学校をもっとよくするWebメディア

メガホン – School Voice Project

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各自治体や学校では、教職員の子育てを支援する育児休業や時短勤務などの制度があります。制度の活用法をわかりやすくまとめたパンフレットを作成するなど、子育てをしながら働きやすい環境づくりに力を入れる自治体もあります。

参考:子育て応援ハンドブック 京都府教育委員会

一方で、2021年夏に日本教職員組合が実施した調査では、教員の業務量の多さが明らかになりました。小中学校や高等学校教員の持ち帰り残業を含めた実質的な時間外労働の平均は、過労死ラインとされる月80時間を超えていることがわかりました。

教員の時間外労働 平均で過労死ライン超 “休憩0分”も 日教組 | NHKニュース【NHK】


このような状況の中、子育てをしながら働く教職員の方は十分に子どもとの時間を取れているのでしょうか。その実態と、働きやすい環境にしていくために必要なことを伺いました。

アンケートの概要

School Voice Project では、WEBアンケートサイト「フキダシ」に登録する教職員の方を対象に、子育てと仕事の両立についてアンケートを取りました。

■対象:全国の小〜高校年齢の児童生徒が通う一条校に勤務する教職員のうち、子育てを経験している方
■実施期間:2021年11月20日(土)〜12月12日(日)
■実施方法:インターネット調査
■回答数:89件
(子どもの年齢が18歳未満の方:77件、子ども年齢が18歳以上の方:12件)
(男性:43件、女性:41件、その他:1件、回答しない:4件)

アンケート結果(子どもの年齢が18歳未満の方の意見)

設問1 子どもとの時間は十分にとれてる?

Q. 子育て真っ最中の教職員の方にお聞きします。(子どもが18歳未満)子どもとの時間は十分にとれていると感じますか?

※ 産休、育休、非常勤の方は除いています。

「取れている」「まあまあ取れている」を選択した方の主な理由

保育園の迎えがあるので、帰る時間が決まっているため。【小学校・男性】

できるだけ定時退勤をし、休日出勤もしないようにしているため。【小学校・女性】

学校の規模が大きい(児童数1000人弱)ため、補欠授業を組みやすく、子どもの学校行事への参加等もできています。【小学校・男性】

土日は職場に行かず、家で子どもと過ごすようにしている。その分、平日の帰宅時間は遅く、一緒に過ごす時間が十分ないまま就寝となる。【小学校・女性】

部活動を副顧問の立場で担当することができているから。【中学校・その他】

相当悩んだ末に部活動の休日勤務をなくしました(もちろん部員からの反発はありましたが)。休日はいっしょにいれる機会が増えました。来年度、育休を申請している(男性です)ので、来年度は時間がとれそうです。【中等教育学校・男性】

学校が人員的にまだ余裕がある学校なので、部活や部署の配慮をしていただき、繁忙期以外は夕方1時間の時短を週に何回かとれています。職場には男性でも時短取得されてる方がいます。【高等学校・女性】

高校の教員ですが、今年度は部員数0名の部活動の顧問になっている。【高等学校・男性】

「あまり取れていない」「全く取れていない」を選択した方の主な理由

平日はほとんど、同居の義両親に任せきりのため。十分一緒に過ごしている実感があるのは週末のみ。【小学校・女性】

朝早く出勤、帰宅は遅い。土日も教材研究や成績処理などをしているため、我が子と遊んでいる時間も仕事のことを考えている。【小学校・男性】

中学1年生息子と高校1年生娘。ゆっくり話を聞くことができていない。こちらも帰宅後バタバタしており、子ども達はゲームやスマホ。土日は部活があり、気持ちや時間にすれ違いが…。【小学校・女性】

平日は、保育園や児童クラブのお迎えが終了時間間際になり、自宅に着くのが夜遅くなってしまいます。休日が唯一、子どもと一緒にいられる時間ですが…疲労でついダラダラ過ごしてしまい、せっかくの子どもとの時間がすぐに過ぎさってしまいます。 最近はこれの繰り返しですね。【小学校・男性】

平日は18:30ギリギリの学童のお迎えに行き、夕飯までに入浴を済ませ、夕飯時に今日の話をすこーしして、気がついたら寝る時間。週末は習い事に付き添うなどして一緒に過ごすこともありますが、平日は疲れ具合によって、子どもに窮屈な思いをさせていると思います。【小学校・女性】

朝5時半に家を出て、8時に帰宅する事が珍しくありません。1日自分の子どもが起きている姿を見ない日もあります。そうした日が続いたある日の朝に、子どもから『次はお父さんいつ来るの?』と聞かれたときには非常に衝撃を受けました。それ以来、なるべく早く帰ることを心がけてはいても、なかなか難しく。平日早く帰った分、休日に学校に行って埋め合わせています。【小学校・男性】

まだ末っ子の子育て中ではありますが、これまでの3人の子育てを振り返って考えると「無我夢中」の一言に尽きます。
長男の幼児期は、頼れる親戚や友人もいない場所での子育てだったので、朝保育園が開くのを門の前に立って待ち、先生にお願いしたら学校に猛ダッシュ。帰りはいつも閉園時間に間に合うか間に合わないかで滑り込み。おたふく風邪で1週間休まねばならないときは、同じく教員の夫と交代に学校を休み、それでも足りないときやどうしても休めない急な発熱時にはやむを得ずシッターさんに頼みました。(これはかなり悩みますし勇気がいります。)
また学齢期には、我が子の運動会や参観日に行けないこともしばしば。疲れすぎて子どもの書類に目を通せず、提出物が出せずに恥をかかせてしまったことも多々あります。帰りは早くて7時。生徒指導が入ればさらに帰宅時間は下がり、手の込んだ食事を作ることも、ゆっくり子どもたちと会話する時間もなく、情けなさと申し訳なさに苛まれ仕事を辞めたくなることも多々ありました。教師も一人の人間です。余裕のある豊かな心で我が子や教え子たちの前に立てるようなシステムでなければと思います。【小学校・女性】

朝ご飯を一緒に食べられないのがつらいです。あと部活動の繁忙期は遠征で毎週末6時から17時まで活動し、それから仕事をして…という感じでした。【中学校・男性】

子どもとの時間は大切にしているつもりですが、子ども自身は帰る時間が遅いことが不満なようです。家でも教材準備等があり、「ながら子育て」という感じのときは多いです。【中学校・男性】

次女(5歳)に、出がけに「また来てね」と言われたことがある。先日絵に描かれたのは「またいっしょにくらせますように」 単身赴任はしていない。【高等学校・男性】

帰宅したら生きるための活動のみ。ご飯を食べさせてお風呂に入れて寝かすだけです。土日にたっぷり遊びますが、こちらも疲れているときもあり十分に遊んであげれないと、「ほんとごめん」という気持ちでいっぱいになります。【高等学校・女性】

育休中は宿題や時間割をチェックしてましたが、復帰してからはほぼほぼ放置です。忘れ物もあるようですが、親が手伝わなくても自己管理できるようになって成長を感じます。私が下の子の寝かしつけで寝落ちパターンが多く、上の子より先に寝てしまっています。お風呂を一緒に入って、5分~10分くらいですが、話を聴くようにしています。【高等学校・女性】

設問2 どうなればもっと働きやすい?

Q. 子育てをしながらの働き方として、こうであったら良いと思うことをお書きください。

※全回答の中から抜粋して掲載しています。

定時で退勤できるような業務量にしてほしい

授業や子どものことに関する仕事に集中できたらいいなと思う。会計や、設備点検などは、専任の方がいたらどんなにいいか、と思う。【小学校・女性】

とにかく定時に帰れること。時間にも心にも自分に余裕があると、子どもに向き合ったり、子どもと何かをやってみようと考えることができそうだから。【小学校・女性】

定時で退勤できるような業務量の見直しと適正化。勤務時間より前に児童が登校しない時程を全国的に広める。(子育て世代の朝は大切な我が子とふれあう時間)【小学校・女性】

担任をしていると、朝から帰るまでトイレに行く暇もないのが現状。また、個人情報保護の観点から、持ち帰りができない仕事が多く、事務仕事は放課後や朝にしかできない。しかし、子どもの送迎があるため残業ができず時間が取れない。週に数回でよいので、事務整理&教材研究に当てられるよう空きコマをつくって欲しい。帰ってからの家事育児含め、精神的にも体力的にも無理をしがちなので、体調を崩して病休をとるまでに追い詰められるケースも少なくない。リフレッシュ時間を確保できるのが当たり前の職場環境になってほしい。【小学校・女性】

子どもも大人も授業時数を減らし、平日にゆっくりする時間を設定する仕組みが欲しい。例えば午前中授業を設定して、午後からは友だちと遊んだり、探究活動をしたり、家でゆっくりしたり、図書館に行ったり、子どもたちが「やりたい」と思っていることができる時間をつくりたい。そのためには、国の膨れ上がった授業時数を削減したいです。子どもたちも本当に忙しく、隙間を見つけて友だちと遊ぶような状況。見ていて辛い。【小学校】

働き方改革としてたくさん変えていきたいところがあるが、今一番変えていきたい点は、自分の時間を確保することです。

1つ目は、朝の時間確保へ向けてこうなってほしい点
・登校時間をあと30分遅くする。→現状1番ハードルが高い。
・業務を補助するスタッフの配置。→非常勤の職員、時差出勤等。これもハードルが高い。
・担任の朝の書類チェックの緩和 →書類の電子化 。アプリの導入で管理を一元化。これが現状としては、1番実現化への道のりが近いように思います。

2つ目は、放課後の時間確保へ向けてこうなってほしい点
・下校時間15:00統一。→市内統一希望。現状各学校バラバラ。かなりハードルが高い。
・会議時間短縮→いろいろなツールを使って日頃から情報共有につとめる。現状タブレットの普及もあるので、かなり可能性が高い。
・下校時間厳守。→意外に過ぎることが多いかな…。1日5分の短縮が1週間では25分。1ヶ月では、100分近く時間を生み出すことができます。現在実行中。これは今すぐ実行できることですね。

時間があると心の余裕が生まれますね。これが時間確保で一番必要なこと。余裕がある中で、しっかりと業務に取り組んでいきたいです。【小学校・男性】

勤務時間内で、授業準備や校務分掌ができる時間的ゆとりがほしいです。こうしたい、という思いはあるものの、時間がなくていつも最低限のことで精一杯です。授業準備も、生徒理解も、校務分掌の仕事も、中途半端だなと感じ、働きがいを持てずにいます。現状、勤務時間外でしか授業準備の時間をとれません。【中学校・女性】

全日制勤務ですが、全日制の中で、前半勤務、後半勤務のように出退勤を2パターンに分ける。前半勤務の先生は主に担任業務、後半勤務の先生は主に分掌、部活動業務、と業務内容もわける。【中等教育学校・男性】

休みを取りやすくしてほしい

子どもの急病時や行事の時、補充の準備や後の丸つけなど、仕事を増やす状況なく、休めたら良い。また、誰かしらに迷惑がかかってしまう、という申し訳なさが心的負担になるので、そう思わなくて済むような環境、人手がほしい。【小学校・女性】

病気になった時、参観日、懇談会、たまには子育て休暇とかあって、気兼ねなく休める日があるといい。平日にもっと気持ちに余裕が持てる働き方ができるといい。毎日何かに追われているように感じます。【小学校・女性】

教員が休みを取るのは、長期休暇の期間という暗黙の了解がありますが。平日に当たり前に休みが取れるようになったらいいなと思います。学校の行事が多い時期、教員の仕事が増えるのもそうですが、自分の子どもの行事への参加も増え、ヘトヘトになります。【小学校・男性】

子育てをしている、していないに関わらず、定時退勤が当たり前にできる環境になってほしいです。そのためには、業務が減ること、人が増えること。子育て中に限ると、男性の育児休暇が一般的に取れるようになるといいです。育休は、制度としては取れるけど、講師がいないことや、担当する業務の引き継ぎが難しいことを考えると、なかなか育休を取ることは難しいです。【小学校・男性】

まずは職場における子育て世代に対する理解が必要です。「我が子の学校行事にはぜひ行っておいでよ。熱が出たら遠慮なく休みを取ってね。」と言い合える職場であってほしい。ただそのためには「私が休むと他の職員に迷惑(負担)をかけてしまう」という環境ではダメなので、交代してくれる人がいるという人的配置が必要だと思います。また、残業や持ち帰り仕事を減らすためにも、丸付けや印刷の支援など多種多様なヘルプ人材がいてくれると助かります。
現状では、5時以降の保護者からの電話も当たり前のように繋がれているので、よほど急ぐ内容でなければ翌日にしてもらうなどの配慮が必要かと思います。また職場の共通理解ももちろんですが、保護者の方々にもそういった協力を求める必要があると思います。(役所が業務を5時で終わるように)【小学校・女性】

子どもとの時間を取るために、参観や入学式や運動会などの行事があるときは、休みを取ることを当たり前にして欲しい。どんな時に誰が休みを取ってもいいような環境を整えて欲しい。【中学校】

日本人は仕事に取り憑かれていると思います。仕事のできる・できないで人を評価することは、まるで成績で子どもたちを評価しているのと同じような感じです。気軽に休める環境をつくることが、良い働き方の近道だと思います。(現在は、育休をとったり、自分の子どものことを配慮できることすら、優秀な人の要件になっている気がします。あんまり心地よくはありません)【中等教育学校・男性】

私は現在、育休中で、退職しようか悩んでいる。互助会の育休復帰セミナーを受けたら、4時に起きたり、夜中12時まで仕事をしている例が出てきた。欲張って二足の草鞋を選んでいるから、時間など更に欲張ってはいけないと言っていた。そんな働き方したくない。
私の周りでこの一年で3人育休明けで退職した。今まで見てきた先輩ママたちも休む時に本当に申し訳なさそうで、やりたいことはほとんどできないで、なんとか我慢して今を過ごしているように見えた。男性の育児のための時短はほぼ例を見ず、女性教員ばかりが苦しい思いをしていると思う。いろんな形を選んで働ける環境になってほしいと心から思う。朝の時短で1時間目に入れないと習熟度の他の先生にも皺寄せがいったり、朝の会議には参加できなかったりする。オーストラリアの学校では体調不良も含めて、休まなくてはいけない時、代わりの人が同じ内容で授業をしてくれた。カリキュラムや指導内容、教員の数など大きな変化も含めて変化していかないと、生き生きと子育てをしている姿を生徒達に見せることができないと心から感じている。私はこの春、やめてしまうかもしれない。【高等学校・女性】

時短、もしくは時差勤務が取れるようにしてほしい

希望する人が時短勤務を取れるようにしてほしいです。子どもが小さいときは、働く時間を短くしながら、子どもとかかわる時間を確保したいです。例えば、2人で1人分の仕事をすることが可能になれば、教師を一度辞めた人も働くことができるかもしれません。担任をするのであれば、副担任制にして、2人でクラスを見ることになれば、子どもの看護などの休暇が取りやすく働きやすくなると思います。【小学校・女性】

育児短時間勤務の制度が使える環境にしてほしいです。東京都には育児短時間勤務制度がありますが、小学校の教員は使うのは不可能と校長(教育委員会)や事業団の相談室から言われました。それだけでなく、時差出勤や時短勤務でさえ取るのが厳しい状況です。知り合いも時短勤務をしている先生は音楽の先生だけでした。しかも時短勤務の制度を知らない先生が大半です。子どもが小さいうちだけでも、子どもと一緒にいる時間が長く確保できる体制を早急に整えてほしいと思いました。【小学校・女性】

フレックス制が気軽に利用できる。子育て中でもそうでなくても、教える以外の仕事をなくして欲しい。朝はギリギリ駆け込んでいます。それでも校長にはもう少し早くきてと言われ、どうすればいいのかと思います。すべてがギリギリです。【中学校・女性】

幼児期の間は部活動の顧問をするかどうか、選ばせてほしいです。土曜保育に預けて部活動に行くのはお金もかかるし子ども負担をかけていて申し訳ない気持ちになります。子どもが小学校にあがっても4年生までは朝や夕方1時間減の時短をとれるようにしてほしいです。【高等学校・女性】

勤務校を選べるようにしてほしい

子ども(特に未就学児~小学生)を持つ教員の勤務地に対して、もう少し教育委員会の配慮があるとありがたい。自分の場合自宅及び保育園から学校まで車で30分近くかかるため、毎年自宅のある地域への異動希望を出し続けたが、全く通らないまま年長児になった。特に今年は夫も自分も中学3年生担当なので退勤が遅くなることが多く、子が情緒不安定になったり睡眠不足になることも増えている。【中学校・女性】

自分の子どもとの時間を持ちたいすべての教員が、勤務地や勤務時間帯の希望を通せるようになってほしいです。自宅近くの勤務校を希望した人が、なかなか希望を聞いてくれないということもありました。また、女性が時短や勤務地の希望がある場合は通りやすい一方、男性は通りにくいような気がしています。ジェンダーバイアスがあるのではないかと思いました。【高等学校・女性】

人員を増やしてほしい

育児のために時短勤務を選択する方がいるときには、育児加配のような人員が増えるとありがたい。増えた人員の方は専科のように授業や校務分掌を受け持つ役割とし、時短勤務の方の事務時間(空きコマ)を増やす。【小学校・男性】

休暇の制度があっても、代わりに自分の受け持ち業務(担任、授業、会議)を行う人がいない、またはいたとしても代わりの方の負担が増し、定時に仕事が終わらない状況があり、制度が使えません。また、準備が追い付かず、平日に休暇を取れば持ち帰って仕事をしたり、土日に学校にきて埋め合わせをする状況です。やはり、余裕をもって人を配置していただくのがいちばんの願いです。【中学校・男性】

職種上、多少残業はやむを得ない面もありますが、仕事が定時に終わることがほぼ皆無な状況なので、人員を増やして仕事を分散できればありがたいです。【中学校・男性】

子ども育てる一翼を担う学校現場なのに、子育てに不寛容な雰囲気がある。 人を増やし人的余裕があれば、若い方や子育てしていない方にばかり負担がいかないのではと思う。【高等学校・女性】

その他

職員連絡にもSNSの使用は認められていないので、そこをもう少し緩和してくれると、職員間の連絡を家に帰っても取ることができるので、朝の時間に忙しく確認したり、漏れの心配もないように思う。【中学校・男性】

夕方からの時間帯は育児に関われるように、勤務時間以降はリモートワークなどで事務作業や教材研究が校外でもできる環境が整えば良いのではないか。会議はリモートでの参加も選択肢にあるといいのではないか。【中学校・男性】

1 授業がプロジェクトベースのものが主流になっていくこと。教員がいないと授業が成り立たない状況から改善されるといいと思う。
2 オンラインによる会議や情報交換が一般化すること。突発的なトラブルがあっても情報交換がスムーズにいく環境整備が必要ではないかと思う。
3 子育て世代以外にしわ寄せがいく構図の解消。未婚や子育てが落ち着いた世代がカバーをしてくれているのが現状で、業務の偏りを作ってしまっている。
子育て世代のみをサポートするのではなくて、誰にとっても取りやすい風土や環境が必要だと思う。【中学校・男性】

アンケート結果(子どもの年齢が18歳以上の方の意見)

設問 子育て環境、よくなってる?

