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【教職員アンケート結果】コロナ5類になってどう?

  • メガホン編集部

新型コロナウイルスの感染症法上の位置づけが2023年5月8日から季節性インフルエンザなどと同じ「5類」に移行し、学校現場にも変化が出てきています。

コロナ禍以前に戻したことや、または5類移行後もコロナ禍と同様に続けていることなど、その中には教員がよいと感じるものもあれば、どうなのだろうと感じているなど、さまざまであることが予想されます。

5類移行後の今、教職員のみなさんに学校現場で気になっていることを聞きました。

アンケートの概要

■対象  :全国の小〜高校年齢の児童生徒が通う一条校に勤務する教職員
■実施期間:2023年8月18日(金)〜2023年9月18日(月)
■実施方法:インターネット調査(実施時の設問はこちら
■回答数 :57件

アンケート結果

設問1 教科の授業やクラス運営に関して

Q1. 教科の授業やクラス運営に関して、コロナ5類移行後の今、気になっていることを教えてください。

マスクを外したがらない児童生徒が多い

授業等ではコロナ前に戻りつつありますが、特に高学年の児童はマスクを取りたがらないです。長年「着けなければならない」とされてきたので、子どもたちの表情が自然な形で見れるまで時間はかかりそう。完全にコロナの影響がなくなるのはまだまだ先のように感じます。【小学校・教員】

マスクをはずさない子どもが増えたことが気になります。表情豊かに表現する力が身についているか気になります。【中学校・教員】

体育の授業で「熱中症予防のため、マスクを外してほしい」と言ってもなかなか外さないため、体育の教員は困っていた。5月の体育祭も、リレーの選手が軒並みマスクをしたまま全力疾走をしていた。夏場は体調が心配になる。【中学校・教員】

コミュニケーションスキルの低下を感じる

会話やコミュニケーションの文化が退行したように感じるのは、個人的な感覚でしょうか? マスクをしていて表情がわからない。密接・密集を咎められていた3年間で、相手の表情や口角、語気を体感してのコミュニケーションが薄らいだように感じます。指導要領は「対話的な学び」と謳っていますが、コロナ禍でそれは形式的、形骸化しているように感じます。【小学校・教員】

子どもたちの中にも対極にいる子がいるなぁと感じます。人と交わることを極端に嫌がり、これまで何も言われることがなかった人間関係の持ち方について戸惑う子どもたちと、距離感が分からず、グッと近づいてしまう子(幼少時代に本来経験することをできなかった)。教師は対極にいる子どもたちをもっと意識して、学級をづくりをしていく必要があるかと思います。【小学校・教員】

感染対策の難しさを感じる

グループ等での協議は今の学びに不可欠ではあるが、感染症の不安が全て払拭されたわけではないので、どの程度までならOKかという判断が難しい。【小学校・校長】

現実的には第9波が来ているにも関わらず世間の意識は「終わった」という感覚で生徒、保護者ともに感染防止の意識が薄れて適切な授業形態がとりにくくなっている。【中学校/高等学校・校長】

オンライン授業への対応が負担

出席停止の生徒に授業配信をするのか、しないのかが話題になっていること。【中学校・教員】

学級閉鎖時に「オンライン配信」の話があがり、不安です。対面授業とは異なる準備が必要ですし、学級閉鎖のときは生徒への連絡対応やふだん積み重ねた仕事、閉鎖以外のクラスの授業などをしており休んでいたわけではありません。これって負担増なのではと思います。【中学校・教員】

リモート授業に対する意識が薄くなってきてしまったので、突如リモート参加の生徒が出た時に、準備、活用に戸惑ってしまっている。【中学校・教員】

コロナ禍で一気にオンライン(リモート学習)学習の環境は整い、オンライン学習が可能になりました。しかし、コロナとか関係なく、「眠たくて学校に行くのが嫌だからオンライン学習をしたい」という子どもが出てきたり、弊害も出てきました。教室でのオンラインと対面授業の併用はやりづらいので、「オンライン学習」の線引き(〜の時はオンライン学習可能、〜の時はオンライン学習は不可)は必要かなと思います。【小学校・教員】

