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【教職員アンケート結果】デルタ株感染拡大下の学校現場での”オンライン/ハイブリッド授業”の現状について

  • メガホン編集部

新型コロナウイルスの感染を防ぎながらも学びの機会を保障するために、「オンライン授業」や対面とオンラインを組み合わせた「ハイブリッド授業」に取り組む学校が増えています。

2学期が始まってからは、オンライン授業やハイブリッド授業を実施した学校での通信障害や端末操作の難しさなど、さまざまな課題が浮き彫りになったことを伝えるニュースが目立ちました。

「ハイブリッド授業」通信障害相次ぐ オンラインやめる児童も | NHK www.nhk.or.jp

<新型コロナ>感染防止効果あった久喜市の小中学校「ハイブリッド授業」…課題も 「出席停止」は理不尽 | 埼玉新聞 nordot.app

アンケートの概要

School Voice Project では、WEBアンケートサイト「フキダシ」に登録する教職員の方を対象に、デルタ株感染拡大下の学校現場での”オンライン/ハイブリッド授業”の現状についてアンケートを取りました。

■ 対象  :全国の小〜高校年齢の児童生徒が通う一条校に勤務する教職員
■ 実施期間:2021年9月13日(月)〜9月20日(月)
■ 実施方法:インターネット調査
■ 回答数 :120件

アンケート結果

※自由回答は、全回答の中から抜粋して掲載しています。

設問A オンライン/ハイブリッド授業の要望は増えた?

【設問A】あなたの勤務校において、1学期と比べて、保護者や児童生徒から「家庭から授業が受けられるよう、オンライン/ハイブリッド授業に対応してほしい」という要望が増えてきたと思いますか?

設問B オンライン/ハイブリッド授業の要望への対応は?

【設問B-1】あなたの勤務校では「オンライン / ハイブリッド授業」への要望にどのように対応していますか?

【設問B-2】B-1で「学校全体として対応している」以外を選んだ方にお聞きします。学校全体として対応していない/できない理由として、当てはまるものをお選びください。(複数回答可)

「その他」を選択した方の回答(一部掲載)

十分議論できていないと感じる。

明確にはされていない。話題になっていない。

動画の作成の仕方などの研修を実施していないから。

オンライン授業への要望が届いていない(と思われる)ため。

教職員のスキル格差に加え、家庭ネット環境を把握できていない。

今は研修とトライアルの最中。いずれ学校全体での対応を考えている。

設問C 勤務校の対応、どう思う?

【設問C】勤務校の「オンライン / ハイブリッド授業」をめぐる状況について、あなたの思いや考えを自由にお書きください。

1.  必要性を感じており、よい機会になっている

職員一丸となって考えたので良いチームビルディングの機会となった。

県立高校は一斉にハイブリッド授業が始まった。初めての授業なのでみんな失敗しても助け合おうという雰囲気を作ろうと心がけた。夏休みの後半には3回体験会を行った。

オンラインは新たな教育の形であると考えます。もちろん対面授業が基本であること大前提の上でです。インフルエンザ流行の時期や警報が発令されているときなど、オンラインは有効活用できると思います。また不登校の児童生徒にも学校の活動に参加する第一段階として、有効であると考えます。今回のことでオンライン授業をやってみましたが、オンライン授業だからこそできることもありました。

2.  必要性を感じているが、課題もある

ハイブリッドは中継型で一方的になりやすく、学習効果に疑問がある。しかし、学校とのつながりはできるため、長期不登校児童にも対応すればいいのに、と思う。

できることから少しずつ始めたい、という思いが個人的にあるが、ネット環境の不備や、低学年は親がいないと家庭でつなげないなどの理由から、なかなか実現しないのがもどかしい。

学習保障の観点からは、実施できる環境や設備を整えるべきだと思うが、自宅にいづらい児童生徒や、自宅では学習できる環境にない児童生徒、登校を希望する児童生徒に対しては、やはり登校して学習できるよう、対応すべきだと考えています。

