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メガホン – School Voice Project

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学校主催の宿泊・旅行行事(修学旅行、遠足など)での食費や現地交通費がどの程度経費申請できるかは、自治体ごとに大きく異なります。地域によっては「現地での滞在費用は基本的に自分で払っている」「下見はほぼ強制なのに自腹で行っている」という状況も起こっているとのこと。

食費については各自治体ごとに定められた「職員の旅費に関する条例」の記載では支給されることになっていても、実際には自腹になっている例もあるようです。あなたの自治体の実態を教えてください。

※ School Voice Projectでは、「教員の自腹」について下記のアンケートも実施し、アンケート結果を公開しています。本記事と併せてご参照ください。

アンケートの概要

School Voice Project では、WEBアンケートサイト「フキダシ」に登録する教職員の方を対象に、旅行行事での教員負担についてアンケートを取りました。

■対象:全国の小〜高校年齢の児童生徒が通う一条校に勤務する教職員
■実施期間:2022年6月17日(金)〜2022年7月11日(月)
■実施方法:インターネット調査(実施時の設問はこちら
■回答数:69件

アンケート結果

設問1 旅行行事の自己負担項目は?

Q. あなたの勤務する自治体や勤務校について、学校の主催する遠足・校外研修・修学旅行等の行事で「実際にかかっているが経費申請できない(教員の自腹となっている)費用」を選択してください。(複数選択可)

設問2 旅行行事の年間自己負担額は?

Q. 設問1で答えた額は、合計すると1年あたりどの程度になりますか。

設問3 「自腹」の詳細は?

Q. 宿泊・旅行行事における教員の自腹について、勤務校での実態の詳細を教えてください。(任意)

設問2で「自腹はない」を選択した方の主な回答

国立大学附属学校では、教員分の負担はなく、大学に請求することになっているようです。しかし、宿泊学習に伴う手当等が極めて少ない現状です。【大阪府・中学校・教員】

設問2で「年間1,000円未満」を選択した方の主な回答

旅費支給制度はあるが、交通費宿泊費のみ。入館料などは対象外。【埼玉県・小学校・事務職員】

設問2で「年間1,000~4,999円」「年間5,000~9,999円」を選択した方の主な回答

下見の際に発生する費用について

下見は、平日に行けないため休日に行くことになりやすい。管理職には下見に行くことは伝えているが、休日のため対象外と言われる。結果的に交通費・食費は自腹となる。【北海道・小学校・教員】

下見の費用は予算の都合上、1名分なら支給できるが複数名で行くと難しい。すべてを支給するには旅費配当額が足りない。【栃木県・小学校・教員】

実地踏査は各自で行い、そこにかかる費用は補填されない。【東京都・小学校・教員】

下見、実地踏査の費用は基本的に出ません。交通費は最安値のみ支給なので最短時間での下見や見回りができません。【東京都・中学校・教員】

校外学習における多くの場合バス移動をするために、下見は教員の自家用車によって行われる場合が多い。自家用車に頼らないと業務ができない事も問題だが、その燃料代は実際にかかる費用の3分1程度しか渡されない。多くの施設については、学校の下見と言えば無料で施設に入れてくれるが、そうでない場合は教員の個人負担となる。【神奈川県・小学校・教員】

キャンプの下見、市外への研究会等車で行く場合、一般道分しか出ません。午前中に授業をしていくため、高速を使用しますが、その場合高速代は自腹です。【静岡県・小学校・校長】

下見の出張旅費が出るのは2人分。でも、初めての人はみんな見ておくのが当たり前といった状況です。【福岡県・中学校・教員】】

修学旅行中に発生する費用について

子どもたちが自主研修中、教員は各場所で待機。そこまでの移動にかかる費用や昼食代は自腹になっている。経費として申請しているのは、旅行業者に支払っているバス代・宿泊費・宿泊先での食事代・団体で入る施設利用料のみ。【北海道・小学校・教員】

宿泊学習(1泊2日)の引率で、バス代や施設の利用費などの経費が約8,600円かかります。旅費として個人に支払われるのは、約7,500円です。前に勤務していた自治体では、全額支払われていました。【青森県・小学校・養護教諭】

基本的な交通費は出ますし、生徒と同じ時間に食べる食事に関しては出ます。それ以外の細かな交通費、食費は自腹です。【埼玉県・中学校・教員】

・日帰りの校外学習の昼食…自腹
・宿泊の場合の食事…自腹だが日当1200円が出るのでそこから補填。朝夕はホテル食の場合は旅費に含まれ公費から出る
・教員の体験学習…自腹(入園料は公費から出る)
・現地での交通費…自由行動の場合自腹【東京都・特別支援学校・教員】

