学校をもっとよくするWebメディア

メガホン – School Voice Project

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School Voice Projectでは、今後、文科省や教育委員会、国や自治体などへの政策提言を行っていきたいと考えています。

みなさんが教育行政(各自治体の教育委員会、文部科学省など)に対して「こんなことに困っている」「こんなふうに変えてほしい」「こういう制度や決まりがあったら/なかったら、もっとよくなる」と、日頃感じていることをお聞きしました。

アンケートの概要

School Voice Project では、WEBアンケートサイト「フキダシ」に登録する教職員の方を対象に、皆さんの「変えたいこと」ついてアンケートを取りました。

WEBアンケートサイト「フキダシ」は、現在ユーザー登録を受け付けています。教員の方だけではなく、事務職員や用務員、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカー、ICT支援員の方など、学校現場で働く様々な立場・職種の方が対象です。ぜひご登録ください。

■対象:全国の小〜高校年齢の児童生徒が通う一条校に勤務する教職員
■実施期間:2022年3月19日(土)〜2022年4月10日(日)
■実施方法:インターネット調査
■回答数:34件

アンケート結果

設問 あなたの「変えたいこと」は?

  1. 教育内容に関わることについてお書きください。(学習指導・生徒指導・進路指導・部活動など)
  2. 予算に関わることについてお書きください。
  3. 人事・働き方に関わることについてお書きください。
  4. ルール・仕組みに関すること、その他全般のことについてお書きください。

※ 全回答の中から抜粋し、該当する項目に分類して掲載しています。
※ 回答のすべてが文科省や教育委員会、国や自治体などの管轄とは限りません。

働き方に関すること

業務整理を誰かに断行してほしい。子どもの顔がちらついたり、減らせることに時間と情熱をかけている教員がいることを知っているだけに、現場がそれを行うのはとても難しい。【小学校・教員】

運動会、学芸会が簡素化したことで、学習の時間がしっかり取れたことが今年度とても良いところでした。文科、教委はそうした事例を「働き方改革の効果」として、良いものという取り扱いで宣伝してほしいです。【小学校・教員】

うちの市では、産休や療休が出ても代替えの方がいないという理由で配置されません。3月末時点で登録者ゼロだったと記憶しています。今年度も支援専任の方が途中から担任に。自分も過去に産休に入る方の代わりに担任しました。また、コロナ禍で陽性や濃厚接触でお休みせざるを得ない中、教務、管理職で授業を回しました。【小学校・副校長】

非常勤の先生の勤務コマ数が授業ギリギリのため、教材研究や成績処理などをする時間がないです。コマ数の前後に余裕をもった勤務時間にしていただきたいです。【小学校・教員】

ICTによって、時間を効率化しても、また新しい仕事をする人が殆ど。時間が来たら、パソコンが落ちたり、教室を施錠するなど、強制的に退勤する方法も必要なのではないか。【小学校・教員】

家庭の事情で、短時間勤務を希望する人が希望する働き方が選べるようになってほしいです。1人でフルタイム勤務はできなくても、2人で1人分の勤務をするなど柔軟な勤務体制への改善を求めます。長時間労働のため、家事育児にあてる時間が少なくなることを懸念して、退職する先生がいるので、その先生がまた働きたいと思える労働環境を整えてほしいです。【小学校・学習支援員/スクールサポーター】

労働時間内に授業の準備ができていないのが現状です。もちコマ数を週20未満にすれば、事務仕事を含めて勤務時間内に終えることが可能かと思っています。【中学校・教員】

人員配置や雇用に関すること

教職員定数を改善してほしいです。小学校における副担任制など、複数の職員で学級を担当するような制度ができてほしいです。【小学校・教員】

・スクールカウンセラーとスクールソーシャルワーカーの正規雇用化と常駐を希望します。両者とも社会事情の複雑化によってニーズが高まっています。
・学校司書を全学校に配置して欲しいです。学校図書館を充実していくためには、学校司書の存在が必須ですが、自治体によっては置かないところもあります。そういった学校では、休み時間の図書の貸し出しができなかったりします。それは、子どもたちにとって大きなマイナスです。また、配置するだけではなくて、最低限の生活ができる程度の賃金を払っていただきたいです。【小学校・教員】

会計処理を教員がやらなきゃいけない仕組みを変えて欲しい。生徒の成長と関係ない仕事なのにミスができないので仕事の負担が大きい。【中学校・教員】

校長は少なくとも5年以上(もしくは退職まで)変わらないようにして、自分事として責任を持って学校運営(マネジメント)して欲しい。【高等学校・実習助手/実習教員】

私の勤務校は専門高校なのでまだ余裕がある方だと思うが、定員が減ったり定員割れになるたびにどんどん減らされる。とにかく人員を増やしてほしい。【高等学校・教員】

学校の設備やシステムに関すること

業務負担改善のための問題作成ソフトや採点ソフトを導入して欲しい。私立との差が開くばかり。【中学校・教員】

iPadを入れたのはいいけど、付属品が実用的ではない。
・あまり使わないキーボードや肩紐が人数分あり管理がしにくい。(紛失を招く)
・持ち帰りを想定していなかったのか、クッションケースがなく、破損多数。【中学校・教員】

・同じ府立高校内でも事務室によって消耗品の種類や質が違いすぎる。ホッチキスの芯を1つずつ、ゴミ袋も枚ずつしかくれなかったり、ノートや磁石などは置いてくれない。担任がクラス運営するための文房具などは公費で賄ってほしい。
・とにかくエアコンをつけてくれない。授業でも汗かきながら行っており、生徒が複数名保健室に行くか倒れるまで、温度設定を変えてくれない。トイレも古く和式しかない。【高等学校・教員】

いろいろなセキュリティーの問題はあるかもしれないが、もう少し制限をなくし、できるだけクラウドでデータを管理してほしい。そうすれば、在宅や移動の際にもデータへのアクセスが便利になり、職務の効率化が図れるケースもあると思う。【小学校/中学校・教員】

スケジュールや時間割に関すること

春休みが短すぎます。25日にやっと修了式、卒業式後に人事が発表され、異動者もあり実働し始められるのは1日から。6日から新年度が始まってしまうので準備期間はたったの3日。【小学校・教員】

周年行事を縮小化してほしいです。地域とのつながりは大切ですが、過剰な演出や制作物のためにかける時間を、子どもの学習にあてたいと思います。【小学校・学習支援員/スクールサポートスタッフ】

・地域によって違いますが、次年度の人事(何年生を担任するかなど)を年度内に知らせてくれれば、春休み中に次年度の準備ができると毎年思っています。
・児童の登校開始時間を、勤務開始時間以降にしてほしいです。勤務開始前に児童が登校すると、安全確保の面で不安がありますし、また担任の先生たちは特に、出勤開始時間が早くなるので残業が増加します。【小学校・教員】

部活動に関すること

平日の部活動は部活動指導員に任せて、土日は地域のスポーツクラブに任せて、授業準備と心身のリフレッシュに充てたい。【小学校・教員】

部活動を学校生活から切り離すことができれば私たちのより良い働き方につながると考える。教育課程外の活動が主になり、学習指導等で自己研鑽する時間が確保できない現状は本末転倒の状況。新しく教員を目指す人たちが働きやすい環境を整えていくことが急務だと思う。【中学校・教員】

部活動の顧問は全員強制をやめて、原則なしにしてほしいです。やりたい人は地域のクラブチームの指導者として参加をすることを可とすれば、自分の意志で決められます。【中学校・教員】

学習の内容や指導に関すること

子どもたちが自分の夢や願いを声に出して、安心して語ることのできる社会にするためにも、学力で順位をつけることを止めてほしい。【小学校・教員】

1学級の人数を30人以下としてほしいです。やはり30人を超えると子どもたちのことが把握できない、テストの採点等に時間がかかる、教室が狭くなる等、様々な部分で問題が発生します。【小学校・教員】

学習内容を精選してほしいと思います。学習する内容が多すぎて、ただやったというだけで終わってしまう単元もあり、厳しいです。【小学校・教員】

あまりにキッチリとし過ぎている時間割がもっと柔軟に組めるようになって欲しい。また、単位取得に必要な時間数に多少の余裕(余白)が欲しい。(個別最適な学び、主体的な学びを進めるためにも必要)【高等学校・実習助手/実習教員】

