文部科学省は今年8月の中央教育審議会で、教員免許更新制を廃止し「発展的に解消する」との審議まとめ案を示しました。
教員免許更新制は「教員として必要な資質能力が保持されるよう、定期的に必要な刷新を図るため」として、2009年度に導入されました。小中高などの教員免許の有効期限を10年とし、更新のための講習の受講を義務付けています。
受講料の約3万円に加え、研修会場までの交通費などはすべて自己負担。教員免許の期限前2年間のうちに30時間以上の講習を受け、修了認定されなければ免許は失効となります。
学校現場からは、時間や費用面での負担がある上、最新の技能習得に繋がっていないことを指摘する声が上がっていました。教職に就いていない免許保有者は免許更新をしない人もいるため、病気や出産で休む教員の代わりが見つからないという事態を招く要因の1つにもなりました。
教員免許更新制は今後廃止となり、教員が資質向上のために主体的に学び続けられるような新たな研修制度をつくっていく見通しです。
教員免許更新制、23年度にも廃止 指導力の向上なお課題(写真=共同)www.nikkei.com
教員免許更新制廃止へ 5年にも新研修制度 www.sankei.com
アンケートの概要
School Voice Project では、WEBアンケートサイト「フキダシ」に登録する教職員の方を対象に、教員免許更新制廃止の是非と今後の研修制度のあり方についてアンケートを取りました。
■ 対象 :全国の小〜高校年齢の児童生徒が通う一条校に勤務する教職員
■ 実施期間:2021年9月29日(水)〜10月31日(日)
■ 実施方法:インターネット調査
■ 回答数 :96件
アンケート結果
※自由回答は、全回答の中から抜粋して掲載しています。
教員免許更新制廃止、賛成? 反対?
Q. 教員免許更新制廃止の方向性についてどうお考えですか?
Q. 上記を選んだ理由についてお書きください。
「廃止に賛成=教員免許更新制は必要ない」を選んだ方の代表的な意見
1. 金銭、時間、精神的な負担が大きいから(回答数:48件|57.1%)
私は免許更新対象の最後の年に当たってしまいました。悔しく思いながらも、受講しました。しかし、選ぶ基準は「いかに学べるか」ではなく「いかに楽に受講できるか」でした。理由は2点です。1つ目はとにかく忙しいからでした。ちょうど市の中堅研修もあるし、本業もかなり忙しく、正直学ぼうと思うような状況ではありませんでした。2つ目は面白そうな講座を選ぶことに非常に労力がかかるからでした。人気の講座は、取り合いです。そこまで労力をかける時間も気力もありません。よって、ものすごく簡単にとれると聞いた、完全オンラインの講座を受講しました。何か身になったようには思いません。【小学校】
忙しい日々の中、自分で更新時期を確認して、自腹で講習を受けるというのはハードルが高すぎると共に、理不尽なものがある。教員を続ける上で必ず受けなければならない講習ならば、その費用は自治体や国などが負担すべきだ。【小学校】
現在の制度は廃止してほしいです。時間と費用の負担が大きかったです。更新時期を自分で把握しなければならず、手続きも煩雑で、そのために失効する可能性もあるので、ちゃんと更新されるまで、落ち着かない気持ちでした。【小学校】
毎日必死に働いて働いて10年経った時に、特に自分にとって有益だと思えない研修に高いお金を払って研修を受けさせられるより、日常的に学べる余裕と時間とお金が欲しいです。学びたいことの本を自腹で買っても、日々の業務で読む時間とエネルギーがない。【小学校】
再任用です。午前中だけ勤務する形態です。
札幌市は65歳で再任用期間は終了しますが、市で行なっている『にーごープロジェクト』という算数少人数制授業の講師はすることができます。ところが、65歳を過ぎて講師をするには、免許更新をしなければならず、63歳で免許更新をしました。3万円かかりました。再任用の給与は手取り13万円ほどです。お金のことは置いといても、40年近いキャリアを否定された気持ちになりました。通信教育で受講しましたが、40年前に大学で習ったこともかなりあり、新聞やニュースを見ていればわかることもかなりありました。学級担任をしている先生方にはどんなに負担になることか、若い先生より中堅の先生たちの負担が思いやられました。【小学校】
夏休みは5日間(半日を10回)とれることになっているのですが、免許更新に当たった年は、その休みを講習にあてなければならず、事実上休みがほぼなくなりました。これで、お金を払わなければいけないという、とても理不尽な制度でした。【中学校】
受講料だけじゃなく、交通費、宿泊費など個人負担が多額であること。私のような地方で勤務していると大学まで移動に片道5時間を要するので、受講の度に当然宿泊を伴うことになる。お金も時間もただただ負担でしかない。【中学校】
受講手続き、申請手続きを仕事をしながら進めることの大変さに加え、全て自費。受講日が調整できないと、平日勤務、土日受講とスケジュールがきつくなることも。【小学校】
