【教職員アンケート結果】家庭・児童生徒との連絡のICT活用状況(2025年ver.)
School Voice Projectでは2022年に、家庭・児童生徒との連絡のICT活用状況についてアンケートを実施しました。
前回の調査から約3年、家庭や児童生徒との連絡・やりとりの手段としてのICT活用状況は、どのように変化したのでしょうか。教職員の方に、改めて勤務校の実情を聞きました。
アンケートの概要
■対象 :全国の小〜高校年齢の児童生徒が通う一条校に勤務する教職員
■実施期間:2024年12月27日(金)~2025年1月27日(月)
■実施方法:インターネット調査(実施時の設問はこちら )
■回答数 :58件
アンケート結果
設問1 連絡手段としてICTが活用されているものは?
Q1. あなたの勤務校で、「家庭・児童生徒との連絡手段として」アプリやメールなど、ICTの活用が行われているものをすべて選んでください。(複数選択可)

前回調査と比べて、ほぼすべての項目について「活用されている」と回答した人の割合が増加しました。
「学校からの緊急配信」におけるICT活用は、前回の約90%から100%に増加。次いで割合の大きい「欠席連絡」、「アンケート」、「文書、課題等の配付」については、それぞれ90%、88%、72%という結果になり、前回はいずれも全体の約4割に留まっていたところから、大幅に向上しました。
唯一、活用の割合が減ったのは「メッセージ(児童生徒)」で、前回の20%から17%へと数を落としました。また、「活用されていない」の回答者については前回の4人から0人に減少し、いずれの学校でも、連絡手段として何らかのICT活用が行われていることがわかりました。
設問2 ICTを使って働き方はどう変わった?
Q2. 家庭・児童生徒との連絡手段にICTを活用することによって、働き方にどのような影響がありましたか。
(設問1で「どれにも活用されていない」と回答された方は起こる影響を予想してお答えください)

前回に引き続き、全体の9割以上の方が「良い影響があった」、もしくは「どちらかというと良い影響があった」と回答しました。
「どちらかというと悪い影響があった」と回答したのは、小学校で2名、高等学校で1名のみという結果になりました。
導入の成果に肯定的な意見
連絡や集計を効率化できた
電話連絡等が少なくなり、対応にかかる時間が減った。記録も残るので、後で確認することもできる。【小学校・教員】
欠席連絡の電話を取って担任に伝える手間、連絡を聞く時間が省けた。【中学校・教員】
保護者閲覧履歴も確認できるため効果的に使用できている。【小学校・事務職員】
勤務校では生徒全員に各1つ、それとは別に全家庭に保護者用として各1つ、メールアカウント(自校ドメイン)を入学時に配布しており、生徒へは各種連絡や教材配信のほか、採点ナビと連動して答案さえも配信で対応している。これまで紙を使って連絡していたものがなくなることで、印刷・配布・回収の手間がなくなったのは大きい。【高等学校・教員】
教職員の負担軽減につながった
紙回収の仕分け時間がなく、すぐデータ化されてとてもよい。連絡も同じく一斉配信が可能で漏れがない。文書や画像がすぐに送信できる。【小学校・教員】
Teamsによるデジタル連絡帳を導入し、保護者とのコミュニケーションの円滑化や、教員の連絡帳業務の軽減になっている【特別支援学校・教員】
欠席連絡は時間短縮になっている。重要なお知らせも、保護者に直接メールで届けることができるので紙に印刷するより速く確実である。各行事などのアンケートも、印刷、回収、集計の手間が省けている。
1人一台端末を持ち帰りしているため、生徒と直接端末を使ってやり取りできることも便利である。固定電話がなく、保護者のスマホだけでは直接生徒と話をすることがやりづらい。板書やプリントなど、写真で撮影して送り合うことができるのも、時間の短縮になっている。【中学校・教員】
各家庭の負担や連絡漏れが減った
欠席連絡をアプリを用いてできるようになったことで、保護者の負担は減ったと思う。また、PTAの集まりの可否についてなどはアプリを用いて解答して貰うことで、よりスムーズな集計ができている。【高等学校・教員】
文書発送の連絡ができ、生徒の渡し忘れが減った。【中学校・教員】