学校教育とは離れるが、学校以外での学びの場を保障してほしい。不登校児童生徒数が20万人になり、多くの子どもが行きたくても行けない状況にある。【高等学校・教員】

生徒指導に関すること

生徒指導のあり方を、懲罰的、支配的なものにすることをやめて、地域研究に基づき、生徒理解を基本とした対話的なあり方にあらためていくべき。校則については、法律や人権の観点から早急に検討が加えられるべき。【中等教育学校・教員】

世間の状況に比べ、生徒指導の方針が逆行し、厳しくなっている。おとなしい(荒れない)生徒に対して、従わせて満足している教員が多い。社会の変容とともに、校則の在り方から進路指導まで見直す必要がある。【高等学校・教員】

情報伝達に関すること

大阪では、メディアを通して知ることが多く、現場の教員が知らないまま先行してSNSやメディアで方針を発信されるのがきつい。生徒や保護者などエンドユーザーと対面している現場が軽視されているように感じる。【高等学校・教員】

教育委員会に「現場の教員の意見や要望を直接伝えることができる」部署や仕組みを作って欲しい。【高等学校・実習助手/実習教員】

教職員の学びや育成に関すること

自己研鑽に関する予算を付けて欲しいです。【小学校・教員】

大学の教職課程において、授業方法以外を選択ではなく必修で学べるようにしてほしいです。学級経営の充実を学習指導要領で12年間にわたって広く求めるのなら、必修で学級経営を学んでおくことが、現場に出た時に教師や子どもたちにとっての幸せにつながると思います。【小学校・教員】

まとめ

最も多くあがっていたのは、働き方や人員配置、雇用形態に関する意見でした。具体的には、「業務量が多く、労働時間内に授業の準備ができない」「人員不足から、希望する勤務形態が選べない」「教員以外の専門家の配置を増やしてほしい」「部活動を学校生活から切り離してほしい」などの声が目立ちました。

また、児童生徒の学習に直接影響することに関しては「学習内容が多すぎる」「授業時間数に余白がほしい」「1学級の児童生徒数を減らしてほしい」など、余裕を持って学べる環境の必要性の訴えが多くありました。

現在は、アンケート結果を参考に、School Voice Project から文科省や教育委員会、国や自治体などへ政策提言が行えるよう準備を進めています。



▼ 自由記述の回答一覧は、以下よりダウンロードしてご覧ください。 ▼

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※対象は教職員の方のみです。
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※メディア関係者の皆様へ
すでに公開されている教職員アンケート結果やWEBメディアの記事の内容等は報道の際に使用いただいて構いません。その際は【出典:NPO法人School Voice Project 】クレジットを入れていただき、事後でも結構ですのでご一報ください。

昨今、宿題の廃止や減少に動く学校が増えています。背景には、自律的な学習習慣形成に繋がっていないのではないか、児童・教職員・保護者の負担となっているだけなのではないかといった現在の宿題のあり方への疑問があるようです。

そもそも、現在、宿題はどのように出されているのでしょうか。また、宿題の必要性について、教職員はどのように捉えているのでしょうか。教職員アンケートにて、実態を伺いました。

アンケートの概要

School Voice Project では、WEBアンケートサイト「フキダシ」に登録する教職員の方を対象に、小学校の宿題についてアンケートを取りました。

WEBアンケートサイト「フキダシ」は、現在ユーザー登録を受け付けています。教員の方だけではなく、事務職員や用務員、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカー、ICT支援員の方など、学校現場で働く様々な立場・職種の方が対象です。

■ テーマ :小学校の毎日の宿題について
■ 対象  :全国の小学校年齢の児童生徒が通う一条校に勤務する教職員
■ 実施期間:2022年3月12日(土)〜2022年4月3日(日)
■ 実施方法:インターネット調査
■ 回答数 :37件

アンケート結果

設問1 宿題、出していますか?

Q. あなたは今、担任を持っている学級で全員提出の宿題を出していますか。現在担任を持っていない方は、直近で担任をしたときのことをお答えください。

設問2 どんな宿題ですか?

Q. どのような宿題を出していますか。(複数選択可)

設問3 「宿題」は必要?

Q. あなたは「宿題」は必要だと思いますか。

「はい」に関する主な意見

単純な反復の必要性

家庭学習の習慣づけのためと、反復学習をしないと覚えることのできない漢字などは定着をさせる時間が必要と考えて出してきました。
授業の中でとれるものならとりますが、学習内容が多すぎて終わらせるだけで精一杯です。指導要領に乗っ取った指導をする以上、それをしっかりやろうとすれば、反復練習の時間は授業の中でほとんどとれないはずです。個々の自主性に任せるとすれば、宿題でない学習を家でできるような環境を保護者が作る必要がでてきます。それが理想なのだとは思いますが。

漢字や計算など、習得に単純な反復が必要だと思うから。その時間を学校でとることはもったいないから。単純な反復は自分ひとりで家でも取り組めると考える。

今は、ドリルなど10分程度で終わる宿題を出し、残りは自主学習、くらいが丁度いいのではないかと思っています。力のある子は、自主学習で力を伸ばし、苦手な子は、10分のドリルをこなすことで最低限の力をつける、といった具合です。ドリルを2回、3回と繰り返しやらせることは無くなったので、ドリルが終わらない子はほぼいなくなり、以前と比べて児童と教員、お互いの負担が減ったのはよかったです。

自分で学ぶ習慣を付ける必要性

内容自体はどうであれ、家での学習習慣をつけるには少しはやっておく方が良いと思っています。

自分で机に向かう習慣をつけてほしい。算数のプリントは手作りし、解答もつける。問題よりも解答を丁寧にすることで、家で自分で丸付け、直しができるようにしている。自分で学ぶ習慣になることを願っている。

児童・家庭による家庭学習の差の存在

勉強しない子は全くしなくなる。

家庭力が全くない子供達は宿題があるから家で勉強するので、なんとも言えない複雑な感じです。

本来は北欧のように極力宿題を出さない方向でいきたいのですが、今の日本でそれをしたら、経済的な格差がさらに大きくなる気がしています。いくつも塾に行って先に進む子と、家庭で何をどれだけやればよいかも分からず戸惑う子。

「いいえ」「どちらとも言えない」に関する主な意見

学習習慣の定着・個別化された学習に繋がらず、受け身でこなすものになっている

自主性を重んじた宿題を出せたり、計画を立てて取り組んだりできたりするとより意味があると思うが、一律に同じものを同じように出すのがよいのかは疑問。

児童の力の差が大きく、力がある子ほど意味がなく、力がない子ほど苦痛しか残らないからでしす。漢字の書き取り、計算の習熟を中心にしていますが、最低限10分程度でできる量を心がけています。しかし、自己解決できる力がある子にとっては3分程度でできてしまうし、学校の授業に追いつくのがやっとの子にとっては一人では1時間かかります。やることによって意味があるのは中間の力を持つ6割程度の子だけで4割の子にとっては意味のない作業になってしまいます。

学習習慣の形成のためには宿題は意味のあることだと考えています。しかし、「出されたものをこなせばいい」という姿勢で取り組む子もおり、自分で習慣作りをしたり、自分の力を伸ばそうという目的につながっていないところも感じています。こちらの働きかけしだいかなとも思います。

宿題で育まれる「学力観」への疑問

宿題があることで、学ぶことが楽しくないと思ってしまう子がいるのではないか?とずっと思っています。宿題をやらないと、学力つかない?その求めている学力って何?本当の学力って覚えることや反復学習をクリアすることや点数を取ることではないと思っています。

教職員・児童の負担になっている

塾など多忙な子どもは多いし教師側のチェックの負担もあるので、宿題をたくさん出すのは好きではありません。

また、児童の生活全体を見つめなおすべできです。高学年にもなれば朝の8時に家を出て夕方16時に帰宅する。その後に習い事をやって宿題をやるとすれば、児童にとって自分が主体的につかえる時間はいかほどのものでしょうか。これで豊かに人間が育つのでしょうか、疑問に思えてしかたがありません。現状の標準時数から考えれば、学校の学習は学校で解決できるように完結させ。その結果を踏まえて、家庭ごとにその子にあった補修的または発展的な学習をしていくという線引きこそ必要だと思います。