2. 現場で役に立つような研修内容ではないから(回答数:24件|28.6%)
能力の確認であればアセスメントが必要。全員一律ではニーズと研修内容がマッチしない。【中学校】
私はまだ更新の講習を受けたことがないが、現場で役に立つ講習だったという話をほぼ聞かない。年次ごとに県で悉皆研修を行っており、その内容は充実しているので、それで十分ではないかと思う。【小学校】
教員はプロである以上、研修研究が必要であることは当然です。しかし現状の更新講習はそのようなものとは言えません。また、酷いものではテレビを観るだけで受講費を取られるものもあります。同時に自治体の10年研修と内容が被っていることも多く合理的とは言えません。教員が広く深く教養と知識を身に付けられる環境づくりが必要と考えます。【高等学校/特別支援学校】
実際に免許更新を経験して、かかった労力に見合うだけの効果を感じることができなかった。【中学校/高等学校】
3. 更新のために受ける研修に意義を感じないから(回答数:12 件|14.3%)
講習受講する際に、「免許が失効したら困るので受講する」など、受け身な講習になっている。【小学校】
教師が「やらされている」研修に追い立てられている状態はおかしいと思います。【中学校/特別支援学校】
仕方なしにせざるを得ないため、研修の意味を成していない。【特別支援学校】
4. 教員不足につながるから(回答数:11件|13.1%)
教員のなり手がいないと言われている中で免許失効によりさらに数が減っているから。また、このまま免許更新制を続けていると臨時講師をできる人材がさらに減る。【高等学校】
現在産休の代替講師を探すにあたって、断わられる理由で多いのは、免許を更新していなかったということです。講師不足を解消する手を何か打たないのであれば免許更新を廃止するのは1つの手だと思っています。【小学校】
5. 受けたい研修が受けられないから(回答数:10件|11.9%)
研修先が在住地から通いやすく、学びたいと思ったものはすぐに埋まってしまって、研修先がなかなか決まらず困りました。【小学校】
人気の講習は、まるでチケット屋さんの即完売予約。ダメなら諦めて、興味のないジャンルの講習を予約するしかない。その時間すら無駄と感じてしまう。【小学校】
免許更新講習はネット予約のため、勤務時間中に、学校のPCと自分のPCとスマホと複数のデバイスで、有名なアーティストのライブチケットを取る要領でしか、人気のある更新講座は予約が取れないらしく本当におかしい。人気のある講座は、通いやすい時期(長期休み中)や、オンラインで受けられるものばかり。つまり、何か新しい技術や価値観を学ぶための講習にはなっておらず、むしろ「やっつけ仕事」になっているのが現状。【高等学校】
6. すでにある研修で十分だから(回答数:7件|8.3%)
初任者研修、2年目研修、5年目研修、10年目研修と年次に即した研修が開催されるため、必要ない。【小学校】
わざわざ更新講習を受けなくても、たくさん研修を受ける機会がある。ただ、学ぶ意欲のない教員には、強制的に研修を受けていただくいい機会だと思うが、それになにか意味があるとは思えない。【特別支援学校】
学校および自治体で研修が充実している。そして、日々の教育活動が教員にとって学びの連続である。【小学校】
「廃止に反対=教員免許更新制は必要である」を選んだ方の代表的な意見
社会が急速に変化している中、教員もアンテナを高くし新しい情報を得て学び続けることは必要不可欠だと思っています。ですから、定期的に講習を受けることは大切だと思っていますし、講習を廃止することには反対です。ただ、講習受講のサイクル、講習時に受講する科目(単位)数については見直し・検討が必要だと思います。【特別支援学校】
「忙しい」という言葉が市民権をえすぎている。本当に忙しいのか、なぜ忙しいのか、の精査が必要。教員は学ぶべき。学ばない教員は生徒に教えるべきではない。10年に一度、30時間を捻出できないのは、仕事量のマネジメントができていない職場環境や本人に問題がある。【中学校/高等学校】
「どちらとも言えない」を選んだ方の代表的な意見
免許更新は、教員の質を高めるために必要であると思うが、受ける教員の学習姿勢に差があるためにその効果は、様々。【高等学校】
私学教員として外で研修する機会がなかったため、機会をもらえたのはよかった。しかし自分の学びたいものを学べない、強制感があるのは主体的な学びを伝えるべき教員の研修としていかがなものかと。【高等学校】
更新制度があろうがなかろうが、学ぶ人は絶えず学び、学ばない人はほとんど学ばないのが現状だと思います。私は今年度免許更新をしました。非常に勉強になる内容だったので、今後の授業や校務に活かしたいと思います。一方で動画を早送り等で再生し、レポートを雑に書いている人がいるのも事実です。根本的な意識改革が必要かと思います。【中学校】
正直負担でしたが、私は関西空港の実地講習などでバックヤードなども見れてとても勉強になりましたし、最新の学習指導要領や評価のことも知れたので良かったです。【中学校】
設問2 今後の研修はどうなってほしい?