設問2 学校行事に関して

Q2. 学校行事に関して、コロナ5類移行後の今、気になっていることを教えてください。

行事の精選が進んだが、元に戻そうとする動きがある

コロナ禍と「働き方改革」が合わさって、仕事内容や行事の精選が進みました。運動会も半日開催になるなど学校側の負担が減りますが、保護者の方の中には「元の状態」を希望する方もあり、バランスが難しいです。【小学校・教員】

まだ手探り状態。縮小し、児童及び教職員の負担を減らすようにしてきたが、5類移行後は従前の学校行事の内容を望む声が保護者や地域からあがっている。また、コロナ禍では、始業式や終業式をTV放送で行っていたのに、5類移行になり体育館に一同に集めて実施している。教職員自体も一同に集めることに執着しているような気がする。【小学校・副校長】

縮小して問題なく目的を達成できていた運動会(体育祭)や式典が、従来の誇大なものに戻そうとする動きが散見されます。せっかくICTデバイスが普及し、ZOOM等のオンライン会議システムも一般化したというのに、児童生徒・保護者たちと振り返りや対話する時間がないまま、上位下達を続ける気質に疑問を感じています。【中学校/高等学校・教員】

元に戻そうとすることに抗う人。元に戻さないことに抗う人。対極にある考え方ですが、子どもたちの成長や学校の存在価値として精選していくチャンスとしてとらえることが重要かと思いますが、続けるか続けないかという二項対立的な不毛な話し合いにどんなアプローチをすればいいのか悩みは尽きません。【小学校・教員】

行事や授業を「コロナ禍前」に戻す風潮があります。コロナ禍を体験した「知見」(オンラインやGIGA端末、クラウド利用など)を加味した「新しい形」での実施を計画して実行していくべきだと強く思っています。【高等学校・教員】

5類に移行した後も変わっていないことがある

始業式や終業式で安易にオンラインで行っている気もします。暑い時期や寒い時期に集まる必要がなくなったのはいいのですが、集まる良さもあったと思うのですが‥。【中学校・教員】

校外学習の頻度が少ない回数になったまま、コロナ以前に戻らないことに疑問を感じる。【小学校・教員】

設問3 教育活動、学校生活に関して

Q3. その他の教育活動、学校生活に関して、コロナ5類移行後の今、気になっていることを教えてください。

給食での黙食指導を継続している

黙食が基本の給食スタイルでしたが、その方が食べるのが早い、静かで気が休まるなど、教師に都合の良いことがあったため、元のスタイルに戻すことをしない教室があります。会話を楽しみながら食事をすることが、子どもたちの発達に必要であることを知らないからかな?と思ったりします。子どもたちの発達について学ぶ機会がほしいなーと思います。【小学校・教員】

給食時間、他のクラスがまだ黙食を続けていて、自分のクラスでは班で食べさせたいがまだできていない。【小学校・教員】

設問4 働き方や組織運営に関して

Q4. 教職員の働き方や学校組織運営に関して、コロナ5類移行後の今、気になっていることを教えてください。

コロナ禍で進んだ働き方改革が元に戻った

コロナ禍で縮小し、働き方改革も進んでいたのに、オンラインでも良いような会合が復活したり、市が主催する行事が復活したりして、何のために知恵を絞って取り組んできたのか分からないことが多々ある。一同に集まってとか顔を合わせてということに市教委自体執着があると思う。【小学校・副校長】

教委は何でも機械的に、コロナ禍前に戻そうとして、研修等も会場での集合型に。リモート形式で培ったものも活用したら効率的だと思うのですが。【義務教育学校・教頭】

対面回帰になりつつある。オンラインで効率化ができていた部分が、対面や参集へもどりつつあり、それを管理職が指示している点、現場とのギャップが生じつつある。【特別支援学校・教員】