学校の方針・保護者の要望があるため出さざるを得ない

本当はあまり意味がないと思っているけれど、「出すのが普通」という考え方が保護者の間にも、学校にも根強く残っているので合わせている、というのが本音です。【教員】

出さなくてもいいなら出したくありません。こちらも丸付けるのが手間ですし、宿題を見る時間がなければ休み時間もっと子供達を見られるのにと思います。しかし、保護者や学校から要望があり仕方なく出しています。一方、家庭力が全くない子供達は宿題があるから家で勉強するので、なんとも言えない複雑な感じです。【教員】

まとめ

現状の宿題の頻度としては、ほぼ毎日出している教員が約8割でした。内容としては、音読・漢字・計算といった反復学習が7割程度で、自主学習ノートを宿題としている教員は5割弱でした。

自由記述では、1)反復学習の必要性2) 学習習慣を付ける必要性3) 児童・家庭による家庭学習の差の存在から、宿題の必要性が指摘される一方で、1) 受け身でこなすものになっている2) 宿題で育まれる「学力観」への疑問3) 教職員・児童への負担といった背景から、宿題のあり方への疑問も提起されました。

また、学習習慣の定着といった宿題の効果は一定支持しつつも、現在の受け身な宿題のあり方へは疑問を感じるなど、1人の教員の中でも、賛成・反対を一概に白黒付けにくい状況が見られました。

一方で、学校の方針により宿題を出さざるを得ない状況であるなど、宿題の意義を考え直すこと自体が難しいような状況もあるようです。個別の児童のニーズに合わせつつ、教職員・児童に必要以上に負担がかからない宿題のあり方に繋がるよう、自治体や学校での議論が進むことを願います。



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※対象は教職員の方のみです。
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すでに公開されている教職員アンケート結果やWEBメディアの記事の内容等は報道の際に使用いただいて構いません。その際は【出典:NPO法人School Voice Project 】クレジットを入れていただき、事後でも結構ですのでご一報ください。

公立学校では、教職員の異動の公表時期は各自治体で決まっており、学校によっては年度内に児童生徒及び保護者等に公表できないこともあります。

年度内の公表ができない背景としては、「年度末まで変更、異動内容の差し替えがあり、早めに公表すると間違った情報を提供することになってしまう恐れがある」「転校などで児童・生徒数の増減があると、学級の数が増減することがある。そのため、教員が余ってしまったり、逆に足りなくなったり、いろいろな事情があり、直前まで差し替えがあり得る」などの理由があるようです。(参考:Yahoo!ニュース「お別れ言いたいのに…先生の異動発表、東京都は4月1日、なぜ?」)

学校現場にいる教職員は、現状の異動公表時期についてどのように捉えているのでしょうか。

School Voice Project では、WEBアンケートサイト「フキダシ」に登録する教職員の方を対象に、異動の公表時期についてアンケートを取りました。

アンケートの概要

■対象  :全国の小〜高校年齢の児童生徒が通う一条校に勤務する教職員
■実施期間:2022年1月29日(土)〜2022年2月20日(日)
■実施方法:インターネット調査
■回答数 :94件

WEBアンケートサイト「フキダシ」は、現在ユーザー登録を受け付けています。教員の方だけではなく、事務職員や用務員、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカー、ICT支援員の方など、学校現場で働く様々な立場・職種の方が対象です。ぜひご登録ください。

アンケート結果

設問1 離任式はいつ?

Q1. あなたの自治体では離任式はいつ頃行われますか?

離任式の実施時期については、年度内に行う学校と年明けに行う学校の数はほぼ同数でした。地域別に見ると、北海道、東北は年度内に、近畿は年度明けに実施されることが多いことがわかりました。関東においては、東京都は年度明け、神奈川県は年度内に行う学校が多いようです。

設問2 年度内に異動の公表はOK?

Q2. あなたの自治体では年度内に児童生徒や保護者に異動を伝えることを可とされていますか?

設問3 異動の公表、年度内にした方がいい?

Q3. 児童生徒及び保護者等への自身の異動の公表時期について、あなたの意見に最も近いものをお選びください。

設問3-2 その理由は?

Q3-2. 選択肢を選んだ理由をお書きください。(任意)

「年度内に公表したほうが良い」を選択した方の主な意見

< 児童生徒や保護者、関係者へ挨拶したい >

子どもたちとも、地域の方ともきちんとお別れができることが大切だと思います。部活動で大変お世話になった地域の方へあいさつに行ったり、卒業した子どもたちが学校に会いに来てくれたり、保護者の方ともお話できました。そうした中に、教師としてのアイデンティティとやりがい、充実感を得ることができ、そのことが自分の中に織り込まれてきたと感じています。【小学校・教員・新潟県・年度内公表可】

年度明けに公表すると、お世話になった方々へのお別れの挨拶ができずに去ることになる。離任式には6年生はいないので、挨拶ができないことになる。異動が多いと感じるので、教員の裁量で在校期間を決められるとよいと思います。【小学校・教員・東京都・年度内公表不可】

異動になるのであればきちんとお別れしたい。始業式の日に着任校に、前任校の保護者と子どもが来てくれたことがあって、嬉しかったが、前もって伝えられたらそんな必要なかったのにと思った。【小学校・教員・奈良県・年度内不可】

関わっていた子どもや保護者に別れも告げず、年度があけて、いなくなっている職場は他にあるのだろうか。病院でもどこでも、年度内に相手に伝え、異動されていくのに、学校の教員の特殊性ではないだろうか。異動先など、言いすぎると問題な部分も出てくるので、きっと難しいのだろう。別れを告げられるのは、保護者も子どももいるかいないかの不安より、いいのではないだろうか。【小学校・教員・大阪府・年度内公表不可】

異動者本人は3月の上旬には告げられるが、保護者・児童はもちろんの事、同僚にも公式には知らされない。結果として、噂話で職員室内を回ることになる。異動する本人は分かっているのに、子ども達に「4月に次の学年で会おうね。」と言って学級を閉じるのは後ろめたい思いがする。また、お世話になった保護者とも十分に挨拶をすることもできずに学校を去るのは大きな思いを残すこととなる。【小学校・教員・神奈川県・年度内公表不可】

修了式が終われば、職員も子どもたちも保護者も、わかっていた方が良いと思う。離任式や送別会が大人数でできなくなった今、個別にあいさつをする時間があれば良いと思う。【中学校・教員・茨城県・年度内公表不可】

生徒・保護者ときちんとお別れの挨拶ができるため。基本的に4月の新聞報道があるまでは、最小限の身内を除いて口外することは許されていない。よって、年度が明けてから、「引き続き先生に見てもらえると思っていたのに!」という事態が起こる。3月中旬には異動の有無を知っていながら、それを隠して生徒・保護者と接するのがつらい。【高等学校・教員・京都府・年度内公表不可】

年度内に公表する自治体に勤務しているので、年度明けに公表する自治体があることに驚きでした。年度内に生徒とお別れをし、4月から新たな環境で教師も生徒も気持ちを新たにするのが良いのではないでしょうか。【特別支援学校・教員・京都府・年度内公表可】

< 業務の引き継ぎや連携、十分な準備が必要 >

職員室にとっても、現行の学習指導要領で字数が増えた結果、春休みが短くなっているために4月1日から始めたのでは間に合わない分掌が出てきている。さらには公式には異動の内示はだされていないので、引継ぎも充分にすることもできずに4月からの多忙感が非常に大きくなる。【小学校・教員・神奈川県・年度内公表不可】

子どもや保護者に事前に伝えることができることによって、必要な引き継ぎができたり、来年度に向けて準備をしてもらったりしやすくなるため。特に特別支援を必要とする子どもの場合は担当者が変わることによる負担が大きいため、準備期間があるほうがよいと感じる。【中学校・教員・大阪府・年度内公表不可】