Q. 今後、どのような研修・学びのシステムが整備されることが望ましいと考えますか? 提案・要望・アイデアなどをお書きください。
研修システムについての代表的な意見
1. 研修を受ける時間を確保して欲しい(回答数:33件|34.3%)
今の学校現場の多忙化で、学ぶ時間さえ確保することが難しい中で、本来自ら学びたい事や、知識・技能を高めたいと思っても、勤務時間内に出来ない事に、教師としてのやりがいが搾取されてるように思えます。まずは、せめて授業に必要な教材研究の時間を勤務時間内に確保して欲しい…それが多くの先生方の意見だと思います。【中学校】
現在のシステムのままで良いと思うが、研修に割く時間がとれない状況である。1学級の子どもの定員数を減らしたり、2人担任制を義務づけたりすることで、校外研修等に出やすくなると考える。そのためにも、教員の数を増やす必要がある。【小学校】
カリキュラムを精選し、週に1度でも子どもを早めに帰す曜日があれば、時間的にも精神的にも余裕をもって研修を受けることができると思います。【小学校】
休みの日を使って講習を受けに行く制度ではなく、ノー授業デー(昔は創立記念日が休みだった)や、夏休みのノー部活動デーを設けて、その1日を好きな研修が受けられるようにすればよいと思います。土日の地域のセミナーなどにも良質なものがたくさんあります。ただでさえ業務量はパンクしているのですから、今ある授業時間や、部活動の時間を削って、それを講習にあてるという発想にしないと、また、今回廃止になる免許更新講習と同じように、教員の負担が増し、教員の学びややる気につながりにくいものになると思います。【中学校
受講手続きを簡略化し、いつでも学べる環境が望ましい。何よりも研修を受ける、気持ちと時間の余裕がほしい。【小学校】
それぞれが研修に参加しやすいような、研修制度。例えば免許更新時期に昼からは研修日として設定できるなど。【小学校】
大学教員のように、数年に一度サバティカル(研究年)を設け、その間に国立大学の授業や各種研修を受講できたり留学ができたりする仕組みを作ってほしい。【高等学校】
育休産休、病休のように勉休制度があればいいなと思います。今、大学院にとてもいきたいのですが、仕事しながら夜間に通う体力的な自信はないし、休んで給料ゼロで学費を払う余裕もありません。育休のように半分でも給料を支給される勉休があれば、安心して学び直しができると思います。また、大学院だけでなく、例えば地方の学校の研究授業に参加するなどといった数日単位の研修にも参加しやすい体制があればいいなと思います。担任であると、なかなか休みにくいのが現状です。例えば10年目は担任外で仕事も軽くし、勉強期間対象者にしてもらえれば、時間的余裕ができ、視野も広がり学習したくなるのかなと思います。現在9年目ですが、仕事量が半端なくて勉強がなかなかできません。多くの9,10年目の人が同じ状態だと思います。切実な願いです。勉強させてください。【小学校】
2. 受けたい研修を自由に受けられるようにして欲しい(回答数:29件|30.2%)
自分が学びたい時に学びたい場所で学びたいことを選んでできる制度を作って欲しいです。例えば10年に1度、現場を離れて学ぶことを可能にし大学院などで、自分が興味のあることで現場に持ち帰れるものを学ばせてほしい。【小学校】
免許更新の目的が教員の自己研鑽を促すことにあるのならば、個人の学びたいテーマに応じ、民間研究団体や公的研修を選んで受講し、その費用を負担してもらえるシステムがあると気軽に学びに行くことができるのではないでしょうか。【小学校】
自分が希望する研修を受けられるシステムと、かつ研修を受けることが普通にできる雰囲気が醸成されてほしい。【中学校/高等学校】
その先生にあった研修を希望します。個別最適な学び、協働的な学びを提言するという観点から、先生自身が研修の中で経験できるようにすべき。つまり、1人ひとりの先生方の強みにあった研修が選択できること(民間セミナーも含む)と同時に、先生方が協働して学びを楽しめる研修があることである。【小学校】
3. 自主的に受けた研修を評価して欲しい(回答数:26件|27.1%)
自主研修や、参加した研修、今年度取り組んでいるテーマとその結果など、個々の教員の取り組みを提出させて、それを評価に反映する。主体性を推奨し、評価につなげることである程度の強制力を持たせる制度。【高等学校】
