【教職員アンケート結果】スクールサポートスタッフについてのアンケート
文科省は令和5年度の概算要求の中に、教員がより児童⽣徒への指導や教材研究等に注⼒できる体制を整備するために、スクールサポートスタッフ(教員業務⽀援員,略称:SSS)の配置拡充を盛り込みました。
人手が増えることを歓迎する声も多い一方、現場によっては「活かしきれていない」という声も聞こえてきます。本アンケートでは、SSS活用をめぐる現状について教職員の方に聞きました。
アンケートの概要
■対象 :全国の小〜高校年齢の児童生徒が通う一条校に勤務する教職員
■実施期間:2023年10月17日(火)〜2023年12月4日(月)
■実施方法:インターネット調査(実施時の設問はこちら)
■回答数 :65件
アンケート結果
設問1 SSSが勤務校にいたことはある?
Q1. これまでスクールサポートスタッフが勤務校にいたことはありますか?(複数選択可)
勤務している学校にスクールサポートスタッフがいると回答した人は全体の60%でした。一方で、「いない」と回答した人は18%おり、全ての学校にスクールサポートスタッフが勤務しているわけではない現状がわかります。
設問2 SSSはどのような人?
Q2. これまであなたが出会ったスクールサポートスタッフはどのような人でしたか?(複数選択可)
- SSSはどのような人?(設問回答者数57人)
- 元保護者・PTA:9人
- 現役の保護者:2人
- 学生:4人
- 元教員:14人
- 上記以外の地域の方:12人
- それ以外:16人
教員として学校に勤務した経験がある人や子育て経験のある人のほか、地域の住民など、さまざまな立場の人がスクールサポートスタッフとして勤務していることがわかります。
設問3 SSSが担っている業務は?
Q3-1. これまであなたが出会ったスクールサポートスタッフはどんな業務を担っていましたか?
Q3-2. 上記のほかにスクールサポートスタッフが担っていた業務があれば記入してください(任意)
清掃時間の児童の見守り。
養護教諭不在時の保健室見守り。
ホームページ作成。【小学校・職員】
コロナ禍では、校内の消毒作業を担っていました。【小学校・教員】
教材を頼まれたとおりに作ったり、校外学習のしおり作りなど、学校にきたプリントを数えてクラス分け。【小学校・教員】
教頭の補助業務(アンケート集計、給食に関する作業など)。
来客対応(お茶出し)。【小学校/中学校・職員】
副校長に頼まれた臨時の仕事、
年度末の備品の管理など。【小学校・教員】
前任校では、ICTに詳しい方(PC教室のインストラクター)だったので、データ起こしや、Word、Excel業務、PCを使っての課題や、賞状やプリトン等々の作成なども頼まれていました。また、ICT支援員さんがいない時に、タブレットの不具合調整等もしてくれていました。【小学校・教員】
遠足の引率。
掲示物の制作。
新聞社に記事の投稿。
スクールバスに乗る生徒を乗り場まで引率する。
不在の先生に代わった対応(養護教諭が不在の場合は、怪我や体調不良の子の対応。教員が休みの場合は、自習教室に入って見守りや丸つけ。等)。
図書室関係の仕事(借りる・返却するの作業、新しい本の受け入れ、データ入力、児童別読書冊数の集計、本棚の整理、本の修繕、時期などに合わせて特設棚を作る、図書委員会活動の参加 等)【小学校/中学校・職員】
使えなくなったホワイトボードマーカーの回収とリサイクル。
図書のバーコード貼り。【特別支援学校・教員】
iPadのメンテナンス。【高等学校・教員】
会計業務。【高等学校・教員】
会計文書のチェック。
銀行へ行っての入金、払戻、振り込みなどの業務。【高等学校・教員】
スクールサポートスタッフが担っている業務として最も多かったのは、「学習プリントや配布物等の印刷、配布準備(68%)」でした。次いで、「文書収受や封入作業(51%)」「学校行事の準備及び後片付けの補助(49%)」「校内の環境整備(掃除・修理・緑化美化等)(49%)」が多く、事務作業や環境整備などが多い傾向が見られました。一方で、「保護者への電話かけ(連絡なし欠席や早退の際など)(2%)」や「教室に入りづらい児童・生徒の別室対応(17%)」 「授業中の児童・生徒サポート(20%)」など直接保護者や児童生徒と関わる業務を担っている人は比較的少ないことがわかりました。
設問4 SSSに依頼したい業務は?
