【教職員アンケート結果】PTAの脱退運動、進んでる?
近年、PTAの在り方や必要性について議論が活発化しています。2022年6月、当時の文部科学大臣が「PTAの入退会のあり方はそれぞれのPTAで判断いただくべき」と述べ、任意団体としてのPTAの性質を改めて強調しました(参考:一般社団法人・東京都PTA評議会)。こうした中、学校現場ではPTAの運営や加入の仕組みにどのような変化が起きているのでしょうか。全国の小中学校、高等学校の教職員に聞きました。
※このアンケートは、WEBアンケートサイト「フキダシ」内にある『みんなに聞きたいこと』に寄せられた投稿から作成されました。
アンケートの概要
■対象 :全国の小〜高校年齢の児童生徒が通う一条校に勤務する教職員
■実施期間:2024年5月17日(金)〜2024年6月17日(月)
■実施方法:インターネット調査(実施時の設問はこちら)
■回答数 :46件
アンケート結果
設問1 PTAの脱退運動、進んでる?
Q1. あなたの勤務する学校では、PTAの脱退運動が進んでいますか?
回答者の校種別の傾向として、小学校では全体と比べて「進んでいない」との回答が1割ほど多く、脱退運動は比較的少ない傾向にありました。また、回答者数は9名と少なかったものの、高等学校では全体と比べて「進んでいる」との回答が1割ほど多く、他の校種と比べて脱退運動が進んでいる傾向が見られました。
設問2 あなたが思っていることは?
Q2. 上記の内容に関連して、あなたが思っていることや考えていることを教えてください。
「進んでいる」と回答した方の意見
任意参加のボランティア団体であるべき
PTAはなくしたほうがいい。任意のボランティア団体にするべき。【高等学校・教員】
今年度から脱退が進んでボランティア制に移行したが特に問題は起こっていない。【中学校・教員】
強制でないことが知れ渡ることが大切だと思います。保護者にも、もちろん教員にも。【高等学校・教員】
進んでいるが、課題は残る
以前にはなかった「入らない」という選択をされる方が、1年生の保護者で毎年2、3人おられます。しかし学校行事と絡んできますし、PTAから子どもに配布されるものもありますし、不公平感はあります。【小学校・教員】
今年度から入会の意思確認するようになったのは進んだことだと思う。教職員もだが、職員室で「入会しました?」「入金は今週中に」と公言されるのに違和感。配布物も入会者とわざわざ色を変えられ差別的だと感じる【小学校・教員】
教員の負担が大きい
PTA自体、もうほぼ機能していない。実情は教員がまわしている。【中学校・教員】
代わりの団体が立ち上がったが、結局、会計管理は学校に丸投げ。学校教職員の負担は変わらない。【小学校・事務職員】
勤務校では文化祭の時に焼きそばを出店するくらいで、保護者の方の負担はほとんどない。ただ、各クラス2人ずつ役員を出すことになっているのだが、役員をお願いする電話を担任がすることになっているのが負担。【高等学校・教員】
「進んでいない」と回答した方の意見
脱退前提の動きにはなっていない
あくまで勤務校の話ですが、やりたい人で役員も確保されていますし、保護者、教員ともに恩恵を受けている面があるのでこのままで大きな問題はないと思っています。【高等学校・教員】
地域に根ざした学校で、保護者が卒業生であることが多くもあり、協力的だ。【高等学校・教員】
PTAに立候補する方々は意識が高く、なかなか脱退の話にはならないですね【中等教育学校・教員】
設問が少し分かりにくいのですが、これは「教員による、自らのPTA脱退運動」ということでしょうか? 教員であれ保護者であれ、今のところそれが運動という機運にはなっていないです。【小学校・校長】
貴重な財源となっている
勤務校は全世帯が入会していますが卒業記念品や校内の消耗品や設備を準備するのに予算が足らないばかりか、不公平感が生じます。自治体からの予算が本当に少ないのです。現在はPTA のお金にかなり頼っています。【小学校・教員】
PTAの財源は学校運営をする際は非常に助かることが多い。お金だけ支援してもらうか、やりたい方は積極的にかかわることができるシステムにできないものかと思う。 【高等学校・教員】
一定の意義を感じた上で、新しいあり方を模索している
前任校では、任意加入に変更して、スリム化をはかりました。無いのは、それはそれで味気なく、よいバランスが大切だと思います。 【小学校・教員】
必要ないとは思いません。ただ、やり方には変更をかける必要があると思います。
話し合い合意形成のもと活動できることが望まれると思います。【小学校・教員】
保護者や教員にとって持続可能なPTA活動を常に模索し続けられるといいと思っています。【小学校・教員】
PTAが、全国組織としてあるので、そこを改善しなくては、一学校での取り組みでは、大きくなるのは難しいかなと思う。【小学校・教員】
脱退運動が続くところは、本来のPTA活動の意義的な部分が共有されていない、子どもたちのための支援だけではない部分が共有されていないのではないかと感じる。【小学校・事務職員】
PTAの脱退ありきで進むのがほんとに子どものためになるのか、その一方で強制するのがいいのかというところですごく悩みます。ただ徐々に自助に入るのがなんともなあって思います。 【小学校・教員】
脱退してもよいと思っている
上位組織からは今すぐにでも脱退したらよいと思うし、学校単体で必要ならPTAでなく保護者会にして欲しい。【小学校・教員】