今オンライン/ハイブリッドの授業も展開しているのですが、ビデオはオフ、ミュートでの授業を求められています。(スクショで撮り無断でSNSでアップするのを防ぐため)まったく反応がわからず、困っています。勝手にミュートは外させてますが。ビデオは管理者によってオフにされています。

コロナ不安で休んでいる児童のいる担任が対応しているが、担任の負担が大きいのでは?と思っている。市の教育委員会は、「各家庭に不安で休む場合はオンライン等で対応させていただきます」と先に提示したのでせざるを得ない。それならそれで、そういう人員の配置や、動画等を作って配信くれたらありがたい…

特別支援学校なので、正直オンラインへの対応はかなり難しいと思う。オンラインにしたところで子どものみで対応できるところはほとんどないので、親の負担も必須。来てもらってなんぼなところがあるのでオンラインでどのくらい実効的な学びになるのかは疑問符。

オンライン、ハイブリッドで行えるような環境を作っておくことは、今後のコロナの動向にも対抗できることや、不登校児童の学習機会の保障にも繋がると思うので推進したい。しかし、実際問題、学校の設備が追い付いていなかったり、急激には変えたくないという管理職の思いを感じる。というか、管理職も教育委員会次第だからと考えているように見える。

実際の教室にも人がいて、オンラインの方でも見ている。どちらのことも気にしながら授業をするのが大変そうです(現在、コロナ関係で欠席の児童にのみ配信を行っており、私はたまたまやっていないので、傍から見た感想ですが)。オンラインの方は、画面を長時間見すぎないように、時間を気にしながら課題を与える。また、教室の子は話し合いができるけどオンラインの子はできない。オンラインだと板書が見えづらかったり、全体の様子が分かりづらかったりする…など、課題はまだまだありそうです。

教諭が過去に動画授業を配信したが、再生数は少なく、見ている生徒が少ないことがわかった。見るかどうかを生徒が選べるのであれば、クラスごとではなく、テーマや習熟度ごとに動画を配信して、合ったものを生徒が選べるようにしてもよいかと考える。
【例】現行:得意でも苦手でも同じ動画/配信授業(コース、クラスごとに受講者が決められている)→ 転換後:コースやクラス(あるいは学年)を越えて自分のレベルや理解の仕方に合った配信を選択できる(飛び級受講、立ち戻り受講も可能)

3. 現時点では必要性を感じていないが、取り組むべき

コロナを理由に学校に来ないことを選択している児童がいないため、オンライン/ハイブリッド授業の必要性を感じていません。ただし、不登校児童については、オンライン/ハイブリッド授業は有効であるため、何らかの形で取り組めればいいなとは思っています。

比較的、感染状況が落ち着いており、必要性を感じるところまできていない。しかし、全国的にこれだけオンライン授業が行われている中で、タブレット端末使用する授業すら行われていない状況は、非常に遅れを感じる。コロナ禍関係なく、ICT環境は早く整備してほしい。

4.  そもそも学びの保障とは何かを考えるべき

学びとは何か?を対話してから、どのように?や、何を?を議論すべき。

実際の授業をそのまま配信することで、「教室でやっている対面授業」の様子はわかると思うが、家庭で配信を受け取る児童にとって、最適ではないと思う。でも、教室での今の学び方が、全ての子供にとって最適ではないと思う。「学ぶ」ことの根本を考えたい。

オンライン授業で、教科の知識技能は身につくと思います。でも、学校の役割はそれでいいのかという疑問はあります。学校が求められていることが学力だけではないと思うし、それだけを求められたくありません。人としてどう成長するか、学力だけでなく心の成長や社会的自立を目指した教育をする場所にしたいです。オンライン授業でそれができるのか、課題は何か検討が必要です。

授業を中継すれば学びの保障になるという考え方に対して大いに疑問を感じる。授業は生き物であり、その場にいるからこそ学び取れることがある。学びの保障のためなら、自習からの質問くらいにした方が効果は高い。また、それに対する教師の負担増に社会の意識が足りない。思い切ってもう一度しばらく休みにして研修の機会を持ってはどうか。

外側の整備や、外側の使いこなし方ばかりに目が行って、大事なことが抜け落ちている感覚があります。通常なら、そこで立ち止まったり、スピードを緩めたりしながら、考えることができるんですが、それさえも許してくれないスピード感を求められているようで、正直怖いというか、数か月後、数年後が不安です。

設問D オンライン/ハイブリッド授業への対応はするべき?

