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メガホン – School Voice Project

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4月27日付けで、文科省から「特別支援学級及び通級による指導の適切な運用について」という通知が出されました。

この通知において文科省は、昨年度に実施した実態調査をもとに、「特別支援学級に在籍する児童生徒が、大半の時間を交流及び共同学習として通常の学級で学び、特別支援学級において障害の状態や特性及び心身の発達の段階等に応じた指導を十分に受けていない事例がある」とし、各教育委員会等に対して、特別支援学級に在籍している児童生徒については、原則として週の授業時数の半分以上を目安として特別支援学級において授業を行うことを求めました。

この通知によって現在どのような影響が出ているのか、また通知自体に対してどのように考えているのかを教職員の方々に聞きました。

※文科省からの通知は こちら

アンケートの概要

School Voice Project では、WEBアンケートサイト「フキダシ」に登録する教職員の方を対象に、文科省通知「特別支援学級及び通級による指導の適切な運用について」についてアンケートを取りました。

■対象:全国の小〜高校年齢の児童生徒が通う一条校に勤務する教職員
■実施期間:2022年7月1日(金)〜2022年7月18日(月)
■実施方法:インターネット調査(実施時の設問はこちら
■回答数:48件

アンケート結果

設問1 勤務校での文科省通知の影響は?

Q. あなたの勤務校では、文科省通知「特別支援学級及び通級による指導の適切な運用について」の影響がありますか

通知によって今年度から影響が出ている、あるいは来年度以降に影響が出ると答えた人は、全体の6割を超えました。 (「今年度から既に支援体制に影響が出ている」「来年度から特別支援学級の体制に影響が出る見込みだ」「来年度からとは限らないが、今後影響が出ると思われる」の合計)

設問2 実際に出ている/出そうな影響は?

Q. 「影響が出ている」「影響が出る見込みだ」「影響が出ると思われる」と選んだ方に質問します。実際に出ている/出ると思われる影響について具体的に教えてください。(任意)

今年度から既に支援体制に影響が出ている。

通級に通えるのは1年間限定になった。子供によっては数年必要な場合もあるので、中途半端な指導で終わってしまうのではと懸念されている。
【小学校・教員】

昨年まで7クラスだった特別支援学級が今年は4クラス。肢体不自由の子がいるが、知的との重複ということで、肢体不自由クラスはつくってもらえず、知的クラスに。そのためその子にほぼついておかないといけない。その状態で知的クラスの他の子の授業まで見るのはとても厳しい。
【中学校・教員】

来年度から特別支援学級の体制に影響が出る見込みだ。

7月6日(水)に臨時の職員会議が開かれ、文科省の通知の件について、校長より情報提供という形で話があり、「学ぶ時間の過半数を支援学級で過ごしていない児童を通常学級籍にしていく可能性が高い」と伝えられる。職員会議の質疑応答では、支援担任から、市内の学校によって保護者への話の内容や対応が違うと困る、という話が出る。また、この通知への市教委の対応について、「3〜5年くらいの移行期間を設けることはできないか」「一律に支援か通常学級かを決めるのではなく、通級指導教室を含めた多様な学びの場の確保をしてほしい」との意見が出された。
その後、校長からは、支援在籍児童のうちほぼ通常学級で過ごしているような児童の保護者に対して、「あなたのお子さんは通常学級で十分やっていけます」という類の情報を話してほしいという旨の話があった。
【小学校・教員】

・市教委から来年度の設置においては、必ず半分以上の時間を支援学級で過ごすことが必要と管理職に指示があった。しかし、現場に対しては、「必ず半分にこだわっているわけではなく、その子どもに必要な支援を」という。組合との折衝の中で、管理職にきちんと伝え直せと言って少し落ち着いたが、まだ、「半分」という形に拘っている姿勢がゼロになったわけではない。
・保護者も通知を知っている人がいるが、現場としてはどうすればよいのか見えていない。
・通級指導も活用をと言っているが、来年度からそれができるという保障もない。
【小学校・教員】

来年度からの文科省の通達通りの実施が、校長会を通して市教委から現場にアナウンスされた。それが先週木曜日(7月7日)。保護者への手紙がその翌週月曜日(7月11日)に配布される。
保護者は我が子が支援学級在籍を継続するか退級するか、退級する場合は通級に入るか否か、8月10日までに決定しなければならない。
保護者説明会が予定されているが、これもその日までに1週間強しかなく、あらかじめのお知らせではない。
【小学校・教員】

基本的に支援学級在籍児童は、週の半分を支援学級で受けることを保護者にも説明の上、承諾できなければ、通級や退級の選択肢を提示するということが行われている。【小学校・教員】

