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【教職員アンケート結果】コロナ禍における学校の変化の中で、よかったことは?

  • メガホン編集部

新型コロナウイルスが流行してまもなく2年が経とうとしています。感染状況に応じて、学校現場では一斉休校や分散登校などの対応をしてきました。

その影響として、学習の遅れや学力格差の拡大などの課題が指摘されています。一方で、大きな変化を余儀なくされたことにより、学校教育のあり方を見直す機会になったという声もあります。学校現場で働く教職員の方は、どのようなことを感じているのでしょうか。

アンケートの概要

School Voice Project では、WEBアンケートサイト「フキダシ」に登録する教職員の方を対象に「コロナ禍における学校の変化の中で、よかったこと」についてアンケートを取りました。

■対象  :全国の小〜高校年齢の児童生徒が通う一条校に勤務する教職員
■実施期間:2021年10月16日(土)〜11月7日(日)
■実施方法:インターネット調査
■回答数 :30件

アンケート結果

Q. 新型コロナウイルスの出現によって、感染対策等のために、学校現場はさまざまな変化や従来とは異なる対応を余儀なくされました。たくさんある変化したことの中で、「よかったこと/コロナ以後も継続したいこと」と、その理由を教えてください。

※全回答の中から抜粋して掲載しています。

学校行事や部活動が縮小されたこと

行事の見直しによる児童の学校生活のゆとりと教員の業務時間短縮。【小学校】

運動会の開会式・閉会式の入退場が無くなり、そのための朝早くの練習も無くなった。【小学校】

学校行事が見直されたこと。必要最小限になったことで、授業時間の確保ができた。【小学校】

運動会の規模縮小。特別支援学級児童にとっては、人の多い空間で長く時間を拘束されることがとても厳しかったが、規模縮小により、参加できることが増えた。演技の時間も短くなり、練習自体も負担が軽くなった。競技の工夫により、組体操で人との接触がないのも、感覚過敏のある児童にとっては救いだった。【小学校】

行事が問答無用で精選され、その分の業務が減ったこと。とはいえ、減った分はコロナ対応で別で忙しかったりはするのですが…。ただ恐ろしいことに、コロナが少し落ち着いただけでも元の行事内容に戻すべきという動きが強いので、維持できるかは怪しいところです。【小学校】

行事の精選。密を避けるために行事が中止になり残念な部分もあったが、準備等がなくなり授業準備に時間をかけられるようになった。コロナ禍でも行事の必要性をもう一度考え必要な行事は残し、そうでないのは形を変えたり無くしたりして教員の負担感をなくしてほしい。【小学校】

運動会の規模を縮小し、学年ごとに行うことになりました。競技数も絞られ、練習の時数も大幅にカットされたと思います。学習との両立ができます。保護者も席取りや、お昼のお弁当もなく、自分の子どもが出るときだけ見られるのでよいと思います。お弁当は朝から用意するのに、雨天だと順延になるので本当に大変だと思います。【小学校】

行事の簡略化と部活動の縮小は、よかったと、私は思います。理由は、時間に余裕が生まれるからです。その分、目の前の子どもたちに寄り添う時間に当てることができました。なにより、自分自身、心もからだも負担が減った気がします。また、行事等は前例踏襲でしたが、「新たな方法を自分たちで考えざるを得ない状況」になりました。これは、苦しいこともありますが、「失敗してもいいから、やってみよう」という雰囲気につながり、挑戦がしやすくなりましました。教員自身が、挑戦しやすい雰囲気のある職場づくりは、これからも続けてほしいと私は思います。【小学校】

部活動の活動日数が減った。県や自治体からの要請があったとき、1ヶ月部活動禁止になりました。放課後は自分の教材研究の時間にあてることができ、充実した1ヶ月になりました。子どもたちも喜んでいました。「生徒たちは部活動をやりたい」「生徒のために、早く部活動を再開してあげたい」というのは、教師の傲慢な考えであり、ほとんどの生徒は休みが必要だと感じていることがよく分かりました。【中学校】