Q. 皆さんが子育て真っ最中の時期と比べて、今の学校は、子育てと仕事の両立がしやすい環境にあると思いますか?

「そう思う」「まあまあそう思う」を選択した方の主な理由

育児休業が3年取れるので、復帰のタイミングが調整しやすいと思います。また、周りに子育て世代の先生が多いため、妊娠や子育てに関するさまざまな権利についての情報が入るのもいいなと思います。ただ、休業に入るにあたり、代わりの先生が来ない可能性があるのは問題です。【小学校・女性】

うちの学校では若手の教員が子の看護のためにしょっちゅう休んだり、子の学校行事を優先したりしています。いい事だと思います。昔はできませんでした。教員のブラックさが一般の方にも知られるようになり、少しずつ理解が広がっているように感じます。この「フキダシ」のような取り組みを継続的に行い、さらに広く広報していくことが必要です。【小学校・男性】

かつては、子どもを産むということは、退職を意味することが、往々にしてありました。今は、男子の育休取得も可能となりました。まだまだだと言われればその通りですが、良くはなっています。問題は、制度のみではなく、所得がこの20年全く伸びていないことも両立しにくい要因ではないでしょうか。【小学校/中学校・男性】

「あまりそう思わない」「全くそう思わない」を選択した方の主な理由

子育て休暇の制度は以前からありました。これは子育て中は大変助かる制度でした。ただ、教員の日々の仕事量の多さを考えると、今も15〜20年前も変わっていないと思います。帰りが遅い、又は、仕事を持ち帰る、ということは続いていると思います。【小学校・女性】

だんだん負担は増えています。少人数授業の担当教員が減ってきていること、いろいろな名目で所属していた教員がカットされていることがあるようです。来年度は、算数の少人数教員はいなくなるようです。教頭、教務がかなりの授業数をもっているため、職員室から人が消えるほどの教員不足を実感しています。子どものことで休みを取ることが難しくなっています。私が子育てをしていた頃は、もっと気楽に休めました。自習を組むだけでなく、授業を引き受けてもらえることもありました。「産むなら中学、育てるなら小学校」と教えられたほどです。【小学校・女性】

まとめ

18歳未満の子どもを持つ教職員で、子どもとの時間が「取れている」「まあまあ取れている」と回答した方は全体の4割弱。学校で担当業務の調整がなされているケースもありますが、「平日は7時過ぎには出勤して、全力で仕事をして定時過ぎには退勤をする」「相当悩んだ末に部活動の休日勤務をなくした」など、自身で調整している方もいました。

子どもとの時間が「あまり取れていない」「全く取れていない」と回答した方は、全体の6割強。「子どもに窮屈な思いをさせていると思う」「朝ご飯を一緒に食べられないのがつらい」「ゆっくり子どもたちと会話する時間もなく、情けなさと申し訳なさに苛まれ仕事を辞めたくなることも多々あった」など、子どもとの時間が十分に取れていないことへの後ろめたさを感じている方が少なくありませんでした。

子育てをしながらでも働きやすい環境をつくっていくために必要なこととして、1番多くあげられていたのは業務削減。業務量の多さに加え、事務作業や教材研究は児童生徒がいない時間帯に行うことが多く、定時で退勤することの難しさがあることがわかりました。また、休暇を取れる制度があったとしても、自身が休むことで他の教職員や児童生徒へのしわ寄せがいってしまうことを気にかけ、なかなか休みが取れないという声もありました。

18歳以上の子どもを持つ教職員からは、現在は男性の育児休暇の取得が可能となり、かつてより子育てはしやすくなったのではないかという声がありました。一方で、教員不足により、現代の方が休むことへの難しさがあるという意見も。

子育てをしながら働く教職員は、当然親としての顔も持っています。我が子と時間をともにし、じっくり向き合う時間を取ることは、多くの方が望んでいることだと思います。子育てをしながら余裕を持って働ける環境であることは、子育て中ではない教職員の方にとっても働きやすい環境です。

教職員が余裕を持って働ける環境をつくっていくことは、ゆくゆくは学校に来ている児童生徒にとっての過ごしやすい環境に繋がるのではないでしょうか。 



▼ 自由記述の回答一覧は、以下よりダウンロードしてご覧ください。 ▼

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※メディア関係者の皆様へ
すでに公開されている教職員アンケート結果やWEBメディアの記事の内容等は報道の際に使用いただいて構いません。その際は【出典:NPO法人School Voice Project 】クレジットを入れていただき、事後でも結構ですのでご一報ください。

文部科学省が打ち出した「GIGAスクール構想」により、2021年7月時点で全国の公立小中学校の9割以上で1人1台のパソコンやタブレット端末の活用が始まりました。高等学校においては、約2割の学校で配布が完了しています。
※GIGAは、「Global and Innovation Gateway for All」の略称

端末の導入により学び方の広がりが期待される一方で、「通信環境が整っていない」「児童生徒への指導が難しい」など、活用の難しさを訴える声もあります。学校現場では、具体的にどのような課題を抱えているのでしょうか。

1人1台端末の利活用動向、44%の自治体「通信環境に課題」 | 教育業界ニュース「ReseEd(リシード)」
端末利活用状況等の実態調査 (令和3年7月末時点) 文部科学省より

アンケートの概要

School Voice Project では、WEBアンケートサイト「フキダシ」に登録する教職員の方を対象に、1人1台端末のトラブル・課題についてアンケートを取りました。

■対象  :全国の小〜高校年齢の児童生徒が通う一条校に勤務する教職員
■実施期間:2021年10月30日(土)〜11月21日(日)
■実施方法:インターネット調査
■回答数 :51件

アンケート結果

Q. 現在各自治体において、コロナ禍を契機に「1人1台端末」環境の整備が前倒しで進んでいます。新しい取り組みにはトラブルや課題もつきものです。あなたの職場で起こっているトラブルや、現在見えてきている課題を教えてください。

※全回答の中から抜粋して掲載しています。

児童生徒への指導に難しさがある

情報リテラシーに関する教育が追い付かないです。また、便利であるがゆえに、重要な情報の漏洩が起こるのではと心配です。【小学校】

授業中子どもが勝手に、別タブ開いて、サイトを見ている。持ち帰りを毎日行っているが、充電忘れやそもそももってくるのを忘れ、いざというとき使えない子がいて、対応をいちいち変えないといけない。【小学校】

子どもたちが機械に操られてるような感覚があります。刺激的で中毒性が強く、さわっている間に声をかけても耳に入ってないか、空返事。いつも「目の前の気持ちや心がある人間よりも機械を優先させてるって怖くない?」という話をします。家庭でも、特に低、中学年の子たちは宿題や家族とのコミュニケーションそっちのけで、動画を見たり、タイピング練習をしたりで、取り上げると泣き叫んで手に負えないと言う話も保護者からあがっています。また、授業で使うときにも、教師や友だちの話を聴かなければいけないタイミングでつい端末を触ってしまう、気がついたらいじっているということがよくあります。せっかくの便利なツールですし、これからの社会では切っても切り離せないものだと思うので、ルールでがんじがらめにしたくはないのですが、なかなか自制できない子どもたちの姿を見ると、どうしたものかと日々考えさせられます。【小学校】

生徒によって基礎知識に隔たりがあります。すでに知っている生徒と、何もかもわからない生徒が混在しており、指導が難しいです。【中学校】

iPadの使い方。教育関係のアプリを取れるようにしているが、生徒たちはゲーム感覚でできるものを常にやっている。学校での生のコミュニケーションが減っていく怖れを感じている。また、アプリに夢中で、切り替えが出来ず、授業やその他の活動に支障が出ている。【中学校】

端末の充電。私自身はまだ授業で使用できていないが、先行して積極的に導入している教員から、先日担任に向けて「生徒に自宅または空いている時間に充電しておくようにご指導ください」というお願いがあった。今後、さらに授業で導入されることが増えると、より頻繁にこのようなことが起こると予想される。端末の充電のない生徒にとっては授業の進行が止まるし、充電するように呼びかける担任の負担もあるし、教室で充電するとしてもコンセントが足りない。携帯の充電のように充電することに対して生徒自身が習慣化できれば、ある程度は解決できると思うが、突発的な充電トラブルは今後も頻発すると思う。【高等学校】

教職員間での知識・技術・考え方のギャップ

・一人一台端末について管理職があまり理解しておらず、やりたいことを説明しても「少しでも問題が起きそうならやめといた方がいい。」「やりたいことがあるなら学校全体で揃えてやらないと。」のような感じであしらわれ、全く進む気配がない。
・年度当初に大した準備もできないまま急ピッチで端末が配られた。教育委員会や管理職からは、「このように使っていきましょう。」等の活用方法の指導はなく、ほぼ教諭に丸投げのような状態。しかし、何か新しいことをやろうとすると、「それはやめといた方がいいよ。」と否定してくることが多い。
・他の先生がどんな感じで端末を使っているのか、共有する機会がない。個人的に聞くことはあるが、新しい発見などはあまりない(どちらかというと自分から発信していることの方が多い)。【小学校】

1人1台端末が導入されて、今までに学校の中で起こらなかったトラブルが起こっています。例えば授業中にタブレットで関係のないことをしたり、性的な画像を見たり、ゲームをしたり、といったことが挙げられます。しかし、そのようなトラブルが課題というよりも、そういったトラブルへの対応の仕方に課題があると感じています。例えば勤務校では、トラブルが起こる度に禁止事項が増えていっています。教職員としては、トラブルが起こっては困るから、禁止事項を増やすのでしょうが、しかしそれだとその行為がなぜダメなのを考える機会が失われてしまいます。とは言え、禁止事項で対応する教職員の方々は、トラブルが起こってはいけないという気持ちで禁止事項を増やしているのだと思います。このバランスが非常に難しいと感じています。【小学校】

教師の研修体制やその時間の確保が不十分。力量の差。【中学校】

教員のスキル不足で、授業でタブレットを使っている教科はほんの少しである。【中学校】

教員の方が端末を使いこなせない。生徒の方が上手に使い、遊び道具としての使い方を見つける。それを教員が見て、それなら使うの禁止だ!となってしまう。本来は問題が見えてきた際に、どう使うべきかを指導するべきだとか、マナーモラル等の指導をすべきだと思う。自分達が分からないために使用禁止にしてしまえば取り組みが無駄に終わるだけでなく、学校だけ時代遅れのようになってしまう。【中学校】

教員のICTスキルに差があり、スキルが乏しい教員にとっては負担である。【高等学校】

高校ですが10月中旬に生徒に1人一台Chromebookが「貸し出し」されました。うちの職場でまず話題になったのは、生徒用の端末はYouTube、Google Earth、Googleマップが実は見れないこと。(一方でニコニコ動画は見ることができるらしい)
府の方からデフォルトで規制をかけたらしく学校から要望があれば規制解除はできるらしい。私個人としてはYouTubeを使用して授業をすることもあるし、関連する動画を生徒が見つけてくることも期待している(勿論、著作権や人権侵害にあたる動画も溢れていることは承知している)。しかし、本校の多くの教員は「規制を解除すると休み時間に学校の端末や回線でYouTubeを見て過ごす生徒が増える」「そもそも解除の必要性があるのか」などと最初から規制をかける反対意見が多く運営会議でも解除する意見は私含めてごく少数だった。解除もスグにできるらしいということから、規制はかけたままになってしまった。一斉休業に入った後では遅いと思うのだけれど。他の自治体はこのように規制をかけているのか知りたいです。【高等学校】

教員の業務に偏りがある

職員の中では「端末利用の推進」「端末の管理」「そもそもの操作方法」等を一部の人間がまとめて担っている。【小学校】

担任をしている教員がICT担当をしているため、非常に多忙。負担が偏っている。市内にはタブレット配付後の人員加配が1人も無い。各校が今いる人員だけでやりくりしている為、ICTに詳しい教員がいない学校は四苦八苦している。配るだけ配って、最初の説明会だけで「後は自分達だけでなんとかしろ」といった扱い。国はもちろん県や市も何も対策を取ってくれない。【小学校】

情報担当の先生への負担が大きすぎる。現在ICT関連の委員会を設定して各学年から課題を吸い上げられるよう急遽組織化したが、主担への負担軽減にはなっておらず難しい面がある。また外部職員の方が来てくれるのはありがたいが、やはり普段子ども達に授業をしている訳では無く、時間割の都合などもあって小学校では授業に入り込んでサポートしてもらうということが難しい。【小学校】

端末管理のために教員の負担が増える(例えば、端末のセットアップやネットワークへの接続など)。そうかといって新たに分掌が増設されるようなことは聞こえてこず、これまでの業務に加えてさらにICT業務が増えることになる。専門の職員を配置すべきではないか。【高等学校】

県立学校では1人1台に対する「予算」がないため、学校に専用回線を引き、個人所有ののスマホやタブレットを利用するBYODを導入した。接続認証に伴う設定作業は授業等も普通に担当する教員。県から操作マニュアル等は送付されているが、なかなか一筋縄でいかない場合も多く、その対応に追われることも多い。【高等学校】

通信環境が整っていない

WiFiの速度が遅く、クラス全員でインターネットを使用すると、何人かは繋がりません。1人1台のはずなのに、全員が使えません。【小学校】

勤務校では2学期より端末の持ち帰りが始まり、家庭学習をタブレットで出しているのですが、10月より学校ではつながるのに家庭ではつながらない案件が頻出しており、個別対応に奔走させられています。【小学校】

・Wi-Fi環境が整っていないためフリーズする端末がある。
・端末が上手く作動しないことを想定して準備する必要があり、手間がかかることもある。【中学校】

ネットワークの回線が重たく、有効なコンテンツやソフトを使おうと思ってもクラスで全員が開くと数名は使えない状態が発生する。【中学校】

タブレットは300台ほどあるが、40〜50台ネットワークにつなぐと、ほとんど回線がパンク状態である。【高等学校】

端末への規制やフィルタリングにより、できることが限られている

セキュリティがかかって、自治体も想定外なトラブルが起きている。例えば、なぜかアプリをインストールできない。OSアップデートができないなど。端末破損のトラブルも生じている。弁償は学校判断で行うとか、そんな基準おかしくないですか。全市同一基準でやらないと、毎回、判断に時間が取られて困る。【小学校】

使用するアプリについて、有料の物は市として導入することは無いと回答されました。ロイロノートや、ドリル教材等、他の自治体では導入されている物もある中、なぜうちの自治体は…と思ってしまいます。【小学校】

勤務市ではiPadを導入しています。しかし,市の管理するアプリのアップデートにより不必要なフィルターがかけられ,iPad最大の特徴の一つであるairdropが使用できなくなったり,ゲーム感覚で学べるホームページが軒並みブロックされたりしました。また,keynoteなどのAppleのアプリにはログインできず,市で契約しているschooltakt以外での操作がしづらくなっており,通信環境にないときの活用が難しくなっています。【小学校】

配布されたタブレットは規制が強く、youtubeなどが視聴できない。結局、教員用で再生して、黒板に映写してみんなで見ることになってしまう。【高等学校】

家庭や児童生徒への負担がある

学校に充電設備がなく、子どもたちは毎日登下校の際持ち歩いている。小さい子にとっては重たさが負担になるし、全てのクラスが毎日端末を使っているというわけでは無いような気がする。【小学校】

生徒が自身で端末を購入することになるため生徒への金銭的負担が大きい。ちなみに、本校では約7万円の予定。【高等学校】

経済的負担が大きい。特に定時制、通信制高校では困窮家庭の生徒が多く、高額なタブレットを購入させるのは難しい。【高等学校】

タブレットは各自で充電してくることになっているため、ほぼ毎日持ち帰らすことになるが、教科書や弁当を含むと生徒の荷物は重くなる一方になっている。またどの授業で使うかわからないので、ちゃんと持ってこない生徒も少なからずいて、使いたい時に使えない。毎日どの授業でも活用するとするなら、毎日持って帰らせ、充電させ、持ってこさせ、移動教室の時も持参させることを徹底しないといけない。教科書もすべて電子化されると荷物も減るが、今はただタブレットが荷物になっている感が強い。【高等学校】

