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【教職員アンケート結果】議員さんに伝えたい大阪の学校教育の実情(2023年ver)

  • メガホン編集部

本サイトを運営するNPO法人School Voice Project では2022年度、大阪府議会議員と現場教職員の対話の場をオンラインで実施し、好評を得ました。3月に統一地方選挙を控える今年(2023年)は、現職の府議会議員の方に加え、府議会議員選挙に立候補予定の方、さらに府下の市町村議会議員の方および立候補予定の方にも呼びかけを行い、対面での対話の場=議員×教職員「学校の現実を本音で語る会」を企画しました。(こちらのイベントについては別途レポートしています。)

イベントに先立ち、【大阪府下の現職教職員/元教職員の方を対象】にアンケートを実施しました。この記事ではそちらの結果を紹介します。今回は、「部活動」「特別支援教育」「校則」「学校統廃合」「児童生徒評価」の5つのトピック+自由テーマで、大阪の府議会議員・市町村議会議員の方にに伝えたい/議会で取り上げてほしい「”大阪の”学校現場の実情」を聞きました。

アンケートの概要

■対象:大阪府下の小〜高校年齢の児童生徒が通う一条校に勤務する教職員及び元教職員
■実施期間:2023年1月9日(月)〜2023年2月12日(日)
■実施方法:インターネット調査
■回答数:351件

アンケート結果

設問1 部活動のあり方について

●2022年11月、大阪府立高校の部活動について、近隣の複数の高校でペアをつくり合同運営する案「部活動大阪モデル」を発表し、来年度からすべての府立高校で導入を検討していくとされました。少子化の影響による生徒数減少、教員の負担軽減を背景にしているとのことです。
(参考:https://www.nippon.com/ja/news/fnn20221113442817/

●国は中学校の部活動を地域の指導員やスポーツクラブなどに段階的に移行する方針を示しています。(来年度から開始予定でしたが、地域によっては指導者や施設の確保が難しいという指摘や、新たに発生する費用など保護者の経済的負担が重くなるのではないかという懸念を受けて対応を見直し、2023年度は地域の実情を詳しく把握するため調査や研究を行うことになっています。)


【設問1-a】上記の状況を踏まえて、大阪府下の学校における部活動の今後のあり方について、あなたの意見を教えてください。

「部活動大阪モデル」には回答者の51%が賛成もしくはどちらかというと賛成と回答しています。一方で明確に反対の立場の人が明確に賛成の立場の人よりも若干多いという結果になっています。後述する自由記述の内容を見ると、多くの教職員が部活顧問の働き方改革や生徒の選択肢確保は必要性は感じつつ、この大阪モデルの具体的な運用には懸念や不安を感じていることが読み取れます。

地域移行には78%が肯定的な意見でした。利点としてあがっていたのは、「専門的な指導を受けられるので生徒にとって良い」「外部コーチとの会話は教員にとっても新鮮」など。一方で、懸念点としては、「パワハラ、モラハラが横行する可能性がある」「経済格差が拡大する可能性がある」「地域によっては担い手が見つからない可能性がある」などの意見が寄せられました。

【設問1-b】 今後の、大阪における「部活動」のあり方について、自由に意見をお書きください。(任意)

1.部活動の教育的意義

部活動は、各クラブ毎に特徴はありますが、対人関係や目標に向かって努力する(継続する)過程などを含めて、”人間形成の場”として重要な役割を担うことが可能だと思います。【高等学校・現職教員】

部活動は子どもにとっては学校生活の大切な一部分である。【小学校・現職教員】

クラブ活動は、生徒の最も成長する活動。【高等学校・現職教員】

日頃から教員と子どもたちのコミュニケーションが取れますし、学校生活と部活動の両方をみてその子にとっていい教育がわかる。【中学校・元教員】

2.現状の部活動の限界

主顧問になると負担が大きすぎる。吹奏楽部の顧問だったが年間で17日しか休めなかった。【中学校・現職教員】

現在、中学校の多くでは、全員顧問制(お願いという名の強制)である。顧問を希望する・しないを選べるようにしてほしい。【中学校・現職教員】

教職員のサービス残業(無償)を前提に成り立っているのがおかしい。クラブ指導員を導入し、まっとうな報酬を支払うべき。教職員とクラブ指導員の兼務も認めればよい。【高等学校・現職教員】

しんどい、待遇がひどい、バイト以下、交通費もでない。【中学校・現職教員】

顧問がいないと生徒が活動できないので、無理に顧問を引き受け、その結果休日出勤を余儀なくされ、月80時間オーバー勤務が常態化している。【高等学校・現職教員】

3.安全担保や責任体制の懸念(大阪モデルについて)

「部活動大阪モデル」は、生徒に事故が起こったときに誰が責任をとるのか、等考えると、結局付き添い教員・指導をする教員の数を減らすことができず、教員の負担軽減につながるとは思えません。【高等学校・現職教員】

実際に生徒を他校に移動させるとなると、安全面から教員の付き添いは必要で、どちらかの学校の顧問1人では無理。顧問同士で練習計画を立てることになるが、他校との練習計画を勤務時間内にすることは容易でない。(連絡をとろうにも、授業で席を外していたり、授業時間外には分掌業務もあったりと忙しい。)練習計画、移動計画などの書面を作る手間がかかり、仕事が増える(ただでさえ時間がない)そもそも、学校によって授業時間が違い、練習の開始時間がそろわない【高等学校・現職教員】

4.現場の意見を聞かずに方針が降りてくることへの戸惑い(大阪モデルについて)

教育庁が「勝手」にペアリングをし、現場の声を無視しているように感じます。(略)既に部活動で協力関係にある学校のことは無視しています。(略)本当にこの取り組みが課題解決になるのか甚だ疑問です。【高等学校・現職教員】

現職の教員の思いはさまざまだと思います。また各学校の実態もさまざまだと思います。是非、現場の意見を実際の目で見て耳で聞いて心で感じてご判断していただきたいです。【小学校・現職教員】

5.実現性への疑問(外部委託について)

(安全面等)外部委託した場合の生徒たちの身体的心理的安全も確保することが重要と考える。(パワハラ指導、性的な問題にならないなど)【小学校・現職教員】

現実的にはそれを支える人材不足だと思います。退職後の教員の活用もあると思いますが、生徒にとっては、若い先生の方が親しみがあると思います。【特別支援学校・現職教員】

