学校をもっとよくするWebメディア

メガホン – School Voice Project

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2023年、NPO法人School Voice Projectでスタートした「#学校の居心地プロジェクト」。

きっかけとなったのは、WEBアンケートサイト「フキダシ」に集まった、学校の居心地についての教職員の皆さんからの声でした。
「とても居心地がよいと思う」「まあ居心地がよいと思う」という肯定的な選択肢を選んだ人は約半数。職員室など、教職員が仕事をするための空間については、肯定的な回答は約3割。少なくない子どもたちや先生たちが、心地よいとは言えない環境で学んだり働いたりしている実態が見えてきました。(アンケート結果詳細はこちら

「#学校の居心地プロジェクト」での取り組みの一つとなる「学校にYogiboを置いたら」実証実験では、全国から公募した5つの学校のさまざまな場所にYogibo(ヨギボー)を設置し、子どもたちや先生たちの心や学び、関係性にどのような影響を与えるのかを探っていきました。

今回は、「学校にYogiboを置いたら」の実証実験への応募を決めた福岡県飯塚市立飯塚小学校の長﨑裕也さんと、実際に教室内にYogiboを置いて子どもたちの様子を見ていた特別支援学級の坂口由美さんにお話を伺いました。

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学校の居心地を考えるきっかけにしたい

 「#学校にYogiboを置いたら」の実証実験に応募しようと思った経緯について、「教職員の間で学校の居心地を考えるきっかけにしたいと思った」と振り返る長崎さん。そう思ったのは、大学時代にフィンランドの学校で3ヶ月間アシスタントをしていた経験も影響していると言います。

「フィンランドの学校では、教室にクッションやソファが置いてあり、自分で勉強する場所を選べる環境が整っていました。それを見て、日本の学校ももっとリラックスできる空間になるといいなと思ったんです」

今回の実証実験の協力校に決まった際には、教職員に「Yogiboの設置をきっかけに、教職員やすべての子どもたちにとっての居心地のよい環境について考えていきたい」という思いを伝えました。しかし、長崎さんの本意を伝えることへの難しさもあったと言います。

「学校にYogiboを置くこと自体には面白さを感じてもらえて、多くの教職員が好意的に受け止めてくれました。ただ、学校全体の居心地について考えるきっかけというよりも、あくまで特別支援学級の児童にとってのリラックスのための道具と捉えられてしまった感じがありました。通常学級にYogiboを置くことで規律が乱れたり、姿勢が崩れたりすることを懸念する声もありましたね」

イライラしたとき、Yogiboは気持ちを落ち着ける場に

実際にYogiboが届いてからは一定期間図書室に置き、その後は特別支援学級の教室に置くことになりました。図書室はどの学年も週1回の利用時間があり、その他にも中休み(2時間目と3時間目の間に設けられている10分間の休み時間)や昼休みには自由に利用することができます。

「Yogiboは子どもたちの人気スペースになっていましたね。子どもだと4、5人くらいが座れるので、みんなでぎゅっと集まって座って、一緒に本を読んでいる様子も目にしました。なんだかほっこりしますよ(笑)ただ、案の定Yogiboに飛び込む子もいたので、そのような様子を見かけた際には司書の先生が声をかけてくれていました」

図書館の次は、特別支援学級の教室に設置。担任の坂口さんは「Yogiboがあることで、子どもたちがリラックスして過ごす様子があった」と言います。

「クラスには落ち込んだりイライラしたりと、感情の浮き沈みが大きい子が在籍しています。気持ちが不安定になったときに、その状況を言葉にして伝えることが難しい子もいるので、そのときにはYogiboが役に立っているなと感じます」

ある授業では、イライラしたときの対処法についてそれぞれの児童が考える場面がありました。そのときに、「Yogiboでリラックスする」と書いている児童もいたようです。

「実際に、その子がイライラしていたときに『教室の後ろで、少し気持ちを落ち着けてきたら』と声をかけると、自分からYogiboが置いてあるところに行って、しばらく顔を埋めていましたね。しばらくしたらスッと戻ってきて、また勉強を再開していました」

