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【教職員アンケート結果】異動って大変…。どうなればいい?

  • メガホン編集部

“異動”は、公立学校の教職員にとって、仕事にもプライベートにも非常に大きな影響のあるイベントです。

今年1月〜2月にフキダシで実施した「異動の公表時期について」のアンケートでは、「児童生徒や保護者に異動が公表できない」などの声と同時に、異動のシステムそのものへの不満や思いが多く集まりました。

 異動時にどのようなサポートや制度があれば、学校がより働きやすい場になるでしょうか。教職員の方の声を聞きました。

アンケートの概要

School Voice Project では、WEBアンケートサイト「フキダシ」に登録する教職員の方を対象に、新年度の異動についてアンケートを取りました。

■対象:全国の小〜高校年齢の児童生徒が通う一条校に勤務する教職員
■実施期間:2022年5月20日(金)〜2022年6月13日(月)
■実施方法:インターネット調査(実施時の設問はこちら
■回答数:61件

アンケート結果

設問1 異動のときに困った・辛いと感じたことは?

Q. 異動の際に、異動に伴って生じた事柄で、困った・辛いと感じたことを選択してください。(複数選択可)

全体の6割以上の方が、「業務内容の変化」や「業務方法の変化」、「引き継ぎ」について困った、もしくはつらいと感じた経験があることがわかりました。校種別に見ると、「引き継ぎ」を選択した教職員は、高等学校では約3割でしたが、小学校と中学校では7割を超えていました。

「管理職との関係」を選択した方は、中学校と高等学校では1〜2割でしたが、小学校では約3割でした。

「転居」を選択した方は、全体の2〜3割。地域別に見ると、北海道では全員(4人中4人)、大阪では1割弱(14人中1人)の方が選択しており、地域による差が大きいことが伺えます。また、男女別に見ると、女性より男性の方が「転居」を選択した方が多くいました。

設問2・設問5 困った・辛いことの詳細と解決策は?

【設問2】上記のうち、特に困った・辛いと感じたことがあれば詳細を教えてください。

【設問5】異動する教員や、異動してきた教員をサポートするために、各学校(職員室)や各自治体(市町村・都道府県)でどのような工夫・制度があると良いと思いますか。

※ 設問2と設問5の回答をカテゴリ分けした上で、「困った・つらいと感じたこと」に対応するように「工夫・制度」を記載しています。

< 学校によって文化やルールが違う >

同じ市内での異動でも、学校によって行事の取り組み方や日課も様々。知らない用語の世界にやってきた感覚だった。【小学校・教員】

学校ごとによって資料のプラットフォームが異なるため、以前の学校の書式が使えず一から作り直しで残業の基である。【特別支援学校・教員】

< 校務のシステムややり方を統一してほしい >

自治体が同じでも学校ごとにやり方がバラバラすぎるので統一できることは統一する【小学校・教員】

成績処理のシステムは少なくとも採用自治体内で統一すべきです。異動のたびに新たに覚えないといけないのは負担が大きいです。【高等学校・教員】


< 十分な業務の引き継ぎがない >

特に困ったのは、前年度の分掌担当が異動または退職でいなかったこと。誰も教えてくれない中でやっていくのはつらかった。【小学校・教員】

自分ではありませんが、特に特別支援学級の先生たちは個別の引き継ぎが大変そうです。何度も新旧の先生お2人が休日出勤して、丁寧に引き継ぎされてました。【小学校・教員】

< 職場の荷物移動が大変 >

私物が多いので、荷物の移動は非常に大変です。自家用車があればいいのですが、所有していないので、誰か同僚に頼むしかありません。また、荷物を新しい学校に移動させるのは、年度が変わってからというルールがあるので、早めに移動できないのもつらいなと思います。【小学校・教員】

