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【教職員アンケート結果】東京パラリンピックでの「学校連携観戦プログラム」の実施について

  • メガホン編集部

8月25日から競技が始まった東京パラリンピックでは、「学校連携観戦プログラム」による児童生徒の観戦が始まりました。

学校連携観戦プログラムとは、「自治体や学校単位でチケットを購入してもらい、次世代を担う若者に、より多く会場にきてもらうことを目的とした事業」です。対象となる地域は、競技会場のある東京、千葉、埼玉、静岡の4都県。

東京オリンピック・パラリンピックの観戦には当初、学校連携観戦プログラムを利用して81万人が参加を希望していましたが、新型コロナウイルス感染拡大等により、観戦を中止する自治体が相次いでいます。

パラ「学校連携観戦プログラム」参加は4万人 中止相次ぎ17万人から激減 – 五輪一般 – 東京2020パラリンピック : 日刊スポーツwww.nikkansports.com

東京パラ 学校連携観戦 参加自治体詳細 保護者ら戸惑いの声も | NHK【NHK】www.nhk.or.jp


8月18日には、東京都の教育庁から「現場から『見たい』という強い要望が寄せられている」などの理由で学校連携観戦プログラムの実施を前提に準備を進める考えが示されました。

東京パラ “学校観戦”に都教委反対 教育庁は実施前提に準備 | NHKニュースwww3.nhk.or.jp


参加する学校の多くは、貸し切りバスを使って会場まで移動する計画を立てています。東京都においては、児童生徒を専用バスに乗せて学校と競技会場を往復することがわかっています。

パラ学校連携の参加「10万人台」 開会式にバッハ氏も:朝日新聞デジタルwww.asahi.com

【独自】パラ学校観戦、都が専用送迎バス…直行直帰で感染防止 : 東京パラリンピック2020速報 : オリンピック・パラリンピックwww.yomiuri.co.jp

アンケートの概要

School Voice Project では、WEBアンケートサイト「フキダシ」に登録する教職員の方を対象に学校連携観戦プログラム実施の賛否についてアンケートを取りました。

■対象  :全国の小〜高校年齢の児童生徒が通う一条校に勤務する教職員
■実施期間:2021年8月15日(日)〜8月22日(日)
■実施方法:インターネット調査
■回答数 :101件
■回答者の属性:学校連携観戦プログラム実施地域 29名(東京20名、千葉4名、埼玉4名、静岡1名)、学校連携観戦プログラム実施地域外 72名

アンケート結果

設問 「学校連携観戦プログラム」の実施、賛成? 反対?

全体の賛否割合
賛成       :2%(2人)
反対       :82.2%(83人)
どちらとも言えない:15.8%(16人)

学校連携観戦プログラム実施地域の賛否割合
賛成       :0%(0人)
反対       :93.1%(27人)
どちらとも言えない:6.9%(2人)

「賛成」の主な理由

十分な感染対策はなされている。大人の側は責任逃れでやらないことより、やるための努力が大事。

移動はバスを利用する。引率教員には特別手当を支給する。観戦する座席間隔を取る。引率教員はワクチン接種済みである。引率教員の希望者が必要数に達しない場合は参加しない。私がもし引率教員ならこの条件が守られる前提で、子どもたちに貴重な経験をさせてあげたいので、実施すべきと考えました。

「反対」の主な理由

1.児童生徒の命と安全を守ることが優先

コロナはもちろん、熱中症、テロなどリスクが高く、子供の安全が守れない。直接観戦する以外にも、オリパラを活用する方法はたくさんある。(東京)

もともと炎天下での学校観戦には、児童生徒の体調管理が難しいことから反対であった。その上今はコロナの感染状況が日々悪化し、医療体制も逼迫しているため。(東京)

感染症拡大防止。子どもたちを通じて、予防接種未接種の親に拡がったり、また逆も。引率職員も年齢的に希望していてもまだ未接種の方が多い現状。(埼玉)

感染爆発の時期に実施することではない。観戦のための引率オペレーションについても、お粗末なシミュレーションしかなされていないようだ。この状況では児童・生徒の安全を確保できないと考える。(東京)

自分の友人もパラリンピック選手として大会に参加します。選手には感染症対策を講じた中で競技してほしいですし、応援もしています。しかし、私たち教師は子供たちの安全(命)を守ることが最優先だと考えているので、メディアを通しての観戦が最適かと考えます。(埼玉)