地域移行については指導者が教育関係者でなくなることで部活内のトラブルをどうするのかが疑問。【中学校・現職教員】

6.その他

クラブ指導がしたいために教員になる、またはなった教師がどれぐらいいるか調査してほしい。【中学校・現職教員】

設問2 特別支援教育について

​​2022年4月に文科省から「特別支援学級及び通級による指導の適切な運用について」という通知が出され、特別支援学級に在籍している児童生徒については、原則として週の授業時数の半分以上を目安として特別支援学級において授業を行うことが求められています。大阪では長年、特別支援学級在籍であっても多くの時間を通常学級で共に学ぶ取り組みが行われてきたことから、特に大きな影響が出ることになります。

この点について、あなたの意見を教えてください。

【設問2-a】上記の件について、あなたの意見にもっとも近いものを選んでください

設問の文科省通知に関して、「(大阪独自の)現在のかたちを維持すべき」と回答したのは全体の42%。「通常学級在籍でも個別に必要な支援が受けられるように」と回答したのは36%でした。この70%強の回答は、障害のある子が、通常学級で他の子どもたちと共に学び、共に育つ大阪のインクルーシブ教育を引き続き大切にしたいと言う意見と見ることができます。インクルーシブな教育環境を整備するために、「少人数学級化を進めてほしい」「特別支援学級に在籍する児童生徒の学び方を柔軟にしてほしい」などの意見も寄せられました。

【設問2-b】 今後の大阪における「特別支援教育」のあり方について、自由に意見をお書きください。(任意)

1.カウント数問題(1クラスで過ごす児童生徒の数が定数を超えることを解消してほしい)

大阪では通常学級在籍が基本としながらも、特別支援学級に在籍すると、通常学級のカウントには、入らなくなる。低学年は35人学級といいながら、支援学級在籍の子が多い学年は38人在籍しているクラスもある。発達に課題のある子が増えている中、学級で担任が支援の子もフォローしながら学級経営をするのに、なぜ、カウントされないのかが、どうしても納得できない。【小学校・現職教員】

通常学級で、支援を受けながら学ぶことが必要な児童も多くいます。合理的配慮のもとにその子どもたちに合わせた学びのあり方を選べるようにする必要があると思います。私は障がいの有無に関わらず同じ教室で学ぶことに賛成しています。ただ、学習内容によっては個別で学習することの良さについてもわかっています。そのためにも、通常学級在籍人数と特別支援学級在籍人数ではなく、○年○組在籍人数として35人、できれば30人以下の学級とすることを求めたいです。そこに必要に応じて支援者が入り込み、みんなで学ぶ。場合よっては同じ空間で別の学習をするというあり方も子どもたちにとって良い空間になると思います。【小学校・現職教員】

2.大阪が独自に続けてきた取り組みを継続してほしい​​

今まで人権教育の文脈で、「共に学ぶ」を府下全域で進めてきたのに、突然(の通達で)それを変更されて、いったい今までの取り組みは何だったのかという思いです。大阪府の特別支援教育がどれだけ先進的な取り組みをやってきたのか、学んでもらいたいです。【小学校・現職教員】

他県から大阪にきたときに、子どもたちの距離感(近さ)に驚くほどとともに、互いのあるがままを認め合っているさまに感動しました。教員の質を上げていけば、大阪スタイルこそが世界に通ずる形です。【中学校・元教員】

なぜ地域の学校で学ぶのか。社会は多様です。障害のある子どもがいない教室で生徒たちは何を学ぶのでしょうか?障害のある子どもたちは一生分けられて過ごしていくのでしょうか。一緒にいることが当たり前ではないでしょうか。そこでトラブルや困ったことが起こる、だから考え工夫するのです。今まで大阪がやってきたことに誇りを持って進めていきたいです!【中学校・現職教員】

3.一律の規定でなく、個々に応じた支援が必要

どれだけの支援が必要かは生徒一人一人のニーズによるため、支援学級で過ごす時間を一律に決定するのは適切ではない。通常の学級に滞在する時間、特別支援学級のクラスに滞在する時間は生徒本人の発達段階や心理状況によって変化するものと捉え、本人の希望に合わせて柔軟に対応すべきである。【特別支援学校・現職教員】

特別支援教育は基本的に、その生徒の個別の指導計画に沿って進めていくものだと思います。授業も生徒によって理解の偏りがあるものなので、どの授業を支援級で受けるかなど、担任、教科担当、保護者と話しながら進めていければいいと思います。【特別支援学校・現職教員】

特別支援に在籍してない児童の中にも、たくさんの学習困難な子や、知的にボーダーラインであろう子もいるため、本気で学力をあげようと国が考えるなら教員をもっと配置してほしい。せめて、25人学級を徹底してほしい。細やかに支援してあげたくとも、今のままではこぼれていく子を見ながら、手のうちようがない。【小学校・現職教員】

まず、支援在籍生徒数を抜きにしてクラス編成を行って、それで40人学級を見ている教員もいて、とても無理があると思います。それなら支援在籍をとっぱらって、支援が必要な生徒や、普段そうでない生徒が支援を必要としたときに個別にサポートをしてあげることができる体制を整える(中略)などしてほしいです。【中学校・現職教員】

4.人員不足、専門知識不足

発達障害児童増加の傾向。今までの障害を持つ児童と一緒に支援するには人員不足。居場所不足。【小学校・現職教員】

基本は、同一時間、同一空間、同一教材で、それぞれの単元での個別目標を設定し、仮説を立て、実践、評価を積み重ねて支援は必要に応じて体制を作る。支援担当は支援を通して子どもや支援対象の子どもにとって教科書はじめ指導内容を問題提起していく役割を担うことなどが考えられる。そのためにも教員の増員が早急に必要で教特法の改善が必要です。【小学校・現職教員】

高等学校では支援教育の専門家がいないし、人手も少ないため個別のサポートができない。【高等学校・現職教員】

1対1対応での支援が必要な児童(離席や飛び出し、教室に入れない児童)が多くいても、特別支援の学級数の教諭しかいないため、特別支援サポーターさんがいないとき、学級担任が1人で対応していて、支援も充分にできず、他のクラスの児童の学習も充分にできない状況が多々見られる。学級数以上の人員がほしい。【小学校・現職教員】

5.インクルーシブの理念と実態を広げたい

地域の学校は、インクルーシブであるべきですが、環境が整っていないので、マイノリティは、排除されている様に感じます。支援についても理解ない方が多いと感じます。地域の学校で支援の理解を求めても、受け入れてもらえない。現実を訴えても、少数派になるため、聞き入れられにくい。もっと余裕が必要。支援学校の専門性は高いし、そこを求める人がある限り必要だと思う。教師は支援学校で学ぶことがたくさんある。【高等学校・現職教員】

