学校をもっとよくするWebメディア

メガホン – School Voice Project

学校をもっとよくするWebメディア

【教職員アンケート結果】GIGA端末更新に向けたICT環境

  • メガホン編集部

文部科学省の調査によると、令和7年度から全国の多くの自治体でGIGA端末の更新が始まります。それに向け、現時点のICT環境の課題について、全国の教職員に聞きました。

アンケートの概要

■対象  :全国の小〜高校年齢の児童生徒が通う一条校に勤務する教職員
■実施期間:2023年11月29日(水)〜2024年2月19日(月)
■実施方法:インターネット調査(実施時の設問はこちら
■回答数 :195件

アンケート結果

設問1 授業や校務のICT活用は推進されている?

Q1. 現任校で授業や校務におけるICT活用はどの程度、推進されていると思いますか?

小学校では24%が「強く推進されている」と回答し、62%が「推進されている」と評価。中学校と高等学校も相対的に高い割合でICTを推進しており、それぞれ34%と39%が「強く推進されている」と回答しています。その他の校種でも62%が「強く推進されている」と答え、全体的にはICTの導入が進んでいることがわかります。

設問2 自身はICT活用を推進したい?

Q2. ご自身として、ICT活用をどの程度、推進していきたいと思いますか?

全体的にICT活用を推進する意欲が高い傾向が見られます。小学校では39%、中学校や高等学校も、36%と50%が「強く推進していきたい」と回答し、ICTの積極的な導入に前向きな姿勢が見受けられます。全体的に「推進していきたい」割合も高く、ICTを教育現場で有効に活用したいという共通の意欲が示されています。また、全く推進したくないと回答した割合は低く、教職員全体がICTの導入に肯定的な態度を持っていることが伺えます。

設問3 GIGA端末活用の課題は?

Q. 次の課題は、現任校でどの程度当てはまりますか?

Q3-1. 「転出入や故障に対応するための【生徒用】GIGA端末が足りない」に関して、どのようなシーンで困ったか・どのように対処したか、具体的なエピソードを教えてください。

年度当初など、新1年生端末の数がすぐにそろわない。故障者には代替えで対応するが、それも足りない時がある。【小学校・教員】

破損が多いが替えの端末がないので、破損しても我慢して使ってもらっています。【中学校・教員】

同一市内で転出入の場合は端末は市教委を通してのやりとりになるが、県外を含む市外からだと申請から届くまでに時間が1ヶ月以上かかり、教師用の端末を貸し出したことが何度もあった。教師用の端末を貸し出すときは付きっきりの時のみ。【小学校・教員】

日頃足りていないので、長期欠席の生徒分をほかの生徒が使っているため、久しぶりに来た生徒に本人の端末を渡せず、予備として教室にある常時充電を繋いでいないと使えない端末を使ってもらっている。【中学校・学習支援員】

Q3-2. 「学校事務職員や講師分を含めると【教職員用】GIGA端末が足りない」に関して、どのようなシーンで困ったか・どのように対処したか、具体的なエピソードを教えてください。

予備機は、学年に1〜2台足りないことがある。講師にあてがわれていることはほぼなく、使うときは、子どものものを借りたりしている。事務職員にタブレットは無い。【小学校・教員】

端末配布は学年担任プラス3台と決められているため、管理職や養護教諭、会計職員などは端末がないことになる。校務がクラウド化しているが、上記の方々に端末がないために、思うように進められない現状がある。【小学校・教員】

全員に端末が行き届いていないので、ペーパーレス会議の時は画面を隣の人とシェアしている時がある。【小学校・教員】

Q3-3. 「学校内で使用する際にGIGA端末の通信速度が遅くなることがある」に関して、どのようなシーンで困ったか・どのように対処したか、具体的なエピソードを教えてください。

文科省や市のアンケートを一斉に実施するのが困難。【中学校・教員】

複数のクラスが調べ物したり、全校でフォームスを使ったりすると一定数回線の影響でできなくなる。時差でやらせたり、再起動したりしてなんとかやった。【中学校・教員】

通信速度が遅くなってしまい、デジタル教科書に不具合が出て、授業が中断することがよくある。その都度、インターネットブラウザを再起動している。【小学校・教員】

学習者用デジタル教科書を開こうとしても、1クラスに2桁近く開かない生徒がいる。どうしても繋がらない時は、紙の教科書に切り替える。【小学校・ICT支援員】

Q3-4. 「学校Wifi(無線LAN)に繋がないと使用できず、 GIGA端末を校外学習や家庭学習で使用できない」に関して、どのようなシーンで困ったか・どのように対処したか、具体的なエピソードを教えてください。