Q4-1. 【教員向け】スクールサポートスタッフにどんな業務を依頼したいですか?
Q4-2. 【教員向け】上記のほかにスクールサポートスタッフに依頼したい業務があれば記入してください(任意)
支払いなどお金の管理、学年会計。
押印など成績表に関する単純作業。【小学校・教員】
元教員なら教室の入り込みはありだと思います。でも学校現場に初めて携わるSSSの方は職員室で業務をする方がいいと思います。【小学校・教員】
遠足の引率等、不定期にある行事の引率を頼みたい。旅費が出ないということで、わざわざ専科が工面して引率に付き添っています。【小学校・教員】
プール監視の業務。水泳指導中の陸上監視に当該学年の教師以外の教師が呼ばれている。通常のプールでも学生のアルバイトが監視業務をしているのに、授業の準備がある教師を必要以上に配置する必要がない。【小学校・教員】
昼休み等の見回り、見守り。【中学校・教員】
各種文書作成や校務運営の補助。
外部機関との連絡・調整。【中学校・教員】
教員が勤務時間内に行うには無理があり、教員免許がなくてもできる仕事(職員室や職員トイレ、更衣室等の清掃、ゴミ捨て、印刷室の用紙補充等)をやっていただけるとありがたい。現状、それらの清掃は教員が輪番で行っていたり、有志が早朝勤務で行っている。【中学校・教員】
生徒、保護者をいろいろな人間で対応できるのであれば、生徒にとっても良いのかなと思います。また、部活動をお願いしたいです。高校教員ですが、生徒が悩み事で授業等にでれないことが多数あり、空き時間が生徒対応でなくなります。生徒の人数が多いと対応しきれませんでの、カウンセラーの常駐のような形でお願いしたいです。【高等学校・教員】
スクールサポートスタッフに「ぜひ頼みたい」「できれば頼みたい」業務として多かったのは、「学校行事の準備及び後片付けの補助(90%)」「学習プリントや配布物等の印刷、配布準備(89%)」「文書収受や封入作業(88%)」「校内の環境整備(掃除・修理・緑化美化等)(85%)」「各種データ入力作業(78%)」など事務作業や環境整備に関わる業務でした。
「給食に関する業務補助(81%)」「職員室での電話受けやインターホン対応(80%)」「教室に入りづらい児童・生徒の別室対応(61%)」「授業中の児童・生徒のサポート(57%)」「保護者への電話かけ(連絡なし欠席や早退の際など)(55%)」などの業務は、実際にはスクールサポートスタッフが担っているケースは2割ほどでしたが、「ぜひ頼みたい」「できれば頼みたい」と考えている教職員は回答者の半数以上にのぼりました。
設問5 SSSが教員の業務支援をする上での難しさは?
Q5-1. 【教員向け】スクールサポートスタッフが教員の業務支援をするうえでの難しさについてお聞きします。以下の文章にどの程度同意しますか?