【設問D-1】あなた自身は、学校として「オンライン / ハイブリッド授業」に対応すべきだと思いますか?

【設問D-2】D-1で、そのように回答した理由をお書きください。

「とてもそう思う/まあまあそう思う」という回答の代表的な意見

<学ぶ・つながる機会の保障として有効だから>

子どもの学びを止めない、子どもたちの人間的なつながりを保障する、ために必要だと思う。

ただただ休校が続き家に居るだけの時間が生徒に続いてしまうと、学校生活に戻ることができなくなってしまうから。

基礎疾患があり学校への登校を制限せざるを得ない児童がいる。(主治医から指示がでている)学校と関わる選択肢として、学校全体としての整備が必要。

学ぶ場を子どもたちが選択してよいと考えているため、オンライン/ハイブリッド授業は選択肢として当然のことだと考えています。

コロナだけでなく今後必ず必要になってくるだろうし、雪や台風等での休校などにも活用できるだろうし、気温が高すぎる日もオンラインに柔軟に変更できれば授業数も確保できて理想的だと思う。

出席停止になった生徒の学習保障の意味と、自分が学校に行けなくなった場合の自宅からのオンライン授業対応が可能であればしたい。ハイブリッドにしたことで、すでに不登校の生徒が授業に参加してくれており、そうした生徒にもハイブリッドはいいのではないかと思う。

<保護者や児童生徒のニーズがあるから>

必要とされているのであれば対応すべきだと思うから。

各家庭での考えや、児童自身の不安などには寄り添うべきかと考える。

感染予防のために、児童本人が健康であっても登校自粛をお願いするケースが増えてきている。例えば濃厚接触者となった場合は、約2週間も登校できないことを考えると、その間の学習を保障する義務が学校にはあると思う。

<時代に合わせて変えていくべきだと思うから>

これからの時代に必要なものであることはまちがいないので、環境整備していく必要性を感じる。一方で、学校の教室でしか学べないものもある思う。

保護者、企業人としてコロナ禍でのハイブリッドは昨年1年間で当たりまえになった。意思決定ツールとしてのに認知も非常に高い。公教育での使い方は全国で格差がありすぎだと感じる。つながるだけでなく、思考の幅を広げるツールとしてもICTは非常有効なツールだと感じる。

<新型コロナウイルスの感染予防になるから>

私学で通学圏が広い本校で、コロナ禍での感染リスクを下げるためには最も直接的な方法であるから。

対面授業にまさるものはないですが、感染状況に応じてオンラインも使わないといけないということならやむをえないと思います。

「あまりそう思わない/全くそう思わない」という回答の代表的な意見

<教員や学校の人手・準備・技術が不足しているから>

どちらの子にも同じ質の授業を提供できる自信がないこと、そして両方に向けての準備の時間を確保するのが難しいこともあります。

不登校児童の学習権を保障できるという点で、オンライン/ハイブリッド授業は可能性があるとは思いますが、通常の授業に加えてさらに準備を行うことは負担だと感じます。起こっている問題の全てを現場の教師が解決しなければいけないというのはおかしいと感じています。

時期尚早。準備が十分にできてからでないと、中途半端なコンテンツで配信しても、生徒目線では、人気YouTuberの勉強動画などと競合してしまう結果になり、本末転倒の可能性がある。教育現場から配信する内容として教員側の自覚やモラルが高まっていないから。

<学ぶ機会の保障として有効だと思えないから>

対面でしか実施できない実習等の授業があるから。

オンライン授業では子どもに指導しきれない。個別対応に無理がある。

授業数や行事数を減らしたり、研修や会議を減らしたりするなど、オンライン授業以外にもできることはあるはず。特にオンライン授業では国算理社など主要教科しかできないはず。実技教科や道徳、特活、総合の時間などを省略し、午前授業にすれば良いのではないか。

設問E オンライン/ハイブリッド授業の課題・懸念は?