国連が定める「インクルーシブ教育」と日本の解釈が異なりすぎている。「包括的に」実施されるべきである。【中学校・現職教員】

設問3 校則について

2017年に、大阪の府立高校での頭髪指導に関して、「頭髪が生まれつき茶色いのに、学校から黒く染めるよう強要され精神的苦痛を受けた」との訴訟が起こりました。

それを発端に、問題のある校則をなくそうという動きが全国的に広まり、校則の見直しの動きが進んでいます。今年度(2022年)には、“生徒指導のガイドブック“として位置付けられる「生徒指導提要」が12年ぶりに一新され、そこでは、「校則について確認したり議論したりする機会を設けることの必要性」が明記されました。

校則の見直しについて、あなたの意見を教えてください。

【設問3-a】 上記を踏まえ、校則の見直しについて、あなたの意見を教えてください。

回答者の94%が「校則の見直しを積極的に進めるべき」と回答。子どもの権利や人権の観点から、見直しをしていくことを訴える声が寄せられました。一方で、校則を緩和することだけではなく、慎重に見直す必要があると訴える声も。校則を変えられない現状としては、児童生徒同士のトラブルや地域からのクレームが増加することへの懸念、多忙等により校則について議論のする場の少ないことがあがりました。

【設問3-b】 今後の大阪における「校則」のあり方について自由に意見をお書きください。(任意)

1. 見直さなくてよい

校則を緩めた高校の中では、わがままをより多く通す生徒がヒエラルキーの頂点に立つことが多く、過ごし難い雰囲気になる為、また校則を厳しくして行くところも多い。【中学校・現職教員】

あくまでも学ぶ場であること、共同生活であることを意識する必要はあると思う。なんでもありは違うと思う。【小学校・現職教員】

校則を一律にすることは難しいと思います。それぞれの学校の生徒像が大きく関係し、高校選びもどんな校風や学校生活を求めるか人によって違うものだと思います。ただ、情報化した現代では他の学校とのギャップが目に入りやすく、校則問題が表面化してきたのではないかと思います。そのため各学校が特色を持つために校則の厳しい学校と緩い学校があることは、なにも問題ないことだと思います。【高等学校・現職教員】

2. 校則指導への違和感

必要なルールや規則もあるが、理不尽な校則もたくさんある。納得できずに苦しい思いをしている生徒の生徒だけではなく、指導することにがんじがらめで苦しい思いをしている教師も実は多いと思う。私自身、ツーブロックが駄目だという理由を見い出せず、でも苦し紛れの指導をしてきた。そういう指導で生徒との間に亀裂が生じることは本末転倒。生徒たちが自ら校則を考え作っていける自治の力を育んでいけたらよかったと、反省している。【中学校・元教員】

学校により状況は異なると思いますが、特に問題になっているのは、頭髪指導、スカート丈ではないかと思います。そのような校則に一番しばられているのは教員ではないか、という気がします。私の学校では、頭髪やスカート丈について注意をする教員が、ほとんど指導しない教員に対して不満をぶつけたり、教員が指導方針をめぐって分断されています。指導をしている教員も、ただただ必死に「校則を守らせる」ことを目的にしており、なぜその校則が必要なのかを考えてもいないでしょうし、もちろん生徒は、校則の意味を考えることなく、頭ごなしに注意をされ反発するか、抜け道を見つけてコソコソしているか、です。校則指導は、教育の本質とはかけ離れているなぁとよく感じます。個人的には、校則指導は、教員にとってはストレスと時間の無駄だけなのではないかと思っています。生徒たちにも、自分たちの校則について、嫌なら嫌で、もっとその校則自体や理不尽な指導等について当事者として考えてほしいと思います。【高等学校・現職教員】

校則は要らない。子供をもっと信用すべき。大人になったら、ちゃんとすると信じてあげて。自分達で考えて服装を選ぶなどの自主性を育てるべき。【中学校・現職教員】

3. 変えられない背景

〈時間的制約〉

子どもたちが自らのことにかかわる事項についてきちんと議論し、体験し、学んでいくことが必要だと思いますが、これをするには、その時間をきちんと確保する必要がある。教科の時間を減らすことも併せてしなけば、教員の負担増となってしまうのでは…(一部抜粋)【高等学校・元教員】

〈周囲からの評価〉

子どもたちが自らのことにかかわる事項についてきちんと議論し、体験し、学んでいくことが必要だと思いますが、これをするには、その時間をきちんと確保する必要がある。教科の時間を減らすことも併せてしなけば、教員の負担増となってしまうのでは…(一部抜粋)【高等学校・元教員】

毛を染めていたり服装が乱れていたりすることが「指導できていない学校」「勉強できない子だ」と周りの市民から見られてしまう限り、校則を変えるのは厳しいと思う。【高等学校・現職教員】

校則が厳しいと煙たがられているが、校則に書いていないと何をしてもOKととらえている生徒がいる。生徒、保護者も指導をされたら、「校則に書いていない」「家庭で指導できない」と、「学校で決めて欲しい」と要求される。【高等学校・現職教員】

校則だけ変えるのではなく、世間の「高校生らしさ」感覚や高校生(現在の校則に違反している生徒)を見る目を変える必要があると思う。【高等学校・現職学校職員】

児童が自身で考えて行動できる人になる為には、校則も児童が考えて意見を出すのが望ましいと思う。ただ、小学校だといらないものを持ってきて、なくしたりトラブルになるケースもあり、結果教員が保護者対応などで時間を取られるケースもあったりすると、校則にそういう事を盛り込みたい気持ちも良くわかる。しかし行き過ぎると、山の様な校則を決める事となる。ピアスなども、安全面から言うと小学校低学年ではプールなどで万が一はずれたりするとケガにつながるので、学校には外してきてほしいが、保護者の中には、いちいち指図されたくないと言う方もいる。外国では宗教上の理由から幼児からピアスをつけている人も多いと聞くと、日本で禁止はおかしいのかなぁと考えこむ。髪色も、小学校で金髪にピンクや緑となると、うーんと考える。個人の自由とも考えられるし、難しい問題だと思う。【小学校・現職教員】