端末が不足している

児童の端末は整備されましたが、教員用は数が足りません。児童が落として画面が割れてしまったものを、教員用として使うことを教育委員会から指示されました。【小学校】

・学校から端末を貸与しているが、故障した際の予備機がなく、その児童の端末がない状態になっている。また、メーカー側での修理にも非常に時間がかかり、戻ってくるのに二ヶ月はかかっている。
・自治体から予算をつけてもらえないので、教員が一人一台端末を持っていない。そのため、校務で使うこともできず、活用したくてもできない。
・Wi-Fiモデルしか確保されなかったため、家庭に持ち帰っても使えない家庭がある。また、ルータの貸し出しも遅れている上に数が少なすぎて運用できそうにない。
・とにかく、自治体からお金がないからどうにもならないと言われることが多すぎる。道具すら揃わないのにどうやって進めろというのでしょうか…。【小学校】

教員用のPCがない。生徒はタブレット配付。教員も同じタブレットは配られているが、「教員一人一台のPC」はない(予算の問題)。職員室には2~3台の共有PCはあるが、それでは仕事にならないので、みなポケットマネーでPCを買って仕事をせざるを得ない。【中学校/高等学校】

まとめ

1人1台端末のトラブルや課題として最も多くあげられていたのが、「トラブルへの対応や指導の難しさ」でした。夢中になれるようなコンテンツが揃っているからこそ、目の前の人とのコミュニケーションが疎かになってしまったり、不必要なサイトやアプリを開いてしまうケースがあるようです。

それに対して、「(ICT機器は)これからの社会では切っても切り離せないもの。ルールでがんじがらめにしたくはない」という考えを持ちつつ、「なかなか自制できない子どもたちの姿を見ると、どうしたものかと日々考えさせられる」「禁止事項を増やすだけだと、その行為がなぜダメなのを考える機会が失われてしまう」などの葛藤があることも伺えました。

端末への規制がかかっていることで、YouTubeの視聴やアプリのダウンロードができない学校もあります。生徒個人での動画視聴ができないため、「結局、教員用の端末で再生して、黒板に映写してみんなで見ることになる」という現状もあるようです。

その他、教員間での業務の偏りや通信環境の不備、家庭や児童生徒への負担など、さまざまな意見が集まりました。児童生徒の現状を踏まえた上で、これからの時代に合った学びについて、それぞれの学校で議論が進んでいくことを願います。



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※メディア関係者の皆様へ
すでに公開されている教職員アンケート結果やWEBメディアの記事の内容等は報道の際に使用いただいて構いません。その際は【出典:NPO法人School Voice Project 】クレジットを入れていただき、事後でも結構ですのでご一報ください。

新型コロナウイルスが流行してまもなく2年が経とうとしています。感染状況に応じて、学校現場では一斉休校や分散登校などの対応をしてきました。

その影響として、学習の遅れや学力格差の拡大などの課題が指摘されています。一方で、大きな変化を余儀なくされたことにより、学校教育のあり方を見直す機会になったという声もあります。学校現場で働く教職員の方は、どのようなことを感じているのでしょうか。

アンケートの概要

School Voice Project では、WEBアンケートサイト「フキダシ」に登録する教職員の方を対象に「コロナ禍における学校の変化の中で、よかったこと」についてアンケートを取りました。

■対象  :全国の小〜高校年齢の児童生徒が通う一条校に勤務する教職員
■実施期間:2021年10月16日(土)〜11月7日(日)
■実施方法:インターネット調査
■回答数 :30件

アンケート結果

Q. 新型コロナウイルスの出現によって、感染対策等のために、学校現場はさまざまな変化や従来とは異なる対応を余儀なくされました。たくさんある変化したことの中で、「よかったこと/コロナ以後も継続したいこと」と、その理由を教えてください。

※全回答の中から抜粋して掲載しています。

学校行事や部活動が縮小されたこと

行事の見直しによる児童の学校生活のゆとりと教員の業務時間短縮。【小学校】

運動会の開会式・閉会式の入退場が無くなり、そのための朝早くの練習も無くなった。【小学校】

学校行事が見直されたこと。必要最小限になったことで、授業時間の確保ができた。【小学校】

運動会の規模縮小。特別支援学級児童にとっては、人の多い空間で長く時間を拘束されることがとても厳しかったが、規模縮小により、参加できることが増えた。演技の時間も短くなり、練習自体も負担が軽くなった。競技の工夫により、組体操で人との接触がないのも、感覚過敏のある児童にとっては救いだった。【小学校】

行事が問答無用で精選され、その分の業務が減ったこと。とはいえ、減った分はコロナ対応で別で忙しかったりはするのですが…。ただ恐ろしいことに、コロナが少し落ち着いただけでも元の行事内容に戻すべきという動きが強いので、維持できるかは怪しいところです。【小学校】

行事の精選。密を避けるために行事が中止になり残念な部分もあったが、準備等がなくなり授業準備に時間をかけられるようになった。コロナ禍でも行事の必要性をもう一度考え必要な行事は残し、そうでないのは形を変えたり無くしたりして教員の負担感をなくしてほしい。【小学校】

運動会の規模を縮小し、学年ごとに行うことになりました。競技数も絞られ、練習の時数も大幅にカットされたと思います。学習との両立ができます。保護者も席取りや、お昼のお弁当もなく、自分の子どもが出るときだけ見られるのでよいと思います。お弁当は朝から用意するのに、雨天だと順延になるので本当に大変だと思います。【小学校】

行事の簡略化と部活動の縮小は、よかったと、私は思います。理由は、時間に余裕が生まれるからです。その分、目の前の子どもたちに寄り添う時間に当てることができました。なにより、自分自身、心もからだも負担が減った気がします。また、行事等は前例踏襲でしたが、「新たな方法を自分たちで考えざるを得ない状況」になりました。これは、苦しいこともありますが、「失敗してもいいから、やってみよう」という雰囲気につながり、挑戦がしやすくなりましました。教員自身が、挑戦しやすい雰囲気のある職場づくりは、これからも続けてほしいと私は思います。【小学校】

部活動の活動日数が減った。県や自治体からの要請があったとき、1ヶ月部活動禁止になりました。放課後は自分の教材研究の時間にあてることができ、充実した1ヶ月になりました。子どもたちも喜んでいました。「生徒たちは部活動をやりたい」「生徒のために、早く部活動を再開してあげたい」というのは、教師の傲慢な考えであり、ほとんどの生徒は休みが必要だと感じていることがよく分かりました。【中学校】

部活動が縮小されたこと
→勤務校はもともと部活動はそこまで過熱してはいませんでしたが、コロナ禍によって規模が縮小し、教員の勤務時間内に終わるようになりました。教員は超過勤務の要因が減り、生徒は学業との両立がしやすいこの現状を今後も維持したいです。【高等学校】

部活動の時間が制限されたこと。吹奏楽部の顧問だが土日の部活がなく平日も定時で終われたので付き添いの先生を探さなくてよかった。また、コンクールも以前は結果発表までずっと残っていないといけなかったが、WEB発表になったので、必要以上に残らずに済んでよくなった。味気ないかもしれないが拘束時間が減ることは嬉しい。
一方で、部活の本番がなくなったツケは今後やってくる。たとえば、本番の動きは今の学年は非常に要領が悪い。理由は経験則がないからだと思われる。生徒同士で継承していくものが途切れるのは部活の運営上、顧問が苦労する場面が増えるのでその意味では非常に遺恨を残すことだと思う。【高等学校】

ICT環境が整ったこと

長期欠席の子へのオンラインでの学習補助。【小学校】

オンライン学習による児童の選択の幅が広がり。【小学校】

ICTの整備が、不十分とはいえ進み、在宅の児童生徒と話ができる環境に少し近づいたこと。実際に、登校が難しい児童とオンライン授業を行うことができました。学習内容はともかく、お互い顔を見て、想いを伝えやすい環境になったのはとても良いと思っています。【小学校】

全校で集まる集会がなくなり、オンライン集会になったので、移動時間が節約された。【小学校】

ICTの活用の推進。「紙の連絡帳」の減少。「無理に教室で学ぶ必要はない」ことへの理解。【小学校】

遅々としてではありますが、ICTの導入と、それに伴う個に応じた学習の支援が進みました。【中学校】

ICT活用が進んだことで、個別最適な学びを実現しやすくなった。【高等学校】

・オンライン授業に必要な事柄が、ハード(物品・インフラ等)、ソフト(制度、生徒・保護者・先生方の理解等)共に整ったこと
・平常時の授業についても欠席者等に向けて授業のオンライン(アーカイブ)配信が可能になったこと【高等学校】

ICT環境の整備
→オンライン授業を余儀なくされ、一人一台のタブレットPCが貸与されました。結果、対面授業が復活した後も、学校を休んだ生徒のために授業をZoom中継したり、GoogleFormsを使って部活動や行事の出席希望を取るなどして紙の消費を減らしたりすることが可能になりました。こうしたオンラインの便利な点を今後も活用し、業務の効率化を図っていきたいです。【高等学校】

生活習慣やルールが変化したこと

手洗い、うがいの習慣。
最低限出来ること、として行事を組み立てる、それについて考える学校運営。【小学校】

マスクの色指定や、防寒着の教室内での着用などの学校のルールの見直しが行われたことです。これらのことはよいきっかけにして「このルールほんとに必要?」と考えることを続けていきたいです。【中学校】

休みやすくなった。微熱や風邪症状がある場合、登校を控えるよう自治体から通知がありました。(出席停止扱い)今までは微熱や軽度な風邪症状では、早退させることもなかったし、家族も学校に登校させていました。毎日学校に何としても行かなければいけないという考え方から脱出できるのではないかと思います。そして、できれば私たち教師ももっと休みやすい社会になればいいなと思います。(そのためには、教師の働き方を変えなければいけませんが。現状、休むと周りへの負担が大きすぎる)【中学校】

分散登校をしたときは、少人数で落ち着いて授業できました。普段は荒れている学校ですが、子どもたちも穏やかに過ごしていました。【中学校/特別支援学校】

・黙食。給食中に喋っていて時間に間に合わなかった生徒への指導がなくなった。
・完食指導の撤廃。残菜がでるのはもったいないが、気持ちにゆとりをもって子どもも私も食べられている。【中学校】

働き方や研修が変化したこと

時短になって、午後に教材研究ができたこと 【小学校】

対面で集まる意味のない講義型の研修のオンライン実施。【小学校】

出張がオンラインになったことによる出張旅費・移動時間削減。【小学校】

顔を合わせてやる必要があるかわからない会議、打ち合わせの減少。【小学校】

同じ学校法人内にある別の学校との会議がオンラインで済むようになった。以前は車で片道1時間かけて集まっていた。かなり負担の軽減になった。資料も紙だったものがドライブでの共有になって便利になった。ただ他校園の教員との関係が薄くなってしまった気もする。【小学校】

日課の変更。緊急事態宣言発令中は、児童をできるだけ早く下校させる目的で、日課が変更になった(通常は45分のところを40分授業に、朝学習の削除や休み時間の短縮)。児童の下校が早い分、放課後の時間が1時間増え、職員も早く帰ることができた。子育てをしている先生は定時で帰られるため、放課後の短い時間ではなかなか小さな打ち合わせができないことが多かった。放課後の時間が長いと話し合う機会も増え、充実していた。1コマあたりの授業時間が短くなることを心配する保護者もいたが、児童の集中力を考えると、40分授業で、早く帰れる方が子どもも大人もハッピーだった。【小学校】

研修が簡易化された。無駄な研修、無駄な準備が多かったので、研修が簡易化され、私たち教員の負担が減った気がします。オンラインでも何とかなる。【中学校】

・社会的にオンライン交流への抵抗が薄くなったため、他校や他団体とのオンライン交流が盛んになったこと
・以前は出張で対応していた研修等の業務が一部オンライン可となり、移動時間が削減されたこと 【高等学校】

その他

コロナ前に全て戻すことは考え直した方がいいし、コロナによって、いろいろなことが見直されたことは良いことだと思う。でも、「コロナによって従来と異なる対応が良かった。今後も継続したい」と、判断するのは、今の段階では難しい。ただ、教師の都合だけで判断したくない。子どもの思いに寄り添って、判断したい。【小学校】

親として教師として強く感じる事は、PTAや地域活動が減少した事です。コロナ前はP(Parent:保護者)としてもT(Teacher:教員)としてもとんでもない負担だったので、このまま少なく必要最低限の事のみで良いと思います。【中学校】

行事の大切さがわかったことです。行事による非日常感、学期のメリハリなど、行事によって学校のリズムがあるのだと感じました。遠足など行事がなく、友人の繋がりも薄く、不登校、中途退学など、しんどい子ほど学びとのつながりが断たれた2年間だと思います。【高等学校】

まとめ

最も意見が多かったのは、「学校行事や部活動が縮小されたこと」でした。特に、小学校では学校行事、中学校や高等学校では部活動についての意見が多くあがっています。これまで行ってきた行事や部活動が縮小されたことによって、教職員の負担が減っただけではなく、児童生徒や保護者にも余裕が生まれたようです。一方で、対面での関わりが減ったことで「行事や集団生活の大切さを実感した」という意見もありました。

新型コロナウイルス感染予防への取り組みによる影響は、学習面だけではなく学校生活や児童生徒の暮らしにまで及びます。当然さまざまな側面があり、短期的に見たときと長期的に見たときでもメリットやデメリットは変化してくるでしょう。

今年9月には School Voice Project で、デルタ株感染拡大下の学校現場での”オンライン/ハイブリッド授業”の現状についてのアンケートを取りました。こちらも合わせてご覧ください。

https://note.com/schoolvoice_pj/n/nea46a2002c25

今後も引き続き、感染予防への対応をしながら学校運営を続けていく必要があります。全国の学校で、児童生徒や教職員の安全を守りつつ、学びの保障を第一に考えた意思決定がなされてほしいと思います。



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※対象は教職員の方のみです。
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すでに公開されている教職員アンケート結果やWEBメディアの記事の内容等は報道の際に使用いただいて構いません。その際は【出典:NPO法人School Voice Project 】クレジットを入れていただき、事後でも結構ですのでご一報ください。

文部科学省は今年8月の中央教育審議会で、教員免許更新制を廃止し「発展的に解消する」との審議まとめ案を示しました。

教員免許更新制は「教員として必要な資質能力が保持されるよう、定期的に必要な刷新を図るため」として、2009年度に導入されました。小中高などの教員免許の有効期限を10年とし、更新のための講習の受講を義務付けています。

受講料の約3万円に加え、研修会場までの交通費などはすべて自己負担。教員免許の期限前2年間のうちに30時間以上の講習を受け、修了認定されなければ免許は失効となります。

学校現場からは、時間や費用面での負担がある上、最新の技能習得に繋がっていないことを指摘する声が上がっていました。教職に就いていない免許保有者は免許更新をしない人もいるため、病気や出産で休む教員の代わりが見つからないという事態を招く要因の1つにもなりました。

教員免許更新制は今後廃止となり、教員が資質向上のために主体的に学び続けられるような新たな研修制度をつくっていく見通しです。

教員免許更新制、23年度にも廃止 指導力の向上なお課題(写真=共同)www.nikkei.com
教員免許更新制廃止へ 5年にも新研修制度 www.sankei.com

アンケートの概要

School Voice Project では、WEBアンケートサイト「フキダシ」に登録する教職員の方を対象に、教員免許更新制廃止の是非と今後の研修制度のあり方についてアンケートを取りました。

■ 対象  :全国の小〜高校年齢の児童生徒が通う一条校に勤務する教職員
■ 実施期間:2021年9月29日(水)〜10月31日(日)
■ 実施方法:インターネット調査
■ 回答数 :96件

アンケート結果

※自由回答は、全回答の中から抜粋して掲載しています。

教員免許更新制廃止、賛成? 反対?

