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【教職員アンケート結果】自治体単位の研究会(〇〇市教研など)どう思う?

  • メガホン編集部

「市教研(〇〇市教育研究会)」は自治体単位で教科ごとの研究を行う任意団体。活動の頻度は自治体によってまちまちですが、主に放課後の勤務時間内に研究授業などが行われています。同じ教科の教員同士が交流を持つことができる場として大切にされてきた一方で、負担が重くなり業務に支障が出ているという声も聞かれます。

そこで今回は「〇〇市教研」の現状について、全国の小中学校・高等学校の教職員から声を集めました。みなさんは市教研についてどう思いますか?

アンケートの概要

■対象  :全国の小〜高校年齢の児童生徒が通う一条校に勤務する教職員
■実施期間:2024年11月5日(火)〜2024年12月16日(月)
■実施方法:インターネット調査(実施時の設問はこちら
■回答数 :57件

アンケート結果

設問1 「〇〇市教研」などの集まりはある?

Q1. 自治体単位で放課後・勤務時間内に集まって教科ごとの研究を行う、「市教研(〇〇市教育研究会)」などの集まりはありますか?​​​​​​​​​​

「ある」と答えた人は計54人で、全体の95%を占めています。そのうち「原則全員参加」は全体の77%の44人、「自由参加」は全体の18%の10人でした。

この設問は校種による大きな違いが見られ、小学校・中学校では回答者の約9割が「原則全員参加」と回答したのに対し、その他の校種では9名中1名のみが「原則全員参加」と回答していました。

設問2 研究会の負担感はどのくらい?

Q2. 研究会の負担感はどの程度ですか?

負担感があると答えた人は計44人で、総回答者数の約77.2%となりました。「大きな負担感がある」という回答と「やや負担感がある」という回答はそれぞれ22人でした。校種別では小学校の44%、中学校の47%が「大きな負担感がある」と答えましたが、高校では0%でした。年代別では30代の58%が「大きな負担感がある」と回答しました。

Q2-2. 上記の選択肢を選んだ理由をお書きください。

「負担感がある」と回答した人の主な意見

役員・担当の負担が大きい

役員があてられ、研修部なら事前準備と発表当日、研究部は通年で大学のゼミのような活動を行う。役員を前向きに受ける人ばかりではなく、特に研究部は負担が大きい。仕事の合間にできる内容ではない。【埼玉県・小学校・事務職員】

必ずどこかの教科に入らなくてはならず、月一回の研修があるので、負担感は大きい。部長になった場合さらに負担は大きくなる。大きな研究会の運営をしなければならない場合、非常に負担は大きくなる。【大阪府・小学校・教員】

一度役員に選ばれると、抜けられない。役員だけが事務仕事を行っている。役員になると授業参観もできず、何のための研究会か分からない。【宮城県・小学校・教員】

業務に影響が生じる

自校の分掌や学級経営及び学習指導で手一杯だから、校外へ出るだけでも自習の用意だけで負担感がある。人手不足なために誰も大人がつけないケースも出ている。その時間と労力を自校に割きたい。【島根県・小学校・教員】

年間10回程度実施している。
定期考査前後のことも多く、その時間で他の仕事をしたいと感じることか多くある。【東京都・中学校・教員】

夏・秋と2回開催され、必ず課題が課せられます。成績処理や通知票作成と重なり、長時間労働・多忙化を加速させる一因です。持ち回りで研究授業を求められますが、自校の現職研究授業と重なり、大きな負担です。【福島県・中学校・教員】

4時間目で児童が帰っても、結局17時まで研究会があるので、そこから授業準備になってしまう。【大阪府・小学校・教員】

やらされ感がある

特に関心があるわけではないのに、割り当てられた○○主任の仕事として行かねばならないのはいやだ【福井県・小学校・教員】

研究項目が校務分掌担当者は分掌関係の研究グループに加入することとなっており、義務的要素が強く、やらされ感が高い。【三重県・小学校・事務職員】

希望制のはずだが、司書教諭などは学校から一人は参加してほしいという雰囲気がある。やりたくなくても仕方なく参加している人もいるため活性化しない。研究したい側は不満が募り、やりたくない側としては負担。【埼玉県・中学校・教員】

会費も発生している

任意加入のはずなのに、知らぬ間に全員が会員にされており、会費を取られます。実際には一部の人に大きな負担がかかっており、報酬も見合っていません。【宮崎県・小学校・教員】

年間1000円の会費が必要になる【大阪府・小学校・教員】

その他

一部のベテランや組織に所属している職員たちに運営を独占されているため、意味を感じない活動に従事される。強制であるものの建前上は任意の団体なので、時間外の対応も当たり前にある。【神奈川県・小学校・教員】