〈誰が変えるのか問題〜生徒が主体的に?先生と生徒が?教育委員会が?〜〉

勤務校で制服のあり方について生徒議会を中心に議論を重ねました。想像をはるかに超えて生徒たちはしっかりと考え、相手の意見を受け止め、議論を行いました。その姿に本当に感動し、今まで生徒抜きで決めていたことを反省しています。私たち抜きで現場のことを決めないでほしい。同様に生徒抜きで生徒たちのことを決めてはいけないのです。【中学校・現職教員】

今の社会情勢を踏まえて、生徒、教員、保護者、さらに地域の人も含めて、見直していくべきだと考えます。【高等学校・現職教員】

校則の見直しは必要であるが、様々な意見が出るため、学校に丸投げせずたたき台を提案することや、議論できるだけの時間の余裕(仕事量の見直し)や校則に関する保護者からの問い合わせを受ける機関を設けることなどをしていただきたい。【小学校・現職教員】

人権侵害にあたる校則はトップダウンであっても変えるべきだと思いますし、人権侵害とはいえないけれど説明がつかないような校則は生徒参加の議論を経て、民主的なプロセスで持って変えうる仕組みを整える必要があると思います。ただ、これは基本的には行政や政治というよりは現場教職員の主体性が発揮されるべきところだと思います。(中略)生徒指導提要にもあるように、校則変更の方法の明示化・学校HPでの公表ぐらいは、行政主導で進めてもいいように思います。【小学校・元教員】

4. 変える時の視点

子どもの権利条約に照らして、不合理な校則は抜本的に見直していくべき【高等学校・元教員】

憲法で保障されている「思想表現の自由」に基づき、校則を根本的に見直すべき【中学校・元教員】

学校は生徒を守る場所のはずが、生徒を苦しめる場所になってしまっている場面はないだろうかと考える。また、過ごしやすさが軽視されているように感じる場面もある。もちろん、学校という集団生活の中で過ごすことを学ぶことも大切だが、必要以上に大人の当たり前を押し付けてはいないだろうかとも考える。【高等学校・現職教員】

保護者の立場で…、制服を撤廃して欲しい。小学校・中学校は成長著しく、結局制服の買い直しをしなければいけないので私服購入と差が感じられない。府下は私服の学校がほとんどなので変えてほしい。あと靴下・靴の白がスタンダードだが、新陳代謝の激しい子達の毎日の洗濯が本当に毎日大変です。【中学校・現職教員】

設問4 統廃合について

少子化により「適正な学級規模が維持できなくなる」「学校施設維持が困難になる」等の理由により、大阪府下においても学校統廃合が進んでいます。

●府立高校については、2012年に制定された「大阪府立学校条例」で「入学を志願する者の数が三年連続して定員に満たない高等学校で、その後も改善する見込みがないと認められるものは、再編整備の対象とする」とされ、教育委員会は「再編整備計画」に基づき、今年度発表された3校(平野・かわち野・美原高校​​)を含めて、この10年間で府立高校と大阪市立高校、合わせて17校の「廃校」を決定しました。吉村知事は少子化を背景に今後も統廃合を進める考えを示しています。

●小中学校については、統廃合の方針は自治体によって異なります。大阪市では、2020年に「大阪市立学校活性化条例」が改正され、原則として小学校の学級数は12~24を適正規模として、「教育委員会は適正規模にするよう努めなければならない」と定められました。この規定に基づき、約3割の小学校が統廃合対象となり、すでに10校ほどが廃校となりました。

【設問4-a】上記を踏まえ、以下の選択肢からあなたの意見に最も近いものをお選びください。

積極的に統廃合するべきと、統廃合をある程度やむを得ないとする意見を合わせると全体の77%となりました。一方で19%のかたは進めるべきでないと回答しています。また、自由記述では、現在の統廃合の基準や進め方についての疑問や懸念の声、すでに出ている弊害について多くの声が寄せられました。

【設問4-b】 今後の大阪における「学校統廃合」のあり方について、自由に意見をお書きください。(任意)

1. 「適正規模」の基準

統廃合の基準を見直すべき。(中略)公教育をどこでも誰でも受けられるようにするために、今の学校が設置されているわけだから、地理的な観点からも考慮して、配置するべき。【中学校・現職教員】

統廃合ありきの数字の基準ではなく、いかに子ども、保護者や地域、教職員らの思いや意見を取り入れ考えていくか、議論の進め方等の基準と決め方を示すことが大切だと思う。【小学校・元教員】

統廃合については少子化の社会にあってはある程度はやむを得ないと思うが、統廃合により「適正な」生徒数を維持する以上は学校の規模をなるべく大きく保ち、教職員の数も一定以上の数を維持するようにしてほしい。(略)【高等学校・現職教員】

一クラスの人数を減らしてきめ細かい指導をし、教育の質を向上するなど、別の在り方を探って欲しいと思います。【高等学校・現職教員】

まずは学級の人数を20人を上限にすべき。学校が統廃合されているにも関わらず、学級の人数が変わらなければ、教員の時間外労働時間も減らず、生徒の学力向上にもつながらない。通常学級に在籍しつつ、サポートを必要とする生徒への対応も充分に行えない。【特別支援学校・現職教員】

統廃合は仕方がない部分はある。統廃合されるはずの学校(3年連続以上定員割れ)が残り、後からその基準に達した学校が統廃合されるのはおかしい。【高等学校・現職教員】

3年連続で定員を割ると自動的に統廃合の対象になる、というのはとても暴力的すぎると感じています。定員を割ってしまう学校の多くが、世間で言うところの指導困難校ではないかと思いますが、そのような学校の生徒こそ、生活指導など手厚く指導しなければならないことが多く、そこで勤務している先生方が、多様な問題を抱えた生徒一人ひとりに向き合って、とても丁寧に「社会に出る前になんとか成長をさせてあげたい」というような思いをもって指導されているのを見聞きするたび、頭の下がる思いでいっぱいになります。このような学校は社会には必要だと思いますし、そのような学校でこそ学ぶことができ、成長できる生徒がいます。定員を満たしているかどうかだけで学校の存在意義を判断しないでほしいです。適正な学校規模というのは、学校により違うと思います。単なる数字だけで学校を見たり、切り捨てたりしないでほしいです。【高等学校・現職教員】

2. 地域における公立学校の機能​​

地域に根ざした学校、セーフティネットのような学校まで競争や統廃合の対象となるのは子どもにとってプラスとは思えません。【小学校・現職教員】

「近くに通える学校がある」のが公教育のあるべき姿だと思います。「適正規模」とは何に対して適正なのか?学校がひとつ無くなると地域は空洞化し、経済的にも防災面でも脆弱になっていくと思います。(略)【高等学校・現職教員】