Q. 教員免許更新制廃止の方向性についてどうお考えですか?

Q. 上記を選んだ理由についてお書きください。

「廃止に賛成=教員免許更新制は必要ない」を選んだ方の代表的な意見

1. 金銭、時間、精神的な負担が大きいから(回答数:48件|57.1%)

私は免許更新対象の最後の年に当たってしまいました。悔しく思いながらも、受講しました。しかし、選ぶ基準は「いかに学べるか」ではなく「いかに楽に受講できるか」でした。理由は2点です。1つ目はとにかく忙しいからでした。ちょうど市の中堅研修もあるし、本業もかなり忙しく、正直学ぼうと思うような状況ではありませんでした。2つ目は面白そうな講座を選ぶことに非常に労力がかかるからでした。人気の講座は、取り合いです。そこまで労力をかける時間も気力もありません。よって、ものすごく簡単にとれると聞いた、完全オンラインの講座を受講しました。何か身になったようには思いません。【小学校】

忙しい日々の中、自分で更新時期を確認して、自腹で講習を受けるというのはハードルが高すぎると共に、理不尽なものがある。教員を続ける上で必ず受けなければならない講習ならば、その費用は自治体や国などが負担すべきだ。【小学校】

現在の制度は廃止してほしいです。時間と費用の負担が大きかったです。更新時期を自分で把握しなければならず、手続きも煩雑で、そのために失効する可能性もあるので、ちゃんと更新されるまで、落ち着かない気持ちでした。【小学校】

毎日必死に働いて働いて10年経った時に、特に自分にとって有益だと思えない研修に高いお金を払って研修を受けさせられるより、日常的に学べる余裕と時間とお金が欲しいです。学びたいことの本を自腹で買っても、日々の業務で読む時間とエネルギーがない。【小学校】

再任用です。午前中だけ勤務する形態です。
札幌市は65歳で再任用期間は終了しますが、市で行なっている『にーごープロジェクト』という算数少人数制授業の講師はすることができます。ところが、65歳を過ぎて講師をするには、免許更新をしなければならず、63歳で免許更新をしました。3万円かかりました。再任用の給与は手取り13万円ほどです。お金のことは置いといても、40年近いキャリアを否定された気持ちになりました。通信教育で受講しましたが、40年前に大学で習ったこともかなりあり、新聞やニュースを見ていればわかることもかなりありました。学級担任をしている先生方にはどんなに負担になることか、若い先生より中堅の先生たちの負担が思いやられました。【小学校】

夏休みは5日間(半日を10回)とれることになっているのですが、免許更新に当たった年は、その休みを講習にあてなければならず、事実上休みがほぼなくなりました。これで、お金を払わなければいけないという、とても理不尽な制度でした。【中学校】

受講料だけじゃなく、交通費、宿泊費など個人負担が多額であること。私のような地方で勤務していると大学まで移動に片道5時間を要するので、受講の度に当然宿泊を伴うことになる。お金も時間もただただ負担でしかない。【中学校】

受講手続き、申請手続きを仕事をしながら進めることの大変さに加え、全て自費。受講日が調整できないと、平日勤務、土日受講とスケジュールがきつくなることも。【小学校】

2. 現場で役に立つような研修内容ではないから(回答数:24件|28.6%)

能力の確認であればアセスメントが必要。全員一律ではニーズと研修内容がマッチしない。【中学校】

私はまだ更新の講習を受けたことがないが、現場で役に立つ講習だったという話をほぼ聞かない。年次ごとに県で悉皆研修を行っており、その内容は充実しているので、それで十分ではないかと思う。【小学校】

教員はプロである以上、研修研究が必要であることは当然です。しかし現状の更新講習はそのようなものとは言えません。また、酷いものではテレビを観るだけで受講費を取られるものもあります。同時に自治体の10年研修と内容が被っていることも多く合理的とは言えません。教員が広く深く教養と知識を身に付けられる環境づくりが必要と考えます。【高等学校/特別支援学校】

実際に免許更新を経験して、かかった労力に見合うだけの効果を感じることができなかった。【中学校/高等学校】

3. 更新のために受ける研修に意義を感じないから(回答数:12 件|14.3%)

講習受講する際に、「免許が失効したら困るので受講する」など、受け身な講習になっている。【小学校】

教師が「やらされている」研修に追い立てられている状態はおかしいと思います。【中学校/特別支援学校】

仕方なしにせざるを得ないため、研修の意味を成していない。【特別支援学校】

4. 教員不足につながるから(回答数:11件|13.1%)

教員のなり手がいないと言われている中で免許失効によりさらに数が減っているから。また、このまま免許更新制を続けていると臨時講師をできる人材がさらに減る。【高等学校】

現在産休の代替講師を探すにあたって、断わられる理由で多いのは、免許を更新していなかったということです。講師不足を解消する手を何か打たないのであれば免許更新を廃止するのは1つの手だと思っています。【小学校】

5. 受けたい研修が受けられないから(回答数:10件|11.9%)

研修先が在住地から通いやすく、学びたいと思ったものはすぐに埋まってしまって、研修先がなかなか決まらず困りました。【小学校】

人気の講習は、まるでチケット屋さんの即完売予約。ダメなら諦めて、興味のないジャンルの講習を予約するしかない。その時間すら無駄と感じてしまう。【小学校】

免許更新講習はネット予約のため、勤務時間中に、学校のPCと自分のPCとスマホと複数のデバイスで、有名なアーティストのライブチケットを取る要領でしか、人気のある更新講座は予約が取れないらしく本当におかしい。人気のある講座は、通いやすい時期(長期休み中)や、オンラインで受けられるものばかり。つまり、何か新しい技術や価値観を学ぶための講習にはなっておらず、むしろ「やっつけ仕事」になっているのが現状。【高等学校】

6. すでにある研修で十分だから(回答数:7件|8.3%)

初任者研修、2年目研修、5年目研修、10年目研修と年次に即した研修が開催されるため、必要ない。【小学校】

わざわざ更新講習を受けなくても、たくさん研修を受ける機会がある。ただ、学ぶ意欲のない教員には、強制的に研修を受けていただくいい機会だと思うが、それになにか意味があるとは思えない。【特別支援学校】

学校および自治体で研修が充実している。そして、日々の教育活動が教員にとって学びの連続である。【小学校】

「廃止に反対=教員免許更新制は必要である」を選んだ方の代表的な意見

教員の質の低下。【中学校】

社会が急速に変化している中、教員もアンテナを高くし新しい情報を得て学び続けることは必要不可欠だと思っています。ですから、定期的に講習を受けることは大切だと思っていますし、講習を廃止することには反対です。ただ、講習受講のサイクル、講習時に受講する科目(単位)数については見直し・検討が必要だと思います。【特別支援学校】

「忙しい」という言葉が市民権をえすぎている。本当に忙しいのか、なぜ忙しいのか、の精査が必要。教員は学ぶべき。学ばない教員は生徒に教えるべきではない。10年に一度、30時間を捻出できないのは、仕事量のマネジメントができていない職場環境や本人に問題がある。【中学校/高等学校】

「どちらとも言えない」を選んだ方の代表的な意見

免許更新は、教員の質を高めるために必要であると思うが、受ける教員の学習姿勢に差があるためにその効果は、様々。【高等学校】

私学教員として外で研修する機会がなかったため、機会をもらえたのはよかった。しかし自分の学びたいものを学べない、強制感があるのは主体的な学びを伝えるべき教員の研修としていかがなものかと。【高等学校】

更新制度があろうがなかろうが、学ぶ人は絶えず学び、学ばない人はほとんど学ばないのが現状だと思います。私は今年度免許更新をしました。非常に勉強になる内容だったので、今後の授業や校務に活かしたいと思います。一方で動画を早送り等で再生し、レポートを雑に書いている人がいるのも事実です。根本的な意識改革が必要かと思います。【中学校】

正直負担でしたが、私は関西空港の実地講習などでバックヤードなども見れてとても勉強になりましたし、最新の学習指導要領や評価のことも知れたので良かったです。【中学校】

設問2 今後の研修はどうなってほしい?

Q. 今後、どのような研修・学びのシステムが整備されることが望ましいと考えますか? 提案・要望・アイデアなどをお書きください。

研修システムについての代表的な意見

1. 研修を受ける時間を確保して欲しい(回答数:33件|34.3%)

今の学校現場の多忙化で、学ぶ時間さえ確保することが難しい中で、本来自ら学びたい事や、知識・技能を高めたいと思っても、勤務時間内に出来ない事に、教師としてのやりがいが搾取されてるように思えます。まずは、せめて授業に必要な教材研究の時間を勤務時間内に確保して欲しい…それが多くの先生方の意見だと思います。【中学校】

現在のシステムのままで良いと思うが、研修に割く時間がとれない状況である。1学級の子どもの定員数を減らしたり、2人担任制を義務づけたりすることで、校外研修等に出やすくなると考える。そのためにも、教員の数を増やす必要がある。【小学校】

カリキュラムを精選し、週に1度でも子どもを早めに帰す曜日があれば、時間的にも精神的にも余裕をもって研修を受けることができると思います。【小学校】

休みの日を使って講習を受けに行く制度ではなく、ノー授業デー(昔は創立記念日が休みだった)や、夏休みのノー部活動デーを設けて、その1日を好きな研修が受けられるようにすればよいと思います。土日の地域のセミナーなどにも良質なものがたくさんあります。ただでさえ業務量はパンクしているのですから、今ある授業時間や、部活動の時間を削って、それを講習にあてるという発想にしないと、また、今回廃止になる免許更新講習と同じように、教員の負担が増し、教員の学びややる気につながりにくいものになると思います。【中学校

受講手続きを簡略化し、いつでも学べる環境が望ましい。何よりも研修を受ける、気持ちと時間の余裕がほしい。【小学校】

それぞれが研修に参加しやすいような、研修制度。例えば免許更新時期に昼からは研修日として設定できるなど。【小学校】

大学教員のように、数年に一度サバティカル(研究年)を設け、その間に国立大学の授業や各種研修を受講できたり留学ができたりする仕組みを作ってほしい。【高等学校】

育休産休、病休のように勉休制度があればいいなと思います。今、大学院にとてもいきたいのですが、仕事しながら夜間に通う体力的な自信はないし、休んで給料ゼロで学費を払う余裕もありません。育休のように半分でも給料を支給される勉休があれば、安心して学び直しができると思います。また、大学院だけでなく、例えば地方の学校の研究授業に参加するなどといった数日単位の研修にも参加しやすい体制があればいいなと思います。担任であると、なかなか休みにくいのが現状です。例えば10年目は担任外で仕事も軽くし、勉強期間対象者にしてもらえれば、時間的余裕ができ、視野も広がり学習したくなるのかなと思います。現在9年目ですが、仕事量が半端なくて勉強がなかなかできません。多くの9,10年目の人が同じ状態だと思います。切実な願いです。勉強させてください。【小学校】

2. 受けたい研修を自由に受けられるようにして欲しい(回答数:29件|30.2%)

自分が学びたい時に学びたい場所で学びたいことを選んでできる制度を作って欲しいです。例えば10年に1度、現場を離れて学ぶことを可能にし大学院などで、自分が興味のあることで現場に持ち帰れるものを学ばせてほしい。【小学校】

免許更新の目的が教員の自己研鑽を促すことにあるのならば、個人の学びたいテーマに応じ、民間研究団体や公的研修を選んで受講し、その費用を負担してもらえるシステムがあると気軽に学びに行くことができるのではないでしょうか。【小学校】

自分が希望する研修を受けられるシステムと、かつ研修を受けることが普通にできる雰囲気が醸成されてほしい。【中学校/高等学校】

その先生にあった研修を希望します。個別最適な学び、協働的な学びを提言するという観点から、先生自身が研修の中で経験できるようにすべき。つまり、1人ひとりの先生方の強みにあった研修が選択できること(民間セミナーも含む)と同時に、先生方が協働して学びを楽しめる研修があることである。【小学校】

3. 自主的に受けた研修を評価して欲しい(回答数:26件|27.1%)

自主研修や、参加した研修、今年度取り組んでいるテーマとその結果など、個々の教員の取り組みを提出させて、それを評価に反映する。主体性を推奨し、評価につなげることである程度の強制力を持たせる制度。【高等学校】

自治体や文科省、大学や関係機関が開催する指定された研修や研究会や大会に出席してレポートなどを提出したり、研究授業をしたりしながらポイントを10年間で貯めていく、ような方法なら、学びたい、スキルアップしたい教員のニーズにも合うのではと思います。【小学校】

研修を受けて、新しいスキルや海外の事例など、自分の視野を広げたり授業をよりよくしたいという思いは強くある。自主研修に予算をつけて、10年で〇ポイント稼ぐなどという方法はアリかと、私は考える。自主的に研修に参加するために、休日を使ったり自腹を切っているので、それが公的に認められ、更新のための研修となれば、一石二鳥になるのではないか。教育センターなどの強制研修もクオリティが低いものもあり、それを代用するのはやめてほしい。自分で必要な研修を選びたいし、教員を信用してほしい。【高等学校】

私自身、民間教育団体に所属しており、学習会の企画・運営、参加を積極的に行っている。そうした活動を自己研鑽として報告し、評価されるシステムがあれば、教員の自主的に学ぶ意欲を高め、また日常の業務に大きな影響を及ぼすこともないと思う。【高等学校】

教員の学びをポートフォリオなどで可視化し、それを評価できないかと思います。ただし、直接指導に役立つことのみが評価されることがないようにする必要があります。教員が、1人の「人」として豊かで多様に成長していることを評価してほしいです。自身の出産や子育て経験、社会での活動なども含めて。と同時に、教員として成長しようと思えないような環境にいる人へのサポートも大事かと思います。なによりもまず教員が「学びたい」と思える余裕と環境が欲しいです。【小学校】

4. 研修費や交通費の支給をして欲しい(回答数:20件|20.8%)

年度ごとに5千円くらい、申請すれば負担した研修費や資料費が出るようにして欲しいです。【高等学校】

まず費用については無料。そして出張旅費を出し、移動費もかからないようにしてほしい。オンラインで行うのも残してほしい。【小学校】

学びたい教師は多いと思います。でも今は土日のプライベートな時間と自費での参加です。就業時間内に選択できたり、費用を年間1人○○円など設定してほしい。【小学校】

年間にある一定額を給付してほしい。または、何もなくていい。おのおのの自主性に任せてほしい。【中学校】

自ら学ぶ教職員を費用面から応援する仕組みがあっても良いと思う。学ぶ意欲のない教職員をどうやって学ばせるかではなく、学びたい教職員を応援する仕組みへと切り替えたほうが良い。【小学校】

オランダでは教師1人当たり年間約13万円もの研修費が出るように、教師に研修費を支給して自由に学び続けられる制度を作るべきだと思います。時期や講座を限定して管理するのをやめて、教師の自主性に任せることが必要です(生徒に対してそうであるべきように)。そうすることで働きながら学び続けたいという本来教師に最も向いている人が教師になることが増えて、今問題になっている教師不足の解消や働き方の見直しにもつながると思います。【中学校】

1人につき年間数万円まで、研修を受けられるようにしてほしい。受けた研修の領収書を提出すれば、研修費が返ってくるシステム。研修を受けるかどうかはその人次第です。新任研は一応必要としても、その後の10年目などの研修は必要無いと思います。そのような研修を減らして、予算を確保して欲しいです。【中学校】

研修・学びの内容についての代表的な意見

情報・技術のバージョンアップができるような講習会を組んで欲しい。ICTを用いての取り組み、使い方の講習。著作権についての講習会。【小学校】

研修内容は教員が今必要としていることを受けさせてほしい。それこそプログラミングとかICTとか……。【小学校】

研修内容も、指導法や児童生徒理解など教育だけに特化せず、他の業界との繋がりを持てるような機会もあればと思います。多くの子どもたちが出ていくであろう社会と学校社会との感覚や常識、環境のズレが大きく、乖離を感じます。【小学校】

オンラインでテーマについて話し合う研修や教育に携わる様々な人の話を聞く研修。【小学校】

個人の研鑽も大切ですが、何よりも職員が組織として学校を運営していくための組織づくりが必要だと感じます。そのための学校単位の研修時間を確保したいです。また、管理職にも従来の学校運営の枠を超えた組織開発の意識を持って、そのノウハウを学んでもらえたらと思います。【小学校】

諸外国の教育やオルタナティブ教育について学ぶ研修などが用意されているとよいと思う。【小学校】

最新の教育手法を取り入れた模擬授業など、実践を含む研修。【中学校】

初任研みたいに指導員の先生と話したり、日々の授業を見てもらったりするのがいいと思う。【中学校】

実社会に関わる経験が教員自身に少ないので、職業体験は良い研修になると思う。これを機に教員にも副業を可能にしてもらいたい。【中学校】

今学校で実施されている「5年~10年目辺りで実施される節目研修」を、「身分は保証したうえで、1年間だけ民間に仕事に出る」方式にしたら良いと思います。
・単なる「職場体験」だと「お客様」で終わってしまうので、一般社員と同じ扱いでお願いする。
・その間も教員としての身分や給与は保証する。(民間企業にきっと迷惑をかけてしまうだろうから(汗)せめて金銭的負担はないように。)
・仕事は担当教科と全然関係なくてもOK!(普通に工場でも、営業でも、飲食店でもどんな職種でもOK)
理由は、学校が未だ閉鎖的で前時代的な価値観があまりに残りすぎていて、社会の感覚とズレ過ぎている。とある有名人にも「学校の常識は社会の非常識」と言われる始末。
なぜなら教員の多くは「小中高」→「大学」→「教員として学校へ」というルートを辿っていると思うので、この民間に出たことが無い人が多いというのも、そんな狭い価値観の大きな原因の1つだと思います。そんな感覚を直しつつ、多様な価値観にも触れ、教員の資質をアップデートするには、一度学校現場から離れ、実際の社会に触れる事でミスマッチを減らせるような気がします。【高等学校】

普通小、中、高の教員にはいじめ対策の研修が不可欠。SNS対策を含めてそこは通信教育でもいいので時間をかけるべき。【特別支援学校】

まとめ

約9割の教職員が教員免許更新制の廃止に賛成の意見を持っていました。その理由として最も多かったのは「金銭、時間、精神的な負担を感じているから」であり、その数は賛成者の約6割にのぼりました。

忙しい日々の中で休暇を削って研修を受ける時間を捻出し、その費用までも自身で賄う必要があることは、教員にとって大きな負担になっていることがわかります。研修の申し込み手続きの煩雑さや、失効していないかを確認することへの精神的負担を訴える声もありました。

ほとんどの教員が教員免許更新制の廃止に賛成意見を持っている一方で、「教員が学び続けることの必要性」を感じている方が多いことも今回のアンケートから読み取れました。

新たな研修システムを構築するにあたり、「研修を受ける時間を確保して欲しい」「受けたい研修を自由に受けられるようにして欲しい」という意見が多くあがっており、知識や技能をアップデートすることへの高い意欲を感じます。