自治体や文科省、大学や関係機関が開催する指定された研修や研究会や大会に出席してレポートなどを提出したり、研究授業をしたりしながらポイントを10年間で貯めていく、ような方法なら、学びたい、スキルアップしたい教員のニーズにも合うのではと思います。【小学校】
研修を受けて、新しいスキルや海外の事例など、自分の視野を広げたり授業をよりよくしたいという思いは強くある。自主研修に予算をつけて、10年で〇ポイント稼ぐなどという方法はアリかと、私は考える。自主的に研修に参加するために、休日を使ったり自腹を切っているので、それが公的に認められ、更新のための研修となれば、一石二鳥になるのではないか。教育センターなどの強制研修もクオリティが低いものもあり、それを代用するのはやめてほしい。自分で必要な研修を選びたいし、教員を信用してほしい。【高等学校】
私自身、民間教育団体に所属しており、学習会の企画・運営、参加を積極的に行っている。そうした活動を自己研鑽として報告し、評価されるシステムがあれば、教員の自主的に学ぶ意欲を高め、また日常の業務に大きな影響を及ぼすこともないと思う。【高等学校】
教員の学びをポートフォリオなどで可視化し、それを評価できないかと思います。ただし、直接指導に役立つことのみが評価されることがないようにする必要があります。教員が、1人の「人」として豊かで多様に成長していることを評価してほしいです。自身の出産や子育て経験、社会での活動なども含めて。と同時に、教員として成長しようと思えないような環境にいる人へのサポートも大事かと思います。なによりもまず教員が「学びたい」と思える余裕と環境が欲しいです。【小学校】
4. 研修費や交通費の支給をして欲しい(回答数:20件|20.8%)
年度ごとに5千円くらい、申請すれば負担した研修費や資料費が出るようにして欲しいです。【高等学校】
まず費用については無料。そして出張旅費を出し、移動費もかからないようにしてほしい。オンラインで行うのも残してほしい。【小学校】
学びたい教師は多いと思います。でも今は土日のプライベートな時間と自費での参加です。就業時間内に選択できたり、費用を年間1人○○円など設定してほしい。【小学校】
年間にある一定額を給付してほしい。または、何もなくていい。おのおのの自主性に任せてほしい。【中学校】
自ら学ぶ教職員を費用面から応援する仕組みがあっても良いと思う。学ぶ意欲のない教職員をどうやって学ばせるかではなく、学びたい教職員を応援する仕組みへと切り替えたほうが良い。【小学校】
オランダでは教師1人当たり年間約13万円もの研修費が出るように、教師に研修費を支給して自由に学び続けられる制度を作るべきだと思います。時期や講座を限定して管理するのをやめて、教師の自主性に任せることが必要です(生徒に対してそうであるべきように)。そうすることで働きながら学び続けたいという本来教師に最も向いている人が教師になることが増えて、今問題になっている教師不足の解消や働き方の見直しにもつながると思います。【中学校】
1人につき年間数万円まで、研修を受けられるようにしてほしい。受けた研修の領収書を提出すれば、研修費が返ってくるシステム。研修を受けるかどうかはその人次第です。新任研は一応必要としても、その後の10年目などの研修は必要無いと思います。そのような研修を減らして、予算を確保して欲しいです。【中学校】
研修・学びの内容についての代表的な意見
情報・技術のバージョンアップができるような講習会を組んで欲しい。ICTを用いての取り組み、使い方の講習。著作権についての講習会。【小学校】
研修内容は教員が今必要としていることを受けさせてほしい。それこそプログラミングとかICTとか……。【小学校】
研修内容も、指導法や児童生徒理解など教育だけに特化せず、他の業界との繋がりを持てるような機会もあればと思います。多くの子どもたちが出ていくであろう社会と学校社会との感覚や常識、環境のズレが大きく、乖離を感じます。【小学校】
オンラインでテーマについて話し合う研修や教育に携わる様々な人の話を聞く研修。【小学校】
個人の研鑽も大切ですが、何よりも職員が組織として学校を運営していくための組織づくりが必要だと感じます。そのための学校単位の研修時間を確保したいです。また、管理職にも従来の学校運営の枠を超えた組織開発の意識を持って、そのノウハウを学んでもらえたらと思います。【小学校】