さらに、特別支援学級にYogiboを置くことの良さを坂口さんはこう話します。

「子どもたちの様子を見ていると、『Yogiboに乗りたい』『Yogiboで遊びたい』という欲求があるだけではないように思います。柔らかいものに触れていたり、狭い空間にいたりすると安心すると自覚している子もいます。そういう子にとっては、Yogiboはリラックスできる場所にもなっているのではないかなと思います」

Yogiboをどう活用する?さまざまな意見がある

特別支援学級にYogiboを置くことを肯定的に受け止めている坂口さんですが、通常学級に置くことに関しては心配な点もあると言います。

「通常学級の場合は1つの教室に30人以上の児童がいるので、Yogiboを置くとなると空間の狭さが気になってしまいます。また、使う人数も増えるので、Yogiboの使い方についてルールを徹底することにも難しさがあるのではないかなと思います」

一方で、Yogiboの導入を後押しした長崎さんは「通常学級にもYogiboを置くことで、子どもたちがリラックスできる環境を学校内につくっていきたい」としつつ、教職員によってさまざまな意見があることにも理解を示します。

「教職員によって、これまで関わってきた子どもたちの実態が違うので、それによってYogiboの使い方について考え方の違いが生まれているのかもしれません。私が見てきたのは比較的落ち着いているクラスだったので、教室にYogiboを置いても問題ないなと想像できます。ですが、坂口先生のようにいろんなクラスを担当してきている先生にとっては、Yogiboを置くことに対しては慎重になると思います」

子どもたちにも「くつろげる空間」の選択肢を

最後に、「休み時間の休憩スペースとしてYogiboを使ってほしい」と話す長崎さんに、理想としているYogiboの活用方法について伺いました。

「休み時間も含めて、学校にはずっと緊張感があるなと感じています。休み時間に外に出て思いっきり遊びたいときはあると思いますが、ただ体を休めたいときだってあると思います。そういうときに、椅子に座っているだけではなかなかくつろげないと思うんですよね。大人であれば、コーヒーを飲んだり自分で場所を選んだりできますが、子どもにはそういう選択肢も与えられていない。なので、もっと学校の中でリラックスできる空間をつくりたいと思ったんです。

ゆくゆくは、Yogiboを置くことをきっかけに学校の中にお昼寝スペースのような空間がつくれたらいいなと思っています。Yogiboを置くことを考えたときに最初に出てきた課題が、靴を脱いで過ごせるスペースが学校内にないことでした。靴を履いたままYogiboに乗るのは衛生的によくないと思っているので、まずは靴を脱げるスペースが必要だなと。そういう空間があるだけで、学校の居心地は変わってくるのではないかなと思います」

最後に

これまで多くの学校に存在していなかった、柔らかいクッションやソファなどが置かれた空間。少しずつではありますが、Yogiboをはじめ、子どもたちや教職員の居心地を考えた空間をつくっていく学校は増えてきています。

今回のインタビューからは、Yogiboを置くことが児童のリラックスできる時間に繋がっていることが伺えました。一方で、「どのようにYogiboを活用していくのか」「子どもたちの安全面や衛生面をどう守っていくのか」などについては、教職員間で対話を重ねていくことが不可欠ではないでしょうか。

実証実験に伴って贈られたYogiboは、今後も同校での使用が可能です。Yogiboを置くことをきっかけに、子どもたちや教職員によってのより良い空間づくりに繋がっていくことを願います。

文部科学省の調査によると、令和7年度から全国の多くの自治体でGIGA端末の更新が始まります。それに向け、現時点のICT環境の課題について、全国の教職員に聞きました。

アンケートの概要

■対象  :全国の小〜高校年齢の児童生徒が通う一条校に勤務する教職員
■実施期間:2023年11月29日(水)〜2024年2月19日(月)
■実施方法:インターネット調査(実施時の設問はこちら
■回答数 :195件

アンケート結果

設問1 授業や校務のICT活用は推進されている?

Q1. 現任校で授業や校務におけるICT活用はどの程度、推進されていると思いますか?

小学校では24%が「強く推進されている」と回答し、62%が「推進されている」と評価。中学校と高等学校も相対的に高い割合でICTを推進しており、それぞれ34%と39%が「強く推進されている」と回答しています。その他の校種でも62%が「強く推進されている」と答え、全体的にはICTの導入が進んでいることがわかります。

設問2 自身はICT活用を推進したい?