研修システムの具体的なアイデアも多く寄せられました。

  • 数年に1度のサバティカル制度(研究や学びのための長期休暇)
  • 研修を受けるごとにポイントが貯まっていく制度
  • 研修のためのノー授業デーや午前授業のみの日の設定
  • 民間企業も含めて研修の選択ができる制度
  • 研修費の支給 など

研修内容については、小学校の教員からは人権教育やプログラミング、生活指導に活かせるテーマがあがっており、中学校や高等学校などの教員からはキャリア教育や進路指導に活かせるテーマがあがっていました。

11月15日に行われた中央教育審議会の特別部会では、教員免許更新制を廃止するとの審議まとめが了承されました。末松文部科学大臣は、「発展的解消の方向で進めていきたい。じっくり内部で協議し、よりよい形にもっていきたい」と述べています。

中教審「教員免許更新制」廃止求める “発展的な解消検討を” | NHKニュース www3.nhk.or.jp

教員が高い専門性を維持するために学び続けることは必要ですが、研修によって教員の負担を増やし、そのしわ寄せが児童生徒へいってしまっては本末転倒です。学ぶ意志のある教員が自由に学べるような新たな制度の構築を期待します。



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※対象は教職員の方のみです。
■メガホンの運営団体School Voice Project への寄付に興味がある

※メディア関係者の皆様へ
すでに公開されている教職員アンケート結果やWEBメディアの記事の内容等は報道の際に使用いただいて構いません。その際は【出典:NPO法人School Voice Project 】クレジットを入れていただき、事後でも結構ですのでご一報ください。

教員の多忙化の背景の1つとしてあげられる「人員不足」。
産休・育休・病休等の欠員をカバーしてきた臨時講師が見つからない事態が、近年多く発生しています。

深刻な人員不足の現状において、学校現場ではどのような影響が出ているのかを聞きました。

「現場が大変なことに…」35人以下学級、教員の悲鳴(西日本新聞) – Yahoo!ニュース news.yahoo.co.jp
【学校が回らない】欠員状態のまま、綱渡りの学校(妹尾昌俊) – 個人 – Yahoo!ニュース news.yahoo.co.jp

アンケートの概要

School Voice Project では、WEBアンケートサイト「フキダシ」に登録する教職員の方を対象に「『臨時講師が見つからない問題』とその影響」についてアンケートを取りました。

■対象  :全国の小〜高校年齢の児童生徒が通う一条校に勤務する教職員
■実施期間:2021年9月29日(水)〜10月24日(日)
■実施方法:インターネット調査
■回答数 :87件

アンケート結果

Q. 産休・育休・病休の代用など臨時講師が見つからない学校が多くあります。代わりの先生が見つからないと、学校現場ではどのような影響が出ますか?あなたの職場で今起こっていることや、過去に起きたことをなるべく具体的に教えてください。(職場組織/体制への影響、児童生徒への影響など)

※自由回答は、全回答の中から抜粋して掲載しています。

講師が見つからない場合、欠員分をどうカバーしているか

1. 教員で分担

・校務分掌は、他の教員に割り振られる
・学年は1人いない状態で行事や生活指導を行っている
・お休みの教員が加配教員である場合で臨時講師が見つからなくても、加配に関わる書類作成と提出を継続して求められる(加配抜きの元々の教員数では物理的に少人数指導などができなくても。)
・授業は同じ教科の他学年で割り振られるか、同じ教科なら授業時間数0の生徒指導主事などが受け持つ【中学校】

異動で後任が見つからず、人員が前年度と比べて−2となりました。教諭の授業時数が1人あたり3時間程度増え、その分空き時間(研究時間)が減りました。しかし研究業務がなくなるわけではないので、放課後にその仕事が回っているのが現状です。【小学校】

2. 教務主任や教頭(副校長)など管理職が授業や担任業務を代替

副校長や算数少人数担当が臨時担任を行います。つまり、副校長業務、算数少人数の指導が出来なくなるということです。
しかも現在のボリューム世代=子育て世代なため、産休育休に入る教員が1年間に2〜3人いるのはよくあることなので、欠員を副校長と算数少人数担当が臨時で補っても空きが埋まらないこともあります。
その時はみんなの空きコマをフル動員するしかありません。その結果、教員が過労で病休になんてなったら負の連鎖はもう止められないです。【小学校】

病休の担任が出たところには、教務主任の先生が教務と兼職で担任をされています。育児もされているため、定時退勤後20〜21時に再出勤され、24時あたりまで働いておられます。また次の日に、通常出勤されています。【小学校】

適応障害により、5月から仕事を休んでいますが、今でも講師が見つかっていません。
昨年度も10月から5月まで精神疾患で休職した先生がいたのですが、なかなか見つからず、専科の先生が代理の担任になりました。
私の傷休補充には、とりあえず新卒の若い講師の先生が入ることになりましたが、私が担任していたクラスや校務分掌(児童指導主任など)を任せることができず、教務主任が私の仕事を引き継いでいる状況です。
人数の少ない学校なので、1人1人の先生の校務分掌の負担が大きく、休む人がでることでさらに他の先生への負担が増して切迫しています。私も昨年度は空き時間が週に1時間しかなく、全くない週もありました。【小学校】

教務主任として時間割を組んだり、一人一人の授業コマ数を調整したりしていますが、足りない国語科については、特別支援学級の国語の授業に保健体育科の自分や社会科の講師が入ることで無理矢理やりくりしている状態です。【中学校】

3. 支援学級の加配分を通常学級へ

支援担当などの加配をなくし、担任や専科に配置し直す。結果組織運営が難しくなり、子ども理解が得られずトラブルが生じる。【小学校】

病休については、支援学級担任が通常学級担任に移動することがいちばん多いです。その担任が担当していた支援学級の子どもたちは、他の支援学級の担任が担当することになります。支援学級の子どもたちに対しての支援は、必然的に少なくなり、学力や生活面でマイナスの効果がはっきり出ることが多くあります。【小学校】

4. その他

レアケースですが、校長が介護休暇、病休ということがありました。二学期は市教委から旧校長がヘルプで来てくれて、教頭が校長代理として勤務してくれましたが、他の教職員では手伝うことのできない仕事(行政関係の仕事)は多く多忙度はとんでもないものでした。余裕のない大人たちに呼応しているのか、子ども達も高学年を中心に荒れていきました。三学期に新しく市教委から校長が赴任する形となりましたが、卒業時まで大人と子どものもぐらたたきは続き、最後まで大変でした。【小学校】

そもそも北海道の郡部では、代替講師が見つかる方が稀です。年度の途中で、期間限定で数ヶ月だけお願いしても、荷積に荷下ろしして北海道を大移動して郡部に来てくれる人はほとんどいません。5教科ならまだしも、芸体教科の教員は生徒数の関係で配置されていない場合も多いです。例えば、音楽の先生が免許外で美術と家庭科をかけ持ちでもったりします。その人の代替となると…、もう大変です。管理職がその免許を保持していれば管理職が授業したり、免許の有無に関わらず誰かがその時間をもつことになります。1学年だけならなんとかなりますが、郡部だと1教科1人でまわすので、3学年部すっぽり抜けることになります。週4入る教科は、そもそも3学年分の授業準備をしているので、それにプラスαされるのは、なかなか大変ですし、分掌の仕事も大規模校に比べると一人当たりの仕事量は増えるので、なかなかです。力のある先生ほど、仕事をかかえています。代替はプラスαの仕事ですので、若手には回せずベテランが持ちます。ただでさえ、郡部は忙しいベテランが多いので、とても大変な状況になります。途中から来てくれる講師も大変です。【中学校】

児童支援として、個別の支援と教科担任をしていた方が担任として講師の先生が見つからない学級へ入りました。
今までの個別指導もなくなり、そういった子どもの学習ができなくなりました。教科担任もできないので、担任の空き時間もなくなりました。補欠の先生がほぼいなくなりました。【小学校】

クラス担任以外(専科の先生)が学級担任になりました。つまり、専科教科がなくなり、クラス担任の空き時間は0になるわけです。5月の時点で4人欠員となりました。クラスで起きたトラブルも誰にも助けてもらえずオロオロする若手教員が増え、みんな疲弊しました。また、その状況がなぜ起こったのかを考えることをせずに、そんな状況でも校内研究授業や、人権研究授業が開催され、いったいこの学校はどこに向かっているか?怒りと悲しみでいっぱいでした。管理職に学級経営の重要性を学んでもらいたい。学力を向上させたいなら、学級経営を人それぞれではなく、学術的根拠に基づいてみんなで考えられる職員集団に導けるマネジメント力を持ってほしい。【小学校】

事務職員の病休代替が見つからず、他校の事務職員で回すことも。【小学校】

具体的に出ている影響は何か

1. 児童生徒へのしわ寄せ

年度当初は、学校に3名配置されていた少人数加配(国語や算数)が、休んでいる教師のクラスの担任に入るため、少人数加配がいなくなり、児童の学力保障が十分にできていない。【小学校】

私の代わりに授業をしてくれる先生が雇えないとのことで、生徒たちの習熟度別編成が無くなり、しわ寄せが生徒たちに行くことになりました。【小学校】

・子どもが不安定になる。
・子どもの異変に気づくのが遅くなる。【義務教育学校】

2. 休むことへの後ろめたさなど、精神的な負荷

女性の産休育休でも、講師が見つからずにギリギリまで働くことになることが多い中年度途中で男性が育休を取るのは、精神的にとても難しく、言い出しにくい。
また、3ヶ月だけというような取り方はさらに講師は見つからないので、不可能であると感じる。【小学校】

一昨年、8月半ばから産休に入りましたが、「年度途中からの代替を見つけるのは現状ではまず無理」と言われました。何とか、採用試験を受けられた方と話が付き、2学期から来ていただけましたが、対面の引き継ぎはできませんでした(夏休み中なので生徒への影響は少なくて済みました)。同教科の同僚が12月から産休予定ですが、まだ全く見つかっていないと聞きます。「5月出産(年度当初から産休)以外は迷惑」な風潮が辛いです。【高等学校】

代わりの教職員が見つからないと,産休・育休・病休取得の際の取得する側,学校側の負荷や負担が大きくなってしまう。よって産休・育休・病休の取得を希望する方が減り,私生活の充実の面や働きやすさという環境において課題が見られるようになるだろうと考える。学校に残っている方に仕事を任せることの負担は計り知れない。また,それを先回りして行っておくことの限界もある。私は育休を取得させていただいたが,講師を自ら探し出した。結果として見つかったが,そこまでしないと取得できないのであれば,取得を諦めるケースは少なくない。【小学校】

3. 休業の申請が通らない、時短勤務の人員が常勤に

代わりの先生が見つからないために、3ヶ月の育児休業の申請が通らず、1ヶ月に短縮されました。こんなことなら学年主任引き受けなければよかったと後悔しています。【小学校】

時短教員や非常勤が臨時(常勤)に繰り上がることも。
理由があって(育児や介護など)時短を選択していても年度途中で常勤に。
断れないだろうし、かと言って家庭の事情がそうそう変わることもないだろうし、大変。【小学校】

4. 人手不足による悪循環

臨時採用者や初任者が他の市よりも多く入ってきます。そして市で育てた若手は5年後に市を出ていかなくてはならず、その代わりに入ってくるのは臨時採用者や初任者。
もちろん臨時採用や初任者が良くないわけではありません。すごく頑張りますし、力のある方も多いです。それでも、一から育てたり、正規の研修をまだ受けていなかったりする方に偏るのは非常に危ういです。【小学校】

今後教員の数が少なくなり、採用試験の倍率が下がる中で、同じような水準の方が来ることが保たれるのかは少し疑問です。【小学校】

講師が足りないことで現場に負担が増して、それによって傷病者の数が増えて講師が足りなくなる、という悪循環にはまっているのが今の現場です。このような現場を目にした若い先生は、続ける自信をなくしてもおかしくありません。【小学校】

・「先生が見つからない」といって年度末に必ずバタバタする。
・一人当たりの授業数や分掌などの仕事などが増える。
・結果、生徒ときちんと向き合う時間が作れない→学校(生徒)が荒れて行き問題事象が増える→より仕事が増える→過労や心労で休職者が増える→でも代わりの教員は見つからない→残された人の仕事がさらに増える→・・・・
という負の無限ループになる。【高等学校】

5. 教員の質の担保、関係性構築の難しさ

生徒指導や教務主任など、担任を兼務すべきでない職員が兼務し、職員室に人がいない状態。トラブル対応、職員の出張や体調不良の休みの補欠などに対応する余裕がなくなった。自分か居住する県では採用されないような指導力不足教員が講師として採用され、さらに負担が増える結果に。非常勤が増え、連携や関係性の構築が難しい。【小学校】

まとめ

臨時講師が見つからない場合、多くの学校で管理職がその役割を代替するなど、今いる教職員でなんとかしのいでいる現状が伺えました。また、そのような状況を知っているからこそ、休業する教職員は心苦しい思いをしていることがわかります。本来、祝福されるはずの新しい命の誕生にさえ心から喜べない事態が起きていいます。
そのような状況でも、児童生徒へ影響が出ないよう、学校現場はなんとか努力してきましたが、明らかに限界を超えている状況です。
(参考:いわゆる「教員不足」について

<解決へ向けて>

人員不足の課題はすぐに解決されるものではありませんが、民間団体による取り組みや、来年度予算の概算要求として、教職員定数の改善を図るための加配や教員業務支援員の増加などが盛り込まれる動きもあります。

教員人材銀行
学校側が、どの教科の講師が必要かなどをウェブサイトから「銀行」へ照会すると、条件に合う講師候補者の情報を受け取れる仕組み。
教員人材銀行www.aichi-kyo-spo.com

小学校教科担任制、2000人加配 文科省・来年度予算 概算要求
小学校教科担任制、2000人加配 文科省・来年度予算 概算要求 www.kyoiku-press.com

また、これまでは一部の自治体への調査に留まっていた教員不足の実態に関して、今年度初めて、全国の自治体を対象に教員不足の実態を把握する調査を行う考えを文部科学省が示しました。

教員不足解消へ、文科省が2021年度に全国実態調査
教員不足解消へ、文科省が2021年度に全国実態調査 | 教育業界ニュース「ReseEd(リシード)reseed.resemom.jp

実態が把握されないことには、抜本的な改革を行うことはできません。
この実態調査が、教員不足解消に向けた課題解決の大きな後押しになることを期待します。



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※メディア関係者の皆様へ
すでに公開されている教職員アンケート結果やWEBメディアの記事の内容等は報道の際に使用いただいて構いません。その際は【出典:NPO法人School Voice Project 】クレジットを入れていただき、事後でも結構ですのでご一報ください。

文部科学省が推進する「GIGAスクール構想」の一環で、全国の児童・生徒にパソコンやタブレット端末が1人1台配布されています。

「GIGA」は「Global and Innovation Gateway for All(全ての児童・生徒のための世界につながる革新的な扉)」を意味しており、GIGAスクール構想では、特別な支援を必要とする子どもを含めて、誰一人取り残すことのない教育環境の実現を目指しています。

新型コロナウイルス感染症の影響で、オンラインを活用した授業への必要性が高まり、端末の配布は当初の予定よりも前倒しして行われました。現在は小中学校で9割以上、高等学校で2割が配布を完了しています。それぞれの学校で、1人1台端末がどのように活用されているのかを聞きました。

端末1人1台、変わる授業・教育現場:朝日新聞デジタル www.asahi.com
【最新ICT解説】 今さら聞けない「GIGAスクール構想」とは project.nikkeibp.co.jp

アンケートの概要

School Voice Project では、WEBアンケートサイト「フキダシ」に登録する教職員の方を対象に「1人1台端末」のおすすめ活用法についてアンケートを取りました。

■対象  :全国の小〜高校年齢の児童生徒が通う一条校に勤務する教職員
■実施期間:2021年9月29日(水)〜10月17日(日)
■実施方法:インターネット調査
■回答数 :33件

アンケート結果

Q. 現在各自治体において、コロナ禍を契機に「1人1台端末」環境の整備が前倒しで進んでいます。あなたの教室や職場では、どのように活用されていますか?おすすめの活用法を教えてください。

※全回答の中から抜粋して掲載しています。

学校行事

学校祭演劇の音響係が各自で材料を集めて、PCから出力する。

運動会表現の動画をGoogleドライブで共有して個人練習。

運動会の応援団の振り付けを考えるときに動画で保存!

