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【教職員アンケート結果】学校や自治体で授業のやり方を統一する「授業スタンダード」。どう思う?

  • メガホン編集部

教員の授業の進め方や、児童生徒の手の挙げ方・筆箱を置く位置など、授業中のやり方・受け方を統一する「授業スタンダード」が全国の自治体・学校で作成されています。全国の「授業スタンダード」の実態と、それについて思うことを教職員の方に聞きました。

アンケートの概要

■対象  :全国の小〜高校年齢の児童生徒が通う一条校に勤務する教職員
■実施期間:2022年7月22日(金)〜2022年8月15日(月)
■実施方法:インターネット調査
■回答数 :84件

アンケート結果

設問1 「授業スタンダード」はある?

Q1. あなたの勤務する自治体や学校では、授業中のルールを統一して指導するために教員向けに作成された「授業スタンダード」はありますか?(授業以外の点についてのものは除きます)(複数選択可)

回答者の79%の方が「授業スタンダードがある」と回答し、全体の60%が「学校単位」で作成していると回答しました。

全回答84件から重複を除くと、計29都道府県、70市町村のユーザーから回答がありました。回答者が所属する市町村全70自治体のうち、28自治体で「市町村単位」で作成、都道府県全29自治体のうち、6自治体が「都道府県単位」で作成していると回答しました。
※同一の都道府県・市町村でも「授業スタンダードがある」と答えたユーザーと「ない」と答えたユーザーがいる場合もあるりましたが、その場合は「ある」としてカウントしています。

校種別に見ると、学校単位で作成しているのは小学校が最も多く、次いで、中学校、高等学校という結果となりました。また、授業スタンダードの作成者として、「都道府県単位で作成されている」「市町村単位で作成されている」「学校単位で作成されている」のうち、2つ以上を選択肢した方は、19人(22.6%)でした。

設問2 「授業スタンダード」の内容は?

Q2. 「授業スタンダード」の内容はどのようなものですか?(複数選択可)

「その他」を選んだ方の回答

強制ではないが、学級の掲示物の位置等を統一させる学年を見たことはある。【中学校・教員】

授業の最初と最後の挨拶。【中学校・教員】

朝の会の内容、チャイム黙想。【特別支援学校・教員】

「授業スタンダードがある」と回答した方の中で、最も多かったのは、「教員の授業の展開方法に関すること」でした。小学校では「児童生徒が授業で使う物や児童生徒の持ち物に関すること」(67%)、中学校では「教員の授業の展開方法に関すること」(80%)が最も多い回答でした。

設問3 「授業スタンダード」の強制力は?

Q3. 「授業スタンダード」の実施にはどの程度強制力がありますか?

「その他」を選んだ方の回答

自治体のスタンダードは強く、訪問の際にはスタンダードに沿っているかを重視される。【小学校・教員】

強制力はないけど、みんなそのとおりにする感じ。組織はトップダウンが大事って思っているから、???と思っていても従わざるを得ない感じ。【小学校・職員】

今年度は、職員の異動が多かったため、年度当初バタバタとスタートし、昨年のように審議、協議が深くできなかったので、徹底までいっていない。【中学校・教員】

「授業スタンダードがある」と回答した方の約65%が、「強制ではないが推奨されている」を選択しました。「強い強制力がある」を選択した方は約16%、「強制力はない」を選択した方は約21%でした。

作成者別での回答割合は、以下の通りです。

都道府県作成(計9回答)

  • 強い強制力 11%
  • 推奨 67%
  • 強制力なし 11%
  • その他 11%

市町村作成(計30回答)

  • 強い強制力 23%
  • 推奨 53%
  • 強制力なし 17%
  • その他 7%

学校作成(計50回答)

  • 強い強制力 20%
  • 推奨 62%
  • 強制力なし 14%
  • その他 4%

設問4・5 「授業スタンダード」のメリット・デメリットは?

Q4. 「授業スタンダード」の良いところ・メリットはどういうところだと思いますか?
Q5. 「授業スタンダード」の悪いところ・デメリットはどういうところだと思いますか?

設問4・5では、「授業スタンダードがある」と答えた回答者に授業スタンダードのメリット・デメリットを聞きました。メリットとデメリットはそれぞれ表と裏の関係になっていると考えられるので、このアンケートでは、メリットとデメリットが対になるように選択肢を設け、それらを選択した人数を比較する手法を採用しました。
(例:「教員が指導の方法に迷わなくなる」というメリットに対して「教員が指導の方法を工夫しなくなる」というデメリットをあげています)

また、設問4のメリットに関する選択肢については、授業スタンダードを作成している自治体が「導入する理由」としてあげているものを抜粋しています。その結果をまとめたのが下記のグラフです。

授業スタンダードがあることで、「教員が指導の方法に迷わなくなる」と感じている教員がいる一方で、「指導の方法を工夫しなくなる」という声も聞かれました。1つの事象をメリット・デメリットのどちらで捉えるかは拮抗していることが分かります。統一された授業になることについてメリットを感じている方は少なく、「個々の児童生徒に対応できない」というデメリットを感じている方が目立ちました。

また、児童生徒の学びに関する選択肢への回答は少なく、メリット・デメリットともにあまり認識されていないことが分かります。保護者との関わりについては、「保護者との対話ができない」というデメリットよりも、「保護者への説明が容易」というメリットが優位となりました。