諸外国の教育やオルタナティブ教育について学ぶ研修などが用意されているとよいと思う。【小学校】
最新の教育手法を取り入れた模擬授業など、実践を含む研修。【中学校】
初任研みたいに指導員の先生と話したり、日々の授業を見てもらったりするのがいいと思う。【中学校】
実社会に関わる経験が教員自身に少ないので、職業体験は良い研修になると思う。これを機に教員にも副業を可能にしてもらいたい。【中学校】
今学校で実施されている「5年~10年目辺りで実施される節目研修」を、「身分は保証したうえで、1年間だけ民間に仕事に出る」方式にしたら良いと思います。
・単なる「職場体験」だと「お客様」で終わってしまうので、一般社員と同じ扱いでお願いする。
・その間も教員としての身分や給与は保証する。(民間企業にきっと迷惑をかけてしまうだろうから(汗)せめて金銭的負担はないように。)
・仕事は担当教科と全然関係なくてもOK!(普通に工場でも、営業でも、飲食店でもどんな職種でもOK)
理由は、学校が未だ閉鎖的で前時代的な価値観があまりに残りすぎていて、社会の感覚とズレ過ぎている。とある有名人にも「学校の常識は社会の非常識」と言われる始末。
なぜなら教員の多くは「小中高」→「大学」→「教員として学校へ」というルートを辿っていると思うので、この民間に出たことが無い人が多いというのも、そんな狭い価値観の大きな原因の1つだと思います。そんな感覚を直しつつ、多様な価値観にも触れ、教員の資質をアップデートするには、一度学校現場から離れ、実際の社会に触れる事でミスマッチを減らせるような気がします。【高等学校】
普通小、中、高の教員にはいじめ対策の研修が不可欠。SNS対策を含めてそこは通信教育でもいいので時間をかけるべき。【特別支援学校】
まとめ
約9割の教職員が教員免許更新制の廃止に賛成の意見を持っていました。その理由として最も多かったのは「金銭、時間、精神的な負担を感じているから」であり、その数は賛成者の約6割にのぼりました。
忙しい日々の中で休暇を削って研修を受ける時間を捻出し、その費用までも自身で賄う必要があることは、教員にとって大きな負担になっていることがわかります。研修の申し込み手続きの煩雑さや、失効していないかを確認することへの精神的負担を訴える声もありました。
ほとんどの教員が教員免許更新制の廃止に賛成意見を持っている一方で、「教員が学び続けることの必要性」を感じている方が多いことも今回のアンケートから読み取れました。
新たな研修システムを構築するにあたり、「研修を受ける時間を確保して欲しい」「受けたい研修を自由に受けられるようにして欲しい」という意見が多くあがっており、知識や技能をアップデートすることへの高い意欲を感じます。
研修システムの具体的なアイデアも多く寄せられました。
- 数年に1度のサバティカル制度(研究や学びのための長期休暇)
- 研修を受けるごとにポイントが貯まっていく制度
- 研修のためのノー授業デーや午前授業のみの日の設定
- 民間企業も含めて研修の選択ができる制度
- 研修費の支給 など
研修内容については、小学校の教員からは人権教育やプログラミング、生活指導に活かせるテーマがあがっており、中学校や高等学校などの教員からはキャリア教育や進路指導に活かせるテーマがあがっていました。
11月15日に行われた中央教育審議会の特別部会では、教員免許更新制を廃止するとの審議まとめが了承されました。末松文部科学大臣は、「発展的解消の方向で進めていきたい。じっくり内部で協議し、よりよい形にもっていきたい」と述べています。
中教審「教員免許更新制」廃止求める “発展的な解消検討を” | NHKニュース www3.nhk.or.jp
教員が高い専門性を維持するために学び続けることは必要ですが、研修によって教員の負担を増やし、そのしわ寄せが児童生徒へいってしまっては本末転倒です。学ぶ意志のある教員が自由に学べるような新たな制度の構築を期待します。
▼ 自由記述の回答一覧は、以下よりダウンロードしてご覧ください。 ▼
教員の多忙化の背景の1つとしてあげられる「人員不足」。
産休・育休・病休等の欠員をカバーしてきた臨時講師が見つからない事態が、近年多く発生しています。
深刻な人員不足の現状において、学校現場ではどのような影響が出ているのかを聞きました。
「現場が大変なことに…」35人以下学級、教員の悲鳴(西日本新聞) – Yahoo!ニュース news.yahoo.co.jp
