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【教職員アンケート結果】あなたの職場の状況は? “学校のパワハラ”実態と対策

  • メガホン編集部

職場でのパワーハラスメント(パワハラ)に悩みを抱える方が多くいます。実際、フキダシで以前行ったアンケートでは、教職員の退職の理由として、職場内のパワハラについての意見が多く挙げられました。また、毎月行っている【常時アンケート】でも、「聞いてほしい話」として職場内でのパワハラについての悩みが多く投稿されています。

令和2年より、職場のパワハラ防止のために必要な措置を行うことが事業主の義務となりましたが、それらは実際どの程度行われ、どの程度意味のあるものとなっているでしょうか。今回は、全国の学校で働く教職員の方に、職場でのパワハラの実態と望ましい対策を伺いました。

結果を読む際に、ご留意いただきたいこと

本アンケートは、回答者が“パワハラだと感じたこと”について聞いたものです。パワハラに該当するかどうかはさまざまな要素を総合的に考慮して判断されるため、本記事で紹介している事例はパワハラであることを認定するものではありません。

アンケートの概要

■対象  :全国の小〜高校年齢の児童生徒が通う一条校に勤務する教職員
■実施期間:2022年12月27日(火)〜2023年1月30日(月)
■実施方法:インターネット調査(実施時の設問はこちら
■回答数 :104件

アンケート結果

設問1 パワハラの条件、知っている?

Q1. 法律では、下記の表の「職場におけるパワハラの3要素」のすべてを満たす行為をパワハラと定義しています。あなたはこの3つの要素を知っていましたか。

※詳しい説明や該当例は厚生労働省の資料をご覧ください。

回答者のうち約7割が「知っていた」もしくは「だいたい知っていた」と回答。特に高等学校の教職員はその割合が高く、約8割にのぼりました。

設問2 パワハラの被害経験はある?

Q2-1. 設問1で挙げた「パワハラの3要素」に当てはまる事例に遭遇したことはありますか。

「自身の被害経験がある」と回答したのは、全体の半数を超えました。また、「自身の被害経験がある」と回答した人の中で、「現在自分が被害にあっている」と回答した人は57人中16人でした。「過去に同僚が被害にあったことがある」と回答した人は、半数近くにのぼりました。

具体的な被害内容は、「精神的な攻撃」が最も多く、「過大な要求」「人間関係からの切り離し」「個の侵害」などもありました。一方で、「身体的な攻撃(暴行・傷害)」と「過小な要求(業務上の合理性なく能力や経験とかけ離れた程度の低い仕事を命じることや仕事を与えないこと)」に該当する被害内容は本アンケートの回答の中にはありませんでした。

設問2-2 パワハラ被害の内容は?

Q2-2. 差し支えのない範囲で、被害の内容を教えてください(相手の職位、相手との関係性、内容など)

精神的な攻撃(脅迫・名誉棄損・侮辱・ひどい暴言)

全体の目の前で叱責される。【小学校/中学校・教員】

主任教諭に仕事の進め方に関して相違があった際に、管理職へ報告した結果、教室で子どもの前で怒鳴り散らされた。また、校長へ育児休業取得の話をした際に同じ学年を組む人に迷惑であると言われた。【小学校・教員】

現在講師をしていますが、校長や事務職員より「講師はいらん」という話をされたことがあります。人件費が無駄、講師は年度更新のため学校体制がつくりにくい、などの理由でした。【中学校・養護教諭】

開示面談のときに、「あなたはこの学校に要らない、居ても居場所はないから異動願を出しなさい」と数年続けて言われ続けた。同僚はもっと酷くて「貴方には能力がないから、退職願を出しなさい」と迫っていたと後日聴いた。【小学校・教員】

病気休暇を取得した後、「器量も悪くないんだから早く結婚して辞めたら?」と校長に言われた。【小学校・教員】

妊娠中管理職から、「妊娠は病気じゃないから休まず毎日来ること」「休んだら保護者の不信感につながる」と指導を受けた。【小学校・教員】

自分より勤務校での勤務年数が長い同僚(年齢は上)と同じ学年団にいたとき、私のクラスが一時荒れていたときに「すべて担任のあなたのせい」と責められた。【高等学校・教員】

人間関係からの切り離し(隔離・仲間外し・無視)

教務主任から執拗なメール攻撃にあい、眠れなくなり、業務にも支障が出た。こちらの意見は聞かず話をすることもできず、日頃の業務でも無視されることも多々あった。【小学校・事務職員】

校長が無視をする。来客の予定を伝えない。有給休暇の理由を聞く。また、職務に差し支えないにもかかわらず、校長の気分で有給休暇をとらせない。【小学校・教員】

管理職が、部下にあたる先生を無視する、付箋だけでやりとりする、という行為を行い、その先生が療休に入ってしまった。【小学校・教員】

過大な要求(業務上明らかに不要なことや遂行不可能なことの強制・仕事の妨害)