部活動や学校として関係機関が関わっているような重要な家庭に関しては、その後の関係性や担当者の引き継ぎがあるので、年度内に連絡をできるようにした方が学校としてもその後がつなぎやすいから。【中学校・教員・大阪府・年度内公表不可】

早めに伝えることは何ら悪い事では無いと思う。むしろ早く伝えておくことで、次年度に向けた取り組みや伝達がスムーズに行える。異動時期を早く伝えると、「子どもが言う事を聞かなくなる」とか「教員にやる気がなくなる」といった意見を聞いたことがあるが、子どもや教員をあまりに馬鹿にしすぎていおり、なおかつ子どもや教員を全く信頼していない姿勢が見えるので、とても残念でならない。【高等学校・実習助手/実習教員・大分県・年度内公表不可】

< 児童生徒の心理面が心配 >

新年度の始業式で突然知らされる子ども達が気の毒です。【小学校・教員・東京都・年度内公表不可】

お別れとしての節目は年度内におこなうべきだと思う。いきなり4月からいなくなると子ども達も動揺するのでは。年度明けに公表される学校があるのですか?そこにまず驚きです。【中学校・教員・長野県・年度内公表可】

突然だと心理的ショックが大きい。また、次年度への移行もスムーズにいくため、終業式までに伝えるのが良いと思うから。【高等学校・教員・東京都・年度内公表可】

新年度になって今までいた先生が突然いなくなったり、見たことのない先生が急に学校にいるようになったりという状況は生徒たちの混乱を招いてしまうと思うので。今までお世話になった先生方や生徒たちにきちんと挨拶してから離任したいので。【特別支援学校・教員・京都府・年度内公表可】

< 教育的にも年度内に公表する意義がある >

講師・教諭、勤務形態問わず、仕事だけでなく、個人の生活があります。ギリギリまで隠して、落ち着きなく仕事をするより、生徒自身にも、きちんと異動の時期を見通して、準じて話をしながら学校生活を送る方が、社会に即して学びを得られるものだと思います。生徒自身、社会へ働きに出た時に、年度末は「組織も人も動く」変わり目の時期であるという認識を持って、過ごすことも大事だと思います。人事を隠して務めるよりは、人事を示し、理解を図りながら、共に学校という組織を考えていく契機にも繋がると思います。また、コロナ禍で様々な働き方が生み出され、個人の生活を尊重した人事が行われるように、社会全体で向き合っていくべき課題だと思います。【中学校・教員・福島県・年度内公表可】

< 遠方への異動の場合は、離任式に出席できない >

勤務している県では、初回異動は初任地の郡市外に出ることとなっています。同日離着任式だとかなりの移動距離になる場合があり、実際に私は着任式に間に合いませんでした。また、万が一の交通事故も考えられます。【小学校・教員・奈良県・年度内公表不可】

自治体内で異動する教職員ばかりではないので、遠方に引っ越しされた方にとっては、新年度に離任式があると出席するのが負担になると思います。【特別支援学校・教員・京都府・年度内公表可】

< 年度明けに異動を公表するメリットがない >

年度明けにスケジュールを確保して離任式等を行う必要が無いと思う。年度内に処理するべき。【小学校・事務系職員・埼玉県】

滋賀県は内示が3/25前後です。異動する本人もその時点までわかりません。引き継ぎの時間がないままに次年度がスタートします。新聞発表の4/1で調べた生徒だけが春休み中に知ります。メリットが分かりません。【高等学校・教員・滋賀県・年度内公表不可】

「どちらとも言えない」を選択した方の主な意見

早く公表すれば離任に際して生徒や保護者からの挨拶や贈り物が派手になりそうで心配。何かもらってもお返しできないのに困る。一方で、残されることとなる生徒からすれば、最後の挨拶がしたかった等の思いもあると思うので繊細な問題と感じる。教職員としては7~10日前の異動内示は本当に片付けと引き継ぎが大変なので、せめて3週間、出来れば1ヶ月前に内示してほしいと感じている。【滋賀県・高等学校/高等専門学校・年度内公表不可】

場合によると思います。年度内に公表された場合、児童生徒が動揺してしまうという可能性もあります。また、年度明けすぐに海外に向かうなど、もう二度と児童生徒にあいさつができない場合は、年度内に公表して別れのあいさつをした方がいいのかもしれません。【大阪府・小学校・教員・年度内公表不可】

今回のアンケートで初めて疑問を持ったほど、異動の公表について全く疑わずに教員生活を送っていました。年明けに公表というのが暗黙のルールでしたが、事前に保護者や子どもに伝えてしまうと勝手な憶測が飛び交ったり、過剰なお別れムードが起きてしまうようにも感じます。しかし、新年度になって急に先生がいなくなっていることに対する保護者、子ども達の精神的不安を考えると年度内に伝えた方がいいようにも感じました。【小学校・教員・東京都】

まとめ

全体の半数の学校で年度内の異動公表が不可とされていましたが、8割以上の方が「年度内に公表した方がいい」と回答しました。その理由としては、「児童生徒や保護者、関係者の方へ直接挨拶をしたい」という声が多く上がっていました。次いで多かったのが、「きちんと業務の引き継ぎや連携をしたい」という声。教職員だけでの引き継ぎだけではなく、児童生徒や保護者との連携が必要なこともあるため、新年度になってからの公表では支障が出るケースもあるようです。



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すでに公開されている教職員アンケート結果やWEBメディアの記事の内容等は報道の際に使用いただいて構いません。その際は【出典:NPO法人School Voice Project 】クレジットを入れていただき、事後でも結構ですのでご一報ください。

全国のほとんどの学校で学期末に配布されている通知表。しかし、指導要録や出席簿とは異なり、実は法的には作成義務はなく「校長の裁量で作成する、保護者への学習状況連絡票」という位置付けになっています。

一方で、通知表についての学校現場の実態はどのような状況なのでしょうか。全国の教職員の方に、それぞれの学校の現状について伺いました。

アンケートの概要

School Voice Project では、WEBアンケートサイト「フキダシ」に登録する教職員の方を対象に、通知表についてアンケートを取りました。

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■ テーマ :「通知表」どうしてる?
■ 対象  :全国の小〜高校年齢の児童生徒が通う一条校に勤務する教職員
■ 実施期間:2022年2月26日(土)〜2022年3月21日(月)
■ 実施方法:インターネット調査
■ 回答数 :66件

アンケート結果

設問1 通知表の頻度は?

Q. あなたの勤務校では、通知表をどの頻度で出していますか。

設問2 通知表の形式は?

どのような形式ですか。
※数値評価は「よくできた」「がんばろう」などの到達度別評価も含みます。
※道徳や総合などの文章表記のみの教科については除いてお答えください。

設問3 通知表、どう思う?

Q. 通知表に関する疑問やモヤモヤ、または感じている意義についてなど、ご自由にご意見をお書きください(任意)

※ 全回答の中から抜粋して掲載しています。
※ 個別の意見の括弧書きはそれぞれ【校種、職種、通知表の回数】を表しています。通知表が数値評価のみの場合は【校種、職種、通知表の回数(数値評価のみ)】と記載しています。
※ 回答を「負担感」「地域差」「意義」「評価軸」の4つの軸にわけて、それぞれの軸にあてはまると思われるものを抜粋しています。

精神的、体力的な負担がある

説明責任があるため、成績処理から入力、印刷後の確認など慎重に作成している。1をつけずに空欄表記も希望により可能であるという制度のため、不登校などの家庭にその都度(教科ごとにも)確認作業が入り煩雑。毎学期末、通知表作成のための教育活動だと感じる。終業式・修了式後のクレーム対応(志望校合格のために評定を上げてくれ、他校では要求したら上げてくれている、授業に出ていないし提出物も出していないし点数も良くないが1ではなく2にしてくれなど)が負担。電話が鳴ると身構えます。【中学校、教員、3回(数値評価のみ)】