【学校が回らない】欠員状態のまま、綱渡りの学校(妹尾昌俊) – 個人 – Yahoo!ニュース news.yahoo.co.jp
アンケートの概要
School Voice Project では、WEBアンケートサイト「フキダシ」に登録する教職員の方を対象に「『臨時講師が見つからない問題』とその影響」についてアンケートを取りました。
■対象 :全国の小〜高校年齢の児童生徒が通う一条校に勤務する教職員
■実施期間:2021年9月29日(水)〜10月24日(日)
■実施方法:インターネット調査
■回答数 :87件
アンケート結果
Q. 産休・育休・病休の代用など臨時講師が見つからない学校が多くあります。代わりの先生が見つからないと、学校現場ではどのような影響が出ますか?あなたの職場で今起こっていることや、過去に起きたことをなるべく具体的に教えてください。(職場組織/体制への影響、児童生徒への影響など)
※自由回答は、全回答の中から抜粋して掲載しています。
講師が見つからない場合、欠員分をどうカバーしているか
1. 教員で分担
・校務分掌は、他の教員に割り振られる
・学年は1人いない状態で行事や生活指導を行っている
・お休みの教員が加配教員である場合で臨時講師が見つからなくても、加配に関わる書類作成と提出を継続して求められる(加配抜きの元々の教員数では物理的に少人数指導などができなくても。)
・授業は同じ教科の他学年で割り振られるか、同じ教科なら授業時間数0の生徒指導主事などが受け持つ【中学校】
異動で後任が見つからず、人員が前年度と比べて−2となりました。教諭の授業時数が1人あたり3時間程度増え、その分空き時間(研究時間)が減りました。しかし研究業務がなくなるわけではないので、放課後にその仕事が回っているのが現状です。【小学校】
2. 教務主任や教頭(副校長)など管理職が授業や担任業務を代替
副校長や算数少人数担当が臨時担任を行います。つまり、副校長業務、算数少人数の指導が出来なくなるということです。
しかも現在のボリューム世代=子育て世代なため、産休育休に入る教員が1年間に2〜3人いるのはよくあることなので、欠員を副校長と算数少人数担当が臨時で補っても空きが埋まらないこともあります。
その時はみんなの空きコマをフル動員するしかありません。その結果、教員が過労で病休になんてなったら負の連鎖はもう止められないです。【小学校】
病休の担任が出たところには、教務主任の先生が教務と兼職で担任をされています。育児もされているため、定時退勤後20〜21時に再出勤され、24時あたりまで働いておられます。また次の日に、通常出勤されています。【小学校】
適応障害により、5月から仕事を休んでいますが、今でも講師が見つかっていません。
昨年度も10月から5月まで精神疾患で休職した先生がいたのですが、なかなか見つからず、専科の先生が代理の担任になりました。
私の傷休補充には、とりあえず新卒の若い講師の先生が入ることになりましたが、私が担任していたクラスや校務分掌(児童指導主任など)を任せることができず、教務主任が私の仕事を引き継いでいる状況です。
人数の少ない学校なので、1人1人の先生の校務分掌の負担が大きく、休む人がでることでさらに他の先生への負担が増して切迫しています。私も昨年度は空き時間が週に1時間しかなく、全くない週もありました。【小学校】
教務主任として時間割を組んだり、一人一人の授業コマ数を調整したりしていますが、足りない国語科については、特別支援学級の国語の授業に保健体育科の自分や社会科の講師が入ることで無理矢理やりくりしている状態です。【中学校】
3. 支援学級の加配分を通常学級へ
支援担当などの加配をなくし、担任や専科に配置し直す。結果組織運営が難しくなり、子ども理解が得られずトラブルが生じる。【小学校】
病休については、支援学級担任が通常学級担任に移動することがいちばん多いです。その担任が担当していた支援学級の子どもたちは、他の支援学級の担任が担当することになります。支援学級の子どもたちに対しての支援は、必然的に少なくなり、学力や生活面でマイナスの効果がはっきり出ることが多くあります。【小学校】
4. その他