学校外では、部活動絡みで苦しんだ経験が僕も元同期もあります。僕の場合、1年目の頃、飲み会で嫌な出し物をやらされたりしました。【中学校・教員】

初任者の指導として、校長が何度も何度も書き直しを命じ、休日出勤までさせて指導した。私たち同僚の目にも、とうてい納得のいく内容の指導ではなく、本人はショックで教職を続けるかどうか本気で悩んでいた。【小学校・教員】

個の侵害(私的なことに過度に立ち入ること)

休み中に単独事故を起こした教員に対し教頭が激しく叱責し、午後6時以降の外出を禁じる旨を事故を起こした教員に伝え、毎夜外出していないかチェックを行い私生活に介入していた。【中学校・教員】

検査の結果、腹部に異常が見つかりすぐに手術が必要だと言われたことを管理職に伝えたら、「普通こういった手術は長期休暇にずらすものだ」と言われた。また、異動後すぐ管理職から、「この1年は妊娠しないように」と言われた。【小学校・教員】

校長と普通の正規教員の間で、不妊治療等を理由に退職を申し出たところ、執拗な呼び出し等で引き留めようとした。呼び出し、面談の中で、妊娠のタイミングや年度途中で退職することについて非難された。【特別支援学校・教員】

設問3 パワハラ対策、行われている?

Q3. 厚労省による「職場で行うべき」とされているパワハラ対策は行われていますか。

※自身も同僚も被害経験があると回答した人は、「自身の被害経験あり」にカウントしています。
※自身の被害経験がなく同僚の被害経験のみあると回答した人は、「同僚の被害経験あり」にカウントしています。

パワハラ対策について「行われている」と回答した人が最も多かったのは、「パワハラを行ってはならないことの周知(63%)」でした。次いで多かったのは、「相談窓口の整備・周知(51%)」でした。また、「行われていない」と回答した人が最も多かったのは、「パワハラ発生時の迅速・適切な対応(49%)」でした。次いで多かったのは、「パワハラへの対処規則等の明確化・周知(48%)」でした。パワハラを防ぐ対策や相談窓口の設置は比較的されているものの、それに比べて、パワハラが起こったとき対処規則の明確化や適切な対応はなされていない傾向があるようです。

被害経験の有無での回答の違いを見ると、「自身の被害経験あり」と答えた人は被害経験のない人に比べて、「相談窓口の整備・設置」「相談したことを理由とした不当な取り扱いの禁止・周知」について「行われていない」と回答した人が多い傾向がありました。

設問4 パワハラ対策、有効だと思う?

Q4. 厚労省によるパワハラ対策は実際に有効だと思いますか。

※自身も同僚も被害経験があると回答した人は、「自身の被害経験あり」にカウントしています。
※自身の被害経験がなく同僚の被害経験のみあると回答した人は、「同僚の被害経験あり」にカウントしています。

パワハラ対策が「有効だと思う」と回答した人が最も多かったのは、「パワハラへの対処規則等の明確化・周知(49%)でした。次いで多かったのは、「パワハラを行ってはならないことの周知(43%)」でした。全ての項目において、「有効だとは思わない」と回答した人は3〜4割程度であり、「分からない」と回答した人は2〜3割程度でした。

被害経験の有無での回答の違いを見ると、「パワハラを行ってはならないことへの周知」と「パワハラへの対処規則等の明確化・周知」は、被害経験のない人の半数以上が「有効だと思う」と回答しましたが、「自身の被害経験がある」と回答した人は3割程度にとどまりました。その他の項目においても、自身の被害経験がない人よりも、被害経験のある人の方が「有効だと思う」と回答する割合が低い結果となりました。

設問5 どのようなパワハラ対策が有効だと思う?

Q5. その他、どのようなパワハラ対策が有効だと思いますか。(任意)

未然防止につながる体制づくり

先生たちにゆとりができれば、少しは減ると思う。職員室がストレスフルすぎる。【小学校・教員】

学校はまだまだ年功序列、経験の有無で日々の仕事や評価が進められているように思う。日々の業務への物理的・精神的な余裕がないと、パワハラに近い言動はなくなっていかないのではないかと思う。【小学校・教員】

各自治体による教職員の職員構成バランスの調整。(中間層が少ない、多様な職員の確保⇒学校現在の人手不足解消への手立て⇒教員一人一人の精神的余裕の確保)【中学校・教員】

それぞれの現場で起きていることが、外部の目にも見えるようにすること。風通しの良さ。【小学校・教員】

パワハラを行ってはならないことの周知

何がパワハラなのか、具体的な例を出すこと。【中学校・教員】

管理職の意識改革、法令遵守についての研修【小学校・教員】

制度だけに頼ることなく、職員全体が認識を正しくすること。お互いに声をかけ合うことで、パワハラに対して職員室全体で抑制力を持てるような職場を私たち自身が作っていくこと。(制度があるからと見て見ぬふりをするような空気を作らない)【小学校・教員】