​教育的な効果があることは否定しないが,実施することによるリスクが高すぎる。オリンピックは平和の祭典であり,緊急事態宣言の中,実施しなくてもよいと思っていた。子供を巻き込むのはパラリンピックのみを中止にできない国の思惑にしか思えない。​(千葉)

勤務区では送迎のためバスを利用します。4クラスの学年を3台のバスに詰め込むようです。無症状感染者がいるとして、個人的にはバス乗車中が最も感染のおそれが高いと考えています。生徒同士話をさせないためにも、1台の上限を20人にすることも考えられない自治体の判断で、実施すべきとは考えられません。(東京)

感染者の増加。現在は夏休み中ということで学校クラスターはほぼ起きていないが、代わりに学童保育や子供会行事でのクラスターが起こっている。家庭で感染した児童が、適切に体調管理されずに学校に出てくるケースはこれまでもある。観戦はオンラインやテレビで十分である。(対象地域外)※以下、記載なしは対象地域外

貴重な機会ではあると思う。しかし、感染症に対して明確な根拠ある安全策が取られているように感じない。その中で学校に観戦を促し、児童や学校の意向を踏まえないまま実施することには強制的な動員にさえ感じる。観戦より、生命身体の安全と学校の教育活動の安定した実施を優先したい。

感染が拡大しており、安全に観戦できると思わない。デルタ株では学齢期の子どもでも重症化のリスクがある。また、今年は猛暑であり、熱中症の危険もあるが、緊急時に受け入れてくれる病院もないので。

パラリンピックを直接観戦できることの教育的意義は理解できるが、いまはそれ以上に命の問題としてのコロナウィルス感染防止の問題が優先されるべきであると考えます。パラリンピックを直接観戦できなくとも、実際に日本で行われていることでLive中継を見るなどの方法も取り得ると考えます。あれも大事、これも大事ではなく、何を最優先すべきなのか明確にする必要があると考えます。

2.指導の矛盾による児童生徒の混乱

自粛をすることを課している状況で、それに反する行動は子供達が混乱し、自粛の緩和方向はつながりかねない。(東京)

この非常時に、祭典ともいえるパラリンピックに連れて行くとことは、生徒にその意義を説明できない。(千葉)

学校で行ってきた外出自粛や大人数との接触を避ける指導を、否定することになるから。

新型コロナウイルス感染症対策で人流を減らすという政府の方針に反するから。何が不要で不急なのかについて混乱すると思う。観戦するならメディアを通して行えばよい。

外出=感染のリスクが高まるから。これだけ毎日ステイホームと言っている中、国は言っていることとやろうとしていることが矛盾している。強行するならば、万一、これにより一人でも感染者が出た場合、だれがどう責任をとるのかはっきり示してほしい。

新型コロナウィルス感染症予防対策と相反します。今まで通りの学校生活も送れず、マスクもしているのに、この時期にパラリンピックを観戦する意味がわかりません。

関東地域の感染拡大状況、医療逼迫状況を考えると適切でないと思う。参加は各校、または個人の任意で行われるものであるべき。教育効果は高いかもしれないが、命のリスクを犯してまで行うのは、良くないと思う。

コロナ対策で学校行事に制約がかかる中で、どう考えてもおかしい。

やはり感染者拡大を防ぐには、なるべく密を避ける必要がある。学校でも密を避けるために、様々な感染症対策に追われているのに、あえて人を集めるような行為はおかしいと思う。現場の気持ちも考えて欲しい。

3.準備・当日・感染が起こった場合の学校の負担が大きい

学校への負担が大きすぎる。そもそも2020年度開催予定が延期され、それに伴う学校へのフォローが何もなかった。アンケートの集約、生徒保護者への説明も学校側で工夫して行ったにも関わらず、何の連絡もなかったため、不信感を持っている。(東京)

夏休み中であるため、参加不参加の確認が取りづらい。(埼玉)

勤務時間内に業務が終わらずに、残業せざるを得ない現状の中、プラスして行う行事ではないと思います。(東京)

全児童生徒を引率して、全員がキチンと観戦できると思えない。その際の引率者の気苦労は計り知れない(東京)

コロナ感染が拡大している中、やるべきではない。また、落ち着いていたとしても、夏休み中や休み明けすぐに行くことになるので児童や保護者への連絡など、急な対応になるので不可能。(東京)