無線LAN及び有線LAN環境が整っていない家庭もあり、無償貸与などのサービスを確保することも一苦労。【中学校・教員】

町探検や校庭の草花を写真でとりロイロノートでまとめていく学習だったが、Wi-Fiに繋がらないため、低学年に写真の入れ方を説明するのに手間取った。【小学校・教員】

生徒端末、教員が使用できる端末ともに基本的に校外学習時などでは使用できない。モバイルルータも使用できるものがあるが、人数に制限がある。【高等学校・教員】

校外学習に端末を持ち出しても、検索など行えないため、オフラインで使える地図を使用した。カメラとして使用する程度で持ち出すメリットが少ない。【中学校・主任/主事】

Q3-5. 「教育委員会や学校で設定されたルールにより、GIGA端末上で学習で使いたいアプリやWebサイトを使用できない」に関して、どのようなシーンで困ったか・どのように対処したか、具体的なエピソードを教えてください。

歴史学習の検索で武器の写真がフィルターにかかって、検索ができずお手上げだった。【小学校・主任/主事】

例えば、タイピングの練習等ができるアプリやサイトがあったとしても、ゲームとしてアクセス制限されることがある。【中学校・教員】

理科などではアプリの方が安価で分かりやすい内容の物があるが、有料アプリという事で使う事ができない。また、CMが入るものもダメだということで無料で良いアプリがあっても入れる事ができない。結局制限されたいいところ、使いやすいデジカメ程度の物になっている。【小学校・教員】

進学に必要な高校のホームページにアクセスできず、確認事項などの作業が進まず、自分のスマホを使うことになってしまった。職場体験で事業者への問い合わせをしないといけないときに受け入れていただく事業所のホームページにアクセスできず、自分のスマホからの対応になった。【中学校・学習支援員】

YouTubeが遮断されているため、見せたい動画がYouTube上にあると児童が好きなときに見るということができない。また、タイピングソフトを使おうとしたとき使えないものがあった。【小学校・教員】

Q3-6. 「計画充電のタイミング等により、授業での使用に合わせてGIGA端末の充電が間に合わないことがある」に関して、どのようなシーンで困ったか・どのように対処したか、具体的なエピソードを教えてください。

夜充電する設定だが、子どもが接続を忘れてしまうと充電できない。個別に、充電器をもっていきその場で充電しながら使用している。【小学校・教員】

毎時間端末を使っていると午後の授業などで充電がたりなくなり、複数の生徒から充電したいと言われる。その場合、コンセント周辺に入れ替わり立ち替わりコードを繋ぎながら、使わせている現状。【中学校・教員】

充電は家でしてくること、としているが実際、1時間目から6時間目まで使おうとすると、3時間連続で使った時点で充電が切れる。【中等教育学校・教員】

Q3-7. 「GIGA端末故障時の対応が煩雑である」に関して、どのようなシーンで困ったか・どのように対処したか、具体的なエピソードを教えてください。

保護者のサインが必要な書類作成の必要があります。故障の経緯などを書く欄もあり、協力が得にくい家庭の場合そのやりとりが大変なときもあります。【小学校・教員】

紛失、パスワードリセットなど市教委と連携しながら探索や再設定をする必要があり、担当や教頭の業務が増えている。【小学校・教員】

故障や破損が起きると、その時の状況を指定の書式に書き込んで校内担当者に提出しなければならない。その上で、管理職・教育委員会に破損状況を認めてもらわないと、破損タブレットを受け取ってももらえない。それだけで1台のタブレットが壊れて教育委員会に送るまで最低3日はかかる、1週間かかることも珍しくない。【小学校・教員】

教科の主任に相談したところ、すぐに対応してもらえた。が、以前勤務していた学校では、IT担当の外部から派遣された方がいる間(10時〜1時)にしか修理してもらえず大変困りました。【中等教育学校・教員】

Q3-8. その他、ICT環境(端末・Wifi・ルール整備)に係る課題として、困っていることを教えてください。

ICTに詳しい専門家の不足

端末管理、整備などを担当する職員が必要。現在の人員では手に負えない。【小学校・教頭】

勤務している市では、ICT専門員がおらず、教員に任されているため、負担が大きい。ICT機器に長けている人がいる学校では、推進が進んでいるようだが、本校は得意な人が少ないため、推進は進んでいない。【小学校・教員】

ICT担当は、所詮教員の中でICTに比較的詳しいに過ぎない。専門の人間の配置がほしい。【中学校・教員】

ICT支援員が週1しか来ないので、困っている。【小学校・教員】

児童生徒への指導が難しい

勝手にパスワードをかけ、それがわかんなくなってしまう児童がいると、解除できず業者に出すしかない。再設定に1ヵ月もかかるので、子どもがパスワードをかけらないような仕様にすべき。【小学校・教員】

