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【教職員アンケート結果】どう思う?研究授業のスーツ着用

  • メガホン編集部

日本の学校には、教員同士で互いの授業を見合う「研究授業」という文化があります。今回の教職員アンケートでは、そんな研究授業のドレスコードについて、勤務校での実態とそれについての意見をお聞きしました。

※WEBアンケートサイト「フキダシ」では、ユーザーの皆さんが同業の教職員の方に聞いてみたいことを投稿できる『みんなに聞きたいこと』というコーナーがあります。本アンケートは『みんなに聞きたいこと』から作成されました。

アンケートの概要

■対象  :全国の小〜高校年齢の児童生徒が通う一条校に勤務する教職員
■実施期間:2023年3月10日(木)〜2023年4月10日(月)
■実施方法:インターネット調査(実施時の設問はこちら
■回答数 :30件

アンケート結果

設問1 「研究授業の際のスーツ着用」、必須?

Q1. あなたの勤務校では、研究授業を行う際に授業者のスーツ着用は必須ですか?

回答者数が少ないことには留意が必要ですが、「必須である」が3割、「必須ではないが着用している教員が多い」が5割、「特に言及はない」が2割という結果になりました。

設問2 「研究授業の際のスーツ着用」、どう思う?

Q2-1. あなたは「研究授業の際のスーツ着用」についてどう思いますか?

設問1と同じく回答者数が少ないことには留意が必要ですが、明確に「賛成」という人はおらず、「反対」・「どちらかというと反対」が合わせて約7割、「どちらかというと賛成」が約3割という結果になりました。

Q2-2. 上記の選択肢を選んだ理由をお書きください。

いつもと違う雰囲気になるのが、よくない

ただでさえいつもと違う雰囲気なのに、その上スーツで無駄に子どもの緊張を高める必要はないと思うから。【小学校・教員】

特に小学校では、子どもの背丈に合わせて屈んだり、一緒に遊んだりすることが多いので、スーツは不便です。体育の際に運動着に着替えるのにも手間がかかります。ふだんスーツで授業をしていない場合、研究授業でスーツを着ると、子どもによっては雰囲気の違いで緊張してしまうこともあります。だからこそふだんからスーツを着て授業をするという先生もいますが、そこまでしてなぜスーツを着るのかよく分かりません。自治体によっては、教職員に対する単なる締め付けとして導入されていると感じられる部分もあります。なぜ学校現場のことを何も知らない、現場から遠く離れた人が人気とりのために導入したことを、ずっと守らされなければならないのでしょうか。【小学校・教員】

授業は子どもたちのために行うものである。担任が日常と違ったことをすると、それだけで子どもたちの動きは変わってくる。まして、他の教師が見に来るような研究授業の場面で、前に立つ担任が普段と違った服装をすれば、子どもたちも普段とは違った反応になってきてします。【小学校・教員】

子どものための服装ではないのではないか

スーツを着用するのは自由だが、着用してないと注意される、というのは理解し難い。というのもスーツ着用はどちらかというと、子どもたちに対しての態度ではなく大人に対してのものなので、スーツ着用の強制は大人の目の方を気にしている現れだと思うから。【高校・教員】

本来、参観は子どもの学びを見るものなのに、教師同士が教師を評価、指導するもの、というバイアスがかかると感じている。【小学校・教員】

誰に対しての授業かを考えると、必ずしもスーツの必要はない。 学校の教育活動において、スーツ着用が望ましい場面は年に数回しかない。【中学校・校長】

教員の仕事にスーツは不便である

実際には、スーツでない教員がたくさんいるため。常に動き回る教員という仕事にスーツは、適していない。あちこちにチョークがつくし、板書するときに上着が邪魔になる。自分たちがよいと思っていないものを、これから教員になるかもしれない人に強要するのは、ナンセンス。むしろ、多様性の時代のリーダーとして、場にふさわしい服装を各々が考えて着て、多様性を具現化してほしい。【中学校・教員】

研究授業が設定されている時間も様々で、その前後が体育ということもしばしば。参観のためだけに慌てて着替えるというのも大変だったため、いつもスーツではなかった。これが「いつも着用」となると厳しいなと思う。【小学校・教員】

研究授業に関わらず、仕事のときは常にスーツを着用しているから。 体育などの特別な服装が求められる教科以外はスーツ着用が基本だと考えている。 もちろん、特別な服装が日頃から必要な教科はスーツである必要はない。【中学校・教員】

外部の人が来る場合は着用すべき

外部から講師なども来てもらうわけなので、きちんとした恰好をするのはマナーだと思う。(体育、技術、美術、理科(実験)は別)【中学校・教員】

校外の方(例えば指導主事)が来られる場合等は、スーツの方がいいだろうと思った。【小学校・教員】

普段からきちんとした服装をすべき

普段からスーツ着用しています。人前に出るので、しっかりするのが大事と思っています。【高校・教員】

研究授業のときだけスーツを着用する理由がわからない。 普段からきちんとした服装をすべきで、研究授業のときも同じでいいと思う。【小学校・教員】

普段から身だしなみに気をつけた服装をしていない方が結構見られるので、どちらかというと賛成と感じる。 スーツでなくても、キチンと感が出ていれば良いが、現状を見ていると、無理な気がする。【小学校・教員】