パワハラへの対処規則等の明確化・周知

パワハラが実際に起こっても、密室や他の人のいないところで行われていることは、本人に確認もなしに通告できないとか、本人が通告を嫌がるかもしれないと考え、動きづらい現状がある。疑わしいことはすべて通告する、とか、過去の事例を職場内で検討する時間を設けるとか、そもそも職員室が心理的に安全な場をつくるとか、「パワハラが起こってからの対応」で歯止めするだけではなく、パワハラが起こりにくい、起こしにくい職場をつくる対策を行う必要があると思います。【中学校・教員】

パワハラに遭った際、被害者は何をすべきか詳細なマニュアルが欲しい。どのようにして言質を取り、弁護士とはどのように繋がってどう言う手順で相手を訴えたら良いのか、ということを被害に遭ってからでは考える気力がない。「教員パワハラマニュアル」が存在すれば、それがあることで加害者にはパワハラ抑止力に繋がるし、被害者には安心材料となる。【中学校・教員】

きちんと罰則を作る。また、パワハラを認定した際の管理職への影響、パワハラを認定された先生への影響、パワハラを受けた先生への影響がどうなるのかをそれぞれ事前に、周知する。パワハラ認定をした際に、それぞれ、どうなるのか分からないからこそ、パワハラを受けた先生は言いにくい。この不安を乗り越えて、告発するときには相当な悪い状況まで言っているといえる。【小学校・教員】

相談窓口の整備・周知

つらい思いをしたときに、相談できる方法がいくつかあること。【小学校・教員】

教育委員会や教育事務所に加えて、第三者から弁護士に繋げていける窓口の設置をしたい。【小学校・校長】

学校カウンセラーの常時在中だけでなく教職員に対応できる相談窓口や、学校内に法律相談に乗ることができる弁護士などの在中が必要だと思う。また、公共団体の教育委員会には、行政側の代表だけでなく、一般の教職員の代表的な人もいるようにしてほしいと思う。【小学校/中学校・職員】

パワハラ発生時の迅速・適切な対応

パワハラを法律違反行為と考えると、職場内の自浄作用に頼る部分ではなく、第3者機関を置く必要がある。【小学校・事務職員】

管理職であってもパワハラがあれば指導してくれる上位機関がほしいです。管理職のパワハラに対抗する術がありません。【小学校・教員】

うちの学校は、ハラスメント対策委員会があるが現職教職員が担っている状況。同僚のおこないを調査したりジャッジをするのは心身ともに疲労度が高い。外部機関にお願いするのも、費用面で難しい部分がある。どこまでが学校内で担われるべきで、どこまでを外部機関が担うべきなのか。その場合の費用補助なのかあるのか。そのあたりかなと思います。【小学校・教員】

関係者のプライバシー保護

通報先が教育委員会で、通報があったことが、速やかかつ秘密裏に管理職に筒抜けだった。これでは全く機能しない。秘匿性の高い第三者によるパワハラ相談窓口の設置と迅速で、公正で、的確で厳格なパワハラ対応が必要。【小学校/中学校・教員】

パワハラを受けたときに、安心して相談できる環境(行政の窓口)の整備。訴えた人が守られる保証。【特別支援学校・教員】

実際にパワハラの被害経験のある人からの回答が目立ちました。最も多かったのはパワハラの被害を未然に防ぐような取り組みや、パワハラを行ってはいけないことの周知に関する内容でした。

例えば、ストレスの多さや余裕のなさからパワハラが起こっているのではないかと推測する人からは、「職員構成バランスの調整」「教職員のゆとりをつくる」などのアイデアが寄せられました。また、自身の経験を元に「プライバシーが守られること」や「第三者の介入」の必要性を訴える声も目立ちました。

まとめ

法律で定められているパワハラの定義については、回答者のうち約7割が「知っていた」もしくは「だいたい知っていた」と回答しました。「自身の被害経験がある」と回答したのは、全体の半数以上。「同僚が被害にあったことがある」と回答した人は、半数近くにのぼりました。具体的な被害内容は、「精神的な攻撃」が最も多く、「過大な要求」「人間関係からの切り離し」「個の侵害」などもありました。

パワハラ対策の6項目のうちの1つである「パワハラを行ってはならないことの周知」については、回答者の63%が「行われている」と回答し、被害経験のない人の半数以上が「有効である」と回答しました。一方で、被害経験のある人が「有効である」と回答した割合は28%にとどまりました。全項目において、自身の被害経験がない人よりも、被害経験のある人の方が「有効だと思う」と回答する割合が低い結果となりました。

その他、有効だと思うパワハラ対策については、「職員構成バランスの調整」「教職員のゆとりをつくる」などのアイデアが寄せられました。また、自身の経験を元に「プライバシーが守られること」や「第三者の介入」の必要性を訴える声も目立ちました。


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