以下でまとめている自由回答においては、授業スタンダードの導入について、「経験年数の浅い教員や変化への対応に困難さがある児童生徒にとってはプラスになる」という意見が一定数集まりました。全体としてはデメリットに関する意見が多く、児童生徒の主体的で対話的な学びに繋がりにくいことが課題としてあがっていました。

メリットに関する意見

教員にとっては、授業の進め方の目安になる

若い先生や、異動してきた先生が学校についてわかる。【小学校・教員】

授業の進め方がわからなかったり、わかりやすい授業をしたいと思うときの助けになったりする。【小学校・教員】

先生自身が一つひとつの意味を考えなくても良いということはあるかもです。自分自身のこだわりのない部分のところでは、ある意味、ラクです。でもそこが大きな課題だと思います。【小学校・教員】

何も分からない若手の先生が毎日何科目も授業をしなくてはならないため、スタンダードがあることで安心感はあると思います。【小学校・教員】

統一されていると、保護者からの指摘を受けにくい

クレームが起こりにくい対策ではあると思います。「みんな同じにやっています」とも言いやすいし、「みんな同じ」だから指摘しづらくなる。【中学校・教員】

児童生徒にとっては、授業担当者が変わったときの安心感に繋がる

毎年、担任が替わっても、ある程度統一された授業をされると、子どもたちが、慣れるのに楽。(支援の必要な児童やこだわりの強い児童に取っては、毎年かわることは、かなりしんどいと思う)【小学校・教員】

小中で共有しているので、中学に上がってきた生徒もスタンダードに基づいて、授業の用意から取組みまで行うので安心感はあると思う。中1ギャップの解消になっている。【中学校・教員】小中で共有しているので、中学に上がってきた生徒もスタンダードに基づいて、授業の用意から取組みまで行うので安心感はあると思う。中1ギャップの解消になっている。【中学校・教員】

学校としてのやり方が決まっていて、それに沿ってルール作りをそれぞれの担任がしていれば、学年が変わって担任が変わっても全てが大きく変わることなく、児童にとって安心感がある。【小学校・教員】

デメリットに関する意見

教員の授業の質向上に繋がっていない

教員それぞれの良さを活かした授業の妨げになると思います。【小学校・教員】

スタンダードがあることで振り回されてしまう教員がいる。それができているかどうか、が関心事になり、児童生徒に「スタンダードにあるから」という理由でコントロールしようとし、それは指導ではない。考えない大人と子供をつくることになる。【小学校・教員】

各学校、学級で驚くほど児童の実態が違う。児童の学習へ向かう態度や規範意識が高い学級では、授業そのものはスタンダードで進められるが、荒れた学校学級では、スタンダードが成立していない。児童の実態に合った柔軟な進め方を認めた方が良い。【小学校・教員】

何のためにスタンダードがあるのかを、子どもも大人も納得し、それがいいと思えるならやった方がいい。けれど、互いにやらされ感を抱きながら叱られないように、目立たないように、文句言われないように…とそんな発想ならやめた方がいい。考えることなしにやることはどんなものでもメリットはないと思います。【小学校・教員】

もっと違った授業をしたくても「〇〇スタンダードに沿って・・・」とさせてもらえない場面を多く見てきた。【中学校・職員】

「主体的・対話的で深い学び」の実現を学校教育で求められているにもかかわらず、スタンダードという型にはめられ、その型が細かいほど教員の主体性はなくなってしまう。とっても矛盾していると思います。【高等学校・教員】

教員にとっての負担になっている

“スタンダードな”実践ができない先生は、比較し自己嫌悪、比較されどんどん自信をなくし、つらくなり病んでいくことも。たのしく、おもしろみのある職場をつくらないと。【中学校・教員】

A先生ができたことがB先生でできないことはある。それは能力の違いではなく、個性の違い。教員個々の個性を潰してしまうような一律化は、その指導を受けている子どもの個性を潰すことにつながると思う。【中学校・教員】

児童生徒にとってプラスなのかが疑問

同じ流れ、同じ板書、同じ思考パターンを繰り返すことが、学力の厳しい子にとってプラスだという意味で取り組まれているようですが、果たしてそうか?といつも思います。一つのパターンでしか物事を考えることができなくなったら、それこそ先の見えない世界で臨機応変に生き抜くなんて難しい話になると思うのですが‥。【小学校・教員】

「ハンドサイン」というものがあり、発言したい場合も発言しない場合も、意思表示として全員手を挙げなければならないというルールがあるが、高校生、大人になってからそのような方法で意思表示をする場はない。教師側が子ども達の理解度を知るための手段としては有効かもしれないが、児童生徒目線ではないのではないかと思う。【小学校・教員】

小中連携の内容の一つとしてスタンダードが存在しているが、使っているからと言って何か効果があると実感できていない。【中学校・教員】

挨拶は立腰から始まります。姿勢にこだわり過ぎていて、そこに合わせることのできない生徒をダメな生徒にしてしまっている空気感が良くないと思っています。【中学校・教員】

多くのスタンダードは必要ないと思います。担任が変わったときに子どもが混乱するから、と言われますが、子どもは思った以上に柔軟です。ただし、良くないものは決めておいた方がいいのかなと思います。持ち物など。【小学校・教員】


▼ 自由記述の回答一覧は、以下よりダウンロードしてご覧ください。 ▼

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NPO法人School Voice Project のメンバーが、プロやアマチュアのライターの方の力を借りながら、学校をもっとよくするためのさまざまな情報をお届けしていきます。 目指しているのは、「教職員が共感でき、元気になれるメディア」「学校の外の人が学校を応援したくなるメディア」です。

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