これまでは情緒学級、知的学級ともに国語と算数のみ支援学級で授業を行ってきた。そのため、複式にならずに同一学年の児童が支援学級の教室で一斉に授業を受けることができていた。週の半数を支援学級で過ごすということになると、複式になることは避けられず、これまでのようにはいかない。もっとも、国語と算数以外は交流学級で学んでおり、十分に支援できていなかった事実もあるので、これから大きく変えていくことになると思う。【小学校・教員】

来年度からとは限らないが、今後影響が出ると思われる。

特別支援学級に入級する子どもが年々多くなり、学年も複数にまたがっています。また、年度の途中で入級があっても教員が増えるわけではありません。中には就学指導等で「支援学校相当」と判断されても「支援学級で」という保護者の方からの希望で入級してくる子どももいます。入級したからにはきちんと対応しなければならないが、他にも個別対応が必要な子どももたくさんいます。
個々に応じた指導ということであれば、圧倒的に人員が足りません。
教員の人数が増えなければ、校内の人員で対応しなければならないので確実に影響はあると思います。
【小学校・教員】

機械的に交流学級へ行く時間を総時間数の半分以下にしろと言われたり、交流学級へ半分以上参加できる児童は、通常学級へ在籍させろと言われることが考えられる。通常学級と特別支援学級の担任が連携して行うような活動が減ることも考えられる。【小学校・教員】

今回の通知を受けて、保護者にどのように説明をしたらいいのかわからない。また、保護者が支援学級で大半を過ごすことを望まない場合、さらに説明が難しくなる。それらの対応を支援学級担任に任せられてることにも負担感を感じる。
実際に通知通りに在籍する児童を限定した場合、通級指導教室を各校に設置するなどの対応をしてもらわないとグレーゾーンにいる児童は行き場をなくす。【小学校・教員】

北海道では特別支援学級に所属している子どもであっても、保護者からの要望により、ほとんどを普通学級で過ごす場合がある。その場合、普通学級にいながらサポートを受けたり、授業内容によっては個別に対応したりしている。そのため現状では50%を個別で抜き出して対応してはいない。普通学級で学んでいる時間については、支援員さんがサポートをし、特別支援学級の担任は空き時間として分掌や部活動の仕事をしたり、普通学級に授業をしに行く。小規模校の場合、教員数が少ないので、支援担が通常学級の複数教科を受け持っている場合もある。もし来年度から通知通りにするとなると、持ち時数は30時間を超えてしまう状態になる【小学校・教員】

設問3 今回の通知、どう思う?

Q. 今回の通知について、ご意見があればお書きください。(任意)

肯定的な意見

一律で半分以上と決めてしまった点は残念に思う。一方、国語と算数のみ支援学級というのはおかしいという具体例をあげてくれた点は評価できる。それ以外の教科で支援がされず放置されていて、交流学級への負担が大きすぎると感じていたので。【小学校・教員】

本校の特別支援学級担任は、半数以上が小学校教諭の免許を持たない臨時免許の助教諭や、教員免許すら持たない臨時免許の助教諭で、まともな授業も学級経営もできていません。この通知で、本校の子ども達が必要な授業を特別支援学級という適した環境で受けられるようになる事を期待します。【義務教育学校・教員】

私の勤める自治体では、学校によって、特別支援学級の支援体制がバラバラなので、文科省の通知を満たしている学校もあれば、満たしていないと思われる学校もある。(今回の通知の条件を)満たしていないと思われる学校に勤めていた時は、毎日交流級で過ごす児童に、どんな支援をすればよいか悩んだ。(今回の通知の条件を)満たしている学校に勤めていた時は、特別支援学級の担任と、コミュニケーションをとり、上手くできていたと思う【義務教育学校・教員】

否定的な意見

通知自体に反対です。まず現場の実態を知らなさすぎる。支援学級1つとってもいろいろなケースがあるはずで、言語指導、取り出し指導、教科指導などなど、児童生徒の数だけケースがあるはず。それを十把一絡げにして一律に制限をかけるなどナンセンスの極み。支援級潰し→支援校への恣意的な意図を感じる【特別支援学校・教員】

特別支援学級の教育は、個々の障害の種類、度合いにより、さまざまな方法があると思います。だから、一律週の半分以上を支援学級で…という取り決めが、良い場合もあるし、デメリットとなる場合もある。私は、特別支援学級に在籍していれば、教育を個に応じたカスタマイズができると思っているので、一律でどうこうというのはやめるべきだと思います。【小学校・教員】

今までの方針とは違う方向への急展開に、現場が混乱している。保護者も混乱するだろう。市教委や府教委によるもっと丁寧な対応・説明、そして期間が必要だ。支援担や支援学級が減るならば、要配慮児童への対応ができるような環境を整えることが必要だ。
①支援員の充分な配置
②支援員の日々の配置をコーディネートする役の配置
③一学級の定員を30人にすること
本通知の実施により学級担任の負担が増えることは明らかであり、文科省の推奨する働き方改革とは逆行する。人員不足を見た目だけ解消するより、負担や業務のボリュームが減るような具体的施策をお願いしたい。【小学校・教員】