運動会の練習でも、運動場で同様に使用しています。見通しが持てると活動に参加することができました。突然の動きの変更なども、イラストで示すことができて、何度も見ることができるので便利です。

運動会のダンス。1人1台で自分の姿を録画して見本の動画と比較。自分の踊っているときのイメージと実際の動きのギャップがよくわかり、個々の子どもが自分の動きを修正することができるようになります。

授業・学習評価

学習のお手本の動画を配信。

調べ学習。辞書。デジタルドリル。

鍵盤ハーモニカやリコーダーのテストでの活用。

さまざまな学習の振り返りもGoogleフォームを使うようになりました。集計の手間が無く、瞬時にクラスで共有できるのが便利です。

支援学級担任です。授業に付き添うときには、タブレットを持っていき、担任の先生の説明を文字やイラスト、写真などを使って、視覚情報に置き換えています。視覚優位の子どもたちにはかなり効果があります。

教科では、音楽の時間は作曲アプリを活用して合奏をしたり(鍵盤ハーモニカが飛沫の関係で使用できないため)、図工では作品を連続写真で撮り、繋げてアニメーションを作りました。国語の音読テストは、待ち時間がもったいないので音読する自分を自撮りさせ、それを提出させてみました。

・チャット機能でその場で意見交換
国語の物語教材や道徳の題材を音読、CD再生しているときに、子どもたちに感想を打ち込んでもらう。社会や理科の動画でもできる。そうすると、子どもたちの率直な感じ方や、理解などがわかりながら授業を進めることができる。

・図工の鑑賞カード、他
図工の作品を1枚のシートに写して、そこに学習の振り返りを書くことができる。友達の作品もタブレット上で見ることができる。また、友達へのフィードバックも直接できるので、実際の場面より、より意見交流が生まれやすい。自分は自分のスライドに書いた友達の作品の鑑賞の情報を、友達の作品のコメントに書き込むようにしている。

・自主学習ノートの交流
クラスや学年を越えて自主学習時に交流できるクラスを作り、写真をアップしていいねやコメントをつける。子どもたちは、下級生のお手本になるために頑張ったり、上級生のノートをお手本に頑張ったりと意欲的になる。

(ロイロ)Web検索、ノート作成、提出
(eライブラリ)練習問題

生活の時間(1、2年生)
① 季節の植物などの問題を出す。
② 出されたお題の写真を撮ってくる(校内)
③ Google classroomに提出
④ 答え合わせ

図工
① 自分の作品の写真(立体は360°動画)を撮って提出。工夫した所や見て欲しい所をコメントする。
② 一人ひとりが密にならずに観賞できる。

・ミライシードのオクリンクを使い、互いの考えを送り合ったり、プレゼン資料として活用したりしている。
・英語訳の辞書代わり。
・録音機能を使い、リコーダーの録音および提出。

私の自治体では、SKYMENUの「発表ノート」が使えます。今まで紙で書いていた図工の「作品カード」として使うと効果的です。自分の作品の写真を撮り、貼り付け、がんばったことなどを入力します。それがたまっていくので、ポートフォリオとして活用できます。

宿題をGoogle フォームで出している。授業中、Google Jamboardや Google スプレッドシート、 Google スライドを使って、共同で作品を作ったり、話し合いをしたりしている。

図工の作品をスライドにあげて、全員で鑑賞し、その感想をGoogle スプレッドシートに記入。習字の課題を試し書きしたものをGoogle Jamboardの1枚目にあげて、見本と比べて自分がどうしたらいいか書き込み、何枚か練習し、完成したものを2枚目にあげて、自己評価。

国語の音読を動画でとって提出。社会の資料をスライドにして、Google classroomの指示にしたがって、学習を自分で進めていく。

算数の授業は毎回Microsoft formsで、はじめに前回の復習問題を数問テストし、最後に授業の終わりのミニテストや振り返りをしている。図工作品のアイデア図や設計図をGoogle Jamboardに描いている。

授業では個々の意見をGoogle Jamboardに添付し、共有を図るなどの取組で多様な意見を集約することに活用している。

小学校3年生ですが、学習ではタイピングアプリやプログラミングアプリの活用、Google classroomを活用して意見集約や共有などを主に行っています。

【Google for education】
・classroomで交流、レポート提出
・meetで集会
・サイトでホームページ作成
・総合のまとめをスプレッドシートやスライドで作成
・ドライブに写真保存
・フォームでアンケートをとる

【Office365(Microsoft365)】
・OneDriveで自宅でもプリント作成

【ミライシード】
・放課後ドリルパークで宿題
・授業中の課題が早く終わったら、ドリルパークで自主勉強

【その他】
・リレーのバトンパスを動画で撮りあって、フォームを確認する(体育)
・SKYMENUでお絵描き大会
・虫の写真を撮って、観察シートをかく。(生活)
・ネットレで自主勉強

自分が担当している音楽の学習においては、
①Google フォームを用いて、学習発表会の振り返り
②演奏動画の撮影&提出(Google classroomを活用)
③プログラミング媒体のScratchを用いてのリズムや旋律作り
④Google スプレットシートを用いて、歌詞、楽曲、演奏についての感想等の共有
⑤鍵盤アプリを用いた、鍵盤ハーモニカの代用
④Googleスライドを用いて、和音学習(カードの音を鳴らし和音を選ぶ)をする。さらに、選んだ和音を、Google フォームを用いて回答
⑤スプレッドシート、又はGoogle Jamboardを用いての、リズム作りの創作
といった学習時に活用した。

学級活動

朝の健康観察、教育相談。

健康観察(体温の入力)や出欠管理(少しずつ導入)。

アンケートを活用して学級の話し合いに活かす。

子どもたちには時間割確認ツールとして主に使われてます。

Google classroomのストリームで、今日のめあてと振り返りを毎日入力。日々の検温をformsで集計して管理している。

毎朝の心身の健康チェックを登録し、履歴として残している。心の天気を学級一覧で眺め、曇りの生徒には直接声をかけるようにしている。

子どもが自分でつける日記のようなもので、子どもの今日の心の様子や気持ちなどを知り、普段の生活での関わりに活かしている。

学期末にロイロノートで“自分プレゼン”を子どもたちが自分で作り、懇談で1学期を振り返ったり自分の成長についてプレゼンしました。

特別活動との相性がとても良いです。係活動では、写真係や電子新聞係、アンケート係等、クラスを楽しくする係活動に、タブレット端末が加わりパワーアップしました。学級会等の話し合い活動では、Google Jamboardを活用し、意見を整理したり、まとめたりしています。
失敗したこともたくさんありますが、今は使うことを目的として、様々なことにチャレンジしています。

・学級会での意見の集約
・クラスの係の掲示物作成
・図書館の資料名、内容の引用のためのメモとして写真を撮って保存→学習に活用する
★教室での調べ学習はインターネット利用が増え、図書館の活用が減っている現状があり、本来の情報センターとしてある図書館を活用する視点も持ち合わせたい。図書館資料とICTと併せて行い、相乗効果を図るにはどうしたらよいか、様々な活用の幅が考えられると思っているので模索したい。

家庭との連携

登校できない子への遠隔授業。

Google classroomでクラスの様子を配信。

Microsoft Teamsに連絡帳の内容を添付しメールでクラスグループに送る。毎朝児童がパソコンを開き、それを見て書いている。欠席児童にもパソコンを持ち帰っていれば家で見ることができる。

◎コロナ不安などで、学校に来たくても来られない子どもと教室をつないでいる
(ロイロノート)
・毎時間、授業後の板書を写真に撮って送信
・テストやプリントの送信→提出→返却
・子ども同士のノートや作品の共有
・一言メッセージの交換など

教員間の連携

職員間のアンケート調査。

地区研究会などでオンライン会議。

Microsoft Teamsで担当者会の情報伝達。

職員の連絡掲示板として使われてます。

Zoomで公開授業、ブレイクアウトルームで事後研修

教員間で教材や職員資料などをクラウド上で共有したりしています!!

まとめ

1人1台が持っているパソコンやタブレット端末は、教職員と子どものやりとりだけではなく、子ども同士や教職員同士、家庭との連携などにも活かされていることが回答から読み取れました。

特に多かったのは学校行事や授業での活用で、子どもたちの意見を集めたり、話し合いを進める際にはGoogleのツールが多く使われているようです。

Google フォームのトレーニング | Teacher Center | Google for EducationGoogle edu.google.com

Google Jamboard: 共同作業に適したデジタル ホワイトボード | Google Workspace for Education | Google for Education Jamboaedu.google.com

1人1台端末の活用方法は、文部科学省が運営するサイト「StuDX Style」で紹介されています。活用方法に悩んでいる方は、ぜひこちらも参考にしてみてください。

StuDX Style(スタディーエックス スタイル):文部科学省www.mext.go.jp

また、アンケートの回答に含まれていた学習支援システムをいくつかご紹介します。

1. Google Classroom
Classroom | Google for Educatio edu.google.com

2. Microsoft Teams
Microsoft Teams for Education – オンライン授業や校務に必要なツールが 1 つの場所に www.microsoft.com

3. ロイロノート SCHOOL
【ロイロノート・スクール】1人1台GIGAスクールに最適な授業支援クラウド n.loilo.tv

4. ラインズeライブラリアドバンス
ラインズeライブラリ|タブレット等のICT機器を活用し、主体的な学びや個に応じた指導を実現するアダプティブ・ラーニング学習システム|LINES www.education.jp

5. ミライシード
TOPwww.teacher.ne.jp

6. SKYMENU Cloud
学習活動端末支援Webシステム SKYMENU Cloud www.skymenu.net

2020年度から急激に進んだオンラインを活用した授業。多くの学校現場では、その対応に追われてきました。1人1台端末が導入されたことが、教職員を疲弊させるものではなく、一人ひとりの子どもにあった学習を手助けするものであって欲しいと思います。



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■教職員アンケートサイトフキダシへの登録を希望する
※対象は教職員の方のみです。
■メガホンの運営団体School Voice Project への寄付に興味がある

※メディア関係者の皆様へ
すでに公開されている教職員アンケート結果やWEBメディアの記事の内容等は報道の際に使用いただいて構いません。その際は【出典:NPO法人School Voice Project 】クレジットを入れていただき、事後でも結構ですのでご一報ください。

新型コロナウイルスの感染を防ぎながらも学びの機会を保障するために、「オンライン授業」や対面とオンラインを組み合わせた「ハイブリッド授業」に取り組む学校が増えています。

2学期が始まってからは、オンライン授業やハイブリッド授業を実施した学校での通信障害や端末操作の難しさなど、さまざまな課題が浮き彫りになったことを伝えるニュースが目立ちました。

「ハイブリッド授業」通信障害相次ぐ オンラインやめる児童も | NHK www.nhk.or.jp

<新型コロナ>感染防止効果あった久喜市の小中学校「ハイブリッド授業」…課題も 「出席停止」は理不尽 | 埼玉新聞 nordot.app

アンケートの概要

School Voice Project では、WEBアンケートサイト「フキダシ」に登録する教職員の方を対象に、デルタ株感染拡大下の学校現場での”オンライン/ハイブリッド授業”の現状についてアンケートを取りました。

■ 対象  :全国の小〜高校年齢の児童生徒が通う一条校に勤務する教職員
■ 実施期間:2021年9月13日(月)〜9月20日(月)
■ 実施方法:インターネット調査
■ 回答数 :120件

アンケート結果

※自由回答は、全回答の中から抜粋して掲載しています。

設問A オンライン/ハイブリッド授業の要望は増えた?

【設問A】あなたの勤務校において、1学期と比べて、保護者や児童生徒から「家庭から授業が受けられるよう、オンライン/ハイブリッド授業に対応してほしい」という要望が増えてきたと思いますか?

設問B オンライン/ハイブリッド授業の要望への対応は?

【設問B-1】あなたの勤務校では「オンライン / ハイブリッド授業」への要望にどのように対応していますか?

【設問B-2】B-1で「学校全体として対応している」以外を選んだ方にお聞きします。学校全体として対応していない/できない理由として、当てはまるものをお選びください。(複数回答可)

「その他」を選択した方の回答(一部掲載)

十分議論できていないと感じる。

明確にはされていない。話題になっていない。

動画の作成の仕方などの研修を実施していないから。

オンライン授業への要望が届いていない(と思われる)ため。

教職員のスキル格差に加え、家庭ネット環境を把握できていない。

今は研修とトライアルの最中。いずれ学校全体での対応を考えている。

設問C 勤務校の対応、どう思う?

【設問C】勤務校の「オンライン / ハイブリッド授業」をめぐる状況について、あなたの思いや考えを自由にお書きください。

1.  必要性を感じており、よい機会になっている

職員一丸となって考えたので良いチームビルディングの機会となった。

県立高校は一斉にハイブリッド授業が始まった。初めての授業なのでみんな失敗しても助け合おうという雰囲気を作ろうと心がけた。夏休みの後半には3回体験会を行った。

オンラインは新たな教育の形であると考えます。もちろん対面授業が基本であること大前提の上でです。インフルエンザ流行の時期や警報が発令されているときなど、オンラインは有効活用できると思います。また不登校の児童生徒にも学校の活動に参加する第一段階として、有効であると考えます。今回のことでオンライン授業をやってみましたが、オンライン授業だからこそできることもありました。

2.  必要性を感じているが、課題もある

ハイブリッドは中継型で一方的になりやすく、学習効果に疑問がある。しかし、学校とのつながりはできるため、長期不登校児童にも対応すればいいのに、と思う。

できることから少しずつ始めたい、という思いが個人的にあるが、ネット環境の不備や、低学年は親がいないと家庭でつなげないなどの理由から、なかなか実現しないのがもどかしい。

学習保障の観点からは、実施できる環境や設備を整えるべきだと思うが、自宅にいづらい児童生徒や、自宅では学習できる環境にない児童生徒、登校を希望する児童生徒に対しては、やはり登校して学習できるよう、対応すべきだと考えています。

今オンライン/ハイブリッドの授業も展開しているのですが、ビデオはオフ、ミュートでの授業を求められています。(スクショで撮り無断でSNSでアップするのを防ぐため)まったく反応がわからず、困っています。勝手にミュートは外させてますが。ビデオは管理者によってオフにされています。

コロナ不安で休んでいる児童のいる担任が対応しているが、担任の負担が大きいのでは?と思っている。市の教育委員会は、「各家庭に不安で休む場合はオンライン等で対応させていただきます」と先に提示したのでせざるを得ない。それならそれで、そういう人員の配置や、動画等を作って配信くれたらありがたい…

特別支援学校なので、正直オンラインへの対応はかなり難しいと思う。オンラインにしたところで子どものみで対応できるところはほとんどないので、親の負担も必須。来てもらってなんぼなところがあるのでオンラインでどのくらい実効的な学びになるのかは疑問符。

オンライン、ハイブリッドで行えるような環境を作っておくことは、今後のコロナの動向にも対抗できることや、不登校児童の学習機会の保障にも繋がると思うので推進したい。しかし、実際問題、学校の設備が追い付いていなかったり、急激には変えたくないという管理職の思いを感じる。というか、管理職も教育委員会次第だからと考えているように見える。

実際の教室にも人がいて、オンラインの方でも見ている。どちらのことも気にしながら授業をするのが大変そうです(現在、コロナ関係で欠席の児童にのみ配信を行っており、私はたまたまやっていないので、傍から見た感想ですが)。オンラインの方は、画面を長時間見すぎないように、時間を気にしながら課題を与える。また、教室の子は話し合いができるけどオンラインの子はできない。オンラインだと板書が見えづらかったり、全体の様子が分かりづらかったりする…など、課題はまだまだありそうです。

教諭が過去に動画授業を配信したが、再生数は少なく、見ている生徒が少ないことがわかった。見るかどうかを生徒が選べるのであれば、クラスごとではなく、テーマや習熟度ごとに動画を配信して、合ったものを生徒が選べるようにしてもよいかと考える。
【例】現行:得意でも苦手でも同じ動画/配信授業(コース、クラスごとに受講者が決められている)→ 転換後:コースやクラス(あるいは学年)を越えて自分のレベルや理解の仕方に合った配信を選択できる(飛び級受講、立ち戻り受講も可能)

3. 現時点では必要性を感じていないが、取り組むべき

コロナを理由に学校に来ないことを選択している児童がいないため、オンライン/ハイブリッド授業の必要性を感じていません。ただし、不登校児童については、オンライン/ハイブリッド授業は有効であるため、何らかの形で取り組めればいいなとは思っています。

比較的、感染状況が落ち着いており、必要性を感じるところまできていない。しかし、全国的にこれだけオンライン授業が行われている中で、タブレット端末使用する授業すら行われていない状況は、非常に遅れを感じる。コロナ禍関係なく、ICT環境は早く整備してほしい。

4.  そもそも学びの保障とは何かを考えるべき

学びとは何か?を対話してから、どのように?や、何を?を議論すべき。

実際の授業をそのまま配信することで、「教室でやっている対面授業」の様子はわかると思うが、家庭で配信を受け取る児童にとって、最適ではないと思う。でも、教室での今の学び方が、全ての子供にとって最適ではないと思う。「学ぶ」ことの根本を考えたい。

オンライン授業で、教科の知識技能は身につくと思います。でも、学校の役割はそれでいいのかという疑問はあります。学校が求められていることが学力だけではないと思うし、それだけを求められたくありません。人としてどう成長するか、学力だけでなく心の成長や社会的自立を目指した教育をする場所にしたいです。オンライン授業でそれができるのか、課題は何か検討が必要です。

授業を中継すれば学びの保障になるという考え方に対して大いに疑問を感じる。授業は生き物であり、その場にいるからこそ学び取れることがある。学びの保障のためなら、自習からの質問くらいにした方が効果は高い。また、それに対する教師の負担増に社会の意識が足りない。思い切ってもう一度しばらく休みにして研修の機会を持ってはどうか。

外側の整備や、外側の使いこなし方ばかりに目が行って、大事なことが抜け落ちている感覚があります。通常なら、そこで立ち止まったり、スピードを緩めたりしながら、考えることができるんですが、それさえも許してくれないスピード感を求められているようで、正直怖いというか、数か月後、数年後が不安です。

設問D オンライン/ハイブリッド授業への対応はするべき?

【設問D-1】あなた自身は、学校として「オンライン / ハイブリッド授業」に対応すべきだと思いますか?

