るのにスマホは大変便利。その後の利活用もしやすい。デジカメは使いづらい。手間が多い。スマホがあれば緊急地震速報を受信し、即座に対応できる。3階などの教室にいるときは、校内放送を待たずに避難行動が開始できる。不審者や児童の体調の急変など、一刻を争う連絡もできる。個人のスマホの教室持ち込みを禁じるのなら、全職員に校務用スマホを配布してからにするべき。【小学校・教員】
学校のデジカメでしか生徒を撮影できない。台数が限られており、画素も粗い。これまでとは生徒の活動を記録することが極端に減った。【中学校・教員】
PCだとカメラの解像度が悪すぎて、写真が使い物にならず学級通信を発行できず。【小学校・教員】
HPの作成、学校パンフレットの充実、卒業アルバムの写真を公平にすることなど、教員が普段から生徒の活動写真を手軽に撮っておくことがこれまで必要であったが、それができなくなるということは、それらの作業ごとに別な方法を考えなければならないという負担感が大きくなっている。【高等学校・教員】
学校用端末やカメラが不足している
学校用端末の画素は低い。デジカメも各校に支給されている分は画素が低い。また端末は持ち歩きできない大きさなので、撮りたいときに撮れない。【小学校・教員】
学校用の端末(Chromebook)はありますが、大きくて重たい。カメラの機能が非常に悪い。ということもあって、スマホの代わりにはほぼなりません。【小学校・教員】
校務用タブレットは貸与されており、校外行事の写真撮影用に手続きを経て校外に持ち出すこともできるが、重たくかさばるので、写真撮影用には不向きである。一方、私物スマホでの撮影は一切禁止、デジカメもないという現状は不便である。【特別支援学校・教員】
通信環境や利用制限にも課題
ネットワークへの接続範囲が狭く、体育館、特別教室等で無線接続ができず端末が活用できないことが多いため、必要となるケースが多く出てくる。【小学校・事務職員】
回線制限、回線のスピード、端末のスペックの面で使用が困難。インフラ面での改善が必要。【小学校/中学校・教員】
Chromebookのカメラの質が悪い。速度が遅い。校内で電波が届かないことがある。ブロックされて見られないサイトがある。【小学校・教員】
設問5 改善点やあなたの考えは?
Q5. 教職員の私物スマホ・タブレットの使用/教室持ち込みについて、現状からの改善点やあなたの考えを教えてください。
学校用スマホの貸与を求める意見が特に多く見られました。一方、一律の持ち込み禁止を支持する意見や、用途や場面を限定して私物端末を利用できるようにするべきだという意見も寄せられています。
学校用端末の整備
本来なら教員用スマホを貸与されるのが一番いいと思う。セキュリティもしっかり整えたものにして、盗撮などできないようにする。民間企業でも社員にスマホが貸与されるのと同じ。【小学校・教員】
本来、仕事に個人の持ち物を使うべきではないと思う。企業は仕事に必要な機器は会社が用意し、社員はそれを使って仕事をする。学校で携帯電話がないと仕事ができない現状はおかしいと思う。学校教育で必要な物品は学校が用意すべき。【高等学校・教員】
校務用スマホを全職員に貸与し、データを全て校内サーバー、もしくはクラウド上で管理する。【小学校・教員】
学校業務に関する全てを、配布されたスマホで行う。個人スマホは職員室に置いておく。公私混同を避ける。【中学校・教員】
本校の撮影がだめな程度の規制ならあまり不自由はないが、スマホの持ち込みすら許されないとなると仕事用の端末を貸与されないと成り立たないのではないか。【中学校・教員】
教員として学校に入ったときに、私物のスマホを堂々と使用している先生が多くて驚きました。学校内の端末の充実を図り、私物は使えないルールで当然だと思っています。【小学校・職員】
撮影・保存・削除まで含めたルール
撮影したデータをすぐに共有フォルダに入れる。【中等教育学校】
十分なスペックの端末の貸与、校内Wi-Fiの回線速度整備、必要なサイトへの接続制限の解除。撮影データの保管先を決まったクラウドになるように設定。【小学校/中学校・教員】
前任校の過去の学校行事の際に撮影した生徒の画像を、転任してからもずっと端末に残していたので、そういった画像はすぐに削除するべきだと思う。【高等学校・教員】
緊急時等に対応できる連絡手段を