ニーズに合わせた指導と通知には書かれていますが、他の児童との交流が一番大事で、そこが目標の児童もいます。ニーズに合わせると言うなら、そんな児童のことも考えてもらいたい。【小学校・教員】

特別支援学級の充実を図るのであれば、定員を減らす、支援員の増員が必要である。もちろんこれは普通学級に関しても同様だが、現場の工夫や努力で何とかできるような問題ではない。【小学校・教員】

特別支援学級の充実を図るのであれば、定員を減らす、支援員の増員が必要である。もちろんこれは普通学級に関しても同様だが、現場の工夫や努力で何とかできるような問題ではない。【小学校・教員】

そもそも複数学年がいる中で、教科の時数を守りながら授業を行うとなると、今の支援学級の担任数で運営ができないのが現実。だから、交流学級に出す特別支援学級も多いのでは。たしかに、交流学級にいるだけではインクルーシブとは言えないが、集団側が変わらなくてはいけないところもある。【小学校・教員】

週時数の半分という基準は、何を根拠にした数字なのだろうと思う。人と場所にお金がかかるからという行政側の理屈ではないか。学習や生活上の困難を抱えているけれど、通常学級という集団の中で学ぶこと(交流)が可能ならば、将来の社会自立に必要ならば、すればよいと思う。もしも特別支援学級が減らされることになれば、子ども、保護者、職員の誰もがさらにしんどい思いをするのではないか。【小学校・教員】

病弱児について何も考えられていない。病弱児で学習支援が不要だからといって、支援級から外れるのはおかしいのではないか? 病弱児には医療ケアが必要でその窓口が支援担任から学級担任に変わるのは、専門性もなくなるし、学級担任の負担が増大し、命に関わるミスも出てくると懸念している。支援とは、学習支援だけではない。【小学校・教員】

重度の子どもが通常学級で過ごすことで、まわりの友だちから影響を受けてできるようになったこと、思った以上の成長が見られたことは多くありました。先生と一対一や少人数でできるようになることももちろんありますが、今はどの時期なのかを見極め、また、単元によって通常学級で受けた方がいいのかを考えて、子ども本人の気持ちも大事にしつつ、子どもに合った方法で学習および生活支援を進めることに意義があると思います。
また、通常学級の子どもたちは、一緒に過ごすことでわたしたち大人が気づかないことに気づいてくれ、支援学級の子どもの気持ちを汲み取って教えてくれることもありました。卒業した後も地域で過ごすことの多い子どもたちだからこそ、通常学級の子たちと関係を繋いでいくことが、なによりも大切だと考えます。保護者からも、地域で友だちに声をかけられることがうれしいと聞きます。それは、通常学級で多くの時間を過ごしたことが大きく影響していると思います。【小学校・教員】

本来は、一人ひとりの障害の状況や、本人や保護者の希望などを丁寧に聞き、通常学級や支援学級の時間数が個別に定められるべきだと考えられるのに、今回の通知をもとに、「半分以上を支援学級で授業を受けない」場合、一律通常学級の生徒となるように思えて、乱暴な印象があります。【中学校・教員】

本校では支援の種別ごとに学級編成を行なっており、複数の学年の生徒がまたがって入級しており、現実的にこの通知通りにやると様々な授業を抜くことになり、保護者や生徒本人の「できるだけ通常学級で授業を受けさせたい、受けたい」という思いとは違った形になる。【中学校・教員】

小さな地域だと普通学級が1クラスしかないから、支援学級に入ることのハードルが高くなる。支援学級に所属すれば、同級生との関わりは少なくなり、友人とのつながりが薄くなってしまう。そういう状態では保護者が「支援学級で支援を受けさせたい」とはなりにくいのは当然だ。そういう意味で、50%取り出して……という今回の通知は、無理して通常学級にとどまろうとする保護者と、しんどい子どもをたくさん抱えて疲弊する教員をたくさん生み出すことになると思う。【中学校・教員】

まとめ

通知によって影響が出ている、あるいは今後影響が出ると答えた人は、全体の6割を超えました。

来年度から通知通りの運用が予定されている自治体については、急な制度変更に対しての不安の声が多く寄せられました。

通知に対して肯定的な意見については、一律国語と算数だけを支援学級で学習するようなケースを取り上げ、改善するよう促したことを評価する声や、この通知に書かれているシステムの方がやりやすいといった声がありました。

通知に対して否定的な意見については、特に「週の授業時数の半分以上を支援学級で学ぶ」という一律的な対応への不満が多く寄せられました。また、今まで学校や自治体が掲げていた支援教育の方針との食い違いに戸惑う声も多く聞かれました。通知通りにすれば、来年度からシステム的にかなり混乱してしまうという懸念もありました。

さらに、病弱児など、医療ケアが主な支援となる子どもへの配慮が十分になされていないという指摘もありました。
 
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