Q2. ご自身として、ICT活用をどの程度、推進していきたいと思いますか?

全体的にICT活用を推進する意欲が高い傾向が見られます。小学校では39%、中学校や高等学校も、36%と50%が「強く推進していきたい」と回答し、ICTの積極的な導入に前向きな姿勢が見受けられます。全体的に「推進していきたい」割合も高く、ICTを教育現場で有効に活用したいという共通の意欲が示されています。また、全く推進したくないと回答した割合は低く、教職員全体がICTの導入に肯定的な態度を持っていることが伺えます。

設問3 GIGA端末活用の課題は?

Q. 次の課題は、現任校でどの程度当てはまりますか?

Q3-1. 「転出入や故障に対応するための【生徒用】GIGA端末が足りない」に関して、どのようなシーンで困ったか・どのように対処したか、具体的なエピソードを教えてください。

年度当初など、新1年生端末の数がすぐにそろわない。故障者には代替えで対応するが、それも足りない時がある。【小学校・教員】

破損が多いが替えの端末がないので、破損しても我慢して使ってもらっています。【中学校・教員】

同一市内で転出入の場合は端末は市教委を通してのやりとりになるが、県外を含む市外からだと申請から届くまでに時間が1ヶ月以上かかり、教師用の端末を貸し出したことが何度もあった。教師用の端末を貸し出すときは付きっきりの時のみ。【小学校・教員】

日頃足りていないので、長期欠席の生徒分をほかの生徒が使っているため、久しぶりに来た生徒に本人の端末を渡せず、予備として教室にある常時充電を繋いでいないと使えない端末を使ってもらっている。【中学校・学習支援員】

Q3-2. 「学校事務職員や講師分を含めると【教職員用】GIGA端末が足りない」に関して、どのようなシーンで困ったか・どのように対処したか、具体的なエピソードを教えてください。

予備機は、学年に1〜2台足りないことがある。講師にあてがわれていることはほぼなく、使うときは、子どものものを借りたりしている。事務職員にタブレットは無い。【小学校・教員】

端末配布は学年担任プラス3台と決められているため、管理職や養護教諭、会計職員などは端末がないことになる。校務がクラウド化しているが、上記の方々に端末がないために、思うように進められない現状がある。【小学校・教員】

全員に端末が行き届いていないので、ペーパーレス会議の時は画面を隣の人とシェアしている時がある。【小学校・教員】

Q3-3. 「学校内で使用する際にGIGA端末の通信速度が遅くなることがある」に関して、どのようなシーンで困ったか・どのように対処したか、具体的なエピソードを教えてください。

文科省や市のアンケートを一斉に実施するのが困難。【中学校・教員】

複数のクラスが調べ物したり、全校でフォームスを使ったりすると一定数回線の影響でできなくなる。時差でやらせたり、再起動したりしてなんとかやった。【中学校・教員】

通信速度が遅くなってしまい、デジタル教科書に不具合が出て、授業が中断することがよくある。その都度、インターネットブラウザを再起動している。【小学校・教員】

学習者用デジタル教科書を開こうとしても、1クラスに2桁近く開かない生徒がいる。どうしても繋がらない時は、紙の教科書に切り替える。【小学校・ICT支援員】

Q3-4. 「学校Wifi(無線LAN)に繋がないと使用できず、 GIGA端末を校外学習や家庭学習で使用できない」に関して、どのようなシーンで困ったか・どのように対処したか、具体的なエピソードを教えてください。

無線LAN及び有線LAN環境が整っていない家庭もあり、無償貸与などのサービスを確保することも一苦労。【中学校・教員】

町探検や校庭の草花を写真でとりロイロノートでまとめていく学習だったが、Wi-Fiに繋がらないため、低学年に写真の入れ方を説明するのに手間取った。【小学校・教員】

生徒端末、教員が使用できる端末ともに基本的に校外学習時などでは使用できない。モバイルルータも使用できるものがあるが、人数に制限がある。【高等学校・教員】

校外学習に端末を持ち出しても、検索など行えないため、オフラインで使える地図を使用した。カメラとして使用する程度で持ち出すメリットが少ない。【中学校・主任/主事】

Q3-5. 「教育委員会や学校で設定されたルールにより、GIGA端末上で学習で使いたいアプリやWebサイトを使用できない」に関して、どのようなシーンで困ったか・どのように対処したか、具体的なエピソードを教えてください。