負担感はあるが、大切な場だと考えている。学校間での交流を通して、自分が関わっている子どもに還せるものがある。また、孤立せずに子どもをサポートできる仕組みづくりにつながると考えている。【大阪府・小学校・教員】

自分は、ベテランなので、苦痛ではないが若い人たちは、課題を準備させられたり、授業のための指導案を書かされたりで、学校の業務にさらに輪をかけて忙しくさせられている。【福岡県・小学校・教員】

日程の調整などが大変【東京都・小学校・校長】

今の職場から40分はかかります。往復の時間を考えると、無駄に思えます。そして、残念ながら、往復の時間を無駄と思うような内容です。【宮城県・中学校・教員】

「負担感はない」と回答した人の主な意見

回数が少ない・加入していない

回数も少ないし、運営も楽しく行えているから。【神奈川県・小学校・教員】

総会は書面、研修会も年に1回のため、あってもなくても変わらないな、くらいに思っています。【新潟県・小学校・教員】

加入を辞めたため。【愛知県・特別支援学校・教員】

参加義務がない

前任までの自治体は全て強制参加だったが、現任の自治体では希望者のみ。市の研修会には受けたい分野の研修が設定されていないので参加せず。よって負担感なし。研修は他で受けている。【東京都・小学校・教員】

出張旅費の予算が厳しいという実情もありつつ、自由参加で不参加を選択できることが大きいと思います。自分に何か役割があたり、準備が必要になったり、原則参加になると負担感は生じると想像します。【北海道・高等学校・事務職員】

その他

実質機能していない。教師の本文でもある教材研究など1人で行わなければなく磨きがかからない。体力的負担はないが、異動で他市に行ったさいやっていけるかなど精神的不安はある。【大阪府・義務教育学校・教員】

他校の先生と意見交換できる貴重な場だと思うから。【大分県・小学校・教員】

設問3 「〇〇市教研」についてどう思いますか?

Q3. 上記の内容に関連して、あなたが思っていることや考えていることを教えてください。

現状についての意見

負担の大きさについて

研修権があるのは良いことではあるが、実施日には休憩時間が全くなくなってしまうのも「自主的な活動」と見なされているとはいえ、半強制的に実施されている以上おかしなことだと思う。【東京都・中学校・教員】

他校の先生と情報交換したり、授業考えたりするのは勉強になるが、みんな余裕のない中で集まるので負担になってしまっています。【大阪府・小学校・教員】

強制的に授業を公開し、行き先を指定された職員が参観する。授業者の負担は大変大きい。参観者は、自ら願って参観するわけではないためモチベーションが低い。該当学級の生徒は不公平感を感じる。(他の生徒は下校)【岐阜県・中学校・教員】

方針についてのジレンマなど

「自己研鑽の場」というが、やらされている感がたっぷりで負担感が大きい。絶対参加なのに毎年千円自腹で払っていること、勤務時間内だからと絶対に行くよう校長から言われていることなど、納得いかないことが多い。【大阪府・中学校・教員】

自分たちが希望した研修内容や平等な関係性のある研修内容ならいいが、バイアスがかかる物が多く、結局誰のためにしているのかわからない研修ばかりである。【福岡県・小学校・教員】

個人研究ではないので、市の方針に従う必要がある。相違があると様々なジレンマに悩まされる。【愛知県・小学校・教頭】

その他

入会に際しての意思確認はなく、会費も強制的に集金されている。【埼玉県・小学校・教員】

多少の負担はあるが、市内の教員が集まる機会があるのはとても大事だと思う。【東京都・小学校・校長】

教員が研究会を通して、他校の教員と研究と修養をして学び合うことも大切である。
市教研全体に何か変化を起こそうとした時の意思決定プロセスがはっきりしていない。組織の形態が古く、前例踏襲するしかないので改善したくてもできない現状がある。【神奈川県・小学校・教員】

みんなが楽しんで参加できるといいなと思うのですが、大半が消極的な参加姿勢だなと感じます。【新潟県・小学校・教員】

今後の在り方についての意見

やり方を見直すべき

毎年、研究テーマに沿って研修会を行うノルマとなっている。役員が輪番だったりずっと同じ人だったりする。市・県・国それぞれのレベルで組織され、その分予算・役員・主張がかさむ。より集約して研究した方が良い。【埼玉県・小学校・事務職員】

子どもが下校した後に他の学校に出かけて研修を受けるという制度自体に無理がある。しかも交通費も出ない。学べることもほとんどない。せめて参加を任意にしてほしい。【大阪府・小学校・教員】