難しい問題ですが、小学校区は特に地域コミュニティの基盤にもなっているので慎重さが必要だと思います。高校については、定員割れ=廃校という今の方法ではどうしても競争原理がベースにある感じがするので、エリアや学校の特色を鑑みて、計画的に統合していくという方法をとれたらよいのではないかと感じます。(略)【小学校・元教員】

財政面がクローズアップされているが、学校は地域とともにあり、地域の学校でもあるので、心のよりどころでもあることを忘れないでほしい。運営するにあたって、統廃合やむをえない場合もあると思うが、校区が広くなるなど、問題点もあるので、慎重に進めてほしい。【小学校・現職教員】

公立学校は国民に、府民に何を担うのかを考え直してみることが必要ではないか?【高等学校・現職教員】

財政ももちろん大事な問題だが、その天秤の片側に公教育の価値や意義などは果たして乗っているのだろうか。【高等学校・現職教員】

地域における学校という感覚で考えると、むやみな統廃合はナンセンスだと感じます。生徒に対する教職員の割合などを鑑みて、教職員数を調整することで学校を維持することができないのかについて探ってみたいです。校舎の空いている教室を、地域に開いたり、地域の方から教育のサポートを募ったり、単に統廃合によるこどもの数の調整ではなく、今後少子化がより一層進んだ時にも生きてくる方策を探りたいです。【高等学校・元教員】

「その後も改善する見込みがないと認められるもの」というのは厳しい言葉ですね。廃校予定の高校に工科高校などが入っているのを報道で見て驚きました。私は八尾市内の勤務ですが、八尾東大阪はものづくりが特徴的な地域。経営者の方で工科高校の出身の方もいます。一概に「定員が割れているから」「改善の見込みがないから」必要がなくなるという訳ではないと思います。【特別支援学校・現職教員】

3. 通学への影響

校区が広くなることで、通学が遠くなるなど危険も多い。災害時の避難場所としても存在意義はあるはず。【小学校・現職教員】

これから子供が減っていくことが統計上わかるので、閉鎖もやむを得ないが、もう少し、地域のこと、通学のことを考えて閉鎖校を検討すべき。閉鎖するなら私立に助成を出すのではなく、通学助成をすべき。【高等学校・現職教員】

登下校にかかる時間や橋や川を渡る等、大阪の地形的にかんがみる事があります。【小学校・現職教員】

最優先は通学の安全確保。学校選択制もこの点を親任せにしており、行政として無責任。【小学校・現職教員】

生徒数が少なすぎて、行事ができないことは問題であるが、校長がすべての生徒を把握できるほど個人を大切にしている学校を統廃合によってなくされつつある。1クラスの子どもの数が10人以下となれば統廃合を検討すべきかもしれない。通学距離も含めて可能かどうか検討し、一律に数字だけで決めるのはよくない。【高等学校・元教員】

​​​​学校がなくなるということは、学校が担う地域の機能も失われることに繋がる。また、通学距離が長くなることや地域で子どもを育てるという感覚が薄くなることも懸念される。【中学校・現職教員】

公立学校というのは、地域に根差した教育で、地域に住んでいる人のために行っているものです。統廃合が進むと、遠距離を通わなくてはならず、児童・生徒・保護者への負担が大きくなります。また、少人数クラスで行き届いた教育を受けられていたのが、大人数クラスでの教育を強いることになり、マイナスでしかないと思います。わたしは京都府南部に住んでいたことがありますが、そこで統廃合があり、山間部地域のこどもたちは市がチャーターしたタクシーで通っていました。が、多少の大雨や強風でタクシーが来られず、学校を休んだり、大幅に遅刻せざるを得なくなったりと、教育格差を広げてしまっていました。【中学校・元学校職員】

高校において統廃合は入試倍率の低下を防ぎ学力の低下を防ぐ意味もあるはず。小中学校においては学校までの距離が遠くなることで不登校になりやすい現状を感じている。現在岡山で勤務している中で感じるのは、サポートスタッフを配置し不登校や特別支援の対応を行うことで教員の負担を減らしていくことなどが盛り込めるのであれば統廃合のデメリットの解消につながる可能性があると考える。【中学校・元教員】

4. 私学との関係

今は私学助成があるから、低所得世帯の子どもたちも私学に進学する選択肢のハードルが低いが、これがなくなったとき、高校に行けない子どもたちが増えていく心配もある。【小学校・現職学校職員】

調整がうまくできていない定員割れは公私の結果。【高等学校・現職教員】

学校によるとは思うが、私立の現状(教室数の不足、教員の質の低下、公立で守っているルールが私立にはない等)を聞くと、公立校の代わりに私立に手当を厚くするというのは再考する必要があると思う。【高等学校・現職教員】

公立だけでなく私立も統廃合を進めるべきで、私立の募集定員はもっと減らすべき。まず、私学助成をすべて廃止すべし。そうすれば公立に生徒は戻ってくる。余裕のある家庭に私学に行ってもらう本来の形にすべきで、その上でなら、今の基準での統廃合は仕方ないと思う。【中学校・現職教員】

諸費用を考えれば、経済的負担からできれば私立に行きたくない家庭の子が私学に流れる現行制度が本当に良いのかという視点を持ってもらいたい。マーケットデザイン研究などの知見を取り入れてより府立学校が府民のニーズを満たすような方法を模索するべきと思います。3年連続定員割れというのは一見分かりやすい基準ですが、現行制度のもとでは本当に必要とされていない学校かどうかの基準としては弱いと思います。【高等学校・現職教員】

(統廃合の)議論は先の何年を見通して考えるのかということでもかなり結論が変わるように思います。少子化が進むのが避けられないのであれば、学校統合は必然的に起こることであり、その際には、どのような統合が望ましいのかということをきちんと議論しておく必要があると思います。ただ、大阪の場合私学の無償化を先駆けて行っており、「税金」をどのように使うのが望ましいのかということについては議論をきちんとする必要があると思います。行政組織として、公立学校のみが対象になるのだと思いますが、行政がきちんと整備してよりよくできる府立学校に予算を投じ、その環境をよくすることのほうが必要なのではないかと思います。(中略)私立の場合それぞれの設置の目的、教育理念があって、公立とは立ち位置が違い、それと競争するということではないのではないかと思うのです。【高等学校・元教員】

