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【教職員アンケート結果】あなたの自治体ではどんな影響が? 特別支援学級に関する文科省通知の影響について part2

  • メガホン編集部

2022年4月27日付けで文科省から出された「特別支援学級及び通級による指導の適切な運用について」の通知に対する関心が高まっています。Webアンケートサイト「フキダシ」では2022年7月に実施したアンケートでこの通知の影響についての調査を行い、その結果を公表しましたが、その時点から次年度以降の体制がより詳しく分かった自治体や、検討の結果体制の内容に変更があった自治体もあるようです。

フキダシでは、そういった全国の学校現場の声を集めるため、再度アンケートを実施しました。

※文科省からの通知はこちら
この通知において文科省は、昨年度に実施した実態調査をもとに、「特別支援学級に在籍する児童生徒が、大半の時間を交流及び共同学習として通常の学級で学び、特別支援学級において障害の状態や特性及び心身の発達の段階等に応じた指導を十分に受けていない事例がある」とし、各教育委員会等に対して、特別支援学級に在籍している児童生徒については、原則として週の授業時数の半分以上を目安として特別支援学級において授業を行うことを求めました。

アンケートの概要

■対象  :全国の小〜高校年齢の児童生徒が通う一条校に勤務する教職員
■実施期間:2022年10月7日(金)〜2022年11月23日(水)
■実施方法:インターネット調査(実施時の設問はこちら
■回答数 :31件

アンケート結果

設問1 特別支援教育の運用に変更は?

Q1. あなたの勤務する自治体では、文科省通知「特別支援学級及び通級による指導の適切な運用について」によって、昨年度までの特別支援教育の運用の具体的な変更がありますか。

昨年度までの特別支援教育の運用の具体的な変更については、回答者全体の約4割が「今後影響が出るとの話が出ているが、まだ具体的には示されていない」を選択しました。中学校に所属する人では、その割合は6割を超えていました。

その他の選択肢である「今年度の特別支援の体制がすでに変更されている」「来年度から特別支援の運用変更が決定している」「運用変更が示されているが、一定の経過措置(猶予期間)が設けられている」「もともとこの通知に書かれている条件を満たしているので、運用が変更される予定はない」「もともとこの通知に書かれている条件を満たしていないが、運用が変更される予定はない」は、それぞれ2〜5人が選択し、ばらつきが見られました。

設問2 退級する予定の児童・生徒はいる?

Q2.「運用がすでに変更されている」「変更が決定している」と選んだ方にお聞きします。今回の運用変更によって、実際に退級する予定の児童・生徒はいますか。

「今年度の特別支援の体制がすでに変更されている」もしくは「来年度から特別支援の運用変更が決定している」を選んだ方は31人中8人。「実際に特別支援学級を退級する児童生徒はいますか?」という問いに対しては、この内4人が「いる(すでに意思の確認済み)」を選択しました。

設問3 保護者への説明・面談は行った?

Q3.「運用がすでに変更されている」「変更が決定している」と選んだ方にお聞きします。運用の変更について、保護者への説明・面談は行われましたか? 当てはまるものをお選びください。

「今年度の特別支援の体制がすでに変更されている」もしくは「来年度から特別支援の運用変更が決定している」を選んだ方は31人中8人。運用変更についての保護者への説明・面談は、「情報が不十分な中で行われ、納得感の得にくい内容だった」を選択した人がこの内4人でした。

設問4 新たな整備の予定は?