県からくる研究発表の依頼や研究会の開催の下請組織となっている。市町村の研究とは別にやっている、教員たちがやっている独自の学習サークルなどに場所や費用の工面をする形にならないかと思う。【神奈川県・小学校・教員】

形だけの強制参加の研修には意味がない。研究授業も押しつけあいで若手が引き受けされされた挙げ句に血祭りにあげられる。本当に勉強したい人たちが集まって前向きに学んでいける場が保証されたらありがたい。【東京都・小学校・教員】

内容を見直すべき

全体で決まったテーマに対して研究をさせる、という方法ではダメだと思う。自由に学びたいことを学べるようにしてほしい。【東京都・中学校・教員】

研究内容については自ら設定した研究内容に近い分掌でできるようにしてほしい。【三重県・小学校・事務職員】

内容が求めている内容ではない場合が多いので、実態やニーズに合った内容にしてほしい。【宮城県・中学校・教員】

オンラインでの開催について

オンラインのオンデマンド型にして,自由に聞けるようにするだけでよい。場合によっては,PDFの通知のみで良い【兵庫県・小学校・教頭】

リアルか、オンラインかという形態の選択も含め「研究と修養」の時間としていかに有意義な時間になるか検討されると望ましい。意欲よりも義務感が強いものは、構造的な転換が必要。【北海道・高等学校・事務職員】

教員発信でオンラインの研究会を立ち上げ、自治体の承認で成立とし、代替可能にする。教員の主体的学びも促すべき。土日開催の文科省、教委後援の研修も意欲ある教員が参加するので代替可能にして後押しするべき。【東京都・小学校・教員】

回数を減らすべき・廃止すべき

業務量増加と人手不足が相まって、市教研教科部会の研究授業の質が下がっている実情がある。また、公開授業をしたとしても参観者も集まらないので意味がない。市レベルに関しては限界がきているので廃止してほしい。【島根県・小学校・教員】

回数を減らす、無くすなどしてよいと思う。【京都府・小学校・教員】

夏休みにそんなことで集まるなら休ませてほしい。【茨城県・小学校・教員】

学校単体の仕事などの軽減を

特に人権教育について考える場が大切だと思う。しかし、多忙な中、放課後の時間を使っての研究や実践交流を負担に感じる人もいると思う。教員ひとりあたりが見る子どもの人数を減らしたり、他の仕事を減らすなど必要【大阪府・小学校・教員】

教科担当同士での切磋琢磨は必要。他の業務を削るなどしてバランスよく行えるようにして欲しい。【大阪府・義務教育学校・教員】

研修に意義はあると思うが、まず教育委員会がすべきことは、教員の定員が満たされ、勤務時間が守られる状態ではないか。【東京都・中学校・教員】

その他

養護教諭や教育相談担当、司書教諭などは、やはり自校の教員が誰か参加してもらい、情報を提供してもらいたい気持ちがある。多忙な中、形式だけ行い、研究になっていない教科部会は不要。【埼玉県・中学校・教員】

やりたい人だけがやればよいと思う。【神奈川県・中学校・教員】

その他

このアンケートがあるまで、そんなに研究会あるの知らなかったです。高校では、自治体ごとの教研ないのが普通なんですかね?知りたくなりました。【大阪府・高等学校・教員】

まとめ

自分の勤務地で「市教研(〇〇市教育研究会)」などの集まりがあると答えた人が全体の95%を占めました。自由参加とされている人は全体の18%に留まり、原則全員参加の割合が77%と大多数でした。また、小学校・中学校では原則全員参加の割合が約9割となった一方、その他の校種ではそのように答えたのが9名中1名と大きな差が見られました。

研究会に所属することに対して負担感があると答えた人の合計は、総回答者数の77.2%となりました。小学校の44%、中学校の47%が「大きな負担感がある」と答えましたが、その他の校種では0%となり、校種によって大きな差が見られました。「自治体ごとに研究の内容や発表が全然違って異動した時にびっくりしました」という意見もありました。

自由記述欄には「他校の先生と情報交換したり、授業考えたりするのは勉強になるが、みんな余裕のない中で集まるので負担になってしまっています」という意見も。「みんなが楽しんで参加できるといいなと思うのですが、大半が消極的な参加姿勢だなと感じます」という記述もあり、負担の大きさから積極的に学ぶことが難しくなっている現状が浮き彫りになりました。今後については、オンラインでの開催を望む声や回数を減らすなどの提案も見られます。また、やはり研修は必要との意見もあり、そのためには業務改善をする必要があるという声が聞かれました。


▼ 自由記述の回答一覧は、以下よりダウンロードしてご覧ください。 ▼

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