5. その他

統廃合は学校選択制にも大きく関係している。格差を更に大きくする危険性をはらんでいることを念頭に考えていく必要がある。【小学校・現職教員】

(入試倍率の高い学校の例として)現在勤務しているところは、生徒数と校舎のキャパシティが全くもって釣り合っていない学校です。(中略)教室が足りていません。HR教室の確保が問題なのではなく、英語や数学などの少人数指導でクラスを分割した際に使用する教室、生徒が委員会活動などで使用する教室など、時間割編成や何か活動をしようとしたときに教室が足りません。また、修学旅行や校外学習、フィールドワークなどを行う時も1学年の人数が多いために選択肢が減ります。これは著しく生徒の不利益になってはいないでしょうか。【高等学校・現職教員】

少子化だから学校を減らさなければならない実情もわかりますが、子どもを望んでいる方たちが、安心して子どもを出産できる環境や制度を整備していくことをもっと進めてほしいです。(略)【中学校・現職教員】

学校統廃合によって、少人数クラスは夢のまた夢、のように思いますし、遠方に通わなくてはいけなくなる生徒も増えますので、反対です。学校はむしろ、分割して、それぞれが小規模校になるべきだと思います。大規模校は、どうしても、教育がいきわたらないように思いますし、先生方の負担も増えます。また、学校図書館司書の負担も大きくなり、今も軽視されている図書館が、もっと低サービスに陥ってしまうこととなります。アクティブラーニングの要は、図書館とパソコンです。それを扱うプロは学校図書館司書なのですが、統廃合をすると、当初は、それまでよりも少ない人数で、本の整理や片づけに追われます。その後は、決められた時間だけに本を貸し借りするだけになり、これは児童生徒が自由に探索の翼を広げて調べものをしたり、いろいろな図書や情報に出会う時間や場所を奪ってしまうことになると思います。【中学校・元学校職員】

設問5 児童生徒の評価について

●大阪府下の中学校では、独自のチャレンジテストが実施され、高校入試の際の「調査書」の評定の調整に活用されています。評定の数字の持つ意味が学校ごとに違うのは不公平という賛成意見もある一方、この仕組みが学校間の過度な競争を招くという批判もあります。

●2022年度から全国の高校で始まった観点別評価を運用するにあたり、大阪府立高校では、3観点をすべて同じ割合(1:1:1)にして評定を算出することが独自に決められました。
※文科省の指針では、評定は「観点別学習状況の評価の結果を総括するもの」とされており、他の地域ではこういった運用はされていません。

【設問5-a】上記の状況を踏まえて、中学校のチャレンジテスト、高校の観点別評価の運用方針について、あなたの意見を教えてください。

チャレンジテストについては反対、どちらかというと反対とする声が全体の73%でした。理由としてあがっていたのは、「学力は地域によって違いがあるものであり、一律のテストの点数で評価するのは公平ではない」、「家庭の経済格差も紐づいている」、「チャレンジテストで点数をとるための授業になってしまう」など。一方で「競争はあってしかるべき」「テスト自体はいいが時期が良くない」という意見も一部ありました。

高校における観点別評価の割合(1:1:1)については、多様な視点で評価できる点を支持する意見がある一方で、「成績をつけることに今まで以上に時間がかかるようになった」「なぜ観点ごとの評価割合が1:1:1なのか疑問」など、反対意見が全体の66%を占めました。

【設問5-b】今後の大阪における「児童生徒評価」のあり方について、自由に意見をお書きください。(任意)

〈高校の観点別評価〉

1. 大阪独自の1:1:1という割合への疑問

いまだに1:1:1にしている理由がよくわからないです。観点別評価自体の目指すところは良いと思うが、これを1クラス40人学級、現在の大学入試のあり方が続いているままで有効に実施していくことは無理だ。観点別評価になり、評価物が増え、評価の仕方も煩雑になっているにも関わらず何も負担が減らされず、現場は非常に苦しんでいる。表面的な観点別評価をやるための課題が課されるなど、生徒にとってもプラスになっているとは思えない。【高等学校・現職教員】

観点別1対1対1では生徒の力を正確に評価することは不可能。大学受験の時などは他府県の受験生と比較して大阪の生徒は損である。【高等学校・現職教員】

観点別評価を「やらされている」という意識を持っている教員と、「うまく活用しよう」としている教員に二分化されているように感じます。そういう意味では、今後、割合をどうしていく必要があるのかを学校に委ね、対話するきっかけとしてほしい。【高等学校・元教員】

2. 効果に見合わない労力がかかっている

児童生徒評価に手間がかかって、忙しい教員をより多忙にしている。授業、生徒、評価に時間をかけるのは教員の本来の仕事であるなら、今の雑多な業務を減らす、または教員を増やしていく。【高等学校・現職教員】

観点別は本来絶対評価であるにも関わらず、相対評価が混じる設定にならざるをえず、到底成立しえない。絶対評価をするなら、一クラス40人は無理。負担が多すぎるため、特に非常勤の先生方(もちろん全教員)に無償労働を強いるシステムなので、遅かれ早かれ、学校の教育活動自体、非常勤をやってくれる人がいなくなり破綻する。【高等学校・現職教員】

学歴や偏差値が評価されるのは、大学でも企業でも変わらないのに、高校の教育で形式のみ変えるのは、現場の混乱、過重労働をまねいている。方法も現場に丸投げ。良心的な(生徒に寄り添う、教科指導に真面目に取り組む)教員を、苦しめ、追い詰めている。【高等学校・現職教員】

成績をつけるための時間が、今までの3倍かかる。(数字ソフトの入力手間、作業が難しく、)全員が成績をつけることに要する時間が、とにかく長くなったと口を揃えて言っている。【高等学校・現職教員】

〈中学校のチャレンジテスト〉

3. 肯定的意見

数値の持つ意味を各学校でできるだけ統一したい、またはするべきだという意見については反対ではありませんが、結局学校をランキング付けすることになっていることが気になります。【中学校・現職教員】

チャレンジテスト自体には、どちらかというと賛成だが、1・2年生の実施時期を検討するべきである。冬休み明けすぐの実施は、生徒の精神的負担が大きい。【中学校・現職教員】

せっかく同じテストを受けているのだから、その点数をそのまま反映させたら良いと思う。欠席者については後日受験も検討。2回のチャンスも受けられない生徒については、点数の反映はさせず受験時の点数を採用。詳細は議論を重ねなければいけないが、チャレンジテストをする以上、このテストを最大限活かすべきだと思う。【中学校・現職教員】

4. 公平性への疑問・地域格差への懸念

欠席者の多い学校の評価が爆上がりするシステムを考え直して欲しい。また、±0.3の幅を学校に持たせるのは広すぎる。学校によって+0.3の学校や−0.2の学校があれば、生徒は公平に評価が受けれるのかか疑問。【中学校・現職教員】