【設問E】学校において「オンライン / ハイブリッド授業」を進める場合に、起こりうる課題や懸念として、特に大きいと思われるものを3つお選びください。

「その他」を選択した方の回答(一部掲載)

ネット上のいじめ対応ができない

地域、学校間による格差が広がるのではないか。

せっかく在宅なのに、在宅の児童生徒を長く拘束する。

教員にもプライバシーがある ネット上にのるのはイヤだなぁと……

授業内容を保護者が見る可能性があるというのは教員にとってかなりのプレッシャー。特に政治的な問題を扱う場合とか。

設問F オンライン/ハイブリッド授業を進めるための条件は?

【設問F】学校において、「オンライン / ハイブリッド授業」を進める場合に、国や自治体、教育委員会、職場等に整えてほしい環境や条件があれば、要望をお書きください。

1. 「ひと」の配置

教職員の定数を増やす。

学習指導員を各学校に配置してほしい。

配信に関する技術面をサポートする専門の人員の配置が必須。

家庭からのサポートに応えられるサポートセンター(スタッフ)。

ICTが得意な先生が一人でセッティングし、便利屋のようにみんなから質問されているので、専門家を学校に配置してほしい。何かと設定するだけで、とてつもない時間の負担がある。

2. 端末や機器などの「もの」

配信の画質や音質を確保するためのWebカメラや外付けマイクの配備。

対面授業と一緒に行うなら、倍の教員数とタブレットなどの設備が必要。

タブレットの整備、電子黒板、スピーカー、集音機などの機材を揃えてほしい。

通信環境が無い家庭への現物保障。学校のあらゆるスペースへのプロジェクター配備。

全教員に十分なパソコンを用意し、成績システムなどのアクセス権を付与すること。

まずは教員全てにタブレット端末を配布してほしい。現在は学級担任のみに配布されており、専科の担当は持っていない。

子どもと同じクロームブックを教師数分欲しいです。教師のクロームブックはは2.5人に1台です。今は自前のiPadを使っていますが、子どもと操作が違うため、事前に操作を確認することができません。

3. 教材・動画コンテンツ

委員会が動画を作ってほしい。各学校にスキルの差やクオリティーの差ができてしまう。

授業準備が増えるため、統一で使える動画やサイトなどを共有して使えるようにしてほしい。

もうすでにあるYouTube動画や他の市町村の教員が作成した動画などを見ても良いようにしてほしい。「動画は学校の担当教師がつくらなければならない」はおかしい。

4. 研修・学びの機会

ICT活用のスキルを向上させるような研修の充実。

教員の授業力の質の向上に向けた研修。特に若手教員。

管理職の研修。ICTの活用はとにかく危険だと思っている管理職に、まずは研修の機会を増やしてほしい。(管理職の考え方次第で、こどもの教育を受ける機会が左右されている)

5. 家庭及び学校のWi-Fi環境

とにかく回線を良くして欲しい。校内で使っているだけでも繋がりが悪くなることがよくある。

学校のWi-Fi環境を一刻も早く整えてほしい。未だにWi-Fiが導入されておらず、ネットに繋ぐ時は自分のポケットWi-Fiを使用している。

オンラインをするにも、初めはフェイストゥーフェイスでやり方を教えないといけないので、全校児童が同時に接続しても問題ないくらいのWiFi環境を整えてほしい。

家庭でのネット環境がないなどについての対応を今以上にしてほしい。自分の自治体では生活保護や就学援助世帯のみルーター貸し出しをしているが、ネット環境がない、十分でない世帯は生保や就援家庭に限らない。