現在コロナ禍で、学校行事や授業だけでも大変なのに、直前まで(実施できるかどうかが)わからない校外学習は入れる必要がない。参加させたくない保護者への対応なども現場対応となる可能性もある。教育活動に制限があるままなのに、こういうものだけOKということ自体が納得いかない。

もしオリンピック観戦を機にクラスターが発生した場合、責任は現場である各校が取らなければならない可能性が濃厚。

感染対策を最優先にしてほしい。引率する教員や学校体制に対して、政府は無関心すぎる。

観戦への教育的価値などは理解できるものだが、保護者の不安等への対応は現場任せであり、現場の負担が増えるだけだから。

4.各家庭に判断を委ねることの難しさ

学校行事にすると、同調圧力で、感染に不安がある人、行きたくない人も黙って行かざるを得ない。(東京)

各家庭で行きたくないと判断したとしても、やはり同調圧力はあると思うし、半強制的な参加になりそう。コロナ新規感染者が増えまくってるこの時期に、行政側が観戦できると判断をすることが不思議。

家庭ごとでコロナ対策への思いは違いがあるので、それが明確になってしまうと、子どもたちが分断されてしまわないか気になる。

5.そもそもパラリンピック開催自体が疑問

子どもたちの動機も醸成できていないし、さらにコロナへの心配が、コロナ問題発生以来最大級の不安な状態の中、政府や都などが煽動で行うことは怖さしか感じない。チケットを各家庭に希望者のみに配布し、保護者の監督の下、行くならまだましかもしれない。(その場合、不平等が生じる事は当然あるが)そして、そのような事を各校に任せることにも、恐ろしさを感じる。選手たち同様のバブル方式など、納得いく準備もない中、子ども達を行かせること、それを学校の裁量や各担任に現場を任せることなど、あり得ない。オリンピックが無観客でやって、多くは文句は出なかったと思う。それをパラでもやればいいと思うし、そもそも、オリンピック以降の感染拡大を鑑み、パラの開催の可否について議論した方がいいのではと思う。やること前提が怖い。

そもそも、オリンピック・パラリンピック開催に反対です。それらの予算を子どもの貧困対策やひとり親世帯の支援、青少年の居場所づくり事業、障がいのある生徒の学習支援を充実させるための人件費、若者の就労支援などに使ってほしいと考えるからです。さらに、現在の新型コロナウィルス感染拡大による医療崩壊の現状を踏まえると、学校では集団での学習活動が制限されているにもかかわらず、なぜパラリンピック観戦については教育的効果が強調されるのか、違和感しかありません。

6.パラリンピック観戦の教育的効果への疑問

子ども達からの要望であればいいが、感染が拡大している中で、子ども達側に目的も無いまま観覧させる意味は無いと思う。

自国でのパラリンピックの開催によって、様々な学びになるメリットはあると思う。一方で、障がいに対する理解や、多文化共生の中で様々な感じ方があることが尊重できるのかなど、疑問が多いから。

オリンピックや国体などは、国威発揚などの世論形成に使われる傾向が強く、異論を排除しがしちです。集団の規律を押し付けることなく、スポーツを楽しんだり、障害のある方への理解を深めるという十分な配慮が必要と思われますが、それが出来ているとは思えません。

ほぼ強制的に参加させることによってパラリンピックやハンデを持つ人たちへの偏見が生まれそう。

コロナ禍で、さまざまな学校行事が精選される状況であること。障害者理解の教育はなされるべきだが、パラを特別扱いすることに疑問を感じる。

パラリンピックという障害を持つアスリートの競技なら観戦意義があるみたいな安易さはどうかと思う。

7.大人の都合に児童生徒を巻き込んでいるのでは

本校の校長は、このプログラムを熱心に展開しようとしており、直接教室に来てまで参加者を募っている。コロナ禍において、そのような行動は、生徒のみならず同行する教員の健康を脅かしている。またこの校長の行動には、何らかの政治的な力が働いているのかもしれない。(千葉)

そもそも全員引率する意味がわからない(動員数の問題なら利用されていることになる)(東京)

この感染状況の中、外出自粛、人との接触を減らすように国民に呼びかけながら、児童生徒を観戦に参加なんてどう考えてもおかしい。これは教育の名の下の「動員」。それでいて、感染に関しては自己責任。ありえない。