Q4.「運用がすでに変更されている」「変更が決定している」と選んだ方にお聞きします。あなたの自治体では、運用変更に当たって、新たに人的・環境的な整備は予定されていますか。

「今年度の特別支援の体制がすでに変更されている」もしくは「来年度から特別支援の運用変更が決定している」を選んだ方は31人中8人。この内、通常学級に配置される支援員等の配置や増員が「予定されている」と回答したのは0人でした。通級指導教室の増設や3人、その他の具体的措置は1人が「予定されている」と回答しましたが、「予定されていない」もしくは「わからない」という回答が目立ちました。

設問5 今回の通知、運用変更についての意見

Q5. 今回の通知や、それによる各自治体の特別支援の運用変更について、ご意見があればお書きください。(任意)

運用変更に対する不安や懸念の声

特別支援教育とは、そもそも個別最適化を目指すもののはずなのに、学習形態を絞りこもうとするのは、それに逆行する事であると思う。なにかしら不適切な運用があるのであれば、個別に対応して欲しい。【神奈川県・小学校・教員】

今回の通知は、インクルーシブ教育と逆行するものだと捉えています。個別学習や入り込み対応は、支援学級児童の実態に応じて指針を決めることが大切だと考えます。強制的に個別学習をさせる、個別学習をしない児童は退級というのは、支援学級の在り方を問われる話だと思います。【大阪府・小学校・教員】

通常の学級での授業を半数以下にする根拠が示されておらず、人権を侵害しているように思われる。個々に応じたあり方を考えるなら、取り出す回数に制限を設けるより、個別の支援計画を策定するための本人、保護者との対話の機会を十分に設ける仕組みづくり、支援体制の充実が大事だと考える。【茨城県・小学校・教員】

国や自治体への要望や願い

私の学校では、交流は一人で参加できる子しか行っていません。(というより、教員が足りず、行うことができません。支援員は通常の学級の子にしかつくことができないきまりです。)なので、文科省の通知を超える交流をしている子はいませんが、とにかく教員を増やして欲しいです。そうすれば、支援級の子にも通常の学級で支援が必要な子にも、もっと一人ひとりに応じた教育ができるはずなのに…と思っています。【愛知県・小学校・教員】

市教委からの指示伝達が、指導主事内でも共通認識が持てておらず、学校現場は混乱している。今年度、すでに3回通知内容が変わっている。来年度は現状で行くと職員向けの説明会では説明されたものの、就学相談の場では、新制度の説明がなされている。子どもたちが子どもたちらしく、すごせる学校、社会になることを切に願います。【大阪府・小学校・教員】

私の県では、具体的な話は出ていません。意図的に関係者はみんな黙ってる感はありますが、よくわからないという人もまだたくさんいるのも事実だと思います。ただ、今後は全国の動きに連動していくのは目に見えているので、自分の県のことだけでなく、広く国全体のこととして議論していくべきだと思います。【大分県・小学校・教員】

まとめ

昨年度までの特別支援教育の運用の具体的な変更については、回答者全体の約4割が「今後影響が出るとの話が出ているが、まだ具体的には示されていない」を選択。具体的な内容変更までには至っていない学校が回答者全体の半数近くに上ることがわかりました。

「今年度の特別支援の体制がすでに変更されている」もしくは「来年度から特別支援の運用変更が決定している」を選んだ方は31人中8人。その内の半数である4人は「実際に特別支援学級を退級する児童・生徒がいる」と回答。運用変更についての保護者への説明・面談は、「情報が不十分な中で行われ、納得感の得にくい内容だった」を選択した人も同数の4人でした。また、通常学級に配置される支援員等の配置や増員が「予定されている」と回答したのは0人でした。

特別支援の運用変更に対する意見としては、肯定的な内容は見られず「インクルーシブ教育と逆行する」「支援学級の在り方を問われる」「人権を侵害しているように思われる」など、不安や懸念の声が多く集まりました。また、「現場は混乱している」「よくわかっていない」など、学校現場の状況を訴える内容や、一人ひとりに応じた教育をするために教員を増やしてほしいという要望もありました。


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NPO法人School Voice Project のメンバーが、プロやアマチュアのライターの方の力を借りながら、学校をもっとよくするためのさまざまな情報をお届けしていきます。 目指しているのは、「教職員が共感でき、元気になれるメディア」「学校の外の人が学校を応援したくなるメディア」です。

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