【設問D-2】D-1で、そのように回答した理由をお書きください。

「とてもそう思う/まあまあそう思う」という回答の代表的な意見

<学ぶ・つながる機会の保障として有効だから>

子どもの学びを止めない、子どもたちの人間的なつながりを保障する、ために必要だと思う。

ただただ休校が続き家に居るだけの時間が生徒に続いてしまうと、学校生活に戻ることができなくなってしまうから。

基礎疾患があり学校への登校を制限せざるを得ない児童がいる。(主治医から指示がでている)学校と関わる選択肢として、学校全体としての整備が必要。

学ぶ場を子どもたちが選択してよいと考えているため、オンライン/ハイブリッド授業は選択肢として当然のことだと考えています。

コロナだけでなく今後必ず必要になってくるだろうし、雪や台風等での休校などにも活用できるだろうし、気温が高すぎる日もオンラインに柔軟に変更できれば授業数も確保できて理想的だと思う。

出席停止になった生徒の学習保障の意味と、自分が学校に行けなくなった場合の自宅からのオンライン授業対応が可能であればしたい。ハイブリッドにしたことで、すでに不登校の生徒が授業に参加してくれており、そうした生徒にもハイブリッドはいいのではないかと思う。

<保護者や児童生徒のニーズがあるから>

必要とされているのであれば対応すべきだと思うから。

各家庭での考えや、児童自身の不安などには寄り添うべきかと考える。

感染予防のために、児童本人が健康であっても登校自粛をお願いするケースが増えてきている。例えば濃厚接触者となった場合は、約2週間も登校できないことを考えると、その間の学習を保障する義務が学校にはあると思う。

<時代に合わせて変えていくべきだと思うから>

これからの時代に必要なものであることはまちがいないので、環境整備していく必要性を感じる。一方で、学校の教室でしか学べないものもある思う。

保護者、企業人としてコロナ禍でのハイブリッドは昨年1年間で当たりまえになった。意思決定ツールとしてのに認知も非常に高い。公教育での使い方は全国で格差がありすぎだと感じる。つながるだけでなく、思考の幅を広げるツールとしてもICTは非常有効なツールだと感じる。

<新型コロナウイルスの感染予防になるから>

私学で通学圏が広い本校で、コロナ禍での感染リスクを下げるためには最も直接的な方法であるから。

対面授業にまさるものはないですが、感染状況に応じてオンラインも使わないといけないということならやむをえないと思います。

「あまりそう思わない/全くそう思わない」という回答の代表的な意見

<教員や学校の人手・準備・技術が不足しているから>

どちらの子にも同じ質の授業を提供できる自信がないこと、そして両方に向けての準備の時間を確保するのが難しいこともあります。

不登校児童の学習権を保障できるという点で、オンライン/ハイブリッド授業は可能性があるとは思いますが、通常の授業に加えてさらに準備を行うことは負担だと感じます。起こっている問題の全てを現場の教師が解決しなければいけないというのはおかしいと感じています。

時期尚早。準備が十分にできてからでないと、中途半端なコンテンツで配信しても、生徒目線では、人気YouTuberの勉強動画などと競合してしまう結果になり、本末転倒の可能性がある。教育現場から配信する内容として教員側の自覚やモラルが高まっていないから。

<学ぶ機会の保障として有効だと思えないから>

対面でしか実施できない実習等の授業があるから。

オンライン授業では子どもに指導しきれない。個別対応に無理がある。

授業数や行事数を減らしたり、研修や会議を減らしたりするなど、オンライン授業以外にもできることはあるはず。特にオンライン授業では国算理社など主要教科しかできないはず。実技教科や道徳、特活、総合の時間などを省略し、午前授業にすれば良いのではないか。

設問E オンライン/ハイブリッド授業の課題・懸念は?

【設問E】学校において「オンライン / ハイブリッド授業」を進める場合に、起こりうる課題や懸念として、特に大きいと思われるものを3つお選びください。

「その他」を選択した方の回答(一部掲載)

ネット上のいじめ対応ができない

地域、学校間による格差が広がるのではないか。

せっかく在宅なのに、在宅の児童生徒を長く拘束する。

教員にもプライバシーがある ネット上にのるのはイヤだなぁと……

授業内容を保護者が見る可能性があるというのは教員にとってかなりのプレッシャー。特に政治的な問題を扱う場合とか。

設問F オンライン/ハイブリッド授業を進めるための条件は?

【設問F】学校において、「オンライン / ハイブリッド授業」を進める場合に、国や自治体、教育委員会、職場等に整えてほしい環境や条件があれば、要望をお書きください。

1. 「ひと」の配置

教職員の定数を増やす。

学習指導員を各学校に配置してほしい。

配信に関する技術面をサポートする専門の人員の配置が必須。

家庭からのサポートに応えられるサポートセンター(スタッフ)。

ICTが得意な先生が一人でセッティングし、便利屋のようにみんなから質問されているので、専門家を学校に配置してほしい。何かと設定するだけで、とてつもない時間の負担がある。

2. 端末や機器などの「もの」

配信の画質や音質を確保するためのWebカメラや外付けマイクの配備。

対面授業と一緒に行うなら、倍の教員数とタブレットなどの設備が必要。

タブレットの整備、電子黒板、スピーカー、集音機などの機材を揃えてほしい。

通信環境が無い家庭への現物保障。学校のあらゆるスペースへのプロジェクター配備。

全教員に十分なパソコンを用意し、成績システムなどのアクセス権を付与すること。

まずは教員全てにタブレット端末を配布してほしい。現在は学級担任のみに配布されており、専科の担当は持っていない。

子どもと同じクロームブックを教師数分欲しいです。教師のクロームブックはは2.5人に1台です。今は自前のiPadを使っていますが、子どもと操作が違うため、事前に操作を確認することができません。

3. 教材・動画コンテンツ

委員会が動画を作ってほしい。各学校にスキルの差やクオリティーの差ができてしまう。

授業準備が増えるため、統一で使える動画やサイトなどを共有して使えるようにしてほしい。

もうすでにあるYouTube動画や他の市町村の教員が作成した動画などを見ても良いようにしてほしい。「動画は学校の担当教師がつくらなければならない」はおかしい。

4. 研修・学びの機会

ICT活用のスキルを向上させるような研修の充実。

教員の授業力の質の向上に向けた研修。特に若手教員。

管理職の研修。ICTの活用はとにかく危険だと思っている管理職に、まずは研修の機会を増やしてほしい。(管理職の考え方次第で、こどもの教育を受ける機会が左右されている)

5. 家庭及び学校のWi-Fi環境

とにかく回線を良くして欲しい。校内で使っているだけでも繋がりが悪くなることがよくある。

学校のWi-Fi環境を一刻も早く整えてほしい。未だにWi-Fiが導入されておらず、ネットに繋ぐ時は自分のポケットWi-Fiを使用している。

オンラインをするにも、初めはフェイストゥーフェイスでやり方を教えないといけないので、全校児童が同時に接続しても問題ないくらいのWiFi環境を整えてほしい。

家庭でのネット環境がないなどについての対応を今以上にしてほしい。自分の自治体では生活保護や就学援助世帯のみルーター貸し出しをしているが、ネット環境がない、十分でない世帯は生保や就援家庭に限らない。

6. ガイドラインやルール

肖像権に関するガイドラインを示してほしい。家庭とzoomを繋ぎたいだけなのに、肖像権などの話になると議論がストップしてしまう。

まずはオンライン授業を授業数にカウントすること。次に授業日数の軽減。休校後の数合わせが教員も生徒も大変。行事をなくすなんて全日制を選んだ生徒には考えられないと思う。

コミュニケーションも取れており課題のやりとりも出来ている。それなのに授業日に換算されないと、教員も生徒も疲弊する。成績にどこまで反映させていいかもわからない。オンライン授業を実施している教員の努力や授業内容の実態をきちんと把握しているのだろうか?

7. セキュリティの緩和/強化

セキュリティとフィルタリングの強化。

デジタル教科書が家庭で使えるようになる権限。

自治体外とやりとりできる教員Gmail、保護者アカウント。

教員も見れないサイトが多すぎるので、もう少し緩めてほしい。

インターネットに制限をかけて、自由に調べ物ができなくなることを避けたい。

Wi-Fiが学校の端末しか接続できない条件になっているが、学校のデバイスが使いにくいもしくは足りないため、個人のデバイスを使用しているので、個人の端末でもWi-Fiが使えるようにしてほしい。

8. 業務内容やツールの見直し

全体的な仕事量の削減をしてもらわないと、対応はできない。

GoogleやOfficeなどを取り入れて、クラウドや学級での連絡手段を作ってほしい。また、作業効率化にもそういったソフトがあれば助かる。

授業の準備と授業を考える時間を確保したいので、それ以外の雑務を誰かに託したいです。授業をしなければならない先生は一切の雑務をしなくていいと思います。さもなければ子どものことを考えながら面白い授業を作る力がなくなってしまいます。

現場のICTに詳しい、やる気のある先生の声を最大限聞いてあげて、予算を年度途中でも増やせれば対応してあげてください。夏休み中に教室の机を広くする工事をした自治体がニュースになっており、タブレットを授業で使う際に広い机が必要に成るという生徒の声も反映していて素晴らしいと思いました。こういう現場の声を聞いてください。

設問G 対面授業でないと格差は拡大すると思う?

【設問G-1】毎日の授業が対面でなくなることによって、教育格差が拡大すると思いますか?

【設問G-2】G-1で、そのように回答した理由をお書きください。

「とてもそう思う/まあまあそう思う」という回答の代表的な意見

<対面授業と比べ、ケアやサポートが行き届かないから>

能力の低い生徒、学習姿勢の整わない生徒を巻き込む雰囲気にするのが難しい。

対面でなければできない支援がたくさんある。画面上の説明だけでは理解できない子は一定数いる。

個に寄り添う細かなフォローなどがしにくい。また、学者意欲がそもそも低い子を引き上げるのも難しい。

知識・技能については対応できると思うが、特に小学校段階では対面でしか経験できないことがたくさんあると思うから。

支援が必要な児童に支援が行き届かないと感じたため。また、5、6hのオンライン授業は、子どもたちも疲れると言っている。

実物を見せたり、実際に触らせたりという、生のやり取りができなくなる。視覚優位の子など、オンライン上だけの授業では理解が進まないように思う。

リアルな生徒の会話がスムーズに行えるのは、オンラインよりオフラインだと考えるため。オンラインだとわからない生徒をフォローするのが難しい上に、対話による学びを十分に保障できないから。

現在のオンライン授業のやり方では、教室で大人が声をかけたり、軌道修正したりして参加できていた子どもは、単純に子どもの特性や理解力に左右されてしまう学習環境におかれてしまう。平日に一緒にいられる保護者など皆無に等しいので、子ども個人の学びの意欲と力に依存した形になってしまうため。

オンライン授業ではないが、民間業者の動画授業を取り入れた。しかし、できる子たちはちゃんと試聴して学習しているが、そうでない者はログインさえもしていない。だから対面での指導もある程度ないと、なかなか学習に取り組めない子も多いのではないか。

対面であることにより、学びの場が強制される。本来、望ましいことではないが、現実的に自分だけでは学べない生徒が多い。これは今までの自分達の教育の成果である。いかに日頃から生徒に学ぶ意義を伝え、学び方を学ぶ機会を提供できているかが重要だと痛感させられた。また、生徒だけでなく、保護者へのマインドセットも重要であると感じている。

<教員のスキルに差があるから>

オンライン配信のスキルの差がどうしてもできてしまう。

オンライン上で、子どもたちのやる気を引き出す指導が長期間継続的にできるか、自分のスキルに不安がある。

<家庭の教育環境に差があるから>

家庭の力、児童個人の力には元々かなり差がある。集団指導が入りづらい児童は、オンラインについていけなくなることは明らか。学習するスペースすらない家庭も存在する。

オンライン授業となり、家庭環境の違いがはっきりと子どもの様子に現れているという意見をよく聞く。学校という同一の場が学ぶ場としてあることは、大切なことだと思う。

環境整備についても、PCやWifiの環境が整っていて、保護者の理解のある家庭では十分に機能するかもしれないが、そういう家庭ばかりではなく、整わない限り授業が受けられないとなると、格差は広がるばかりだとおもう。

所得の格差によって、通信環境や学習環境が整えやすさが変わってくる。環境の差によって学習効果も変わってくると思うから。また対面であれば、気がつき、フォローできることも、非対面だと難しく、個人の努力に委ねられるから。

「あまりそう思わない/全くそう思わない」という回答の代表的な意見

<対面でも既に格差があるから>

学校に来ていても、テスト学力をつけるための指導ばかりで、「学び」になっていないから。

対面で行っていても、教育格差は十分に起こるから。むしろ、物理的な距離によって手を差しのべられない子にも手を差しのべられるようになると思う。

<学ぶ機会の保障につながるから>

オンラインで選択の幅が広がることによって,学校に行きにくい児童が救われる面もあると考えるから。

むしろ、貧困等で十分な学習環境が整っていない子達へアウトリーチすることにつながると考えています。ただ、ここはまだ熟慮していない段階での回答です。今の時点では、上記の考えです。

<使い方や条件によって変わるから>

個人差があるので、なんとも言えないと思う。

教員の力量次第。現代に必要な学びの授業は何かを考え授業をデザインする力が教員にあるかどうかで決まる。ICT研修と同時にそうしたマインドを教員が当事者意識をもって行動に移せるかがポイントのように思います。

使い方だと思う。一斉授業の延長では効率は悪い。オンライン、ハイブリッドならではの画面共有はブレイクアウトなどのやり方を臨機応変にかえれば可能性は広がる。デジタルネイティブの子どもたちの発想もといいれたらもっといろいろできるのではと思う。

【設問G-3】G-1で「とてもそう思う」「まあまあそう思う」と答えた方にお聞きします。今後、「対面が不可能な状況でオンライン授業/ハイブッド授業をやることになった場合」に備え、教育格差の拡大を防ぐために、どのような対策が必要だと考えますか?

1. 授業の質を担保するための準備

教員のICTへのスキルや効率的なソフトの使用。

オンラインでも学習を進めるための学び方の学び、授業づくりの研修。

子どもが自分で学びたいと思う意欲を持てるようにすること。実際に、こうやったら学べるよ、という方法や手段を知らせること。

通常登校ができているうちに、オンラインでの操作方法等について子ども達とともに教室で確認することが必要です。そのためには、子どもに周知できるように先生方へお伝えすることも必要です。

2. 人員を確保する

教員数を増やし、T2に入れる。
※ T2とは、2人の教員が協力して授業を行う際、サポート役を担う教員のこと。

学年に支援員を増員。トラブル対応をおこなってもらう。

とにかく授業準備。これまでと比べ物にならないくらいの時間を費やして、PPなり画像なりを準備して子ども達に提示する必要が出てくると思います。つまり、今の人員では不可能に近いと思います。新しいことをやらせるならば、教員にももっと手厚いサポートが欲しいです。今の状況でも時間に余裕がないのに…。

とにかく人員を増やしてください。そして時代に合わせて不要となった仕事をなくそうという動きにストップをかけないでください。例年やっていたから、と廃止を戸惑ってしまう気持ちもよくわかりますが、現場の人間が不要と判断したものについては、前向きに一緒に検討してもらいたいです(特に管理職の皆様など)。対策としては、オンラインに直接はかかわらないように見えるむだな業務をとにかく見極め続けたいです。

3. 個に応じた対応をする

パソコンでの学習のメリットデメリットや、障害のある子がパソコンを使ううえで困ることなどを丁寧に検証すること。

オンライン指導の場合でも、クラス内の時間を分けて、10人以下ずつ等の少人数指導を行えれば、少しは指導が行き届くと考える。

福祉的な対応が必要な生徒や、個別に配慮が必要な生徒に対応するためには、やはりせめて分散登校などが必要になってくると思う。

オンラインでつなぐとき、「授業」を進めることに必死にならないように、学習指導要領(現場としては教科書?)を教員が柔軟にとらえることはできないかなと思います。日本は年齢とともに学年が上がっていきますが、そこに固執せず、授業とともに精神的な健康を保証できるものもセットで考えていきたいと思います。

4. 各家庭への支援をする

ルーターの貸与など家庭への支援。

各ご家庭のITリテラシーの向上を図る。

大人の手が必要な人に、確実に助けが行き渡るようにすること。子育てにはもっと行政の手が入っていい。

格差拡大を防ぐためには徹底的な個別支援が必要だと思う。特に家庭(保護者)教育力の差が一因になる。家庭への支援という形での教育が必要。

家庭状況として、ネット環境が十分でない生徒もいます。一人一台の端末配布があってもネット環境がなければただの大きな荷物になってしまいます。まずは環境整備が必要だと思います。

5. その他

様々な教育施設・子どもが集まる施設のWi-Fi環境を整える。

自治体に丸投げするのではなく、国の支援や企業の支援があると格差の拡大は防ぐことができると考えます。

どのくらいの期間で対面可能な状況に戻れるか等の情報を示すことで、この全社会的な不安感やストレス感を減少させることが、生徒たちの学びに向かう意識を促し、教育格差の拡大を防ぐことになると考える。

まとめ

オンライン授業やハイブリッド授業の必要性を感じると回答した教職員は約8割でしたが、実際に全体で取り組んでいる学校は約4割に留まりました。その背景としては、通信環境の不備や端末、人員の不足などが多く挙げられていました。「実施したい気持ちはあるが、さまざまな障壁があってできない」という現状があるようです。