歴史学習の検索で武器の写真がフィルターにかかって、検索ができずお手上げだった。【小学校・主任/主事】

例えば、タイピングの練習等ができるアプリやサイトがあったとしても、ゲームとしてアクセス制限されることがある。【中学校・教員】

理科などではアプリの方が安価で分かりやすい内容の物があるが、有料アプリという事で使う事ができない。また、CMが入るものもダメだということで無料で良いアプリがあっても入れる事ができない。結局制限されたいいところ、使いやすいデジカメ程度の物になっている。【小学校・教員】

進学に必要な高校のホームページにアクセスできず、確認事項などの作業が進まず、自分のスマホを使うことになってしまった。職場体験で事業者への問い合わせをしないといけないときに受け入れていただく事業所のホームページにアクセスできず、自分のスマホからの対応になった。【中学校・学習支援員】

YouTubeが遮断されているため、見せたい動画がYouTube上にあると児童が好きなときに見るということができない。また、タイピングソフトを使おうとしたとき使えないものがあった。【小学校・教員】

Q3-6. 「計画充電のタイミング等により、授業での使用に合わせてGIGA端末の充電が間に合わないことがある」に関して、どのようなシーンで困ったか・どのように対処したか、具体的なエピソードを教えてください。

夜充電する設定だが、子どもが接続を忘れてしまうと充電できない。個別に、充電器をもっていきその場で充電しながら使用している。【小学校・教員】

毎時間端末を使っていると午後の授業などで充電がたりなくなり、複数の生徒から充電したいと言われる。その場合、コンセント周辺に入れ替わり立ち替わりコードを繋ぎながら、使わせている現状。【中学校・教員】

充電は家でしてくること、としているが実際、1時間目から6時間目まで使おうとすると、3時間連続で使った時点で充電が切れる。【中等教育学校・教員】

Q3-7. 「GIGA端末故障時の対応が煩雑である」に関して、どのようなシーンで困ったか・どのように対処したか、具体的なエピソードを教えてください。

保護者のサインが必要な書類作成の必要があります。故障の経緯などを書く欄もあり、協力が得にくい家庭の場合そのやりとりが大変なときもあります。【小学校・教員】

紛失、パスワードリセットなど市教委と連携しながら探索や再設定をする必要があり、担当や教頭の業務が増えている。【小学校・教員】

故障や破損が起きると、その時の状況を指定の書式に書き込んで校内担当者に提出しなければならない。その上で、管理職・教育委員会に破損状況を認めてもらわないと、破損タブレットを受け取ってももらえない。それだけで1台のタブレットが壊れて教育委員会に送るまで最低3日はかかる、1週間かかることも珍しくない。【小学校・教員】

教科の主任に相談したところ、すぐに対応してもらえた。が、以前勤務していた学校では、IT担当の外部から派遣された方がいる間(10時〜1時)にしか修理してもらえず大変困りました。【中等教育学校・教員】

Q3-8. その他、ICT環境(端末・Wifi・ルール整備)に係る課題として、困っていることを教えてください。

ICTに詳しい専門家の不足

端末管理、整備などを担当する職員が必要。現在の人員では手に負えない。【小学校・教頭】

勤務している市では、ICT専門員がおらず、教員に任されているため、負担が大きい。ICT機器に長けている人がいる学校では、推進が進んでいるようだが、本校は得意な人が少ないため、推進は進んでいない。【小学校・教員】

ICT担当は、所詮教員の中でICTに比較的詳しいに過ぎない。専門の人間の配置がほしい。【中学校・教員】

ICT支援員が週1しか来ないので、困っている。【小学校・教員】

児童生徒への指導が難しい

勝手にパスワードをかけ、それがわかんなくなってしまう児童がいると、解除できず業者に出すしかない。再設定に1ヵ月もかかるので、子どもがパスワードをかけらないような仕様にすべき。【小学校・教員】

