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【教職員アンケート結果】教師不足解消に向けた実態調査(2022年度当初ver)

  • メガホン編集部

今、日本の学校には先生が足りていません。学級担任の不在によって不安な思いをしている小学生、専門ではない教科の先生から教わる中学生、高校生がたくさんいます。

2021年度に文科省による調査で明らかになった教員の不足数は、全国で2558人。しかし、この数字には「そんなはずない」「もっと多いはず」との現場や保護者の声が多く聞かれます。2022年度からは小学校で35人学級がスタートし、地域によっては更なる教員不足が起こることも心配されます。

「担任が配置できない」「教科の先生がいない」「育休の代わりの先生が見つからない」この状況は、教員の働き方はもちろん、子どもたちにも影響が出る大きな問題です。

本サイト「メガホン」を運営するNPO法人School Voice Project では、学校業務改善アドバイザーの妹尾昌俊さん、教育行政学の研究者である末冨芳さんとともに、「#教員不足をなくそう緊急アクション」を立ち上げました。子どもたちのために、教員不足を一刻も早く改善するための活動です。

教員不足の実態について、副校長・教頭、教職員、保護者の三者に、学校現場で起こっていることや教員不足に対する意見を聞きました。

アンケートの概要

■実施期間:2022年4月26日(火)〜2022年5月22日(日)

<教職員向けアンケート調査>
■対象  :全国の小〜高校年齢の児童生徒が通う一条校に勤務する教職員
■実施方法:主にSNSを通じて協力者を募集し、ネット上で回収
■回答数 :1052件

<副校長、教頭向けアンケート調査>
■対象  :全国の小中学校年齢の児童生徒が通う一条校に勤務する副校長、教頭
■実施方法:全国公立学校教頭会の協力を得て、会員へメール案内し、ネット上で回収
■回答数 :1070件

<保護者向けアンケート調査>
■対象  :全国の小〜高校年齢の子どもを持つ保護者
■実施方法:主にSNSを通じて協力者を募集し、ネット上で回収
■回答数 :85件

結果を読む際に、ご留意いただきたいこと

  • 任意の調査であるため、教員不足で困っている人ほど、回答しやすい傾向があると考えられます。そのため、現実よりも教員不足の実態が過大に出ている可能性が高いと予想されます。
  • 副校長・教頭向けアンケートでは、地域や校種に一定の偏りがあります。兵庫県(19.2%)、茨城県(11.8%)、熊本県(8.7%)で多くの回答が集まりました。28都道府県から協力を得られましたが、19府県からの回答はありませんでした。
  • 教職員向けアンケートでは、公立の小、中、高、特別支援学校を中心に集計しました。義務教育学校、中等教育学校、国立附属学校は回答数が少なかったため、集計には含めていません(自由記入には含めています)。特別支援学校は回答数が少なかったため、参考値扱いとしています。私立学校については校種別にせず、私立学校というカテゴリーで一部集計に含めました。

アンケート結果

教員不足の発生状況

副校長・教頭向けアンケートでは、2021年度に年度を通じて一度でも教員が不足したことがある小中学校は約4割。2022年度始業式時点では約2割の小中学校で教員不足が発生していると回答しました。その後、4月28日時点でも教員不足の状況は改善されていないことがわかりました。

副校長・教頭向けアンケート

副校長・教頭向けアンケートでは、教員不足が起きている学校数を母数とした場合、小学校の約76%、中学校の約66%で教員の不足数は「1人」と回答しました。次いで多かったのが「2人」で、中には3人以上の教員が足りないケースもあるようです。

副校長・教頭向けアンケート

教職員向けアンケートでは、高校においては約3割が2人不足、約1割が3人以上不足していると回答しました。特別支援学校はもともと教員数が多いものの、約2割が5人以上不足していると回答しました。

教職員向けアンケート

教職員向けアンケートでは、2021年度に年度を通じて一度でも教員が不足したことがある学校は約6割。2022年度始業式時点では約4割の学校で教員不足が発生していると回答しました。その後、4月28日時点でも教員不足の状況は改善されていないことがわかりました。

教職員向けアンケート

教員が不足している場合の対応としては、小学校では管理職が担任業務を兼務するケースがあるようです。中学校では臨時免許を発行して対応したり、中には授業が実施できない教科もあるようです。