個人端末を業務で使わないのは理解できるが、持ち込み自体を禁止するのは現場に即していない。緊急時対応や連絡確認を考えると、適切なルールのもとで持ち込みは認めるべきだと思う。【小学校・教員】
個人のスマホを仕事で使いたくないが、支援を要する生徒をはじめ、緊急な場合の連絡のために教室に持っていくことが多い。PHSなど職場用の通信手段を貸与してほしい。【中学校・教員】
児童の撮影を禁止するのはよいと思うし、児童の前で出さない・見せない方針も良いと思う。しかし災害対策としても、緊急事態対応としても、スマホの所持は承認してほしい。【小学校・教員】
用途や場面に応じた運用を
写真を撮るときは相手がそれを認識している状態でならOKなど、ある程度の制限を設けて私物スマホを使えるようにすればいいのでは。【小学校・教員】
特に行事の際の生徒の生き生きした姿をすぐに撮るには、持っているスマホを使用することに勝るものはないので、学校で使用できるスマホを配布してくれることがいちばんだと思っている。【高等学校・教員】
その他
禁止だけでは限界があり、私物利用をどのようにしていくかのルールを定めた方が建設的かつ新しいテクノロジーへの対応が進むと感じている。情報モラルよりもデジタルシチズンシップの考え方を入れた方が良い。【小学校・事務職員】
盗撮事件がニュースで報じられたことを受けて、今まで生徒の活動を教員個人で撮っていたのが禁止になり、学校のデジカメで撮ることになった。以前はあまりにも多く写真を撮りすぎていたので、デジカメの台数が少なく、不便さもあるが、それで良いと思う。【中学校・教員】
教員側の視点だけでいえばとても不便を感じるが、今の世論からすると、それを退けるだけの理由にはならないし、現段階で盗撮など性に関する世間からの疑念を全く払拭できているとは言えない状態なので、致し方ないというのが実感。【特別支援学校・教員】
まとめ
今回のアンケートでは、回答者の約8割が、教職員の私物スマホ・タブレットについて何らかのルールや制限があると回答しました。ルールや制限がある回答者のうち、「教室への持ち込み禁止」と回答した割合は約6割となっています。
一方、その実効性については評価が分かれ、「非常に有効」「ある程度有効」が合わせて約4割、「あまり有効でない」「全く有効でない」が約5割と拮抗しました。「児童生徒や保護者の安心感につなる」「学校としての姿勢を示すことには一定の効果がある」という意見もあるなか、「意図的な盗撮を防ぐことはできない」「大多数の教員を苦しめるルールになっている」という声も見られました。
文部科学省は、名古屋市の事件などを受けて2025年7月に通知を出し、教師個人のスマートフォン等の私的端末で児童生徒を撮影しないことや、学校所有端末で撮影した画像等を管理職の許可なく学校外へ持ち出さないことなどを求めました。また、組織的な防止策を進めることを教育委員会等に求めており、実際、名古屋市教育委員会や静岡県教育委員会ではそれに対応した運用がなされています。(参考:文科省通知,名古屋市報道資料,静岡県教育委員会)
また、今回のアンケートでは、校務における私物スマホの活用状況についても明らかになりました。具体的には、約6割が「校務において私物スマホ・タブレットが必要なことがある」と回答したほか、自由記述でも、校外学習や部活動での連絡、学校の安全に関わる場面などで私物スマホが利用されている実態が分かりました。
2026年6月に発生した学校火災も記憶に新しいように、学校では火災や地震、児童生徒の急病など、予期しない事態が起こり得ます。教職員が職員室を離れている場合にも、迅速に連絡や情報共有ができる手段をどのように確保するかは、学校の危機管理を考えるうえで重要な論点です。
児童生徒の安全やプライバシーを守るため、私物端末による撮影を明確に制限することは重要です。一方、それまで私物スマホに頼っていた業務を禁止するのであれば、学校用スマホやカメラ、校内外の連絡設備などを整える必要があります。
私物スマホを「持ち込ませるか、禁止するか」だけではなく、子どもの安全と教育活動の双方を支えるために、何を公費で整備し、学校全体でどのように管理するのか。今回のアンケートからは、現場の実情に即した具体的な仕組みを求める声が見えてきました。
▼ 自由記述の回答一覧は、以下よりダウンロードしてご覧ください。 ▼
同じカテゴリの記事
教職員の声に触れる
最新記事やイベント情報が届くメールニュースに登録してみませんか?

-
メガホン編集部