また、回答者の校種や地域、年代別の意見に注目すると、以下のような傾向があることがわかりました。

  • 若手の教職員は、授業で使える教材や動画コンテンツの充実を求めている。
  • 年配の教職員は、専門家の配置や教職員の増員を求めている。
  • 小学校の教職員は、授業で使える教材や動画コンテンツの充実を求めている。
  • 端末や通信環境など「モノ」の整備は、どの校種や地域でも同様に求められている。

現在も全国の学校で、多くの教職員が児童生徒の学ぶ機会を保障するために試行錯誤を重ねています。感染状況等を踏まえ、教職員の懸念・思いを踏まえた意思決定が、各自治体や学校においてなされてほしいと思います。



▼ 自由記述の回答一覧は、以下よりダウンロードしてご覧ください。 ▼

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すでに公開されている教職員アンケート結果やWEBメディアの記事の内容等は報道の際に使用いただいて構いません。その際は【出典:NPO法人School Voice Project 】クレジットを入れていただき、事後でも結構ですのでご一報ください。

8月25日から競技が始まった東京パラリンピックでは、「学校連携観戦プログラム」による児童生徒の観戦が始まりました。

学校連携観戦プログラムとは、「自治体や学校単位でチケットを購入してもらい、次世代を担う若者に、より多く会場にきてもらうことを目的とした事業」です。対象となる地域は、競技会場のある東京、千葉、埼玉、静岡の4都県。

東京オリンピック・パラリンピックの観戦には当初、学校連携観戦プログラムを利用して81万人が参加を希望していましたが、新型コロナウイルス感染拡大等により、観戦を中止する自治体が相次いでいます。

パラ「学校連携観戦プログラム」参加は4万人 中止相次ぎ17万人から激減 – 五輪一般 – 東京2020パラリンピック : 日刊スポーツwww.nikkansports.com

東京パラ 学校連携観戦 参加自治体詳細 保護者ら戸惑いの声も | NHK【NHK】www.nhk.or.jp


8月18日には、東京都の教育庁から「現場から『見たい』という強い要望が寄せられている」などの理由で学校連携観戦プログラムの実施を前提に準備を進める考えが示されました。

東京パラ “学校観戦”に都教委反対 教育庁は実施前提に準備 | NHKニュースwww3.nhk.or.jp


参加する学校の多くは、貸し切りバスを使って会場まで移動する計画を立てています。東京都においては、児童生徒を専用バスに乗せて学校と競技会場を往復することがわかっています。

パラ学校連携の参加「10万人台」 開会式にバッハ氏も:朝日新聞デジタルwww.asahi.com

【独自】パラ学校観戦、都が専用送迎バス…直行直帰で感染防止 : 東京パラリンピック2020速報 : オリンピック・パラリンピックwww.yomiuri.co.jp

アンケートの概要

School Voice Project では、WEBアンケートサイト「フキダシ」に登録する教職員の方を対象に学校連携観戦プログラム実施の賛否についてアンケートを取りました。

■対象  :全国の小〜高校年齢の児童生徒が通う一条校に勤務する教職員
■実施期間:2021年8月15日(日)〜8月22日(日)
■実施方法:インターネット調査
■回答数 :101件
■回答者の属性:学校連携観戦プログラム実施地域 29名(東京20名、千葉4名、埼玉4名、静岡1名)、学校連携観戦プログラム実施地域外 72名

アンケート結果

設問 「学校連携観戦プログラム」の実施、賛成? 反対?

全体の賛否割合
賛成       :2%(2人)
反対       :82.2%(83人)
どちらとも言えない:15.8%(16人)

学校連携観戦プログラム実施地域の賛否割合
賛成       :0%(0人)
反対       :93.1%(27人)
どちらとも言えない:6.9%(2人)

「賛成」の主な理由

十分な感染対策はなされている。大人の側は責任逃れでやらないことより、やるための努力が大事。

移動はバスを利用する。引率教員には特別手当を支給する。観戦する座席間隔を取る。引率教員はワクチン接種済みである。引率教員の希望者が必要数に達しない場合は参加しない。私がもし引率教員ならこの条件が守られる前提で、子どもたちに貴重な経験をさせてあげたいので、実施すべきと考えました。

「反対」の主な理由

1.児童生徒の命と安全を守ることが優先

コロナはもちろん、熱中症、テロなどリスクが高く、子供の安全が守れない。直接観戦する以外にも、オリパラを活用する方法はたくさんある。(東京)

もともと炎天下での学校観戦には、児童生徒の体調管理が難しいことから反対であった。その上今はコロナの感染状況が日々悪化し、医療体制も逼迫しているため。(東京)

感染症拡大防止。子どもたちを通じて、予防接種未接種の親に拡がったり、また逆も。引率職員も年齢的に希望していてもまだ未接種の方が多い現状。(埼玉)

感染爆発の時期に実施することではない。観戦のための引率オペレーションについても、お粗末なシミュレーションしかなされていないようだ。この状況では児童・生徒の安全を確保できないと考える。(東京)

自分の友人もパラリンピック選手として大会に参加します。選手には感染症対策を講じた中で競技してほしいですし、応援もしています。しかし、私たち教師は子供たちの安全(命)を守ることが最優先だと考えているので、メディアを通しての観戦が最適かと考えます。(埼玉)

​教育的な効果があることは否定しないが,実施することによるリスクが高すぎる。オリンピックは平和の祭典であり,緊急事態宣言の中,実施しなくてもよいと思っていた。子供を巻き込むのはパラリンピックのみを中止にできない国の思惑にしか思えない。​(千葉)

勤務区では送迎のためバスを利用します。4クラスの学年を3台のバスに詰め込むようです。無症状感染者がいるとして、個人的にはバス乗車中が最も感染のおそれが高いと考えています。生徒同士話をさせないためにも、1台の上限を20人にすることも考えられない自治体の判断で、実施すべきとは考えられません。(東京)

感染者の増加。現在は夏休み中ということで学校クラスターはほぼ起きていないが、代わりに学童保育や子供会行事でのクラスターが起こっている。家庭で感染した児童が、適切に体調管理されずに学校に出てくるケースはこれまでもある。観戦はオンラインやテレビで十分である。(対象地域外)※以下、記載なしは対象地域外

貴重な機会ではあると思う。しかし、感染症に対して明確な根拠ある安全策が取られているように感じない。その中で学校に観戦を促し、児童や学校の意向を踏まえないまま実施することには強制的な動員にさえ感じる。観戦より、生命身体の安全と学校の教育活動の安定した実施を優先したい。

感染が拡大しており、安全に観戦できると思わない。デルタ株では学齢期の子どもでも重症化のリスクがある。また、今年は猛暑であり、熱中症の危険もあるが、緊急時に受け入れてくれる病院もないので。

パラリンピックを直接観戦できることの教育的意義は理解できるが、いまはそれ以上に命の問題としてのコロナウィルス感染防止の問題が優先されるべきであると考えます。パラリンピックを直接観戦できなくとも、実際に日本で行われていることでLive中継を見るなどの方法も取り得ると考えます。あれも大事、これも大事ではなく、何を最優先すべきなのか明確にする必要があると考えます。

2.指導の矛盾による児童生徒の混乱

自粛をすることを課している状況で、それに反する行動は子供達が混乱し、自粛の緩和方向はつながりかねない。(東京)

この非常時に、祭典ともいえるパラリンピックに連れて行くとことは、生徒にその意義を説明できない。(千葉)

学校で行ってきた外出自粛や大人数との接触を避ける指導を、否定することになるから。

新型コロナウイルス感染症対策で人流を減らすという政府の方針に反するから。何が不要で不急なのかについて混乱すると思う。観戦するならメディアを通して行えばよい。

外出=感染のリスクが高まるから。これだけ毎日ステイホームと言っている中、国は言っていることとやろうとしていることが矛盾している。強行するならば、万一、これにより一人でも感染者が出た場合、だれがどう責任をとるのかはっきり示してほしい。

新型コロナウィルス感染症予防対策と相反します。今まで通りの学校生活も送れず、マスクもしているのに、この時期にパラリンピックを観戦する意味がわかりません。

関東地域の感染拡大状況、医療逼迫状況を考えると適切でないと思う。参加は各校、または個人の任意で行われるものであるべき。教育効果は高いかもしれないが、命のリスクを犯してまで行うのは、良くないと思う。

コロナ対策で学校行事に制約がかかる中で、どう考えてもおかしい。

やはり感染者拡大を防ぐには、なるべく密を避ける必要がある。学校でも密を避けるために、様々な感染症対策に追われているのに、あえて人を集めるような行為はおかしいと思う。現場の気持ちも考えて欲しい。

3.準備・当日・感染が起こった場合の学校の負担が大きい

学校への負担が大きすぎる。そもそも2020年度開催予定が延期され、それに伴う学校へのフォローが何もなかった。アンケートの集約、生徒保護者への説明も学校側で工夫して行ったにも関わらず、何の連絡もなかったため、不信感を持っている。(東京)

夏休み中であるため、参加不参加の確認が取りづらい。(埼玉)

勤務時間内に業務が終わらずに、残業せざるを得ない現状の中、プラスして行う行事ではないと思います。(東京)

全児童生徒を引率して、全員がキチンと観戦できると思えない。その際の引率者の気苦労は計り知れない(東京)

コロナ感染が拡大している中、やるべきではない。また、落ち着いていたとしても、夏休み中や休み明けすぐに行くことになるので児童や保護者への連絡など、急な対応になるので不可能。(東京)

現在コロナ禍で、学校行事や授業だけでも大変なのに、直前まで(実施できるかどうかが)わからない校外学習は入れる必要がない。参加させたくない保護者への対応なども現場対応となる可能性もある。教育活動に制限があるままなのに、こういうものだけOKということ自体が納得いかない。

もしオリンピック観戦を機にクラスターが発生した場合、責任は現場である各校が取らなければならない可能性が濃厚。

感染対策を最優先にしてほしい。引率する教員や学校体制に対して、政府は無関心すぎる。

観戦への教育的価値などは理解できるものだが、保護者の不安等への対応は現場任せであり、現場の負担が増えるだけだから。

4.各家庭に判断を委ねることの難しさ

学校行事にすると、同調圧力で、感染に不安がある人、行きたくない人も黙って行かざるを得ない。(東京)

各家庭で行きたくないと判断したとしても、やはり同調圧力はあると思うし、半強制的な参加になりそう。コロナ新規感染者が増えまくってるこの時期に、行政側が観戦できると判断をすることが不思議。

家庭ごとでコロナ対策への思いは違いがあるので、それが明確になってしまうと、子どもたちが分断されてしまわないか気になる。

5.そもそもパラリンピック開催自体が疑問

子どもたちの動機も醸成できていないし、さらにコロナへの心配が、コロナ問題発生以来最大級の不安な状態の中、政府や都などが煽動で行うことは怖さしか感じない。チケットを各家庭に希望者のみに配布し、保護者の監督の下、行くならまだましかもしれない。(その場合、不平等が生じる事は当然あるが)そして、そのような事を各校に任せることにも、恐ろしさを感じる。選手たち同様のバブル方式など、納得いく準備もない中、子ども達を行かせること、それを学校の裁量や各担任に現場を任せることなど、あり得ない。オリンピックが無観客でやって、多くは文句は出なかったと思う。それをパラでもやればいいと思うし、そもそも、オリンピック以降の感染拡大を鑑み、パラの開催の可否について議論した方がいいのではと思う。やること前提が怖い。

そもそも、オリンピック・パラリンピック開催に反対です。それらの予算を子どもの貧困対策やひとり親世帯の支援、青少年の居場所づくり事業、障がいのある生徒の学習支援を充実させるための人件費、若者の就労支援などに使ってほしいと考えるからです。さらに、現在の新型コロナウィルス感染拡大による医療崩壊の現状を踏まえると、学校では集団での学習活動が制限されているにもかかわらず、なぜパラリンピック観戦については教育的効果が強調されるのか、違和感しかありません。

6.パラリンピック観戦の教育的効果への疑問

子ども達からの要望であればいいが、感染が拡大している中で、子ども達側に目的も無いまま観覧させる意味は無いと思う。

自国でのパラリンピックの開催によって、様々な学びになるメリットはあると思う。一方で、障がいに対する理解や、多文化共生の中で様々な感じ方があることが尊重できるのかなど、疑問が多いから。

オリンピックや国体などは、国威発揚などの世論形成に使われる傾向が強く、異論を排除しがしちです。集団の規律を押し付けることなく、スポーツを楽しんだり、障害のある方への理解を深めるという十分な配慮が必要と思われますが、それが出来ているとは思えません。

ほぼ強制的に参加させることによってパラリンピックやハンデを持つ人たちへの偏見が生まれそう。

コロナ禍で、さまざまな学校行事が精選される状況であること。障害者理解の教育はなされるべきだが、パラを特別扱いすることに疑問を感じる。

パラリンピックという障害を持つアスリートの競技なら観戦意義があるみたいな安易さはどうかと思う。

7.大人の都合に児童生徒を巻き込んでいるのでは

本校の校長は、このプログラムを熱心に展開しようとしており、直接教室に来てまで参加者を募っている。コロナ禍において、そのような行動は、生徒のみならず同行する教員の健康を脅かしている。またこの校長の行動には、何らかの政治的な力が働いているのかもしれない。(千葉)

そもそも全員引率する意味がわからない(動員数の問題なら利用されていることになる)(東京)

この感染状況の中、外出自粛、人との接触を減らすように国民に呼びかけながら、児童生徒を観戦に参加なんてどう考えてもおかしい。これは教育の名の下の「動員」。それでいて、感染に関しては自己責任。ありえない。

感染予防策を科学的検知で示さない政府には信頼がおけないため。また、パラリンピックでなぜこのようなプランを実施するのか忖度の懸念が拭えない。

そもそも目的と手段が一致していない。動員じゃないんだし、学校と連携する必然性を感じられない。希望者を抽選にして、その方々を受け入れる体制を、オリンピック運営側で考えるべき。人件費タダの教員を使って、子どもたちを会場に連れてくることを考えたとしか思えない。

「どちらとも言えない」の主な理由

林間学校や修学旅行などの判断も揺らぐ中、パラ観戦に対してまだ前向きな考えが及ばない現状であるため。一概に反対はできないが、オンラインやテレビ観戦という手段や、家庭への無償チケット配布など、選択の幅が広がればよいなとは思う。(千葉)

希望者は良いが、全員で必ず行くことは推奨しない。任意参加にすべき。(埼玉)

感動の押し付けになるのではないか、という懸念を感じるから。事前に障害教育をきちんと行った上で、差別的にならないように行わないといけないと思う。

子どもたちにとって心動かされる体験は貴重だが、様々な背景があり感染症に不安を感じる人もいるだろうから。

ウイルス研究の専門家の判断に委ねるべき。政治家、教職員等含め素人が口を出すと何も決められなくなると思います。

対象外地域なので「学校連携感染プログラム」の目的や詳しい内容や実施方法をよく知らないため、子どもの感染リスクを考えれば実際に観戦するのは反対だが、選手を応援したり、競技について知ったりすることは、別の方法で行うこともできるかもしれないので、どちらともいえないとした。

感染拡大の中、健康面の管理の必要の大きいパラリンピックの選手の参加の可否の議論が先(パラリンピックはやらなくていいというわけではない)。また、現在の子どもの感染リスクの程度が分からない。パラリンピックが実施されたなら、親の判断に任せて希望参加にしたらいい。確かに子どもの情操によい影響を与えるものだと思うからだ。参加券は学校で希望者に配布し、保護者の責任で連れて行ってもらったらいいと思う。場合によっては移動のバスを都道府県が手配する。闇雲に不安を煽るのではなく、重症者の割合や、感染のリスクに対する正確な情報を提示してもらった上での判断になると思う。但し、医療は逼迫しているのも事実なので、医療関係者が無理だと判断したのなら、中止にすべきだと思う。医療のキャパは決まっているからだ。優先順位をつけて判断していくしかないと思う。

障害者のスポーツに触れる経験はいいと思うが、移動は教職員、子ども、パラアスリートへのリスクを考えると心配。希望校に専用アカウントでリモート中継するなどの案はどうだろう。ICT活用が生きると思う。

一生懸命取り組んでいる選手のことは、心から応援している。一方で、オリンピックにも見られた通り、スポーツを楽しむことより、スポンサーや選手ではない方の意見が優先されていることが多く見受けられる。集団感染の状況がないからといって、密の状態や、不安に思う生徒がもいる。

まとめ

反対理由の多くには、新型コロナウイルス感染拡大等による健康面へのリスクがあがっており、コロナ禍でなければ観戦に賛成する教職員は多いであろうと推測できます。しかし、中には「パラリンピックの観戦自体が教育的効果のあることなのか」を疑問視する意見もありました。

学校連携観戦プログラムの実施地域(東京・千葉・埼玉・静岡)とそうではない地域では、反対理由の傾向に違いが見られました。実施地域では、「夏休み中に保護者に参加の希望を聞くことの難しさ」や「移動や観戦中に生徒の安全管理をする教員への負担」など、実際の業務に対する声が多く上がっています。一方で実施地域外では、「外出自粛を呼びかける中での観戦は、指導が矛盾しており子どもが混乱する」と、一貫性のなさを指摘する声が目立ちました。

すでにパラリンピックは開幕。直前にも、学校観戦プログラムの実施可否の判断を変更した自治体もありました。感染状況等を踏まえ、学校現場の実情や教職員の懸念・思いを踏まえた意思決定が、各自治体においてなされてほしいと思います。



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