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【教職員アンケート結果】教員不足解消のために「もっと聞きたい、教員不足現場の“声”」① 子どもたちや教職員への影響は?

  • メガホン編集部

第2回 職員室で起こっていること

第2回のテーマは「職員室で起こっていること」。教員不足の起こっている学校では、教職員の業務量や働き方にどのような影響が出ているのか、現場の声を聞きました。

アンケートの概要

■対象  :全国の小〜高校年齢の児童生徒が通う一条校に勤務する教職員
■実施期間:2022年7月15日(金)〜2022年8月15日(月)
■実施方法:インターネット調査(実施時の設問はこちら
■回答数 :80件

アンケート結果

設問1 教職員の「困った」の声

Q1. 教員不足の学校で働いている・働いていた経験がある方に質問します。教職員の業務量や働き方などについて、「困った」の声を教えてください。

勤務時間内に業務が終わらない

1人が2人分の業務を負わされているため、必然的に時間外在校時間が増える。【小学校・教員】

教務をしながら学級担任をし、ICT機器担当として他のクラスの支援や機材修理の手配までを求められる自分にとって学期末は地獄。子どもの対応と授業、授業づくりに関する仕事を優先すると、本来するべき教務の仕事が時間外前提となってしまっている。【小学校・教員】

授業時数が倍になり、授業の質を下げるか、無限に残業するかの選択を迫られる。時間割がパンパンになるため、時間が合わず、勤務時間内に会議を持つことができない。【高等学校・教員】

休憩や空き時間がない

空き時間が全くない。【小学校・教員】

基本的に10時間労働で、休憩はない。昨年度適応障害と診断された。自分が頑張りたい気持ちで復職したが、体力的にとても辛い。【中学校・教員】

担当外の業務をせざるを得ない

教務主任、副校長が多くの時間数、授業をせざるを得ない状況。【小学校・副校長】

学年職員がお休み続きになり、そのクラスの授業や、担任業務などをやりながら、2クラス見るのが続き、しんどかったです。【中学校・教員】

学年主任が担任を兼務することが2年連続で起こった。学年主任は元々会議の時間が多いのにもかかわらず、担任の仕事や授業数も減らず、すごくしんどそうでした。【高等学校・教員】

休みを取りにくい

病休を取ることになっても、臨時の先生がいなくて困っています。なので、私も手術をすすめられていますが、安心して休めないので、手術をせずに止めている状態です。【小学校・教員】

担任が休みを取ったときの補填ができないため、休みづらい環境になっている。産休や育休が取りづらい環境。【小学校・副校長】

講師が担当できない業務を担う必要がある

4月当初から臨時的任用の方が見つからず、結局のところ非常勤はなんとか見つかりました。ですが、非常勤のため学校内の仕事を担当してもらえません。【高等学校・教員】

勤務校では臨時的任用職員(常勤講師)の先生が、半数近くを占めている。雇用形態がどうであれ、同じ働く仲間と思っているが、「保護者対応、校務分掌の代表、教育実習担当、研究授業などは教諭が行う」という不文律があるため、業務が教諭に偏っていてきつい。【特別支援学校・教員】

職員室に職員がいない

職員室に誰もいない時があり防犯上危険である。【小学校・副校長】

管理職が担任の代わりに、クラスに入って職員室不在となり、緊急対応やクレーム、外部連携に支障が生じた。問題が起こったときに、すぐに集まれない、情報が共有できない、相談できない等。そして、問題が後手になり、より複雑煩雑化していき、学校が回らなくなってしまう。【小学校・教員】

設問2 国・自治体にどんなサポートをしてほしい?

Q2. 教員不足の学校には、国や自治体からどのようなサポートがあるとよいと思いますか。

人員を確保してほしい

予備で配置できる講師を4月の段階から雇っておいて、派遣するような形が可能なら、こうした急な教員不足にも対応できるのにと思っています。【小学校・教員】

少なくとも、各学校(主に副校長)が電話をかけまくるなどという不効率な探し方は廃止すべき。不足の原因は元を正せば文科省なのだから、文科省が人材バンク的なシステムを作り、人材の融通を図るべきだと思う。【中学校・教員】

産休・育休等はあるのが前提の制度なので、難しいのは承知だが、普段は事務作業を主にしていざというときのピンチヒッター枠を教育庁などで人員を雇えないのでしょうか。【高等学校・教員】