部活動が縮小されたこと
→勤務校はもともと部活動はそこまで過熱してはいませんでしたが、コロナ禍によって規模が縮小し、教員の勤務時間内に終わるようになりました。教員は超過勤務の要因が減り、生徒は学業との両立がしやすいこの現状を今後も維持したいです。【高等学校】

部活動の時間が制限されたこと。吹奏楽部の顧問だが土日の部活がなく平日も定時で終われたので付き添いの先生を探さなくてよかった。また、コンクールも以前は結果発表までずっと残っていないといけなかったが、WEB発表になったので、必要以上に残らずに済んでよくなった。味気ないかもしれないが拘束時間が減ることは嬉しい。
一方で、部活の本番がなくなったツケは今後やってくる。たとえば、本番の動きは今の学年は非常に要領が悪い。理由は経験則がないからだと思われる。生徒同士で継承していくものが途切れるのは部活の運営上、顧問が苦労する場面が増えるのでその意味では非常に遺恨を残すことだと思う。【高等学校】

ICT環境が整ったこと

長期欠席の子へのオンラインでの学習補助。【小学校】

オンライン学習による児童の選択の幅が広がり。【小学校】

ICTの整備が、不十分とはいえ進み、在宅の児童生徒と話ができる環境に少し近づいたこと。実際に、登校が難しい児童とオンライン授業を行うことができました。学習内容はともかく、お互い顔を見て、想いを伝えやすい環境になったのはとても良いと思っています。【小学校】

全校で集まる集会がなくなり、オンライン集会になったので、移動時間が節約された。【小学校】

ICTの活用の推進。「紙の連絡帳」の減少。「無理に教室で学ぶ必要はない」ことへの理解。【小学校】

遅々としてではありますが、ICTの導入と、それに伴う個に応じた学習の支援が進みました。【中学校】

ICT活用が進んだことで、個別最適な学びを実現しやすくなった。【高等学校】

・オンライン授業に必要な事柄が、ハード(物品・インフラ等)、ソフト(制度、生徒・保護者・先生方の理解等)共に整ったこと
・平常時の授業についても欠席者等に向けて授業のオンライン(アーカイブ)配信が可能になったこと【高等学校】

ICT環境の整備
→オンライン授業を余儀なくされ、一人一台のタブレットPCが貸与されました。結果、対面授業が復活した後も、学校を休んだ生徒のために授業をZoom中継したり、GoogleFormsを使って部活動や行事の出席希望を取るなどして紙の消費を減らしたりすることが可能になりました。こうしたオンラインの便利な点を今後も活用し、業務の効率化を図っていきたいです。【高等学校】

生活習慣やルールが変化したこと

手洗い、うがいの習慣。
最低限出来ること、として行事を組み立てる、それについて考える学校運営。【小学校】

マスクの色指定や、防寒着の教室内での着用などの学校のルールの見直しが行われたことです。これらのことはよいきっかけにして「このルールほんとに必要?」と考えることを続けていきたいです。【中学校】

休みやすくなった。微熱や風邪症状がある場合、登校を控えるよう自治体から通知がありました。(出席停止扱い)今までは微熱や軽度な風邪症状では、早退させることもなかったし、家族も学校に登校させていました。毎日学校に何としても行かなければいけないという考え方から脱出できるのではないかと思います。そして、できれば私たち教師ももっと休みやすい社会になればいいなと思います。(そのためには、教師の働き方を変えなければいけませんが。現状、休むと周りへの負担が大きすぎる)【中学校】

分散登校をしたときは、少人数で落ち着いて授業できました。普段は荒れている学校ですが、子どもたちも穏やかに過ごしていました。【中学校/特別支援学校】

・黙食。給食中に喋っていて時間に間に合わなかった生徒への指導がなくなった。
・完食指導の撤廃。残菜がでるのはもったいないが、気持ちにゆとりをもって子どもも私も食べられている。【中学校】