授業中に関係のないアプリを開いている生徒も多く、生徒が授業に集中しないきっかけになっている。ゲーム依存のように、気づいたら触っているという生徒もおり、やはり、ある程度の規制をしないと、結果的に生徒の学習機会を奪ってしまっていると思う。生徒が聞こうと思う、興味深い授業をすることが求められ、もちろんそのために自己研鑽しているが、ゲームや、ネットサーフィンには負ける。【小学校・教員】

児童がどのページを覗いているのか、把握しにくいアプリしか入っていないので、抜け道ばかりで指導が大変です。【小学校・教員】

iPad依存症のようになっている生徒もいる。(授業中画面から目が離せない、登下校中も操作してしまう、家でも同様、など。)休み時間のゲームや画像(画像を保存すれば漫画も休み時間に読める)で充電を使い、肝心の授業で十分に使えない生徒もいる。市内のネットパトロールにひっかかった生徒への聞き取りも教員の仕事(家庭にいる時間に「死にたい」などの特定の言葉を検索した生徒の情報が学校に来る。もちろん保護者に連絡するのも教員)。「学習のために使うもの」として貸与しているが、生徒にとっては「おもちゃ」か「重い荷物」でしかない面もある。毎時間授業で活用している身としては、歯がゆい部分です。【中学校・教員】

学校によってルールが異なる

都道府県によりルールがバラバラなので、異動された方への説明が大変。全国でとはいかないまでも最低でも各都道府県レベルでは統一してほしい。現場ごとの情報分掌担当者の負担が大きいです。【特別支援学校・教員】

ルールは管理職の考えによってマチマチである。なので、異動前の学校ではできていたことが異動先の学校ではできないということが生じている。子どもたちに自由に使わせる。トラブルはあって当たり前、それを子どもたち自身に乗り越えさせる。学校や大人の都合で制約をつけない。これらのことは、先進的に端末を使わせているところでは当たり前の考えなのだと理解しているが、後進的なところは制約に走るのだと認識を新たにした。【小学校・教員】

教員の知識が不足している

今年度だいぶ整備されたが、まだWiFiのことや、苦手意識のある先生が使うのが難しい仕組み(そのため何度も研修を行っている)、そして進級処理の煩雑さが感じられる。一教師が情報担当としてするにはなかなか重たい役だと感じている。【小学校・教員】

環境を整備するリーダーがおらず、リーダーを育てる手法もない。情報も共有されておらず、一元化もできていない。各校のリーダーも必要だし、教育委員会内の部署もマンパワー不足。【小学校・教員】

まとめ

校種を問わず、全体的にICTの導入が進んでいることがわかりました。ICT活用を推進する意欲も高い傾向が見られました。一方で、具体的な課題については、GIGA端末の不足や通信速度制限、アプリの利用制限、故障、充電などさまざまな視点での声が寄せられました。

課題として最も多く上がっていたのは、小学校では「ルールにより、使いたいアプリやサイトを使用できない(66%)」、中学校では「生徒用のGIGA端末が足りない(66%)」、高等学校では「校内でGIGA端末の通信速度が遅くなることがある(54%)」「ルールにより、使いたいアプリやサイトを使用できない(54%)」でした。自由記述の回答では、ICTに詳しい専門家の不足やGIGA端末を学習に活かすことの難しさ、学校によるルールの違いを訴える声もありました。


▼ 自由記述の回答一覧は、以下よりダウンロードしてご覧ください。 ▼

アンケート資料ダウンロード 申し込みフォーム

* 記入必須項目

■お名前*
■メールアドレス*
■立場*
■データの使用用途*
■ご所属
■教職員アンケートサイトフキダシへの登録を希望する
※対象は教職員の方のみです。
■メガホンの運営団体School Voice Project への寄付に興味がある

教職員WEBアンケートサイト

メガホンの記事は、教職員の方からの声をもとに制作しています。
教職員の方は、ぜひ声を聞かせてください。
教職員WEBアンケートサイト「フキダシ」について詳しく知りたい方はこちら

メガホンの記事は、
教職員の方からの声をもとに制作しています。
教職員の方は、ぜひ声を聞かせてください。
教職員WEBアンケートサイト
「フキダシ」について詳しく知りたい方はこちら

メガホン編集部

NPO法人School Voice Project のメンバーが、プロやアマチュアのライターの方の力を借りながら、学校をもっとよくするためのさまざまな情報をお届けしていきます。 目指しているのは、「教職員が共感でき、元気になれるメディア」「学校の外の人が学校を応援したくなるメディア」です。

関連記事・コンテンツ

記事

アンケートのお願い

記事の続きをお読みいただくには簡単なアンケートにお答えください。

※サイト運営の参考にさせていただきます。
※一度ご回答いただくと再表示されません。

ご職業やお立場をお選びください。

あなたの年代をお選びください。