授業中に関係のないアプリを開いている生徒も多く、生徒が授業に集中しないきっかけになっている。ゲーム依存のように、気づいたら触っているという生徒もおり、やはり、ある程度の規制をしないと、結果的に生徒の学習機会を奪ってしまっていると思う。生徒が聞こうと思う、興味深い授業をすることが求められ、もちろんそのために自己研鑽しているが、ゲームや、ネットサーフィンには負ける。【小学校・教員】

児童がどのページを覗いているのか、把握しにくいアプリしか入っていないので、抜け道ばかりで指導が大変です。【小学校・教員】

iPad依存症のようになっている生徒もいる。(授業中画面から目が離せない、登下校中も操作してしまう、家でも同様、など。)休み時間のゲームや画像(画像を保存すれば漫画も休み時間に読める)で充電を使い、肝心の授業で十分に使えない生徒もいる。市内のネットパトロールにひっかかった生徒への聞き取りも教員の仕事(家庭にいる時間に「死にたい」などの特定の言葉を検索した生徒の情報が学校に来る。もちろん保護者に連絡するのも教員)。「学習のために使うもの」として貸与しているが、生徒にとっては「おもちゃ」か「重い荷物」でしかない面もある。毎時間授業で活用している身としては、歯がゆい部分です。【中学校・教員】

学校によってルールが異なる

都道府県によりルールがバラバラなので、異動された方への説明が大変。全国でとはいかないまでも最低でも各都道府県レベルでは統一してほしい。現場ごとの情報分掌担当者の負担が大きいです。【特別支援学校・教員】

ルールは管理職の考えによってマチマチである。なので、異動前の学校ではできていたことが異動先の学校ではできないということが生じている。子どもたちに自由に使わせる。トラブルはあって当たり前、それを子どもたち自身に乗り越えさせる。学校や大人の都合で制約をつけない。これらのことは、先進的に端末を使わせているところでは当たり前の考えなのだと理解しているが、後進的なところは制約に走るのだと認識を新たにした。【小学校・教員】

教員の知識が不足している

今年度だいぶ整備されたが、まだWiFiのことや、苦手意識のある先生が使うのが難しい仕組み(そのため何度も研修を行っている)、そして進級処理の煩雑さが感じられる。一教師が情報担当としてするにはなかなか重たい役だと感じている。【小学校・教員】

環境を整備するリーダーがおらず、リーダーを育てる手法もない。情報も共有されておらず、一元化もできていない。各校のリーダーも必要だし、教育委員会内の部署もマンパワー不足。【小学校・教員】

まとめ

校種を問わず、全体的にICTの導入が進んでいることがわかりました。ICT活用を推進する意欲も高い傾向が見られました。一方で、具体的な課題については、GIGA端末の不足や通信速度制限、アプリの利用制限、故障、充電などさまざまな視点での声が寄せられました。

課題として最も多く上がっていたのは、小学校では「ルールにより、使いたいアプリやサイトを使用できない(66%)」、中学校では「生徒用のGIGA端末が足りない(66%)」、高等学校では「校内でGIGA端末の通信速度が遅くなることがある(54%)」「ルールにより、使いたいアプリやサイトを使用できない(54%)」でした。自由記述の回答では、ICTに詳しい専門家の不足やGIGA端末を学習に活かすことの難しさ、学校によるルールの違いを訴える声もありました。


▼ 自由記述の回答一覧は、以下よりダウンロードしてご覧ください。 ▼

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大阪府内の小・中・高生については、教育活動の一環として学校単位で大阪・関西万博へ無料招待すると報道がありました[報道記事]。他府県でも、大阪・関西万博へ遠足や修学旅行を検討している所もあるでしょう。
NPO法人School Voice Project が運営するWEBアンケートサイト「フキダシ」では、大阪・関西万博への無料招待について、現職の教職員の方がどのように思っているか、アンケートを実施しました。

アンケートの概要

■対象  :全国の小〜高校年齢の児童生徒が通う一条校に勤務する教職員
■実施期間:2024年2月10日(土)〜2024年2月26日(月)
■実施方法:インターネット調査(実施時の設問はこちら
■回答数 :156件

アンケート結果

設問1 万博に学校行事として参加することをどう考える?