レアケースですが、校長が介護休暇、病休ということがありました。二学期は市教委から旧校長がヘルプで来てくれて、教頭が校長代理として勤務してくれましたが、他の教職員では手伝うことのできない仕事(行政関係の仕事)は多く多忙度はとんでもないものでした。余裕のない大人たちに呼応しているのか、子ども達も高学年を中心に荒れていきました。三学期に新しく市教委から校長が赴任する形となりましたが、卒業時まで大人と子どものもぐらたたきは続き、最後まで大変でした。【小学校】
そもそも北海道の郡部では、代替講師が見つかる方が稀です。年度の途中で、期間限定で数ヶ月だけお願いしても、荷積に荷下ろしして北海道を大移動して郡部に来てくれる人はほとんどいません。5教科ならまだしも、芸体教科の教員は生徒数の関係で配置されていない場合も多いです。例えば、音楽の先生が免許外で美術と家庭科をかけ持ちでもったりします。その人の代替となると…、もう大変です。管理職がその免許を保持していれば管理職が授業したり、免許の有無に関わらず誰かがその時間をもつことになります。1学年だけならなんとかなりますが、郡部だと1教科1人でまわすので、3学年部すっぽり抜けることになります。週4入る教科は、そもそも3学年分の授業準備をしているので、それにプラスαされるのは、なかなか大変ですし、分掌の仕事も大規模校に比べると一人当たりの仕事量は増えるので、なかなかです。力のある先生ほど、仕事をかかえています。代替はプラスαの仕事ですので、若手には回せずベテランが持ちます。ただでさえ、郡部は忙しいベテランが多いので、とても大変な状況になります。途中から来てくれる講師も大変です。【中学校】
児童支援として、個別の支援と教科担任をしていた方が担任として講師の先生が見つからない学級へ入りました。
今までの個別指導もなくなり、そういった子どもの学習ができなくなりました。教科担任もできないので、担任の空き時間もなくなりました。補欠の先生がほぼいなくなりました。【小学校】
クラス担任以外(専科の先生)が学級担任になりました。つまり、専科教科がなくなり、クラス担任の空き時間は0になるわけです。5月の時点で4人欠員となりました。クラスで起きたトラブルも誰にも助けてもらえずオロオロする若手教員が増え、みんな疲弊しました。また、その状況がなぜ起こったのかを考えることをせずに、そんな状況でも校内研究授業や、人権研究授業が開催され、いったいこの学校はどこに向かっているか?怒りと悲しみでいっぱいでした。管理職に学級経営の重要性を学んでもらいたい。学力を向上させたいなら、学級経営を人それぞれではなく、学術的根拠に基づいてみんなで考えられる職員集団に導けるマネジメント力を持ってほしい。【小学校】
事務職員の病休代替が見つからず、他校の事務職員で回すことも。【小学校】
具体的に出ている影響は何か
1. 児童生徒へのしわ寄せ
年度当初は、学校に3名配置されていた少人数加配(国語や算数)が、休んでいる教師のクラスの担任に入るため、少人数加配がいなくなり、児童の学力保障が十分にできていない。【小学校】
私の代わりに授業をしてくれる先生が雇えないとのことで、生徒たちの習熟度別編成が無くなり、しわ寄せが生徒たちに行くことになりました。【小学校】
・子どもが不安定になる。
・子どもの異変に気づくのが遅くなる。【義務教育学校】
2. 休むことへの後ろめたさなど、精神的な負荷
女性の産休育休でも、講師が見つからずにギリギリまで働くことになることが多い中年度途中で男性が育休を取るのは、精神的にとても難しく、言い出しにくい。
また、3ヶ月だけというような取り方はさらに講師は見つからないので、不可能であると感じる。【小学校】
一昨年、8月半ばから産休に入りましたが、「年度途中からの代替を見つけるのは現状ではまず無理」と言われました。何とか、採用試験を受けられた方と話が付き、2学期から来ていただけましたが、対面の引き継ぎはできませんでした(夏休み中なので生徒への影響は少なくて済みました)。同教科の同僚が12月から産休予定ですが、まだ全く見つかっていないと聞きます。「5月出産(年度当初から産休)以外は迷惑」な風潮が辛いです。【高等学校】
代わりの教職員が見つからないと,産休・育休・病休取得の際の取得する側,学校側の負荷や負担が大きくなってしまう。よって産休・育休・病休の取得を希望する方が減り,私生活の充実の面や働きやすさという環境において課題が見られるようになるだろうと考える。学校に残っている方に仕事を任せることの負担は計り知れない。また,それを先回りして行っておくことの限界もある。私は育休を取得させていただいたが,講師を自ら探し出した。結果として見つかったが,そこまでしないと取得できないのであれば,取得を諦めるケースは少なくない。【小学校】