県PTA連合の役員が市内特定校で固定されてきていた。長くそれが続いて、その役員の任命が昨年度議論になった。輪番か市P連ごと脱退かで議論になり勤務校Pではメリットないなら脱退もやむなしという話も出た。【小学校・教員】
広報誌作成のお手伝いをしています。一昔前は、学校の様子を保護者の手で地域にも知らせようと始まったもので、今は、学校だよりやホームページでお知らせしているので、やめてもいいのでは、と言っています。 【小学校・養護教諭】
任意団体であることが強調されるべき
あくまで任意団体。賛同されない方もいて当然。それぞれの学校でやれることをやれば良いと思う。【小学校・副校長】
任意加入であるのだから、保護者も教職員も、加入するかどうかを選択できなければならない。そうすると加入しない教職員が増えることは間違いないが。【中学校・教員】
PTAの集金時に、PTAは任意加入団体である旨の記載すらないので、皆さん強制加入が当然だと思っているようです。【小学校・教員】
何の説明もなく、さりげなく徴収が始まった。【小学校・教員】
90%以上加入し、教員は「加入しないなら、管理職にお知らせください」「異動の年に加入にしたら、そのまま継続します」と、「加入」がベースになっています。【中学校・教員】
脱退はしていないが、ボランティア制になった。教職員は意向を聞かれず参加がデフォルトだが、総会での議決をさせてもらえない。【中学校・教員】
教員の負担が大きい
どうして働いた給料で、自分以外のことにお金を使わねばならぬのかわかりません。教育にかかる必要経費は、自治体が出すべきだと思います。【小学校・教員】
当たり前のように平日の夜19時からの会合への参加と、休日の親子活動への参加を求められて困っている。先生達はいるものだという風土がなかなか広がらない。【小学校・教員】
保護者面談でPTAの役員にしないでと頼まれる。PTAを誰もが辞めたい。校長が、全国PTA協会の会長などの役職になり、PTA活動をもっと活発化するように圧力もあり。給料から会費が天引きされているのも嫌。【高等学校・教員】
PTAはなくていい。脱退というが、全員やるか、全員ないかじゃないとなのかも。
でも教員は保護者と同じ会員になるべきなのかは大いに疑問。
1番理不尽なのは教員が会費を払わないといけないこと。【小学校・教員】
既得権益化している
自分の勤務校も、娘の学校も、役員になれば「比較的気楽に口出しできる特権」を振りかざせると思っている層がいる。無くなるどころか強固に。必要以上の報道係のせいで一般席から運動会のゴールの瞬間が見えない。【高等学校・教員】
「その他」と回答した方の意見
令和5年度末で解散することになった 【小学校・教員】
中学校勤務。学区の小学校で、脱退運動が進んでいる。その生徒たちが入ってくる時に、大きな変革があるかも。自由な加入、自由な参加にするべき。【中学校・教員】
脱退はしていないが、ボランティア制になった。教職員は意向を聞かれず参加がデフォルトだが、総会での議決をさせてもらえない。【中学校・教員】
そもそもPTAの脱退運動って何ですか?こちらの会員であれば全員共通理解されているという前提で、解説もなくアンケートで問うのはいささか乱暴ではないかと感じました。【高等学校/高等専門学校・教員】
必要だと言うなら全員加入制にすべきだし、全員加入制がそぐわないのなら在り方を変えるべきである。現PTA会長は複数の保護者を役職から辞退させ、私利私欲に走っている。管理職もとめられない。【中学校・教員】
まとめ
PTAの脱退運動は「進んでいる」が22%、「進んでいない」が67%、「その他」が11%と、「進んでいない」が多数を占める結果でした。
「進んでいる」と回答した中には、「任意のボランティア団体としてのPTA」という本来あるべき状態へ向かっている反面、脱退が進んでも新たな課題(不公平感や差別的扱い)が生じているという指摘もあります。
「進んでいない」と回答した中には、現状で大きな問題が生じていないこと、PTAが貴重な財源となっていることなどを理由に、「そもそも脱退ありきの動きとなっていない」といった意見が見られました。しかし同時に、PTAのあり方の見直しや改善を求める声も多く聞かれました。
脱退運動の進行状況に関わらず、共通して挙がっていたのは以下のような意見です。
- 教員の負担が大きすぎる
- PTAが任意加入であることを周知徹底すべき
- 新しいあり方の模索が必要
現在のPTA制度には、多くの課題があることを示唆する声が多く寄せられていました。
一方で、2022年12月〜2023年1月に実施したアンケートでは、教員がPTAへの加入を「選択できる」と回答したのは全体の約5%にとどまっていました。
今回のアンケートでは脱退運動が「進んでいる」が22%と、以前よりも非加入の選択が増えてきている様子もうかがえます。上述のような課題も含め、現在はPTAのあり方が変わっていく過渡期にあるのかもしれません。
【このようなアンケートを作成したいと思った方へ】
「フキダシ」は、現役の教職員の方が無料で登録できるWEBアンケートサイトです。このアンケートは、WEBアンケートサイト「フキダシ」内にある『みんなに聞きたいこと』に寄せられた投稿から作成されました。投稿内容をもとに定期的にアンケートを作成しますので、フキダシでアンケート化してほしい話題がありましたら、ぜひユーザー登録をして投稿してください!
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