校務支援ソフトで随分と楽になりました。直感に頼らず変化を見とることができます。【小学校、教員、3回】

2期制のため、年間2回の作成です。前期は個人面談があるので数値のみで、後期は所見欄があります。所見はだいぶ減ってきたとはいえ、高学年では学習200字、道徳100字、総合的な学習100字と、1人あたり400字が基準です。現在37名のクラスですが、やはり時間がかかります。加えて作成時間を勤務時間内に収めることは難しく、休日を使って書きます。間に合わない時は、年休を取って帰宅し、籠もって書くこともあります。この時期は寝不足気味になり、体調も不安定です。加えて、添削する管理職によって文章の形式や表記がバラバラで、書く度に「もっと具体的」や「課題と指導の様子が伝わるように」等のリクエストがあります。特に初任者は「登竜門」のように、真っ赤になって返って来ることも多々。内容云々というより、「ここで苦労しないとあとから大変(何のこと?)」という訳の分からない揚げ足取りも見られ、本当に何のためにやってるんだろうという気持ちになります。
【小学校、教員、2回】

私の住んでいる市町村では3学期制ですが、最近通知表の所見をなくしていこうという動きが盛んになっています。働き方改革の一環です。通知表を渡す前に保護者との個別懇談があるから、そこで様子をしっかり伝えることを大事にする。保護者も子どもも特に問題は起きていません。来年度からは所見は年度末のみになる予定です。担任の立場からしたら残業時間が減るので非常にありがたいです。【中学校、教員、2回】

仕事量が多すぎる。支援学級の子がクラスにいた場合、支援級担任は国語算数しか教えていないので、交流級の担任の方が負担が大きい。所見に時間がかかりすぎる。道徳の評価はなくしてほしい。専科と支援級、普通学級の担任で仕事量が違いすぎて、帰る時間が違いすぎて不公平。【小学校、教員、3回】

地域によって差がある

ここの学校は所見があるけど、あっちの学校では所見がない、のような差のある状態は良くないと思います。【小学校、教員、3回】

「統合型校務支援システム」が来年度からようやく導入されます。今までは、市内の小中学校、各校独自の書式でバラバラでした。異動先でだいぶ苦労した例も絶えません。市内、ようやく統一されますが、県内、自治体ごとにバラバラで、市外へ異動だとまた書式が変わってしまいます。いい加減、こういった生徒の教育成果に関わる事務(成績処理・通知票・指導要録・調査書など)、校務全般は、全県・全国統一すべきだと思います。【中学校、教員、3回】

私の勤める市では、「各校の自主性を重んじる」ため、異動すると形式がガラッとかわり、その対応が大変だった。教科書も同じであることから、形式等、同じにできないものかと疑問に思っている。【小学校、教員、3回】

中学校です。学校によって評価基準が違うので、文科省で統一してほしい。他の学校に通う同じような実力の生徒が、学校の違いだけで評価が変わる可能性もある。AAAなら4はダメとか、そういう基準も全国で統一してほしい。印刷する手間がかかるため、デジタル化してほしい。成績をパソコンで見られるようにすれば仕事が減り、楽になると思う。【中学校、教員、4回以上】

通知表の意義を再考する必要がある

観点別の数値での評価は、どうしても数値の高い低いのみにこだわってしまう(親も子も)。どんなに所見でその子の良さや伸びを伝えようとしても難しい。通知表の評価だけが全てではないのに・・。そして、総合、道徳、中学年ならば外国語活動と分かれての記述欄。短い文章で表現することになるので、本当にあれでこどもの様子が伝わるのか。本当にあんなにたくさん書く必要があるのか?と思っています。【小学校、教員、2回】

中学校は、高校入試を考えると仕方がないかもしれないが、そもそも数字で評価しなければならないことに違和感がある。特に、主体的に学ぶ態度は、なかなか評価しづらい。よい評価をもらうために、主体的に学ぼうとする生徒も少なからずいるため、本来の学びの意欲につながっていないように思える。数字だけでなく、さまざまな評価の仕方があってよいと思うが、そうなると、1人で200人近い生徒を数字以外で評価するのは、時間や労力を考えたときに無理なので、今のやり方でやるしかないとも思う。【中学校、教員、3回】

所見は3学期のみ。1,2学期は懇談があることを理由に「よくできた」「できた」「がんばろう」のみの評価です。受け取った子どもたちは、評価の項目の文章も読まず、意味もわからず、ただ丸の数を数えて増減に一喜一憂。喜ぶのも悲しむのも「親に褒められる」「親に怒られる」「何か買ってもらえる」などが理由で、自分の学びがどうよくなったのか、これから何をがんばるべきなのか、などはほとんど考えていないように思います。学びが「自分ごと」ではないのです。保護者も通知表を見て、我が子にいったいどんな力がついたのか、は分かりにくいでしょう。そもそも学期の終わりにだけ自分の学びや我が子の学びを3段階で評価されるのを知らされるだけなんて…。評価は誰の何のためにあるのかをもう一度問い直し、子どもが学びを「自分ごと」と捉えられる評価(フィードバック)できるツールが必要ではないかと考えます。【小学校、教員、3回】

勤務校では毎学期の終わりに懇談資料として各教科の評定を保護者の方にお渡ししています。(道徳や総合の評価については記されていないものの、)同じような内容なのにわざわざ通知表を出す必要があるのかなと思います。
何よりも勤務校では(他の学校では違うかもしれませんが、)ハンコ文化が強く残っていて、校長印と担任印を押すことも負担かなとも思います。と言いつつ、私自身これまで学校でもらった通知表を残してきているので、なくなってしまったら無くなってしまったで寂しくも感じるかもと思いました。。。【中学校、教員、1回(数値評価のみ)】

来年度から、3学期のみ所見を書くことに学校評価では決まったが、次の校長がOKを出せば、そうなるが、そうではなかったらこれまで通り、3回所見を書くことになると言われ、なんとも言えない気持ちになっている。所見が子どもにとっても、先生にとっても、よいものになっているのか疑問。【小学校、教員、3回】

評価軸を作るのが難しい

絶対評価と言いながら、評定平均が3.1前後になるようにしないといけない。そこに合わせたら合わせたで「3が多すぎる」だ「もう少し4か2を増やせ」だと管理職から差し戻され、毎回毎回毎回毎回付け直しています。もはやただの相対評価でしかありません。何のための絶対評価なんでしょうか。【中学校、教員、3回(数値評価のみ)】

主体的に参加していた!という評価に困りました。数値だけの評価も心が痛むことが多かったです。所見の文字数を学年で合わせるように言われました。多いものを減らすことにはとても苦労しました。伝えたいことが伝わらないもどかしさがありました。合わせることの意味も分かりませんでした。【小学校、教員、3回】

絶対評価を謳っておきながら相対評価(管理職がAの数を指示。職員向けの通知表資料には、堂々とクラスの○%まで書かれている)所見に書く内容を制限されすぎて適切なフィードバックが機能していない。ネガティブなことは基本書かない、Aの内容を中心に、担任の目を通したその子の姿を伝えるなど、到底不可能と思うほどに書きづらい。【小学校、教員、3回】

数値評価に関しては、それぞれ教職員個人の経験や思いなども強く影響を受けて、年度や管理職がかわることで変更されることがある。できるだけ一貫したものをと考えているが、総括している担当が曖昧になると意見が左右されてしまう。校長の裁量で発行されるべき通知表は市内統一という形式を取りながら、数値評価に関することが中途半端に現場に任されている。【中学校、教員、3回】

まとめ

アンケート結果から、小学校では69%、中学校では59%、高等学校では83%が年に3回通知表を発行していることがわかりました。

また、評価の形式については、「数値評価+所見」という回答が小学校で59%、中学校で46%、高等学校で17%、「数値評価のみ」という回答が小学校で0%、中学校で41%、高等学校で83%という結果になりました。

個別の意見の中では、特に所見の作成や修正に時間を要しており負担が大きいという意見や、学校によって形式が異なることを懸念する意見がありました。また、現状の所見が本当に子どものために意味のあるものになっているのかについて疑問を持つ意見や、評価についての明確な評価規準がなく、絶対評価を謳いつつも現場の実態として相対評価での評価を促されることに疑問を持つ意見も見受けられました。

