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【教職員アンケート結果】教材研究の時間について

  • メガホン編集部

先日公開した「授業の持ちコマ数について」のアンケート結果では、教員の持ちコマ数の多さを負担に感じている声が多く集まりました。授業を行う前には、十分な教材研究や授業準備の時間を確保することが必要です。

学校での業務は授業以外にも校務分掌や部活指導、児童生徒や保護者への対応など多岐にわたります。そのような中、教材研究や授業準備の時間はどの程度確保できているのでしょうか?実際の時間と、それぞれの教員が現状に対して感じていることを伺いました。

アンケートの概要

School Voice Project では、WEBアンケートサイト「フキダシ」に登録する教職員の方を対象に、教材研究の時間についてアンケートを取りました。

WEBアンケートサイト「フキダシ」は、教員の方だけではなく、事務職員や用務員、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカー、ICT支援員の方など、学校現場で働くさまざまな立場・職種の方が対象です。

■対象:全国の小〜高校年齢の児童生徒が通う学校に勤務する教職員
■実施期間:2021年12月25日(土)〜2022年1月16日(日)
■実施方法:インターネット調査
■回答数:62件

アンケート結果

設問1 勤務時間内の授業準備時間は1日どれくらい?

Q. 教材研究・授業準備の時間は正規の勤務時間内にどれくらい取れていますか。(一日平均)

設問2 勤務時間外の授業準備時間は1日どれくらい?

Q. 平日の正規の勤務時間外で教材研究・授業準備の時間はどれくらい取っていますか。(一日平均)

設問3 休日の授業準備の時間はどれくらい?

Q. 休日に教材研究・授業準備の時間はどれくらい取っていますか。

設問4 勤務時間内に授業準備は十分にできる?

Q. 正規の勤務時間内に教材研究・授業準備の時間は十分に取れていると感じていますか。

設問5 授業準備の課題・改善策は?

Q. 教材研究・授業準備についてあなたの思う課題や、改善策があればお書きください。

※ 全回答の中から抜粋して掲載しています。

課題

空き時間の少なさや業務量の多さ

※ 授業の持ちコマ数についてのアンケートでも、同様の意見があがっていました。

校内に生徒がいるうちは、あれやこれやと仕事が入る。考査明けや授業がない午後などは、校内研修や会議が入る。教材研究や授業準備は自分だけで完結するものなので、優先順位が下がり、後回しになることが課題だ。授業の準備がテキトーになることで自己嫌悪になる。授業を大事にしたいので、しっかりと準備や教材研究に時間をかけたい。【高等学校】

あまりにも会議やトラブル処理が多く、子どもの顔を思い浮かべたりする時間がない。ゆとりがないことが、何か面白いことをしてあげようとか、こんなことをしたら食いつくのでは、という目の前の子どもを想定した、本当の意味での教材研究ができていない。これまでの単元の流し方をなぞっているのが、現状。経験のある教師はそれでも何とかなるが、若手は、忙しく教材研究できない→授業がうまくいかない→学級が落ち着かない→トラブルが起こる→トラブル処理に追われますます忙しいと、悪循環に陥っている。結果、若手がバーンアウトし、病気か離職。更なる、教師志望が減る。ますます、教員が不足し、更に忙しくなる。と、大規模な悪循環が起こっている。【小学校】

空き時間がない、年度の途中で通常級から転籍が許可され(当方、特別支援学級)、1クラス分もの人数が増えてしまうも、教員は配置されず、学級が回せない。管理職がこの事態を重く捉えていないと思われる発言も多々。空き時間の確保を訴えても動いてもらえず、人数分教材を準備しなければならない支援学級は、時間外労働が増えるだけ。【小学校】

勤務時間内に教材研究を終えるのは、持ち授業時数や仕事の負担の少ない育児短時間勤務でも難しい。担任をやれば尚のこと一番後回しになりがち。教員の授業以外の業務を減らし、本来注力すべき教材研究に力を入れる環境を整えることが、教育をよりよくするために大事なことだと思う。【高等学校】

・職員会議がほぼ決定事項の伝達のみなのに、時間がかなりかかってしまう。
・仕事の合間に授業をしているような、おかしな感覚に陥ってしまっている。
・同じ職場であっても仕事量に大きな差があり、各分掌の主任だけで仕事を抱えてしまっていることがほとんど。【小学校】

環境の不備

職員室で残って仕事をすると、さらに別の仕事が降ってきたり、雑談が始まるので帰ってからする。また、学校のパソコンではセキュリティから画像が使えなかったりchromebookを使う授業の準備に手間がかかるという理由からも家で準備しています。【中学校】