食費の負担はやむを得ないが、宿泊費は結局は満額支給されていないようです。【茨城県・中学校・教員】

訪れる施設によって、施設が「引率教職員は無料」としているところと、そうでないところがあるが、費用がいるところについては自腹です。生徒を引率しておいて施設外で待機などできるはずもなく、自腹となりました。【大阪府・中学校・教員】

出張に関しては、勤務地から一番遠い場所までの交通費往復分が出ます。したがって、目的地が複数ある修学旅行、出張(2校訪問など)は、間の移動にかかる交通費が自腹になります。【静岡県・小学校・校長】

大阪府は基本的に食費は自腹で、それ自体はしょうがないですが、生徒と同じ食事が原則となる宿舎だと高額になることもあります。【大阪府・高等学校・教員】

設問2で「年間10,000円以上」を選択した方の主な回答

下見の際に発生する費用について

公費での下見のあと、移動教室において実地踏査に学年で行った際はお金は出ない。はじめての担任の場合は確認のため、何度も足を運ぶがそのお金は出ない。また、見学先など、新たに開発する際にかかる費用も自己負担。【東京都・小学校・教員】

修学旅行中に発生する費用について

どのような行事であれ、食費は必ず自腹です。マナー研修など、ちょっと高いコース料理も含まれます。お土産代については、分掌ごと+同じ教科の先生分まで掛かるので、なかなか大変です。【滋賀県・高等学校/高等専門学校・教員】

修学旅行では、ホテルのご飯を必ず食べなければならず、5000円もする食事を自腹で出さないといけない。校外学習では、体験した結果、物がもらえるものにはお金が出ないので、カップラーメンづくり体験と入場料が一緒になっている場合などは自腹となる。【大阪府・小学校・教員】

まとめ

経費申請ができない費用について、「現地でかかる食費」を選択した方が最も多く7割以上でした。次いで多かったのは、「現地からの電話代」で、半数近くの方が選択しました。個人での負担金額は、小学校、中学校では「年間1,000〜4,999円」が最も多く5割程度、高等学校では「年間5,000〜9,999円」が最も多く5割を超えていました。

修学旅行の下見や当日の交通費については、経費として申請できる金額に上限があり、上限を超えた分は教職員の自己負担となっているケースがあるようです。食費については、テーブルマナー研修や宿泊施設での食事などは経費に含まれる学校がある一方で、そのような場面であっても教職員の自己負担となっていることもあるようです。

地方公務員法に基づいて作成された各自治体の「職員の旅費に関する条例」の記載(※)によると、出張中の食費は支給されることが通例であるようです。しかし、自治体や学校によっては、支給されていない場合もあることがわかりました。

※参考:職員の旅費に関する条例(茨城県)職員の旅費に関する条例(豊島区)

また、修学旅行の下見や引率に伴う支出について、教職員個人での負担はないと答えた方は69人中2人でした。金額の差はあるものの、多くの教職員が自己負担で支出の一部を賄っている実態があることがわかりました。



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※メディア関係者の皆様へ
すでに公開されている教職員アンケート結果やWEBメディアの記事の内容等は報道の際に使用いただいて構いません。その際は【出典:NPO法人School Voice Project 】クレジットを入れていただき、事後でも結構ですのでご一報ください。

規則上の勤務開始時刻、守られていますか? 

「勤務開始時刻前に朝の打合せがある」
「委員会や部活の指導がある」

中には「勤務開始時刻は朝8:00。…だけど、児童生徒の登校完了時刻は7:50」といった学校もあるとか。そういった“半強制的な早朝残業”の実態を聞きました。

アンケートの概要

School Voice Project では、WEBアンケートサイト「フキダシ」に登録する教職員の方を対象に、朝、勤務開始時間前にやらなければならないことについてアンケートを取りました。

■対象:全国の小〜高校年齢の児童生徒が通う一条校に勤務する教職員
■実施期間:2022年6月3日(金)〜2022年6月27日(月)
■実施方法:インターネット調査(実施時の設問はこちら
■回答数:104件

アンケート結果

設問1 勤務開始時刻前、どんな業務がある?