6. ガイドラインやルール

肖像権に関するガイドラインを示してほしい。家庭とzoomを繋ぎたいだけなのに、肖像権などの話になると議論がストップしてしまう。

まずはオンライン授業を授業数にカウントすること。次に授業日数の軽減。休校後の数合わせが教員も生徒も大変。行事をなくすなんて全日制を選んだ生徒には考えられないと思う。

コミュニケーションも取れており課題のやりとりも出来ている。それなのに授業日に換算されないと、教員も生徒も疲弊する。成績にどこまで反映させていいかもわからない。オンライン授業を実施している教員の努力や授業内容の実態をきちんと把握しているのだろうか?

7. セキュリティの緩和/強化

セキュリティとフィルタリングの強化。

デジタル教科書が家庭で使えるようになる権限。

自治体外とやりとりできる教員Gmail、保護者アカウント。

教員も見れないサイトが多すぎるので、もう少し緩めてほしい。

インターネットに制限をかけて、自由に調べ物ができなくなることを避けたい。

Wi-Fiが学校の端末しか接続できない条件になっているが、学校のデバイスが使いにくいもしくは足りないため、個人のデバイスを使用しているので、個人の端末でもWi-Fiが使えるようにしてほしい。

8. 業務内容やツールの見直し

全体的な仕事量の削減をしてもらわないと、対応はできない。

GoogleやOfficeなどを取り入れて、クラウドや学級での連絡手段を作ってほしい。また、作業効率化にもそういったソフトがあれば助かる。

授業の準備と授業を考える時間を確保したいので、それ以外の雑務を誰かに託したいです。授業をしなければならない先生は一切の雑務をしなくていいと思います。さもなければ子どものことを考えながら面白い授業を作る力がなくなってしまいます。

現場のICTに詳しい、やる気のある先生の声を最大限聞いてあげて、予算を年度途中でも増やせれば対応してあげてください。夏休み中に教室の机を広くする工事をした自治体がニュースになっており、タブレットを授業で使う際に広い机が必要に成るという生徒の声も反映していて素晴らしいと思いました。こういう現場の声を聞いてください。

設問G 対面授業でないと格差は拡大すると思う?

【設問G-1】毎日の授業が対面でなくなることによって、教育格差が拡大すると思いますか?

【設問G-2】G-1で、そのように回答した理由をお書きください。

「とてもそう思う/まあまあそう思う」という回答の代表的な意見

<対面授業と比べ、ケアやサポートが行き届かないから>

能力の低い生徒、学習姿勢の整わない生徒を巻き込む雰囲気にするのが難しい。

対面でなければできない支援がたくさんある。画面上の説明だけでは理解できない子は一定数いる。

個に寄り添う細かなフォローなどがしにくい。また、学者意欲がそもそも低い子を引き上げるのも難しい。

知識・技能については対応できると思うが、特に小学校段階では対面でしか経験できないことがたくさんあると思うから。

支援が必要な児童に支援が行き届かないと感じたため。また、5、6hのオンライン授業は、子どもたちも疲れると言っている。

実物を見せたり、実際に触らせたりという、生のやり取りができなくなる。視覚優位の子など、オンライン上だけの授業では理解が進まないように思う。

リアルな生徒の会話がスムーズに行えるのは、オンラインよりオフラインだと考えるため。オンラインだとわからない生徒をフォローするのが難しい上に、対話による学びを十分に保障できないから。

現在のオンライン授業のやり方では、教室で大人が声をかけたり、軌道修正したりして参加できていた子どもは、単純に子どもの特性や理解力に左右されてしまう学習環境におかれてしまう。平日に一緒にいられる保護者など皆無に等しいので、子ども個人の学びの意欲と力に依存した形になってしまうため。