勤務条件や金銭面の制度

非常勤講師の場合は、授業時間(45分・50分)に対して勤務時間(60分)なので、教材研究・授業準備、成績処理、週案記入など授業以外の勤務時間が十分に確保されておりません(勤務時間外は無給)。非常勤講師の勤務条件改善を求めます。【中学校】

これは「時間」についてではありませんが、「お金」の面についてにおいても、先生が自腹を切っている部分が多々あります。つまり1時間の授業に対して、多くの先生が勤務時間外の時間を使って、また自分のお金を使って必要なものを購入して準備をしているというのが事実です。このような「善意」に基づいた制度は、いずれ立ちゆかなくなっていくと思います。【小学校】

改善策

児童生徒の在校時間の短縮

登校時刻を遅くしたり下校時刻を短くしたりして、子どもの在校時間を短くすることで、教材研究の時間を確保する。【小学校】

人員の確保

普段から授業のコマを減らすために、とにかく人数を確保してほしい。【高等学校】

日々の業務量の削減

業務精選。「した方が良いからやる」ということを削ぎ落として必要なことを考え直すことが必要だと思います。【小学校】

行事や雑務、地域との交流のためという名の段取り、広告等の配布物を減らしてくれさえすればもっと授業研究に費やすことができる。【小学校】

一斉指導から、個別最適化の自由進度学習等に移行することで、上記の課題は一気に良くなると考えています。しかし、全国学調や県独自の学力調査があり、その度に比べられる今の悲しき学校のシステムがあります。先生方は、変わらないとと葛藤しながらも、自分の学級の平均点が気になり、またチョークアンドトークの授業やテスト対策をしてしまっているように感じます。【小学校】

教職員間での役割分担や協力

・各クラス職員を二人体制にする。
・教員じゃなくてもできる仕事はやらないようにしていく。
・授業で使用した教材や指導方法を学校内で共有したり保存したりできるようにして、来年度の授業に活かすようなシステムをつくる。【小学校】

学年で授業プランやワークシート、資料などシェアすることで、時短できるので、気持ちよく協力し合える関係が大切だと思います。【小学校】

勤務時間内に他にやることが多すぎて、そこまで十分に手が回らないのが現状ではないでしょうか。本当は、同じ学年の先生だけでなく、いろんな先生と一緒に授業準備や教材研究ができればいいのにと思います。そのために、例えば専用の授業準備・教材研究部屋があるといいと思います。資料や材料がその部屋にあり、大きなテーブルがあって、そこですることができれば、コミュニケーションの場として、そこで相談しあい、教えてもらうこともできるのてはと思います。【小学校】

まとめ 

教材研究・授業準備の時間は正規の勤務時間内に(1日平均で)どれくらい取れていますか?という問いに対しては、小中学校教員の半数が「15分未満」、高等学校教員の半数が「30分未満」と回答。平日の勤務時間外では、小学校で22.6%、中学校で37.6%、高等学校で35.7%の教員が1時間以上を教材研究や授業準備に当てていることがわかりました。

休日においては、小学校で45.2%、中学校で56.3%、高等学校で35.7%の教員が1時間以上を教材研究や授業準備に当てていました。特に小【中学校】の教員は、休日にまとめて教材研究や授業準備の時間を確保する傾向があることがわかります。

勤務時間内に十分な教材研究や授業準備の時間を取れていると感じるか?という問いに対しては、全体の約9割の教員が「あまり取れていない」もしくは「全く取れていない」と回答。そのように感じている教員の割合は、高等学校、中学校、小学校の順で増加しています。

「多くの教員が教材研究や授業準備の時間が十分に取れていない」という事実は、授業の質の低下に繋がり、子どもへの学びの保障ができなくなることを意味しています。教員一人ひとりの回答を読むと、そのような現状への後ろめたさを感じることができます。その結果として、多くの教員がやむを得ず勤務時間外や休日に教材研究や授業準備の時間を確保している側面もあるのではないでしょうか。

教員が教材研究や授業準備の時間を十分に確保できるように、それぞれの学校や自治体で、必要な環境の整備が行われることを期待します。



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NPO法人School Voice Project のメンバーが、プロやアマチュアのライターの方の力を借りながら、学校をもっとよくするためのさまざまな情報をお届けしていきます。 目指しているのは、「教職員が共感でき、元気になれるメディア」「学校の外の人が学校を応援したくなるメディア」です。

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