一方で、所見の回数を減らす、あるいは面談に替えているケースや、校務支援システムを利用することにより効率的に通知表を作成しているケースもあるようです。

そもそもの通知表の意義や現場の実態を考慮した評価方法、学校における働き方改革の視点も含めて、議論が進んでいくことを期待します。



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※対象は教職員の方のみです。
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※メディア関係者の皆様へ
すでに公開されている教職員アンケート結果やWEBメディアの記事の内容等は報道の際に使用いただいて構いません。その際は【出典:NPO法人School Voice Project 】クレジットを入れていただき、事後でも結構ですのでご一報ください。

単なる栄養補給ではなく、食文化や栄養の知識に触れたり、食べることそのものを味わったりすることができる給食。

学習指導要領においては、「給食の時間を中心としながら,健康によい食事のとり方など,望ましい食習慣の形成を図るとともに,食事を通して人間関係をよりよくすること」と示され、給食の時間における指導は標準授業時数に含まれないものの、重要な学校教育活動であるとされています。

参考「小学校学習指導要領(平成29年告示)第6章 第2 各活動・学校行事の目標及び内容」より

しかし、家庭環境の変化やアレルギー対応など、学校や教職員に求められる指導や配慮の多様化、コロナ禍における対応などによって、給食の時間の指導が難しくなってきている側面もあります。今回のアンケートでは、給食指導のどのようなところに教職員のみなさんが困っているのか、またどのような実践をして価値ある給食の時間にしているのかを伺いました。

アンケートの概要

School Voice Project では、WEBアンケートサイト「フキダシ」に登録する教職員の方を対象に、給食指導の困りごと・実践アイディアについてアンケートを取りました。

WEBアンケートサイト「フキダシ」は、現在ユーザー登録を受け付けています。教員の方だけではなく、事務職員や用務員、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカー、ICT支援員の方など、学校現場で働く様々な立場・職種の方が対象です。

■ テーマ :給食指導の困りごと・実践アイディア
■ 対象  :全国の小〜高校年齢の児童生徒が通う一条校に勤務する教職員
■ 実施期間:2022年2月19日(土)〜2022年3月13日(日)
■ 実施方法:インターネット調査
■ 回答数 :28件

アンケート結果

設問 給食指導の困っていること・モヤモヤ・工夫は?

Q1. 給食指導に関して、困っていることや大変なこと、モヤモヤしていることがあれば教えてください。
Q2. 給食指導において、意識的に取り組んだこと、工夫したことがあればお書きください。

※全回答の中から抜粋して掲載しています。
※設問1と設問2の回答が関連していると思われる内容は、「設問1の回答▶︎設問2の回答」の順で掲載しています。

ルールへの違和感がある

一度でも減らした経験がある人はおかわりができない。そんな残酷なルールがありました。

どれだけ減らしてもいいけれど、一口でもいいから食べること。そして残さないこと。減らしても残さない。学級でも残菜がでないように意識していました。給食室に行ったときに、気持ちのいい挨拶(学期の始まりや終わりは別の挨拶もしていました)を確実にしています。意識してもらうために、調理員さんの夏の暑さや冬の寒さ(水で洗っているところ)を見てもらったり、直接インタビューしたりしていました。【小学校・教員】

コロナの影響による黙食、あとおかわり禁止のためいただきますと同時に食缶を空にしなくてはならず、低学年には配膳がかなり負担です。しかも減らし増やしをする際は教員が1人でやるというよくわからない制限付き。給食当番がそのままやればいいのに…と毎日もやもやバタバタしています。

現在小学校低学年の担任ですがとにかく子ども達が自分で食べ切れる量を考えて受け取るよう声をかけています。少しずつ残す子が減り、今ではずいぶん食缶が空っぽの日が増えました。【小学校・教員】

コロナ禍では黙食指導に大変気を使います。食べ終わるのが遅い生徒に食べ終わった生徒が話にいくのを我慢させるのもつらいです。無理に食べさせるのはいけないとはわかっていても残食が多く、どうすれば食べる気になってくれるのかいい方法も浮かびません。【中学校・教員】

受け庫受け取り、7分で終わる!ルールがあります。クラス数も多いので、ルールがあるのは仕方ないかもしれないけれど、慌ただしくて、時々、怒号が飛びます。そもそも、13時過ぎに、昼食を摂らせるという、1日の日課の見直しが必要。担任など教室で食べる先生たち、ゆっくり落ち着いて食事がとれませんよね。休憩も取れないし、早食いになってしまう。学校生活がより「人間らしい」日常になるように願っています。【中学校・教員】

残食が多い

残食が多いことが気になります。好き嫌いに対して、「もったいないから」「少しでも頑張ろう」という価値観は通用しなくなってきています。家庭でも好きなものを好きなだけ食べる食事スタイルの児童に、何を言っても変わりません。言い過ぎると体罰や不登校となります。本意ではありませんが、残食にも目をつぶっています。また、給食時間にも課題があります。給食センターのトラックの時間が関係し、実質食べる時間は20分も取れません。そのため、4校時を5分早く切り上げるのが常態化していたりします。

残食になってしまうので、食事前に「これなら食べ切れる」という量まで減らすことを許しています。【小学校・教員】

給食を残すのは良くないと思いながらも、無理に全部食べさせるのも人権的にどうなんだろうと思い、指導していません。一方で、沢山の残飯が食缶に残っているのを見ると申し訳ない気持ちにもなります。特に最近は、牛乳を飲まない生徒が多いです。各自で持ってきたお茶を飲ませたらと思いますが、牛乳の消費の面から考えるとなくすこともできないと聞きます。よい手立てはないか、知りたいです。

食べられないと思ったらはじめに減らすこと。沢山食べられる人は先に増やすこと。残飯を少しでも減らすための工夫です。【中学校・教員】

ほぼ残食が前提であることに違和感がある。残さず食べさせるとかいうことではなく、これからは食の有り難さを伝えていくことも必要だと思っている。

体を動かす、間食を控えるなどの目標を生徒が立て、残食ゼロを目指してクラスで取り組んだ。食の細い生徒にはたくさん食べられる生徒が手伝うなど、助け合う姿も見られた。当時の学年主任が、給食をしっかり食べるクラスにはエネルギーがあると言っていたが、本当にその通りで、その後の進路実績も抜群だった。【高等学校・教員】

ご飯など量を自分で決められないので配られるものは残しが多くなる。

SDGsの観点から給食の量を自分で決めて残りが少なくなるように食べれる人はおかわりをした。残ったものは計量して残食を見える化した。【小学校・教員】

子どもたちの食べ残しが気になります。自分が担任している学級ではないですが、ほとんど手を付けないで給食を残している児童が多くいます。無理に食べさせるのはよくないですが、食品ロスの問題や飢餓問題のことを考えるとモヤモヤしてしまいます。【小学校・教員】

設備や人手が不足している

各校の配膳室の設備を安定して持続可能にして頂きたいです。場所によって新旧差が激しかったり、老朽化が進んでいたり、給食主任も日々、時間が無い中、試行錯誤を繰り返して奮闘しております。「現場裁量」と丸投げせず、真摯にこの課題に向き合って頂きたいです。給食センターも、設備の見直しやアクセスの改善、そして配送負担を軽減したり、刷新していく必要があると思います。あらゆるインフラも課題ではありますが、根本的な人財不足が現場を逼迫させていると考えております。「教職員の大幅な増員が必要不可欠である」のと同じで、給食指導に関わる「栄養教諭」「食育コーディネーター」を各校に配置出来るように、大幅に雇用を確保する必要があると思います。生徒も教員もゆとりある中、給食を楽しみ、食を学べる時間を生み出すことが重要であると考えます。【中学校・教員】

勤務校がマンモスなため、給食設備が限界を超えており、一時期教員分は出ないということがありました。そのため、こっちは弁当でも給食指導をしなければならず、これは無理だろうと管理職に言って、何とか教員分当たるようにしました(相当なウルトラCを使ったみたいですが)。【特別支援学校・教員】

本校はセンター給食ですが、おいしいと思います。しかし、生徒の味覚や嗜好、育てられ方、保護者の考えが多様化しすぎて教員による指導は非常に困難で残食が非常に多いです。また、食育も担任が担うことは、配膳指導や実際の配膳しながらでは非常に難しいです。教員は休憩時間もなく、急いで食べて片付けの準備、教室でできる事務仕事など何とか時間を有効に使いたいと思っています。食育もしなくてはならないなら、全クラスに担任以外の大人がもう1人以上入ってほしいです。アレルギー対応、1型糖尿病の血糖値測定なども担任が対応しています。給食の時間だけいてくれるボランティアでもいいです。とにかく、大人の目と手が足りません。【中学校・教員】