オンライン授業ではないが、民間業者の動画授業を取り入れた。しかし、できる子たちはちゃんと試聴して学習しているが、そうでない者はログインさえもしていない。だから対面での指導もある程度ないと、なかなか学習に取り組めない子も多いのではないか。

対面であることにより、学びの場が強制される。本来、望ましいことではないが、現実的に自分だけでは学べない生徒が多い。これは今までの自分達の教育の成果である。いかに日頃から生徒に学ぶ意義を伝え、学び方を学ぶ機会を提供できているかが重要だと痛感させられた。また、生徒だけでなく、保護者へのマインドセットも重要であると感じている。

<教員のスキルに差があるから>

オンライン配信のスキルの差がどうしてもできてしまう。

オンライン上で、子どもたちのやる気を引き出す指導が長期間継続的にできるか、自分のスキルに不安がある。

<家庭の教育環境に差があるから>

家庭の力、児童個人の力には元々かなり差がある。集団指導が入りづらい児童は、オンラインについていけなくなることは明らか。学習するスペースすらない家庭も存在する。

オンライン授業となり、家庭環境の違いがはっきりと子どもの様子に現れているという意見をよく聞く。学校という同一の場が学ぶ場としてあることは、大切なことだと思う。

環境整備についても、PCやWifiの環境が整っていて、保護者の理解のある家庭では十分に機能するかもしれないが、そういう家庭ばかりではなく、整わない限り授業が受けられないとなると、格差は広がるばかりだとおもう。

所得の格差によって、通信環境や学習環境が整えやすさが変わってくる。環境の差によって学習効果も変わってくると思うから。また対面であれば、気がつき、フォローできることも、非対面だと難しく、個人の努力に委ねられるから。

「あまりそう思わない/全くそう思わない」という回答の代表的な意見

<対面でも既に格差があるから>

学校に来ていても、テスト学力をつけるための指導ばかりで、「学び」になっていないから。

対面で行っていても、教育格差は十分に起こるから。むしろ、物理的な距離によって手を差しのべられない子にも手を差しのべられるようになると思う。

<学ぶ機会の保障につながるから>

オンラインで選択の幅が広がることによって,学校に行きにくい児童が救われる面もあると考えるから。

むしろ、貧困等で十分な学習環境が整っていない子達へアウトリーチすることにつながると考えています。ただ、ここはまだ熟慮していない段階での回答です。今の時点では、上記の考えです。

<使い方や条件によって変わるから>

個人差があるので、なんとも言えないと思う。

教員の力量次第。現代に必要な学びの授業は何かを考え授業をデザインする力が教員にあるかどうかで決まる。ICT研修と同時にそうしたマインドを教員が当事者意識をもって行動に移せるかがポイントのように思います。

使い方だと思う。一斉授業の延長では効率は悪い。オンライン、ハイブリッドならではの画面共有はブレイクアウトなどのやり方を臨機応変にかえれば可能性は広がる。デジタルネイティブの子どもたちの発想もといいれたらもっといろいろできるのではと思う。

【設問G-3】G-1で「とてもそう思う」「まあまあそう思う」と答えた方にお聞きします。今後、「対面が不可能な状況でオンライン授業/ハイブッド授業をやることになった場合」に備え、教育格差の拡大を防ぐために、どのような対策が必要だと考えますか?

1. 授業の質を担保するための準備

教員のICTへのスキルや効率的なソフトの使用。

オンラインでも学習を進めるための学び方の学び、授業づくりの研修。

子どもが自分で学びたいと思う意欲を持てるようにすること。実際に、こうやったら学べるよ、という方法や手段を知らせること。

通常登校ができているうちに、オンラインでの操作方法等について子ども達とともに教室で確認することが必要です。そのためには、子どもに周知できるように先生方へお伝えすることも必要です。