感染予防策を科学的検知で示さない政府には信頼がおけないため。また、パラリンピックでなぜこのようなプランを実施するのか忖度の懸念が拭えない。

そもそも目的と手段が一致していない。動員じゃないんだし、学校と連携する必然性を感じられない。希望者を抽選にして、その方々を受け入れる体制を、オリンピック運営側で考えるべき。人件費タダの教員を使って、子どもたちを会場に連れてくることを考えたとしか思えない。

「どちらとも言えない」の主な理由

林間学校や修学旅行などの判断も揺らぐ中、パラ観戦に対してまだ前向きな考えが及ばない現状であるため。一概に反対はできないが、オンラインやテレビ観戦という手段や、家庭への無償チケット配布など、選択の幅が広がればよいなとは思う。(千葉)

希望者は良いが、全員で必ず行くことは推奨しない。任意参加にすべき。(埼玉)

感動の押し付けになるのではないか、という懸念を感じるから。事前に障害教育をきちんと行った上で、差別的にならないように行わないといけないと思う。

子どもたちにとって心動かされる体験は貴重だが、様々な背景があり感染症に不安を感じる人もいるだろうから。

ウイルス研究の専門家の判断に委ねるべき。政治家、教職員等含め素人が口を出すと何も決められなくなると思います。

対象外地域なので「学校連携感染プログラム」の目的や詳しい内容や実施方法をよく知らないため、子どもの感染リスクを考えれば実際に観戦するのは反対だが、選手を応援したり、競技について知ったりすることは、別の方法で行うこともできるかもしれないので、どちらともいえないとした。

感染拡大の中、健康面の管理の必要の大きいパラリンピックの選手の参加の可否の議論が先(パラリンピックはやらなくていいというわけではない)。また、現在の子どもの感染リスクの程度が分からない。パラリンピックが実施されたなら、親の判断に任せて希望参加にしたらいい。確かに子どもの情操によい影響を与えるものだと思うからだ。参加券は学校で希望者に配布し、保護者の責任で連れて行ってもらったらいいと思う。場合によっては移動のバスを都道府県が手配する。闇雲に不安を煽るのではなく、重症者の割合や、感染のリスクに対する正確な情報を提示してもらった上での判断になると思う。但し、医療は逼迫しているのも事実なので、医療関係者が無理だと判断したのなら、中止にすべきだと思う。医療のキャパは決まっているからだ。優先順位をつけて判断していくしかないと思う。

障害者のスポーツに触れる経験はいいと思うが、移動は教職員、子ども、パラアスリートへのリスクを考えると心配。希望校に専用アカウントでリモート中継するなどの案はどうだろう。ICT活用が生きると思う。

一生懸命取り組んでいる選手のことは、心から応援している。一方で、オリンピックにも見られた通り、スポーツを楽しむことより、スポンサーや選手ではない方の意見が優先されていることが多く見受けられる。集団感染の状況がないからといって、密の状態や、不安に思う生徒がもいる。

まとめ

反対理由の多くには、新型コロナウイルス感染拡大等による健康面へのリスクがあがっており、コロナ禍でなければ観戦に賛成する教職員は多いであろうと推測できます。しかし、中には「パラリンピックの観戦自体が教育的効果のあることなのか」を疑問視する意見もありました。

学校連携観戦プログラムの実施地域(東京・千葉・埼玉・静岡)とそうではない地域では、反対理由の傾向に違いが見られました。実施地域では、「夏休み中に保護者に参加の希望を聞くことの難しさ」や「移動や観戦中に生徒の安全管理をする教員への負担」など、実際の業務に対する声が多く上がっています。一方で実施地域外では、「外出自粛を呼びかける中での観戦は、指導が矛盾しており子どもが混乱する」と、一貫性のなさを指摘する声が目立ちました。

すでにパラリンピックは開幕。直前にも、学校観戦プログラムの実施可否の判断を変更した自治体もありました。感染状況等を踏まえ、学校現場の実情や教職員の懸念・思いを踏まえた意思決定が、各自治体においてなされてほしいと思います。



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メガホン編集部

NPO法人School Voice Project のメンバーが、プロやアマチュアのライターの方の力を借りながら、学校をもっとよくするためのさまざまな情報をお届けしていきます。 目指しているのは、「教職員が共感でき、元気になれるメディア」「学校の外の人が学校を応援したくなるメディア」です。

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