< 準備できる期間を伸ばしてほしい >

異動のあるなしに関わらず、春休み期間がもっと長ければよいと思う。春休みは3月20日から、新年度は4月10日以降になるとよいと思う。【小学校・教員】

とにかく辞令を(内示でもいいので)少なくとも1ヶ月前にはほしい。【中学校・職員】

異動の内示が早く出ること。3月15日頃に知って、2週間程度はゆとりがほしい。【高等学校/高等専門学校・教員】

< 引き継ぎの体制を整えてほしい >

教具等、物の置き場所が分かる地図のようなものがあると助かる。職員会議で例年通り進めたい場合、「例年通り」が具体的にどういうことなのか明記してほしい。【小学校・教員】

校務分掌等の前任者はA4一枚程度でもいいのでやることがわかる引継書を作る。今年度の反省をしたら次年度の仮計画を作って保存しておく。【小学校・教員】

特別な工夫は分かりませんが、年度当初の忙しさで異動してきた先生をサポートしきれていない部分があります。全体的に業務に余裕ができれば、サポートもできるようになるのではないでしょうか。【高等学校・教員】


< 本人の希望が反映されない >

自分の希望しない地域に異動することが多いので、ライフプランが立てにくい。【小学校・教員】

北海道は、異動範囲が広く、かつ各地区にまんべんなく異動する方針が定められている。しかし家を建てている教員は、その家から通うことができる異動が優遇される一方持ち家のない教員は、どこでも異動しやすい人材として広範囲に異動させられるという実態がある。【小学校・校長】

過去の校長からのパワハラで精神を病んだが、在任中に自分が異動希望してもできなかった。【中学校・教員】

一般校から特別支援学校への転勤は本当に何もわからないし、自己実現とかけ離れていてモチベーションを上げるのに苦労し続けています。【特別支援学校・教頭】

< 引き受け手のない業務を任される >

初任で新規立ち上げの特別支援学級担任になりました。障害も重く、重複障害児でつらい。押し付け人事だと思った。【小学校・教員】初任で新規立ち上げの特別支援学級担任になりました。障害も重く、重複障害児でつらい。押し付け人事だと思った。【小学校・教員】

担当を任された学年が、学級崩壊を起こしていた学年でした。誰も希望しなかったから転勤してきた何も知らない私に任せ、私も学級崩壊して休職するまで追い込まれた。【小学校・教員】

異動の際、新しい職場では高確率でいわゆる引き受け手のない業務を任されます。具体的には、指導の難しいクラス担任や、忙しい部活動の顧問・分掌等です。【高等学校・教員】

< 転居の負担が大きい >

管理職なので、2〜3年単位で異動がある。施設管理も義務付けられているので、学校付近の教員住宅に住まなければならない。住宅は古く、暖房やエアコンがなく、自費で負担せざるをえなかったことも多々ある。引き継ぎの上に引越しもあり、大変つらい。勤務校のそばに住むことを義務付けるのなら、せめて住宅は快適に整えて欲しい。また、何十軒も手土産を持っての挨拶回りがあり、経済的、時間的な負担が更に増す。【小学校/中学校・校長】

郡部なので引っ越し業者も限られ、異動時期は業者の取り合いになるため引っ越しがスムーズに行えない。原則、異動を4月1日以降に行わないといけないので、時期をずらすことも難しく、それが業者手配の難しさに拍車をかけている。【中学校・教員】

< 本人の希望や適性に配慮した人事にしてほしい >

異動希望を書いても、その希望が叶ったことは一度もありません。なぜその学校に異動になったのか、そこでどんなことを期待されているのか、校長なり教育委員会なりがきちんと説明してくれると、不安のある異動にも期待がもてるように思います。【小学校・教員】

いい加減に異動希望を通してほしい。自宅のある郡市への異動希望を10年以上出し続けているが、全然通らないのが最大のストレスかつ苦痛。【中学校・教員】

なぜその学校に配属されたのか。その学校で自分は何を求められているのかが分かれば役割がスムーズに理解できる。【中学校・教員】


< 通勤時間が長くなった >

通勤時間がどんどん長くなり、片道1時間半が当たり前になっている。持ち家だとわかっていて転居が難しいのだから、わざわざ遠くの学校にしないで欲しい。毎日のことなので、体力的にも精神的にもつらいです。【小学校・教員】

