
【教職員アンケート結果】通常級における特別支援学級在籍の児童生徒の扱いについて
特別支援学級在籍の児童生徒が通常級と交流する中で、「通常級の一員としてどのように位置づけるか」は、学校現場で悩みやすく、違いが出やすいテーマの一つです。
この扱いは、制度上の整理だけでなく、現場の運用や配慮によって形づくられている面もあり、名簿への記載の仕方(載る/載らない、載る場合の並び順)や、交流級に机・ロッカーを設置しているかどうかなど、学校や自治体ごとにも様々な違いが見られます。
通常級における特別支援学級在籍の児童生徒の扱いについて、全国の教職員の皆さんに実態をお聞きしました。
アンケートの概要
■対象 :全国の小〜高校年齢の児童生徒が通う一条校に勤務する教職員
■実施期間:2026年1月16日(金)〜2026年3月23日(月)
■実施方法:インターネット調査(実施時の設問はこちら )
■回答数 :59件
アンケート結果
設問1 通常級の名簿に支援級の児童生徒は載っている?
Q1. あなたの学校では通常級の以下の名簿に支援級在籍の児童生徒は載っていますか?

出席簿
全体の回答では、「載っていない」が51%、「載っている(名簿の最後)」が10%、「載っている(他の児童生徒と同様)」が39%という結果となりました。
校種別に見ると、小学校は「載っていない」が最多の62%であるのに対して、中学校は「載っている(他の児童生徒と同様)」が最多の52%となり、校種間に差が見られました。
また、「載っていない」という回答が全体の過半数を占めたのは、3種類の名簿の中では出席簿のみとなりました。
健康観察簿
「載っていない」の回答が全体の25%、「載っている(名簿の最後)」が14%、「載っている(他の児童生徒と同様)」が61%という結果となりました。
小学校と中学校は、いずれも「載っている(他の児童生徒と同様)」の回答率が6割を超えており、出席簿ほどの差は見られませんでした。
学級名簿
「載っている(他の児童生徒と同様)」が全体の68%、「載っている(名簿の最後)」が17%、「載っていない」が15%と、3種類の名簿の中で、支援級在籍の児童生徒の記載率が最も高いという結果になりました。
また、健康観察簿同様に、小学校と中学校のいずれも「他の児童生徒と同様に載っている」の回答が7割以上と、大きな差は見られませんでした。
設問2 通常級の教室に支援級の児童生徒の机・ロッカーはある?
Q2. あなたの学校では通常級の教室等に支援級在籍の児童生徒の机やロッカーがありますか?

机に関しては、全体の9割以上の学校で、通常級側にも支援級の児童生徒の机が設置されているという結果となりました。その一方、ロッカーに関しては、「ある」の回答がいずれの校種でも約8割となり、机よりは配置されている学校が少ないことがわかりました。
この結果は、回答数に限りがある中ではありますが、机に関して14校に1校、ロッカーに関して5校に1校は、「支援級の児童生徒のための設備が通常級にない」ということを意味しています。特にロッカーについては学校の設備上の問題もあると考えられます。
設問3 支援級の児童生徒の名簿・設備について、考えること
Q3. 支援級の児童生徒の名簿・設備上の扱いについて、あなたの意見を聞かせてください。
扱いが異なることの是非
同じ扱いにすべき
わたしの自治体の小学校では、支援級にいる時間より通常級にいる時間のほうが長いので、他の児童と同じでないほうがおかしいと思います。【小学校・教員】
通常級の名簿や設備に支援級に在籍している子も含まれるのが当然だと思います。含まれないのは区別ではなく差別にあたるとも思います。【小学校・教員】
通常学級の名簿に支援級在籍の児童生徒は載っていなかったり、通常学級に机やロッカーがなかったりする学校が存在することが信じられない。【小学校・教員】
通常学級の名簿の最後に支援学級の子が入っています。集会など、みんながいるのか確認しやすいですが、やはり『お客さん』感はぬぐえません。【小学校・教員】
出席簿については仕方ないとしても、健康観察簿、名簿については隔てなく出席番号としたらよいと感じる。そこから、子どもたち同士の間にも「別の学級」という感覚も生まれるのではないだろうか。そもそも、出席番号が最後になるのも、教員の側の事情。【義務教育学校・教員】
「分けない」教室が一番いいです。おとなの事情で子どもが過ごす場を支援学級と原学級とに分けてしまわず、「いろんな人がいて、お互い調整しあいながらすごしていける」そんな経験を積めることが大切やと思います。【小学校・教員】
特別な配慮がいらない限り、通常級の子どもと同じ対応をすべき。特別な配慮とは、
車イスなら移動しやすい場所に座席を配置
隣についておく必要がある児童は介助者がつける場所
アレルギーのエピペン所持の児童は各教室の決まったロッカー
など、通常級も支援級も関係なくそれぞれの事情によって対応する。それが、お客さんではなくて、私たちの一員という仲間意識の根底となると考えられる。【小学校・教員】