働き方や研修が変化したこと

時短になって、午後に教材研究ができたこと 【小学校】

対面で集まる意味のない講義型の研修のオンライン実施。【小学校】

出張がオンラインになったことによる出張旅費・移動時間削減。【小学校】

顔を合わせてやる必要があるかわからない会議、打ち合わせの減少。【小学校】

同じ学校法人内にある別の学校との会議がオンラインで済むようになった。以前は車で片道1時間かけて集まっていた。かなり負担の軽減になった。資料も紙だったものがドライブでの共有になって便利になった。ただ他校園の教員との関係が薄くなってしまった気もする。【小学校】

日課の変更。緊急事態宣言発令中は、児童をできるだけ早く下校させる目的で、日課が変更になった(通常は45分のところを40分授業に、朝学習の削除や休み時間の短縮)。児童の下校が早い分、放課後の時間が1時間増え、職員も早く帰ることができた。子育てをしている先生は定時で帰られるため、放課後の短い時間ではなかなか小さな打ち合わせができないことが多かった。放課後の時間が長いと話し合う機会も増え、充実していた。1コマあたりの授業時間が短くなることを心配する保護者もいたが、児童の集中力を考えると、40分授業で、早く帰れる方が子どもも大人もハッピーだった。【小学校】

研修が簡易化された。無駄な研修、無駄な準備が多かったので、研修が簡易化され、私たち教員の負担が減った気がします。オンラインでも何とかなる。【中学校】

・社会的にオンライン交流への抵抗が薄くなったため、他校や他団体とのオンライン交流が盛んになったこと
・以前は出張で対応していた研修等の業務が一部オンライン可となり、移動時間が削減されたこと 【高等学校】

その他

コロナ前に全て戻すことは考え直した方がいいし、コロナによって、いろいろなことが見直されたことは良いことだと思う。でも、「コロナによって従来と異なる対応が良かった。今後も継続したい」と、判断するのは、今の段階では難しい。ただ、教師の都合だけで判断したくない。子どもの思いに寄り添って、判断したい。【小学校】

親として教師として強く感じる事は、PTAや地域活動が減少した事です。コロナ前はP(Parent:保護者)としてもT(Teacher:教員)としてもとんでもない負担だったので、このまま少なく必要最低限の事のみで良いと思います。【中学校】

行事の大切さがわかったことです。行事による非日常感、学期のメリハリなど、行事によって学校のリズムがあるのだと感じました。遠足など行事がなく、友人の繋がりも薄く、不登校、中途退学など、しんどい子ほど学びとのつながりが断たれた2年間だと思います。【高等学校】

まとめ

最も意見が多かったのは、「学校行事や部活動が縮小されたこと」でした。特に、小学校では学校行事、中学校や高等学校では部活動についての意見が多くあがっています。これまで行ってきた行事や部活動が縮小されたことによって、教職員の負担が減っただけではなく、児童生徒や保護者にも余裕が生まれたようです。一方で、対面での関わりが減ったことで「行事や集団生活の大切さを実感した」という意見もありました。

新型コロナウイルス感染予防への取り組みによる影響は、学習面だけではなく学校生活や児童生徒の暮らしにまで及びます。当然さまざまな側面があり、短期的に見たときと長期的に見たときでもメリットやデメリットは変化してくるでしょう。

今年9月には School Voice Project で、デルタ株感染拡大下の学校現場での”オンライン/ハイブリッド授業”の現状についてのアンケートを取りました。こちらも合わせてご覧ください。

https://note.com/schoolvoice_pj/n/nea46a2002c25

今後も引き続き、感染予防への対応をしながら学校運営を続けていく必要があります。全国の学校で、児童生徒や教職員の安全を守りつつ、学びの保障を第一に考えた意思決定がなされてほしいと思います。



▼ 自由記述の回答一覧は、以下よりダウンロードしてご覧ください。 ▼

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NPO法人School Voice Project のメンバーが、プロやアマチュアのライターの方の力を借りながら、学校をもっとよくするためのさまざまな情報をお届けしていきます。 目指しているのは、「教職員が共感でき、元気になれるメディア」「学校の外の人が学校を応援したくなるメディア」です。

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