Q1. 大阪府下のすべての学校が大阪・関西万博2025に学校単位で無料招待されています。学校行事の1つとしてそれに参加することについてあなたはどう考えますか。

回答者数は、大阪の方が全体の2/3とやはり多くなっているためその点を差し引いて考える必要はありますが、近畿(2府4県)、全国へと回答者の層を広げて見てみても「反対」「賛成」「どちらとも言えない」の比率は大きくは変わりませんでした。

設問2 「賛成」の理由

Q2. 設問1で「賛成」を選択した方は、理由を選んでください。(複数選択可)

「賛成」を選択した方の理由はこちらのグラフの通り、「貴重な体験ができる」が最も多く、次点が「教科学習・総合とつなげられる」、その次に多かったのが「学校・家庭負担の軽減」でした。現場にとって負担軽減になると考えている方はそれほど多くないことが分かります。

設問3 「反対」の理由

Q3. 設問1で「反対」を選択した方は、理由を選んでください。(複数選択可)

「反対」を選択した方の理由はこちらのグラフの通り、「目的に合っていない」が最も多く、次点が「何ができるかが不透明」、その次に多かったのが「行事が増えて負担」でした。現場にとって負担であるという意見も多いですが、それだけでなく教育的意義の観点から反対の立場をとっている方が多いことが読み取れます。

設問4 「どちらともいえない」の理由

Q4. 設問1で「どちらともいえない」を選択した方は、理由を選んでください。(複数選択可)

「どちらともいえない」を選択した方には、「反対」「賛成」の両方の理由から、複数回答で同意するものを選んでもらいました。その結果「何ができるかが不透明」という項目に最も多くの意見が集まりました。

設問5 行くとなった際の期待や懸念は?

Q5. 2025年度、学校行事の1つとして大阪・関西万博に児童や生徒を連れていくとなった場合、どんな期待や懸念がありますか? 自由にお書きください。

期待

貴重な体験の機会である

歴史的な瞬間に立ち会える

大阪で育つ子どもたちにとって、この時代に万博に行けるタイミングは今しかできない経験だから、子どもたちの将来に何かしらの影響はあると期待する。大人の事情は様々あると思うが、将来がある子どもにとって学校の中ではできない経験は貴重である。

普段見ることができない、体験できないような経験ができること。幅広い視野を持つ一つの機会となること

一生に何度行くことができるかわからない万博を体験してもらえることはとても大きな意義があると感じる

普段では経験をできないことを子どもたちに行事として参加させることができるのは、たいへん有意義なものだと考えます

学習の機会として活かせる

色々な国の文化に触れる事ができ、海外への興味関心が生まれる

社会や総合と絡めて体験的な学習ができるため、とても貴重な経験となるのではとも思う。参加するのであれば、児童がどんな学びを得て、どんな姿につながるのかが明確に示されたり、業務の簡略化ができるような仕組み(たとえばバスの手配は府がする、見学や体験にサポーターがつくなど)があったりすると良いと考える

世界の今がわかる、最新のテクノロジーや芸術に触れることができる

地元大阪にいながら、世界のことについて学べることが利点

ミラブルの開発者は70年の大阪万博の全身風呂から着想を得た。子どもたちが今回の万博を見て色んなことに挑戦してもらえるという期待

地域の方が万博に関わっておられるので上手く探究に繋げられれば実りあるものになりそう

こちらの持っていき方次第で、さまざまな授業と結び付けられる

小学校高学年以上については、「大阪・関西万博」の是非を問う学習を行うことが期待できます。開催までの経緯や、かかった費用、環境面での負担、経済効果、開催後の跡地利用まで、全てを調べた上で、開催の是非を問う、という学習を行えば、かなり深い学びになるのではないかと思います

物事がオンラインで進められていく中で、実物に触れる体験ができる。匂いや温度感など、その場でしかわからない。現地に行かないとわからないことがあるということを感じてほしい

家庭背景に関わらずどの児童生徒も参加できる

ご家庭では行かない児童もいるので、とても貴重な経験になると期待しています

いろいろな子どもたちが、属性にかかわらず大阪万博を見ることができるのは、一定いいとは思う

懸念

安全の確保やトラブル対応ができないのではないか

勤務校が1000人近い大規模校のため、どのように現地に行くのか、交通手配や混雑時の対応、トイレや昼食場所の対応など挙げるときりがないほど懸念材料があるため行きたくない