運用上、扱いが異なっても仕方がない
特別支援級の児童生徒は教科によって参加の有無があること、また、成績処理や指導要録のデータ扱いが別になること等から、事務処理上の都合からすれば名簿の順番は最後になっていた方がいい。【小学校・教員】
支援級の児童の在籍は支援級という扱いになっています。よって、名簿への表記は最後になります。それは途中に支援級の児童が入ると、通常級の名簿の出席番号が変わってしまうからです。公簿の管理上、一人の児童に対して複数の出席番号があることは、リスクが高まり最後に入っている現状です。【小学校・教員】
要録や出席簿などの公簿では、通常学級と支援学級は別で記載と保管をするため、支援学級の児童が通常学級の最後に番号が来ることは致し方ないと思う。実際に自立活動などで別で学習する時間もあるため、子どもたちが自分の整理番号を覚えて地震などから避難する際にも混乱しなくて良いと思う。【小学校・教員】
その他
特別支援学級が親学級なので、名簿や出席簿は、通常の学級に載っていなくても、特に問題ないと思います。【小学校・教員】
支援学級を主にして扱うといいと思う。通常学級と支援学級を区別しているわけではなくて、生徒の実態に合った学級の配置をしていると考えられる。そこで、名簿が何だという議論があること自体、差別的な考えだと思う。【中学校・教員】
絶対に交流級になければならないのは机くらい。あとは、実態に応じて個々に対応すれば良いと思います。【小学校・教員】
意識や制度の温度差
現場内の温度差
名簿や靴箱、カバンだな等は通常学級と同じ扱いですが、担任によっては自分の学級児童として扱うことを拒む人がいます。制度も大切ですが、インクルーシブの理念を全職員が理解してほしい。【小学校・教員】
担任によって対応に温度差があるので、個別に対応している。【小学校・教員】
現任校は学年ごとに対応を微妙に変えていてややこしく、統一して欲しいです。【中学校・教員】
現場と制度・システムの間の温度差
以前働いていた地域では、支援学級が基本で、通常学級に来れる時間だけ来るというスタンス。名簿も同じ並びにない。現在働いている地域では、通常学級が基本で支援学級に行くときには「いってきます」の挨拶をする。支援学級にはランドセルなどを置くことは通常ない。しかし、県としては前者を基本としているため、監査の際には前者であるかのように支援学級を整えている。後者である方が、インクルーシブの形としては良いと感じている。【小学校・教員】
出席簿や各種名簿など、支援学級の生徒もすべて通常級に位置づけており、このほうが自然で交流もすすむと思います。というより、学校の一員として通常学級の名簿から名前が抜かれるということは基本的にありえないと思っています。
しかし、市が採用している成績処理や学籍管理に用いるシステム上では支援学級の生徒は通常学級とは別名簿を基本としているものもあり、すごく使いにくいです。【中学校・教員】
手書きの出席簿(健康観察表)には記載されている。電子出席簿は、在籍児童分しか表示されない仕様になっている。【小学校・教員】
現状の運用の詳細・課題
名簿が異なることで校務が煩雑になっている
健康観察簿は支援級児童も含む名簿ですが、出席簿の際は交流のみの名簿の為、ミスが多く時間がかかります。通知表や指導要録などは支援級が別であるため、再度交流級担任が支援級担任にデータをもらい8名分打ち直すという手間がかかります。【小学校・教員】
支援学級が無い学校と比較すると、名簿上では、在籍数や受験時の調査書の番号など、支援学級の生徒を抜いたものになるため二通りの番号や数字を頭に入れて処理をしなければならない点に注意を要する。【中学校・教員】
出席簿と生徒の目に触れる名簿と、生徒の目に触れない(成績用の)名簿が一致しておらず、つまり子どもたちが知っている出席番号と、公簿上の番号が違っていて、ややこしいです。【中学校・教員】
名簿の種類や場面によって運用を変えている
子どもの目に触れるものは、全て支援級の子が名簿順に入った名簿等を使用している。要録など、公簿においては別々の学級の在籍となるので分けて記載となる。【小学校・教員】
通常学級の子供も、特支の子供も、学校での生活が過ごしやすいように支援を受けているので、事務書類上区別する場合のみ分けて、子供の目に触れる書類では混合でよい。【小学校・教員】
卒業式の証書授与だけは、通常級に混ざり、氏名順になっています。【小学校・教員】
校務が煩雑にならないように工夫している
前任校では、支援級生徒も含めた名前順にして、出席簿や成績用の名簿は、支援級の生徒の番号を欠番としていました。それで何の問題もなかったです。【中学校・教員】
保護者や児童生徒の意向に従っている
ロッカーの有無については、保護者と相談の上、どちらにも設置していた児童もいるし、支援級にしかない児童もいました。通常級だけという児童はいませんでした。【小学校・教員】