Q. 勤務校において、勤務開始時刻(学校や自治体で定められた時刻)前に組織として行っている日常的な業務はありますか。(複数選択可)
*「組織として行っている業務」には、いわゆる“暗黙の了解”を含みます。

全体の約9割の教員が、勤務開始時刻前に「登校指導」を行っていることがわかりました。次いで多かったのが、「校内の児童生徒指導・支援」「児童生徒の健康観察」です。

校種別に見ると、小学校は「校内の児童指導・支援」、中学校は生徒の「登校指導」と「課外活動・支援」、高校は生徒の「登校指導」と「教科の補習」などが多いことがわかりました。

地域別に見ると、「登校指導」を行っている学校は近畿地方で約9割であったのに対し、、北海道、東北、中部地方では約4割と、地域による差が見られました。「教職員打ち合わせ」を勤務開始時刻前に行う学校は、多くの地域では約0〜2割程度でしたが、関東では約3〜4割でした。

20代で「登校指導」と「校内の児童生徒指導・支援」を選択した方は、8割を越えており、他の年代よりも割合が高いこともわかりました。

「その他」を選択した方の主な回答

朝の活動の準備(放送機器等)、プールの水質管理。【小学校・教員】

コロナ禍になり、それまで児童がおこなっていた教室や廊下の窓開けが加わった。【小学校・教員】

地域のあいさつ運動。【中学校・教員】

職員会議、職員研修、行政の職務研修。【中学校・教員】

保護者面談、家庭訪問。【高等学校・教員】

駐輪場指導・身だしなみ指導・遅刻者の早朝登校指導。【高等学校・教員】

「その他」の内容からは、児童生徒の登校に関連する業務の他に、コロナ禍による教室の換気や、プールの水質管理など施設管理に関する業務についての回答が複数見られました。児童生徒の登校に関連する業務の他に、保護者面談など家庭の状況に合わせた業務も発生しているようです。

設問2 勤務開始時刻と登校開始・完了時刻の関係は?

Q. 勤務校では、通常、教職員の勤務開始時刻と、児童生徒の登校開始時刻、登校完了時刻はどのような順に設定されていますか。
*1 登校開始時刻…児童生徒が登校してよいとされる時刻(門が開く時刻など)
*2 登校完了時刻…児童生徒が登校しなければならない時刻(これ以上遅れると遅刻になる時刻)

児童生徒の登校開始時刻より前に教職員の勤務開始時間が設定されている割合は、小学校では6%であったのに対し、特別支援学校では75%と、大きく差があることがわかりました。

設問3 どんな問題が起こってる?

Q. 設問2 で答えた業務に関して、起こっている問題を選択してください。(複数選択可)

校種別で見ると、小学校は67人中67人全員が「事実上の勤務開始時刻が早くなっている」と回答し、中学校・高校は「特定の教職員に負担が集中している」と答えた割合が6割以上と高くなっています。

年代別で見ると、「当番が負担である」と答えた割合は30代・40代で4割以上と高く、「特定の教職員に負担が集中している」と答えた割合は、20代で64%、30代で57%、40代で33%と、年代が低くなるほど高いことがわかりました。

20代では「当番が機能していない」「児童生徒に不利益が生じている」などの回答を選択した割合が約3割で、他の年代は1割以下であったのに対して高いのが特徴的です。

「その他」を選択した方の主な回答

児童のトラブルがあった場合、その指導が勤務時間前にすでに始まっている。換気のための窓開けなど、児童の登校前に行うため、実際は勤務開始時刻より30分程早く出勤する。【小学校・教員】

登校時刻を遅らせると、親の旗振りの時間が遅くなり、仕事に間に合わない。【小学校・校長】

司書の勤務時間は8時からにもかかわらず、7時半ごろから図書館の前で待っている児童がいる。【小学校/中学校・職員】

保護者からの電話対応も勤務開始より早いため、電話をとる必要がある。【小学校・養護教諭】

登校完了に合わせて勤務開始5分前倒し+1限開始15分前倒しで朝の余裕が全くない。小さい子どもがいる上、市外通勤なので完全に負担。【中学校・教員】

勤務開始時間の方が早いがわずか10分後には登校してくるので、結局早く出勤せざる得ない。【特別支援学校・教員】

「その他」の内容には、勤務開始時間に関わらず、児童生徒が登校する時間が早ければその分早く出勤せざるを得ない状況や、保護者からの電話対応への負担もあがっていました。また、児童生徒のトラブル等から発生するイレギュラー業務への負担も問題として上がっています。



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