Q5-2. 【教員向け】上記のほかにスクールサポートスタッフが教員の業務支援をするうえでの難しさがあれば記入してください(任意)
SSSのスキルに差がある
何が出来て何ができないのかを周知してほしい。不明確なため、依頼が難しい。【中学校・教員】
各校の配置されている支援員さんの力量、得意不得意がそれぞれ違って、コピーを頼むにも、事細かく指示出して・・・じゃないとできない方、最低限の指示で素晴らしい出来に仕上げてくれる方等々、しばらく様子を見ないわからないところもあり、難しい。【小学校・教員】
以前は、学校に勤務するのが初めての方だったので、採点業務や教材準備などは、説明することが難しく、主に清掃や事務作業のお手伝い中心だった。現在は、退職教員の方(過去に本校勤務)がSSSのため、丸付けや教材準備も、簡単な説明で済むので、お願いしやすい環境になった。ただ、短時間勤務で、給与面でも十分な物ではない事も、気を遣う点の一つになっている。【小学校・教員】
プリント作成(集金のお知らせなど)をお願いした場合、ミスがないかのチェックが必要である。スクールサポートスタッフの方によってはパソコン作業が不得意だったりすると、やり直すこともあり、「結局自分でした方が…」となる。来ていただいているスクールサポートスタッフの方の良さが活かせる仕事にすれば業務改善にもつながるが、その「良さ」が現場が求めているものと違う場合、仕事が頼みにくいこともある。【小学校・教員】
SSSの勤務時間が短い
SSSの勤務時間が午後3時半までなので、頼みたい時にいない。あと週4勤務なので、休みの日には依頼できない。【小学校・教員】
学校に1人で、半日勤務のため、全校の学級がサポートを頼むことができない。せめて、学年部に1人配置してほしいと強く思う。【小学校・教員】
教師の数に対してスクールサポートスタッフの数がとても少ないので労力が非常に限られている。そのため頼める業務も限定的になる。また、勤務時間も児童がいる時間に限られているので、教師が事務作業や授業準備をする時間にはいないため、作業のサポートをしてもらうという事もあてにできない。【小学校・教員】
依頼できる業務が限定されている
副校長によっては、購入したテストの採点を頼んではいけないと言ってきた。【小学校・教員】
授業への入り込み、という形に限定されている(思い込んでいる?)ように思います。【小学校・教員】
神奈川県の高等学校の業務アシスタントは、生徒に関わる業務をやってはいけないことになっている。【高等学校・教員】
依頼する暇がないほど業務量が多い
自分自身(教員)が忙しく、印刷や採点の説明をする時間が惜しくて依頼せずに諦めてしまうことがありました。【小学校・教員】
依頼する時間とエネルギーがない。依頼内容の説明をしている暇もないくらい忙しいから採用しているのだと思う。教員が担うべきでないような仕事は主に定時のあとに行われる。当然スタッフは退勤後。つまり仕事が減らない限り、スタッフの方も気まずい状態で日中居続けることになる。【高等学校・教員】
スクールサポートスタッフも含めて、自分のもっていた仕事を他の人にお願いするとなると、ある程度前もってお願いする必要があると思うが、そもそも忙しくて、明日の準備も間に合っていない、ということも多く、結局お願いできそうなプリント印刷のような仕事も、使う前日の勤務時間後に急いで印刷している、という状況です。そもそもの教職員の人手が増えると、サポートスタッフの方にももっと効率的に働いていただけると思います。【中学校・教員】
業務を依頼することに心理的な抵抗がある
教員は仕事を他の人に振ることになれていない。「こんなこと頼んでいいのか?」と考えてしまう人が多いのでSSSをいかしきれていない。【小学校・教員】
こちらの意図がきちんと伝わるか、汲んでくれるかが不安で、結局自分、または周囲の教員に頼むようにしてしまってる。【中学校・教員】
SSSが業務を遂行するための環境が整っていない
教職員PCが配当されていないと、データの直接印刷を依頼しにくい。【中学校・教員】
まとめ
スクールサポートスタッフが担っている業務は、配布物の印刷や校内の環境整備、給食に関する業務補助や児童・生徒への対応など、多岐に渡ることがわかりました。一方で、「スクールサポートスタッフに依頼したい」と思いつつも、さまざまな理由で依頼することが難しい現状があることも、回答から見えてきました。
特に、依頼していい業務なのかが不明瞭であることから、依頼を躊躇するケースが多いようです。自由記述からは、スクールサポートスタッフのスキルに差があり、「依頼業務について説明することが難しい」「依頼した業務を自分でやり直すこともある」という意見もありました。また、普段の業務量の多さから「依頼する時間とエネルギーがない」という現状もあるようです。
これから全国に広がっていく、スクールサポートスタッフの配置。教員の業務負担を減らすことで、児童生徒の指導や教材研究等に注力できる体制につながることを願います。
▼ 自由記述の回答一覧は、以下よりダウンロードしてご覧ください。 ▼
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メガホン編集部