学校間格差を益々広げるのと、現状では不登校の多い学年は不登校生徒が1・2の評価が集中するので、実力が無いのに3以上付く現状がある。【中学校・現職教員】

チャレンジテストを評価の「ものさし」にすることはすぐにやめてほしい。学校ごとの生徒数、学力分布、保護者の経済的状況などによって結果は大きく左右され、住んでいる地域によって不公平が生じているし、学力のしんどい生徒に自信を失わせ、教員を疲弊させている。教員を信頼し評価を任せてもらいたい。【中学校・現職教員】

学校や同じ学校でも学年によってテストが違うのは、高校受験の際の影響する評定の公平さがないと思う。高校入試のための評定の数字の意味を合わすのであれば、全ての実力テストを大阪府同じにするなども1つではないか?教員のテスト作成の時間を短縮でき、採点もチャレンジのように郵送でできれば働き方改革にもなる。【中学校・現職学校職員】

5. “団体戦”になることへの異議・1回のテストの影響力の大きさへの疑問

チャレンジテストは「団体戦」というが、高校入試は個人が受けるもの。子どもの学力の背景に家庭環境や地域格差がある中で、学校規模で評定の範囲が定められるのは、子どもたちにとって本当に公平なのか疑問が残る。また、チャレンジテストの実務そのもの(前日までの準備、当日の試験監督、後日受験対応など)が教職員にとって負担。【中学校・現職教員】

成績の悪い生徒が当日休んだり、特別支援学級の生徒をマニュアルの解釈の仕方で、後日受験扱いにしたり、教師がチャレンジテストの数字に右往左往している部分もある。あくまでテストは個人の頑張りが評価されるものであり、学校の評定の範囲を団体戦で評価するものではないと思う。【中学校・現職教員】

チャレンジテストにおける評定の担保により、授業を真面目にうけてなく、提示物も一切出さない生徒が5の評定をもらった生徒がいるという現実があります。一定の基準というものは必要だと思いますが、今の大阪市の担保には強く疑問を持ちます。【中学校・現職教員】

学校によって生徒への指導の差があるので、今のチャレンジテストは生徒よりも教員が平均点をよくすることが優先され、点数が低い子の欠席(欠試)が喜ばれるような学校現場はどうかと思う。【中学校・現職学校職員】

各中学校で、一生懸命にノートチェックや提出物の点検、教材研究、各授業毎のチェックなど真摯に業務を担っている教員に対する侮辱でしかない。たった1度のテストの点数で、1年間の評定が決まる成績など、信憑性がどこにあるのか。日々の積み重ねがあってこその学力が実力となり、生きる力に繋がっていくのであり、点数のみでの判断に客観性など微塵もないことは明確である。各授業毎のチェック【中学校・現職教員】

6. チャレンジテストのためののための授業なってしまう

生徒の思考力や興味関心を高めようとする学習指導要領とチャレンジテストが合わない。テストのための授業を、1年次からしなければならない。【中学校・現職教員】

真面目に学校で取り組んでいる子どもが、バカを見る制度。もちろんすべてを否定はしないが、このテストによりあいつこなかったらいいのにな。というような学力が低い子どもへの排除の感情がこどもの中で生まれている。学校教育は勉強だけができればいいわけではない。公教育のあり方を根本から崩してしまう。【現職学校職員・小学校】

7. そもそも授業・学校の意義の観点

大阪独自の取り組みが、子どもたちを学力のみで判断するようなものになっていないのか疑問に思う。ただでさえ、子どもたちは、全国学力調査をはじめ、チャレンジテスト、すくすくウォッチ、市町村独自の確認テストなど、数多くの学力のみを測るテストを実施している。コロナ禍で制限の多い生活の中、テストだけは制限なくやっている。子どもたちがやってみたい!学んでみたいと思う環境設定が必要なのではないか。【小学校・現職教員】

点数だけ取れれば進路が拓けるなら、学校に通わずに毎日塾に通えばいい。実際に不登校で点数だけ高い生徒が高評価にせざるを得ない。学校で学ぶ意味を確認したい。【小学校・現職教員】

チャレンジテストの範囲をしなくてはいけないということもあり、本来授業で実施したい調べ学習やプレゼンテーションなどの時間が割けない。そもそもチャレンジテストをするなら、もう実力テストはいらないのではないか。チャレンジテストを年間3回にして、それを実力テスト代わりにすることで、教員の負担軽減にもならないだろうか。【中学校・現職教員】

設問6 その他議員さんに伝えたいこと

【設問6】その他、議員さんに伝えたいことがあれば、自由にお書きください。(任意)

フリーテーマで現場の声を寄せてもらえるこちらの設問には大阪の教育全体を見渡した多様な声が集まりました。それを大きく8つの軸で整理しました。一番多かったのは「働き方改革」、次が「制度」、3番目が「教育予算の増額」についての意見。その他、「教員の質・研修」「教員増員」「給料アップ」「クラスの人数減」「その他(議員さんへのメッセージ)」もぜひお読みください。

1. 働き方改革

学校でも働き方改革を謳われていますが、実際は学校現場にそぐわないかつ、教員の負担になるような業務が増えたり、ICTの導入で新しいことを教員自身が勉強したりと残業をせざるを得ない状況です。子育てで定時に帰りたいけれど、クラス担任をすると時間通りに帰れない、クラス担任外も人数が限られているので必ずなれるとは限らない、最終的に家庭にしわ寄せがきて、自分の子どもに負担をかけてしまっています。【小学校・現職教員】

教育現場は、効率だけで前に進まない。私たち大人がゆったりと時間をかけて子供たちをみてやれる環境をつくってもらいたい。【高等学校・現職教員】

教員として働き始めても学ぶ時間を確保することが難しいといった事も問題だと思います。(略)若手の教員はさまざまな授業を見て、たくさんのことを学ぶことで、目の前の子どもたちにあった指導を考える引き出しをつくる。そんな時間もありません。(略)教員の資質能力の向上のためには、まず、教職員の取り巻く環境の抜本的な改善(働き方、給与、環境整備等)を行って欲しいと思います。【小学校・現職教員】