業務の分担や見直しをしてほしい

子どもにすぐに返らない仕事(調査や報告書など)を少しでも減らす。【小学校・教員】

事務仕事(会計や教科書について、実習助手、在庫管理)、施設管理(ワックスがけ、清掃)をしてもらいたい。教職以外の仕事が多い。【中学校・教員】

部活動顧問の地域委託。
放課後、生徒を面倒見る施設の充実。
生徒が家庭の困りごとを相談できる機関の充実。【高等学校・教員】

教員の待遇改善をしてほしい

・基本賃金を引き上げる。
・残業代を出せないならば、給特法4%を早期に引き上げる。
・教務主任が担任を兼任、児童支援専任が担任を兼任等している場合の手当をつける。【小学校・副校長】

欠員期間については、欠員分の給与を分担職員にプラスの手当てとして割り当てるべき。【特別支援学校・教員】

教員配置の定数を見直してほしい

全ての学校に全教科(特に美技家音)の教員を必ず配置してほしい。数が絶対的に足りていない。免許外での授業を常態化しないでほしい。【中学校・教員】

サポート云々ではなく、全ての公立学校において生徒20人につき教員1人を配置するようなレベルで、教員配置定数決定の計算方法を見直すべき。【高等学校・教員】

支援学級の定員を8人から6人に制度改革してほしい。8人を1人で見るのは実質的に何かを断念せざるを得ず、子どもにとって良い環境を整えることができない。【特別支援学校・教員】

教育課程を見直してほしい

「○○教育」のようなものが増えすぎて困る。できるものとできないものを把握し、整理してほしい。【小学校・教員】

そもそも教育内容が多すぎる。学びに向かう力など新しい教育観が入ってくるなかで、もっと内容を削減できないのかと思う。【中学校・教員】

専門家やサポートスタッフの対応範囲を拡大してほしい

医療的ケア児のための看護師の配置があるが、業務内容が排痰吸引、吸入、注入(水分、栄養、薬)などに限定されている。排泄介助、移乗、生徒の見守りなどを頼めないため、実質「介護」で1日が終わることも多々ある。【特別支援学校・教員】

セキュリティ担当者の負担軽減のためICT支援員が来ているが、暇すぎて机に足を乗せて1日中時間を潰している。生徒の個人情報が入ったものは見せられないだの、成績に関するものは見せられないだの、教員ではないので別室待機だの、とにかく制限が多すぎて結局ほとんど全てセキュリティ担当者がやる羽目になっている。小中は、支援員に教員免許を付与して対応範囲を拡大すべき。高校は情報科教員をセキュリティ担当者に任命し授業コマ数軽減措置を行って、多くの学校に複数の情報科教員が配置できるようにすべき。【高等学校・教員】

まとめ

設問1では教職員の業務量や働き方についての「困った」の声を、設問2では国や自治体にしてほしいサポートを聞きました。

教職員からの「困った」の声として最も多かったのは、「勤務時間内に業務が終わらない」「休憩時間や空き時間がない」という回答で、その数は全回答者の半数を超えていました。教員が不足していることによって、多くの教職員が自身の担当業務に加えて別の業務も負担している状態にあるようです。教職員全体に余裕がないことから、「休みが取りづらい」という声も目立ちました。

国や自治体にしてほしいサポートとして最も多くあがっていたのは、「人員の確保」でした。教員が不足した場合に代わりとなる教員を配置してほしいという声のほか、専門家やサポートスタッフの充実を求める声もありました。一方で、「専門家の配置があっても、担当できる業務が限られているため、結局教員の負担になる」「サポートスタッフは週1勤務なので、情報共有に手間がかかり余計に忙しくなる」などの意見もあり、単純に人員を増やすだけでは、本質的な課題解決にはつながりにくいことも伺えます。また、教員不足が起こっていない状態でも手が回っていないことから、「教員配置定数を見直してほしい」「業務を削減してほしい」「教育課程を見直してほしい」という声もありました。

今回実施したアンケート「教員不足解消のために『もっと聞きたい、教員不足現場の“声”』」では、さまざまな面で児童生徒に不利益が出ていることが伺える回答が多く集まりました。児童生徒が安心して過ごせる環境を整えることや、教育を受ける権利を保障するために、教員不足は決して無視できない社会課題ではないでしょうか。

教員不足についてのアンケートの結果記事一覧


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NPO法人School Voice Project のメンバーが、プロやアマチュアのライターの方の力を借りながら、学校をもっとよくするためのさまざまな情報をお届けしていきます。 目指しているのは、「教職員が共感でき、元気になれるメディア」「学校の外の人が学校を応援したくなるメディア」です。

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