人工島なので、軟弱地盤や有害物質の埋設、東南海地震などの災害時の対策や避難誘導ができない。生徒や自分を守ることができない場所への引率は、できません

危険性が大きい。アクセスは、地下鉄かバスだけで、10万人以上が殺到した場合の危険性は計り知れない

交通手段が現在のところ整っていないのも懸念材料である。万が一会場で地震等の災害が起きた場合、安全に避難できるとは思えず、地盤への不安もあるため、むしろ連れて行くべきではないと考えている

下見ができないと、計画を立てることが難しい(支援が必要な子の移動、施設見学の時間、事前・事後学習の材料がないなど)

震災で津波が発生した場合、避難のしようもない夢洲に子どもたちを動員すること。産廃やごみ焼却灰、化学物質などの土壌汚染が深刻な夢洲で子どもたちの健康に悪影響が懸念される

大変混雑されることが予想される万博内またはそれまでの道中で起こるトラブル(迷子・誘拐)のことを考えると、子どもの安全を確保できず、また教員の負担が増すことが考えられます。

教員・学校の負担、他の授業や行事へのしわ寄せ

手続きや事後報告で新たな事務作業が増えてしまう

ただでさえ授業時数が足りないため、抜けた分の授業を補填する必要が出てくる。また、会場までの交通ルートが混雑することが考えられるため、そのための対策を考えたり、当日も相当な労力を費やすと思われる。まだ全容がみえず、生徒にとって魅力のある、よいものかどうかの判断がつかない

日付の指定などをされるのであれば、例年の各学校行事などの日程に影響が出ないか。当日の様々な手筈の設定や周知・連絡が遅く、土壇場になって現場任せ(現場に全て丸投げ)の状態になり、こちらの業務が逼迫しないか。

学校によるかもしれないが、小学校の場合、特に小規模校の場合、交通機関も使うとなると児童の安全考えて、普段の校外学習より付き添いの教師の数の増やす必要性が生じてきます。今学校現場は担任が不在のところがあれば、病休含めさまざまな理由で休まれている教員の代替教員も配置されず、普段の校外学習でも実施するときは大変な状態になっています。(中略)一定の教育効果があるかもしれませんが、今多数の府民や教員の一番の願い。それは今の教育現場を考えたら、多様化してくる子どものニーズ(登校拒否児童含め)に応え、向き合うことができる量・質とも学校体制の強化に無料招待にかかる財源(税金)を使ってほしいという願いにあるのではないでしょうか。

教育的意義がどこまであるのか

混雑していると体験時間も待ち時間で終わってしまわないかが心配です

遠足という行事を生徒に行き先や工程、クラスのレクレーションなどを考えさせる機会と捉えている学校において、行き先を決められ、かつ創意工夫の余地を奪われることに危機感を感じる。(中略)遠足は各学校が時間をかけて意義を構築してきた行事である。また、ノウハウなども引き継がれているものである。それを奪ってまで万博を強制すれば、現場からの反発や分断が生まれ、結果として生徒や児童にとってマイナスになることが懸念である。

そもそも学校とは教育目標を果たすために、児童の成長を最優先して教育活動をしていく機関である。そのために教育の専門家である教師が、専門性に鑑みて活動を精査し創造していく事が求められているはずである。しかし、学校周辺の活動にはまずは児童ではなく自分たちの自己満足であったり、存在意義の広報のために必要としていない活動が少なくない。これを増やしていけば増やすほど、教師たちは考えなくなり、同時に本来の教育目標を果たすために現場はひっ迫していくのである。そのため関西万博の参加を教育活動とするのならば、まずは現場に余裕のある環境をつくるのが最優先である。その上での参加なら理解できる。

行事には目的が必要。多くは「協力して計画を立てる」「事前学習をする」「実際に体験する」「学びを振り返る」という流れだが、万博は班で行動計画をたてて見学するような場所とは言い難い。 (中略)「各国の展示の事前学習をして見に行って振り返る」だけでは、魅力に乏しい。すでに各学校で予定されている行事より学ぶ価値があり、よい経験になるかどうか。