3. 休業の申請が通らない、時短勤務の人員が常勤に
代わりの先生が見つからないために、3ヶ月の育児休業の申請が通らず、1ヶ月に短縮されました。こんなことなら学年主任引き受けなければよかったと後悔しています。【小学校】
時短教員や非常勤が臨時(常勤)に繰り上がることも。
理由があって(育児や介護など)時短を選択していても年度途中で常勤に。
断れないだろうし、かと言って家庭の事情がそうそう変わることもないだろうし、大変。【小学校】
4. 人手不足による悪循環
臨時採用者や初任者が他の市よりも多く入ってきます。そして市で育てた若手は5年後に市を出ていかなくてはならず、その代わりに入ってくるのは臨時採用者や初任者。
もちろん臨時採用や初任者が良くないわけではありません。すごく頑張りますし、力のある方も多いです。それでも、一から育てたり、正規の研修をまだ受けていなかったりする方に偏るのは非常に危ういです。【小学校】
今後教員の数が少なくなり、採用試験の倍率が下がる中で、同じような水準の方が来ることが保たれるのかは少し疑問です。【小学校】
講師が足りないことで現場に負担が増して、それによって傷病者の数が増えて講師が足りなくなる、という悪循環にはまっているのが今の現場です。このような現場を目にした若い先生は、続ける自信をなくしてもおかしくありません。【小学校】
・「先生が見つからない」といって年度末に必ずバタバタする。
・一人当たりの授業数や分掌などの仕事などが増える。
・結果、生徒ときちんと向き合う時間が作れない→学校(生徒)が荒れて行き問題事象が増える→より仕事が増える→過労や心労で休職者が増える→でも代わりの教員は見つからない→残された人の仕事がさらに増える→・・・・
という負の無限ループになる。【高等学校】
5. 教員の質の担保、関係性構築の難しさ
生徒指導や教務主任など、担任を兼務すべきでない職員が兼務し、職員室に人がいない状態。トラブル対応、職員の出張や体調不良の休みの補欠などに対応する余裕がなくなった。自分か居住する県では採用されないような指導力不足教員が講師として採用され、さらに負担が増える結果に。非常勤が増え、連携や関係性の構築が難しい。【小学校】
まとめ
臨時講師が見つからない場合、多くの学校で管理職がその役割を代替するなど、今いる教職員でなんとかしのいでいる現状が伺えました。また、そのような状況を知っているからこそ、休業する教職員は心苦しい思いをしていることがわかります。本来、祝福されるはずの新しい命の誕生にさえ心から喜べない事態が起きていいます。
そのような状況でも、児童生徒へ影響が出ないよう、学校現場はなんとか努力してきましたが、明らかに限界を超えている状況です。
(参考:いわゆる「教員不足」について)
<解決へ向けて>
人員不足の課題はすぐに解決されるものではありませんが、民間団体による取り組みや、来年度予算の概算要求として、教職員定数の改善を図るための加配や教員業務支援員の増加などが盛り込まれる動きもあります。
教員人材銀行
学校側が、どの教科の講師が必要かなどをウェブサイトから「銀行」へ照会すると、条件に合う講師候補者の情報を受け取れる仕組み。
教員人材銀行www.aichi-kyo-spo.com
小学校教科担任制、2000人加配 文科省・来年度予算 概算要求
小学校教科担任制、2000人加配 文科省・来年度予算 概算要求 www.kyoiku-press.com
また、これまでは一部の自治体への調査に留まっていた教員不足の実態に関して、今年度初めて、全国の自治体を対象に教員不足の実態を把握する調査を行う考えを文部科学省が示しました。
教員不足解消へ、文科省が2021年度に全国実態調査
教員不足解消へ、文科省が2021年度に全国実態調査 | 教育業界ニュース「ReseEd(リシード)reseed.resemom.jp
実態が把握されないことには、抜本的な改革を行うことはできません。
この実態調査が、教員不足解消に向けた課題解決の大きな後押しになることを期待します。
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