時間が足りない

時間が短すぎる。できるだけ残さないようにということを伝えたいのに、すぐ片付けなくてはならなく残すことが多い。自分自身ちゃんと味わって食べたいけれど、丸つけや給食指導などの時間を確保するために急いで流し込むしかない。【小学校・教員】

担任としての業務という認識が強く、担任への負担感が非常に強い。また、給食指導後の掃除や終礼、場合によっては懇談などと時間が連続して休憩している暇がない。給食の喫食も時間内にしなければならず、忙しい中で10分程度で食べている。

できるだけ配膳が流れるように動線を設定している。【中学校・教員】

喫食の時間に余裕がないこと。学校のタイムスケジュールとして定められているのは15分間。これでも短いが、実際配膳時間が長引くので、10分とれないことも多い。【中学校・教員】

その他の工夫

食事で力関係が生まれる


定食屋のマニュアルのようにご飯の盛り方の目安を示し小・中・大盛りの仕方を徹底した。その他おかずも減らす希望がない者以外は均等に守ることを徹底した。食事から力関係が生じることを避けるためである。【中学校・教員】

児童生徒だけが給食準備で大変な思いをする


専科などで子ども達が遅れて戻ってきたときには作業を進めておく。「全部子どもに!」ではなく、できるときにできる人ができることをすることで、「お互い様」「ありがとうございます」の気持ちを育てることを大切にしました。【小学校・教員】

児童生徒に苦手な食べ物がある


食べるのが苦手なものは、対話しながら、楽しく食べれるように意識した。また、無理はさせず、保護者にも連絡し、保護者の願いも聞くことを心がけた。【小学校・教員】

食べる時間が足りない


給食を食べる時間を確保した。準備を子どもに任せたままだと食べる時間が減るので、一緒に準備をして、食べる時間を確保した。【小学校・教員】

給食時間が休み時間に食い込む


決められた食べる時間が終われば、残ったものは片付けて、休み時間の確保をした。休み時間になると他の子どもたちは遊ぶので、埃などもとぶので不衛生。食器を片付けに給食室まで戻さないといけないので、子どもにとって負担。時間内に終われるように心がけた。【小学校・教員】

まとめ

アンケート結果からは、ルールや残食、時間不足などに関する困りごとが多いことが明らかになりました。各々、個人の工夫や教職員との連携を通して、より楽しく価値のある給食の時間になるよう努力されていることも伝わってきました。

しかしその一方で、設備や環境など個人での工夫では解決が難しい部分もあり、行政との連携が求められる課題も見えてきました。また、コロナ禍で子どもたちを守るためとはいえ、新たなルールや制限が増えたり、そこに矛盾を感じながら指導しなければならなかったりすることも、困り感につながっているようでした。

このアンケート結果が、少しでも子どもたちと教職員の方の時間確保や困り感の解消につながり、楽しい給食時間の一助になればと思います。



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※対象は教職員の方のみです。
■メガホンの運営団体School Voice Project への寄付に興味がある

※メディア関係者の皆様へ
すでに公開されている教職員アンケート結果やWEBメディアの記事の内容等は報道の際に使用いただいて構いません。その際は【出典:NPO法人School Voice Project 】クレジットを入れていただき、事後でも結構ですのでご一報ください。

平成29・30・31改訂の新学習指導要領では、「社会に開かれた教育課程」の実現のために、地域と連携・協働することが重要なポイントとしてあげられています。

子どもたちが自分の力で社会をよりよくしていける実感を持つために、地域社会と連携した教育活動が求められており、教職員だけでなく地域の人たちの存在も、子どもたちの学びを支えるための環境づくりにおいて欠かせないものとなっています。

地域との連携を進める具体的な取り組みとしては、学校と地域の人たちが力を合わせて学校運営に取り組むことができる「コミュニティ・スクール(学校運営協議会制度)という仕組みも推進されています。

「カタリスト for edu」では、コミュニティ・スクールの仕組みについてわかりやすくまとめた記事を公開しています。こちらも合わせてご覧ください。

コミュニティ・スクール(学校運営協議会制度)とは – カタリスト for eduコミュニティ・スクール(学校運営協議会制度)とは – カタリスト for edu

アンケートの概要

School Voice Project では、WEBアンケートサイト「フキダシ」に登録する教職員の方を対象に、学校と地域の連携についてアンケートを取りました。

WEBアンケートサイト「フキダシ」は、教員の方だけではなく、事務職員や用務員、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカー、ICT支援員の方など、学校現場で働くさまざまな立場・職種の方が対象です。

■対象:全国の小〜高校年齢の児童生徒が通う一条校に勤務する教職員
■実施期間:2021年2月4日(金)〜2月27日(日)
■実施方法:インターネット調査
■回答数:51件

アンケート結果

設問1 どんな地域連携をしている?

Q. 現在あなたの勤務校ではどのような地域連携の取り組みを行っていますか?(複数選択可)

その他の回答

地域自治会、警察、小中で連携した見守り活動。公民館の放課後無料開放【小学校・福島県】

有志が地域活動、高校生対象の街づくり講座に参加する。【高等学校・静岡県】

お店、事業所の方に来ていただく【中学校・大阪府】

保幼小連携【小学校・大阪府】

市で行っている、一般市民に公開の屋外美術図工展(当該学年全員の参)【小学校・神奈川県】

設問2 教職員での意識共有はできてる?

Q. あなたの勤務校では教職員間で、地域と連携する取り組みの教育上の意義や目的が共有されていると感じますか?

設問3 地域の人との意識共有はできてる?

Q. あなたの勤務校では連携先の地域の人や団体との間で、取り組みの教育上の意義や目的が共有されていると感じますか?

設問4 地域連携の効果・意義は?

Q. 地域連携には教育上どのような効果・意義があると考えていますか?ご自身の経験をもとにお答えください。(任意)

小学校

子どもが本気になる。教師が、いかに世の中のことについて知らないのか明らかになる。
【教員・青森県】

・子どもの意欲向上
・地域の教育に参加するという意識
・専門知識や生きた知識を児童が学べる【教員・東京都】

子どもが所属する身近な社会(学級、学校、地域)にいる他者の生活やその背景、抱えている思いなどを学ぶことは、子どもが社会を創る力を育てるためには、大切だと考えています。【教員・滋賀県】

子どもの成長は、家庭・学校・地域の三つの協力によって育まれている。困難さを抱える家庭には、学校はもちろん地域の協力によって子どもたちのより良い環境が整う。さらに、学校にとっても学校だけでは賄いきれない子どもの安全・安心を守る活動や、地域ならではの資源を活用することで学習を子どもにとってより身近で深いものへと発展させる事ができる。地域にとっても、学校や家庭と連携することで、地域が抱えている問題点を子どももそうだが家庭へと届けて、問題解決の糸口につながっている。
こうして、家庭・学校・地域は切っても切れない関係があり、私自身も社会科の学習での地域教材の活用や、総合的な学習の時間での人手の応援など多くの場面で地域との連携によって活動を広げてきた。
【教員・神奈川県】

教科書では出会えない人やモノと出会えるので、豊かな経験値となる。地域で働く人の想い、願いが伝わり、自分の地域に想いを持つことができる。「あの人に出会いたい!」と子どもたちから出てくるので、学習意欲につながる。他種連携は、自己有用感にもつながり、小学校入学時の関わりにつながる。【教員・大阪府】こうして、家庭・学校・地域は切っても切れない関係があり、私自身も社会科の学習での地域教材の活用や、総合的な学習の時間での人手の応援など多くの場面で地域との連携によって活動を広げてきた。
【教員・神奈川県】