今まで紙で印刷し、配布していたものがかなり減りました。直接保護者に渡るので、配布忘れ等がなくなりました。【小学校・教員】
電話対応の非効率さ(取り次ぎ、不在時の伝言等)が大幅に減ったのが大きい。特に朝の欠席連絡は、親が皆仕事で、限られた時間の電話ができない家庭も増えているので、ICTに移行したことはお互いに良かった。【高等学校・教員】
時間的・精神的な余裕につながった
学校と生徒、学校と家庭が時間を共有することが少なくなった。お互いの良いタイミングでやり取りができることで時間的にも精神的にも余裕ができた。懇談時にも保護者からも助かったとの声が多数聞くことができた。【義務教育学校・教員】
朝、欠席連絡の相手をする手間が減った。学校からの連絡も直接保護者に届くので、中継する手間が減った。保護者アンケートも、担任が集約したりしなくて良くなったので、その内容に一喜一憂しなくてよくなった。これについては精神的にも負担が軽くなった気がする。【小学校・教員】
肯定・否定の双方を含む意見
必ずしも業務効率化にはつながらない
24時間メッセージは入ってくるので、それを見逃さないように、気を配らないといけないのは大変です。当日の連絡は見逃さないのですが、前日の23時とかにクレームの連絡が入ったりもします。未読が分かりやすくなるなど、現場の声でシステム側もアップデートされていくとより良いものになると思います。【小学校・教員】
文書や連絡のペーパーレス化にはなったが、業務の簡素化というと大きな良い影響があったとは断言できない。学級だよりなどは、メール配信になったことで児童の目に触れなくなったなと思うので、教室で読んで聞かせるようにした。【小学校・教員】
各家庭の理解や使い方にばらつきがある
事務室を通さず、手元で確認できるのでタイムラグがないのはいい。しかし、元々連絡なしの遅刻が多い家庭は連絡はやはり皆無のまま。生徒が親のふりをしてICTで欠席連絡を入れるケースも多発。家庭の倫理観が問題。【中等教育学校・教員】
欠席連絡は、ICTを活用しているが未だに学校に電話連絡があったり、入力していないと学校から所在確認などを行なっている。完全にICTに移行するまでには時間がかかると思う。【小学校・教員】
その他
ほとんど使われていない。欠席連絡はオンラインでしてほしいが、そのプログラムを組めたり、サービスを購入する費用がない。ICT支援員がいないと、DX化は進まない。ICT支援員を常勤化し、GIGAスクールサポーターも配備されなければ、多忙化は解消されない。【小学校/中学校・教員】
校務では使いやすいが、教育委員会、管理職(特に校長)に理解がないと全く進まない。【小学校】
導入の成果に否定的な意見
教職員の業務負担が増えた
学校全体としては、紙代の節約、印刷・配布の手間がなくなったので良いが、ICT担当の負担として、年度初めの登録や転入生の登録などの手間が増大した。【小学校・教員】
その他
学校評価の保護者の記述欄に個人攻撃のような内容が増えた。【小学校・教員】
まとめ
アンケートの結果を通して、前回調査から約3年を経て、各学校で連絡業務におけるICT活用が確実に広がっていることがうかがえました。特に「欠席連絡」、「アンケート」、「文書、課題等の配付」については、それぞれ90%、88%、72%と活用している学校が大幅に増加し、効率化や負担軽減につながっているという声が多く寄せられました。
働き方への影響については前回と同様、全体の9割以上の方が「良い影響があった」、もしくは「どちらかというと良い影響があった」と回答しました。
課題については、前回のような「教職員への操作説明が負担」、「環境整備が追い付かない」といった意見は見られず、登録作業の手間や家庭ごとの連絡の不備など、活用が進んだからこその問題が挙げられました。また、時間を問わず相互に連絡できることの功罪や、連絡共有が簡便になったからこそ、手間をかける部分を増やしたという声もありました。
今後はますます、学校の非効率的な部分を簡略化・省力化し、本質的な支援活動や学習活動へ注力するためのICT活用が求められると言えそうです。
▼ 自由記述の回答一覧は、以下よりダウンロードしてご覧ください。 ▼
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メガホン編集部