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【教職員アンケート結果】小学校の毎日の宿題について

  • メガホン編集部

昨今、宿題の廃止や減少に動く学校が増えています。背景には、自律的な学習習慣形成に繋がっていないのではないか、児童・教職員・保護者の負担となっているだけなのではないかといった現在の宿題のあり方への疑問があるようです。

そもそも、現在、宿題はどのように出されているのでしょうか。また、宿題の必要性について、教職員はどのように捉えているのでしょうか。教職員アンケートにて、実態を伺いました。

アンケートの概要

School Voice Project では、WEBアンケートサイト「フキダシ」に登録する教職員の方を対象に、小学校の宿題についてアンケートを取りました。

WEBアンケートサイト「フキダシ」は、現在ユーザー登録を受け付けています。教員の方だけではなく、事務職員や用務員、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカー、ICT支援員の方など、学校現場で働く様々な立場・職種の方が対象です。

■ テーマ :小学校の毎日の宿題について
■ 対象  :全国の小学校年齢の児童生徒が通う一条校に勤務する教職員
■ 実施期間:2022年3月12日(土)〜2022年4月3日(日)
■ 実施方法:インターネット調査
■ 回答数 :37件

アンケート結果

設問1 宿題、出していますか?

Q. あなたは今、担任を持っている学級で全員提出の宿題を出していますか。現在担任を持っていない方は、直近で担任をしたときのことをお答えください。

設問2 どんな宿題ですか?

Q. どのような宿題を出していますか。(複数選択可)

設問3 「宿題」は必要?

Q. あなたは「宿題」は必要だと思いますか。

「はい」に関する主な意見

単純な反復の必要性

家庭学習の習慣づけのためと、反復学習をしないと覚えることのできない漢字などは定着をさせる時間が必要と考えて出してきました。
授業の中でとれるものならとりますが、学習内容が多すぎて終わらせるだけで精一杯です。指導要領に乗っ取った指導をする以上、それをしっかりやろうとすれば、反復練習の時間は授業の中でほとんどとれないはずです。個々の自主性に任せるとすれば、宿題でない学習を家でできるような環境を保護者が作る必要がでてきます。それが理想なのだとは思いますが。

漢字や計算など、習得に単純な反復が必要だと思うから。その時間を学校でとることはもったいないから。単純な反復は自分ひとりで家でも取り組めると考える。

今は、ドリルなど10分程度で終わる宿題を出し、残りは自主学習、くらいが丁度いいのではないかと思っています。力のある子は、自主学習で力を伸ばし、苦手な子は、10分のドリルをこなすことで最低限の力をつける、といった具合です。ドリルを2回、3回と繰り返しやらせることは無くなったので、ドリルが終わらない子はほぼいなくなり、以前と比べて児童と教員、お互いの負担が減ったのはよかったです。

自分で学ぶ習慣を付ける必要性

内容自体はどうであれ、家での学習習慣をつけるには少しはやっておく方が良いと思っています。

自分で机に向かう習慣をつけてほしい。算数のプリントは手作りし、解答もつける。問題よりも解答を丁寧にすることで、家で自分で丸付け、直しができるようにしている。自分で学ぶ習慣になることを願っている。

児童・家庭による家庭学習の差の存在

勉強しない子は全くしなくなる。

家庭力が全くない子供達は宿題があるから家で勉強するので、なんとも言えない複雑な感じです。

本来は北欧のように極力宿題を出さない方向でいきたいのですが、今の日本でそれをしたら、経済的な格差がさらに大きくなる気がしています。いくつも塾に行って先に進む子と、家庭で何をどれだけやればよいかも分からず戸惑う子。

「いいえ」「どちらとも言えない」に関する主な意見

学習習慣の定着・個別化された学習に繋がらず、受け身でこなすものになっている

自主性を重んじた宿題を出せたり、計画を立てて取り組んだりできたりするとより意味があると思うが、一律に同じものを同じように出すのがよいのかは疑問。

児童の力の差が大きく、力がある子ほど意味がなく、力がない子ほど苦痛しか残らないからでしす。漢字の書き取り、計算の習熟を中心にしていますが、最低限10分程度でできる量を心がけています。しかし、自己解決できる力がある子にとっては3分程度でできてしまうし、学校の授業に追いつくのがやっとの子にとっては一人では1時間かかります。やることによって意味があるのは中間の力を持つ6割程度の子だけで4割の子にとっては意味のない作業になってしまいます。

学習習慣の形成のためには宿題は意味のあることだと考えています。しかし、「出されたものをこなせばいい」という姿勢で取り組む子もおり、自分で習慣作りをしたり、自分の力を伸ばそうという目的につながっていないところも感じています。こちらの働きかけしだいかなとも思います。

宿題で育まれる「学力観」への疑問

宿題があることで、学ぶことが楽しくないと思ってしまう子がいるのではないか?とずっと思っています。宿題をやらないと、学力つかない?その求めている学力って何?本当の学力って覚えることや反復学習をクリアすることや点数を取ることではないと思っています。

教職員・児童の負担になっている

塾など多忙な子どもは多いし教師側のチェックの負担もあるので、宿題をたくさん出すのは好きではありません。

また、児童の生活全体を見つめなおすべできです。高学年にもなれば朝の8時に家を出て夕方16時に帰宅する。その後に習い事をやって宿題をやるとすれば、児童にとって自分が主体的につかえる時間はいかほどのものでしょうか。これで豊かに人間が育つのでしょうか、疑問に思えてしかたがありません。現状の標準時数から考えれば、学校の学習は学校で解決できるように完結させ。その結果を踏まえて、家庭ごとにその子にあった補修的または発展的な学習をしていくという線引きこそ必要だと思います。

学校の方針・保護者の要望があるため出さざるを得ない

本当はあまり意味がないと思っているけれど、「出すのが普通」という考え方が保護者の間にも、学校にも根強く残っているので合わせている、というのが本音です。【教員】

出さなくてもいいなら出したくありません。こちらも丸付けるのが手間ですし、宿題を見る時間がなければ休み時間もっと子供達を見られるのにと思います。しかし、保護者や学校から要望があり仕方なく出しています。一方、家庭力が全くない子供達は宿題があるから家で勉強するので、なんとも言えない複雑な感じです。【教員】

まとめ

現状の宿題の頻度としては、ほぼ毎日出している教員が約8割でした。内容としては、音読・漢字・計算といった反復学習が7割程度で、自主学習ノートを宿題としている教員は5割弱でした。

自由記述では、1)反復学習の必要性2) 学習習慣を付ける必要性3) 児童・家庭による家庭学習の差の存在から、宿題の必要性が指摘される一方で、1) 受け身でこなすものになっている2) 宿題で育まれる「学力観」への疑問3) 教職員・児童への負担といった背景から、宿題のあり方への疑問も提起されました。

また、学習習慣の定着といった宿題の効果は一定支持しつつも、現在の受け身な宿題のあり方へは疑問を感じるなど、1人の教員の中でも、賛成・反対を一概に白黒付けにくい状況が見られました。

一方で、学校の方針により宿題を出さざるを得ない状況であるなど、宿題の意義を考え直すこと自体が難しいような状況もあるようです。個別の児童のニーズに合わせつつ、教職員・児童に必要以上に負担がかからない宿題のあり方に繋がるよう、自治体や学校での議論が進むことを願います。



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NPO法人School Voice Project のメンバーが、プロやアマチュアのライターの方の力を借りながら、学校をもっとよくするためのさまざまな情報をお届けしていきます。 目指しているのは、「教職員が共感でき、元気になれるメディア」「学校の外の人が学校を応援したくなるメディア」です。

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