2. 人員を確保する

教員数を増やし、T2に入れる。
※ T2とは、2人の教員が協力して授業を行う際、サポート役を担う教員のこと。

学年に支援員を増員。トラブル対応をおこなってもらう。

とにかく授業準備。これまでと比べ物にならないくらいの時間を費やして、PPなり画像なりを準備して子ども達に提示する必要が出てくると思います。つまり、今の人員では不可能に近いと思います。新しいことをやらせるならば、教員にももっと手厚いサポートが欲しいです。今の状況でも時間に余裕がないのに…。

とにかく人員を増やしてください。そして時代に合わせて不要となった仕事をなくそうという動きにストップをかけないでください。例年やっていたから、と廃止を戸惑ってしまう気持ちもよくわかりますが、現場の人間が不要と判断したものについては、前向きに一緒に検討してもらいたいです(特に管理職の皆様など)。対策としては、オンラインに直接はかかわらないように見えるむだな業務をとにかく見極め続けたいです。

3. 個に応じた対応をする

パソコンでの学習のメリットデメリットや、障害のある子がパソコンを使ううえで困ることなどを丁寧に検証すること。

オンライン指導の場合でも、クラス内の時間を分けて、10人以下ずつ等の少人数指導を行えれば、少しは指導が行き届くと考える。

福祉的な対応が必要な生徒や、個別に配慮が必要な生徒に対応するためには、やはりせめて分散登校などが必要になってくると思う。

オンラインでつなぐとき、「授業」を進めることに必死にならないように、学習指導要領(現場としては教科書?)を教員が柔軟にとらえることはできないかなと思います。日本は年齢とともに学年が上がっていきますが、そこに固執せず、授業とともに精神的な健康を保証できるものもセットで考えていきたいと思います。

4. 各家庭への支援をする

ルーターの貸与など家庭への支援。

各ご家庭のITリテラシーの向上を図る。

大人の手が必要な人に、確実に助けが行き渡るようにすること。子育てにはもっと行政の手が入っていい。

格差拡大を防ぐためには徹底的な個別支援が必要だと思う。特に家庭(保護者)教育力の差が一因になる。家庭への支援という形での教育が必要。

家庭状況として、ネット環境が十分でない生徒もいます。一人一台の端末配布があってもネット環境がなければただの大きな荷物になってしまいます。まずは環境整備が必要だと思います。

5. その他

様々な教育施設・子どもが集まる施設のWi-Fi環境を整える。

自治体に丸投げするのではなく、国の支援や企業の支援があると格差の拡大は防ぐことができると考えます。

どのくらいの期間で対面可能な状況に戻れるか等の情報を示すことで、この全社会的な不安感やストレス感を減少させることが、生徒たちの学びに向かう意識を促し、教育格差の拡大を防ぐことになると考える。

まとめ

オンライン授業やハイブリッド授業の必要性を感じると回答した教職員は約8割でしたが、実際に全体で取り組んでいる学校は約4割に留まりました。その背景としては、通信環境の不備や端末、人員の不足などが多く挙げられていました。「実施したい気持ちはあるが、さまざまな障壁があってできない」という現状があるようです。

また、回答者の校種や地域、年代別の意見に注目すると、以下のような傾向があることがわかりました。

  • 若手の教職員は、授業で使える教材や動画コンテンツの充実を求めている。
  • 年配の教職員は、専門家の配置や教職員の増員を求めている。
  • 小学校の教職員は、授業で使える教材や動画コンテンツの充実を求めている。
  • 端末や通信環境など「モノ」の整備は、どの校種や地域でも同様に求められている。

現在も全国の学校で、多くの教職員が児童生徒の学ぶ機会を保障するために試行錯誤を重ねています。感染状況等を踏まえ、教職員の懸念・思いを踏まえた意思決定が、各自治体や学校においてなされてほしいと思います。



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NPO法人School Voice Project のメンバーが、プロやアマチュアのライターの方の力を借りながら、学校をもっとよくするためのさまざまな情報をお届けしていきます。 目指しているのは、「教職員が共感でき、元気になれるメディア」「学校の外の人が学校を応援したくなるメディア」です。

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