設問3 このテーマについて自由にお書きください。

Q3. このテーマに関連して、日頃あなたが思っていること・感じていることを自由にお書きください。

校種や地域による違いを感じる

小学校は特に、教科ごと着替えるのは大変だと思うが、もう少し身だしなみに気をつけて…と思う方が、男女問わずいるのが残念だし、不快に感じる。 中学の方が、普段からスーツ着用だったり、小綺麗にしている方が多いように思う。【小学校・教員】

地域的にも研究授業の時はスーツで行う。というのがスタンダードである。初任者が研究授業を行ってスーツでなければ確実に指導が入る。【小学校・教員】

そもそも教員の服装が、地域によって様々なのではないかということを最近感じる。私服のような服装で過ごしている地域から、出退勤は必ずスーツという地域もあるようだ。この感覚の違いは何か気になる。【小学校・教員】

日常の服装についての言及

日頃生徒の前で働いている姿のままで何か問題なのだろうか。日頃の身だしなみが、他者に見られて恥ずかしい、困るようなものであれば、それ自体を改めるべきだと感じるし、「研究授業ではスーツを着るように」ではなく、日常に気を使うように指導されるべきだと強く思う。ありのまま、日常の状態を磨かずして、研究授業の意味はないと思う。【高校・教員】

 子ども達にTPOを教える役割がある以上、教員は普段から外部の先生や保護者に見られて困るような格好で授業をすべきではない。とはいえ、子どもと過ごすと泥だらけになるので毎日きちんとしたスーツを着るのは難しい。そうなると、普段から洗いやすいオフィスカジュアルな格好で過ごし、研究授業も同様の服装で行なうのがベストなのでは。【小学校・教員】

なぜ日常業務がスーツでなくてもいいのか、ジャージやラフな格好でいいのかが疑問。 男性がひげを生やしたままでもよく、女性がネイルや染髪をしていることも許容される風潮になって久しいが、一般企業に合わせて変化していくのであれば、「スーツ・もしくはスーツに順ずる格好」が基本の方がいいと思う。【中学校・教員】

服装は表面的なものでしかないのでは

スーツ着用が望ましいとは思うが、必須ではなく、動きやすさができる服装の方が良いとは思う。子どもたちへの対応や、わざわざ研究授業のタイミングだけ着替えたりするのも「こじつけ」るような感じがするから。本来は見てもらうべきは授業であって服装ではないが、服装でとやかく言われるのならば、1時間ぐらいの服装は我慢していると言うのが本音かも。【中学校・教員】

管理職が普段着で参観してはいけない、教えていただくのだから正装しなさいと指導がありました。たかが服装ですが、普段の授業の質を上げることが大切で、その時だけを取り繕うような雰囲気を完全に纏うこの考え方は、あまり心地よいものではないと思っています。 校内研修担当ですが、相手を不快にさせない服装ならなんでもいい、むしろ黒スーツの集団は子どもにも教師にも圧がかかるため禁止、というルールを来年度は追加してしまおうかと検討中です。【小学校・教員】

研究授業に限らず、保護者や指導主事が来る日に普段とは違う格好をすることは好きではない。 保護者や指導主事はお客様ではなくて、ともに子どもを支える同志。 普段通りの恰好で迎えたい。 格好ではなく、振る舞いで敬意を伝えたい。【小学校・教員】

その他

研究授業以外で、スーツ着用を求められることが多く、特に困るのが明言(指示)しないケースが多いこと。 「この話し合いはスーツが必要か」と同僚同士で相談し、探りあっていることが多い。で、蓋を開けたらほとんどの人が正装でした、ということもしばしば。 個人的には、できるだけスーツは着たくないと思うが、管理職が「正装が必要」と考えるなら、はっきり指示を出してほしい、と思う。【特別支援学校・教員】

スーツ着用が当たり前だと思っていましたが、よく考えてみたらなんか変だなあと思いました。【小学校・教員】

まとめ

このアンケートはWEBアンケートサイト「フキダシ」内の『みんなに聞きたいこと』コーナーへの投稿をもとに作成されました。

研究授業のスーツ着用については、「必須」「必須ではないが着用している教員が多い」が合わせて8割となり、研究授業の際のスーツ着用は広く浸透している、一般的になっていることが伺えました。
スーツ着用の是非については、どちらかというと「反対」の傾向が強くあらわれる結果となりました。

自由記述の内容からは、”研究授業の際”のスーツ着用については、普段と違う雰囲気により児童生徒が緊張することや授業を担当する教員へのプレッシャーが強まることへの懸念や、誰のための研究授業なのか?といった疑問、仕事上の実用性の低さへの指摘などの声が寄せられた一方、「職業柄、普段からある程度きちんとした格好をするべきではないか」、「同僚の身だしなみが気になる」といった意見も複数寄せられました。

服装のマナーについては、価値観の分かれるところではあるとは思いますが、各職場で「何のために」「どのような場で、どのようなドレスコードが必要なのか、もしくは不要なのか」という議論や対話を重ね、納得できるルールを見出していくことが大切なのかもしれませんね。


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