副校長・教頭向けアンケート

教員不足の影響

教員が不足することで懸念されることとして、「児童生徒が不安に思う」に対して「おおいにそう思う」と回答したのは、小中学校ともに7割を超えていました。次いで多かったのは、教科等の専門性が高くない教員や学級経営力が高くない教員が教えることによる「授業の質の低下」。選択肢に対して「おおいにそう思う」と回答したのは小中学校ともに半数を超えていました。

副校長・教頭向けアンケート
副校長・教頭向けアンケート(4月28日時点で教員不足が起きている学校のみ集計)

小中学校ともに、約65%の教頭が「講師の質を評価して選んでいられる状況ではない」と回答しました。この状況は、授業の質への不安とも関連していると考えられます。

副校長・教頭向けアンケート

 教員不足が起こることで、教職員が受け持つ授業時間数が増えたり、校務分掌や児童生徒への指導などで負担が増えたりすることを懸念する声が多く集まりました。

副校長・教頭向けアンケート
副校長・教頭向けアンケート(4月28日時点で教員不足が起きている学校のみ集計)

「出産や育児、介護と仕事との両立を応援しづらい雰囲気が職場にできる」と回答した人は約7割でした。

副校長・教頭向けアンケート
副校長・教頭向けアンケート(4月28日時点で教員不足が起きている学校のみ集計)

講師探しについては、約半数の小中学校の副校長、教頭が「校長、教頭らが人脈等と通じて独自に探すが、なかなか見つからないため負担は大きい」と回答しました。

副校長・教頭向けアンケート

今後の見通し

約3〜4割の教職員が、「定年が延長されても働かない予定」と回答しました。定年の延長は2023年度から順次実施されますが、教員の不足解消の切り札となるかには疑問が残ります。

教職員向けアンケート

副校長、教頭においては、「定年が延長されても働かない予定」と回答したのは約1〜2割でした。

副校長・教頭向けアンケート

小〜高校の約15%の教職員が「現在、離職・転職を考えている」と回答しました。「3年以内に離職・転職する可能性がある」と回答した数を含めると、約6割に上ります。

教職員向けアンケート

離職や転職を考える理由として最も多いのが「勤務時間(忙しさ)」で7割を超えていました。次いで多かったのが「給料」でしたが、その数は3割程度。「勤務時間(忙しさ)」を選択肢した人が圧倒的に多いことがわかります。

教職員向けアンケート

1年以内に離職・転職する可能性がある人のみに同様の質問をしたところ、「勤務時間(忙しさ)」と「給料」が理由として多いことに変わりはありませんでした。その他、「保護者との関係」や「職場の人間関係」、「教職員間でのハラスメント」なども一定数の回答が集まりました。

教職員向けアンケート

副校長・教頭向けアンケートでは、「現在、離職・転職を考えている」と回答した人はごくわずかでした。「3年以内に離職・転職する可能性がある」と回答した人は、約15%でした。

次のページでは、「求められる政策・支援策」「当事者の声」を紹介します。

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教職員アンケート結果まとめ

WEBアンケートサイト「フキダシ」で実施し、公表した教職員向けのアンケート結果を掲載しています。また、アンケート結果を元にトークをしている「メガホンRadio」や「メガホンChannel(Youtube)」もまとめていきます。

#教員不足をなくそう

今、日本の学校には先生が足りていません。4月に学級担任が不在のクラスもあり、不安な思いをしている小学生たちがいます。専門ではない教科の先生から教わる中学生、高校生らもたくさんいます。しかも、今年度から来年度にかけて、教員不足はいっそう深刻になっていく可能性が高い状況です。

NPO法人 School Voice Project では、学校現場に関わってきた学校業務改善アドバイザーの妹尾昌俊さん、教育政策を専門とする研究者である末冨芳さんと協力して、【#教員不足をなくそう!緊急アクション】を立ち上げ、アンケート実施や政策提言活動を行なっています。

このカテゴリでは、教員不足の実態に関する記事や、解消に向けたさまざまな取り組み、【#教員不足をなくそう!緊急アクション】として実施したイベントのレポートなどを掲載していきます。

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メガホン編集部

NPO法人School Voice Project のメンバーが、プロやアマチュアのライターの方の力を借りながら、学校をもっとよくするためのさまざまな情報をお届けしていきます。 目指しているのは、「教職員が共感でき、元気になれるメディア」「学校の外の人が学校を応援したくなるメディア」です。

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