中学校

北海道下川町はSDGsと移住に力を入れています。そのため、いろいろな職業を経験した移住者が多いです。学校にゲストスピーカーとして、お仕事の話やこれまでの人生経験をお話してくれています。下川町だけだと、作曲家や国連職員など下川町には存在しない職種の話に子どもたちは触れることができます。また、その方のコネクションを頼りにしながら、将来の進学先や就職先をつなげてくれる可能性を、子どもたちは得られます。一度、子どもとかかわることで、ゲストの方も見捨てられない性分になるので、子どもたちのセーフティーネットを作ることにつながります。
ゲストの方も、移住者として町民のみなさんに仕事の宣伝ができるので、winwinだと感じています。
【教員・北海道】

子ども達が、キャリアについて具体的な意識を持つことができます。子ども達が目にする「働く人」は、テレビの中か、目につく場所の人だけです。自然と、子ども達はキラキラとしたお店や、テレビに映るような大企業のデスクにすわることが仕事だと思うことだと思うようになります。自分たちのまちの建物の中や現場で働き、地域を支え、地域を作る大人の存在を知りません。そうした、本気で働く地元の大人たちに出会える学びの機会が提供できることが良さだと思います。【教員・福島県】

社会に開かれた教育課程を実現するためには、まずは、地域との連携により、子どもに育てるべき資質・能力を共有することが大切である。
前任校では、そこが上手くいき、コミュニティ・スクールとして、上手く行っていた。【校長・東京都】

学校が提供できない「価値」を感じています。地域の方々にとっても子どもたちの触れ合いなどを通して学校が「学びの場」として機能する可能性もあると思います。子ども、地域住民双方にとっての「学びの場」がそこにはあると思います。【教員・兵庫県】

高等学校

学校が目指すべき教育目標と、地域社会が望む生徒像(将来の社会人像)がしっかりと共有できる。子どもの教育を学校任せにしないような、学校依存的な子どもへの教育の在り方を解消できる。(子どもの教育を学校だけの責任にするのではなく、そこに生きる全ての大人の課題であるという事を自覚してもらえることにつながる。)【実習助手/実習教員・大分県】

多くの大人と接することで子どもの職業観、自己肯定感が高まることを期待しています。ただ、地域の大人と言ってもいろいろな方がいるので、生徒と地域の大人を繋ぐコーディネーターは必須だと思います。社会教育士に期待しています。【教員・静岡県】

教育上の効果・意義かどうかは不明だが、生徒の自己肯定感・学習意欲・コミュニケーション能力等の様々な社会に出てよりよく生きていく力の向上が期待できる。先日、市の社会教育大会の司会を依頼され、生徒2名が参加したが、練習を重ね司会を見事やり遂げたその表情は、安堵や疲労もあったが、それ以上に自信に満ち溢れていた。【教員・山口県】

設問5 今後の地域連携はどう行うべき?

Q. 今後、地域連携はどのように行っていくべきだと思いますか?課題だと思うことも含めてお答えください(任意)

小学校

現在の学校は、あまりに一般的知識・技能からなる学力に重きを置きすぎていて、将来子ども達が地域社会の中でいかに暮らしていくかをないがしろにしていると思います。その反省をもとにして、地域連携を学校のオプションではなく、地域連携を学校教育のベースにしていくことが必要だと思います。「忙しいからできない」ではなく、地域連携を妨げる忙しさは本来公立学校ですべきことなのだろうか?という発想が大切だと思います。【教員・福島県】

教員や親など、教育、子育てに携わる人達、つまり子ども達を支援する人達を支援する仕組みとして機能して欲しいです。コミュニティスクールの多くは形骸化しています。【教員・岩手県】

小規模校の統合が進み、学校が地域から消えることが増えている。あまりに広い学区で深い地域連携は難しい。【主幹(首席)教諭・指導教諭(養・栄含む)・福島県】

意識して引き継ぎをしないと担当者が早いスパンで変わる、又は同じ人が担当者になるので、熱は冷めやすい。【教員・大阪府】

休日に地域のお祭りが行われて、教師だから行って当然のような風潮はおかしいと感じていました。その地域にずっと勤務するわけではないので、ドライだと思われてしまうかもしれませんが、そのような行事には関わりたくないのが本音でした。地域の行事は、学校を含めて考えるのではなく、学校という組織を介さないで、子どもたちと盛り上げる方法を模索してほしいです。【教員・東京都】

中学校

学校にどんどん入ってもらって、総合的な学習の時間を実施していきたい。しかし、管理職の理解が得られず、ゲストスピーカーを呼べないケースが多々あります。管理職だけではないですが、教員自身が「越境して学ぶ」ことが普通になっていないので、総合的な学習の時間で学校外に出たり、ゲストスピーカーを呼ぶ発想に至らないことが少なくない。【教員・北海道】

一部の教職員だけでなく、すべての教職員がなんらかの役割で地域の一員として共同参画する必要がある。【教員・大阪府】

学校も地域も子どもたちも、気軽に話したり関わったりできる空気作りをしていきたい。今の課題は、関わり合うことのハードルが高いこと。人を呼ぶにも手続きや調整が非常に煩雑。効果を考えて立案計画、反省等するが、業務量が膨大。少しでもリスクがあると中止にさせられる。管理職として危機管理に努めるのは当然だが、より良くしようとするこちらのモチベーションが持たない。【教員・茨城県】

地域の方と学校側と双方にメリットがあり、無理のない形での実施が理想だと思う。しかし、教職員が学校のある地域についてあまり知らず、連携をとりにくい場合も多いように感じる。地域と学校が歩みよっていくためには、まず大人が地域を知るための機会が必要になってくるのではないだろうか。その土台があって、教育の方針ができあがるのではないかと考える。すでに土台ができあがっている地域は、毎年恒例の行事ができるなど年間を見通した計画があり、学校も地域の人もそれに備えて準備ができるため、とても効果的な方法が実施できているように思う。【教員・大阪府】

高等学校

提案やマッチング、コーディネートしてくれる外部組織が必要だと思います。教職員だけだと膨大な仕事が増えてようやく成立するので。外に出ていかないといけない意識と行動力のある人がいなくなると取り組みが萎むか、取り組みが残っても形骸化するあたりが難しいですね。【教員・大阪府】

地域の大人と生徒のマッチングする場が必要です。地域でも子どもの居場所づくりに取り組む方が増えていますが、学校内にも地域の大人たちと子どもたちが交流できる場が必要なんだと思います。私はどの学校にもある学校図書館、地域交流の拠点となることを願っています。【教員・滋賀県】

校則など学校運営に関わる諸課題について、地域の方々の意見も取り入れていくなど、積極的に行っていくべきだと思います。ただ、担当者の負担は相当なものとなるため、結局のところ教職員数増や残業代の支給といった条件整備が必要不可欠。結局、この課題が解決されない限り、あらゆる面において公立学校は前に進めないと考えています。(工藤勇一さんのようなスーパーマンがたくさんいれば話は違いますが…)【教員・山口県】

まとめ

地域連携の取り組み内容は、「地域の方をゲストスピーカーとして招く」「地域人材による学校サポート」「総合学習等で地域の課題解決に取り組む」の順で高い割合となりました。地域別に見ると「地域人材による学校サポート」が関東圏で多く、「農家や施設等で体験学習を行う」は北海道や東北圏で多く見られました。

取り組みの実施状況について校種別に見ると、小学校>中学校>高等学校の順番で多く取り組まれており、連携の種類についても小・中学校の方が高等学校より多い結果となりました。

地域連携については、概ねどの地域でも重要だと感じている一方、仕事の負担が増えたり、取り組みが形骸化するなどの懸念やジレンマを感じる意見があがっていました。

その他、興味深い点としては、「地域と連携する取り組みの教育上の意義や目的」の共有ができているかについて、地域の人や団体とは「できている」が多く、教職員間では少ないという結果です。その背景に関しては別途調査が必要ですが、今後、地域連携を推進するにあたり、ボトルネックになり得る点でもありそうです。


このアンケートは教職員の声をまとめたものですが、地域連携は学校だけで完結するものではないため、大人一人ひとりが主体性を持ち学校教育に関わることが重要です。コミュニティ・スクールなどの仕組みが機能し、地域全体で子どもの教育環境を整えるためにも、大人一人ひとりの意識の変化や、保護者を含む一人ひとりの市民の働き方・ワークライフバランスの問題の解決など社会が変化していくことも大切なのではないでしょうか。



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