完全にインクルーシブを求めるには、支援級生徒を通常学級に全員紐づける必要がありますが、それを支援級生徒も保護者も求めていない実態があります。【中学校・教員】
設備が不足している
机やロッカーは、一般級が40人で定員いっぱいだと、なかなかきついです。机は無理矢理押し込むとしても、ロッカーは40個しか備え付けられていない教室が多いです。【中学校・教員】
支援級8名在籍の交流級40人の学級担任です。(略)来年度は10名在籍になり子どもも業務も増える一方です。教室は児童棚や荷物置きがたりません。【小学校・教員】
まとめ
今回のアンケート結果を通して、学級名簿・健康観察簿で「他の児童生徒と同様に載っている」が約6割、支援級在籍の児童生徒の机が「ある」が9割以上となるなど、支援級在籍の児童生徒を「通常級の一員」として意識づける実践が、多くの学校で行われていることが伺えました。
特に近畿地方の回答者では設問1で「載っている(他の児童生徒と同様)」と答えた割合が8割超、設問2で机・ロッカーが「ある」と答えた割合が約9割となるなど、関東や中部等の地域に比べて突出して高い割合でした。
一方、現場内での対応の温度差がある事例や、公簿管理・成績処理システム等の事情により名簿掲載が末尾になっているという事例も多く報告されたほか、机・ロッカーについては教室設備の物理的制約などの課題があると答えた意見も見られました。特にロッカーについては、5校に1校以上の割合で「通常級に支援級の児童生徒のロッカーがない」との回答となりました。
また、名簿について「他の児童生徒と同様に載っている」と答えた意見の中では、インクルーシブ教育の理念を実現していく一方で、公簿と他の名簿で出席番号が異なることで「二通りの番号や数字を頭に入れて処理をしなければならない」「子どもたちが知っている出席番号と、公簿上の番号が違っている」等の煩雑さを指摘する声もあがりました。
このような煩雑さを避けるため、「児童生徒から見える名簿は通常級に統合し、公簿上は支援級在籍児童生徒の番号を欠番として処理する」という運用を行っているという事例も見られました。
転校等による欠番は従来から存在しており、実務上も大きな問題は生じにくいことから、このような方法は、
- 子どもの所属感やインクルーシブ教育の理念
- 現場の実務上の必要性
の両立を図る、一つの実用的な解決策として参考になるかもしれません。
文科省の見解・方針は?
文科省は「障害のある子供の教育支援の手引 ~子供たち一人一人の教育的ニーズを踏まえた学びの充実に向けて~」(令和3年)および「通常の学級に在籍する障害のある児童生徒への支援の在り方に関する検討会議」(令和5年)において、下記のような方針を示しています。
小中学校等の特別支援学級に在籍する子供については,通常の学級に在籍する子供と共に学ぶ機会を積極的に設けることが重要である。そのため,特別支援学級の子供が,特別支援学級に加え,同じ学年の通常の学級にも在籍し,通常の学級の一員としても活動できるような取組を充実し,子供一人一人の障害の状態等や個々の事情を勘案しつつ,ホームルーム等の学級活動や給食等について,可能な限り共に行うことが必要である。
(中略)
これらの取組を通して,常に通常の学級の子供と特別支援学級の子供が交流及び共同学習ができる環境を整備し,同じ学校の子供であるという意識を意図的に醸成することにも留意する必要がある。(P.32)
参考「障害のある子供の教育支援の手引 ~子供たち一人一人の教育的ニーズを踏まえた学びの充実に向けて~」(文科省,2026年5月21日参照)
インクルーシブ教育システムの構築のためには、障害のある子供と障害のない子供が可能な限り同じ場で共に学ぶことを目指すべき(P.1)
障害のある児童生徒が特別な存在ではなく、当たり前に共存し、通級による指導などの特別な支援も、特別でないと受け止められる環境の醸成が求められる(P.28)
(自校通級について)心理的な抵抗なく別教室に通える工夫が必要(P.11)参考「通常の学級に在籍する障害のある児童生徒への支援の在り方に関する検討会議」(文科省,2026年5月21日参照)
このような記載からも読み取れるように、障害のある児童生徒に対し「同じ学校の子供である」「特別でない」という意識を育むための環境整備は、インクルーシブ教育の理念上、とても重要な要素の一つであると言えます。
同じ学校・学級の子どもであるという意識を醸成するための交流や共同学習の場で、通常級の児童生徒との扱いが過度に変わってしまうことは、逆に学級や所属の違いを実感させる場にもなりかねません。
そのような本末転倒の事態を防ぐためにも、インクルーシブ教育の理念についての深い理解を基礎としたうえで、現場の教職員が抱える実務上・物理上の課題を少しずつ解決していく必要があると言えそうです。
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