持ち家にも関わらず、往復3.5時間の通勤時間の場所に赴任させられ非常に困った。【高等学校・教員】

< 通勤時間を考慮して異動先を決めてほしい >

業務が多いのだから、片道30分以内で異動させて欲しい。小さい子どもがいても1時間もかかるのでは、仕事を辞めざるを得ない人が多くて当然だと思う。【小学校・教員】

通勤時間が必ず1時間以内になるように配慮してほしい。高校で休日の部活動を引き続き無理強いさせるのであれば、異動先の部活動担当を異動先決定前に確定させ、本人の許容範囲に収まることを相互に確認してから異動を決定してほしい。間違っても異動してから、希望に反して家庭が崩壊するような部活動を無理強いさせられることがないようにしてほしい。【高等学校・教員】


困った、もしくはつらかった経験として最も多くあがっていたのは、「学校によって文化やルールが違う」という内容でした。それに対しては、「校務のシステムややり方を統一してほしい」という意見が多く集まりました。十分な引き継ぎのなさや勤務校への荷物移動への負担もあり、新年度を迎えるまでの準備期間の確保を訴える声もありました。

また、教員自身のライフステージや希望が考慮されずに勤務校や担当業務の内容が決まることがあり、それによって、モチベーションの低下やストレスの増加を感じているという意見もありました。

設問3 異動のときに助かった・ありがたかったことは?

Q. 異動の際に、異動に伴って生じた事柄で、助かった・ありがたかったことを選択してください。

「この中にはない」を選択した24人の中でコメントを書いているのは6人で、「異動でよかったことはない」という内容を書いている人は5人でした。「管理職との関係」を選択した方は、中学校と高等学校では約3割でしたが、小学校では約1割でした。男女別に見ると、男性の方が管理職との関係で、助かった、もしくはありがたかったと感じた経験が多いようです。

設問4 助かった・ありがたかったことの詳細は?

Q. 上記のうち、特に助かった・ありがたかったことがあれば詳細を教えてください。

< 同僚が優しくしてくれた >

以前の学校で同じ学年を担当した同僚がいたため、何でも聞くことができた。【小学校・教員】

声をかけてもらうことで少しずつ馴染んでいったように思います。職場のみんなで野球観戦に行くなど、仕事以外で楽しい時間を過ごせたことも距離が縮まるいい機会でした。【小学校・教員】

温かく迎えることを大事にしている学校で、「★★先生、ようこそ○○小学校へ」という手作りプレートが職員室の各テーブルに置かれていたり、靴箱やロッカーに紙花が飾られていたりしたのが嬉しかったです。とにかく笑顔で迎えてくれることが、一番緊張をほぐしてくれますね。【小学校・教員】

ミスを責める雰囲気がなく、助け合う雰囲気の職場に移れて、ハッピー。【高等学校・教員】

いきなり途中の学年の担任に入ったので、他の学年団の先生は優しくしてくれました。【高等学校・教員】

< 力を発揮できる業務を任せてもらえた >

元々知っている先生が居たのもあったのか、前任校と近い校務分掌の担当になっていたのはありがたかった。【小学校・教員】

ある程度経験を積んだ上での移動だったので、方針や取り組みについてはかなり権限移譲してもらい、仕事をすることができました。学校全体の流れに関わる仕事も異動してすぐに任せてもらえたので、やりがいはとてもありました。【中学校・教員】

希望する学科のある学校に転勤できたことで、自分の得意な力を発揮できるようになったことは助かりました。【高等学校・教員】

< 仕事をしやすいように配慮してくれた >

異動したばかりで、よくわからない時期は、仕事の負担を軽くしてもらいました。【小学校・教員】



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NPO法人School Voice Project のメンバーが、プロやアマチュアのライターの方の力を借りながら、学校をもっとよくするためのさまざまな情報をお届けしていきます。 目指しているのは、「教職員が共感でき、元気になれるメディア」「学校の外の人が学校を応援したくなるメディア」です。

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