そもそも万博に教育的なものがあるかが分からないので行ってただ見るだけになると、授業や他の行事を削ることは痛手だなと思う。

教育への介入、政治利用ではないのか

そもそも学校から連れていく理由がない。入場者数確保のために子どもを動員するというのであれば、教育ではない。遠足や校外学習の行き先は、学校が独自に決めることであり、無料招待などというごまかしによる、教育への不当な介入である。

万博を誘致した政治主導の政策に子どもたちを巻き込むのはあまり賛成しません(そもそも万博自体に懐疑的です)。震災の影響、物価の高騰によって、万博ができるのかという議論もあります。希望する学校はなど選択肢があると良いと感じます。

教育現場のことを府が決める意味がわからない。生徒にとって、教員にとって、行事は大変だけど充実感のあるもの、にするために対話しながら決めたりしていくものだと思います。(中略)魅力、懸念事項も整理できていない不確かなものに、生徒の貴重な行事の時間を使うのは、それも府が強制しようとしている現状には納得も、理解もできません。

子どもにチケットをくれて、行きたい人が行けばいい。学校単位で活かされるなんて「動員」としか感じない。本来やっている行事の意義よりも、上から押し付けられるイベントが上位に来る構図がおかしい。

税金の使い方、万博そのものへの疑問

そもそも、万博開催について、ここまでの府や市の政治の動きに違和感が募っています。反対の声が署名運動によって集まっていても、その声に耳を傾ける様子もなく、やると決定したらやるという強引なプロセスに強い疑問を持っています。また、予算(税金)の使われ方について、今の教育現場では、本当に教員も子どもも苦しい状況にあったり、生活の苦しさから子育てで悩みや苦しむ家庭があることや、子どもが大学まで通うお金が工面できず進学をあきらめたり、サポートが必要な家庭が少なくない状況にあります。万博に税金を使うなら、どのような家庭に生まれた子どもでも学習できる権利を保障するために税金を使うことを政治に強く求めます。万博より、「今苦しい状況にある家庭、子どもたちの教育環境への支援を」という強い願いがあるので万博には賛成できません。そういう考えを持っているので、子どもたちに「万博へ行く」ということの良さを伝えることができないです。

なぜ万博がを開催するのかわからない、莫大な税金を使うべき道が他にたくさんある、などすでにたくさんの生徒が疑問をはっきりと表明しています。教師も納得していない、生徒も疑問に思っている状態で、どのようなモチベーションで意義ある取り組みにできるのか、全く見えてきません。

生徒たちに、夢や希望、目標がもてるような博覧会になって欲しい。博覧会の予算がかさみ教育費に負担がかかったり、皺寄せが来ないかが心配。将来の宝である生徒たちに、人とお金をもっとかけて欲しいです。教育には、お金がかかるもので、まず義務教育にかけて欲しいからです。

まとめ

今回のアンケートでは、学校単位で大阪・関西万博へ無料招待するという方針について、現職の教職員の方の意見を聞きました。

本記事では、わかりやすく整理するためにコメントの内容を「期待」「懸念」に分けて抜粋しましたが、実際には期待と懸念を両方併記で記入された方がとても多かったことが印象的でした。期待については、普段できない貴重な体験ができること、教科や総合の学習と結びつけることができる可能性について言及された方が多かったです。一方で懸念としては、安全確保の面での不安、教育的な意義のある活動にできるのかどうか(”行っただけ”にならないか)、教育への政治介入ではないかといった声が集まっています。「子どもたちを無料招待すること自体はよいと思う」という意見は多い一方、「学校行事として行く必要があるのか」「強制はされたくない」という意見も散見されました。

アンケート実施の時点で、「万博そのもの」や「無料招待」の内容(交通費は出るのか、日程調整はどうするのか、下見はできるのか、何を見学・体験できるのかなど)が不透明であることに不安を覚えてる方や、それが分からないから賛成反対の判断がしづらいというも多いようでした。少なくとも、従来、遠足や校外学習、目的、計画、下見、安全配慮などを行なって実施されており、そのプロセスが踏みづらい状況が起きているということは言えそうです。

現場の教職員の期待や懸念を聞き、それを踏まえた情報開示や方針決定がなされる必要があるのではないでしょうか。

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