2. 必要な制度の提案

性犯罪に関わる前科のある者を、教員、学童、放課後デイサービスなど子どもと関わる職業から排除する仕組みを制度化してください。【特別支援学校・現職教員】

教員不足の問題ですが、子育てに直面して退職してしまう女性教諭がたくさんいます。退職しなくてもパート勤務など(例:10時~14時などで小学校の副担任として入る。週3回などで中学校の教科担当。など)で「教諭」という立場を辞めないで続けられる制度があれば、子育ては数十年の話です。子どもが成長した後、「教諭」として働くことができます。【中学校・現職学校職員】

3. 教育予算の増額

日本の教育にかけるお金はOECD加盟国の中で最下位です。今までのように教員のマンパワーだけでは乗り越えられなくなっています。【小学校・現職教員】

国力をあげようと思うなら教育に力を入れて、様々な面で能力のある魅力的な人材を増やす方が結局のところ近道だと思う。(略)そのためにも誰も取り残すことがないように教育に本腰で力を入れて、学力や人間力、生活力そして自己肯定感の高い子ども達をたくさんの人で育むべきだと思う。そのためのお金は、増やそうとしている軍事費よりは、はるかに安いのではないだろうか。【小学校・現職教員】

特別支援学校は各学年にクールダウンできる部屋を必ず確保できるように施設の整備をして下さい。学校からの保護者連絡、遅刻欠席連絡などをインターネットで行える仕組みは公的な予算で執行できるようにしてください。(PTA費で賄われている学校があります)【特別支援学校・現職教員】

4. 教員の質・研修​​について

面白い研修をすることで質も上がるし、それを求めて大阪の教員になりたいという人も増えるのではないか。大阪独自の「おもろい研修」をしたらいい。【高等学校・現職教員】

私の職場には、若い講師の方が3人います。その方たちの教職員としての力量が低いです。講師不足のため誰でも採用されているようですが、これでは子どもたちの学力が低下するのも仕方ないと思います。【小学校・現職教員】

5. 教員の増員について

産休補助講師の数さえ揃わなくて、校長先生や教頭先生も、担任として仕事を兼務しています。そのため、インフルエンザの休業措置も、すぐに対応できない事がありました。(略)こういう小学校は、ひとつだけではありません。【小学校・現職教員】

教育は人です。教諭、事務職など手厚い教育が可能になるよう教育にかかわる人員を増やしてください。特に、養護教諭の各校複数配置は絶対必要であると感じます。【高等学校・現職教員】

6. 待遇向上について

賃金を含む待遇面の悪さで、大阪から優秀な人材が他府県に流れている。やりがいのある職場づくり、職員みんなでつくる学校、ゆとりがあってのびのびとした学校に戻せるように力を貸してください。【小学校・現職教員】

給料面や、休日の少なさでモチベーションが保たれない。【中学校・現職教員】

7. クラスの人数を減らしてほしい

G7の諸外国のように、1クラス当たりの生徒数を20人程度にする道のりを考えてもらえないでしょうか?ただ、教室確保の問題が出てくるかもしれないので、せめて1クラス当たりの教員数が2人というのを4人に引き上げるなど。【高等学校・現職教員】

子どもの教育のために、と考えてくださるなら、1クラスの人数を30人学級としてほしい。また特別支援在籍児童を通常学級でカウントしてほしい。【小学校・現職教員】

8.その他【メッセージ】

メッセージとして、最も多かったのが「お忙しいとは存じますが実際に学校で過ごしてみてください。様々なことを感じることができます。」という声でした。

いわゆる教育推進校みたいなきれいな学校だけでなく、毎日子どもたちと向き合いながら奮闘している現場にも何度も足を運んでみてください。ハード面もソフト面も整っていない現状があり、その中でどう私たちが働いてるのか、肌で感じ取ってください。本当に限界が近いです。【小学校・現職教員】

本当に下の方で明日の生活もわからない子達は、この令和の世の中でもいるということをもっと真摯に見てほしい。子どものせいでも親のせいでもなく苦しんでいる子達はたくさんいる。【小学校・現職学校職員】

子どもたちの家庭境は複雑多様化しており、住民自治、地域のつながりがなくなっている現代社会において、家庭も子どもたちも行政や学校に過剰に依存するしかない状況にあるのではないかと感じています。【小学校・現職教員 】

大阪で育って幸せだった、という大人になって欲しい。そのために今できることをしてほしい。【中学校・元教員】

子どもたちの権利を守り(大人だけで決めるのではなく)、教員が病むことなく働き続けられる、持続可能で大人も子どもも大事にされる環境づくりをお願いします。それこそが、国の未来です。【小学校・元教員】

まとめ

今回は、「部活動」「特別支援教育」「校則」「統廃合」「児童生徒の評価」+フリーテーマという、合わせて6つのトピックで、アンケートを実施しました。それぞれのトピックはバラバラのように見えて、実はつながっていたり、別のテーマなのに眺めていると共通の課題が浮かび上がってきたりします。

例えば、少人数学級や人員増加を求める声がほぼ全てのトピックで上がりました。しかし実際には、現場では欠員=教員不足が起こっている学校も少なくなく、「探しても探してもなり手がいない」状況があります。最低限現場を回すためにも、ひいては教育の質を担保するためにも、意欲と力のある人若い人たちに「大阪で先生をやりたい!」と思ってもらう必要があります。そういう人を増やしていくことが、大阪の教育の質を担保することにつながります。

そのためには、大阪の教育の魅力が向上する必要があり、それには現状の大阪の教育の魅力と特色、大事にしてきたことを見つめ直すことも大切です。その1つがインクルーシブ教育なのかもしれません。また、まずは安心して働けるように、何よりもまず働き方改革や待遇改善を進める必要があるという声が多く聞かれました。働き方改革を実行するには、予算の増額と制度づくりが必要です。これは、現場の教員には直接的にはどうにもできないことです。

大阪の教育政策には独自政策も多いですが、良かれと思って導入しても、教員が「やる意味がわからないままやらされている」と感じて働いていては、現場は疲弊していきます。「なんか上から降ってくる」ということではなく、学校現場と政策現場(議会と行政)の応答的なコミュニケーションがもっと必要なのではないでしょうか。そのことが、大阪の教育が魅力的かつ持続可能になるために必要な、大きな要素なのではないでしょうか。

 School Voice Project では、今後も現場の声を議員さんに届け、一緒にめっちゃおもろい大阪の教育、未来をつくっていきたいと思います。


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NPO法人School Voice Project のメンバーが、プロやアマチュアのライターの方の力を借りながら、学校をもっとよくするためのさまざまな情報をお届けしていきます。 目指しているのは、「教職員が共感でき、元気になれるメディア」「学校の外の人が学校を応援したくなるメディア」です。

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