コロナ禍を経験し、今までのやり方に疑問を持つ人は増えたと思う。しかし、実際にやり方を変えたという事例が身の回りでは少ないように感じている。【小学校・教員】

教員の仕事が増えている

行事や学校生活、とりくみが以前のものに戻ってきていますが、教員の若年化で転勤の入れ替わりが多くなり、コロナでブランクが空いた分、「以前はどうしていたか」がわからなくなってきています。それらを再構築したり、コロナ禍がきっかけで追加されたメンタルの健康観察や子どもたちの端末の管理など、コロナ前よりは確実に仕事が増えています。しかし、教員は不足しており、学校は疲弊してきていると思います。【中学校・教員】

設問5 その他、気になっていること

Q5. その他の事柄に関して、コロナ5類移行後の今、気になっていることを教えてください。

感染対策への意識が低下している

教員や児童の表情がわかりにくいということで、マスクを外すよう委員会から指示があり、真っ先に教員が罹患しています。(今も)コロナ以外の疾病、インフルエンザ、溶連菌等、抵抗力体力の低下のせいか、疾病の見本市のような有様です【小学校・教員】

生徒が一気にマスクを外すようになった。今までクラス内で感染症の発生はないが、今後発生したら爆発的に増えるのではないかということが気になっている。【高等学校・教員】

現実に起きていることを正確に見ないで、なんとなく「終わった」という意識が蔓延していること。それをマスコミをはじめとする「世間」が推し進めていること。正確な情報の入手が難しくなっていること。【中学校/高等学校・校長】

子どもたちの成長や発達への影響が心配

低学年の子たちの、不登校とまでいかなくともはっきりした理由のない欠席が増えています。コロナ禍に保育園や幼稚園に通っていた子や家庭では、学校を休むことへの抵抗が下がったのだなと思っています。無理して学校に来ることはないと思い、休んでいいよという気持ちもあるのですが、一方で常に1割以上の子がいない学級もあり、気になっています。【小学校・教員】

コロナ禍の3年間で「学校」に対する子どもたちのスタンスが変わっているように感じる。小学校はすでに半数が「コロナ禍しか知らない世代」で、学校というシステムへの不適応も多くなってきている。もちろんコロナ禍以前からのゆるやかな流れと言う方もいるが、この3年間がもたらした子どもたちへの影響は、丁寧に検証する必要があるのではないかと感じている。【小学校・教員】

コロナで学校の教育は抜本的に変わる!と思ったが、ほとんど何も変わらなかった!休校になったり、マスク着用を義務づけられたりしたツケは今後、今の子どもが大人になった時に必ずまわってくるような懸念がある。【中学校・教員】

まとめ

新型コロナウイルスの位置づけが5類に変更されてから、学校現場ではさまざまな変化があったことが伺えました。その一つが、児童生徒や教職員のコミュニケーション。マスクの着用の義務付けがなくなったことで表情を見ることができるようになり、心理的な距離が縮まった一方で、マスクを外すことへの抵抗感がある児童生徒も少なくないようです。長期間マスクを着用してきたことで、コミュニケーションスキルの低下を心配する声もありました。

また、最も多くあがっていたのが、教育活動や組織運営をコロナ以前にそのまま戻そうとする動きへの懸念でした。地域の住民や保護者から学校行事の復活を望む声があったり、教育的意義を考えずに元に戻そうとする動きがあったりすることで、教員の働き方改革にも影響が出ているようです。さらに、状況によってはオンラインと対面の両方で授業を行ったり、急遽オンライン授業の対応をしたりすることがあり、負担を感じている教員もいることもわかりました。

コロナ禍でストップしていたさまざまな教育活動が再び動き始めた今、児童生徒にとってより良い教育環境を、もう一度考えていく必要があるようです。


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メガホンの記事は、教職員の方からの声をもとに制作しています。
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NPO法人School Voice Project のメンバーが、プロやアマチュアのライターの方の力を借りながら、学校をもっとよくするためのさまざまな情報をお届けしていきます。 目指しているのは、「教職員が共感でき、元気になれるメディア」「学校の外の人が学校を応援したくなるメディア」です。

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